【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、独立請求項の主題が創出されることで解決される。有利な実施形態は、従属請求項から得られる。
【0007】
特に、上記の課題は、自動運転プロセスが実行され、自動車の自動減速に第1のブレーキ装置が使用される、自動車の運転方法が創出されることで解決される。自動運転プロセス中は、自動車の少なくとも1つの運転パラメータが検知される。少なくとも1つの運転パラメータが所定の検証基準を満たしているかどうかが検証される。自動車は、少なくとも1つの運転パラメータが検証基準を満たしていない場合には、第2のブレーキ装置によって自動で減速される。したがって、間接的に、運転パラメータ又は検証基準を用いて、第1のブレーキ装置の故障を、従来比でより早く検知することができることから、従来比でより早くフォールバックレベルへの切り換えが行われ、第2のブレーキ装置がアクティブ化できる。このアプローチは、第1のブレーキ装置が自立的に故障を検知する、これを通知する、及び/又は劣化することとは無関係である、自動運転プロセス中の車両状態の上位でのモニタリングを可能にする。第2のブレーキ装置の従来比でのより早いアクティブ化によって、自動車の最大可能停止距離が短くなる。
【0008】
本願において、特に、自動運転プロセスは、自動車が自立的に、すなわち、ドライバの介入なしに走行する、自動車の走行モードの意味で理解される。好ましくは、自動運転プロセスは、ドライバが自動車車内にいないプロセスである。好ましくは、自動運転プロセスは、自動入庫又は出庫プロセスである。
【0009】
特に、自動車の運転パラメータは、自動車の瞬間的な走行状態の特徴を示すパラメータの意味で理解される。特に、運転パラメータは、第1のブレーキ装置の状態ではなく、特に、検知された故障のケース及び/又はこれに対応する通知ではない。むしろ、これに基づいて、第1のブレーキ装置の状態、特に、故障のない又は故障時の動作が推論できる自動車の状態を説明する、上位のパラメータに当たる。
【0010】
特に、第2のブレーキ装置は、第1のブレーキ装置とは相違する。これは、第1のブレーキ装置及び第2のブレーキ装置が互いに全く別個のもので、したがって全ての部分において異なることを必ずしも意味しない。むしろ、第2のブレーキ装置及び第1のブレーキ装置が同一の部品、たとえば車輪ブレーキ、又は少なくとも一部が同一の液圧ブレーキ回路の一部をなすことも可能である。重要な点は、第2のブレーキ装置及び第1のブレーキ装置が、独立したブレーキ増圧及び/又は独立したブレーキの開始を可能にすることで、実際に、第2のブレーキ装置が、第1のブレーキ装置が故障した場合のフォールバックレベルとなるという意味で互いに独立していることである。
【0011】
好ましくは、第1のブレーキ装置は、特に液圧ブレーキ圧の生成装置、たとえば電気式及び/若しくは電子式のブレーキ倍力装置並びに/又は電子式の制動力配分システムを備えることができる自動車のサービスブレーキである。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの運転パラメータが検証基準を満たしていない場合には、自動車は、第2のブレーキ装置によって停止状態まで減速される。これは、自動車が確定的に安全な状態に移行されるという利点を有する。
【0013】
好ましい実施形態によれば、自動車が停止状態で安全を確保されることで、少なくともドライバの介入がなければ、自動車がこれ以上移動できないように措置される。
【0014】
特に好ましくは、その後、安全な、かつ、好ましくは、安全を確保された状態で、ドライバへの引継ぎが行われる。したがって、自動運転プロセスは中断される。ここで、通常、車両が、長時間駐車できる終了位置にはまだ到達していないことが前提とされる。それゆえ、車両がドライバに確定的に引継がれることで、このドライバが車両を終了位置に移動させることができることは意味を持つ。
【0015】
本発明の変更形態に従って、少なくとも1つの運転パラメータが、自動車の瞬間速度、瞬間加速度及び瞬間ヨーレートから成る群から選択されるよう措置される。ここで、加速度は、正及び負の加速度の意味にも、特に減速度の意味にも理解される。かかる運転パラメータのうち少なくとも1つを用いて、自動運転プロセス中の自動車の状態をモニタリングし、特に、第1のブレーキ装置が所期のとおりに動作しているか容易に検証することができる。
【0016】
