(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6669768
(24)【登録日】2020年3月2日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】タンクシステム
(51)【国際特許分類】
F17C 13/08 20060101AFI20200309BHJP
F17C 13/12 20060101ALI20200309BHJP
B65D 90/00 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
F17C13/08 301Z
F17C13/12 301Z
B65D90/00 F
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-544830(P2017-544830)
(86)(22)【出願日】2015年11月11日
(65)【公表番号】特表2017-537286(P2017-537286A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】EP2015076297
(87)【国際公開番号】WO2016075186
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2018年11月8日
(31)【優先権主張番号】20141365
(32)【優先日】2014年11月13日
(33)【優先権主張国】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】517166907
【氏名又は名称】ゼット ホールディング アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】テョーロム,スヴェン,エーギル
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−500179(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0187192(US,A1)
【文献】
実開昭53−103918(JP,U)
【文献】
国際公開第2014/126456(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/08
B65D 90/00
F17C 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの圧力タンク(1、1’)と取付けフレーム(2)とを備えるモジュラータンクシステムであって、
前記圧力タンク(1、1’)のそれぞれは、圧力容器(3)と、内部に前記圧力容器が配置される保護フレーム(4)とを備え、前記保護フレーム(4)は、複数の圧力タンク(1、1’)を互いに重ねて取り付けることができるように適合されており、前記圧力容器は、排出口及び第1の入口(5)を有し、
前記排出口は、前記圧力容器の上半分に配置され、前記第1の入口(5)は、前記圧力容器の下半分に配置されるとともに、タンクプロセスライン(6)に流体接続され、前記タンクプロセスラインは、該タンクプロセスラインの互いに反対側の端部に第1の流体コネクタ(12)及び第2の流体コネクタ(23)を備え、前記第1の圧力タンク(1)上に第2の圧力タンク(1’)が載置される場合、第1の圧力タンク(1)の前記第2の流体コネクタ(23)は、前記第2の圧力タンク(1’)の前記第1の流体コネクタ(12)に接続可能であるようになっており、
前記取付けフレーム(2)は、前記少なくとも2つの圧力タンク(1)を取り付けることができるベースフレーム(15)を備え、該ベースフレームは、フレームプロセスライン(16)を備え、
前記フレームプロセスライン(16)は、少なくとも2つの流体コネクタ(20)を備え、各流体コネクタ(20)は、タンクプロセスライン(6)の前記第1の流体コネクタ(12)に接続可能であるとともに、前記圧力タンク(1)が前記ベースフレーム(15)に並べて取り付けられる場合、前記フレームプロセスライン(16)を、少なくとも2つの前記圧力タンク(1)の前記タンクプロセスライン(6)に流体接続することができるように構成されている、モジュラータンクシステム。
【請求項2】
前記圧力容器は、該圧力容器の下半分に配置されるとともに、タンク吸引ライン(8)に流体接続されている第1の出口(7)を有し、前記タンク吸引ラインは、第1の流体コネクタ(13)を備え、
前記ベースフレームは、少なくとも2つの流体コネクタ(21)を備えるフレーム吸引ライン(17)を備え、各流体コネクタ(21)は、タンク吸引ライン(8)の前記第1の流体コネクタ(13)に接続可能であるとともに、前記圧力タンクが前記ベースフレーム(15)に並べて取り付けられる場合、前記フレーム吸引ライン(17)を、少なくとも2つの前記圧力タンク(1)の前記タンク吸引ライン(8)に流体接続することができるように構成されている、請求項1に記載のモジュラータンクシステム。
【請求項3】
前記圧力容器の前記排出口は、前記圧力容器の上半分に配置されるとともに、タンク排出ライン(10)及びタンクリリーフライン(11)のうちの少なくとも一方に流体接続されている第2の出口(9)であり、前記タンク排出ライン及び前記タンクリリーフラインは、第1の流体コネクタ(14、14’)を備え、
前記ベースフレームは、フレーム排出ライン(18)及びフレームリリーフライン(19)のうちの少なくとも一方を備え、前記フレーム排出ライン(18)及び前記フレームリリーフライン(19)は、少なくとも2つの流体コネクタ(22、22’)を備え、各流体コネクタ(22、22’)は、タンク排出ライン(10)及びタンクリリーフライン(11)の前記第1の流体コネクタ(14、14’)のうちの少なくとも1つに接続可能であるとともに、前記少なくとも2つの圧力タンクが前記ベースフレーム(15)に並べて取り付けられる場合、前記フレーム排出ライン(18)及び前記フレームリリーフライン(19)のうちの少なくとも一方を、該圧力タンク(1)の前記タンク排出ライン(10)及び前記タンクリリーフライン(11)にそれぞれ流体接続することができるように構成されている、請求項1又は請求項2に記載のモジュラータンクシステム。
【請求項4】
前記フレームプロセスライン(16)の前記少なくとも2つの流体コネクタ(20)及び前記タンクプロセスライン(6)の前記第1の流体コネクタ(12)は、前記少なくとも2つの圧力タンク(1)のうちの1つが前記ベースフレーム(15)に取り付けられる場合、前記フレームプロセスライン(16)が前記タンクプロセスライン(6)に流体接続されるように構成されている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモジュラータンクシステム。
