(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態における電力変換装置(DC/DCコンバータ)100の基本構成を示す。電力変換装置100は、直流電源10、リアクトル12、第1スイッチング素子14、第2スイッチング素子16及びコンデンサ18を含んで構成される。
【0014】
直流電源10の正極にリアクトル12の一端が接続され、リアクトル12の他端には第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16の接続点Cが接続される。第1スイッチング素子14の他端は負荷102への出力端(OUT+)に接続され、第2スイッチング素子16の他端は直流電源10の負極(OUT−)に接続される。また、出力端と直流電源10の負極との間には電圧を平滑化させるためにコンデンサ18が接続される。
【0015】
なお、本実施の形態では、第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16はNPNトランジスタとする。第1スイッチング素子14は、出力端側がコレクタ、リアクトル12側がエミッタとされる。第2スイッチング素子16は、リアクトル12側がコレクタ、直流電源10の負極側がエミッタとされる。また、第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16のそれぞれに並列に環流ダイオードが接続される。
【0016】
電力変換装置100において、第1スイッチング素子14をオフ状態及び第2スイッチング素子16をオン状態とすることで、リアクトル12を介して直流電源10の正極から負極に向けたリアクトル電流i
Lが流れる。これによって、リアクトル12にエネルギーが蓄積される。次に、第1スイッチング素子14をオン状態及び第2スイッチング素子16をオフ状態とすることで、リアクトル電流i
Lが遮断され、リアクトル12の端部に直流電源10の電圧(電池電圧v
b)よりも高い電圧が生じ、これに応じた電流が出力端に向けて流れてコンデンサ18が充電されてコンデンサ電圧v
cが上昇する。このコンデンサ電圧v
cが負荷102に印加される。電力変換装置100の出力電圧、すなわちコンデンサ電圧v
cは、第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16のオン期間(オン時間)の比であるデューティ比によって決定される。
【0017】
電力変換装置100は、制御装置104によって制御される。本実施の形態では、電力変換装置100の現在の状態値が制御装置104へ入力され、制御装置104は入力された状態値に応じて電力変換装置100を制御する。状態値として、直流電源10の電圧v
b、リアクトル12を流れるリアクトル電流i
L、コンデンサ18の両端のコンデンサ電圧v
c、負荷であるモータの電流i
u,i
w及びモータの回転角θが制御装置104へ入力される。制御装置104は、モータの電流i
u,i
w及びモータの回転角θから電力変換装置100の出力電流i
mを算出する。
【0018】
図2は、制御装置104の構成を示す図である。制御装置104は、演算器20、オブザーバ22、モデル予測制御器(MPC)24及びリミッタ26を含んで構成される。
【0019】
演算器20は、電力変換装置100の制御の目標となるコンデンサ電圧指令値v
c*及びコンデンサ18の現在の電圧値であるコンデンサ電圧v
cを受けて、リアクトル12を流れる電流の制御の目標値であるリアクトル電流指令値i
L*を生成して出力する。リアクトル電流指令値i
L*は、MPC24に入力される。
【0020】
オブザーバ22は、コンデンサ電圧指令値v
c*、コンデンサ電圧v
c、リアクトル電流i
L、電源電圧v
b及び出力電流i
mを受けて、これらの値から現在の誤差デューティ比Δd(=Δd(k))の推定値を算出して出力する。なお、以下において、図中の推定値には上付の波線(チルダ)付して示す。
【0021】
ここで、電力変換装置100の状態方程式は数式(1)にて表される。ここで、コンデンサ電圧v
c、リアクトル電流i
L、電源電圧v
b、出力電流(負荷電流)i
m、リアクトル12の値(インダクタンス)L、コンデンサ18の値(キャパシタンス)C、リアクトル12の抵抗値R
L及びデューティ比dである。
【数1】
【0022】
数式(1)にデッドタイムを考慮した誤差デューティ比Δdを組み込むと数式(2)に示す状態方程式となる。
【数2】
【0023】
数式(2)を双1次変換を用いて離散化させると数式(3)のように示される。
【数3】
【0024】
数式(3)に基づいて、コンデンサ18の電圧の予測値であるコンデンサ電圧予測値(チルダ)v
c〜(k)、リアクトル12の電流の予測値であるリアクトル電流予測値(チルダ)i
L〜(k)及び誤差デューティ比の予測値である誤差デューティ比予測値(チルダ)Δd
〜(k)は数式(4)のように表すことができる。ここで、制御周期Tであり、h
1〜h
3は比例定数である。
【数4】
【0025】
オブザーバ22は、入力されたコンデンサ電圧指令値v
c*、コンデンサ電圧v
