特許第6670143号(P6670143)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670143
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】揺動体装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20200309BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20200309BHJP
   B81B 7/02 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   G02B26/10 C
   G02B26/10 104Z
   G02B26/08 E
   B81B7/02
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-60690(P2016-60690)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-173622(P2017-173622A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503213291
【氏名又は名称】パイオニア・マイクロ・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】埴原 甲二
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−53137(JP,A)
【文献】 特表2008−525844(JP,A)
【文献】 特開2011−180294(JP,A)
【文献】 特開平11−30763(JP,A)
【文献】 特表2010−527028(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104936504(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/00−26/12
B81B 1/00−7/04
B81C 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの揺動軸を中心に揺動する揺動体と前記揺動体を駆動する駆動部とを有する揺動体装置の制御装置であって、
周波数が前記揺動体の共振周波数に対応するそれぞれ一定振幅の信号であって、前記揺動体の揺動角度を増加させる第1の信号と前記揺動角度を減少させる第2の信号とを生成する生成部と、
前記第1及び第2の信号をそれぞれ出力する第1及び第2の期間を交互に繰り返して前記駆動部に前記第1及び第2の信号を出力する出力部とを有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第2の信号は前記第1の信号とは逆位相であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記第1の期間と、前記第2の期間と、信号の出力を停止する第3の期間とをこの順で繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記揺動体の非駆動時における基準位置からの揺動角度を検知する検知部を有し、
前記出力部は、前記揺動体の前記基準位置からの前記揺動角度が所定角度以下となった場合に前記第3の期間に移行して信号の出力を停止することを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の期間は略同一の長さの期間であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項6】
前記揺動体の共振周波数をfとし、前記揺動体の静止状態から揺動状態を経て静止状態に戻るまでの周期をTとしたとき、前記揺動体のQ値はQ>4.5f×Tの関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項7】
前記揺動体は互いに直交する第1及び第2の揺動軸を中心に揺動し、
前記生成部は、前記揺動体を前記第1の揺動軸に対して揺動させる前記第1及び第2の信号と、前記揺動体を前記第2の揺動軸に対して揺動させる第3及び第4の信号を生成し、
前記第1及び第2の信号は、周波数が前記揺動体の前記第1及び第2の揺動軸周りに共通の共振周波数に対応するそれぞれ一定振幅かつ互いに逆位相の信号であり、