【請求項5】
前記フレームプロセスライン(16)と、必要に応じて前記フレーム吸引ライン(17)と、前記フレーム排出ライン(18)と、前記フレームリリーフライン(19)とは、それぞれ、プロセスラインポート(24)と、吸引ラインポート(25)と、排出ラインポート(26)と、リリーフラインポート(27)とを有する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のモジュラータンクシステム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のモジュラータンクシステムにおいて使用される圧力タンクであって、該圧力タンク(1)は、圧力容器(3)と、内部に前記圧力容器が配置される保護フレーム(4)とを備え、前記圧力容器は、排出口及び第1の入口(5)を有し、
前記排出口は、前記圧力容器の上半分に配置され、前記第1の入口(5)は、前記圧力容器の下半分に配置されるとともに、タンクプロセスライン(6)に流体接続され、前記タンクプロセスラインは、該タンクプロセスライン(6)の互いに反対側の端部に第1の流体コネクタ(12)及び第2の流体コネクタ(23)を備える、圧力タンク。
【請求項7】
前記圧力容器は、該圧力容器の下半分に配置されるとともに、タンク吸引ライン(8)に流体接続されている第1の出口(7)を有し、前記タンク吸引ラインは、第1の流体コネクタ(13)を備える、請求項6に記載の圧力タンク。
【請求項8】
前記圧力容器の前記排出口は、前記圧力容器の上半分に配置されるとともに、タンク排出ライン(10)及びタンクリリーフライン(11)のうちの少なくとも一方に流体接続されている第2の出口(9)であり、前記タンク排出ライン及び前記タンクリリーフラインは、第1の流体コネクタ(14、14’)を備える、請求項6又は請求項7に記載の圧力タンク。
【請求項9】
前記タンクプロセスライン(6)は、該タンクプロセスライン(6)の前記第1の流体コネクタ(12)が、前記圧力タンクの底部に配置され、該タンクプロセスライン(6)の前記第2の流体コネクタ(23)が、前記圧力タンクの頂部に配置されるように構成されている、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の圧力タンク。
【請求項10】
前記タンクプロセスライン(6)の前記第1の流体コネクタ(12)及び前記第2の流体コネクタ(23)は、請求項8乃至請求項11のいずれか1項に記載の別の圧力タンクが前記圧力タンク上に載置される場合、前記第2の流体コネクタ(23)が、該別の圧力タンクの前記タンクプロセスライン(6)の第1の流体コネクタに接続可能であるように構成されている、請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の圧力タンク。
【請求項11】
前記圧力容器は、使用時の水平面において実質的に円形の外周部を有し、前記入口(5)は、プロセス流が、前記入口において前記円形の外周部に対して実質的に接線方向において前記圧力容器に進入するように構成されている、請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載の圧力タンク。
【請求項12】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のモジュラータンクシステムにおいて使用される取付けフレーム(2)であって、該取付けフレーム(2)は、少なくとも2つの圧力タンク(1、1’)を取り付けることができるベースフレーム(15)を備え、該ベースフレームは、少なくとも2つの流体コネクタ(20)と、少なくとも1つのプロセスラインポート(24)とを有するフレームプロセスライン(16)を備え、各流体コネクタ(20)は、前記圧力タンクのうちの1つの圧力タンクのタンクプロセスライン(6)の第1の流体コネクタ(12)に接続可能であるとともに、前記圧力タンク(1)が前記ベースフレーム(15)に取り付けられる場合、前記フレームプロセスライン(16)を前記タンクプロセスライン(16)に流体接続することができるように構成されている、取付けフレーム。
【請求項13】
前記ベースフレーム(15)は、少なくとも2つの流体コネクタ(21)及び吸引ラインポート(25)を有するフレーム吸引ライン(17)を備え、各流体コネクタ(21)は、前記圧力タンク(1)のうちの1つの圧力タンクのタンク吸引ライン(8)の第1の流体コネクタ(13)に接続可能であるとともに、前記圧力タンク(1)が前記ベースフレーム(15)に取り付けられる場合、前記フレーム吸引ライン(17)を前記タンク吸引ライン(8)に流体接続することができるように構成されている、請求項12に記載の取付けフレーム。
【請求項14】
前記ベースフレーム(15)は、フレーム排出ライン(18)及びフレームリリーフライン(19)のうちの少なくとも一方を備え、前記フレーム排出ライン(18)及び前記フレームリリーフライン(19)は、それぞれ、少なくとも2つの第1の流体コネクタ(22、22’)と、リリーフラインポート(27)及び排出ラインポート(26)とを備え、各第1の流体コネクタ(22、22’)は、前記圧力タンク(1)のうちの1つの圧力タンクのタンク排出ライン(10)及びタンクリリーフライン(11)の第1の流体コネクタのうちの少なくとも1つに接続可能であるとともに、前記圧力タンク(1)が前記ベースフレーム(15)に取り付けられる場合、前記フレーム排出ライン(18)及び前記フレームリリーフライン(19)のうち少なくとも一方を、協働する前記タンク排出ライン(10)及び前記タンクリリーフライン(11)に流体接続することができるように構成されている、請求項12又は請求項13に記載の取付けフレーム。
【請求項15】
前記ベースフレーム(15)は、第1の対の平行な側壁(54)及び第2の対の平行な側壁(55)と、底部プレート(59)とを備える、請求項12乃至請求項14のいずれか1項に記載の取付けフレーム。
【請求項16】
前記側壁及び前記底部プレートは、使用時、搭載された圧力タンクからの流出液を回収することができるドリップトレイを提供する、請求項15に記載の取付けフレーム。
【請求項17】
前記ベースフレームを一緒に折り畳むことができるように旋回可能に接続されている2つのベースフレームを備える、請求項12乃至請求項16のいずれか1項に記載の取付けフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュラータンクシステム(modular tank system)、並びにこのシステムにおける使用に適したタンク及びフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
