(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6669881
(24)【登録日】2020年3月2日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】自動車の運転者アシストシステムのためのレーダーセンサ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/40 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
G01S7/40 108
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-539986(P2018-539986)
(86)(22)【出願日】2016年12月29日
(65)【公表番号】特表2019-503491(P2019-503491A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】EP2016082805
(87)【国際公開番号】WO2017137136
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2018年7月31日
(31)【優先権主張番号】102016202112.5
(32)【優先日】2016年2月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シュタインブッハ,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】モウトゥルバウアー,カリン
(72)【発明者】
【氏名】オット,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュタインハウエル,マティアス
【審査官】
田中 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−194448(JP,A)
【文献】
特開2010−066069(JP,A)
【文献】
実開平2−099379(JP,U)
【文献】
特開2006−267036(JP,A)
【文献】
特開平03−031783(JP,A)
【文献】
特開2006−003097(JP,A)
【文献】
特開2004−294223(JP,A)
【文献】
特開2002−071787(JP,A)
【文献】
特開平08−146125(JP,A)
【文献】
米国特許第9746545(US,B1)
【文献】
中国特許出願公開第103713279(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 − G01S 7/42
G01S 13/00 − G01S 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー信号を送信および受信するための送受信装置(10)と、受信された信号を評価するための電子評価装置(12)と、レーダーセンサの動作機能を制御するための電子制御装置(14)と、前記レーダーセンサの動作パラメータを検知するため、および検知されたパラメータをそれぞれの目標値と比較するための自己監視装置(22,24,26)とを有する、自動車の運転者アシストシステムのためのレーダーセンサにおいて、動作パラメータのうちの少なくとも1つを変更するための調節装置(28)と、当該パラメータをその目標値に合わせて制御するための制御回路とを有し、
複数の送信チャネルを有し、前記調節装置(28)が前記送信チャネルに備えられ、
前記調節装置(28)において、発振器(34)から送信された信号が、前記動作パラメータに基づき補正されるものであり、
前記動作パラメータは前記送信チャネル間の信号の振幅差(ΔA)であることを特徴とするレーダーセンサ。
【請求項2】
レーダー信号を送信および受信するための送受信装置(10)と、受信された信号を評価するための電子評価装置(12)と、レーダーセンサの動作機能を制御するための電子制御装置(14)と、前記レーダーセンサの動作パラメータを検知するため、および検知されたパラメータをそれぞれの目標値と比較するための自己監視装置(22,24,26)とを有する、自動車の運転者アシストシステムのためのレーダーセンサにおいて、動作パラメータのうちの少なくとも1つを変更するための調節装置(28)と、当該パラメータをその目標値に合わせて制御するための制御回路とを有し、
複数の送信チャネルを有し、前記調節装置(28)が前記送信チャネルに備えられ、
前記調節装置(28)において、発振器(34)から送信された信号が、前記動作パラメータに基づき補正されるものであり、
