(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の直線部のうちの最も端に位置する2つの直線部の内部の前記ゲート絶縁層が、その2つの直線部の内部の全体で、前記第2誘電率を有するとともに前記第2の厚みを有する請求項2のスイッチング素子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜3は、実施形態のMOSFET10(metal oxide semiconductor field effect transistor)を示している。
図2、3に示すように、MOSFET10は、半導体基板12と、電極、絶縁層等を備えている。なお、
図1及び後述する
図6〜9では、図の見易さのため、半導体基板12の上面12a上の電極、絶縁層の図示を省略している。以下では、半導体基板12の上面12aと平行な一方向をx方向といい、上面12aに平行でx方向に直交する方向をy方向といい、半導体基板12の厚み方向をz方向という。
【0010】
半導体基板12は、SiCにより構成されている。
図1に示すように、半導体基板12の上面12aには、複数のゲートトレンチ22a及び22bが設けられている。以下では、ゲートトレンチ22aとゲートトレンチ22bをまとめて、ゲートトレンチ22という場合がある。各ゲートトレンチ22は、y方向に直線状に伸びている。複数のゲートトレンチ22は、x方向に間隔を開けて配列されている。以下では、上面12aに複数のゲートトレンチ22が設けられている領域を素子領域50という。また、素子領域50の外周縁に面する範囲を外周部50bといい、素子領域50の中央を含む外周部50bに囲まれた範囲を中央部50aという。複数のゲートトレンチ22は、x方向において最も外周側に配置されている2つのゲートトレンチ22bと、2つのゲートトレンチ22bに挟まれた範囲に配置されている複数のゲートトレンチ22aを有している。2つのゲートトレンチ22bの全体が、外周部50b内に配置されている。各ゲートトレンチ22aの両端部(長手方向の両端部)は外周部50b内に配置されており、各ゲートトレンチ22aのその他の部分は中央部50a内に配置されている。
図2、3に示すように、各ゲートトレンチ22の内部に、底部絶縁層24、ゲート絶縁層25及びゲート電極26が配置されている。
【0011】
底部絶縁層24は、ゲートトレンチ22の底面を覆っている。
【0012】
ゲート絶縁層25は、ゲートトレンチ22の側面を覆っている。ゲート絶縁層25は、底部絶縁層24と繋がっている。
【0013】
ゲート電極26は、底部絶縁層24上に配置されている。ゲート電極26は、ゲート絶縁層25と底部絶縁層24によって半導体基板12から絶縁されている。ゲート電極26の上面は、層間絶縁膜28によって覆われている。
【0014】
図1〜3に示すように、外周部50b内では、中央部50a内よりも、ゲート絶縁層25及び底部絶縁層24が厚い。中央部50a内では、ゲート絶縁層25及び底部絶縁層24が、厚みd1を有する。外周部50b内では、ゲート絶縁層25及び底部絶縁層24が、厚みd2を有する。厚みd2は、厚みd1よりも厚い。より詳細には、最も外周側に配置されている2つのゲートトレンチ22b(全体が外周部50b内に配置されているゲートトレンチ22b)内では、ゲート絶縁層25及び底部絶縁層24の全体が厚みd2を有している。ゲートトレンチ22a内では、その長手方向(y方向)の両端部においてゲート絶縁層25及び底部絶縁層24が厚みd2を有しており、両端部以外の部分でゲート絶縁層25及び底部絶縁層24が厚みd1を有している。
【0015】
また、ゲート絶縁層25及び底部絶縁層24は、厚みd1を有する部分と厚みd2を有する部分とで異なる材料により構成されている。厚みd1を有する部分(すなわち、中央部50a内のゲート絶縁層25及び底部絶縁層24)は、誘電率ε1を有する絶縁体(本実施形態では、酸化シリコン(以下、SiO
2という))によって構成されている。厚みd2を有する部分(すなわち、外周部50b内のゲート絶縁層25及び底部絶縁層24)は、誘電率ε2を有する絶縁体(本実施形態では、酸化シリコンに窒素原子を添加した絶縁体(以下、SiONという))によって構成されている。誘電率ε2は、誘電率ε1よりも大きい。すなわち、外周部50b内では、中央部50a内よりも、ゲート絶縁層25及び底部絶縁層24の誘電率が大きい。
【0016】