c、リアクトル電流i
L、電源電圧v
b及び出力電流i
mを数式(4)の代入することによって、現在の誤差デューティ比Δd(=Δd(k))の推定値を算出する。なお、推定される誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))は、数式(4)におけるkをk−1に読み替えて処理することによって算出することができる。算出された誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))は、MPC24に入力される。
【0026】
なお、kは、制御回数を示す。例えば、d(k)は、k回目の制御におけるデューティ比dを表し、d(k+1)は、k+1回目の制御におけるデューティ比dを表す。他の状態量についても同様である。
【0027】
MPC24は、電力変換装置100の状態方程式を第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16のデューティ比dに対する二次方程式に変形し、当該二次方程式にオブザーバ22で算出された誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))を適用することでデューティ比dを算出する。制御装置104は、算出されたデューティ比dを用いて電力変換装置100を制御する。
【0028】
数式(3)の左辺の2行目i
L(k+1)をi
L^*(k)、右辺のΔd(k)をΔd
〜(k)(チルダ)に置き換えて、デューティ比d(k)に対する二次方程式に変更すると数式(5)となる。
【数5】
【0029】
数式(5)の二次方程式をデューティ比d(k+1)に対して解くと、数式(6)で表される。
【数6】
【0030】
MPC24は、数式(6)に、電力変換装置100の各状態量及びオブザーバ22で算出された誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))を代入することによって制御に用いるデューティ比d(k+1)を算出する。
【0031】
リミッタ26は、MPC24から出力されたデューティ比d(k+1)の入力をうけ、入力されたデューティ比d(k+1)が最適デューティ比範囲DR内になるように制限する。
【0032】
図3は、電力変換装置100からの出力Pとデューティ比dとの関係を示す。
図3に示すように、出力Pを最大出力Pmaxとするためにはデューティ比dを電源電圧v
b/(2×コンデンサ電圧v
c)となるように電力変換装置100を制御すればよい。一方、デューティ比dが電源電圧v
b/(2×コンデンサ電圧v
c)を下回るように電力変換装置100を制御すると、出力Pが低下してしまう。そこで、デューティ比dを電源電圧v
b/(2×コンデンサ電圧v
c)を下限とした範囲となるように電力変換装置100を制御することが好適である。なお、最適デューティ比範囲DRは、必ずしも電源電圧v
b/(2×コンデンサ電圧v
c)を下限とした範囲に設定する必要はなく、例えば、
図4に示すように、最大出力Pmaxよりも小さい出力値Paを出力上限としたときのデューティ比d
Lをその下限に設定してもよい。さらに、出力値Pbを回生上限としたときのデューティ比d
Hを最適デューティ比範囲DRの上限に設定してもよい。
【0033】
リミッタ26は、MPC24からのデューティ比d(k+1)が設定された最適デューティ比範囲DR内の値であれば、MPC24から出力されたデューティ比d(k+1)をそのまま出力する。また、リミッタ26は、MPC24からのデューティ比d(k+1)が設定された最適デューティ比範囲DR外の値であれば、MPC24から出力されたデューティ比d(k+1)が最適デューティ比範囲DR内に収まるように制限して出力する。
【0034】
制御装置104は、リミッタ26から出力されたデューティ比dとなるように第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16のオン期間を制御する。これにより、電力変換装置100は、目標とされるコンデンサ電圧指令値v
c*及びリアクトル電流指令値i
L*となるようにコンデンサ電圧v
c及びリアクトル電流i
Lが制御される。
【0035】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、リアクトル12を実際に流れるリアクトル電流i
Lを計測し、そのリアクトル電流i
Lに基づいてデューティ比dを制御する制御装置104の構成について説明した。第2の実施の形態では、電力変換装置200は、
図6に示すように、リアクトル12を流れるリアクトル電流i
Lを計測するためのセンサを備えない。その代わりに、
図6に示すように、制御装置104aに含まれるオブザーバ22aでは、誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))に加えて、リアクトル12を流れる電流の推定値であるリアクトル電流推定値i
L〜(チルダ)及びコンデンサ18の電圧の推定値であるコンデンサ電圧推定値v
c〜(チルダ)を算出して出力する。
【0036】