前記動作パラメータは前記送信チャネル間の信号の位相差(Δφ)であることを特徴とするレーダーセンサ。
【請求項3】
前記レーダーセンサの温度を測定するための検知装置(24)を有する、請求項1または2に記載のレーダーセンサ。
【請求項4】
前記自己監視装置(22,24,26)は、レーダー信号が送信されるタイムスパン(60)がレーダー信号が送信されないポーズ(62)により中断されるように前記送受信装置(10)を制御するために構成されており、ポーズ(62)の長さは測定された温度に依存する、請求項3に記載のレーダーセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダー信号を送信および受信するための送受信装置と、受信された信号を評価するための電子評価装置と、レーダーセンサの動作機能を制御するための電子制御装置と、レーダーセンサの動作パラメータを検知するため、および検知されたパラメータをそれぞれの目標値と比較するための自己監視装置とを有する、自動車の運転者アシストシステムのためのレーダーセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のための運転者アシストシステム、たとえば車間距離制御システムや衝突警告システムでは、交通状況を検出するために、特に他の交通関与者の位置特定をするために、レーダーセンサが利用される。安全性の理由から、このようなレーダーセンサでは、センサが実際に機能性を有していて、それに応じてレーダーセンサによりサポートされるアシスト機能が実際に利用性を有し、高い信頼度で作動しているかどうかが継続的にチェックされるべきである。この目的に資するのが、レーダーシステムのさまざまな重要な動作パラメータが監視される自己監視装置である。
【0003】
特許文献1より、自己監視装置がレーダーセンサのブラインドを認識する役目を果たす、このような種類のレーダーセンサが公知である。
【0004】
たとえば送信されるレーダー信号の振幅や出力レベル、異なる送受信チャネルの信号の間の振幅差と位相差など、その他の動作パラメータを監視することも知られている。このようなパラメータに関して、目標値と実際値の間の検知された差異が許容される許容範囲外にあると、このことはレーダーセンサの自動停止をもたらし、該当するアシスト機能が利用できないという警告通知が自動車の運転者にインストルメントパネルで表示される。
【0005】
自動車のための運転者アシストシステムは一般に安全性関連のシステムであるため、レーダーセンサの申し分のない動作をいかなる場合にも確保するために、レーダーセンサの重要な動作パラメータについては厳しい許容限度しか許容することができない。しかし許容限度が厳しくなるほど、運転者にエラー信号が表示される状況の頻度も高くなる。そのために、運転者アシストシステムの受け入れが制約されかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第19945250A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、機能信頼度を制限することなく、いっそう高い利用可能性を有しているレーダーセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は本発明によると、動作パラメータのうちの少なくとも1つを変更するための調節装置と、当該パラメータをその目標値に合わせて制御するための制御回路とによって解決される。
【0009】
たとえば温度要因、経年劣化現象、コンポーネント故障などに基づき、監視される動作パラメータのうちの1つがドリフトを有していて、その目標値から次第に離れていくとき、制御回路およびこれに付属する調節装置は、許容される許容範囲から外れる前に、当該パラメータをその目標値に戻るように制御することを可能にする。それにより、少なくとも調節装置の調節範囲が消尽されるまでは、レーダーセンサの機能が維持される。このようにして、レーダーセンサの利用可能性を大幅に高めることができ、パラメータの目標/実際誤差によって誤機能のリスクが高まることがない。
【0010】
本発明の好ましい実施形態と発展例は従属請求項に記載されている。
【0011】
1つの実施形態では、監視される動作パラメータのうちの1つは、送信されるレーダー信号の振幅または出力である。調節装置は、このケースでは、振幅または出力が目標値に合わせて制御される制御可能な増幅器である。
【0012】