前記第3及び第4の信号は、周波数が前記共通の共振周波数に対応し、それぞれ振幅が一定であり、かつそれぞれ位相が前記第1及び第2の信号とは90度異なる信号であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSミラーなどの揺動体装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二次元の光走査装置として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを高速駆動させる技術が知られている。例えば、マイクロミラーを有するMEMSスキャナは、多くの場合、1つ以上の軸で動作するようにバネに懸架されたミラープレートを含む。また、MEMSスキャナは、当該ミラープレートに静電的、電磁的、熱的又は圧電的な力を与えることで対象物(対象領域)の走査を行う。例えば、特許文献1及び2には、X軸及びY軸の2軸方向に動作可能な光源又は光偏向装置に駆動信号を与え、らせん軌道での走査を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/281630号明細書
【特許文献2】特表2006-520022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、MEMSスキャナは、揺動体となるミラープレートを高速で揺動させ、揺動時の位置(基準位置からの傾斜位置)に対応する領域に順次光を照射していく。また、ミラープレートを揺動させる場合、当該ミラープレートをその共振周波数に対応する周波数で駆動することで、被駆動部を大きく揺動させること、すなわち大きな振幅(例えば走査領域)を得ることができる。
【0005】
一方、省電力な揺動体装置を作製することを考慮すると、揺動体装置のQ値(Quality factor)は大きいことが好ましい。例えば、Q値はMEMSスキャナを構成するバネの特性などによって定まる。例えば、MEMSスキャナなどの揺動体装置においては、Q値が高いほど、省電力で安定した揺動状態(振動状態)を得ることができる。
【0006】
一方、Q値を大きくすることを考慮すると応答性が低下するため、高いQ値の揺動体装置には、駆動力の印加から揺動動作が安定するまでの時間が長くなるという特性がある。ここで、らせん軌道を描くような駆動(以下、スパイラル駆動と称する)を行う場合、揺動体の振幅(例えば揺動角度)を周期的に変調する必要がある。従って、高いQ値を有する揺動体装置のスパイラル駆動を行うことを考慮すると、その応答性の低さによって揺動体の安定した振幅変調が困難となるという問題が一例として挙げられる。
【0007】
また、高いQ値を有する揺動体装置など、揺動体などの振動体を有する振動体装置においては、省電力で安定した駆動制御を行うことが可能であることが好ましい。
【0008】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、省電力で揺動体の振幅変調を行うことが可能な揺動体装置の制御装置を提供することを課題の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、少なくとも1つの揺動軸を中心に揺動する揺動体と揺動体を駆動する駆動部とを有する揺動体装置の制御装置であって、周波数が揺動体の共振周波数に対応するそれぞれ一定振幅の信号であって、揺動体の揺動角度を増加させる第1の信号と揺動角度を減少させる第2の信号とを生成する生成部と、第1及び第2の信号をそれぞれ出力する第1及び第2の期間を交互に繰り返して駆動部に第1及び第2の信号を出力する出力部とを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は実施例1に係る揺動体装置及びその制御装置の模式的な上面図であり、(b)は実施例1に係る揺動体装置の断面図である。
図2】実施例1に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】(a)は、実施例1に係る制御装置の出力信号の波形を示す図であり、(b)は、実施例1に係る揺動体装置におけるミラープレートの揺動軸AX周りの振幅変化を示す図である。
図4】(a)は、実施例1に係る揺動体装置の概略的な動作説明図であり、(b)は、実施例1に係る揺動体装置によるレーザ光の走査軌跡を示す図である。
図5】実施例1に係る揺動体装置の制御装置の他の出力信号の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1(a)は、実施例1に係る揺動体装置10及びその制御装置20の模式的な上面図である。揺動体装置10は、駆動力を印加することで揺動体14が揺動される装置である。本実施例においては、揺動体14はミラープレートであり、揺動体装置10はミラープレート14を駆動することで対象物の光走査を行う光スキャナである。しかし、揺動体14はミラープレートである場合に限定されない。例えば、揺動体装置10は、揺動体14として可動部を有するアクチュエータであってもよい。なお、以下においては揺動体14がミラープレートである場合について説明する。
