特許第6669967号(P6669967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6669967-保護回路、及び、スイッチング電源 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6669967
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】保護回路、及び、スイッチング電源
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
   H02M3/28 C
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-82563(P2016-82563)
(22)【出願日】2016年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-195648(P2017-195648A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】710014351
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】淺尾 勁
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−130975(JP,A)
【文献】 特開2013−081322(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0085540(US,A1)
【文献】 特開2015−027216(JP,A)
【文献】 特開平08−234852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の温度以上で検出信号を供給する温度検出素子と、
フィードバック素子と、
前記フィードバック素子にスイッチング電源の二次側で接続され、前記スイッチング電源の出力電圧に応じて前記フィードバック素子に流れる電流を変化させる電圧検出素子と、
前記スイッチング電源の二次側で前記フィードバック素子に接続され、前記温度検出素子が前記検出信号を供給した場合に、オンの状態となり、前記フィードバック素子に流れる電流を大きくするスイッチと、
前記フィードバック素子に前記スイッチング電源の一次側で接続され、前記スイッチング電源が備えるスイッチング素子を制御する制御回路と、
前記スイッチング電源からの出力電圧によって充電される充電素子を有する保護電源回路と、を備え、
前記温度検出素子、及び、前記フィードバック素子には、前記保護電源回路からの電源電圧が供給され、
前記制御回路は、前記フィードバック素子によって変化される電圧が所定値以下の場合に、前記スイッチング素子を停止することを特徴とする保護回路。
【請求項2】
前記温度検出素子は、前記検出信号として、ローレベルの信号を供給し、
前記温度検出素子が供給する前記ローレベルの信号を、ハイレベルの信号に反転するバッファをさらに備え、
前記スイッチは、
ベースが、前記バッファに接続され、
コレクタが、前記フィードバック素子に接続され、
エミッタが、接地電位に接続された、npn型のバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記フィードバック素子は、発光ダイオードと、フォトトランジスタと、を有するフォトカプラであり、
前記発光ダイオードのアノードには、第1抵抗を介して、前記保護電源回路からの電源電圧が供給され、
前記発光ダイオードのカソードは、前記電圧検出素子、及び、前記スイッチに接続され、
前記フォトトランジスタのコレクタは、前記制御回路のフィードバック端子に接続され、
前記フォトトランジスタのエミッタは、接地電位に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護回路。
【請求項4】
前記スイッチング電源からの出力電圧を降圧する降圧回路をさらに備え、
前記保護電源回路は、前記降圧回路に接続されたダイオードをさらに有し、
前記充電素子は、前記ダイオードを介して、前記降圧回路から供給される電圧によって充電されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項5】
一端が、前記スイッチング電源の出力に接続され、他端が、第3抵抗に接続された、第2抵抗と、
一端が、前記第2抵抗の他端に接続され、他端が、接地電位に接続された、前記第3抵抗と、をさらに備え、
前記電圧検出素子は、
リファレンス端子が、前記第2抵抗と前記第3抵抗との間に接続され、
カソードが、前記フィードバック素子に接続され、
アノードが、接地電位に接続された、シャントレギュレーターであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項6】
前記温度検出素子は、前記スイッチング電源が備えるトランスの近傍に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の保護回路
