(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6669850
(24)【登録日】2020年3月2日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】プレイングカードの包装箱
(51)【国際特許分類】
A63F 1/06 20060101AFI20200309BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20200309BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
B65D5/54 301H
B65D5/54 301R
B65D85/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-246617(P2018-246617)
(22)【出願日】2018年12月28日
(62)【分割の表示】特願2017-227770(P2017-227770)の分割
【原出願日】2012年8月5日
(65)【公開番号】特開2019-93153(P2019-93153A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルプレイングカード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230120651
【弁護士】
【氏名又は名称】山口 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
【審査官】
高木 亨
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/069708(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/06
B65D 5/54
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立てられた状態で、前後面、左右側面、上下面の6面を備えた直方体形状を有するプレイングカードの包装箱であって、
前記包装箱の中の前記プレイングカードにカットカードを挿入するために前記プレイングカードの一部分が露出されるように、前記包装箱の左右の側面の少なくとも一方を取り外すことが可能となる、前記包装箱の長手方向に形成された少なくとも一つのカット線、
前記カットカードを挿入するために前記包装箱の側面が取り外されたとき、前記包装箱の残りの部分に前記プレイングカードのセット毎に固有のIDを表すコードが含まれるように最初に取り外すべき前記包装箱の一部分を示す表示、を備えた、プレイングカードの包装箱。
【請求項2】
前記包装箱の上面に、前記包装箱の上面もしくはプレイングカードの正しい向きを示す表示をさらに備えた、請求項1に記載のプレイングカードの包装箱。
【請求項3】
前記包装箱を取り外す手順を示す表示をさらに備えた、請求項1または2に記載のプレイングカードの包装箱。
【請求項4】
前記コードは、それぞれのシャッフルプレイングカードのセットごとに異なるIDを示す、バーコードまたはRFIDの少なくとも一つを含む、請求項1から3のいずれかに記載のプレイングカードの包装箱。
【請求項5】
前記少なくとも一つのカット線は、一対のカット線である、請求項1から4のいずれかに記載のプレイングカードの包装箱。
【請求項6】
一対のカット線を備え、一方のカット線で前記包装箱の左側面を取り外すことが可能となり、もう一方のカット線で前記包装箱の右側面を取り外すことが可能となる、請求項1から5のいずれかに記載のプレイングカードの包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイングゲームに用いられるプレイングカードに関し、特に、ランダムにシャッフルされた(切り混ぜられた)状態で個別包装されたシャッフルプレイングカードと、プレイングカードを個別包装するための包装箱およびシャッフルプレイングカードをカードシュータ等にセットする収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポーカー、バカラ、ブリッジ、またはブラックジャック等の各種のプレイングゲームにおいては、ディーラーが、1デッキもしくは複数デッキのプレイングカードをカードシュータ等にセットし、そこから一枚ずつ繰り出して、ゲーム参加者にカードを配る。このとき、ゲームの公平性を担保するために、それらのカードをランダムに配る必要があるので、ゲーム主催者は、カードシュータにセットする前に、プレイングカードを十分にランダムにシャッフルしてプレイングカードの配列をそれぞれ異なるものにして置かなければならない。
【0003】
なお、カードをシャッフルするための従来のカードシャッフル装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO 2009/069708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポーカー、バカラ、ブリッジ、またはブラックジャック等の各種のプレイングゲームにおいて使用するシャッフルプレイングカードは、通常8デッキのものであれば416枚のカードで構成される。8デッキのものであればカードが416枚で構成され約125センチメートル(cm)の嵩となる。このため、ディーラーがこの416枚のプレイングカードを一度にカードシュータ等にセットしようとするときに、カードがバラけてうまく収納できないという問題が生じる。このため、ゲームの効率的な運用を妨げる要因となっていた。