特許第6669939号(P6669939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6669939
(24)【登録日】2020年3月2日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】関連妨害波提示装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
   G01R29/08 D
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-562663(P2019-562663)
(86)(22)【出願日】2019年7月2日
(86)【国際出願番号】JP2019026223
【審査請求日】2019年11月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592105859
【氏名又は名称】株式会社東陽テクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】末次 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】李 从兵
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/065032(WO,A1)
【文献】 特開2012−118017(JP,A)
【文献】 特開2012−47724(JP,A)
【文献】 特開2016−156641(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/088650(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
G06F 16/906
G16B 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され、妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定部と、
前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成部と、
前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御部と、を備え
前記参照妨害波は、周波数スペクトラムにおける特異的波形部分である、関連妨害波提示装置。
【請求項2】
前記特異的波形部分は、ピーク波形部分である、請求項に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項3】
前記機械学習の手法は、所定のクラスタリング手法である、請求項1に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項4】
前記クラスタリング手法は、k平均法である、請求項に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項5】
前記クラス特定部は、前記サンプルデータをk平均法により機械学習することにより生成された学習済モデルと前記参照妨害波とに基づいて、k近傍法により前記参照妨害波の属するクラスを特定する、請求項に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項6】
前記特徴量は、周波数領域の特徴量である周波数領域特徴量と時間領域の特徴量である時間領域特徴量とを含む、請求項1に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項7】
前記周波数領域特徴量は、少なくとも、周波数スペクトラムにおける一のピーク波形部分のピーク周波数と、前記ピーク周波数に対応するレベルから所定量だけ小さいレベルに対応する前後周波数対を含む、請求項に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項8】
前記前後周波数対は、ピーク周波数に対応するレベルからの減少量の異なる複数の前後周波数対から成る、請求項に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項9】
前記時間領域特徴量は、周波数スペクトラムにおける一のピーク波形部分のピーク周波数に対応する時間領域波形において、所定時間継続した上昇レベルであるオンレベルに関する特徴量と、その他の時間区間のレベルであるオフレベルに関する特徴量を含む、請求項に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項10】
前記時間領域特徴量は、前記オンレベルの最大レベルと、前記オフレベルの最小レベルと、前記最大レベルと前記最小レベルとの間のレベル差と、前記オンレベルの平均値と、前記オフレベルの平均値と、前記オンレベル平均値と前記オフレベル平均値のレベル差と、前記オンレベル状態の合計時間と、前記オフレベル状態の合計時間と、前記オンレベルの合計時間と前記オフレベル状態の合計時間の比と、を含む、請求項に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項11】
前記関連妨害波情報は、さらに、妨害波に関する付随情報を含む、請求項1に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項12】
前記付随情報は、前記妨害波が生じた部品に関する情報である、請求項11に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項13】
前記付随情報は、前記妨害波に対する対策情報である、請求項11に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項14】
前記参照妨害波を含む参照周波数スペクトラムを表示制御する、参照周波数スペクトラム表示制御部と、
前記参照周波数スペクトラムにおける所定の周波数域の指定に関する情報を取得する、周波数域取得部と、
