特許第6669587号(P6669587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6669587-ガスコンロ 図000002
  • 特許6669587-ガスコンロ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6669587
(24)【登録日】2020年3月2日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/10 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
   F24C15/10 F
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-106363(P2016-106363)
(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公開番号】特開2017-211161(P2017-211161A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】水谷 嘉宏
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−206357(JP,A)
【文献】 特開2006−3050(JP,A)
【文献】 実開平6−28507(JP,U)
【文献】 特開2008−8504(JP,A)
【文献】 実開昭54−29883(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体の上面を覆う板金製の天板と、天板の上面を覆うガラス製の天板カバーと、天板カバーを天板に固定するカバー固定手段と、天板及び天板カバーに開設したバーナ用開口を介して上方に露出するコンロバーナと、天板カバー上にコンロバーナを囲うようにして載置される五徳とを備えるガスコンロにおいて、
天板のバーナ用開口は、天板カバーのバーナ用開口より小径であり、カバー固定手段は、天板のバーナ用開口より大径で天板カバーのバーナ用開口より小径の筒部と、天板のバーナ用開口の口縁部に締結される筒部下端の内曲げフランジ部と、天板カバーのバーナ用開口の口縁部上面を覆うように天板カバーに設けられた保護パッキンの上面に重なる筒部上端の外曲げフランジ部とを有する環状のカバー固定板で構成され、
五徳は、保護パッキン及びカバー固定板を上方から覆う環状の五徳枠に複数の五徳爪を固定して成るものに構成され、天板カバー及びカバー固定板を取外した状態では、天板のバーナ用開口の口縁部を五徳枠により上方から覆った状態で五徳が天板上に載置可能であることを特徴とするガスコンロ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ本体の上面を覆う板金製の天板と、天板の上面を覆うガラス製の天板カバーと、天板カバーを天板に固定するカバー固定手段と、天板及び天板カバーに開設したバーナ用開口を介して上方に露出するコンロバーナと、天板カバー上にコンロバーナを囲うようにして載置される五徳とを備えるガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガスコンロとして、特許文献1により、カバー固定手段を天板上面に塗布するコーキング材で構成し、天板カバーを天板にコーキング材で接着固定するものが知られている。ガラス製の天板カバーを設けるのは、清掃性を向上させると共に体裁を良好にするためであるが、天板カバーを天板に接着固定したのでは、天板カバーが破損したときに、天板カバーの破片を天板から除去するのが困難であり、また、破片を除去できても、天板上面にコーキング材による汚れが残って体裁を損なうため、実際上天板は使用できなくなる。
【0003】
また、特許文献1には、カバー固定手段を、天板の四隅に締結される、天板カバーの端縁角部に掛止される掛止部を有する連結金具で構成したものも記載されている。これによれば、天板カバーが破損したときに、連結金具を取外して天板カバーの破片を容易に除去でき、且つ、天板上面に汚れが残らないため、天板を単独でそのまま使用できる。然し、このものでは、天板上に天板カバーを固定した状態で連結金具が外観に現れるため、体裁を損なう不具合がある。
【0004】
また、特許文献1に記載のものでは、天板カバーのバーナ用開口の口縁部上面に五徳を載置しているが、天板のバーナ用開口が天板カバーのバーナ用開口よりも大径であるため、五徳を天板上に載置することができない。そのため、天板を単独で使用する場合には、天板上に載置可能な専用の五徳を補充せざるを得ず、時間と経費が掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−313045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、天板カバーが破損した場合に天板を単独で使用できると共に五徳をそのまま使用でき、且つ、体裁も良好なガスコンロを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、コンロ本体の上面を覆う板金製の天板と、天板の上面を覆うガラス製の天板カバーと、天板カバーを天板に固定するカバー固定手段と、天板及び天板カバーに開設したバーナ用開口を介して上方に露出するコンロバーナと、天板カバー上にコンロバーナを囲うようにして載置される五徳とを備えるガスコンロにおいて、天板のバーナ用開口は、天板カバーのバーナ用開口より小径であり、カバー固定手段は、天板のバーナ用開口より大径で天板カバーのバーナ用開口より小径の筒部と、天板のバーナ用開口の口縁部に締結される筒部下端の内曲げフランジ部と、天板カバーのバーナ用開口の口縁部上面を覆うように天板カバーに設けられた保護パッキンの上面に重なる筒部上端の外曲げフランジ部とを有する環状のカバー固定板で構成され、五徳は、保護パッキン及びカバー固定板を上方から覆う環状の五徳枠に複数の五徳爪を固定して成るものに構成され、天板カバー及びカバー固定板を取外した状態では、天板のバーナ用開口の口縁部を五徳枠により上方から覆った状態で五徳が天板上に載置可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、天板カバーが破損した場合、カバー固定板を取外して天板カバーの破片を容易に除去でき、且つ、天板上面に汚れが残らないため、天板を単独でそのまま使用できる。更に、天板上にカバー固定板により天板カバーを固定した状態において、保護パッキン及びカバー固定板が五徳枠により上方から覆われるため、これら保護パッキン及びカバー固定板が外観に現れず、体裁が良好になる。また、天板を単独で使用する場合にも五徳をそのまま使用でき、時間と経費が掛からない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態のガスコンロの一部切断側面図。