オブザーバ22aは、コンデンサ電圧指令値v
c*、コンデンサ電圧v
c、電源電圧v
b及び出力電流i
mを数式(4)の代入することによって、現在の誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))を算出する。なお、誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))は、数式(4)におけるkをk−1に読み替えて処理することによって算出することができる。算出された誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))は、MPC24aに入力される。
【0037】
MPC24aは、電力変換装置200の状態方程式を第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16のデューティ比dに対する二次方程式に変形し、当該二次方程式にオブザーバ22aで算出された誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))を適用することでデューティ比dを算出する。制御装置104aは、算出されたデューティ比dを用いて電力変換装置200を制御する。MPC24aでの処理は、第1の実施の形態におけるMPC24とほぼ同様であるが、実際のリアクトル電流i
L及びコンデンサ電圧v
cの代わりに、オブザーバ22aで求められたリアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))を用いる点で異なる。
【0038】
数式(3)の左辺の2行目i
L(k+1)をi
L^*(k)、右辺のΔd(k)をΔd
〜(k)(チルダ)、i
L(k)をi
L〜(k)(チルダ)、v
c(k)をv
c〜(k)(チルダ)に置き換えて、デューティ比d(k)に対する二次方程式に変更すると数式(7)となる。
【数7】
【0039】
数式(7)の二次方程式をデューティ比d(k+1)に対して解くと、数式(8)で表される。
【数8】
【0040】
MPC24aは、数式(8)に、電力変換装置200の各状態量及びオブザーバ22aで算出された誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))を代入することによって制御に用いるデューティ比d(k+1)を算出する。
【0041】
このようにして、第2の実施の形態における制御装置104aによって、リミッタ26から出力されたデューティ比dとなるように第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16のオン期間が制御される。これにより、電力変換装置200は、目標とされるリアクトル電流指令値i
L*となるように制御される。
【0042】
図7(a)〜
図7(c)は、それぞれ第2の実施の形態における制御装置104aによって電力変換装置200を制御したときのコンデンサ電圧指令値v
c*、コンデンサ電圧v
c及び電源電圧v
bを示す。
図8(a)〜
図8(c)は、それぞれ第2の実施の形態における制御装置104aによって電力変換装置200を制御したときのリアクトル電流指令値i
L*、リアクトル電流i
L及び出力電流i
mを示す。また、
図9は、デューティ比dの時間変化を示す。
【0043】
なお、
図7、
図8及び
図9では、横軸の時間は同じ時間範囲を示している。また、
図7(a)〜
図7(c)では、縦軸の電流値は同じ電圧範囲を示している。
図8(a)〜
図8(c)では、縦軸の電流値は同じ電流範囲を示している。
【0044】
本実施の形態における制御装置104aによって、
図7〜
図9に示すように、電力変換装置200は目標とされるコンデンサ電圧指令値v
c*及びリアクトル電流指令値i
L*にコンデンサ電圧v
c及びリアクトル電流i
Lが追従するように制御できる。
【0045】
なお、オブザーバ22aにおいて、コンデンサ18の電圧の推定値であるコンデンサ電圧推定値v
c〜(v
c〜(k))(チルダ)を用いずに、コンデンサ18の電圧の実測値であるコンデンサ電圧v
cを用いてもよい。この場合、数式(8)においてコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))をコンデンサ電圧v
c(k)に置き換えて演算を行えばよい。
【0046】
[第3の実施の形態]
第1及び第2の実施の形態では、リアクトル12を実際に流れるリアクトル電流の目標値であるリアクトル電流指令値i
L*に基づいて制御を行ったが、コンデンサ電圧の目標値であるコンデンサ電圧指令値v
c*に基づいて制御を行ってもよい。
図10に示すように、MPC24bでは、コンデンサ電圧指令値v
c*に基づいてデューティ比d(k+1)を求める処理を行う。
【0047】
オブザーバ22aは、第2の実施の形態と同様に、コンデンサ電圧指令値v
c*、コンデンサ電圧v
c、電源電圧v
b及び出力電流i