前記周波数域の指定に関する情報に基づいて、前記周波数域内のサンプルデータを検索し、前記周波数域に含まれる妨害波に関する情報を生成する、周波数域内妨害波情報生成部と、をさらに備える、請求項1に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項15】
前記サンプルデータから、所定の類似度算出アルゴリズムに基づいて、参照された周波数スペクトラムと類似する周波数スペクトラムを検索する類似度検索部を、さらに備える、請求項1に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項16】
前記類似度算出アルゴリズムは、参照された周波数スペクトラムに含まれる妨害波の属するクラス列と、サンプルデータに係る各周波数スペクトラムの妨害波の属するクラス列との類似度を算出するアルゴリズムである、請求項15に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項17】
前記類似度算出アルゴリズムは、参照された周波数スペクトラムと対比される周波数スペクトラムとの間の相関係数に基づいて算出される、請求項15に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項18】
キーワードの入力を受け付けるキーワード入力受付部と、
入力された前記キーワードに基づいて、前記サンプルデータから関連するデータを検索するキーワード検索部を、さらに備える、請求項1に記載の関連妨害波提示装置。
【請求項19】
妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され、妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定ステップと、
前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成ステップと、
前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御ステップと、を備え
前記参照妨害波は、周波数スペクトラムにおける特異的波形部分である、関連妨害波提示方法。
【請求項20】
妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され、妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定ステップと、
前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成ステップと、
前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御ステップと、を備え
前記参照妨害波は、周波数スペクトラムにおける特異的波形部分である、関連妨害波提示プログラム。
【請求項21】
妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され、妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定部と、
前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成部と、
前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御部と、を備え
前記参照妨害波は、周波数スペクトラムにおける特異的波形部分である、関連妨害波提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器等の電磁波干渉(EMI: Electro Magnetic Interference)対策の分野に関し、特に、電子機器等の妨害波対策を支援する装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等が放射する電磁波は、他の電子機器等の機能を妨害する電磁波干渉(EMI)の原因となり得る。そのため、誤作動や故障なく電子機器等を正常に動作させるためには、電子機器等の妨害波(電磁ノイズ)対策が必要となる。
【0003】
この妨害波対策は、従来、電波暗室等において所定の測定システム(例えば、特許文献1)を用いて得られた周波数スペクトラムや時系列データなどを作業者が観察することにより行われていた。すなわち、作業者は、例えば、対象となる周波数スペクトラム等の波形を観察して妨害波部分を特定し、経験や過去のデータとの比較に基づいて妨害波の原因を推定し、当該原因に応じた対応策を講じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6505348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の妨害波の原因推定方法では、作業者の熟練度やスキルに応じて原因推定の精度や効率が大きく異なることがあった。
【0006】
また、近年、電子機器等の高密度化等により、妨害波(電磁ノイズ)の原因特定が困難化しており、その対策時間及び費用が増大化している。そのため、作業の効率化が望まれていた。
【0007】
本発明は、上述の技術的背景の下になされたものであり、その目的とするところは、妨害波対策に従事する作業者が、その熟練度やスキルに依らずに、効率的に妨害波の原因特定を行うことを可能とする技術を提供し、作業者による妨害波の原因特定作業の負担を軽減することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の技術的課題は、以下の構成を有する関連妨害波提示装置、方法、プログラム及びシステムにより解決することができる。
【0010】
すなわち、本開示に係る関連妨害波提示装置は、妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され、妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定部と、前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成部と、前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御部と、を備えている。