図2】(a)図1のガスコンロの要部の拡大断面図、(b)図1のガスコンロの天板カバー及びカバー固定板を取外した状態の要部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す本発明の実施形態のガスコンロは、コンロ本体1と、コンロ本体1の上面を覆うステンレス板等の板金製の天板2と、天板2の上面を覆うガラス製の天板カバー3と、天板2及び天板カバー3に開設したバーナ用開口21,31を介して上方に露出するコンロバーナ4と、天板カバー3上にコンロバーナ4を囲うようにして載置される五徳5とを備えている。天板カバー3には、バーナ用開口31の口縁部上面を覆うように保護パッキン32が設けられている。
【0011】
天板カバー3は、カバー固定手段によって天板2に固定されている。ここで、天板2のバーナ用開口21は、天板カバー3のバーナ用開口31よりも小径に形成されている。そして、カバー固定手段は、図2(a)に明示する如く、天板2のバーナ用開口21より大径で天板カバー3のバーナ用開口31よりも小径の筒部61と、天板2のバーナ用開口21の口縁部に締結される筒部61下端の内曲げフランジ部62と、保護パッキン32の上面に重なる筒部61上端の外曲げフランジ部63とを有する環状のカバー固定板6で構成されている。内曲げフランジ部62を天板2のバーナ用開口21の口縁部に締結すれば、天板カバー3のバーナ用開口31の口縁部が外曲げフランジ部63により保護パッキン32を介して上方から押えられ、天板カバー3が天板2に固定される。
【0012】
尚、天板2のバーナ用開口21の口縁部の前後2箇所には、バーリング加工でネジ孔22が形成されており、これら各ネジ孔22に螺合するネジ64で内曲げフランジ部62が天板2のバーナ用開口21の口縁部に締結される。また、保護パッキン32の上面は、内周寄り部分を低くした段付き形状に形成されている。そして、保護パッキン32の内周寄り部分の上面に外曲げフランジ部63が重なるようにしている。
【0013】
五徳5は、保護パッキン32及びカバー固定板6を上方から覆う環状の五徳枠51に複数の五徳爪52を固定して成るものに構成されている。これによれば、保護パッキン32及びカバー固定板6が五徳枠51で目隠しされて外観に現れず、体裁が良好になる。また、五徳枠51には、下方にオフセットして径方向内方に張出す汁受け部53が一体に形成されている。そのため、汁受けを別途用意する必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【0014】
各五徳爪52の下端には、五徳枠51に形成したスリットに係合する係合部52aが突設されている。そして、この係合部52aが外曲げフランジ部63に着座し、或いは、五徳枠51が保護パッキン32の外周寄り部分の上面に着座して、五徳5が天板カバー3上に支持される。また、前後2個の五徳爪52には、係合部52aから更に下方に突出する突起部52bが形成されている。この突起部52bは、カバー固定板6の前後2箇所に形成した位置決め用のスリット65に係合し、五徳5が位相決めされる。
【0015】
ところで、天板カバー3が破損した場合は、内曲げフランジ部62の締結を解除してカバー固定板6を取外すことにより、天板カバー3の破片を容易に除去することができる。また、天板カバー3をコーキング材で天板3に接着固定するものと異なり、天板2の上面に汚れが残らないため、天板2を単独でそのまま使用できる。
【0016】
更に、天板2のバーナ用開口21が天板カバー3のバーナ用開口31より小径であるため、図2(b)に示す如く、天板カバー3及びカバー固定板6を取外した状態では、天板2のバーナ用開口21の口縁部を五徳枠51により上方から覆った状態で五徳5を天板2上に載置することができる。そのため、天板2を単独で使用する場合にも五徳5をそのまま使用でき、時間と経費が掛からない。
【0017】
尚、天板2を単独で使用する場合、五徳5は、五徳爪52の係合部52aにおいて天板2のバーナ用開口21の口縁部上面に着座する。また、天板2のバーナ用開口21の口縁部の前後2箇所には、ネジ孔22の外方に位置させて、五徳爪52の突起部52bが挿入される位置決め孔23が形成されている。また、汁受け部53は、天板2上に五徳5を載置したときに、天板2のバーナ用開口21にその口縁部に干渉することなく挿入されるように形成されている。
【0018】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、保護パッキン32の上面を段付き形状に形成して、高さの低い内周寄り部分の上面にカバー固定板6の外曲げフランジ部63を重ねているが、保護パッキン32の上面はフラットであってもよい。また、上記実施形態では、五徳枠51に汁受け部53が一体に形成されているが、汁受け部53を省略し、五徳とは別体の汁受けを設けてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1…コンロ本体、2…天板、21…天板のバーナ用開口、3…天板カバー、31…天板カバーのバーナ用開口、32…保護パッキン、4…コンロバーナ、5…五徳、51…五徳枠、52…五徳爪、6…カバー固定板、61…筒部、62…内曲げフランジ部、63…外曲げフランジ部。

図1
図2