洋上石油産業において、ケミカルタンクは、ヘリ燃料(helifuel)、モノエチレングリコール(MEG)、炭化水素が混入した掘削流体及び仕上げ流体、並びに原油/廃油等の種々の流体の収容、貯蔵、積戻し、処理及び輸送のために一般に用いられている。現行のタンクは、洋上施設上の様々な場所に配置される別個のユニットとして提供されている。例えば、半潜水型掘削リグにおいて、通常その場所はメインデッキ、ライザーデッキ/パイプデッキである。作業に応じて液体をタンクに移送及びタンクから移送するために、通常2インチ径のゴムホースが手動で接続される。
【0003】
従来技術のケミカルタンクの洋上への設置及び配置には時間がかかり、また、タンクからの流出液を捕えるドリップトレイ/スピルトレイを得るために、その境界部の溶接が通例必要とされる。
【0004】
例えば、坑井試験作業及び仕上げ作業において、30m
3/50m
3貯蔵タンクの設置に関して取付け/配置に特に時間がかかる。こうした設置には、上述した境界部を含む溶接及び海底への固定だけでなく、入口及び出口、並びに施設外へ(overboard)の安全経路又はフレアシステムへの排出ラインに対する全てのゴムホースの取付けが含まれる。
【0005】
リグの構造上の制限により、上述したこれらの貯蔵タンクによる重荷重を分散させるようにデッキを強化するために、スプレッダービーム(spreader beams:荷重分散ビーム)を配置して溶接する必要がある。
【0006】
現行の30m
3/50m
3貯蔵タンクの更なる欠点は、空の状態で輸送する必要があることである。一部の貯蔵タンクの寸法は、輸送トラックによる陸上輸送が可能でないほど(幅及び高さが)大きい。フレームが2.6mよりも大きい場合、従属車両が必要となり、或る特定の時間帯及び週日にしか輸送することができない。
【0007】
さらに、30m
3/50m
3貯蔵タンクは、大気圧でしか使用することができず、濃縮した炭化水素ガスを含む液体の封入には使用することができない。
【0008】
輸送する場合、液体は、30m
3/50m
3貯蔵タンクから可搬スロップタンクに移さなければならない。市場の可搬タンクの一般的なサイズは、500ガロン〜1000ガロン(すなわち、通常は2300リットル〜最大4500リットル)であり、垂直構成及び水平構成の双方が存在する。
【0009】
これらの可搬タンクは大気圧規格しかなく、その充填作業には人員が必要である。充填は、タンクの頂部の開放したマンホールを通して行われる。したがって、人員は、充填中、炭化水素が混入した廃油からの煙気(fumes)に曝される。さらに、可搬タンクは、充填の際に開放して通気され、その爆発性煙気が、施設上に潜在的な危険をもたらす。垂直可搬タンク及び水平可搬タンクの双方を混ぜて洋上に輸送し、デッキ設計(Iビーム)と組み合わせると、通常利用可能な空間が非常に少ないリグ上で効率的に空間を使用するためにタンクを互いに並べて配置することが困難になる。
【0010】
現行の貯蔵タンク及び/又は可搬スロップタンクに関する上述した問題に加えて、一部のリグは、坑井を密閉した後にしか移送及び充填が可能でない点で、可搬スロップタンクの充填に関しても制限がある。
【0011】
現行の貯蔵タンク及び/又は可搬スロップタンクに関する更なる問題は、例えば、産出能力試験において可搬スロップタンクの移送及び充填に時間がかかり、さらに、タンクのいずれにも防火具が組み込まれていないことである。現在の解決策では、水が施設上に存在しない場合、水を汲み上げ/送らなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来技術のタンク及び/又はタンクシステムの欠点のうちの少なくともいくつかを回避又は軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、モジュラータンクシステム、並びにそのようなシステムにおいて使用されるタンク及び取付けフレームを提供する。本発明は、添付の特許請求の範囲及び下記に規定されている。
【0014】
第1の態様において、本発明は、少なくとも2つの圧力タンクと取付けフレームとを備えるモジュラータンクシステムであって、
圧力タンクのそれぞれは、圧力容器と、内部に圧力容器が配置される保護フレームとを備え、保護フレームは、複数の圧力タンクを互いに重ねて取り付けることができるように適合又は構成されており、圧力容器は、排出口及び第1の入口を有し、
○排出口は、圧力容器の上半分に配置され、第1の入口は、圧力容器の下半分に配置されるとともに、タンクプロセスラインに流体接続され、タンクプロセスラインは、タンクプロセスラインの互いに反対側の端部に第1の流体コネクタ及び第2の流体コネクタを備え、第1の圧力タンク上に第2の圧力タンク(すなわち、少なくとも2つの圧力タンクのうちの別の1つ)が載置される場合、第1の圧力タンク(すなわち、少なくとも2つの圧力タンクのうちの1つ)の第2の流体コネクタは、第2の圧力タンクの第1の流体コネクタに接続可能であるようになっており、
取付けフレームは、少なくとも2つの圧力タンクを取り付けることができるベースフレームを備え、ベースフレームは、フレームプロセスラインを備え、
○フレームプロセスラインは、少なくとも2つの流体コネクタを備え、各流体コネクタは、タンクプロセスラインの第1の流体コネクタに接続可能(すなわち、少なくとも2つの圧力タンクのうちの1つの圧力タンクの第1の流体コネクタに接続可能)であるとともに、圧力タンクがベースフレームに並べて取り付けられる場合、フレームプロセスラインを、少なくとも2つの圧力タンクのタンクプロセスラインに流体接続することができる又は流体接続されることになるように構成されている、モジュラータンクシステムを提供する。
【0015】
圧力容器の第1の入口は、好ましくは圧力容器の下半分に配置され、更により好ましくは圧力容器の底部に配置され、必要とされる場合に入口を介して圧力容器を空にすることができるようになっている。
【0016】
第1の態様の一実施形態において、本発明は、モジュラータンクシステムであって、
○圧力容器は、圧力容器の下半分に配置されるとともに、タンク吸引ラインに流体接続されている第1の出口を有し、タンク吸引ラインは、第1の流体コネクタを備え、
