【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、本発明は、流体冷却システムを提供し、この流体冷却システムは:
表面エリアを含むある体積の熱伝達流体と;
ある体積の空気が、該体積の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを許可する又は強制するための手段であって、空気の湿球温度は、あるプロセス又は場所から熱エネルギーを除去するのに十分な、熱伝達流体の要求される温度とほぼ等しい温度、又は熱伝達流体の要求される温度よりも低い温度にあり、それによって、該体積の空気は、前記流体の温度が、蒸発によって、前記要求される温度とほぼ等しい温度まで下げられる、又は該ほぼ等しい温度に維持されることを引き起こす、手段と;
を含む。
【0011】
一実施形態において、要求される温度は、流体のほぼ最高温度であり、この最高温度より上では、流体は温かすぎて、流体への伝達に際して、目標プロセス又は目標場所から、望ましい熱エネルギーの除去を引き起こすことができない。湿球温度が要求される流体温度よりも低い場合に、最も有効な冷却が起こるかもしれないのに対して、湿球温度が、要求される温度とほぼ等しい場合には、若干の冷却効果しか起こらないかもしれない。「熱伝達流体の温度とほぼ等しい温度で、又は熱伝達流体の温度よりも低い温度で」という用語は、流体の有効な冷却が起こるという、これらの可能なシナリオの各々を包含することが意図されている。
【0012】
一実施形態において、該体積の熱伝達流体はタンクの中に保持され、且つ該体積の空気は、タンクの中の流体の集合体の上部表面エリアを横切ることを許可され又は強制され、そこでは、前記プロセス又は場所で要求される冷却された流体が、前記タンクから移送される。
【0013】
代替的実施形態において、該体積の熱伝達流体は小滴の形をしており、それによって、各小滴は、小滴表面エリアを有し、この小滴表面エリアは、該体積の熱伝達流体の表面エリアの一部を形成し、該体積の空気は、該体積の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを許可され又は強制され、そこでは、前記プロセス又は場所で要求される冷却された流体が、冷却された小滴を受容するタンクから移送される。
【0014】
上の冷却された小滴を受容することに対する関連では、タンクの中に冷却された小滴を直接受容することであってもよく、又は状況によっては、小滴を間接的に受容することであってもよく、その場合、例えば、タンクは、冷却された小滴が移送される貯蔵タンクである。
【0015】
一実施形態において、冷却システムは単一のタンクを含み、この単一タンクから、冷却された流体が、プロセス又は場所へ移送され、且つ単一タンクの中に、温められた流体が、プロセス又は場所から戻される。
【0016】
一実施形態において、前記体積の熱伝達流体は十分に多量であり、そのため、前記流体の温度は、プロセス又は場所からの戻り流体を付加することによって、ある程度を超えて上昇しない。ここである程度とは、プロセス又は場所から熱エネルギーを除去することにおいて、流体がもはや有用でなくなる程度のことである。
【0017】
一実施形態において、戻り流体は、タンクの上方部分に受容され、且つ冷却された流体は、タンクの下方部分から、場所又はプロセスへ移送される。
【0018】
代替的実施形態において、冷却システムは2つのタンクを含む。第1タンクは、自身から、ほぼ要求される温度まで又は要求される温度未満に冷却された流体が、プロセス又は場所に移送されるタンクである。第2タンクは、自身へ、温かい戻り流体が、場所又はプロセスから移送されるタンクである。
【0019】
一実施形態において、温かい方の流体は、第2タンクの中に保持され、且つ、ある時間期間の間、第1タンクへ移送されると共に第1タンクの中の流体と混ざることが防止され、それによって、第1タンクの中の流体を、前記要求される温度で、又は前記要求される温度の近くで維持する。
【0020】
一実施形態において、第2タンクの中の流体が、ほぼ前記要求される温度、又はそれに近い温度の場合、第2タンクの中の流体は、第1タンクに移送される。
【0021】
一実施形態において、プロセス又は場所から戻る温められた流体は、第2タンクの上方部分に受容され、且つ冷却された流体は、第2タンクの下方部分から、第1タンクの上方部分へ移送される。
【0022】