好ましくは、自動車の瞬間速度及び/又は瞬間加速度の検知のために、自動車の少なくとも1つの車輪において、回転数センサが使用される。特に、冗長を達成するために、自動車の各車輪に回転数センサが割り当てられ、少なくとも1つの運転パラメータを検知するために、好ましくは全ての回転数センサが利用される。
【0017】
特に、有利には、自動入庫又は出庫プロセスにおいて、瞬間速度及び/又は瞬間加速度が、運転パラメータとして使用できるが、これは、ここでは、自動車が小さい速度及び加速度しか有していないからである。
【0018】
本発明の変更形態に従って、検証基準として、自動車の瞬間減速度が、第1のブレーキ装置に対する瞬間目標設定値に対応するかどうかが使用されるよう措置される。したがって、ここでは特に減速度の意味の瞬間加速度が観察され、かかる瞬間加速度が、第1のブレーキ装置が瞬間目標設定値に従って正しく動作している場合に得られる、特に所定の公差の範囲内となる瞬間加速度について予測される数値に対応するかどうかが検証される。したがって、一方では、目標制動トルク、液圧ブレーキ回路の目標体積流量の設定値、液圧ブレーキ回路の目標ブレーキ圧として、又はその他の形で設定できる瞬間目標設定値の形で、第1のブレーキ装置に対するリクエストが実行される。第1のブレーキ装置の瞬間目標設定値から、減速度の目標値が計算でき、この減速度の目標値は、今度は、この値が実際に検知される瞬間加速度に、特に所定の公差の範囲内で一致しているかどうかという点で検証される。この条件が成り立つ場合には、第1のブレーキ装置が故障なしで機能していることを前提としてよい。この条件が成り立たない場合には、第1のブレーキ装置がかかる状況そのものを検知しておらず、これに対応して劣化する事態になっていないとしても、明らかに第1のブレーキ装置は機能していない。ここで、すぐに、自動車を減速させるために、第2のブレーキ装置を利用することができる。
【0019】
追加的又は代替的に、好ましくは、検証基準として、自動車の瞬間速度が第1のブレーキ装置に対する瞬間目標設定値に対応するかどうかが使用される。瞬間加速度の代わりに、瞬間速度も利用できるが、これは、かかる瞬間速度も、特に、以前の時点の既知の速度、及び、第1のブレーキ装置に対する瞬間目標設定値、又は、時間の経過で見た、一連の過去のかかる目標設定値に基づいて予測できるからである。好ましくは、自動車の速度が、第1のブレーキ装置に対する目標設定値に基づいて、予想される変化に従って減少するかどうかが検証される。この条件が成り立たない場合には、第1のブレーキ装置の故障を前提としてよい。
【0020】
追加的又は代替的に、好ましくは、検証基準として、自動車の瞬間速度が、自動運転プロセスの所定の限界速度より小さいかどうかが使用されるよう措置される。好ましくは、かかる限界速度は、実際に存在する自動運転プロセスについて確定される。ここで、特に自動入庫又は出庫プロセスのために、たとえば最低2km/hから最高7km/hに達することがある、所定の上限の速度閾値が設定される。これは、かかる自動運転プロセスが制御可能である範囲の速度である。自動車の制御は、自動運転プロセスにおいて、特に第1のブレーキ装置の制御によって、上限の速度閾値を上回ることのないよう配慮する。
【0021】
好ましくは、限界速度は、発生する可能性のある行過ぎ量を考慮に入れることで、本願で説明する機能のロバスト性を高めるために、自動運転プロセスの上限の速度閾値より高くなるように、たとえば9km/hとなるよう選択される。この限りにおいて、自動運転プロセス中に正常に動作する第1のブレーキ装置の場合に、限界速度が達成されないことも確保される。この速度が達成されるかこれを上回った場合には、第1のブレーキ装置の故障を前提としてよい。ここで、ドライバへの引継ぎが行われる必要がある。しかし、まず自動車は停止状態まで減速され、安全が確保される必要があるが、これは、ドライバが、好ましくは自動車の車外に位置しているからである。
【0022】
本発明の変更形態に従って、検証基準が、第1のブレーキ装置が自動車の減速のために制御されている場合に限り適用されるよう措置される。検証基準が適用されることは、特に、対応する検証が実行されることを意味する。本願に示した実施形態は、特に、少なくとも1つの運転パラメータが、第1のブレーキ装置に対する瞬間目標設定値との関連で検証される場合に意味を持つ。この場合、第1のブレーキ装置の故障は、第1のブレーキ装置が、実際に自動車の減速のためにも制御されている場合に限り、確実に確定できる。
【0023】
追加的又は代替的に、好ましくは、検証基準が、第1のブレーキ装置の状態とは無関係に、特に第1のブレーキ装置の制御とは無関係に適用されるよう措置される。これは特に、自動車の瞬間速度が、所定の限界速度と比較される場合に、可能となり意味を持つ。すなわち、第1のブレーキ装置が瞬間的に制御されているか否かとは無関係に、この限界速度を上回ることは認められない。それゆえ、いずれにしても、この限界速度を上回った場合には、自動車を減速することが重要となる。