【0011】
このような構成によれば、機械学習により生成された学習済モデルを用いて、参照された妨害波と関連する妨害波情報を生成して提示することができる。従って、作業者の熟練度やスキルに依らずに、作業者に対して関連する過去の妨害波を提示することができる。また、参照された妨害波に基づいてサンプルデータの検索を自動で行うので、作業者は効率的に原因特定作業を行うことができる。すなわち、作業者の妨害波の原因特定作業の負担を軽減することができる。
【0012】
なお、ここで提示とは、例えば、ディスプレイ等の表示装置への画像表示や、スピーカからの音声出力等を含み、その提示の形態は問わない。また、妨害波の語には、他の装置や機器の動作を妨害し得るあらゆる種類の電磁波が含まれる。
【0013】
前記参照妨害波は、周波数スペクトラムにおける特異的波形部分であってもよい。
【0014】
前記特異的波形部分は、ピーク波形部分であってもよい。
【0015】
なお、ピーク波形部分とは、周波数スペクトラムにおいて近傍と比して所定量以上の又は突出した振幅を有する波形部分を言う。
【0016】
前記機械学習の手法は、所定のクラスタリング手法であってもよい。
【0017】
前記クラスタリング手法は、k平均法であってもよい。
【0018】
前記クラス特定部は、前記サンプルデータをk平均法により機械学習することにより生成された学習済モデルと前記参照妨害波とに基づいて、k近傍法により前記参照妨害波の属するクラスを特定する、ものであってもよい。
【0019】
前記特徴量は、周波数領域の特徴量である周波数領域特徴量と時間領域の特徴量である時間領域特徴量とを含む、ものであってもよい。
【0020】
前記周波数領域特徴量は、少なくとも、周波数スペクトラムにおける一のピーク波形部分のピーク周波数と、前記ピーク周波数に対応するレベルから所定量だけ小さいレベルに対応する前後周波数を含む、ものであってもよい。
【0021】
前記前後周波数対は、ピーク周波数に対応するレベルからの減少量の異なる複数の前後周波数対から成る、ものであってもよい。
【0022】
前記時間領域特徴量は、周波数スペクトラムにおける一のピーク波形部分のピーク周波数に対応する時間領域波形において、所定時間継続した上昇レベルであるオンレベルに関する特徴量と、その他の時間区間のレベルであるオフレベルに関する特徴量を含む、ものであってもよい。
【0023】
前記時間領域特徴量は、前記オンレベルの最大レベルと、前記オフレベルの最小レベルと、前記最大レベルと前記最小レベルとの間のレベル差と、前記オンレベルの平均値と、前記オフレベルの平均値と、前記オンレベル平均値と前記オフレベル平均値のレベル差と、前記オンレベル状態の合計時間と、前記オフレベル状態の合計時間と、前記オンレベルの合計時間と前記オフレベル状態の合計時間の比と、を含む、ものであってもよい。
【0024】
前記関連妨害波情報は、さらに、妨害波に関する付随情報を含む、ものであってもよい。
【0025】
前記付随情報は、前記妨害波が生じた部品に関する情報であってもよい。
【0026】
前記付随情報は、前記妨害波に対する対策情報であってもよい。
【0027】
前記参照妨害波を含む参照周波数スペクトラムを表示制御する、参照周波数スペクトラム表示制御部と、前記参照周波数スペクトラムにおける所定の周波数域の指定に関する情報を取得する、周波数域取得部と、前記周波数域の指定に関する情報に基づいて、前記周波数域内のサンプルデータを検索し、前記周波数域に含まれる妨害波に関する情報を生成する、周波数域内妨害波情報生成部と、をさらに備えるものであってもよい。
【0028】
前記サンプルデータから、所定の類似度算出アルゴリズムに基づいて、参照された周波数スペクトラムと類似する周波数スペクトラムを検索する類似度検索部を、さらに備えるものであってもよい。
【0029】
前記類似度算出アルゴリズムは、参照された周波数スペクトラムに含まれる妨害波の属するクラス列と、サンプルデータに係る各周波数スペクトラムの妨害波の属するクラス列との類似度を算出するアルゴリズムであってもよい。
【0030】
前記類似度算出アルゴリズムは、参照された周波数スペクトラムと対比される周波数スペクトラムとの間の相関係数に基づいて算出される、ものであってもよい。
【0031】
キーワードの入力を受け付けるキーワード入力受付部と、入力された前記キーワードに基づいて、前記サンプルデータから関連するデータを検索するキーワード検索部を、さらに備えるものであってもよい。
【0032】
本発明は、方法として観念することもできる。すなわち、本発明に係る関連妨害波提示方法は、妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され、妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定ステップと、前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成ステップと、前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御ステップと、を備えるものであってもよい。
【0033】
本発明は、コンピュータプログラムとしても観念することができる。すなわち、本発明に係る関連妨害波提示プログラムは、妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され、妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定ステップと、前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成ステップと、前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御ステップと、を備えるものである。
【0034】
