特許第6669740号(P6669740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6669740
(24)【登録日】2020年3月2日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】缶を広げるコンベアシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20200309BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20200309BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   B65G47/30 D
   B65G47/52 A
   B65G54/02
【請求項の数】22
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-522341(P2017-522341)
(86)(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公表番号】特表2017-537040(P2017-537040A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】US2015053554
(87)【国際公開番号】WO2016069190
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年8月31日
(31)【優先権主張番号】62/073,580
(32)【優先日】2014年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ラーガン,ブライアント ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ラニョー,ジェイソン エム.
(72)【発明者】
【氏名】クロンヴィチ,ジェイムズ ティー.
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−024558(JP,A)
【文献】 特開平01−172126(JP,A)
【文献】 特開平08−165017(JP,A)
【文献】 特開昭62−285820(JP,A)
【文献】 特開2012−051730(JP,A)
【文献】 特開2004−083229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/30
B65G 47/52
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアシステムにおいて、
搬送方向に多数の導電性物品を搬送する第1コンベアであって、前記多数の導電性物品が第1幅に制限された第1コンベアと;
前記第1コンベアから前記多数の導電性物品を受ける連続搬送面であって、前記第1コンベアから前記搬送方向に延在する連続搬送面と;
前記連続搬送面上で前記第1幅からより広い第2幅へ前記多数の導電性物品を広げる手段であって、前記導電性物品が、前記第1のコンベア上で搬送されている前記多数の導電性物品の背圧により押されて前記搬送方向に前進する手段と;
前記連続搬送面から前記第2幅へ広げた前記多数の導電性物品を受ける第2コンベアと;
を具え、
前記広げる手段が、前記第1コンベア近くの上流側端部と前記第2コンベアにより近い下流側端部との間を前記連続搬送面に沿って移動する電磁波を生成するように構成されたリニアモータ固定子を具え、
前記電磁波が、当該電磁波と作用する場を前記導電性物品に作る渦電流を誘発し、前記導電性物品に対して力を生成して、前記多数の導電性物品が前記連続搬送面の幅にわたって広がり且つ前記第2コンベアに向かって進むにつれて、前記導電性物品を前記連続搬送面に沿って押し出すことを特徴とするコンベアシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、
前記広げる手段が更に、前記連続搬送面の幅にわたって間隔を開けて配置され、前記第1コンベア近くの第1幅から前記第2コンベアにより近い第2幅へと広がっているサイドレール対を具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、