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の保護回路を備えるスイッチング電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源を熱から保護するための保護回路、及び、スイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源を小型の密閉型アクティブスピーカーに用いた場合、以下のような課題が挙げられる。なお、上記の密閉型アクティブスピーカーは、例えば、最大出力が60Wである。また、小型の密閉型アクティブスピーカーは、ネットワーク機能対応であり、外部のコントローラーによって操作される。
(1)トランスを小型化すると、サイズ要因により、トランス自体の放熱能力が低下し、温度が上昇する。
(2)小型密閉筐体であるため、小容量の密閉筐体の内部温度上昇が高くなる。
(1)と(2)とにより、トランスの巻線の温度が120℃まで達した場合、被服のワニスが溶解して、短絡による故障、発煙、発火の可能性があるため、トランスの温度保護機能が必要となる。
【0003】
トランスの温度保護における従来の回路方式は、以下の2つに分類される。
A.温度ヒューズを使用した回路(例えば、特許文献1参照)
B.半導体を使用した回路(例えば、特許文献2参照)
Aの場合、所定の温度に達すると、温度ヒューズが切れ、トランスが保護される。
Bの場合、検温素子、ダイオード、コンパレーターを用いており、検温素子が検出した温度が、所定の温度に達すると、一次側の制御ICにより、スイッチングを停止させる。
【0004】
ネットワーク機能に対応したスピーカーにおいて、従来の温度保護機能を適用した場合、以下のような課題が挙げられる。
(3)ネットワーク経由でコントロールされるため、物理スイッチがなく、電源が止まる(ラッチアップする)と、システムの起動等の基本的な動作も行えなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3485200号公報
【特許文献2】特開2009−130975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記(3)の課題があるため、物理スイッチのないネットワーク経由でコントロールされるスピーカーにスイッチング電源を用いた場合、熱からの保護のためにスイッチング電源を停止させた後、自動的にスイッチング電源を再度動作(自動復帰)させる必要がある。上記Aの場合、温度ヒューズが切れてしまうため、自動復帰させることができない。上記Bの場合、自動復帰させることはできる。しかしながら、スイッチング電源を保護するための保護回路に、スイッチング電源の出力を使用しているため、スイッチング電源が止まると、保護動作もすぐに解除されるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、保護のためにスイッチング電源を停止させた後、自動的にスイッチング電源を再度動作(自動復帰)させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明の保護回路は、所定の温度以上で検出信号を供給する温度検出素子と、フィードバック素子と、前記フィードバック素子にスイッチング電源の二次側で接続され、前記スイッチング電源の出力電圧に応じて前記フィードバック素子に流れる電流を変化させる電圧検出素子と、前記スイッチング電源の二次側で前記フィードバック素子に接続され、前記温度検出素子が前記検出信号を供給した場合に、オンの状態となり、前記フィードバック素子に流れる電流を大きくするスイッチと、前記フィードバック素子に前記スイッチング電源の一次側で接続され、前記スイッチング電源が備えるスイッチング素子を制御する制御回路と、前記スイッチング電源からの出力電圧によって充電される充電素子を有する保護電源回路と、を備え、前記温度検出素子、及び、前記フィードバック素子には、前記保護電源回路からの電源電圧が供給され、前記制御回路は、前記フィードバック素子によって変化される電圧が所定値以下の場合に、前記スイッチング素子を停止することを特徴とする。
【0009】
本発明では、温度検出素子が検出した温度が、所定の温度以上となった場合に、スイッチがオンし、フィードバック素子に大きな電流が流れる。このため、フィードバック素子によって変化される電圧が所定値以下となり、制御回路は、スイッチング素子を停止する。すなわち、スイッチング電源が停止され、保護動作が実行される。
【0010】
また、スイッチング電源の動作が停止した後、スイッチング電源の出力電圧が低下し、フィードバック素子に流れる電流が小さくなると、フィードバック素子によって変化される電圧が所定値より大きくなり、制御回路は、スイッチング素子を動作(スイッチング)させようとする。ここで、温度検出素子、及び、フィードバック素子には、保護電源回路からの電源電圧が供給されている。保護電源回路は、スイッチング電源の出力電圧によって充電される充電素子を有しているため、スイッチング電源の停止後も、温度検出素子、及び、フィードバック素子に電源電圧を供給可能である。このため、スイッチング電源停止後、温度検出素子が検出した温度が、所定の温度よりも低下していなければ、保護動作が実行されたままである。一方、温度検出素子が検出した温度が、所定の温度よりも低下していれば、保護動作が終了し、制御回路は、スイッチング素子を動作(スイッチング)させる。従って、スイッチング電源が動作を停止した後、即座に、スイッチング電源が動作するという問題が発生することが防止される。