【0013】
揺動体装置10は、ベース部11、揺動部12、駆動部13及び揺動体14を有する。また、本実施例においては、揺動体装置10は、互いに直交する2つの揺動軸(第1及び第2の揺動軸)AX及びAYの周りを揺動体14が揺動するように構成されている。また、駆動部13は、揺動部12及び揺動体14を揺動する揺動力(駆動力)を生成する。駆動部13には制御装置20が接続され、制御装置20によって駆動部13の駆動制御が行われる。
【0014】
本実施例においては、ベース部11は第1及び第2のベース基板B1及びB2を含む。揺動部12は、一端がベース部11に接続されたトーションバー(第1のトーションバー)SXと、トーションバーSXの他端に接続され、揺動軸AXの周りを揺動する揺動枠MXと、一端が揺動枠MXに接続されたトーションバー(第2のトーションバー)SYと、トーションバーSYの他端に接続され、揺動軸AYの周りを揺動する揺動板MYと、を有する。また、揺動板MY上には揺動体14が形成されている。
【0015】
また、本実施例においては、トーションバーSX及びSYは、少なくとも周方向の弾性を有する2つの棒状の弾性部材(弾性棒)を含む。また、トーションバーSX(弾性棒)は、揺動枠MXを挟んでその長さ方向に整列しており、その整列方向が揺動枠MXの揺動軸AX方向である。トーションバーSXの一端はベース部11に固定された固定端であり、他端は揺動枠MXの外周部に接続されている。トーションバーSY(弾性棒)は、揺動板MYを挟んでその長さ方向に整列しており、その整列方向が揺動板MYの揺動軸AY方向である。また、トーションバーSYは、一端が揺動枠MXの内周部に接続されており、他端が揺動板MYの外周部に接続されている。
【0016】
駆動部13は、永久磁石MGと、揺動枠MX上において揺動枠MXの外周に沿って引き回された配線(第1の配線)WXと、揺動板MY上において揺動板MYの外周に沿って引き回された配線(第2の配線)WYとを含む。本実施例においては、駆動部13は、永久磁石MGによって生ずる磁界と、配線WX及びWYに電流が印加されることよって生ずる電界とによって、電磁気的に揺動部12及び揺動体14を揺動させる電磁気力(駆動力)を生成する。
【0017】
本実施例においては、永久磁石MGは、第2のベース基板B2の外側に設けられ、揺動部12を挟んで並んで配置された複数の磁石片を有する。本実施例においては、磁石片は各揺動軸AX及びAYに沿ってそれぞれ2つ、合計4つ配置されている。配線WXに電流が流れると、配線WXに生じた電界と、揺動軸AYの軸方向に並んだ永久磁石MGの磁石片によって生じた磁界との相互作用により、トーションバーSXが周方向にねじれ、揺動枠MXが揺動軸AXの周りを揺動する。同様に、配線WYに流れた電流による電界と揺動枠AXの軸方向に並んだ永久磁石MGの磁石片による磁界とによってトーションバーSYがねじれ、揺動板MYが揺動軸AYの周りを揺動する。なお、本実施例においては、揺動部12における揺動軸AX周りの共振周波数と揺動軸AY周りの共振周波数は等しい。
【0018】
本実施例においては、揺動体14としてのミラープレートは、平板形状を有し、揺動軸AX及びAYに直交する中心軸CAを有する。揺動板MYは揺動体14を搭載し、揺動枠MXは揺動板MYを取り囲むように配置され、ベース部11は揺動枠MXを取り囲むように配置されている。揺動部12及び揺動体14は、揺動体14の中心軸CAに関して回転対称に配置されている。
【0019】
図1(b)は、揺動体装置10の断面図である。図1(b)は、図1(a)のV−V線に沿った断面図である。本実施例においては、揺動体装置10は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)装置である。具体的には、まず、図1(b)に示すように、ベース部11は、凹部を有する第1のベース基板B1と、第1のベース基板B1に固定された平板形状の第2のベース基板B2とを含む。例えば、第1のベース基板B1は樹脂材料から形成され、第2のベース基板B2はSOI(Silicon on Insulator)ウェハから形成されている。
【0020】
また、揺動部12(揺動枠MX、揺動板MY並びにトーションバーSX及びSY)は、第2のベース基板B2(SOIウェハ)を加工することで形成された第2のベース基板B2の部分である。また、揺動部12及び揺動体14は、第1のベース基板B1の凹部上において第2のベース基板B2に支持(懸架)されている。また、揺動体14は、2軸ジンバルとして機能する揺動部12に懸架されている。なお、第2のベース基板B2におけるトーションバーSXよりも外側の部分は、揺動部12及び揺動体14を振動(揺動)可能に支持する支持枠として機能する。