前記広げる手段が更に、前記固定子の方向を変え、前記連続搬送面の幅にわたって前記電磁波を往復させる、前記リニアモータ固定子に連結された回転駆動装置を具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のコンベアシステムが更に、前記連続搬送面の幅にわたって、間隔を開けて配置されて前記第1コンベア近くの上流側端部から前記第2コンベアにより近い下流側端部に延在するサイドレール対を具え、前記サイドレール対の方向が、前記リニアモータ固定子の方向によって変わることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンベアシステムにおいて、前記サイドレール対が前記回転駆動装置に機械的に連結されていることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項6】
請求項4に記載のコンベアシステムにおいて、前記サイドレール対が前記回転駆動装置に磁気的に連結されるとともに、前記方向が変化すると前記連続搬送面に乗るローラを有することを特徴とするコンベアシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、
前記広げる手段が更に、前記多数の導電性物品が前記連続搬送面の幅にわたって広がるとき、前記搬送方向に対して横向きに前記連続搬送面を往復移動させ、前記連続搬送面の幅にわたって前記多数の導電性物品を広げる駆動装置を具えることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンベアシステムにおいて、前記連続搬送面がデッドプレート上に設けられていることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のコンベアシステムにおいて、前記連続搬送面が前記搬送方向に対して横向きに往復移動可能なコンベアベルト上に設けられていることを特徴とするコンベアシステム
【請求項10】
請求項1に記載のコンベアシステムにおいて、
前記リニアモータ固定子が、前記第1コンベア近くの上流側端部から前記第2コンベアにより近い下流側端部に、前記連続搬送面に沿って広がる束線を有する電磁束パターンを生成するように構成された複数の非線形ポールを有し;
前記電磁束パターンが、当該電磁束パターンと作用する場を前記導電性物品に作る渦電流を誘発し、前記束線の方向に前記導電性物品に対して力を生成して、前記連続搬送面の幅にわたって前記導電性物品を広げながら、前記導電性物品を下流側コンベアに向けて進めることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のコンベアシステムが更に、前記連続搬送面の反対側に沿ってそれぞれが配置された曲がったサイドレール対と、前記第2コンベアに向かって前記サイドレールを選択的に移動させて、取り残されている前記導電性物品を前記連続搬送面から前記第2コンベア上へと押し出す、前記サイドレール対に連結されたアクチュエータとを具えていることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のコンベアシステムが更に、前記連続搬送面の反対側に沿ってそれぞれ配置された、広がったサイドレール対を具えており、前記連続搬送面が、前記第1コンベアにより近い狭い端部から、前記第2コンベアにより近いより広い端部へと広がっていることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項13】
コンベアへ、またはコンベアから導電性物品を移動させるための搬送デバイスにおいて、
第1端部から第2端部へ搬送方向に縦に延在し、第1側部から第2側部へ幅方向に横に延在する上面を有するデッドプレートと;
前記デッドプレート上面の下に配置され、前記搬送方向に対して横方向に移動して前記上面を通る電磁波を生成し、前記上面に支持されている導電性物品に渦電流を誘発するリニアモータ固定子と;
を具え、
前記渦電流が、前記電磁波と作用する場を前記導電性物品に作り、前記デッドプレートの前記上面の幅にわたって前記導電性物品を導く力を生成すること特徴とする搬送デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の搬送デバイスが更に、前記デッドプレートに対する前記固定子の方向を変える、前記リニアモータ固定子またはデッドプレートに連結された駆動装置を具えることを特徴とする搬送デバイス。
【請求項15】
請求項13に記載の搬送デバイスにおいて、前記リニアモータ固定子が、前記デッドプレートの前記第1端部から前記第2端部へと広がる方向に束線を有する電磁束パターンを生成するように構成された複数の非線形ポールを具えることを特徴とする搬送デバイス。
【請求項16】
缶を広げる方法において、
第1コンベア上で、第1幅に制限された多数のアルミ缶を前記第1幅と直交する搬送方向に搬送するステップと;
前記第1コンベアから連続搬送面に前記多数のアルミ缶を送り込むステップと;
より広い第2幅を有する第2コンベア上に、前記連続搬送面から前記多数のアルミ缶を受けるステップと;