図2、3に示すように、半導体基板12の上面12aには、上部電極70が配置されている。上部電極70は、層間絶縁膜28が設けられていない部分で半導体基板12の上面12aに接している。上部電極70は、層間絶縁膜28によってゲート電極26から絶縁されている。半導体基板12の下面12bには、下部電極72が配置されている。下部電極72は、半導体基板12の下面12bに接している。
【0017】
図1〜3に示すように、半導体基板12の内部には、複数のソース領域30、ボディ領域32、ドリフト領域34、ドレイン領域35が設けられている。
【0018】
各ソース領域30は、n型領域である。
図1〜3に示すように、各ソース領域30は、半導体基板12の上面12aに露出しており、上部電極70にオーミック接触している。また、各ソース領域30は、対応するゲートトレンチ22の側面において、ゲート絶縁層25に接している。各ソース領域30は、対応するゲートトレンチ22の上端部において、ゲート絶縁層25に接している。
【0019】
ボディ領域32は、p型領域である。ボディ領域32は、各ソース領域30に接している。ボディ領域32は、2つのソース領域30に挟まれた各範囲から各ソース領域30の下側まで伸びている。ボディ領域32は、低濃度領域32bと複数の高濃度領域32aを有している。各高濃度領域32aは、低濃度領域32bよりも高いp型不純物濃度を有している。各高濃度領域32aは、対応する2つのソース領域30に挟まれた範囲に配置されている。各高濃度領域32aは、上部電極70にオーミック接触している。低濃度領域32bは、各高濃度領域32aと各ソース領域30の下側に配置されている。低濃度領域32bは、各ゲートトレンチ22の側面において、各ゲート絶縁層25に接している。低濃度領域32bは、各ソース領域30の下側で、各ゲート絶縁層25に接している。
図1に示すように、低濃度領域32bは、素子領域50の外側まで広がっている。ゲートトレンチ22に挟まれた範囲内に位置するボディ領域32の各部は、素子領域50の外側で互いに繋がっている。ボディ領域32の下端(すなわち、低濃度領域32bの下端)は、ゲート電極26の下端よりも上側に配置されている。
【0020】
ドリフト領域34は、n型領域である。ドリフト領域34は、ボディ領域32の下側に配置されており、ボディ領域32によって各ソース領域30から分離されている。ドリフト領域34は、各ゲートトレンチ22の側面において、各ゲート絶縁層25及び各底部絶縁層24に接している。ドリフト領域34は、ボディ領域32の下側で、各ゲート絶縁層25及び各底部絶縁層24に接している。
【0021】
ドレイン領域35は、n型領域である。ドレイン領域35は、ドリフト領域34よりも高いn型不純物濃度を有している。ドレイン領域35は、ドリフト領域34の下側に配置されている。ドレイン領域35は、半導体基板12の下面12bに露出している。ドレイン領域35は、下部電極72にオーミック接触している。
【0022】
図2、3に示すように、ゲート電極26と低濃度領域32bは、ゲート絶縁層25を介して対向している。したがって、ゲート電極26と低濃度領域32bの間に、静電容量が存在する。ゲート電極26と低濃度領域32bとが対向する部分の単位面積あたりの静電容量(以下、単位容量という)は、ゲート絶縁層25の厚みに反比例し、ゲート絶縁層25の誘電率に比例する。単位容量が大きいほど、ゲート電極26の電位を上昇させるときに、低濃度領域32bにチャネルが形成され易い。したがって、単位容量が大きいほど、ゲート閾値(チャネルを形成するために必要な最小のゲート電位)が低くなる。また、単位容量が大きいほど、オン抵抗(MOSFET10がオンしているときの電流経路の抵抗)が小さくなる。上述したように、本実施形態では、ゲート絶縁層25の厚みd1を有する部分(厚みが薄い部分)が誘電率ε1(小さい誘電率)を有しており、ゲート絶縁層25の厚みd2を有する部分(厚みが厚い部分)が誘電率ε2(大きい誘電率)を有している。このため、厚みd1を有する部分と厚みd2を有する部分とで、単位容量の差が小さい。特に、本実施形態では、比d1/ε1が比d2/ε2と略等しくなるように厚みd1、d2及び誘電率ε1、ε2が設定されている。このため、厚みd1を有する部分と厚みd2を有する部分とで、単位容量が略等しい。したがって、厚みd1を有する部分と厚みd2を有する部分とで、MOSFETのゲート閾値及びオン抵抗が略等しい。
【0023】