○ベースフレームは、少なくとも2つの流体コネクタを備えるフレーム吸引ラインを備え、各流体コネクタは、タンク吸引ラインの第1の流体コネクタに接続可能(すなわち、少なくとも2つの圧力タンクのタンク吸引ラインの第1の流体コネクタのうちの少なくとも1つに接続可能)であるとともに、圧力タンクがベースフレームに並べて又は互いに重ねて取り付けられる場合、フレーム吸引ラインを、少なくとも2つの圧力タンクのタンク吸引ラインに流体接続することができるように構成されている、モジュラータンクシステムを提供する。
【0017】
第1の態様の更なる一実施形態において、本発明は、モジュラータンクシステムであって、
○圧力容器の排出口は、(必要とされる場合にガスを圧力容器から逃がすことができるように)圧力容器の上半分に配置されるとともに、タンク排出ライン及びタンクリリーフラインのうちの少なくとも1つに流体接続されている第2の出口であり、タンク排出ライン及び/又はタンクリリーフラインは、第1の流体コネクタを備え、
○ベースフレームは、フレーム排出ライン及びフレームリリーフラインのうちの少なくとも一方を備え、フレーム排出ライン及び/又はフレームリリーフラインは、少なくとも2つの流体コネクタを備え、各流体コネクタは、タンク排出ライン及びタンクリリーフラインの第1の流体コネクタのうちの少なくとも1つに接続可能(すなわち、少なくとも2つの圧力タンクのうちの1つの圧力タンクのタンク排出ライン又はタンクリリーフラインの第1の流体コネクタのうちの少なくとも1つに接続可能)であるとともに、少なくとも2つの圧力タンクがベースフレームに並べて又は互いに重ねて取り付けられる場合、フレーム排出ライン及びフレームリリーフラインのうちの少なくとも一方を、これらの圧力タンクの(又は少なくとも2つの圧力タンクのうちの1つの圧力タンクの)タンク排出ライン及びタンクリリーフラインにそれぞれ流体接続することができるように構成されている、モジュラータンクシステムを提供する。
【0018】
第1の態様の更なる一実施形態において、本発明は、モジュラータンクシステムであって、少なくとも2つの圧力タンクのフレームプロセスラインの少なくとも2つの流体コネクタ及びタンクプロセスラインの第1の流体コネクタは、少なくとも2つの圧力タンクがベースフレームに取り付けられる場合、フレームプロセスラインが少なくとも2つの圧力タンクのうちの1つの圧力タンクのタンクプロセスラインに流体接続されるように構成されている、モジュラータンクシステムを提供する。
【0019】
第1の態様の更なる一実施形態において、本発明は、モジュラータンクシステムであって、フレームプロセスラインと、必要に応じてフレーム吸引ラインと、フレーム排出ラインと、フレームリリーフラインとは、それぞれ、プロセスラインポートと、吸引ラインポートと、排出ラインポートと、リリーフラインポートとを有する、モジュラータンクシステムを提供する。それぞれのラインポートは、フレームプロセスライン、フレーム吸引ライン、フレーム排出ライン及びフレームリリーフラインの少なくとも2つの流体コネクタにそれぞれ共通の流体接続をもたらす。
【0020】
第2の態様において、本発明は、第1の態様に係るモジュラータンクシステムにおいて使用される圧力タンクであって、圧力タンクは、圧力容器と、内部に圧力容器が配置される保護フレームとを備え、圧力容器は、排出口及び第1の入口を有し、
○排出口は、圧力容器の上半分、好ましくは圧力容器の頂部に配置され、第1の入口は、圧力容器の下半分に配置されるとともに、タンクプロセスラインに流体接続され、タンクプロセスラインは、タンクプロセスラインの互いに反対側の端部に配置される第1の流体コネクタ及び第2の流体コネクタを備える、圧力タンクを提供する。
【0021】
第2の態様の一実施形態において、本発明は、圧力タンクであって、圧力容器は、
○圧力容器の下半分、好ましくは圧力容器の底部に配置されるとともに、タンク吸引ライン8に流体接続されている第1の出口7を有し、タンク吸引ラインは、第1の流体コネクタ13を備える、圧力タンクを提供する。第1の出口は、第1の入口の高さよりも低い高さに配置されることが好ましい。
【0022】
第2の態様の更なる一実施形態において、本発明は、圧力タンクであって、圧力容器の排出口は、圧力容器の上半分に配置されるとともに、タンク排出ライン及びタンクリリーフラインのうちの少なくとも一方に流体接続されている第2の出口であり、タンク排出ライン及びタンクリリーフラインは、第1の流体コネクタを備える、圧力タンクを提供する。
【0023】
第2の態様の更なる一実施形態において、本発明は、圧力タンクであって、タンクプロセスラインは、タンクプロセスラインの第1の流体コネクタが、圧力タンクの底部に配置され、タンクプロセスラインの第2の流体コネクタが、圧力タンクの頂部に配置されるように構成されている、圧力タンクを提供する。
【0024】
第2の態様の更なる一実施形態において、本発明は、圧力タンクであって、タンクプロセスラインの第1の流体コネクタ及び第2の流体コネクタは、第2の態様に係る別の圧力タンクが圧力タンク上に載置される場合、第2の流体コネクタが、別の圧力タンクのタンクプロセスラインの第1の流体コネクタに接続可能であるように構成されている、圧力タンクを提供する。
【0025】
第2の態様の更なる一実施形態において、本発明は、圧力タンクであって、圧力容器は、使用時の水平面において実質的に円形の外周部を有し、入口は、プロセス流が、入口において円形の外周部に対して実質的に接線方向において圧力容器に進入するように構成されている、圧力タンクを提供する。
【0026】
第2の態様の更なる一実施形態において、本発明は、タンクプロセスラインと、タンク吸引ライン、タンク排出ライン又はタンクリリーフラインのうちの少なくとも1つとを備える圧力タンクを提供する。タンクプロセスライン、タンク吸引ライン、タンク排出ライン及びタンクリリーフラインのそれぞれは、圧力容器と保護フレームとの間に配置され、これらのラインが容易に損傷しないようになっていることが好ましい。さらに、タンクプロセスライン、タンク吸引ライン、タンク排出ライン及びタンクリリーフラインのそれぞれは、圧力タンクの使用時に実質的に垂直方向に配置されるパイプ又は導管を備える。パイプ(又は、タンクプロセスライン、タンク吸引ライン、タンク排出ライン若しくはタンクリリーフライン)は、パイプの互いに反対側の端部に配置される第1の流体コネクタ及び第2の流体コネクタを備える。第1の流体コネクタは、圧力タンクの底部に配置され、第2の流体コネクタは、圧力タンクの頂部に配置される。
【0027】