本発明は、システムとしても観念することができる。すなわち、本発明に係る関連妨害波提示システムは、妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され、妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定部と、前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成部と、前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、妨害波の原因特定作業の負担を軽減する装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、関連妨害波提示装置のハードウェア構成図である。
図2図2は、分析プログラムのゼネラルフローチャートである。
図3図3は、学習モード処理の詳細フローチャートである。
図4図4は、データ分析モード処理の詳細フローチャートである。
図5図5は、選択領域検索モードの詳細フローチャートである。
図6図6は、選択領域検索モードに関する画面図の例である。
図7図7は、類似妨害波検索モードの詳細フローチャートである。
図8図8は、類似妨害波検索モードに関する画面図の例である。
図9図9は、周波数領域特徴量に関する説明図である。
図10図10は、時間領域特徴量に関する説明図である。
図11図11は、類似データ検索モードの詳細フローチャートである。
図12図12は、類似データ検索モードに関する画面図の例である。
図13図13は、クラス列の類似度に関する説明図である。
図14図14は、キーワード検索モードの詳細フローチャートである。
図15図15は、キーワード検索モードに関する画面図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る関連妨害波提示装置、方法、プログラム及びシステムの実施の一形態を、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0038】
<1.第1の実施形態>
<1.1 ハードウェア構成>
まず、本発明に係る関連妨害波提示装置100のハードウェア構成について説明する。図1は、関連妨害波提示装置100のハードウェア構成図を示す。同図から明らかな通り、本実施形態に係る関連妨害波提示装置100は、制御部1、記憶部2、I/O部3、入力部4、表示制御部5、音声出力部6及び通信部7とを備え、各装置は互いにバス等を介して接続されている。
【0039】
制御部1はCPU及び/又はGPU等からなる制御装置である。記憶部2は、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等から成る記憶装置であり、後述の種々の情報を記憶している。I/O部3は、外部装置との入出力のインタフェースである。入力部4は、関連妨害波提示装置100に接続されたキーボード等からの入力に関する処理を行う。表示制御部5は、図示しないディスプレイ等と接続され、表示される画像等の表示制御を行う。音声出力部6は、図示しないスピーカ等と接続され、音声出力処理を行う。通信部7は、有線又は無線通信を行うための所定の規格に則った通信ユニットである。
【0040】
<1.2 動作>
次に、本発明に係る関連妨害波提示装置100の動作について説明する。
【0041】
図2は、妨害波の分析プログラムのゼネラルフローチャートである。同図から明らかな通り、記憶部2に予め記憶された妨害波の分析プログラムが実行されると、処理が開始し、モード選択入力の検出待機状態となる(S1NO)。このモード選択入力の検出待機状態において、入力部4を介して所定の選択信号が検出されると(S1YES)、学習モード処理(S2)又はデータ分析処理(S3)のうち選択信号に応じたモードの実行処理がなされる。その後、いずれかのモードの処理が終了すると、所定の終了判定処理が行われる。終了判定の結果、未だ処理が終了しないと判定される場合(S4NO)、再びモード選択入力の検出待機状態となる(S1NO)。一方、終了判定の結果、「終了」と判定される場合(S4YES)、処理は終了する。
【0042】
<1.2.1 学習モード>
図3は、学習モード処理(S2)の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、記憶部2に記憶された、様々な対象や条件で測定することにより取得されたサンプルデータ、すなわち、妨害波を含む周波数領域データ及び時間領域データが読み出される(S21)。次に、読み出された各周波数領域データ及び時間領域データから妨害波に相当する部分を抽出し、当該妨害波相当部分より特徴量を抽出する処理が行われる(S22)。なお、この妨害波に相当する部分は、本実施形態においては、周波数スペクトラムにおいて近傍と比して所定量以上の又は突出した振幅を有するピーク波形部分として定義される。
【0043】
特徴量として、本実施形態においては、周波数領域の特徴量と時間領域の特徴量を含む。より具体的には、周波数領域の特徴量は、図9に示される通り、ピーク波形部分のピーク周波数(fp)、ピーク周波数に対応するレベルから6dBだけ小さいレベルに対応する一対の前後周波数(f_6L、f_6H)及びその前後周波数間の幅(W−1)、ピーク周波数に対応するレベルから10dBだけ小さいレベルに対応する一対の前後周波数(f_10L、f_10H)及びその前後周波数間の幅(W−2)、ピーク周波数に対応するレベルから20dBだけ小さいレベルに対応する一対の前後周波数(f_20L、f_20H)及びその前後周波数間の幅(W−3)の10個の特徴量である。
【0044】
一方、時間領域の特徴量は、図10に示される通り、ピーク周波数における時間領域の波形の最小値(Min)、最大値(Max)、最大値と最小値の差分であるレベル変動(Max−Min)、一定の継続的なレベル上昇状態であるオン(ON)状態の平均レベル(Ave_on)、その他の通常状態であるオフ(OFF)状態の平均レベル(Ave_off)、オン状態とオフ状態との間のレベル差、オン時間幅の合計(Δt_H1+Δt_H2)、オフ時間幅の合計(Δt_L1+Δt_L2+Δt_L3)、オン時間幅の合計とオフ時間幅の合計との比((Δt_H1+Δt_H2)/(Δt_L1+Δt_L2+Δt_L3))の9個の特徴量である。
