(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
運転者がペダルを漕ぐことで回転するクランク軸の回転を受けて発電するオルタネーターと、オルタネーターから出力される直流電力を蓄電する二次電池と、クランク軸の回転数を検知する検知手段と、ペダル踏力を検知するトルクセンサーと、その結果からオルタネーターの負荷を調整して適度のペダル荷重を付加する踏力制御手段と、前輪または後輪の駆動輪を駆動するハブモーターと、右手または左手ハンドルグリップ付近にあって右手または左手指で操作可能な始動押しボタンスイッチと、このスイッチを0.5〜2秒間押し続けることで停車状態からの発進時に限り3〜5秒間だけハブモーターが回転して発進する発進制御手段と、駆動輪の回転開始を検出して発進直後の状態を認識し、以後はクランク軸回転数検知手段の結果を基にハブモーターの回転数を決定して走行速度を制御する速度制御手段と、サドル内部にあってサドルにかかる荷重を検知するサドルセンサーと、サドルセンサーからの情報を基に駐輪操作時の暴走発進を防ぐ暴走発進抑制手段と、ハンドル中央付近の運転者が見やすい位置にあって、走行速度、二次電池電圧、走行モード、回生ブレーキモードなどの状態を一括表示する表示手段と、電気回路全体の開閉と走行モード切り替えを行う電源キースイッチをハンドル中央付近に備えたことを特徴とする電動自転車。
前記速度制御手段は、そのアルゴリズムを変更することによって速度制御パターンを変えることができ、ノーマルモード、パワーモードなど多様な選択が可能であって、電源キースイッチと併用するスイッチにて切替えることを特徴とする請求項1記載の電動自転車。
前記速度制御手段には「上り勾配検出」と「下り勾配検出」機能があって、運転者が上り坂または下り坂を走行する際に必要な操作を怠った場合にはこれを察知し、自動的に速度を調整して安全走行を確保することを特徴とする請求項1記載の電動自転車。
前記ハブモーターは、惰力走行状態では発電機として作動して二次電池への充電を行うと同時に回生ブレーキを成し、ハブモーターに並列接続される抵抗負荷を増減することで制動量を制御する回生ブレーキ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動自転車。
前記クランク軸にはラチェットギヤなどの逆転防止手段が備えられ、ペダルを逆回転に漕いだ場合にオルタネーターの逆転を防止することを特徴とする請求項1記載の電動自転車。
【発明を実施するための形態】
【0010】
大人用の一般的な普通自転車は、タイヤ直径=0.66m、チェーンホイールと後輪ギヤとのギヤ比=2.285なので、時速10Kmで走行するに必要なクランク軸回転数は、10x1000/0.66x3.14x2.285x60=35rpmである。この結果を基に、クランク軸回転数が35rpmにて時速10Kmに達し、ペダル踏力が普通自転車よりも軽い電動自転車を本発明の基本構成とする。
【0011】
図1に本発明の基本構成を示す。101は自己励起型オルタネーターで、ギヤボックス102を経てクランク軸103の回転が伝えられて発電する。二次電池104の負荷を軽くするために回転子の励磁電源には二次電池104を使用せず、オルタネーター内臓の直流発電機にて励磁し、その磁力を制御することで負荷の軽重に応じた電圧を出力して、二次電池104に適宜な充電電流を供給することで端子電圧を一定に保つ。
【0012】
ギヤボックス102はクランク軸103の回転数をn倍にしてオルタネーター101に伝える変速ギヤとオルタネーター101の逆回転を防止するラチェットギヤで構成される。
【0013】
変速ギヤのギヤ比nは、クランク軸103の回転数をオルタネーター101が必要とする回転数まで変速するためのものである。さらにオルタネーター101の負荷に比例するペダル108への荷重が国土交通省の定める「電動アシスト自転車」に規定されるペダル踏力と電動機支援によるアシスト比の規定(時速10Km以下では1対2、24Kmまでは1対2から0までの線形逓減、それ以上は1対0)の範囲内にあるように物理的に調整するためのものでもある。
【0014】
この条件を満足するためにギヤ比nだけで不十分な場合は、踏力制御手段310(
図3)がオルタネーター101に並列抵抗を接続してその値を調整し、負荷を重くすることでペダル108に必要とされる荷重を付加し、「ペダル踏力」対「速度」の関係を一般的な電動アシスト自転車と同等になるように設定する。
【0015】