典型的な場合、自動車のためのレーダーセンサは複数の送信チャネルを有しており、これらを介して複数の送信アンテナに供給がなされる。それによって、ある程度のビームフォーミングを実現することができる。角度分解能型のレーダーセンサでは、複数の受信アンテナとそれに応じた複数の受信チャネルが存在し、その結果、異なるチャネルで受信された信号の振幅および/または位相を比較することで、位置特定された物体の角度見積りが可能となる。このようなケースでは、それぞれ異なる送信チャネルの間の振幅関係および/または位相関係も、監視される動作パラメータに属することができる。同様に、一定の振幅関係および/または位相関係を有するテスト信号を受信チャネルへ供給することも可能である。その場合、異なる受信チャネルでテスト信号について測定される振幅関係および/または位相関係も、監視されるべき動作パラメータに属することができる。振幅関係についての調節装置として、このケースでは制御可能な増幅器が設けられていてよく、位相関係についての調節装置として、制御可能な移相器が設けられていてよい。
【0013】
送受信装置の作動は、レーダーセンサの加熱につながるある程度の損失出力を不可避的にもたらすので、レーダーセンサの温度も監視されるべき1つの主要な動作パラメータとなる。レーダーセンサの過熱を防ぐ調節装置は、連続する測定サイクルの繰り返し周波数を変調する制御装置のモジュールによって形成することができ、それにより個々の測定サイクルの間で、レーダーセンサを冷却することができるポーズが程度の差こそあれ生じることになる。測定サイクルの周波数の低減によってレーダー位置特定の時間解像度は制約されるものの、このことは安全性の観点からすれば、過熱によるレーダーセンサの全失陥よりも害が小さい。
【0014】
次に、図面を参照しながら実施例について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明によるレーダーセンサのブロック図である。
【
図2】レーダーセンサの自己監視機能と修正機能を図解するための時間グラフである。
【
図3】信号振幅を制御するための制御回路を有するレーダーセンサの送信チャネルのダイアグラムである。
【
図4】両方のチャネルの間の振幅関係を制御するための制御回路を有する2つの送信チャネルのダイアグラムである。
【
図5】両方のチャネルの間の位相関係を制御するための制御回路を有する2つの送信チャネルのダイアグラムである。
【
図6】各受信チャネルの間の振幅関係を制御するための制御回路を有するレーダーセンサの2つの受信チャネルのダイアグラムである。
【
図7】両方のチャネルの間の位相関係を制御するための制御回路を有する2つの受信チャネルのダイアグラムである。
【
図8】レーダーセンサのさまざまな測定サイクルの時間的な順序を図解するための時間グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すレーダーセンサは、送受信装置10と、評価装置12と、送受信装置10および評価装置12でのさまざまなプロセス進行を制御する制御装置14とを有している。
【0017】
送受信装置10は、4つの並列の送受信チャネル16a〜16dでレーダー信号を送信および受信する役目を果たす。各々のチャネルに、レーダー信号の送信とレーダーエコーの受信の両方の役目を果たすアンテナ18が付属している。
【0018】
一例として、ここで説明しているレーダーセンサはいわゆるFMCWレーダー(Frequency Modulated Continuous Wave)であると仮定する。その場合に送受信装置10は、周波数がランプ状に変調され、それにより連続する線形の周波数ランプのシーケンスで信号が成り立つレーダー信号を、各々の送受信チャネル16a〜16dで供給する。そして受信されたレーダーエコーが各々のチャネルで、対応する送信信号の成分とミキシングされる。こうしてミキシング積としてベースバンド信号が得られ、その周波数は、送信された信号と受信された信号との間の周波数差に相当する。この周波数差は、一方では、ランプ勾配と、レーダーセンサから物体へと向かいレーダーセンサまで戻ってくる信号進行時間とに依存しており、したがって、位置特定された物体の距離に関する情報を含んでいる。しかし他方では、この周波数差はドップラー効果に基づき、物体の相対速度にも依存する。
【0019】
4つのチャネルに含まれるベースバンド信号がデジタル化されて、デジタル評価装置12でさらに評価される。具体的には、各々のチャネルの信号が周波数ランプの時間にわたって記録されて、高速フーリエ変換(FFT)によりスペクトルに変換される。位置特定された物体はこのスペクトルで、物体の距離と相対速度によって規定される周波数におけるピークとして特徴づけられる。勾配がそれぞれ異なる少なくとも2つの周波数ランプを評価することで、両方のランプに含まれるピークの周波数位置から、物体の距離と相対速度を一義的に決定することができる。
【0020】
さらに、4つの異なるチャネルに含まれる信号の振幅と位相を比較することで、物体のアジマス角に関して、すなわち物体で反射されたレーダー放射が受信された方向に関して、情報を得ることができる。