また、収納時にカードの抜き差しや差し替え等の不正行為が行われる余地があるという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであって、ゲームに先立ちゲーム主催者がカードシュータ等にセットすることが容易になり、かつ、不正行為の入り込む余地のないプレイングカードの包装箱、シャッフルプレイングカードおよびシャッフルプレイングカードをカードシュータ等にセットする収納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかるプレイングカードの包装箱は、組立てた状態で、プレイングカードの全周を包む前後面、左右側面、上下面の6面を備えた立方体形状を有し、立方体形状の長手方向に平行にカット線を備えるジッパーもしくは切取り部を所定の間隔をおいて2か所に備え、前記2か所のジッパーもしくは切取り部により区画される中央部分に中央帯を備えた、包装箱であって、ジッパーもしくは切取り部を取除くことにより、包装箱の前記左右の側面がそれぞれ外れて前記プレイングカードの側面が露出可能な構成を備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかるシャッフルプレイングカードは、所定数のデッキを構成するプレイングカードがシャッフルされた状態で、全周を包むように包装箱に収納され、前記包装箱は、前後面、左右側面、上下面の6面を備えた立方体形状を有し、立方体形状の長手方向に平行にカット線を備えるジッパーもしくは切取り部を所定の間隔をおいて2か所に備え、前記2か所のジッパーもしくは切取り部により区画される部分に中央帯を備えた構成であり、ジッパーをジッパー線もしくはカット線に沿って取除くことにより、前記包装箱の前記左右の側面をそれぞれ外して前記プレイングカードの両側面が露出可能な状態となる構造の前記包装箱に収納されて封印されたものである。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかるシャッフルプレイングカードの収納方法は、所定数のデッキを構成するプレイングカードがシャッフルされた状態で、全周を包む包装箱に収納された状態とし、包装箱は、前後面、左右側面、上下面の6面を備えた立方体形状を有し、立方体形状の長手方向に平行にカット線を備えるジッパーもしくは切取り部を所定の間隔をおいて2か所に備え、前記2か所のジッパーもしくは切取り部により区画される部分に中央帯を備えた構成のものを使用し、前記ジッパーもしくは切取り部を取除くことにより、前記包装箱の前記左右の側面がそれぞれ外れて前記プレイングカードの側面が露出可能な前記包装箱に収納されて封印されたシャッフルプレイングカードを、プレイングゲームのためのシューのカード収納部に収納する方法であって、前記シャッフルプレイングカードの収納された前記包装箱の前記ジッパーもしくは切取り部の一つを取除いて、前記包装箱の左右の側面の一方を外して前記包装箱内のカードの一側面を露出する第一の側面露出ステップ、前記包装箱の前記ジッパーもしくは切取り部の他の一つを取除いて、前記包装箱の左右の側面の両方を外して前記包装箱内のカードの両側面を露出して前記中央帯のみによって前記シャッフルプレイングカードが保持可能な状態にする第二の側面露出ステップ、前記中央帯の角部を介して前記シャッフルプレイングカードをつかんで持ち上げることにより、前記シャッフルプレイングカードを持ち上げるステップ、前記シューの前記カード収納部に前記シャッフルプレイングカードと前記中央帯とを収納する収納ステップ、前記中央帯を破って前記中央帯を取り除き、前記シャッフルプレイングカードだけを前記カード収納部に残す、収納完了ステップ、とからなるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カードゲームで使用する所定数のデッキのシャッフルプレイングカードの取扱いを容易にし、シューへのカードのセットを安全かつ確実に行うことが出来、カジノでのゲームの作業性が向上するとともに作業コストの削減と安全に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)本願発明の実施の形態1のシャッフルプレイングカードを包装する包装箱の斜視図、(b)シャッフルプレイングカードを包装する包装箱の一部破断し一部カードを見せた状態の斜視図。
【
図2】本願発明の実施の形態1のシャッフルプレイングカードの両側面が露出した状態の斜視図。
【
図3】同シャッフルプレイングカードのプレイングカードの包装箱の底面図。
【
図4】同シャッフルプレイングカードにカットカードを挿入する状態を示す説明図。
【
図5】同シャッフルプレイングカードをシュータへ収納する状態を示す概略説明図。
【
図6】同シャッフルプレイングカードをシュータへ収納する手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態1について図面を参照しながら説明する。
図1(a),(b)は、実施の形態1のシャッフルプレイングカードを包装する包装箱の斜視図である。シャッフ
ルプレイングカード1の包装箱2は、組立てた状態においてシャッフルプレイングカード1の全周を包むように前面3と後面4、左側面5と右側面6、上面7、下面8の6面を備えた立方体形状を有している。包装箱2は、立方体形状の長手方向(矢印L)に平行にジッパー状のカット線10を備えるジッパー11を所定の間隔をおいて2か所に備え、2か所のジッパー11により区画される中央部分に中央帯12を備えている。中央帯12は他の部分と判別しやすいように着色されている(
図1〜4では着色を省略している)。後に詳細を説明するが、2つのジッパー11をジッパー線や直線スリット13からなるカット線10に沿って取除くことにより、包装箱2の左右の側面5,6がそれぞれ外れてシャッフルプレイングカード1の両側面が露出可能な構成となっている。なお、前記ジッパー11は変形例として糸等でカット線10を切り離すようにした切取り部に変更できる。
【0013】