第3の態様において、本発明は、第1の態様に係るモジュラータンクシステムにおいて使用される取付けフレームであって、取付けフレームは、少なくとも2つの圧力タンクを取り付けることができるベースフレームを備え、ベースフレームは、少なくとも2つの流体コネクタと、少なくとも1つのプロセスラインポートとを有するフレームプロセスラインを備え、各流体コネクタは、少なくとも2つの圧力タンクのうちの1つの圧力タンクのタンクプロセスラインの第1の流体コネクタに接続可能であるとともに、圧力タンクがベースフレームに取り付けられる場合、フレームプロセスラインをタンクプロセスラインに流体接続することができるように構成されている、取付けフレームを提供する。
【0028】
第3の態様の一実施形態において、本発明は、取付けフレームであって、ベースフレームは、少なくとも2つの流体コネクタ及び吸引ラインポートを有するフレーム吸引ラインを備え、各流体コネクタは、少なくとも2つの圧力タンクのうちの1つの圧力タンクのタンク吸引ラインの第1の流体コネクタに接続可能であるとともに、圧力タンクがベースフレームに取り付けられる場合、フレーム吸引ラインをタンク吸引ラインに流体接続することができるように構成されている、取付けフレームを提供する。
【0029】
第3の態様の更なる一実施形態において、本発明は、取付けフレームであって、ベースフレームは、フレーム排出ライン及びフレームリリーフラインのうちの少なくとも一方を備え、フレーム排出ライン及びフレームリリーフラインは、それぞれ、少なくとも2つの第1の流体コネクタと、リリーフラインポート及び排出ラインポートとを備え、各第1の流体コネクタは、少なくとも2つの圧力タンクのうちの1つの圧力タンクのタンク排出ライン及びタンクリリーフラインの第1の流体コネクタのうちの少なくとも1つに接続可能であるとともに、圧力タンクがベースフレームに取り付けられる場合、フレーム排出ライン及びフレームリリーフラインのうち少なくとも一方を、協働するタンク排出ライン及びタンクリリーフラインに流体接続することができるように構成されている、取付けフレームを提供する。
【0030】
第3の態様の更なる一実施形態において、本発明は、取付けフレームであって、ベースフレームは、第1の対の平行な側壁及び第2の対の平行な側壁と、底部プレートとを備える、取付けフレームを提供する。
【0031】
第3の態様の更なる一実施形態において、本発明は、取付けフレームであって、側壁及び底部プレートは、使用時、搭載された圧力タンクからの流出液を回収することができるドリップトレイを提供する、取付けフレームを提供する。
【0032】
第3の態様の更なる一実施形態において、本発明は、取付けフレームであって、ベースフレームを一緒に折り畳むことができるように旋回可能に接続されている2つのベースフレームを備える、取付けフレームを提供する。
【0033】
圧力容器の圧力定格は、少なくとも50psi、50psi〜350psiの範囲又は150psi〜250psiの範囲であることが好ましい。本開示において、「圧力容器」という用語は、圧力下の流体を扱うのに適した容器を意味することが意図されており、ここで、流体の少なくとも一部は、標準大気圧及び室温下の液体である。後者の要件は、特に、容器において液体の出入りを可能にする入口及び出口を配置すべき高さに関して、或る特定の制限をもたらす。
【0034】
圧力容器の入口/出口の位置に関する「に配置される」という用語は、入口/出口を通過する流体が圧力容器の内部容積部に入る地点又は内部容積部を出る地点を規定することが意図されている。例えば、第1の入口を通って進入するプロセス流体流は、必要に応じて、例えば導管を介して、プロセス流体が圧力容器の下半分の内部容積部に入るように第1の入口が配置される限り任意の好適な地点において、容器の壁を通り抜けることができる。入口/出口は、配置された地点で圧力容器の壁を貫通していることが好ましい。
【0035】
圧力タンク及び取付けフレームを備えるタンクシステムの好ましい一実施形態の添付の図面を参照して、本発明をより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に係るタンクシステムの圧力タンクの上方からの斜視図である。
【
図3】
図1の圧力タンクの下方からの斜視図である。
【
図6】
図1の圧力タンクの断面図である(仕上げ流体処理、すなわちブライン濾過用のフィルター)。
【
図7】
図1〜
図6に示されている圧力タンクと同様の圧力タンクの断面図である(流体を混合するための撹拌器)。
【
図8】本発明に係るタンクシステムの取付けフレームの斜視図である。
【
図12】
図8の取付けフレームが折り畳まれている場合の、この取付けフレームの斜視図である。
【
図13】
図12の折り畳まれた取付けフレームの第1の側面図である。
【
図14】
図12の折り畳まれた取付けフレームの第2の側面図である。
【
図15】本発明に係るタンクシステムの斜視図である。
【
図20】可搬スロップタンク上に人員が立っている、
図19の設備の概略図である。
【
図21】従来の坑井試験設備と、本発明に係るMTSを含む坑井試験設備との概略図である。
【
図22】本発明に係るMTSを含む試掘設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明に係るモジュラータンクシステムにおいて使用される圧力タンク1の一実施形態が、
図1〜
図7に示されている。圧力タンク1は、保護フレーム4内に配置されている圧力容器3を含む。圧力容器3は、半球状又は皿形鏡板状(torispherical)の端部キャップ28、29を備える円筒体として形成される。使用時、圧力容器3は、円筒の中心線が垂直方向に配置される向きにされる。端部キャップは、下側端部キャップ28(又は底部部品)と、上側端部キャップ29(又は頂部部品)とを形成する。圧力容器3は、下側端部キャップ28に入口5を有する。入口5は、主に、流体が圧力容器3に進入することを可能にするものである。圧力容器の下半分におけるその位置によって、入口5は、本発明の他の実施形態においてその容器から流体を引き出すために使用することもできる。圧力容器の水平断面(又は水平面における外周部)は、圧力容器の全高にわたって実質的に円形である。入口5は、入口を介して圧力容器に進入する流体流が、上記容器3への進入に際して、入口地点において外周部に対して実質的に接線方向に流れるように構成される。入口5は、タンクプロセスライン6に流体接続されている。空気圧アクチュエーター駆動バルブ30が、入口5とタンクプロセスライン6との間に配置される。タンクプロセスライン6は、第1の端部31及び第2の端部32を有し、下側端部キャップ28から上側端部キャップ29に向かう方向に延在する。タンクプロセスライン6は、その2つの端部のそれぞれにおいて流体コネクタを備える。第1の流体コネクタ12は、タンクプロセスライン6の第1の端部31に配置され、第2の流体コネクタ23は、第2の端部32に配置される。
【0038】