【0011】
このように、本発明によれば、保護のためにスイッチング電源を停止させた後、自動的にスイッチング電源を再度動作(自動復帰)させることができる。
【0012】
第2の発明の保護回路は、第1の発明の保護回路において、前記温度検出素子は、前記検出信号として、ローレベルの信号を供給し、前記温度検出素子が供給する前記ローレベルの信号を、ハイレベルの信号に反転するバッファをさらに備え、前記スイッチは、ベースが、前記バッファに接続され、コレクタが、前記フィードバック素子に接続され、エミッタが、接地電位に接続された、npn型のバイポーラトランジスタであることを特徴とする。
【0013】
本発明では、スイッチは、ベースが、バッファに接続され、コレクタが、フィードバック素子に接続され、エミッタが、接地電位に接続された、npn型のバイポーラトランジスタである。このため、温度検出素子が、ローレベルの信号を出力し、バッファが、ハイレベルの信号を、バイポーラトランジスタのベースに供給すると、バイポーラトランジスタがオンの状態となる。従って、温度検出素子が検出した温度が、所定の温度以上になると、スイッチがオンの状態となり、フィードバック素子に大きな電流を流すことができる。
【0014】
第3の発明の保護回路は、第1又は第2の発明の保護回路において、前記フィードバック素子は、発光ダイオードと、フォトトランジスタと、を有するフォトカプラであり、前記発光ダイオードのアノードには、第1抵抗を介して、前記保護電源回路からの電源電圧が供給され、前記発光ダイオードのカソードは、前記電圧検出素子、及び、前記スイッチに接続され、前記フォトトランジスタのコレクタは、前記制御回路のフィードバック端子に接続され、前記フォトトランジスタのエミッタは、接地電位に接続されることを特徴とする。
【0015】
本発明では、発光ダイオードのカソードは、電圧検出素子に接続されている。このため、発光ダイオードには、スイッチング電源の出力電圧に応じた電流が流れる。また、フォトトランジスタには、発光ダイオードに流れる電流に応じた電流が流れる。また、フォトトランジスタのコレクタは、制御回路のフィードバック端子に接続されている。このため、制御回路は、フォトトランジスタによって変化されるフィードバック端子の電圧に応じて、スイッチング素子を制御することができる。
【0016】
また、発光ダイオードのカソードは、スイッチにも接続されている。このため、スイッチがオンの状態となると、発光ダイオードには、大きな電流が流れる。また、フォトランジスタには、発光ダイオードに流れる電流に応じた電流が流れるため、フォトトランジスタにも、大きな電流が流れる。また、フォトトランジスタのコレクタは、制御回路のフィードバック端子に接続されている。このため、フィードバック端子の電圧が、所定値以下となり、制御回路は、スイッチング素子を停止する。すなわち、保護動作が実行される。このようにして、温度検出素子が検出した温度が、所定の温度以上になった場合に、保護動作を実行することができる。
【0017】
第4の発明の保護回路は、第1〜第3の発明のいずれかの保護回路において、前記スイッチング電源からの出力電圧を降圧する降圧回路をさらに備え、前記保護電源回路は、前記降圧回路に接続されたダイオードをさらに有し、前記充電素子は、前記ダイオードを介して、前記降圧回路から供給される電圧によって充電されることを特徴とする。
【0018】
第5の発明の保護回路は、第1〜第4の発明のいずれかの保護回路において、一端が、前記スイッチング電源の出力に接続され、他端が、第3抵抗に接続された、第2抵抗と、一端が、前記第2抵抗の他端に接続され、他端が、接地電位に接続された、前記第3抵抗と、をさらに備え、前記電圧検出素子は、リファレンス端子が、前記第2抵抗と前記第3抵抗との間に接続され、カソードが、前記フィードバック素子に接続され、アノードが、接地電位に接続された、シャントレギュレーターであることを特徴とする。
【0019】
本発明では、電圧検出素子は、シャントレギュレーターである。シャントレギュレーターのリファレンス端子は、スイッチング電源の出力と接地電位との間に接続された第2抵抗と第3抵抗との間に接続されている。また、シャントレギュレーターのカソードが、フィードバック素子に接続されている。また、シャントレギュレーターのアノードが、接地電位に接続されている。このため、シャントレギュレーターは、スイッチング電源の出力電圧の、第2抵抗と第3抵抗とによる分圧に応じて、カソード吸い込み電流が増減する。従って、フィードバック素子に流れる電流も、カソード吸い込み電流に応じて増減する。これにより、スイッチング電源の出力電圧に応じて、フィードバック素子に流れる電流を増減させることができる。
【0020】