【0021】
また、揺動体14としてのミラープレートは、揺動板MYとして機能する第2のベース基板B2の部分上に板状(膜状)に形成されている。また、永久磁石MGは、トーションバーSXとして機能する第2のベース基板B2の部分の外側、本実施例においては第1のベース基板B1上に形成されている。また、本実施例においては、揺動部12は、第2のベース基板B2の厚さ方向に揺動する。また、揺動体14は、中心軸CA上の1点を揺動中心とし、第2のベース基板B2(ベース部11)に対して傾斜するように揺動する。
【0022】
このように、揺動体装置10は、揺動軸AX及びAYを中心に揺動する揺動体14と、揺動体14を駆動する駆動部13とを備えている。また、揺動体装置10には揺動体装置10の駆動を制御する制御装置20が設けられている。また、本実施例においては、揺動体14は、駆動部13によって揺動する揺動部12上に形成され、駆動部13によって揺動部12が揺動することで揺動体14が揺動する。また、制御回路20は駆動部13に接続されている。
【0023】
図2(a)は、制御装置20の構成を示すブロック図である。制御装置20は、揺動体装置10を駆動する信号を生成して揺動体装置10に供給する。制御装置20は、基準信号生成部21と、揺動体装置10を揺動させる信号を生成する揺動信号生成部(生成部)22と、当該信号を駆動部13に出力する出力部23とを有する。また、本実施例においては、制御回路20は、出力部23が出力する信号を切替える切替信号を生成する切替信号生成部24と、揺動体14の揺動角度を検知する揺動角検知部25を有する。
【0024】
基準信号生成部21は、揺動信号の基準となる基準信号RSを生成し、揺動信号生成部22に供給する。基準信号生成部21は、基準信号RSとして、周期的な信号を生成する。基準信号RSは、例えば正弦波及び鋸波である。
【0025】
揺動信号生成部22は、揺動軸AXに対する揺動体14の揺動角度を増加させる第1の揺動信号(第1の信号)S1と、揺動軸AXに対する揺動体14の揺動角度を減少させる第2の揺動信号(第2の信号)S2を生成する第1の生成部22Aを有する。また、揺動信号生成部22は、揺動軸AYに対する揺動体14の揺動角度を増加させる第3の揺動信号S3と、揺動軸AYに対する揺動体14の揺動角度を減少させる第4の揺動信号S4を生成する第2の生成部22Bを有する。
【0026】
第1の生成部22Aは、基準信号RSの位相を90度シフトしてシフト基準信号RSSを生成する第1の位相シフト回路SF1と、シフト基準信号RSSの位相を180度シフトする第2の位相シフト回路SF2と、第1及び第2の位相シフト回路SF1及びSF2の出力端にそれぞれ接続された第1及び第2の増幅回路AM1及びAM2とを含む。第1の生成部22Aは、第1及び第2の増幅回路AM1及びAM2が増幅した信号を、それぞれ第1及び第2の揺動信号S1及びS2として出力部23に供給する。
【0027】
第2の生成部22Bは、基準信号RSの位相を180度シフトする第3の位相シフト回路SF3と、第3の位相シフト回路SF3及び基準信号生成部21の出力端にそれぞれ接続された第3及び第4の増幅回路AM3及びAM4とを含む。第2の生成部22Bは、第3及び第4の増幅回路AM1及びAM2が増幅した信号を、それぞれ第1及び第2の揺動信号S3及びS4として出力部23に供給する。
【0028】
出力部23は、第1及び第2の揺動信号S1及びS2を選択して第1の出力信号OS1として出力する第1の出力部23Aと、第3及び第4の揺動信号S3及びS4を選択して第2の出力信号OS2を出力する第2の出力部23Bとを含む。
【0029】
第1の出力信号OS1は、揺動体14の揺動軸AXに対する揺動角度(振幅)を制御する制御信号であり、第2の出力信号OS2は、揺動体14の揺動軸AYに対する揺動角度(振幅)を制御する制御信号である。本実施例においては、第1の出力信号OS1は配線WXに供給され、第2の出力信号OS2は配線WYに供給される。
【0030】
基準信号生成部21は、例えば発振器を含む。第1〜第3の位相シフト回路SF1〜SF3は、例えば遅延回路を含む。第1〜第4の増幅回路AM1〜AM4は、例えば乗算回路を含む。第1及び第2の出力部23A及び23Bは、例えばセレクタを含む。なお、第1の出力部23Aは3つの入力端を有し、第1及び第2の入力端には第1及び第2の揺動信号S1及びS2が入力され、第3の入力端は接地されている。また、第2の出力部23Bは3つの入力端を有し、第1及び第2の入力端には第3及び第4の揺動信号S3及びS4が入力され、第3の入力端は接地されている。