【0045】
各ピーク波形部分からそれぞれ特徴量を抽出した後、k−平均法による機械学習処理を行う(S23)。k−平均法は非階層型のクラスタリングアルゴリズムであり、本実施形態においては、特徴量を入力として予め定められたクラス数に分類する処理を妨害波の個数分だけ繰り返す。
【0046】
その後、k−平均法により学習された学習済モデルを記憶部2へと記憶する処理を行い(S25)、処理は終了する。
【0047】
<1.2.2 データ分析処理>
図4は、データ分析モード処理(S3)の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、各種データの読み出し処理が行われる(S31)。この各種データは、分析対象となる周波数領域データ及び時間領域データ、学習済モデルなどを含む。なお、このとき、後述の種々の処理のため、周波数領域又は時間領域の妨害波を含むサンプルデータを同時に読み出してもよい。読み出しの結果、データが適切に存在しない場合等には処理は終了する。一方、この読出処理が適切に完了すると、モード入力の検出待機状態となる(S34)。
【0048】
入力部4を介して第1〜第4のモード信号が入力されると、モード信号に応じて第1のモード〜第4のモード処理(S35〜S38)が実行される。各モード処理(S35〜S38)が終了し、データ分析モード処理の終了指示が行われると(S39YES)、処理は終了する。一方、各モード処理(S35〜S38)が終了し、データ分析モード処理の継続指示が行われると(S39NO)、再びモード入力の検出待機状態となる(S34)。
【0049】
<第1のモード(選択領域検索モード)>
第1のモード信号が検出されると、選択領域検索モードが実行される(S35)。図5は、選択領域検索モードの詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、分析対象となるデータを読み込んで初期画面の表示処理が行われる(S351)。
【0050】
図6は、表示される選択領域検索モードの画面図の例である。同図から明らかな通り、画面左上段には、分析対象となるデータの周波数領域波形を示す対象グラフ表示領域10が配置されている。対象グラフ表示領域10には、分析対象となるデータの周波数領域波形(すなわち、周波数スペクトラム)が表示されており、同周波数スペクトラムには、所定量以上の振幅を有するピーク波形部分103が複数含まれている。
【0051】
また、対象グラフ表示領域10は、そのグラフ表示領域上を選択可能に構成されており、例えば、下限周波数102aと上限周波数102bとを選択することにより参照周波数領域(同図網掛け領域)を設定することが可能に構成されている。なお、グラフの横軸は周波数、縦軸はレベルを示しており、スライドバー101を利用して表示領域を左右に移動させることができるように構成されている。
【0052】
画面左下段には、対象グラフ表示領域10に表示したデータに関連する情報を表示する関連情報提示領域17が表示されている。関連情報提示領域17には、対象グラフ表示領域10に表示したデータのファイル名及び測定日が含まれると共に、データを取得した対象製品のモデルや動作モード等の情報が含まれている。
【0053】
画面の右上段には、選択域内妨害波表示領域13が設けられている。選択域内妨害波表示領域13には、対象グラフ表示領域10において選択された参照周波数領域に対応する妨害波(周波数スペクトラムにおいて所定量以上の振幅を伴うピーク波形部分)に関する種々の情報(例えば、ピーク周波数、ピークレベル等)が表示されている。なお、選択域内妨害波表示領域13には、縦横にスライドバー131、132が設けられており、妨害波をスクロール表示させることができるように構成されている。
【0054】
画面の右下段には、サンプルデータ表示領域15が設けられている。サンプルデータ表示領域15には、選択領域内のサンプル妨害波と当該妨害波の原因となった部品に関する情報が表示されている。これらの情報は、部品と当該部品から放出される妨害波の周波数との対応関係を表すサンプルテーブルを読み出すことにより表示されている。なお、サンプルデータ表示領域15には、縦横にスライドバー151、152が設けられており、例えば、妨害波等のサンプルデータをスクロール表示させることができるように構成されている。
【0055】
なお、後述するように、初期画面提示時(S351)においては参照周波数領域は設定されておらず、参照周波数領域が設定されるまでは、選択域内妨害波表示領域13及びサンプルデータ表示領域15には、特段のデータは表示されていない状態であることに留意されたい。
【0056】
図5に戻り、初期画面表示処理(S351)が終了すると、所定の周波数範囲の選択を受け付ける処理が行われる(S353NO)。この状態において、図6の対象グラフ表示領域10において下限周波数102aと上限周波数102bを選択することにより参照周波数領域が設定されると、当該参照周波数領域が所定の周波数範囲として検出される(S353YES)。所定の周波数範囲が検出された後、当該周波数領域に含まれる妨害波、すなわち、所定量以上の振幅を有するピーク波形部分を検出し、検出した妨害波を図6に示す選択域内妨害波表示領域13へと表示する処理が行われる(S355)。
【0057】
その後、サンプルデータから妨害波と関連するデータ、本実施形態においては、選択された周波数域内にピーク周波数を有するサンプルデータ中の妨害波に関連する情報を検索する処理が行われ、当該関連する情報をサンプルデータ表示領域15へと表示する(S357)。図6に示される通り、この関連情報には、例えば、検索された妨害波に関するデータに対応する部品の情報等が含まれる。その後、再び、所定の周波数範囲の選択を受け付ける処理が行われる(S353NO)。なお、図示しないものの、モードの終了は所定の終了指示の検出に基づいて所定の割り込み処理により行われる。
【0058】