運転者への負担を考慮すればペダル踏力は軽いほうが良いが、免許を必要としない公道走行を可能にするために必要と考えられる対応である。本発明の電動自転車が、免許を必要としない新しいカテゴリーの自転車として現行の法規が改定されれば、これらの対応が簡素化される可能性がある。
【0016】
始動時(発進時)におけるハブモーター105の過大電流消費を極力低減して二次電池104の負担を軽くするために、ハブモーター105は減速ギヤを内蔵したギヤリダクション式ハブモーターを使用する。
【0017】
104はリチウムイオン電池などの二次電池で、電池ケース120に納められ、電源キーと共用する電池ケースキー119にて施錠される。外部から充電する必要がある場合には、電池ケース120から取り外して専用充電器にて充電することができる。電池ケース120内には、発進制御手段、速度制御手段、踏力制御手段、回生ブレーキ制御手段、暴走発進抑制手段などを一括した制御手段121が収められている。
【0018】
116は電源キースイッチで、「ロック・走行・充電」の3段階基本形から「ロック・ノーマル・パワー・充電」の4段階型まで、製品仕様に応じて変更される。「ロック」は電源OFFの状態で、オプション仕様のロック装置を付加すれば電源OFFと同時に車輪がロックされる。「走行」は標準型の走行モード、「充電」はスタンド124を立て、ペダル108を漕いで充電する際の位置、「ノーマル」は4段階型の標準走行モード、「パワー」は強い加速のスポーツモードである。一般的な電動アシスト自転車では二次電池の消耗を節約するためにエコモードを搭載している機種が多いが、本発明の電動自転車では自己充電で走行するためにその必要はない。
【0019】
122は液晶などによる表示部で、電源キースイッチを入れると走行速度、電池電圧、走行モード、回生ブレーキモードなどの状態を一括表示する。停車状態でスタンド124を立て、ペダル108を漕いで充電する際には、バー表示または数字表示にて充電状況を確認できる。
【0020】
115は始動押しボタンスイッチで、停車状態から発進するときに使用する。クランク軸103と駆動輪が静止しているときのみ有効で、押してから1秒後に二次電池104からハブモーター105に数秒間通電して回転させ、二次電池104だけの電力にて発進する。1秒間の遅延を設ける理由は、手指がスイッチに触れた瞬間の突発的な飛び出しを防ぐためである。遅延時間は1秒に限らないが、0.5〜2.0秒が望ましい。
【0021】
始動押しボタンスイッチ115にて発進し、駆動輪が1/2回転(=180度)以上回転すると速度制御手段はこれを検知してクランク軸回転数検知手段が有効になり、クランク軸の1/8回転(=45度)以上を検知すると同時にオルタネーター101が発電を開始して、二次電池104の電力だけで走行していた状態から発電機支援による走行へと移行する。
【0022】
電源キースイッチ116が走行位置にあってクランク軸103と駆動輪が静止している状態は、駐輪場から発進する際や公道での信号待ち状態などを想定していて、始動押しボタンスイッチが有効な発進待機の状態であるが、その状態においてペダル108に置いた足が不用意に動いても前記速度制御手段が駆動輪の1/2回転以上を検知しない限りハブモーター105は始動せず、意図しない暴走発進をすることはない。
【0023】
ハブモーター105による動力走行から両足を止めて惰力走行に移ると、クランク軸回転数検出手段はクランク軸103の静止を検出し、回生ブレーキ制御手段がハブモーター105からの回生電力を二次電池104に蓄電すると同時に回生ブレーキが作動する。
【0024】
普通自転車の走行において、上り坂や下り坂にさしかかると運転者は速度の低下や加速を視覚で認識すると同時にペダルにかかる荷重の増減からも感じ取ってペダルを強く漕ぐか、またはペダルを静止してブレーキをかけるなどの操作を行うが、本発明においてもそれに似た操作が行われる。すなわち上り坂における登坂抵抗はハブモーター105の負荷増大、すなわちペダル108の荷重増大となって運転者にペダル108の踏力増加による速度回復を促し、下り勾配での加速に対しては、それを抑えるべくペダル108を静止させてブレーキレバー113を絞ることで加速を抑える。この状態では回生ブレーキが作動しているので普通自転車よりも安全性が高い。
【0025】