【0021】
このように出力部20で評価装置12は、位置特定された物体の位置特定データ(距離、相対速度、アジマス角)に関する情報を、後置されている運転者アシストシステムに提供することができる。
【0022】
レーダーセンサの位置特定に関わる機能のためには、個々のチャネルで送信されるレーダー信号の振幅が、設定される目標値と大きく違いすぎないことが必要である。レーダー信号の(振幅平方と比例する)出力が、特定の許容限度内で、所定の目標出力に相当しているという要請も、これと等価である。
【0023】
さらに、異なるチャネルで送信されるそれぞれの信号の間で、既知の振幅関係と位相関係が成立しなければならない。もっとも単純なケースでは、すべての信号が同じ振幅と同じ位相を有する。4つのチャネルのうちの2つまたはそれ以上の間の有意な振幅差および/または位相差は、特に、アジマス角の決定にあたって測定結果の狂いにつながることになる。
【0024】
したがって、送信される信号の絶対的な振幅、およびチャネルとチャネルとの振幅差と位相差は、ある程度の許容限度内で守られるべきレーダーセンサの重要な動作パラメータとなる。これらの、およびその他の動作パラメータを監視するために、レーダーセンサは、さまざまな検知システム22,24および制御装置14に実装された自己監視モジュール26によって形成される自己監視装置を有している。図示した例では、4つの送受信チャネル16a〜16dの各々が独自の検知システム22を有している。検知システム24は、レーダーセンサの温度、特に作動時に損失熱が発生する送受信装置10の温度を測定する役目を果たす。自己監視モジュール26は検知システム22,24の測定信号を記録し、これをそれぞれの目標値および付属の許容限度と比較して、それ自体公知であるように、動作パラメータが許容範囲の外にあるときに警告信号の出力を指示する。ただし、ここに示したレーダーセンサでは、さらに自己監視モジュール26は、関連する動作パラメータを変更することができる調節命令をさまざまな調節装置28へ出力するようにセットアップされている。このように、検知システム22,24、自己監視モジュール26、および調節装置28は、関連する動作パラメータをそれぞれの目標値に合わせて制御することができる制御回路を形成する。
【0025】
原理図が
図2に図示されている。そこでは曲線30は、単一の動作パラメータPについて得られる測定値を時間tの関数として表す。鎖線は、当該パラメータPについて守られるべき目標値”soll”を示し、細い破線は、下側の限界値”min”と上側の限界値”max”とを有する許容範囲を示す。レーダーセンサの不具合のない動作のとき、曲線30で表される測定値はわずかな変動幅をもって目標値周辺で変動する。しかし、図示した例では時点t
0のとき障害が発生しており、この障害は、対応策を講じなければ、
図2に破線32で表すように、パラメータがさらに目標値から離れていって時点t
1で許容範囲から外れることにつながる。しかし、パラメータPの測定値が特定の値だけ目標値から離れるとただちに、自己監視装置26が付属の調節装置28を作動化させ、この調節装置が、曲線30で表されているように、パラメータが再び目標値に戻るように制御されることを惹起する。
【0026】
図3は、単一の送信チャネル、すなわち送受信チャネル16a〜16dのうちの1つの送信経路を示している。発振器34が周波数変調された送信信号を生成し、これが増幅器36と出力測定回路38を介してアンテナ18へ転送される。増幅器36は、
図1に示す調節装置28の一部である。出力測定回路38は検知装置22の一部であり、送信信号の出力およびそれに伴って振幅Aを黙示的に測定して、測定結果を(自己監視モジュール26を介して)増幅器36に送り返す。送信信号の振幅が目標値を下回っていると、増幅器36で増幅が引き上げられ、振幅が目標値を超えて上昇していると、増幅が引き下げられる。このようにして、送信信号の振幅Aが動作の進行中に目標値に合わせて継続的に制御される。
【0027】
図4には、たとえば送受信チャネル16aおよび16bの送信経路であってよい2つの送信チャネルが模式的に示されている。両方の送信経路は発振器34から供給を受ける。しかしながら別の実施形態では、各々の送信経路について別個の発振器が設けられていてもよい。
【0028】
出力測定回路40が付属のアンテナ18の間につながれていて、両方の送信信号の間の差異信号の振幅ΔAを黙示的に測定する。この測定結果が、両方の送信チャネルのうちの少なくとも1つの増幅器36に送り返される。この増幅器がそれを受けて制御されて、差異信号の振幅ΔAが目標値のゼロに合わせて制御される。
【0029】