【0031】
また、制御装置20は、出力部23における出力信号OS1及びOS2の制御、すなわち各揺動信号を切替る切替信号SS1及びSS2をそれぞれ生成する切替信号生成部24を有する。切替信号SS1は第1の出力部23Aに供給され、切替信号SS2は第2の出力部23Bに供給される。すなわち、出力部23の出力動作は、切替信号SS1及びSS2によって制御されている。
【0032】
制御装置20は、揺動体14の揺動角度を検知する揺動角検知部(以下、単に検知部と称する)25を有する。検知部25は、例えば揺動枠MX及び揺動板MYの傾斜位置を検知することで、揺動体14の各揺動軸AX及びAYに対する非駆動時の位置からの揺動角度を検知する。検知部25は、例えば、トーションバーSX上に形成された抵抗器と、当該抵抗器の電気抵抗値を測定する測定回路とを有する第1の検知部(図示せず)と、トーションバーSY上に形成された抵抗器と、当該抵抗器の電気抵抗値を測定する第2の検知部(図示せず)とを有する。
【0033】
図3(a)は、出力部23の第1の出力部23Aから出力された出力信号OS1の波形を示す図である。図の横軸は時間を示し、縦軸は出力信号OS1の振幅を示している。図3(a)を用いて、揺動信号生成部22の生成動作及び出力部23の出力動作について説明する。まず、揺動信号生成部22(第1の生成部22A)は、周波数が揺動体14の共振周波数に対応し(例えば整数倍)、振幅がそれぞれ一定の第1及び第2の揺動信号S1及びS2を生成する。
【0034】
また、出力部23(第1の出力部23A)は、第1の期間P1において第1の揺動信号S1を出力し、第2の期間P2において第2の揺動信号S2を出力する。また、本実施例においては、出力部23は、駆動部13に対し、第1の期間P1と、第2の期間P2と、信号の出力を停止する無信号期間(第3の期間)P3とをこの順で繰り返す。具体的には、第1の出力部23Aは、切替信号SS1によって、その入力端の接続位置を、第1の増幅回路AM1の出力端、第2の増幅回路AM2の出力端及び接地端と、をこの順で繰り返して切り替える。
【0035】
また、本実施例においては、第1及び第2の期間P1及びP2は略同一の長さの期間である。より具体的には、第1の期間P1と、第2の期間P2の開始から無信号期間P3の終了までの期間(期間P2+P3)とは互いに同一の長さである。一方、第1の期間P1及び第2の期間P2の各々は、無信号期間P3よりも十分に長い。
【0036】
また、無信号期間P3は、揺動体14の揺動角度が所定角度以下、例えば非駆動時の基準位置の時(揺動角度が0度の時)に開始される。すなわち、出力部23は、第2の期間P2後に揺動体14の揺動角度が所定角度以下となった際、所定期間、駆動部13に固定電位(例えば接地電位)を印加するように構成されている。なお、無信号期間P3(接地電位の印加)は検知部25の検知信号に基づいて開始する。
【0037】
図3(b)は、出力信号OS1によって揺動した揺動体14の揺動軸AXに対する揺動角度の変化を示す図である。図の横軸は時間を示し、縦軸は揺動体14の揺動軸AX周りの揺動角度(振幅)を示している。まず、上記したように、揺動体14には、第1の期間P1において揺動体14の揺動角度が大きくなるような揺動信号S1が供給される。しかし、揺動体14が高いQ値を有する場合、その応答性の低さ故、信号の供給直後には所望の揺動状態には至らない。従って、図3(b)に示すように、揺動体14は、第1の期間P1において、その共振周波数に対応する周波数で駆動力を受け、その揺動角度すなわち振幅を徐々に増大させながら揺動を行う。
【0038】
一方、第1の期間P1の後、第2の期間P2として、揺動体14の揺動角度が小さくなるような駆動力、本実施例においては揺動信号S1とは逆位相の揺動信号S2が揺動体14に供給される。具体的には、揺動体14は、第1の期間P1において振幅が増大して所定の振幅での揺動状態に達した後、第2の期間P2においてはその揺動が抑制されるような駆動力を受ける。従って、揺動体14は、第2の期間P2においては揺動角度すなわち振幅が小さくなるように揺動を行う。
【0039】
また、本実施例においては、制御装置20は、第2の期間P2の後、すなわち揺動体14の揺動角度が小さくなった後に、揺動体14に揺動信号S1及びS2を供給しない期間すなわち無信号期間P3に移行する。無信号期間P3において揺動体14には駆動部13には接地電位が印加されるため、駆動力は生じない。出力部23は、第3の期間P3以降は、第1〜第3の期間P1〜P3を繰り返して信号出力を行う。
【0040】