次に、MOSFET10の動作について説明する。MOSFET10をオンさせる場合には、ゲート電極26の電位を上昇させる。ゲート電極26の電位がゲート閾値を超えると、ゲート絶縁層25に隣接する範囲の低濃度領域32bにチャネルが形成され、MOSFET10に電流が流れ始める。上述したように、本実施形態のMOSFET10では、中央部50a内と外周部50b内とでゲート電極26と低濃度領域32bの間の単位容量が略等しく、その結果、中央部50a内と外周部50b内とでゲート閾値が略等しい。このため、ゲート電極26の電位を上昇させるときに、中央部50aと外周部50bとに略同時にチャネルが形成され、中央部50aと外周部50bに略同時に電流が流れ始める。仮に中央部50aと外周部50bとでチャネルが形成されるタイミングが大きく異なると、一時的に中央部50aと外周部50bのいずれかに偏って電流が流れ、局所的に負荷が高くなる。これに対し、本実施形態のMOSFET10では、チャネルが形成されるタイミングのずれに基づく電流の偏りを抑制することができる。
【0024】
また、上述したように、本実施形態のMOSFET10では、中央部50a内と外周部50b内とで単位容量が略等しく、その結果、中央部50a内と外周部50b内とでオン抵抗が略等しい。したがって、中央部50aと外周部50bとが共にオンしている状態において、中央部50aと外周部50bに略均等に電流が流れる。仮に中央部50aと外周部50bとでオン抵抗が大きく異なると、中央部50aと外周部50bのいずれかに偏って電流が流れ、局所的に負荷が高くなる。これに対し、本実施形態のMOSFET10では、オン抵抗の差に基づく電流の偏りを抑制することができる。
【0025】
その後、ゲート電極26の電位をゲート閾値未満まで低下させると、チャネルが消失し、電流が停止する。すなわち、MOSFET10がオフする。このとき、本実施形態のMOSFET10では、中央部50a内と外周部50b内とでゲート閾値が略等しいので、中央部50a内と外周部50b内とで略同時にチャネルが消失する。このため、本実施形態のMOSFET10では、チャネルが消失するタイミングのずれに基づく電流の偏りを抑制することができる。
【0026】
MOSFET10がオフすると、ボディ領域32からドリフト領域34に空乏層が伸びる。ドリフト領域34が空乏化すると、ドリフト領域34、底部絶縁層24及びゲート絶縁層25に跨って電界が発生する。このとき、ゲート電極26の下端近傍の底部絶縁層24及びゲート絶縁層25に電界が集中する。特に、外周部50b内では中央部50a内よりも電界の集中の度合いが強くなる。つまり、外周部50b内のゲート電極26の下端近傍の底部絶縁層24及びゲート絶縁層25に高い電界が最も生じやすい。これに対し、本実施形態のMOSFET10では、外周部50b内のゲート絶縁層25及び底部絶縁層24が、厚い厚みd2を有するとともに大きい誘電率ε2を有している。ゲート絶縁層25及び底部絶縁層24内では、絶縁層の厚みが厚いほど電界が緩和され、絶縁層の誘電率が大きいほど電界が緩和される。このため、MOSFET10では、外周部50b内のゲート絶縁層25及び底部絶縁層24に高い電界が生じることが抑制される。したがって、MOSFET10は高い耐圧を有する。
【0027】
また、上述した実施形態では、外周部50b内のゲート絶縁層25がSiONにより構成されている。SiONはSiO
2よりも高い線膨張係数を有するので、SiONの近傍で半導体基板12中に熱応力が生じやすい。上述した実施形態のようにSiONをゲート絶縁層25の一部にのみ用いることで、SiONによる半導体基板12への熱応力の影響を抑制することができる。なお、SiONに代えて、誘電率が高い絶縁体として、Al
2O
3やAlONを用いてもよい。
【0028】
次に、MOSFET10のゲート構造の形成方法について説明する。外周部50b内のゲート絶縁層25をSiONにより構成する場合には、以下の方法を用いることができる。まず、複数のゲートトレンチ22を形成する。次に、全てのゲートトレンチ22の内面全体に、SiO
2(底部絶縁層24とゲート絶縁層25の材料)を成膜する。次に、ゲートトレンチ22の内部全体にポリシリコン(ゲート電極26の材料)を充填する。次に、外周部50b内のポリシリコンを除去して、外周部50b内のSiO
2を露出させる。次に、外周部50b内のゲートトレンチ22内(すなわち、SiO
2の表面)に、SiO