mを数式(4)の代入することによって、現在の誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))を算出する。なお、誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))は、数式(4)におけるkをk−1に読み替えて処理することによって算出することができる。算出された誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))は、MPC24bに入力される。
【0048】
MPC24bは、電力変換装置200の状態方程式を第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16のデューティ比dに対する二次方程式に変形し、当該二次方程式にオブザーバ22aで算出された誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))を適用することでデューティ比dを算出する。制御装置104aは、算出されたデューティ比dを用いて電力変換装置200を制御する。
【0049】
MPC24bでは、数式(3)を二次方程式に変更して、当該二次方程式を解くことによってデューティ比d(k+1)を算出する。数式(3)の左辺の1行目v
c(k+1)をv
c^*(k)、右辺のΔd(k)をΔd
〜(k)(チルダ)、i
L(k)をi
L〜(k)(チルダ)、v
c(k)をv
c〜(k)(チルダ)に置き換えて、デューティ比d(k)に対する二次方程式に変更すると数式(9)となる。
【数9】
【0050】
数式(9)の二次方程式をデューティ比d(k+1)に対して解くと、数式(10)で表される。
【数10】
【0051】
MPC24bは、数式(10)に、電力変換装置200の各状態量及びオブザーバ22aで算出された誤差デューティ比推定値Δd
〜(=Δd
〜(k)(チルダ))、リアクトル電流推定値i
L〜(=i
L〜(k)(チルダ))及びコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))を代入することによって制御に用いるデューティ比d(k+1)を算出する。
【0052】
このようにして、第3の実施の形態における制御装置104aによって、リミッタ26から出力されたデューティ比dとなるように第1スイッチング素子14及び第2スイッチング素子16のオン期間が制御される。これにより、電力変換装置200は、目標とされるコンデンサ電圧指令値v
c*となるように制御される。
【0053】
図11(a)〜
図11(c)は、それぞれ第2の実施の形態における制御装置104aによって電力変換装置200を制御したときのコンデンサ電圧指令値v
c*、コンデンサ電圧v
c及び電源電圧v
bを示す。
図12(a)〜
図12(b)は、それぞれ第2の実施の形態における制御装置104aによって電力変換装置200を制御したときのリアクトル電流i
L及び出力電流i
mを示す。また、
図13は、デューティ比dの時間変化を示す。
【0054】
なお、
図11、
図12及び
図13では、横軸の時間は同じ時間範囲を示している。また、
図11(a)〜
図11(c)では、縦軸の電流値は同じ電圧範囲を示している。
図12(a)〜
図12(b)では、縦軸の電流値は同じ電流範囲を示している。
【0055】
本実施の形態における制御装置104aによって、
図11〜
図13に示すように、電力変換装置200は目標とされるコンデンサ電圧指令値v
c*にコンデンサ電圧v
cが追従するように制御できる。
【0056】
なお、オブザーバ22aにおいて、コンデンサ18の電圧の推定値であるコンデンサ電圧推定値v
c〜(v
c〜(k))(チルダ)を用いずに、コンデンサ18の電圧の実測値であるコンデンサ電圧v
cを用いてもよい。この場合、数式(10)においてコンデンサ電圧推定値v
c〜(=v
c〜(k)(チルダ))をコンデンサ電圧v
c(k)に置き換えて演算を行えばよい。
【0057】
[変形例]
電力変換装置100,200において、リアクトル電流に応じてリアクトル12の値L(インダクタンス)は変化する。そこで、第1〜第3の実施の形態における制御において、リアクトル12に流れるリアクトル電流i
L又は流れると予想されるリアクトル電流推定値(チルダ)i
L〜に応じてリアクトル12の値L(インダクタンス)を変更することが好適である。
【0058】
図14は、電流値に対するリアクトル12の値L(インダクタンス)の変化を示す図である。
図14において、横軸の電流値は最大電流を1として正規化し、縦軸のリアクトル12の値L(インダクタンス)は電流値が0のときを1として正規化して示している。
【0059】
第1〜第3の実施の形態において、制御に用いられるリアクトル電流i
L又は予想されるリアクトル電流推定値(チルダ)i
L〜に応じたリアクトル12の値L(インダクタンス)を各数式に適用することによって、電力変換装置100,200に対してより適切な制御を行うことができる。
【0060】
なお、上記実施の形態では、同一次元オブザーバとしたが、最小次元オブザーバを適用してもよい。また、双1次変換を利用して状態方程式を離散化したが、これに限定されるものではなく、0次ホールド、前進差分、後退差分を利用して離散化させてもよい。