なお、第1及び第2の揺動信号S1及びS2、並びに後述する第3及び第4の揺動信号S3及びS4の周波数については揺動体14の各揺動軸AX及びAY周りの共振周波数に略一致させる必要がある。一方、第1及び第2の揺動信号S1及びS2の振幅及び第2の期間P2は、揺動体14のQ値に応じて調節することができる。例えば、所望の揺動角度に至るまでの第1の揺動信号S1の振幅を揺動体14のQ値に基づいて算出し、その算出結果に応じて第1の揺動信号S1の振幅や第2の期間P2の長さを設定することができる。
【0041】
このように、制御装置20は、周波数が揺動体14の共振周波数に対応し、振幅がそれぞれ一定の信号であって、揺動体14の揺動角度を増大させる第1の揺動信号(第1の信号)S1と、揺動体14の揺動角度を減少させる第2の揺動信号(第2の信号)S2を生成する揺動信号生成部22と、第1の揺動信号S1を出力する第1の期間P1と第2の揺動信号S2を出力する第2の期間P2とを繰り返して第1及び第2の揺動信号S1及びS2を駆動部13に出力する出力部23とを有する。従って、揺動体14の振幅変調を容易にかつ確実に行うことができる。
【0042】
また、出力部23の第2の出力部23Bは、駆動部13に対し、それぞれ第1及び第2の期間P1及びP2にそれぞれ第3及び第4の揺動信号S3及びS4を出力する。従って、出力部23の第2の出力部23Bから出力された出力信号OS2の波形は、位相が90度シフトしていることを除いては、図3(a)に示す出力信号OS1と同様の波形を示す。また、出力信号OS2によって揺動した揺動体14の揺動軸AYに対する揺動角度の変化は、図3(b)に示す揺動軸AXに対する揺動角度と同様の変化を示す。
【0043】
本実施例においては、揺動体14は互いに直交する第1及び第2の揺動軸AX及びAYを中心に揺動する。生成部22は、揺動体14を第1の揺動軸AXに対して揺動させる第1及び第2の信号S1及びS2と、揺動体14を第2の揺動軸AYに対して揺動させる第3及び第4の信号S3及びS4を生成する。
【0044】
また、第1及び第2の信号S1及びS2は、周波数が揺動体14の第1及び第2の揺動軸AX及びAY周りに共通の共振周波数に対応するそれぞれ一定振幅かつ互いに逆位相の信号である。また、第3及び第4の信号S3及びS4は、周波数が当該共通の共振周波数に対応し、それぞれ振幅が一定であり、かつそれぞれ位相が第1及び第2の信号S1及びS2とは90度異なる信号である。
【0045】
制御装置20が揺動体14の揺動軸AX及びAYに対してそれぞれ同様の出力信号OS1及びOS2を供給することで、揺動体14は、揺動軸AX及びAYに対して変調された角度(振幅)で揺動を行う。このように揺動体14を揺動させることで、容易に揺動体14のスパイラル駆動を行うことが可能となる。
【0046】
図4(a)は、揺動体装置10としてのMEMSミラーの模式的な動作説明図である。揺動体装置10は、光源LSからの入力光L1を、ミラープレート14によって、対象物OBに向けて反射させるように構成されている。また、ミラープレート14は、制御装置20によって駆動される。揺動体装置10は、ミラープレート14を揺動させることで、対象物OBの走査対象となる被照射領域A1に反射光L2を照射しつつ被照射領域A1の光走査を行う。例えば、揺動体装置10が撮像装置に搭載される場合、対象物OBの被照射領域A1は撮像領域である。
【0047】
図4(b)は、制御装置20によるミラープレート14の駆動軌跡を模式的に示す図である。図4(b)は、揺動体装置10としてのMEMSミラーによる被照射領域A1の光走査軌跡、すなわち対象物OBの被照射領域A1における反射光L2の照射軌跡を模式的に示す図である。なお、本実施例においては、被照射領域A1が平面状の領域である場合について説明する。
【0048】
図4(b)に示すように、反射光L2は、らせん軌道を描くように被照射領域A1に照射される。すなわち、揺動体装置10は、ミラープレート14をスパイラル駆動によって揺動させる。従って、揺動体装置10としてのMEMSミラーは、スパイラル走査によって被照射領域A1を走査する。
【0049】
スパイラル駆動(スパイラル走査)は、例えば、ミラープレート14のミラー面の非駆動時における中心軸CAからの傾斜角度(揺動角度)を変調させつつ、ミラープレート14をその中心軸CA上の1点を回転中心として回転させるように駆動することで実現することができる。
【0050】
例えば、上記した制御装置20による揺動体装置10の制御方法は、Q値が高い揺動体14をスパイラル駆動させる場合に大きな効果(駆動容易化及び省電力化)を得ることができる。揺動体14のQ値は揺動体14の材料や形状、揺動部12の構成などによって定まる。例えば、揺動体14の揺動軸AX及びAYに対する共振周波数をfとし、揺動体14を静止状態から揺動状態を経て静止状態に戻るまでの周期をTとしたとき、揺動体14の共振周波数のQ値がQ>4.5×f×Tを満たす場合に効果が大きい。発明者らは、揺動体14のQ値がQ≦4.5fTの場合、揺動体14(駆動部13)に対して単純に振幅変調した揺動信号を供給しても同様の揺動駆動が可能であることをシミュレーションによって確認している。