このような構成によれば、分析対象となるデータの周波数領域波形を示す対象グラフの妨害波周辺を指定することにより、当該周波数領域において過去に発生した妨害波をサンプルデータから検索することができる。これにより、妨害波の原因特定をより効率的に行うことができる。
【0059】
また、サンプルデータから検索された過去の妨害波に関連する情報も同時に確認することができるので、原因推定の助けとなる情報が同時に得られ、妨害波の原因特定の精度と効率性が向上する。
【0060】
<第2のモード(類似妨害波検索モード)>
第2のモード信号が検出されると、類似妨害波検索モードが実行される(S36)。図7は、類似妨害波検索モードの詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、分析対象となるデータを読み込んで初期画面の表示処理が行われる(S361)。
【0061】
図8は、表示される類似妨害波検索モードの画面図の例である。同図から明らかな通り、画面左上段には、分析対象となるデータの周波数領域波形を示す対象グラフ表示領域20が配置されている。対象グラフ表示領域20には、分析対象となるデータの周波数領域波形(すなわち、周波数スペクトラム)が表示されており、同周波数スペクトラムには、所定量以上の振幅を有するピーク波形部分203が複数含まれている。また、ピーク波形部分203は、参照妨害波として選択可能に構成されている。なお、グラフの横軸は周波数、縦軸はレベルを示しており、スライドバー201を利用して表示領域を左右に移動させることができるように構成されている。
【0062】
画面左下段には、対象グラフ表示領域20に表示したデータに関連する情報を表示する関連情報提示領域25が表示されている。関連情報提示領域25には、対象グラフ表示領域20に表示したデータのファイル名及び測定日が含まれると共に、データを取得した対象製品のモデルや動作モード等の情報が含まれている。
【0063】
画面の右上段には、サンプルデータから検索され、対象表示領域20において選択された妨害波に類似する妨害波のリストを表示するサンプル妨害波表示領域23が設けられている。サンプル妨害波表示領域23には、対象表示領域20において選択された妨害波に類似する妨害波に関する情報、例えば、妨害波のピーク周波数、そのピークレベル、当該妨害波に対して作業者から付与されたコメント等が表示される。なお、サンプル妨害波表示領域23には、縦横にスライドバー231、232が設けられており、例えば、サンプル妨害波及びその関連情報をスクロール表示させることができるように構成されている。
【0064】
なお、後述するように、初期画面提示時(S361)においては、対象グラフ表示領域20において参照妨害波は設定されておらず、参照妨害波が設定されるまでは、サンプル妨害波表示領域23には、特段のデータは表示されていない状態であることに留意されたい。
【0065】
図7に戻り、初期画面表示処理(S361)が終了すると、対象グラフ表示領域20において妨害波、すなわち、ピーク波形部分203の選択を検出待機する処理が行われる(S362NO)。この状態において、作業者により、対象グラフ表示領域20において妨害波、すなわち、ピーク波形部分203が選択されたことが検出されると(S362YES)、当該妨害波に関連して特徴量を抽出する処理が行われる(S363)。
【0066】
この特徴量として、本実施形態においては、周波数領域の特徴量と時間領域の特徴量を含む。より具体的には、周波数領域の特徴量は、図9に示される通り、ピーク波形部分203のピーク周波数(fp)、ピーク周波数に対応するレベルから6dBだけ小さいレベルに対応する一対の前後周波数(f_6L、f_6H)及びその前後周波数間の幅(W−1)、ピーク周波数に対応するレベルから10dBだけ小さいレベルに対応する一対の前後周波数(f_10L、f_10H)及びその前後周波数間の幅(W−2)、ピーク周波数に対応するレベルから20dBだけ小さいレベルに対応する一対の前後周波数(f_20L、f_20H)及びその前後周波数間の幅(W−3)の10個の特徴量である。
【0067】
一方、時間領域の特徴量は、図10に示される通り、ピーク周波数における時間領域の波形の最小値(Min)、最大値(Max)、最大値と最小値の差分であるレベル変動(Max−Min)、一定の継続的なレベル上昇状態であるオン(ON)状態の平均レベル(Ave_on)、その他の通常状態であるオフ(OFF)状態の平均レベル(Ave_off)、オン状態とオフ状態との間のレベル差、オン時間幅の合計(Δt_H1+Δt_H2)、オフ時間幅の合計(Δt_L1+Δt_L2+Δt_L3)、オン時間幅の合計とオフ時間幅の合計との比((Δt_H1+Δt_H2)/(Δt_L1+Δt_L2+Δt_L3))の9個の特徴量である。
【0068】
特徴量の抽出処理(S363)が行われると、それらの19個の特徴量と、学習モード処理(S2)においてk平均法により学習を行った学習済モデルに関するデータとに基づいて、k近傍法により属するクラスを算出する処理が行われる(S365)。k近傍法とは、特徴空間の近傍学習例に基づく分類手法であり、本実施形態においては、入力を特徴量として、入力特徴量の近傍に存在するk(正の整数)個の学習例を参照して、入力特徴量の属するクラスを算出する。
【0069】
クラスの算出処理(S365)が終了すると、算出されたクラスに関連するクラスに属する妨害波をサンプルデータから検索する処理が行われる(S366)。ここで、本実施形態においては、関連するクラスとは同一のクラスである。すなわち、選択された妨害波の属するクラスと同一のクラスに属する妨害波をサンプルデータから検索することとなる。
【0070】
妨害波の検索処理(S366)が終了すると、例えば、図8に示されるように、検索されたサンプル妨害波及びその関連情報をリストとしてサンプル妨害波表示領域23に表示する処理が行われる(S368)。同図の例にあっては、サンプルデータからピーク周波数が46.053[MHz]、46.120[MHz]及び46.278[MHz]のサンプル妨害波がリスト表示されている。また、それらと対応するピークレベル及び妨害波に対して作業者により付与されたコメント等が表示されている。
【0071】