第1の圧力タンクのタンクプロセスライン6と第2の圧力タンク1’のタンクプロセスラインとを流体接続するために、タンクプロセスラインの第1の流体コネクタ12及び第2の流体コネクタ23は、第1の圧力タンク1上に第2の圧力タンク1’が載置される場合、第1の圧力タンク1の第2の流体コネクタ23が、この第2の圧力タンク1’の第1の流体コネクタに接続されるように構成されている。
図15〜
図18も参照されたい。この実施形態では、これは、第2の流体コネクタ23の端部を保護フレーム4の上側横ビーム33の僅かに上方に延在させ、第1の流体コネクタ12の端部を保護フレーム4の下側横ビーム34と実質的に一致するように又は下側横ビーム34の僅かに上方に延在させることによって達成される。
図3を参照されたい。第1の流体コネクタ及び第2の流体コネクタの双方は、二重バルブ機構を特徴とするクリーンブレークカップリング(clean break coupling)の半部分と協働することが好ましい。結合されているとき、二重バルブ機構は完全に開放して、流体の通過を可能にする。分離されているとき、第1の流体コネクタ及び第2の流体コネクタの双方のバルブ機構は閉鎖される。この特徴は、結合時又は分離時の液漏れが回避されることを確実にする。このようなコネクタは当業者には既知である。結合されていないとき、第1の流体コネクタ12及び第2の流体コネクタ23は、例えば移送時に、(アクチュエーター作動ボールバルブ30に加えて)第2の流体障壁としても機能する。
【0039】
第1の圧力タンク及び第2の圧力タンクは、第1の係止手段35、例えば空気式ツイストロックを特徴とする上側横ビームの上面と、第1の圧力タンク上に第2の圧力タンクが載置される場合に第1の係止手段を受ける第2の係止手段36、例えばISO隅金具等のリセスを特徴とする下側横ビームの下面とを有することで、ともに固定される。また、圧力タンクをフレームに係止するために、好ましくは第1の係止手段35と同様の協働係止手段73が取付けフレーム上に配置される。
図8を参照されたい。
【0040】
圧力タンクの輸送及び移動を容易にするために、保護フレームは、上側横ビームに固定された吊上げ用のアイボルト(lifting eyes)37を備える。
【0041】
さらに、現行の圧力タンクの圧力容器3は、吸出口7(又は第1の出口7)と、排出口/リリーフ口9(又は第2の出口9)を有する。
【0042】
吸出口7は、圧力容器3から流体を引き出すためのものであり、圧力容器の下側端部キャップ28に配置される。吸出口7は、タンク吸引ライン8に流体接続されている。空気圧アクチュエーター駆動バルブ40が、吸出口7とタンク吸引ライン8との間に配置される。バルブ40は、第1の流体障壁として機能する。タンク吸引ラインは、タンクプロセスライン6と同様に構成され、下側横ビーム34及び上側横ビーム33それぞれにおける第1の流体コネクタ13及び第2の流体コネクタ38を特徴とする。第1の圧力タンク1のタンク吸引ライン8の第2の流体コネクタ38は、タンクプロセスラインに関して上述した方法で、第2の圧力タンク1’のタンク吸引ライン8の第1の流体コネクタ13に接続可能である。結合されていないとき、タンク吸引ライン8の第1の流体コネクタ13及び第2の流体コネクタ38は、例えば輸送時に第2の流体障壁として機能する。
【0043】
排出口/リリーフ口9は、分配器排出ライン出口41及び分配器リリーフライン出口42を有する分配器62を介して、タンク排出ライン10及びタンクリリーフライン11に流体接続されている。タンク排出ライン10及びタンクリリーフライン11は、タンクプロセスライン6と同様に構成され、タンク排出ライン及びタンクリリーフラインのどちらも下側横ビーム34及び上側横ビーム33それぞれにおける第1の流体コネクタ14、14’及び第2の流体コネクタ39、39’を特徴とする。第1の圧力タンク1のタンク排出ライン10及びタンクリリーフライン11の第2の流体コネクタ39、39’は、タンクプロセスラインに関して上述した方法で、第2の圧力タンク1’のタンク排出ライン10及びタンクリリーフライン11の第1の流体コネクタ14、14’とそれぞれ接続可能である。圧力容器3は、分配器を介して、ガスを排出ライン10に通して安全な領域まで経路付けることによって減圧することができる。分配器リリーフライン出口42/タンクリリーフライン11は、圧力容器の破裂を回避する最後の障壁として機能する。最高許容動作圧力を超えてタンクリリーフライン11内に蓄積した圧力は、破裂板又は安全バルブを開放させる。
【0044】
また、圧力タンク1は、好適な数の噴霧ノズル44を特徴とする散水パイプ部品43を備える消火システムを特徴とする。パイプ部品は、保護フレームの上側横ビーム33に配置され、噴霧ノズルは、圧力容器3に向かって、例えば水を噴霧するように構成されている。散水パイプ部品43は、タンク散水ライン45に流体接続されている。タンク散水ライン45は、タンクプロセスライン6と同様に構成され、下側横ビーム及び上側横ビームそれぞれにおける第1の流体コネクタ46及び第2の流体コネクタ47を特徴とする。第1の圧力タンク1のタンク散水ライン45の第2の流体コネクタ47は、タンクプロセスラインに関して上述した方法で、第2の圧力タンク1’のタンク散水ライン45の第1の流体コネクタ46に、及び/又は、後述するようにフレーム散水ラインの流体コネクタに接続可能である。
【0045】
レベル測定センサー及び/又は圧力測定センサーを収容するフランジ48が、圧力容器に配置される。
図5を参照されたい。
【0046】
タンクプロセスライン及び/又は入口5は、手動ボールバルブ49に流体接続され、タンク吸引ライン及び/又は吸出口7は、手動ボールバルブ50に流体接続されている。ボールバルブ49、50は、必要とされる場合にタンクを手動で空にすることを可能にするとともに、後述する取付けフレームとは独立したタンクの使用を可能にする。
【0047】
圧力容器3は、任意の好適な材料で製造することができる。一般に、圧力容器はステンレス鋼で作製されるが、例えば、炭素繊維、アクリルポリマー、強化ガラス繊維を含むポリマー複合材料、それらの組合せ等の、必要な特性を有する透明な材料で作製することも有利であり得る。
【0048】
圧力容器は、上側端部キャップ29に配置されている、例えば20インチの大型のフランジ51を特徴とする。この大型のフランジにより、ブライン濾過等の仕上げ流体処理のためのフィルターユニット52又は流体を混合するための撹拌器53を圧力容器に備え付けることが選択可能になる。フィルターユニット52を特徴とする圧力タンクの一実施形態は、
図6に示されており、撹拌器53を特徴とする圧力容器は、
図7に示されている。
【0049】
本発明に係るモジュラータンクシステムにおいて使用される取付けフレーム2の一実施形態が、