速度制御手段には、ハブモーター105負荷の増減から判断する「上り勾配検出」と「下り勾配検出」機能があり、上り坂による速度低下と下り坂による加速に対して運転者が適切な対応を怠った場合には、速度制御手段はこれを察知して、それぞれ加速、減速の命令を実施してハブモーター105を制御する。特に下り坂で異常な加速を検知した際にはハブモーター105の負荷を重くして回生ブレーキの制動量を増加させ、安全走行を確保する。
【0026】
111、112はそれぞれ前輪、後輪のディスクブレーキで、前輪ブレーキバー114、後輪ブレーキバー113にて操作される。ブレーキの種類はディスク型に限らず、どのようなタイプを使用してもよい。後輪ブレーキレバー113にはハブモーター105への電力供給を止めるためのセンサーまたはスイッチが内蔵されている。クランク軸が回転している動力走行中の状態では、レバーを絞ることで物理ブレーキを作動させると同時にハブモーター105への電力供給を止め、レバーを戻せば再び通電される。クランク軸が静止している惰力走行中にレバーを絞れば、作動中の回生ブレーキと物理ブレーキの両方で効率よく制動され、レバーを戻せば回生ブレーキのみの制動に戻る。停止する場合はレバーを絞り続け、駆動輪の回転数がゼロになった時点でレバーを戻せば、回生ブレーキ回路が無効になると同時に発進スイッチ(
図3)を開放してハブモーター105を電気回路から遮断し、発進待機の状態に戻す。
【0027】
118はサドル内に組み込まれた圧力センサーで、5Kg以上の圧力を検知して運転者がサドルに乗っているか否かを認識し、センサーが圧力を検知していない状態ではハブモーター105は始動しない。駐輪時に手押しで駐輪操作する際など、運転者がサドルから降りた状態で手指が不用意に始動押しボタンスイッチ115に触れるか、またはサドル108に足が触れても暴走発進することはない。圧力センサーの検知重量は、運転者がサドル117上にあるか否かを正しく検知できればよいので、5Kgに限ることはない。
【0028】
図2−1は始動押しボタンスイッチ115の詳細図で、右ハンドルグリップ付近に取り付ける際の
取り付け方向を示している。201は押しボタン部分を保護して誤操作を防止する保護壁で、運転者は正面図右方向の開口部から親指にて操作する。203はプッシュオン型のスイッチ本体で、雨天を想定した防水ゴム202に覆われている。204はスイッチ基台、205はハンドルに取り付けるための固縛ベルト、206は発進制御手段に接続される電線である。
【0029】
以上で各装備と手段の説明を終わり、次に本発明の電動自転車の乗り方を説明する。この電動自転車の発進方法は下記の3種類の方法がある。
1.始動押しボタンスイッチ115を使用する方法
2.運転者がサドル117に乗った状態で、利き足で地面を蹴る方法
3.運転者が自転車と並走(助走)してからサドル117に乗る方法
いずれも駆動輪を1/2回転(=180度)以上回転させてクランク軸回転数検出手段を有効にした状態でペダル108を漕ぎ、発電開始すると同時にハブモーター105に通電して走行する。
【0030】
1.始動押しボタンスイッチ115による方法
始動押しボタンスイッチ115は誤操作を防ぐために、
図2−1のように周囲の三方が壁で囲まれていて、防水目的のゴムのカバーに覆われている。このスイッチはクランク軸103と駆動輪が静止しているときのみ有効である。
【0031】
運転者がサドル117に乗っている停車状態からこのスイッチを押すと、約1秒後に駆動輪が回転して発進するので、運転者はハブモーター105が回転している数秒以内にペダル108を漕ぐことでオルタネーター101が発電して二次電池104への充電を開始すると同時にハブモーター105への給電が始まって継続走行することができる。
【0032】
走行速度は、クランク軸103の回転数を基にした走行モードに従って制御されるので、普通自転車を運転する要領でペダル108を漕げば、軽い踏力で普通自転車以上の強い加速力にて走行することができる。
【0033】
道路交通法の「電動アシスト自転車」の定義に沿えば、発進から時速10Kmまでは人力によるペダル踏力と電動アシストの比率は1対2と規定されているので、この区間のペダル踏力は普通自転車の1/3以下にならないように設定されている。ただし本発明の構造は前例がないので、この数値は後述の説明にある数値も含めて参考値である。
【0034】
同じく時速10Kmから24Kmまでの区間は1対2から0までの線形逓減と規定されているので、この範囲内で任意の走行モードが設定される。
【0035】
時速24Km以上についてアシストは認められないが、人力による走行には限界があるので最高速度は特に規定されていない。本発明では、ギヤボックス102内にあるトルクセンサー303(