2をさらに成膜する。次に、外周部50b内のSiO
2に、窒素をイオン注入する。これによって、外周部50b内にSiONが形成される。次に、外周部50b内のゲートトレンチ22の内部にポリシリコン(ゲート電極26の材料)を充填する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によって半導体基板12の上面を平坦化することで、
図1〜3に示すゲート構造(すなわち、底部絶縁層24、ゲート絶縁層25及びゲート電極26)が完成する。
【0029】
なお、
図4に示すように、底部絶縁層24の厚みをゲート絶縁層25よりも遥かに厚くしてもよい。底部絶縁層24の厚みはゲート閾値やオン抵抗にほとんど影響しないので、底部絶縁層24の厚みを厚くしても問題はない。
図4に示すように底部絶縁層24を厚くする場合には、中央部50a内と外周部50b内とで底部絶縁層24の厚みを略等しくしてもよいし、中央部50a内と外周部50b内とで底部絶縁層24の誘電率を等しくしてもよい。また、
図5に示すように、各底部絶縁層24(より詳細には、ゲートトレンチ22の底面)に接するように、p型の底部領域36を設けてもよい。各底部領域36の周囲は、ドリフト領域34に囲まれている。ドリフト領域34によって、各底部領域36は互いから分離されている。各底部領域36は、ドリフト領域34によってボディ領域32から分離されていてもよいし、図示しない位置で各底部領域36がボディ領域32に接続されていてもよい。
図5の構成によれば、MOSFETがオフするときに各底部領域36からドリフト領域34に空乏層が伸びる。各底部領域36から伸びる空乏層によって、ゲート絶縁層25に印加される電界を緩和することができる。これによって、MOSFETの耐圧をさらに向上させることができる。
【0030】
また、上述した実施形態では、外周部50b内のゲート絶縁層25全体が厚みd2及び誘電率ε2を有していた。しかしながら、
図6、7に示すように、外周部50b内の一部でのみ、ゲート絶縁層25が厚みd2及び誘電率ε2を有していてもよい。
図6では、各ゲートトレンチ22a内の全体でゲート絶縁層25が厚みd1及び誘電率ε1を有する一方で、最も外周側の2つのゲートトレンチ22b内の全体でゲート絶縁層25が厚みd2及び誘電率ε2を有している。この構成によれば、素子領域50のx方向の端部において、ゲート絶縁層25への電界集中を抑制することができる。
図7では、ゲートトレンチ22a及び22bのそれぞれの長手方向(y方向)の両端部でゲート絶縁層25が厚みd2及び誘電率ε2を有する一方で、ゲートトレンチ22a及び22bのそれぞれの長手方向の両端部以外の部分でゲート絶縁層25が厚みd1及び誘電率ε1を有している。この構成によれば、素子領域50のy方向の端部において、ゲート絶縁層25への電界集中を抑制することができる。
【0031】
また、上述した実施形態では、ゲートトレンチ22のそれぞれが、y方向に沿って直線状に伸びていた。すなわち、ゲートトレンチ22のそれぞれの全体が、y方向に直線状に伸びる直線部により構成されていた。しかしながら、
図8に示すように、y方向に直線状に伸びるゲートトレンチ22yが、x方向に直線状に伸びるゲートトレンチ22xによって互いに接続されていてもよい。この構成では、ゲートトレンチ22x内のゲート絶縁層25がゲートトレンチ22y内のゲート絶縁層25と繋がっており、ゲートトレンチ22x内の底部絶縁層24がゲートトレンチ22y内の底部絶縁層24と繋がっており、ゲートトレンチ22x内のゲート電極26がゲートトレンチ22y内のゲート電極26と繋がっている構成を採用することができる。また、図示していないが、ゲートトレンチ22x及び22yによって囲まれた矩形の半導体領域内に、ソース領域とボディ領域を形成することができる。この構成でも、外周部50b内で中央部50a内よりもゲート絶縁層25を厚くするとともにゲート絶縁層25の誘電率を大きくすることで、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、上述した実施形態では、ソース領域30がゲートトレンチ22毎に設けられていた。しかしながら、1つのソース領域30が、複数のゲートトレンチ22においてゲート絶縁層25に接していてもよい。
【0033】
また、上述した実施形態では、1つのボディ領域32が複数のゲートトレンチ22においてゲート絶縁層25に接していた。しかしながら、ボディ領域32が、複数に分割されていてもよい。例えば、