前記多数のアルミ缶が前記第2コンベアに向けて進むにつれて、前記連続搬送面上の多数のアルミ缶を電磁波にさらして前記搬送方向と直交する力を形成し、前記第1幅から前記第2幅へ前記アルミ缶を広げるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、一端が開いたアルミ缶を、その開口端を下にして搬送するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、前記連続搬送面上の多数のアルミ缶を、固定子から前記連続搬送面上の多数のアルミ缶までのリニア誘導により、前記電磁波にさらすステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記固定子を前後に往復させて広がる電磁場を生成し、前記多数のアルミ缶を広げるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法が、広がる方向に複数の固定子を配置して広がる電磁波を生成し、前記多数のアルミ缶を広げるステップを具えること特徴とする方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法が更に、前記第1幅よりも大きな第2幅を有する第2コンベア上に、前記連続搬送面から前記広がった多数のアルミ缶を受けるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法が更に、前記第1コンベア上のアルミ缶からの背圧により、広がるサイドレール対間で前記多数のアルミ缶を広げるステップを具えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に動力駆動コンベアに関し、特に、搬送されてきた缶を2つのコンベア間の搬送デバイス上である幅からより広い幅へと広げるようにしたコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料工場では、新しく形成された軽量アルミ缶は、コンベアベルト上を缶洗浄機へと搬送され、流体やごみを缶から洗い流す。まだトップがない缶は、カットエッジ、開放端を下にして搬送される。缶洗浄機への送り込みコンベアベルトは、缶形成機から缶を搬送する送り出しコンベアベルトよりも広い。幅が広いベルトは幅がせまいベルトよりも低速で動作して、缶を幅が広いベルトにためるようにする。上流側の多数の缶の背圧によって、低速で動いている幅が広いベルト上の缶がより広い幅にわたって広がる。しかし、これらの缶が広がるにつれ、その背圧によっていくつかの缶が横転する。また、ベルトの搬送面の継ぎ目やその他の途切れが缶の細い底縁をとらえ、缶を転倒させる。さらに、背圧が原因で缶が使用不可になるほど恒久的に変形することもある。デッドプレートを使ってあるベルトから他のベルトへ缶を移動させると、背圧がない状態で缶がデッドプレート上に取り残される可能性がある。横転した缶をもどし、ダメージのある缶を取り除き、取り残された缶をデッドプレートから広いコンベアベルトへと移動させるには、人間の介入が必要となる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の特徴を具体化しているコンベアシステムの1つの態様は、第1幅に制限された多数の導電性物品を搬送する第1コンベアから当該多数の物品を受け取る連続搬送面を具える。広げる手段が、連続搬送面上で第1幅からより広い第2幅へ多数の導電性物品を広げる。第2コンベアは、連続搬送面から第2幅へ広がった多数の導電性物品を受ける。
【0004】
本発明の別の態様において、コンベアへ、または、コンベアから導電性物品を搬送する本発明の特徴を具体化する搬送デバイスは、第1端部から第2端部へ搬送方向に縦方向に延在し、第1側部から第2側部へ横方向の幅に延在する上面を有するデッドプレートを具える。デッドプレートの上面の下に配置されたリニアモータの固定子が電磁波を生成し、これが上面を通り抜けて、上面に支持されている導電性物品に渦電流を誘導する。この渦電流が電磁波と相互作用する導電性物品に場を作り、デッドプレート上面にわたって導電性物品を導く力を生成する。
【0005】
本発明のまた別の態様においては、缶を広げる方法であり、この方法(a)第1コンベアの第1幅に制限された多数の導電性物品を搬送するステップと;(b)連続搬送面に第1コンベアから多数の導電性物品を送り込むステップと;(c)連続搬送面上で第1幅からより広い第2幅へと多数の導電性物品を広げるステップと、を具える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の特徴を具体化する搬送コンベアシステムの斜視図であって、リニア誘導によって缶をまとめて並べている。
図2図2は、缶を数回に分けて並べる動作をする、図1に示す搬送コンベアシステムの斜視図である。