リスト表示処理(S368)が終了すると、再び、妨害波の選択待機状態(S362NO)となり、再度処理が繰り返される。なお、図示しないものの、モードの終了は所定の終了指示の検出に基づいて所定の割り込み処理により行われる。
【0072】
このような構成によれば、妨害波を画面上で選択することで過去のサンプルデータにおける類似の妨害波の一覧を確認することができるので、妨害波の原因特定をより効率的に行うことができる。
【0073】
また、サンプルデータを機械学習処理することにより得られた学習済モデルを利用して所定の妨害波と類似するサンプル妨害波を特定することができるので、作業者の熟練度やスキルとは無関係に、関連する可能性の高い妨害波を特定でき、原因推定の精度や効率を改善することができる。
【0074】
<第3のモード(類似データ検索モード)>
第3のモード信号が検出されると、類似データ検索モードが実行される(S37)。図11は、類似データ検索モードの詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、初期画面表示処理が行われる(S371)。
【0075】
図12は、類似データ検索モードに関する画面図の例である。同図から明らかな通り、画面左上段には、分析対象となるデータの周波数領域波形を示す対象グラフ表示領域30が配置されている。対象グラフ表示領域30には、分析対象となるデータの周波数領域波形(すなわち、周波数スペクトラム)が表示されており、同周波数スペクトラムには、所定量以上の振幅を有するピーク波形部分302が複数含まれている。なお、グラフの横軸は周波数、縦軸はレベルを示しており、スライドバー301を利用して表示領域を左右に移動させることができるように構成されている。
【0076】
画面左下段には、対象グラフ表示領域30に表示したデータに関連する情報を表示する関連情報提示領域32が表示されている。関連情報提示領域32には、対象グラフ表示領域30に表示したデータのファイル名及び測定日が含まれると共に、データを取得した対象製品のモデルや動作モード等の情報が含まれている。
【0077】
画面の右上段には、サンプルデータから検索され、対象グラフ表示領域30において表示されている周波数スペクトラムの波形と類似する波形を有する周波数スペクトムのリストを表示するサンプル周波数スペクトラム表示領域31が設けられている。サンプル周波数スペクトラム表示領域31には、対象グラフ表示領域30に表示されている周波数スペクトラムに類似する波形を有する周波数スペクトラムとその関連情報(例えば、ファイル名、類似度)等が表示される。なお、サンプル周波数スペクトラム表示領域31には、縦横にスライドバー311、312が設けられており、例えば、サンプル周波数スペクトラム及びその関連情報をスクロール表示させることができるように構成されている。
【0078】
なお、後述するように、初期画面提示時(S371)においては、対象グラフ表示領域30に分析対象となるデータの周波数領域波形が表示されているのみであって、後述の処理の後にサンプル周波数スペクトラム表示領域31に周波数スペクトラムが表示される。
【0079】
図11に戻り、初期画面表示処理(S371)が終了すると、分析対象となる周波数スペクトラムの妨害波、すなわち、ピーク波形部分302のすべてについて、学習モード処理(S2)において得られた学習済モデルを用いて、それぞれクラスを算出する処理を行う(S373)。これにより、分析対象となる周波数スペクトラムに対して、妨害波に関するクラス列が得られることとなる。
【0080】
クラスの算出処理が終了すると(S375)、得られたクラス列に基づいて、分析対象となる周波数スペクトラムとサンプルデータに係る各周波数スペクトラムとの間の類似度を算出する処理が行われる(S375)。より詳細には、類似度を算出するにあたっては、サンプルデータに係る各周波数スペクトラムについても同様にクラス列を生成する。次に、分析対象となる周波数スペクトラムに係るクラス列と、サンプルデータに係る各周波数スペクトラムに係るクラス列とをそれぞれ比較し、順序も考慮したクラスの一致の割合を算出することにより類似度が算出される。
【0081】
図13は、クラス列の類似度に関する説明図である。同図左側中央には、分析対象となる周波数スペクトラムの周波数スペクトラムが配置されている。同周波数スペクトラムには、例として3つの妨害波(ピーク波形部分)が含まれており、その妨害波のクラスは、周波数の低い方から「3→2→4」である。一方、同図右側は上中下段に分かれており、上段には例示的に第1の波形(周波数スペクトラム)、中段には例示的に第2の波形(周波数スペクトラム)、下段には例示的に第3の波形(周波数スペクトラム)が配置されている。
【0082】
同図において、第1の波形は、妨害波を含んでおり、そのクラス列は「5→6→7」である。第2の波形は、妨害波を含んでおり、そのクラス列は「5→3→8」である。第3の波形は、妨害波を含んでおり、そのクラス列は「2→2→4」である。このとき、順序も考慮したクラスの一致の割合を算出して類似度を算出すると、分析対象となる周波数スペクトラムとの間の類似度は、第1の波形では0%(=0/3)、第2の波形では、「3」の一致により約33%(=1/3)及び、第3の波形では、「2→4」の一致により約67%(=2/3)となる。すなわち、この場合、類似度は、第3の波形が最も高く、次いで第2の波形、第1の波形となる。
【0083】
図11に戻り、各サンプルデータとの間の類似度の算出処理(S375)が完了すると、サンプルデータから類似度が所定値以上の周波数スペクトラムを読出し、リスト化してサンプル周波数スペクトラム表示領域31へと表示する処理が行われる(S377)。その後、処理は終了する。
【0084】
このような構成によれば、周波数スペクトラム全体が類似する過去のサンプルデータを参照することができるので、多角的に妨害波の原因推定を行うことができる。
【0085】
<第4のモード(キーワード検索モード)>
第4のモード信号が検出されると、キーワード検索モードが実行される(S37)。図14は、キーワード検索モードの詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、初期画面表示処理が行われる(S381)。