第6の発明の保護回路は、第1〜第5の発明のいずれかの保護回路において、前記温度検出素子は、前記スイッチング電源が備えるトランスの近傍に設けられることを特徴とする。
【0021】
本発明では、温度検出素子は、スイッチング電源が備えるトランスの近傍に設けられる。このため、トランスを熱(温度上昇)から保護することができる。
【0022】
第7の発明のスイッチング電源は、第1〜第6の発明のいずれかの保護回路を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、保護のためにスイッチング電源を停止させた後、自動的にスイッチング電源を再度動作(自動復帰)させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るスイッチング電源の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(スイッチング電源)
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るスイッチング電源の回路構成を示す図である。スイッチング電源1は、整流回路2と、コンデンサC1と、スイッチング素子3と、制御IC4と、トランス5と、ダイオードD1と、コンデンサC2と、保護回路6と、を備える。
【0026】
整流回路2は、交流電源から入力される交流電圧を整流する。コンデンサC1は、整流回路2が整流した電圧を平滑する。平滑された電圧は、スイッチング素子3に供給される。制御IC4(制御回路)は、スイッチング素子3を制御する。制御IC4の電源端子VDDは、トランス5の補助巻線53に接続されている。制御IC4は、補助巻線53から出力された電圧を整流した電源電圧によって動作する。スイッチング素子3は、制御IC4により制御され、任意の周波数でスイッチングすることにより、任意の周波数の交流電圧をトランス5の一次巻線51に供給する。スイッチング素子3は、例えば、n型のMOSFETである。スイッチング素子3は、コンデンサC1からの電圧、又は、接地電位の電圧を一次巻線51に供給する。トランス5は、一次巻線51に供給された電圧を変圧して二次巻線52から出力する。ダイオードD1は、二次巻線52からの交流電圧を整流する。コンデンサC2は、ダイオードD1が整流した電圧を平滑する。コンデンサC2が平滑した電圧が、スイッチング電源1の出力電圧である。
【0027】
(保護回路)
図1に示すように、保護回路6は、シャントレギュレーター61と、抵抗R1〜R4と、フォトカプラ62と、制御IC4と、温度検出素子63と、バッファ64と、バイポーラトランジスタQ1と、DCDCコンバーター65と、保護電源回路66と、を備える。
【0028】
シャントレギュレーター61(電圧検出素子)は、スイッチング電源1の二次側でフォトカプラ62に接続されている。また、シャントレギュレーター61は、スイッチング電源1の出力電圧に応じて、フォトカプラ62に流れる電流を変化させる。シャントレギュレーター61のリファレンス端子は、抵抗R2(第2抵抗)と抵抗R3(第3抵抗)との間に接続されている。シャントレギュレーター61のカソードは、フォトカプラ62(発光ダイオードのカソード)に接続されている。シャントレギュレーター61のアノードは、接地電位に接続されている。
【0029】
フォトカプラ62(フィードバック素子)は、発光ダイオードと、フォトトランジスタと、を有する。発光ダイオードのアノードには、抵抗R1(第1抵抗)を介して、保護電源回路66からの電源電圧Vthmが供給される。発光ダイオードのカソードは、シャントレギュレーター61とバイポーラトランジスタQ1とに接続されている。フォトトランジスタのコレクタは、制御IC4のフィードバック端子FBに接続されている。フォトトランジスタのエミッタは、接地電位に接続されている。抵抗R4の一端には、保護電源回路66からの電源電圧Vthmが供給される。抵抗R4の他端は、シャントレギュレーター61とバイポーラトランジスタQ1とに接続されている。制御IC4は、フォトカプラ62にスイッチング電源1の一次側で接続されている。
【0030】
温度検出素子63は、温度を検出し、検出した温度が所定の温度(例えば、100℃)以上で検出信号を供給する。温度検出素子63の出力は、所定の温度未満では、オープンドレインである。温度検出素子63の出力は、所定の温度以上で、ローレベルとなる。従って、温度検出素子63は、検出信号として、ローレベルの信号を供給する。温度検出素子63は、トランス5近傍に設けられている。従って、温度検出素子63は、トランス5近傍の温度を検出し、検出したトランス5近傍の温度に応じて、検出信号を供給する。
【0031】
バッファ64は、ローレベルの信号を、ハイレベルの信号に反転する。バイポーラトランジスタQ1(スイッチ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ1は、スイッチング電源1の二次側でフォトカプラ62に接続されている。バイポーラトランジスタQ1は、オンの状態となることにより、フォトカプラ62に流れる電流を大きくする。バイポーラトランジスタQ1のベースは、バッファ64に接続されている。バイポーラトランジスタQ1のコレクタは、フォトカプラ62(発光ダイオードのカソード)に接続されている。バイポーラトランジスタQ1のエミッタは、接地電位に接続されている。