一実施形態において、第2タンクは、ある体積の空気が、第2タンクの中の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを許可する又は強制するための手段を含み、空気の湿球温度は、第2タンクの中の熱伝達流体の温度とほぼ等しい温度、又は熱伝達流体の温度よりも低い温度にあり、その結果として、第2タンクの中の熱伝達流体の温度が蒸発手段によって下げられることを引き起こす。
【0023】
一実施形態において、システムは、第2タンクから流出した任意量の温かい流体を維持するための、第3の流出タンクを含むが、ここで流出は、条件が第2タンクの中の流体の蒸発冷却を許すまで続く。
【0024】
一実施形態において、第2タンクからの流体が第1タンクへ移送される場合、第3タンクからの流体は、第2タンクへ移送される。
【0025】
一実施形態において、第3タンクの中の流体の温度が、要求される温度と同等である場合、第3タンクの中の流体は、第1タンクのための補給流体のソースとして使用される。
【0026】
一実施形態において、第3タンクの中の流体の温度は、ある体積の空気が、第3タンクの中の流体の表面エリアを横切ることを許可する又は強制することによって下げられ、空気の湿球温度は、第3タンクの中の熱伝達流体の温度とほぼ等しい、又は熱伝達流体の温度よりも低い。
【0027】
一実施形態において、システムは:
要求される温度とほぼ等しい温度、又は要求される温度よりも低い温度にある湿球温度を有する空気を作り出すために、周囲空気の湿球温度を減少させる手段、
を更に含む。
【0028】
一実施形態において、周囲空気の湿球温度を減少させる手段は、周囲空気の絶対湿度を減少させる除湿プロセスである。
【0029】
一実施形態において、前記除湿プロセスは、あるスペースに入る前に、空気を処理するための空気処理システムの一部を形成し、そこでは空気処理システムは、除湿プロセスの上流又は下流に冷却プロセスを更に含む。
【0030】
一実施形態において、前記要求される温度とほぼ等しい温度まで下げられた、又は該ほぼ等しい温度に維持された熱伝達流体は、熱エネルギーを除去するための冷却プロセスへ移送される。
【0031】
一実施形態において、該体積の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを許可された又は強制された該体積の空気は、前記スペースから供給された空気であり、この空気は、十分に低い湿球温度を有し、その結果、熱伝達流体の温度が、蒸発手段によって、前記要求される温度とほぼ等しい温度まで下げられる、又は該ほぼ等しい温度で維持されることを引き起こす。
【0032】
一実施形態において、該スペースは、住宅若しくはビルディング内部、又は、スポーツスタジアムの内部若しくは動物畜舎のような、部分的に囲まれたエリアである。一実施形態において、該スペースは、自身のスペースの中の熱交換器を通して冷却された流体を汲み出すことによって、冷却される。一実施形態において、熱交換器は、ビルディングの各階の床、壁又は天井の中の、循環水式冷却パイプのような、大きくてゆっくり流れる熱交換器である。
【0033】
一実施形態において、該体積の空気が、該体積の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを強制するための手段は、空気が制御された速度で移動することを誘発する、1つ以上の換気ファンの形をしている。速度は、ファン速度を調節することによるか、又は流体がタンクの中に保持されている場合は、自由表面の上方の囲まれた体積を調節することによって、制御することが可能である。自由表面の高さを決定することによって、各タンクの冷却速度は、ファンが最適な効率で動作することを可能にしながら、最適化することが可能である。蒸発の速度は、自由表面上方での空気速度に依存し、且つこの蒸発の速度は、当業者によって計算することが可能である。
【0034】
一実施形態において、タンクは、予想される最も長い期間に等しい持続期間の間、プロセス又は場所に対して要求されるような、冷却水を供給するのに十分な体積を有するが、ここで該予想される最も長い期間が経過すれば、蒸発冷却は、上昇した湿球温度のために、効果的ではなくなっているであろう。
【0035】
一実施形態において、前記熱伝達流体は水である。水のコストは、他の冷却液体のコストに比べて極めて低く、且つ水は、地球の表面上で自由に利用できる。水は、完全に毒性がなく、且つ非常に好ましい特有の熱蓄積容量を有する。