図3図3は、デッドプレートの幅にわたって反対方向へと進む電磁波を生み出すリニアモータ固定子を有する図1に示す搬送コンベアシステムの斜視図である。
図4図4は、リニアモータ固定子を有する図1に示す搬送コンベアシステムの平面図であり、固定子のいくつかは搬送方向と一致する方向に向けられ、その他は搬送方向を横切る方向に向けられている。
図5図5A−5Cは、図3または図4に示す搬送コンベアの斜視図であって、デッドプレートの上にアルミ缶を広げる工程を示している。
図6図6は、図4に示す搬送コンベアシステムの平面図であるが、広がる方向にアルミ缶を向かわせるよう設計したリニア固定子を有している。
図7図7は、図6に示す湾曲したリニアモータ固定子のコイル形状を示す斜視図である。図面が明瞭になるよう巻き線は取り除かれている。
図8図8Aおよび8Bは、本発明の特徴を具体化している搬送コンベアシステムの他の態様を示す斜視図であり、定位の広がったサイドレールを含み、缶が広がる様子を示す。
図9図9は、図8Aおよび8Bに示す搬送コンベアシステムの斜視図であり、広がったサイドレールと、細長い搬送プレートの長さに沿って多数のリニアモータ固定子とを有している。
図10図10は、図8Aまたは図9に示す搬送コンベアシステムの別の態様を示す斜視図であるが、搬送プレートに沿って旋回可能な一対のサイドレールを有している。
図11図11は、本発明の特徴を具体化しているモータ旋回リニアモータ固定子と、搬送コンベアで使用可能なサイドレール対を拡大して示す斜視図である。
図12図12Aおよび図12Bは缶の広がりを示しており、図11に示す旋回するリニアモータ固定子を使用した搬送コンベアの斜視図である。
図13図13は、本発明の特徴を具体化している搬送コンベアシステムの搬送部を示す斜視図であって、リニアモータ固定子とともに旋回する磁気旋回レールを具える。
図14図14は、図13に示す搬送部の斜視図である。図面が明瞭になるようデッドプレートは取り除かれている。
図15図15は、本発明の特徴を具体化している搬送コンベアシステムの別の態様を示す斜視図であって、横に往復運動する搬送プレートを具えている。
図16図16は、本発明の特徴を具体化している搬送コンベアシステムのその他の態様の斜視図であって、搬送方向に缶を進める搬送コンベアベルトと、ベルトの搬送面の下にリニアモータ固定子とを具えている。
図17図17は、本発明の特徴を具体化している搬送コンベアシステムの別の態様の斜視図であって、搬送方向と直交して進む搬送コンベアベルトを具えており、搬送コンベアシステムの幅にわたって缶を広げる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特徴を具体化している搬送システムの1態様が図1に示されている。コンベアシステム20は、この実施例においては搬送ベルトである上流側コンベア22を有しており、搬送方向26に多数のアルミ缶24を搬送デバイス28へ搬送する。図1の搬送デバイス28はデッドプレートであって、連続する上側搬送面30を有し、上流側コンベア22と下流側コンベア34との間の間隙31に配置される。搬送デバイスはまた、デッドプレート28に埋め込まれた、またはそのちょうど下に取付けられたリニア誘導モータ(LIM)固定子32を具える。固定子32は、搬送方向26にデッドプレート28を通って移動する電磁波を生成する。電磁波は導電性缶24に渦電流を誘発し、この渦電流がLIMにおける固定子の1次側に対して2次側としてはたらく。渦電流は反応電磁場をつくる。レンツの法則により固定子場と誘導反応場との相互作用で力が生じ、搬送方向26のデッドプレート28上へ缶を押し出し、下流側コンベア34へと搬送する。缶24は、固定子32を連続して稼働させることにより、デッドプレート28をわたってひとまとめに搬送され得る。または図2に示すように、固定子32を選択的に稼働させたり、させなかったりすることにより、個別のグループ24’、24’’に搬送することができる。
【0008】
明細書および特許請求の範囲において使用されているように、用語“連続した...面”は、面上を搬送される物品の下部構造をとらえて転倒させる原因となるほどの大きな継ぎ目やその他の途切れのない面を意味する。
【0009】