図3)にてペダル踏力を検知し、時速24Km以上では普通自転車と同等の荷重がペダル108にかかるように踏力制御手段310(
図3)によってオルタネーター101の負荷が調整される。
【0036】
海外の道路交通法では、日本仕様の「フル電動自転車」であっても免許を必要とせずに公道走行可能な場合が多く、走行モードのアルゴリズムも簡素化できる。海外市場を志向した生産を行う場合には、仕向け地に応じた仕様を設定すればよい。
【0037】
2.利き足で地面を蹴る方法
ハブモーター105の始動に依存せず、運転者がサドル117に乗って利き足で地面を蹴り、駆動輪を1/2回転(180度)させてペダル108を漕げば、クランク軸回転数検知手段が有効になってオルタネーター101の発電が有効になり、同時に二次電池104からもハブモーター105への給電が開始されて走行することができる。
【0038】
3.助走による方法
運転者が自転車と並走して素早くサドル117に乗ってペダル108を漕げば、上記1.2.と同様の走行開始状態となって動力走行が開始される。
【0039】
前記2.と3.は二次電池104の負担を軽くする目的での発進方法であるが、公道での信号待ちなど簡単操作で確実な発進が求められる場合には1.の発進方法が望ましい。
【0040】
図2−2は速度制御手段による走行速度制御の概念図である。実線は本発明のノーマル走行モードで、普通自転車の走行を模していて、クランク軸回転数と走行速度の関係は同一であるがB、C領域においては本発明のペダル踏力は普通自転車よりも軽く、電動アシスト自転車に近い運転感覚が得られる。
【0041】
領域Aは始動押しボタンスイッチを押して発進操作を行った状態を示しており、領域Bは運転者がペダル108を漕いでクランク軸回転数検知手段が有効になり、オルタネーター101による発電が開始されてハブモーター105に通電され、加速している状態を示している。ハブモーター105の回転数、すなわち走行速度はクランク軸回転数によって決定され、ノーマルモードではクランク軸回転数が35rpmのときに時速10Kmに達する。この領域でのペダル踏力と電動アシスト力は、その比率が1対2になるようにペダル荷重が機械的および電気的に調整される。
【0042】
領域Cは同様に時速10Kmから24Kmまでの加速の状況で、この領域でのペダル踏力と電動アシスト力の比率は1対2から0までの線形逓減である。ノーマルモードではクランク軸回転数が84rpmで時速24Kmに達する。
【0043】
時速24Km以上の領域Dは、電動アシスト自転車におけるアシストが認められない領域なので、本発明では、時速24Km以上で普通自転車が必要とするペダル踏力と同等の踏力が必要とされるようにペダル荷重を機械的および電気的に調整する。
【0044】
これらの設定は国土交通省の定める「電動アシスト自転車」を模することを想定しているが、前述の通り本発明は前例がないので以上の設定数値は参考値であって、国土交通省の判断によっては変更が必要になるかもしれないが、本発明の設定のままで免許を必要としない公道走行が認可される可能性も十分にあると考えられる。海外市場における道路交通法では、日本のように細部まで規定されていないので、これらの設定は不要になるか、または簡素化されると考えられる。
【0045】
図中の破線はパワーモードを示している。ノーマルモードではクランク軸回転数35rpmにて時速10Kmで走行するが、パワーモードでは(このグラフの例では)時速15Kmにパワーアップされるように設定されている。
【0046】
領域Eは安全のために速度リミッタが作動する領域である。すなわちノーマル、パワーモード共に時速30Km(クランク軸回転数=105rpm)にて速度リミッタが作動して、クランク軸回転数を105rpm以上に上げても速度はこれ以上に上がらない。
【0047】
図3に電気系統の基本構成を示す。各検知手段からの信号を解析して所定の制御を行う中央制御手段307は、基本的に1個のマイクロコンピューターにて包括的に制御される。
【0048】
S1は主電源の開閉を行う電源キースイッチで、走行する際にこのスイッチを「走行」位置にすれば、S1aとS1bがONになり、運転者がサドルに乗った時点でサドルセンサー313がそれを検知してサドルスイッチS6がONとなり、発進待機の状態になる。
【0049】