【0036】
別の態様によれば、本発明は、あるスペースに入る前に、ある体積の空気を処理するための空気処理システムを提供し、前記空気処理システムは:
乾燥された空気を作り出すことを目的とした、周囲空気の絶対湿度を減少させるための除湿器と;
除湿器の下流にある熱交換器であって、該除湿器は、蒸発により熱エネルギーを除去することによって、乾燥された空気を冷却するための、冷却されたプロセス流体の入力を含む、熱交換器と;
周囲空気が除湿器の中に入り、除湿器からの乾燥された空気が熱交換器を横切り、且つ、熱交換器からの乾燥され且つ冷却された空気が該スペースの中に入ることを許可する又は強制する手段と;
を含み、
冷却されたプロセス流体は、ある体積の空気が、ある体積の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを許可する又は強制することによって作り出され、空気の湿球温度は、乾燥された空気から熱エネルギーを除去するのに要求される熱伝達流体の温度とほぼ等しい温度、又は熱伝達流体の温度よりも低い温度にあり、それによって、該体積の空気は、前記流体の温度が、蒸発手段によって、前記要求される温度とほぼ等しい温度まで下げられるか、又は該ほぼ等しい温度に維持される。
【0037】
一実施形態において、該体積の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを許可される又は強制される該体積の空気は、前記スペースから供給された空気であり、この空気は、十分に低い湿球温度を有し、その結果、熱伝達流体の温度が、蒸発手段によって、前記要求される温度とほぼ等しい温度まで下げられる、又は該ほぼ等しい温度に維持されることを引き起こす。
【0038】
別の態様によれば、本発明は、流体を冷却するための方法又はプロセスを提供し、この方法又はプロセスは:
ある体積の空気が、ある体積の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを許可する又は強制するステップであって、該体積の空気の湿球温度は、あるプロセス又は場所から熱エネルギーを除去するのに十分な、熱伝達流体の要求される温度とほぼ等しい温度、又は熱伝達流体の要求される温度よりも低い温度にあり、該空気は、前記流体の温度が、蒸発手段によって、前記要求される温度とほぼ等しい温度まで下げられる、又は該ほぼ等しい温度に維持されることを引き起こす、ステップ、
を含む。
【0039】
一実施形態において、本方法又はプロセスは、空気が、該体積の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを許可される又は強制される前に、ある体積の空気の湿球温度を減少させるステップであって、それによって、空気の乾球温度を実質的に変更することなく、空気の絶対湿度を減少させる、ステップ、を更に含む。
【0040】
更に別の態様によれば、本発明は、あるスペースの中に入る前に、空気を処理するための方法又はプロセスを提供し、前記方法又はプロセスは:
乾燥された空気を作り出すために、周囲空気の絶対湿度を減少させるステップと;
冷却された空気を作り出すために、前記乾燥された空気が熱交換器を横切ることを許可する又は強制するステップであって、熱交換器は、蒸発により熱エネルギーを除去することによって、乾燥された空気を冷却するために、冷却された流体の入力を有する、ステップと;
前記乾燥され且つ冷却された空気が、該スペースの中に入ることを許可する又は強制するステップと;
を含み、
冷却された流体は、ある体積の空気が、ある体積の熱伝達流体の表面エリアを横切ることを許可する又は強制することによって作り出され、該空気の湿球温度は、乾燥された空気から熱エネルギーを除去するのに要求される熱伝達流体の温度とほぼ等しい温度、又は該熱伝達流体の温度よりも低い温度にあり、それによって、該体積の空気は、前記流体の温度が、蒸発手段によって、前記要求される温度とほぼ等しい温度まで下げられるか、又は該ほぼ等しい温度に維持されることを引き起こす。
【0041】
一実施形態において、該体積の熱伝達流体の表面を横切ることを許可される又は強制される該体積の空気は、前記スペースから供給される空気であり、この空気は、十分低い湿球温度を有し、その結果、熱伝達流体の温度が、蒸発手段によって、要求される前記温度とほぼ等しい温度まで下げられる、又はその温度に維持されることを引き起こす。