図8に示す格子状のゲートトレンチを備える構成では、ゲートトレンチ22x及び22yに囲まれた各半導体領域内にボディ領域32を設けることができる。この場合、ゲートトレンチ22x及び22yに囲まれた半導体領域毎に、ボディ領域32が分離されていてもよい。
【0034】
また、
図9に示すように、素子領域50が、中央部50aと、外周部50bと、これらの間の中間部50cを有しており、中央部50a、中間部50c及び外周部50b毎にゲート絶縁層25の厚みと誘電率が異なっていてもよい。この場合、中央部50a、中間部50c及び外周部50bのそれぞれのゲート絶縁層25の厚みを厚みd1、dc、d2とし、中央部50a、中間部50c及び外周部50bのそれぞれのゲート絶縁層25の誘電率をε1、εc、ε2としたときに、d1<dc<d2及びε1<εc<ε2の関係が満たされていてもよい。すなわち、中央部50a(厚みd1を有する部分)から外周部50b(厚みd2を有する部分)に向かうにしたがって、ゲート絶縁層25の厚みが徐々に厚くなり、ゲート絶縁層25の誘電率が徐々に大きくなっていてもよい。この構成によれば、素子領域50内において、電界集中をより抑制することができると共に、各領域の特性(ゲート閾値、オン抵抗等)をより均一化することができる。また、
図9では、ゲート絶縁層25の厚みと誘電率が三段階で変化しているが、ゲート絶縁層25の厚みと誘電率を四段階以上で変化させてもよい。
【0035】
また、上述した実施形態では、nチャネル型のMOSFETについて説明したが、pチャネル型のMOSFETに本明細書に開示の技術を適用してもよい。実施形態のMOSFET10の各領域のn型とp型を反転させることで、pチャネル型のMOSFETを得ることができる。また、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)に本明細書に開示の技術を適用してもよい。実施形態のMOSFET10のドレイン領域35の代わりにp型のコレクタ領域を設けることで、IGBTを得ることができる。また、上述した実施形態では、半導体基板12がSiCにより構成されていたが、半導体基板12が他の半導体材料(例えば、他の化合物半導体材料、または、Si等)により構成されていてもよい。
【0036】
上述した実施形態の構成要素と、請求項の構成要素との関係について説明する。実施形態の複数のソース領域30は、請求項の第1領域の一例である。実施形態のドリフト領域34は、請求項の第2領域の一例である。実施形態のゲートトレンチ22a、22b、22xは、請求項の直線部の一例である。実施形態のゲートトレンチ22bは、最も端に位置する2つの直線部の一例である。
【0037】
本明細書が開示する技術要素について、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
【0038】
本明細書が開示する一例のスイッチング素子においては、複数のゲートトレンチが、一方向に直線状に伸びる複数の直線部を有していてもよい。前記複数の直線部が、前記一方向に直交する方向に間隔を開けて配置されていてもよい。
【0039】
上述した複数の直線部を有するスイッチング素子においては、前記複数の直線部のうちの最も端に位置する2つの直線部の内部のゲート絶縁層が、その2つの直線部の内部の全体で、第2誘電率を有するとともに第2の厚みを有していてもよい。
【0040】
この構造によれば、最も端に位置する2つの直線部における電界集中を抑制することができる。
【0041】
上述した複数の直線部を有するスイッチング素子においては、前記複数の直線部の長手方向の端部に位置するゲート絶縁層が、第2誘電率を有するとともに第2の厚みを有していてもよい。
【0042】
この構成によれば、複数の直線部のそれぞれの長手方向の端部における電界集中を抑制することができる。
【0043】
本明細書が開示する一例のスイッチング素子においては、ゲート絶縁層の厚みが、第1の厚みを有する部分から第2の厚みを有する部分に向かうにしたがって徐々に厚くなり、ゲート絶縁層の誘電率が、第1の厚みを有する部分から第2の厚みを有する部分に向かうにしたがって徐々に大きくなっていてもよい。
【0044】
この構成によれば、素子領域内において特性をより均一化することができる。
【0045】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。