【0032】
DCDCコンバーター65(降圧回路)は、スイッチング電源からの出力電圧を降圧する。例えば、DCDCコンバーター65からの出力電圧+20Vを5Vに降圧する。保護電源回路66は、ダイオードD2と、コンデンサC3(充電素子)と、を有する。コンデンサC3は、ダイオードD2を介して、DCDCコンバーター65から供給される電圧によって充電される。温度検出素子63、及び、フォトカプラ62には、保護電源回路66からの電源電圧Vthm(コンデンサC3の充電電圧)が供給される。なお、スイッチング電源1の一次側と二次側とは、フォトカプラ62によって絶縁されているため、図1において、一次側と二次側とで、接地電位(GND)を示す記号を異ならせている。
【0033】
以下、保護回路6の動作について説明する。シャントレギュレーター61は、リファレンス端子に入力される、スイッチング電源1からの出力電圧の抵抗R2と抵抗R3とによる分圧に応じて、カソードの吸い込み電流が増減する。シャントレギュレーター61は、リファレンス端子の電圧が高いほど、カソードの吸い込み電流が増加する。また、シャントレギュレーター61は、リファレンス端子の電圧が低いほど、カソードの吸い込み電流が減少する。
【0034】
フォトカプラ62においては、シャントレギュレーター61の吸い込み電流の増減に応じて、発光ダイオードの電流が増減する。発光ダイオードの電流の増減に応じて、フォトトランジスタの電流が増減する。フォトトランジスタの電流の増減は、制御IC4のフィードバック端子FBの電圧を変化させる。ここで、図示しないが、制御IC4のフィードバック端子FBには、抵抗を介して、電源が接続されている。このため、フォトトランジスタの電流が増加するほど、フィードバック端子FBの電圧は、減少する。制御IC4は、フィードバック端子FBの電圧に応じて、スイッチング素子3によるオン/オフのデューティーを変化させて、スイッチング電源1の出力電圧を調整する。
【0035】
ここで、温度検出素子63は、検出した温度が、所定の温度以上となった場合に、検出信号として、ローレベルの信号を供給する。バッファ64は、温度検出素子63が供給するローレベルの信号を反転する。バイポーラトランジスタQ1のベースは、バッファ64に接続されているため、バイポーラトランジスタQ1は、オンの状態となる。バイポーラトランジスタQ1のコレクタは、発光ダイオードのカソードに接続されているため、発光ダイオードに大きな電流が流れる。また、フォトトランジスタにも大きな電流が流れる。このため、制御IC4のフィードバック端子FBの電圧が大きく低下し、所定値以下となる。制御IC4は、フィードバック端子FBの電圧が所定値以下の場合に、スイッチング素子3を停止する。このように、保護回路6は、所定の温度以上となると、トランス5(スイッチング電源1)を熱から保護するため、スイッチング電源1の動作を停止し、保護動作を実行する。
【0036】
スイッチング電源1の動作が停止した後、スイッチング電源1の出力電圧が低下すると、シャントレギュレーター61のカソード吸い込み電流が減少する。このため、発光ダイオードに流れる電流が減少する。また、フォトトランジスタに流れる電流も減少する。これにより、制御IC4のフィードバック端子FBの電圧が所定値よりも大きくなり、制御IC4は、スイッチング素子3を動作させようとする。
【0037】
ここで、温度検出素子63、及び、フォトカプラ62には、保護電源回路66からの電源電圧Vthmが供給されている。保護電源回路66は、スイッチング電源1の出力電圧によって充電されるコンデンサC3を有しているため、スイッチング電源1の動作停止後も、温度検出素子63、及び、フォトカプラ62に電源電圧を供給可能である。このため、スイッチング電源1動作停止後、温度が所定の温度よりも低下していなければ、バイポーラトランジスタQ1は、オンの状態のままであり、保護回路6は、保護動作を実行したままである。一方、温度が所定の温度よりも低下すれば、バイポーラトランジスタQ1は、オフの状態となり、保護回路6は、保護動作を終了する。保護回路6が保護動作を終了すると、制御IC4は、スイッチング素子3を動作(スイッチング)させる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、温度検出素子63が検出した温度が、所定の温度以上となった場合に、バイポーラトランジスタQ1がオンし、フォトカプラ62に大きな電流が流れる。このため、フォトカプラ62によって変化される電圧が所定値以下となり、制御IC4は、スイッチング素子3を停止する。すなわち、スイッチング電源1が停止され、保護動作が実行される。
【0039】