図3に示すコンベアにおいては、幅の狭い上流側コンベア36は、アルミ缶のような導電性物品を、2つのコンベア間に挿入された搬送デバイス38を通ってより広い下流側コンベア37に送り込む。搬送デバイス38は、継ぎ目のない外側搬送面39を有する。搬送面39の下に配置されているのは、矢印41、41’で示すように、搬送方向26と直交方向に電磁波を伝搬するLIM固定子40である。搬送デバイスの搬送面39は、上流側コンベア36よりも広い。固定子40によって生じた電磁場の広がる移動方向41、41’によって、缶が搬送デバイス38の幅へと横に広がる。搬送デバイス38のセンターラインの左側にある固定子はモータ駆動装置(図示せず)からの波形によって稼働され、センターラインから横方向に離れる方向に移動する電磁波を伝搬し、一方で、右側にある固定子はこの波形によって稼働され、反対方向に移動する電磁波を伝搬する。すべての固定子の構造および向きは同一である。駆動波形の位相調整により、それらは両方向に稼働することが可能である。上流側コンベア36からの缶の供給によって生じる背圧Pは、搬送デバイス38の外側搬送面39上に缶を押し出し、この缶は電磁力Fによって横に押し出される。広がった多数の缶は、幅が広く低速の下流側コンベア37で受ける。搬送デバイス38は、多数のアルミ缶やその他の導電性物品を広げるための1つの手段である。代替的に、固定子40を交互に双方向に駆動する単一固定子で置きかえて、例えば、まず横方向、次いで反対方向に電磁波を伝搬させて搬送デバイス38の幅にわたって缶を広げるようにしてもよい。
【0010】
図4に示す、搬送デバイス42のリニアモータ固定子40を配置することによって別の広げる手段を実現できる。この実施例では、搬送デバイス42はLIM固定子40を有しており、矢印44、44’(直交)および45(平行)によって示すように、搬送方向26に対して直交する方向および平行な方向に電磁波を伝搬するよう配置した。平行な固定子が搬送方向に、そしてより広い下流側コンベア37へ多数の缶を進めると、直交方向の固定子は缶を横に広げる。固定子は選択的に稼働したり、しなかったりして広げるパターンを制御できる。
【0011】
図5A−5Cは1対のサイドレール46、47と協働する図3または図4のようなコンベアシステムの広げる手段の一連の動作を示している。多数のアルミ缶24は、図5Aに示すように、上流側コンベア22によって、搬送方向26に搬送プレート42へと進められる。LIMは缶を横に広げ、図5Bに示すように、搬送デバイス42の外側搬送面39をわたって搬送方向に進める。広がる缶24はサイドレール対46、47内に制限され、狭い入力端48から下流側コンベア37近くのより広い出力端49へと広がる。缶24は、図5Cに示すように、サイドレール対46、47間の間隙を多かれ少なかれ満たすよう搬送プレート42上に広がる。リニアモータ固定子は、上流側コンベア36によって連続的に供給される多数の缶の背圧と共に、広がった缶をより広い下流側コンベア37に押し出す。
【0012】
図5Aはまた、上流側コンベア36が止まったとき、リニアアクチュエータのようなアクチュエータ43によってサイドレール46、47を任意に稼働して、デッドプレート42上に取り残された缶を一掃できることを示している。アクチュエータ43は、搬送方向26にサイドレール46、47を移動させてデッドプレート42を一掃する。その後、反対方向にサイドレールを移動させて図に示すホームポジションにデッドプレートを戻す。アクティブレールシステムは、どのLIMも搬送方向に缶を押し出すように配置されていない、図3に示す搬送デバイスに使用するとき特に有益である。
【0013】
図6および図7はLIMにより缶を広げる搬送デバイス50の別の態様を示しており、搬送プレート上で広がった矢印のセットによって示されているように、缶を横に広げて、同時に搬送方向26に進めることができる。この広げる手段において、力の広がったラインは、搬送プレートの上部搬送面51の下のリニアモータ固定子52によって生じる。図7には、図面を明瞭にするため巻線を除いたコイル形の固定子52が示されている。固定子52は平行で非線形のポール54を有しており、これらのポールは、搬送デバイス50の入口の最短のポール54’から出口の最長のポール54’’へ放射状に間隔を開けられて配置されている。この実施例において、固定子のポールは同心円の切片として示されている。リニアモータ固定子のポール54により、狭い送り込みコンベア22から受け取った缶がより広い下流側送り出しコンベア37へと広がって進められる。
【0014】
図8Aおよび8Bに示すコンベアシステムは、缶を広げる手段としてファン形状の外側搬送面58を有する搬送プレート56を使用している。搬送面は上流側部分60で狭く、下流側部分61でおおよそ下流側送り出しコンベア37とほぼ同じ幅に広がる。定位のガイドレール62は、上流側コンベア36から搬送プレート56の上流側部分へ延在している。2本のガイドレール62は、多数のアルミ缶24を搬送プレート上の狭い流れに制限する。外側搬送面58の下のリニアモータ固定子64は、搬送方向26に缶を押し出す。LIM64と上流側コンベア36上の缶からの背圧によって押されている缶によって缶が前に進む。搬送面58の下流側部分61のファンアウトしている側にある、広がった定位のサイドレール対66、66’により、押し出された缶が横に広がる。図8Bに示すように、搬送プレート56上の定位のサイドレール対66、66’によって制限されて広がった缶24は、下流側のより広い送り出しコンベア37に搬送される。搬送デバイス56に沿って缶をさらに進めるため、図9に示すように、下流側部分61の下にLIM固定子64’を追加配置できる。この態様の搬送システムでは、LIM固定子が稼働されていなくても、またそれがなくとも、背圧によって十分缶を広げることができる。