図4に示す種類の回路が、4つの送受信チャネル16a〜16dの他の組み合わせについても意図されていてよく、それにより、4つすべての送信信号の振幅を相互に整合化して、同一の目標値に合わせて制御することができる。このことは、たとえば送受信チャネル16aが、目標値に合わせて振幅が制御されるマスタとしての役目を果たし、それに対して他の3つの送受信チャネルは、その振幅がマスタの振幅と整合化されるスレーブとして作動することによって実現することができる。別案として、各組の送受信チャネル16aと16b;16bと16cおよび16cと16dの間の差異信号の振幅ΔAを測定して制御することも可能である。
【0030】
図5は、送受信チャネル16aおよび16bのための検知装置22と調節装置28の別の部分を示している。回路のこの部分では、アンテナ18の間につながれた位相測定回路42によって、それぞれの送信信号の間の位相差Δφが測定される。この測定結果が各チャネルのうちの少なくとも1つで移相器44へ送り返され、それにより、位相差Δφが閉じた制御回路の中で目標値に合わせて、たとえば目標値ゼロに合わせて制御される。
図5に示す回路が設けられるチャネルの組み合わせについて、およびマスタ/スレーブ関係については
図4と同様のことが当てはまる。
【0031】
送受信チャネルの受信経路では、受信された信号の振幅と位相が測定される。部分的には送受信装置10、さらに部分的には評価装置12にも実装されていてよい付属の測定回路は、すべてのチャネルで同一の信号が供給されたときに同じ振幅と同じ位相を測定するようにキャリブレーションされるのがよい。
図6は、送受信チャネルの1つの組み合わせのための、たとえば16aと16bのための回路を示しており、この回路によって、動作の進行時に振幅測定のキャリブレーションをチェックし、必要な場合には修正をすることができる。そのために自己監視モジュール26により、テスト信号Tが両方のアンテナ18の出力部に印加される。振幅測定回路46が各々のチャネルで受信振幅を測定し、減算器48が各チャネルのうちの少なくとも1つで振幅差を受信増幅器50へ送り返す。このようにして、テスト信号Tについて測定された振幅差が目標値のゼロに合わせて制御される。
【0032】
図7は、位相キャリブレーションをチェックして修正するための対応する回路を示している。
図6の振幅測定回路46に代えて、ここでは位相測定回路52が設けられており、受信増幅器50に代えて移相器54が設けられている。
【0033】
図6および7に示す種類の回路によって、受信増幅や受信位相をすべてのチャネルで継続的にキャリブレーションすることができる。
【0034】
図示している例では、すべての受信チャネルにそれぞれ同一のテスト信号Tが供給される。しかしながら、それぞれの受信チャネルに異なるテスト信号を供給することも可能であり、それはたとえば、レーダーセンサの使用開始前に実際の物体によりテスト構造で得られた、アンテナ18の受信信号をシミュレートする信号である。
【0035】
レーダーセンサのさらに別の重要な動作パラメータは、検知装置24を用いて測定される送受信装置10の温度である。ただしそこでの1つの特殊性は、特定の目標温度を守ることが重要なのではなく、レーダーセンサの過熱すなわち特定の最高温度の超過を防ぐことだけが重要であるという点にある。このことは、たとえば通常のヒートシンクを介して排出される熱量が新たに生成される熱の量を上回るようになるまで、送受信装置10での熱生成を低減させる調節装置によって実現することができる。
【0036】
図8は、送受信チャネルのうちの1つで、または4つすべてのチャネルで送信される送信信号についての周波数グラフを示している。鋸刃形の曲線56は、ここでは送信信号の周波数fを時間tの関数として表す。図示した例では、周波数fは、連続する周波数ランプ58が同じ勾配で形成されるように変調される。実際には、通常、特定のパターンに従って互いに相違する、異なる勾配を有する周波数ランプが形成される。しかしこのことは、ここで説明している発明にとって本質的なことではない。
【0037】
従来式のFMCWレーダーでは、周波数ランプ58は隙間のないシーケンスを形成し、すなわち、送信信号は連続的に送信される。しかしここで説明しているレーダーセンサでは、送信信号がそれぞれ複数の周波数ランプからなる個々のバースト60に分割され、バースト60は、信号が送信されずそれに応じて損失熱も生成されないポーズ62によって中断される。温度を制限するための調節装置は、自己監視モジュール26の1つの機能が、個々のバースト60の間のポーズ62の長さを測定された温度に依存して変更することによって形成される。
【符号の説明】
【0038】
10 送受信装置
12 電子評価装置
14 電子制御装置
16a〜16d 送受信チャネル
22,24,26 自己監視装置
28 調節装置
60 タイムスパン
62 ポーズ