図8〜
図14に示されている。取付けフレームは、2つのベースフレーム15を備える。各ベースフレーム15は、第1の対の平行な側壁54及び第2の対の平行な側壁55を備える実質的に矩形のフレームを形成する形材ビームを含む。底部プレート59が矩形フレームに取り付けられ、搭載された圧力タンク1からの流出液を回収することができるドリップトレイを提供する。ドリップトレイを空にするための流出口58が、側壁54のうちの一方に構成されている。搭載された圧力タンク2を係止する前に適切な位置にガイド及び保持するためのガイドブラケット61が、取付けフレーム2の各隅部に配置されている。フレームプロセスライン16と、フレーム吸引ライン17と、フレーム排出ライン18と、フレームリリーフライン19と、フレーム散水ライン56とは、ベースフレームの内側に配置される。これらのラインのそれぞれは、第1の対の平行な側壁54の間に延在し、これらの第1の対の側壁の双方の外面に対するフレームポート(流体を出入りさせる)を特徴とする。フレームプロセスライン16は、フレームプロセスラインポート24を有し、フレーム吸引ライン17は、フレーム吸引ラインポート25を有し、フレーム排出ライン18は、フレーム排出ラインポート26を有し、フレームリリーフライン19は、フレームリリーフポート27を有し、フレーム散水ライン56は、フレーム散水ラインポート57を有する。
図10を参照されたい。これらのポートは、任意の好適な外部機器に流体接続することができる。このような機器は、例えば、フレームプロセスラインポート24に接続される較正タンク(calibration tank)又は流体ポンプ、フレーム散水ラインポート57に接続されるリグ消火水システム(rig fire water system)等とすることができる。
【0050】
さらに、フレームプロセスライン16は、複数の流体コネクタ20を備え、これらの流体コネクタは、圧力タンク1がベースフレーム15(又は取付けフレーム2)に取り付けられる場合、この圧力タンクのタンクプロセスライン6の第1の流体コネクタ12にそれぞれ接続可能である。同様に、フレーム吸引ライン17は、複数の流体コネクタ21を備え、これらの流体コネクタは、圧力タンク1がベースフレーム15(又は取付けフレーム2)に取り付けられる場合、この圧力タンクのタンク吸引ライン8の第1の流体コネクタ12にそれぞれ接続可能である。フレーム排出ライン18は、複数の流体コネクタ22を備え、これらの流体コネクタは、圧力タンク1がベースフレーム15(又は取付けフレーム2)に取り付けられる場合、この圧力タンクのタンク排出ライン10の第1の流体コネクタ14にそれぞれ接続可能である。フレームリリーフライン19は、複数の流体コネクタ22’を備え、これらの流体コネクタは、圧力タンク1がベースフレーム15(又は取付けフレーム2)に取り付けられる場合、この圧力タンクのタンクリリーフライン11の第1の流体コネクタ14’にそれぞれ接続可能である。フレーム散水ライン56は、複数の流体コネクタ63を備え、これらの流体コネクタは、圧力タンク1がベースフレーム15(又は取付けフレーム2)に取り付けられる場合、この圧力タンクのタンク散水ライン45の第1の流体コネクタ46にそれぞれ接続可能である。
【0051】
2つのベースフレーム15は、ヒンジ60によって旋回可能に接続されている。
図10〜
図13を参照されたい。ヒンジ60は、2つのベースフレームの2つの隣接する側壁に沿って配置され、
図12〜
図14に示されているように、一方のベースフレームを他方のベースフレームの上に折り畳むことを可能にする。2つのベースフレームが折り畳まれると、ベースフレーム15のうちの一方のベースフレームの底部プレート59は、折り畳まれた取付けフレームの上部カバーを形成する。この構成により、すなわち、2つのベースフレームが折り畳まれて箱状構造体にされ、側壁54、55及び底部プレート59が外面を構成することにより、輸送時に、種々のフレームラインの流体コネクタが保護される。ヒンジ60及びガイドブラケット61は、流体コネクタが接触して損傷しないように、折り畳まれた2つのベースフレームの流体コネクタの間に十分な距離を確保する。取付けフレームを折畳み可能とすることは、移送が容易であると同時に、その輸送時に損傷しやすい流体コネクタの損傷のリスクを低減するコンパクトな取付けフレームをもたらす点で、非常に有利である。2つのベースフレームは、折り畳まれると、係止ボルト71を用いて一緒に係止され、取付けフレームは、フレームに配置されている吊上げ用アイボルト72に吊上げ用スリング70を接続することによって容易に移送することができる。
【0052】
本発明に係るモジュラータンクシステムが、
図15〜
図18に示されている。このシステムは、取付けフレーム
2と、取付けフレームに取り付けられる圧力タンク1、1’とを備える。図示のように、圧力タンクは、互いに重ねて(1及び1’)及び/又は並べて(1及び1)積むことができる。フレーム及びタンクは、上述されたとおりである。
【0053】
互いに積み重ねられた2つの圧力タンク1、1’は、
図17により詳細に示されている。上側圧力タンク1’のタンクプロセスライン6’は、上側圧力タンクの第1の流体コネクタ12’と下側圧力タンク1のタンクプロセスライン6の第2の流体コネクタ23との結合部23、12’を介して、下側圧力タンク1のタンクプロセスライン6に流体接続されている。結合部は、保護フレーム4の横ビームの背後に隠れているので、
図17では見えていない。タンクプロセスライン6、6’は、下側圧力タンク1のタンクプロセスライン6の第1の流体コネクタ12を介して、フレームプロセスライン16に更に流体接続されている。第1の流体コネクタ12は、フレームプロセスライン16の流体コネクタ20に結合されている。結合部12、20は、保護フレーム4の下側横ビームの背後に隠れているので、
図17では見えていない。
【0054】
上記で実施されたモジュラータンクシステムは、供給される流体の広範な処理に関して優れた適性をもたらす複数の特徴を有する。しかしながら、より単純な実施形態であっても、装填、貯蔵及び続いての移送以外の更なる処理を必要としない、流出油回収等の仕事用のタンクシステムを提供するので、非常に有利である。モジュラータンクシステムの他の可能な用途としては、洋上でのグリコールの貯蔵、プラットフォーム及びリグの全体停止時の洗浄処理装置に関連する坑井試験保守作業、粉砕作業時、洗浄作業時の仕上げ流体(ブライン)の脱ガス、処理及び循環を含む、スナッビング作業及びコイルチュービング作業等の他の坑井保守作業等における用途が挙げられる。
【0055】
本発明に係るモジュラータンクシステムのいくつかの坑井試験用途の詳細な記載