【0051】
また、本実施例においては、駆動部13が揺動部12及び揺動体14を駆動する駆動力として電磁気力を生成する場合について説明したが、駆動部13の構成はこれに限定されない。例えば、駆動部13は、制御装置20から制御信号(例えば揺動信号S1及びS2)が供給されることで静電力又は圧電力を生成するように構成されていてもよい。
【0052】
また、第1及び第2の揺動信号S1及びS2が同一の振幅を有する互いに逆位相の正弦波信号である場合について説明したが、第1及び第2の揺動信号S1及びS2の構成はこれに限定されない。第1及び第2の揺動信号S1及びS2は、それぞれ振幅が一定であればよく、第1の揺動信号S1が揺動体14の揺動角度を増大させる信号であり、第2の揺動信号S2が揺動体14の揺動角度を減少させる信号であればよい。また、第1及び第2の期間P1及びP2が概ね同一の長さを有する場合について説明したが、第1及び第2の期間は互いに異なる長さであってもよい。第3及び第4の揺動信号S3及びS4についても同様である。
【0053】
また、本実施例においては、制御装置20が基準信号生成部21及び揺動角検知部25を有する場合について説明したが、基準信号生成部21及び揺動角検知部25は制御装置20の外部に設けられていてもよい。また、例えば、揺動角度を推定できる場合には、揺動角検知部25を設ける必要はない。
【0054】
また、揺動信号生成部22が第1及び第2の生成部22A及び22Bを有し、出力部23が第1及び第2の出力部23A及び23Bを有する場合について説明したが、揺動信号生成部22及び出力部23の構成はこれに限定されない。例えば、揺動体装置10は、揺動体14を1つの揺動軸、例えば揺動軸AXのみを中心に揺動するように構成されていてもよい。この場合、揺動信号生成部22は第1の生成部22Aを有していればよく、出力部23は第1の出力部23Aを有していればよい。すなわち、揺動信号生成部23は第1及び第2の揺動信号S1及びS2を生成すればよく、出力部23は第1及び第2の揺動信号S1及びS2を選択的に出力するように構成されていればよい。
【0055】
図5は、出力部23の第1の出力部23Aが出力する出力信号OS1の他の例を示す図である。出力部23は、図5に示すように、上記した無信号期間P3に移行せず、第1及び第2の期間P2を交互に繰り返して第1及び第2の揺動信号S1及びS2を出力するように構成されていてもよい。
【0056】
すなわち、出力部23は、第1の揺動信号S1を出力する第1の期間P1と第2の揺動信号S2を出力する第2の期間P2とを繰り返して駆動部13に第1及び第2の揺動信号S1及びS2を出力するように構成されていればよい。この場合、検知部25を設ける必要はなく、周期的に第1及び第2の期間P1及びP2が繰り返されればよい。
【0057】
なお、揺動体14の揺動角度(すなわち振幅)の正確な制御を行うことを考慮すると、第2の期間P2後には揺動体14の揺動角度が0度になっていることが好ましい。この場合、第2の期間P2後において、検知部25が揺動体14の揺動角度を検知し、揺動体14の揺動角度が所定値以下となった際に、出力部23は第2の期間P2後に無信号期間P3に移行して揺動信号の出力を停止することが好ましい。
【0058】
上記したように、本実施例においては、制御装置20は、少なくとも1つの揺動軸(揺動軸AX)を中心に揺動する揺動体14と揺動体14を駆動する駆動部13とを有する揺動体装置10の制御を行う。また、制御装置20は、周波数が揺動体14の共振周波数に対応したそれぞれ一定の振幅の信号であって、揺動体14の揺動角度を増加させる第1の信号S1と揺動体14の揺動角度を減少させる第2の信号S2とを生成する生成部22と、第1の信号S1を出力する第1の期間P1と第2の信号S2を出力する第2の期間P2とを繰り返して駆動部13に第1及び第2の信号S1及びS2を出力する出力部23とを有する。従って、例えばQ値の高い揺動体14を容易に振幅変調させながら揺動させることができる。従って、省電力省電力で揺動体14の振幅変調を行うことが可能な揺動体装置10の制御装置20及び揺動体装置10の制御方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 揺動体装置
13 駆動部
14 揺動体
AX、AY 揺動軸
20 制御装置
22 揺動信号生成部(生成部)
23 出力部
25 揺動角検知部(検知部)
S1 第1の揺動信号(第1の信号)
S2 第2の揺動信号(第2の信号)
図1
図2
図3
図4
図5