【0024】
もちろん、以上示した方法の形態は、互いに組み合わせることもできる。ここで、自動運転プロセスのいかなる運転状況においても、第1のブレーキ装置が機能しているかどうか、及び、自動車の瞬間速度が、所定の限界速度を下回るレベルにとどまっているかどうかを確実かつ迅速に検証することが可能となる。
【0025】
本発明の変更形態に従って、第1のブレーキ装置が故障についてモニタリングされ、第1のブレーキ装置の故障が検知された場合には、第2のブレーキ装置が制御されるよう措置される。好ましくは、第1のブレーキ装置のモニタリングは、長時間、特に連続的又は周期的に行われる。好ましくは、第1のブレーキ装置のモニタリングは、以上説明した措置に追加して行われる。こうして、第1のブレーキ装置の故障がこの第1のブレーキ装置そのものによって検知できることから、必要があれば、第1のブレーキ装置はさらに劣化することもできる。したがって、第1のブレーキ装置の故障が検知されると、好ましくはこの第1のブレーキ装置は劣化し、次いで第2のブレーキ装置が制御される。
【0026】
本発明の変更形態に従って、第2のブレーキ装置の制御の後に、第1のブレーキ装置も制御されるよう措置される。これは、特に、たとえば、第1のブレーキ装置は液圧式で動作する一方、第2のブレーキ装置が電動機で動作することが理由で、第2のブレーキ装置が第1のブレーキ装置より大幅に低い動的特性を有する場合に意味を持つ。
【0027】
好ましくは、第2のブレーキ装置によって、自動車が停止状態まで減速された時に、自動車の安全が確保されるよう措置される。ここで、特に、第2のブレーキ装置が、特にこの第2のブレーキ装置が自動パーキングブレーキとして形成された場合に、ロックされることが可能となる。追加的又は代替的に、伝動爪が挿入されるか、又は他の好適な方法で、自動車の自立的な転動が防止されることが可能となる。これが、自動車の安全確保及び安全なドライバへの引継ぎを可能にする。
【0028】
好ましくは、第2のブレーキ装置によって、自動車が停止状態まで減速された時に、かつ、好ましくは、停止状態で自動車の安全が確保された後に、ドライバへの引継ぎが行われるよう措置される。ドライバへの引継ぎは、自動車が、おそらく第2のブレーキ装置による停止状態までの減速の後、まさに発生した故障が理由で、所定の終了位置まで到達せず、確定しない形で任意の場所に停止し、場合によって交通の妨げとなるため意味を持つ。
【0029】
最後に、本発明の課題は、以上説明した方法の実施形態のいずれかの実行のために設けられたブレーキシステムの制御装置が創出されることでも解決される。ここで、制御装置との関連で、特に、以上において方法との関連で説明された利点が実現する。
【0030】
制御装置が、自動車の制御装置として形成されることが可能である。
【0031】
最後に、本発明の課題は、第1のブレーキ装置及び第2のブレーキ装置を備え、さらに、以上説明した実施形態のいずれかに記載の制御装置を備える自動車のブレーキシステムが創出されることでも解決される。こうして、ブレーキシステムとの関連で、以上において方法及び制御装置との関連で説明された利点が実現する。
【0032】
好ましくは、ブレーキシステムは、自動車のブレーキシステムである。特に、ブレーキシステムの制御装置は、自動車の制御装置であるとすることができる。
【0033】
本発明の変更形態に従って、第2のブレーキ装置は自動パーキングブレーキ装置(APB)として形成される。好ましくは、かかる自動パーキングブレーキ装置は、電動機でアクティブ化され、それゆえ、第1のブレーキ装置の液圧ブレーキ圧から独立している。こうして、自動パーキングブレーキ装置は、特に、第1のブレーキ装置のフォールバックレベルとして好適である。一方、電動機によるアクティブ化が理由で、自動パーキングブレーキ装置は、第1のブレーキ装置に比べて明らかに低い動的挙動を有することから、自動パーキングブレーキ装置の制御の後は、これに加えて第1のブレーキ装置もアクティブ化しようとすることが意味を持ちうる。
【0034】
最後に、本発明には、以上説明した実施形態のいずれかに記載のブレーキシステムを備える自動車も含まれる。ここで、自動車との関連で、以上において、方法、制御装置及びブレーキシステムとの関連で説明された利点が得られる。
【0035】
以下において、本発明は、図面を用いてより詳細に説明される。ここで、図面は、それぞれ以下を示す。