洗浄流:
洗浄流の供給は、通常、坑井を生産施設に委ねる前に行われる最後の工程である。半潜水型掘削リグは、坑井の掘削と、坑井を完成させるための仕上げとの双方を行う代表的な作業機械である。
【0056】
1つ又は複数の分枝を含む長い水平部分を有する(マルチラテラル)生産井の数が増大している。したがって、このため、坑井を自噴させるために除去しなければならない掘削流体及び仕上げ流体の量が増大している。
【0057】
坑井試験プラントが動員されて坑井に接続され、掘削流体及び仕上げ流体並びに炭化水素を安全に回収する手段を提供する。
図19を参照されたい。
【0058】
種々の液体を分配し、炭化水素を安全に取り扱うための主な設備は以下のものである。
チョークマニホールド63(加圧容器に進入する前に坑井からの流量を調整及び制御する)、
三相分離器64(液体及びガスが分離され、高圧ガスはフレアに経路付けされる)、及び、
較正タンク65(封入されていたガスを排出すると同時に掘削流体及び仕上げ流体を蓄積し、また、原油を分離器から方向転換させることによって原油産出量を確認する手段)。
【0059】
坑井試験施設に対する生産洗浄作業(Production cleanup)は、掘削流体及び仕上げ流体をリグ上の貯蔵設備に取り出し、その後、陸上で専用の処理施設に移送/輸送することを含む。
【0060】
高い貯蔵能力を確実にするために、種々の貯蔵タンク66が一般に用いられている。このようなタンクは、様々な供給業者によって供給されており、25m
3〜最大50m
3の範囲の収容能力を有する。これらのタンクの全ての共通の特徴は、最高許容作業圧力が1.5バールである低い圧力定格を有することである。これらのタンクは、空の状態で輸送する必要がある。操作上、これらのタンクは、掘削流体及び仕上げ流体を可搬スロップタンク内に移送する前に時間を費やす一時的なステップをもたらす。
【0061】
可搬スロップタンク67は、様々な共通業者から膨大な数が生産されている。通常、これらのタンクは、2つのサイズ(2.3m
3及び4m
3〜4.5m
3)で作製され、大気圧定格を有する。したがって、これらのタンクは専ら、人員69によって2インチホースを操作して頂部から(開放したマンホール68を介して)充填される。流量制御を行うには(すなわち過充填を回避するには)、人員が充填中ずっとタンクの上に立っていることが必要である。
図20を参照されたい。人員は、マスク(放出されるガス煙気からの保護のため)と転落防止具とを装備しなければならない。
【0062】
これらの可搬スロップタンク67は、流出液を回収するドリップトレイを備えないので、リグは、不慮の放出液/流出液を捕えるように、タンクの周囲で閉じたシステムになっていることを確実にする必要がある。
【0063】
まとめると、洗浄流用の現行のシステムの液体流路は、以下のとおりである。
試験分離器→較正タンク→30m
3/50m
3タンク→可搬タンク→供給船へのリフト。
【0064】
これに関して、三重スキッドダイアフラム移送ポンプの能力により、較正タンクと可搬タンクとの間での液体移送ステージが洗浄速度に大きな影響を有することは述べる価値がある。洗浄プロセス中の較正タンクの過充填を回避するために、坑井をチョークにおいて抑制し、流量を制限して過充填及び海への放出を回避する必要がある。
【0065】
液体流を30m
3貯蔵タンク又は可搬スロップタンクに直接送る(すなわち較正タンクをバイパスする)ことは、掘削流体/仕上げ流体の高いガス含有量のために禁じられる。
【0066】
本発明に係るモジュラータンクシステム(MTS)を用いることで、液体流路は、大幅に単純化される。
試験分離器→MTS→供給船へのリフト。
【0067】
本発明に係るMTSを備える洗浄流システムの、現在一般的なシステムに比較して著しく小さい空間要件が、
図21に示されている。
【0068】
つまり、MTSは、以下のことを可能にする。
より高い洗浄速度=より高速な緩衝液の取出し/掘削流体及び仕上げ流体の除去=環境への影響の低減(フレアの稼動の低減)。
【0069】
ドリルステムテスト:
ドリルステムテストは、坑底の地層(formation)を単離し、刺激し、流動させ、存在する流体及びその流体の産出可能速度を特定する石油及びガス試掘手順である。
【0070】
DSTの主な目的は、油層又はガス層の産出能力、圧力、浸透率又は範囲を特定することによって、その領域の商業性及び経済性を評価することである。これらの試験は、開放坑井環境及びケーシング坑井環境の双方において実行することができ、油層の性質の貴重な情報を試掘チームにもたらす。
【0071】
この試験は、ドリルステムにおける圧力挙動の重要な測定法であり、地層流体の情報を取得し、坑井が商用炭化水素層を発見したか否かを確かめる貴重な方法である。
【0072】
これらの坑井において掘削流体が戻る量はあまり重要でないが、これは試掘坑井であるので、原油の流量、圧力、並びに発火及び燃焼する際の品質に関しては不明確さが残る。これらの作業での海の汚染リスクは、生産洗浄作業よりも高い。
【0073】
バレンツ海は、石油会社及びリグが環境への影響により慎重かつ保護的である典型例の場所である。
【0074】
MTSは、原油を燃やすことを必要とせずに必要なデータを収集/取得するのに十分長い自噴期間を実現する、リグ上の液体収容能力を提供することができる。
【0075】
試掘設備の一例が、
図22に示されている。
【0076】
結論として、本発明は、以下の理由から複数の利点を有するモジュラータンクシステムを提供する。
現在のように30m
3〜50m
3貯蔵タンクと可搬貯蔵タンク(スロップタンク)とを組み合わせることの必要性を排除する。
デッキスペースのより適切な使用と、より多量の掘削流体を扱えるように表面上の貯蔵容積の増大とをもたらす。したがって、掘削流体がなくなるまで坑井を自噴させ続ける見込み時間が増大する。
荷重搬器の量を減少させる。
生産井の介入及び試運転、坑井試験洗浄及び試掘等の動的な坑井作業を直接行う人員の安全を向上させ、危険を低減させる。
生産井の初期始動時における掘削流体及び仕上げ流体のより高速かつより効率的な除去をもたらし、収容能力の問題及び/又は移送の制限による不所望な作業停止を回避する。
より効率的な洗浄作業により、環境への影響を低減させる。
試掘において原油を収集する手段を提供し、原油燃焼に関連する環境へのリスクを最低限に抑える。
高温作業/海底への固定及び全体的なリグアップ時間を低減させる。
陸上及び洋上での油流出等の緊急対応シナリオに沿った一時的貯蔵システム(貯蔵所)の素早い動員を可能にする。
再使用のために仕上げ流体を処理する(仕上げ流体から脱ガスする/溶存ガスを除去する)。