【0015】
広がりはリニアモータ固定子の恩恵なしに、図10の搬送コンベアシステムにて達成される。旋回ガイドレールシステムを使用して、デッドプレート68にわたって缶を分散させる。平行ガイドレール対70、70’は、ヨーク73により回転モータ72に連結されている。ヨーク73の各端部は、ガイドレール70、70’の1つに取り付けられている。モータ72はサポートフレーム74に支持されている。このモータは、モータシャフトによって規定されるピボット76の周りでガイドレール70、70’を往復させる。この往復動作により、ガイドレールの端部から出てゆくデッドプレート68の幅広下流側部分61の幅にわたって缶24を配置する。缶は、この機械的手段によって、上流側コンベア36上で缶の背圧によりガイドレール間の通路を通って押し出される。デッドプレート68の下流側端部において広がった缶24は、背圧によってより広い送り出しコンベア37に押し出される。
【0016】
缶を広げるためのLIM推進手段の別の態様が図11,12Aおよび12Bに示されている。この態様では、リニアモータ固定子78がピボット82で回転モータ80に連結されている。2本の平行ガイドレール84、84’は、一端が固定子に、他端がガイドレールに連結された取付けアーム86、86’によってLIM固定子78の上に設けられている(取付けアームは図面を簡略化するため、図12Aおよび図12Bには示していない)。図12Aに示すように、缶24は、狭い上流側コンベア36により、1対のガイドレール84、84’の間を押されている。 回転モータ80が、ピボット82の周りでガイドレールを往復させ、固定子78とレール84、84’の間にあり、レールから出てゆく缶をデッドプレート69の幅に広げる。図12Bに示すように、デッドプレート69端部にたまって広がった缶24は、旋回するLIMの電磁推進力と多数の缶の背圧により、送り出しコンベア37に押し出される。
【0017】
図13および14には、別の旋回ガイドレール88、88’の1対が示されている。図11ではガイドレール84、84’が、アーム86、86’によって機械的にLIM固定子78に連結されているが、そのかわりに、ガイドレール88、88’がLIM固定子90に磁気的に連結されている。図11の固定子78と同様に、リニアモータ固定子90は、コンベアフレームに設けられた回転モータ80によって、枢軸の周りを往復旋回する。固定子アッセンブリ90の側面に沿ってプラットフォーム94の上端に設けられた永久磁石92は、車輪98が支持されているスチールブラケット96をひき寄せる。したがって、この広げる手段において、ガイドレール88、88’は、固定子90を有するデッドプレート68上で車輪98を往復旋回させて、デッドプレートの下流側部分の幅にこの手段で缶を広げる。
【0018】
缶を広げるのにリニアモータ固定子を使用するかわりに、図15に示すコンベアシステムで、サイドレール対102、102’の下でデッドプレート100を横方向に往復させることによって缶24を広げる。例えば、リニアアクチュエータまたはラックギアを用いてデッドプレート100を移動させることができる。この広げる手段では、デッドプレート100の下の1またはそれ以上のリニアモータ固定子104が、搬送方向26に電磁波を伝搬し、送り出しコンベア37へとデッドプレート100に沿って缶を押しつけるように構成されている。
【0019】
図17の搬送システムは、対向するサイドレール102、102’間で、搬送部分の幅にわたって缶24を広げる手段として、デッドプレートとアクチュエータに代えて、前後に動くよう構成したモータ駆動コンベアベルト106を用いている点を除いて図15のシステムと同様である。図15に示すリニアモータ固定子104と同様に、ベルト106の連続外側搬送面110の下のリニアモータ固定子108は、搬送方向26に缶24を押し出すように構成されている。
【0020】
図16に示す搬送デバイス112は、モータ駆動コンベアベルト114を使用して、ベルトの連続外側搬送面116上で搬送方向26に缶24を搬送している。この広げる手段では、ベルトのトップコンベア表面116の下のリニアモータ固定子118は、定位にあるサイドレール対58、58’間の搬送デバイス112の幅わたって缶24を広げる横方向に伝播する電磁波を生成するように構成されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17