また、スイッチング電源1の動作が停止した後、スイッチング電源1の出力電圧が低下し、フォトカプラ62に流れる電流が小さくなると、フォトカプラ62によって変化される電圧が所定値より大きくなり、制御IC4は、スイッチング素子3を動作(スイッチング)させようとする。ここで、温度検出素子63、及び、フォトカプラ62には、保護電源回路66からの電源電圧が供給されている。保護電源回路66は、スイッチング電源1の出力電圧によって充電されるコンデンサC3を有しているため、スイッチング電源1の停止後も、温度検出素子63、及び、フォトカプラ62に電源電圧を供給可能である。このため、スイッチング電源1停止後、温度検出素子63が検出した温度が、所定の温度よりも低下していなければ、保護動作が実行されたままである。一方、温度検出素子63が検出した温度が、所定の温度よりも低下していれば、保護動作が終了し、制御IC4は、スイッチング素子3を動作(スイッチング)させる。従って、スイッチング電源1が動作を停止した後、即座に、スイッチング電源1が動作するという問題が発生することが防止される。
【0040】
このように、本実施形態によれば、保護のためにスイッチング電源1を停止させた後、自動的にスイッチング電源1を再度動作(自動復帰)させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、npn型のバイポーラトランジスタQ1のベースは、バッファ64に接続されている。また、バイポーラトランジスタQ1のコレクタが、フォトカプラ62(発光ダイオードのカソード)に接続されている。また、バイポーラトランジスタQ1のエミッタが、接地電位に接続されている。このため、温度検出素子63が、ローレベルの信号を出力し、バッファ64が、ハイレベルの信号を、バイポーラトランジスタQ1のベースに供給すると、バイポーラトランジスタQ1がオンの状態となる。従って、温度検出素子63が検出した温度が、所定の温度以上になると、バイポーラトランジスタQ1がオンの状態となり、フォトカプラ62に大きな電流を流すことができる。
【0042】
また、本実施形態では、発光ダイオードのカソードは、シャントレギュレーター61のカソードに接続されている。このため、発光ダイオードには、スイッチング電源1の出力電圧に応じた電流が流れる。また、フォトトランジスタには、発光ダイオードに流れる電流に応じた電流が流れる。また、フォトトランジスタのコレクタは、制御IC4のフィードバック端子FBに接続されている。このため、制御IC4は、フォトトランジスタによって変化されるフィードバック端子FBの電圧に応じて、スイッチング素子3を制御することができる。
【0043】
また、発光ダイオードのカソードは、バイポーラトランジスタQ1のコレクタにも接続されている。このため、バイポーラトランジスタQ1がオンの状態となると、発光ダイオードには、大きな電流が流れる。また、フォトランジスタには、発光ダイオードに流れる電流に応じた電流が流れるため、フォトトランジスタにも、大きな電流が流れる。また、フォトトランジスタのコレクタは、制御IC4のフィードバック端子FBに接続されている。このため、フィードバック端子FBの電圧が、所定値以下となり、制御IC4は、スイッチング素子3を停止する。すなわち、保護動作が実行される。このようにして、温度検出素子63が検出した温度が、所定の温度以上になった場合に、保護動作を実行することができる。
【0044】
また、本実施形態では、シャントレギュレーター61のリファレンス端子は、スイッチング電源1の出力と接地電位との間に接続された抵抗R2と抵抗R3との間に接続されている。また、シャントレギュレーター61のカソードは、発光ダイオードのカソードに接続されている。また、シャントレギュレーター61のアノードは、接地電位に接続されている。このため、シャントレギュレーター61は、スイッチング電源1の出力電圧の、抵抗R2と抵抗R3とによる分圧に応じて、カソード吸い込み電流が増減する。従って、発光ダイオード、及び、フォトトランジスタに流れる電流も、カソード吸い込み電流に応じて増減する。これにより、スイッチング電源1の出力電圧に応じて、フォトカプラ62に流れる電流を増減させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、温度検出素子63は、スイッチング電源1が備えるトランス5の近傍に設けられている。このため、トランス5を熱(温度上昇)から保護することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0047】
上述の実施形態においては、温度検出素子63は、トランス5の近傍に設けられている。これに限らず、他の位置に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、スイッチング電源を熱から保護するための保護回路、及び、スイッチング電源に関する。
【符号の説明】
【0049】
1 スイッチング電源
3 スイッチング素子
4 制御IC(制御回路)
5 トランス
51 一次巻線
52 二次巻線
6 保護回路
61 シャントレギュレーター(電圧検出素子)
62 フォトカプラ(フィードバック素子)
63 温度検出素子
64 バッファ
65 DCDCコンバーター(降圧回路)
66 保護電源回路
C3 コンデンサ(充電素子)
D2 ダイオード
Q1 バイポーラトランジスタ(スイッチ)
R1 抵抗(第1抵抗)
R2 抵抗(第2抵抗)
R3 抵抗(第3抵抗)
図1