【0086】
図15は、キーワード検索モードに関する画面図の例である。同図から明らかな通り、画面上部には、文字入力を行うことが可能な長方形のキーワード入力領域40が設けられている。キーワード入力領域40の右下には、検索処理実行ボタン43が設けられており、その選択により後述の検索処理を実行することができるよう構成されている。
【0087】
検索処理実行ボタン43の下には、さらに、検索結果表示領域45が設けられている。検索結果表示領域45には、後述するように、キーワード入力領域40に入力されたキーワードに基づいてテキスト検索して得られたデータ(周波数スペクトラムの波形、ファイル名、測定日時、動作モード、評価目的、ファイルコメント)がリストとして表示される。なお、検索結果表示領域45には、縦方向のスライドバー451が設けられており、上下方向に表示領域をスライドさせることができる。
【0088】
なお、後述するように、初期画面提示時(S381)においては、検索結果表示領域45には検索結果は表示されておらず、検索及びリスト表示処理が行われて初めて検索結果が表示されることに留意されたい。
【0089】
図14に戻り、初期画面表示処理(S381)が終了すると、キーワード入力領域40へのキーワード入力へのテキスト入力の受付処理が行われる(S383)。この受付処理は、検索処理実行ボタン43が選択されるまで(S385NO)自由に行うことができる。その後、作業者により検索処理実行ボタン43が選択されると(S385YES)、入力されたキーワードに応じてサンプルデータから検索条件に合致したデータを検索する処理が行われる(S387)。テキスト検索処理は、既知の様々な手法を用いて行うことができ、入力されたキーワードそのものに基づいて検索を行っても良いし、所定の入力ルールに基づいて入力されたキーワードからさらに検索文字列を抽出して検索を行ってもよい。
【0090】
例えば、図15の例にあっては、入力テキストとして「モデル=="x098"&動作モード=="22uu"」が示されている。これはサンプルデータ中の「モデル」の項目において「x098」の文字列を含み、かつ、「動作モード」の項目において「22uu」の文字列を含むデータを検索することを指令することを意味する。その後、それらの文字列に基づいて、サンプルデータから検索条件に合致したデータを検索する処理が行われる。
【0091】
テキスト検索処理(S387)が完了すると、検索されたデータをリスト化して検索結果表示領域45へと表示する処理が行われる(S389)。このデータには、例えば、データのファイル名、測定日時、測定対象とした製品のモデル、動作モード、評価の目的、過去にファイルに対して付与されたコメント等が含まれる。リスト表示処理(S389)が終了すると、再び、テキスト入力の受付状態へと戻り(S383、S385NO)、処理が繰り返される。なお、図示しないものの、モードの終了は所定の終了指示の検出に基づいて所定の割り込み処理により行われる。
【0092】
このような構成によれば、キーワードを入力することで、サンプルデータからキーワードに合致するデータを読み出すことが出来るので、効率的に妨害波対策を行うことができる。
【0093】
<2.変形例>
本発明は、以上述べた形態以外にも種々の変形が可能である。
【0094】
上述の実施形態においては、関連妨害波提示装置100として単一のハードウェア構成を例示したが、本発明はこのような形態に限定されず、種々の公知のハードウェア構成を採ることが可能である。従って、複数の装置を利用してシステムを形成してもよいし、機能を分割する等してもよい。例えば、記憶部をメモリストレージとして独立させ、関連妨害波提示装置100と通信させてもよい。また、LAN等やWAN等のネットワークを介して各装置又はユニットが互いに通信する構成としてもよい。
【0095】
上述の実施形態においては、機械学習技術として、k平均法及びk近傍法を利用した。しかしながら、本発明はそのような形態に限定されず、種々の公知の機械学習手法を利用することができる。例えば、ニューラルネットワーク(例えば、Deep Learning等)を利用してもよいし、サポートベクターマシン等を利用してもよい。
【0096】
上述の実施形態においては、クラス列の一致により類似度の算出を行った。しかしながら、本発明はそのような構成に限定されず、種々の公知の類似度算出手法が利用可能である。例えば、2つの波形の間の相関係数を利用してもよい。また、波形間の距離の総和等を利用して類似度を算出してもよい。
【0097】
上述の実施形態の第3のモードにおいては、サンプルデータに基づいて単に類似する周波数スペクトラムを提示するのみとしたが、本発明はこのような構成に限定されない。従って、例えば、類似するものとして提示された周波数スペクトラムを選択することにより、対象グラフ表示領域30へと重畳表示させる構成としてもよい。このような構成によれば、波形間の類似を視覚的に確認することができる。これにより、妨害波の原因特定作業の効率性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、少なくとも、電子機器等の妨害波対策を支援する装置等を製造等する産業にて利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 制御部
2 記憶部
3 I/O部
4 入力部
5 表示制御部
6 音声出力部
7 通信部
100 関連妨害波提示装置
【要約】
【課題】 妨害波の原因特定作業の負担を軽減すること。
【解決手段】 妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定部と、前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成部と、前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御部と、を備える関連妨害波提示装置が提供される。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15