始動押しボタンスイッチS2が押されると、遅延回路301によって約1秒(0.5〜2.0秒)間の遅延のあとに始動スイッチS3がONになり、ハブモーターMを始動させ、保持回路302によってその状態が数秒間保持されて発進する。数秒間とは3〜5秒間を意味し、駆動輪が数回転して安定走行に至るまでの時間を意味する。
【0050】
駆動輪が1/2回転以上回転すると速度制御手段308はこれを検知してクランク軸回転数検知手段305が有効になり、クランク軸の1/8回転以上を検知すると同時に自己励起型オルタネーター312が発電を開始して、二次電池311への充電が開始されると共に発進スイッチS4を閉じてハブモーターMに給電する。
【0051】
ハブモーターMは、速度制御手段308内に予め格納されている走行モードに従って、クランク軸回転数に応じた回転数に制御される。
【0052】
クランク軸が回転している動力走行状態において軽く制動をかけるには、手動ブレーキ306レバーを軽く絞れば後輪ディスクブレーキが物理的に制動をかけて速度が低下する。さらに制動する場合にはレバーをさらに絞ることで物理的制動が強くなると同時にブレーキスイッチS5が解放されてハブモーターMは回転を停止し、制動を終えてレバーを戻せばブレーキスイッチS5が閉じてハブモーターMは再び回転する。
【0053】
クランク軸が静止している惰力走行状態では、ハブモーターMは発電機として機能して二次電池311を充電すると同時に回生ブレーキとして動作する。この状態から制動をかけるには手動ブレーキ306を絞って物理的に制動するが、惰力走行状態においてブレーキスイッチS5は解放されず、回生ブレーキは継続的に機能する。最終的に駆動輪が停止した時点で回生ブレーキは解除となり、発進スイッチS4が解放されて発進待機の状態に戻る。
【0054】
以上が
図3による発進から停止・発進待機までの基本動作説明である。以下は停車状態での充電方法、安全性向上や走行性能・感覚の向上を目指した装備の説明である。
【0055】
発進と停止が頻繁に繰り返えされるか、または長期間の放置などの理由で二次電池311の電圧低下が懸念される場合には、スタンドを立ててペダルを漕ぎ、発電することにより二次電池311を充電することができる。この場合、電源キースイッチは「充電」位置に切り替えられ、S1a=ON、S1b=OFFとなる。充電状況は表示手段によってモニターできる。
【0056】
低速での惰力走行時には回生ブレーキを必要としないので、回生ブレーキ制御手段309は時速5Km以下ではS4を開放して駆動輪の制動を止め、同時にハブモーターMの巻線が解放状態にならないように回生ブレーキ調整抵抗315を並列抵抗として接続する。この場合の回生ブレーキ調整抵抗315の抵抗値は、巻線解放による異常電圧発生を防いで且つ駆動輪を大きく制動しない1〜2Kオームが選択される。
【0057】
下り坂による自然加速で速度が異常に上昇した際に運転者が適切な対応を怠った場合、速度制御手段308はこれを察知して強制的に回生ブレーキを作動させ、回生ブレーキ制御手段309は回生ブレーキ調整抵抗315を10オーム前後の低い値にして強い制動をかける。
【0058】
運転者への負担を考慮すればペダル踏力は軽いことが望ましいが、道路交通法の定める諸条件を満たすために必要とされる場合には、踏力制御手段310によってオルタネーター312に踏力調整抵抗314を並列接続し、ペダル荷重を故意に大きくする場合がある。この操作はトルクセンサー303からのフィードバック情報とクランク軸回転数とを比較して自動的に行われる。
【実施例】
【0059】
前記「発明を実施するための形態」にて詳述したように、
図1に示す一人乗りの基本構成から特許文献3(本出願者が特許権者)に示す子乗せ自転車までの実施が可能である。
【課題】自己充電で走行でき、最大走行距離が無限に近く、ペダル踏力が普通自転車よりも軽くて電動アシスト自転車に類似した運転感覚が得られ、無免許で公道走行が可能な電動自転車。
【解決手段】クランク軸の回転をオルタネーターに伝えて発電し、その直流出力電力を二次電池に蓄電すると同時に速度制御手段を介して駆動輪のハブモーターに供給し、クランク軸の回転数を基に各種の変速モードでハブモーターの回転数を変化させて走行速度制御を行う。二次電池は動力走行中にはオルタネーターから充電され、惰力走行中にはハブモーターからの回生電力によって充電されるが、発進・停止が短時間で頻繁に行われて電圧低下が懸念される場合には停車し、スタンドを立ててペダルを漕いで自己充電することができる。満充電までに時間を要する場合は二次電池を取り外し、屋内にて専用の充電器で充電することも可能である。