図2は、同シャッフルシャッフルプレイングカード1の両側面1sを露出した状態を示す斜視図である。シャッフルプレイングカード1は、所定数のデッキをから構成され例えば8デッキのシャッフルプレイングカード1は、416枚のカードから構成され予め公知のカードシャッフル装置でランダムな配列にシャッフルされた状態で、全周を包む包装箱2に収納されてた後にシール材やシュリンク状の包装材で封印されてカジノ等に供給される。なお、それぞれのシャッフルプレイングカード1を収納した包装箱1には異なるIDコード(アイデンティフィケーションコード)を付したバーコード(シールを兼ねる)14が貼られている状態を示す。シャッフルプレイングカード1はシャッフルされてそれぞれが異なるカード配列を有するユニークなものであり、これを特定するためにIDコードがバーコード14あるいはQRPコードに表現して用いられる。
【0014】
次に、
図5、6を用いて、シャッフルプレイングカード1をカジノ等で使用するシュータ15へ収納する方法について説明する。シャッフルプレイングカード1をカジノ等で使用するカードシュータ15へ収納する時には、前述のとおりジッパー11をジッパー線などのカット線10に沿って取除いて包装箱2の左右の側面5,6それぞれ外し、
図2、
図5に示すようにシャッフルプレイングカード1の両側面1sを露出させた状態にした後に、中央帯12の角部においてシャッフルプレイングカード1をつかんで持ち上げ、そのあと
図5に示すようにプレイングゲームのためのカードシュータ15のカード収納部16に収納する。以下にその詳細ステップを説明する。
【0015】
シャッフルプレイングカード1が収納された包装箱2には、
図1に示すようにジッパー11を取除く順番(1)から(3)が各ジッパー11に印刷(丸印の番号で示す)されている。この順番に従い、
図6中の1に示すように、まずジッパー11の左側を取除いて、包装箱2の左の側面5を外して包装箱2内のシャッフルプレイングカード1の一側面を露出する(第一の側面露出ステップ)。この第一の側面露出ステップで、カジノにおいて適宜シャッフルトランプカード1の使用を途中で停止するためのカットカード17をシャッフルプレイングカード1に挿入するカードカットステップを更に備えてもよい。
図4はそのカードカットステップの様子を示す。カットカード17をシャッフルプレイングカード1に挿入する際には、カジノのプレーヤ(お客様)に挿入をお願いするため、カットカード17の挿入時に挿入位置におけるカード1のインデックス100が見えると不正が行われる恐れがある。このため、カットカード17を入れる際には、シャッフルプレイングカード1のインデックスが印刷されていない側(上面7の左上)が上になるように、予めシャッフルプレイングカード1が収納箱2に収納されている(
図4参照)。シャッフルプレイングカード1の露出した左側面1sにカットカード17を入れることが出来るよう、ジッパー11を取除く順番を各ジッパー11に印刷した丸印の番号で指定している。
【0016】
次に、
図6中の説明番号2から3に示すように、包装箱2のジッパー11の残りのもう一つの側を順番(2),(3)に従い取除いて、包装箱2の右側面6を外して包装箱2内のシャッフルプレイングカード1の両側面を露出させ、中央帯12のみでシャッフルプレ
イングカード1が包まれた状態にする(第二の側面露出ステップ)(
図2参照)。次に、
図6中の説明番号の4に示すように、中央帯12の後ろ角を摘んでシャッフルプレイングカード1を中央帯12と一緒に持ち上げる(持上げるステップ)。シャッフルプレイングカード1を中央帯12と一緒に持ち上げた状態で、
図5に示すようにカードシュータ15のカード収納部16にシャッフルプレイングカード1と中央帯12とを収納する(収納する収納ステップ)。次に、中央帯12の一部(例えば破断線18において破り、中央帯12をカード収納部16から取除き、シャッフルプレイングカード1だけをカード収納部16に残して収納が完了する(収納完了ステップ)。なお、
図4に示すように中央帯12にはIDコード(バーコード等)のバーコード14が残るようになっている。中央帯12にIDコード(バーコード等)のバーコード14が残るようになっているため、中央帯12を捨てずに残しておき、シャッフルプレイングカード1をゲーム使用後にまとめて廃棄等する際に、シャッフルプレイングカード1の廃棄用カートンバックに廃棄カードを入れ、IDコード(バーコード等)のバーコード14のついた中央帯12を添付して廃棄すると、バーコード14をリーダ(図示せず)により読み取ることでシャッフルプレイングカード1の廃棄の個別管理がカードシュータ15のカード収納時と連動してコンピュータ等で行えて有利である。
【0017】
本実施の形態1では、包装箱2の上面7には、上面であることを表示する(UPPER)と共にカード収納部16に挿入する時のシャッフルプレイングカード1の方向を示す(シャッフルプレイングカード1の表裏を示す)矢印19を有しているのでカードシュータ15への収納方向が間違いなく行える。カードシュータ15にシャッフルプレイングカード1を収納するときは、カードの裏柄が前になるよう収納するのが通常である。さらに包装箱2の中央帯12には、摘んで持ち上げる個所を示す印(マーク20)が印刷されており、持ち上げ個所が容易に発見できる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明にかかるテーブルゲームに使用するシャッフルプレイングカード、シャッフルプレイングカードの収納箱およびカードシュータへの収納方法は、複数のデッキのシャッフルプレイングカードの取り扱いが容易で、カードシュータへの収納が間違いなく行えるのでカジノなどのテーブルゲームに有用である。
【符号の説明】
【0019】
1 シャッフルプレイングカード、2 包装箱、3 前面、4 後面、5 左側面、6
右側面、7 上面、8 下面、10 カット線、11 ジッパー、12 中央帯、14
バーコード。