【文献】
New Trends in the Optical and Electronic Applications of Polymers Containing Transition-Metal complexes,Macromolecular Rapid Communications,2012年,33,461-480
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明のビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーは、下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を含むものである。
【0015】
【化6】
(式中、R
1及びR
2は炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基を示す。前記アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよい。但し、R
1及びR
2は同一の基となることはない。Aはフェニレン基を示し、該フェニレン基は置換基を有していてもよい。Mは遷移金属元素を示す。X
-はアニオンを示す。*は不斉リン原子を示す。)
【0016】
前記一般式(1)の式中のR
1及びR
2は炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基である。
前記アルキル基としては、非環式アルキル基と脂環式アルキル基が挙げられる。
非環式アルキル基には、直鎖状アルキル基と分岐状アルキル基がある。直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等の炭素数1〜10のものが挙げられる。分岐状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソヘプチル基、イソヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基等の炭素数3〜10のものが挙げられる。
脂環式アルキル基には、単環式アルキル基と複環式アルキル基がある。単環式アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10のものが挙げられる。複環式アルキル基としては、アダマンチル基等の炭素数4〜10のものが挙げられる。
前記R
1及びR
2に係るアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙がられる。
前記R
1及びR
2に係るアルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としは、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基及び一般式;−N(A
1)(A
2)(式中、A
1及びA
2は炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基を示す)から選ばれる基が挙げられる。
本発明において、前記一般式(1)の式中のR
1及びR
2は、それぞれが異なる基である。
【0017】
本発明において、前記一般式(1)の式中のR
1及びR
2は、メチル基とtert−ブチル基の組み合わせであることが特に好ましい。
【0018】
一般式(1)の式中のAはフェニレン基を示す。前記フェニレン基は、置換基を有していてもよい。該置換基としは、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、一般式;CH
3−(O−CH
2CH
2)
n−(式中、nは1〜5の整数を示す。)、一般式;CH
3−(O−CH
2CH
2)
n−O−(式中、nは1〜5の整数を示す。)で表される基が挙げられる。
【0019】
一般式(1)の式中のMは遷移金属元素を示し、遷移金属元素としては、例えばニッケル、パラジウム、白金等が挙げられ、これらの中、白金が好ましい。
【0020】
一般式(1)の式中のX
-はアニオンを示し、本発明において、アニオンは特に制限はなく、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、四フッ化ホウ素イオン、六フッ化リン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、テトラフェニルボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等が挙げられる。
【0021】
本発明に係るビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーは、数平均分子量が1000〜100000、好ましくは1000〜50000、特に好ましくは1500〜20000である。また、本発明において、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5.0以下、好ましくは1.1〜3.0である。
【0022】
以下、本発明に係るビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーの製造方法について説明する。
本発明に係るビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーの製造方法は、前記一般式(2)で表されるアセチレン化合物を、薗頭カップリング反応条件で前記一般式(3)で表されるビスホスフィン-ビピリジン配位子と反応させることを特徴とするものである。
【0023】
原料となるアセチレン化合物は、下記一般式(2)で表される。
【化7】
(式中、Aはフェニレン基を示し、前記フェニレン基は置換基を有していてもよい。)
【0024】
一般式(2)の式中のAは、一般式(1)の式中のAに相当する基である。一般式(2
)の式中のAはフェニレン基を示す。前記フェニレン基は、置換基を有していてもよい。該置換基としは、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、一般式;CH
3−(O−CH
2CH
2)
n−(式中、nは1〜5の整数を示す。)、一般式;CH
3−(O−CH
2CH
2)
n−O−(式中、nは1〜5の整数を示す。)で表される基が挙げられる。
【0025】
一般式(2)のアセチレン化合物は、例えば下記の反応スキーム(1)に従って製造することができる。
【0026】
【化8】
(式中、Aは前記と同義。)
もう一方の原料のビスホスフィン-ビピリジン配位子含有錯体は、下記一般式(3)で表される。
【化9】
(式中、R
1及びR
2は炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基を示す。前記アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよい。但し、R
1及びR
2は同一の基となることはない。Mは遷移金属元素を示す。X
-はアニオンを示す。*は不斉リン原子を示す。)
【0027】
一般式(3)の式中のR
1、R
2、M及びX
-は、一般式(1)の式中のR
1、R
2、M及びX
-にそれぞれ相当する基である。
【0028】
前記一般式(3)の式中のR
1及びR
2は炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基である。
前記アルキル基としては、非環式アルキル基と脂環式アルキル基が挙げられる。
非環式アルキル基には、直鎖状アルキル基と分岐状アルキル基がある。直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等の炭素数1〜10のものが挙げられる。分岐状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソヘプチル基、イソヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基等の炭素数3〜10のものが挙げられる。
脂環式アルキル基には、単環式アルキル基と複環式アルキル基がある。単環式アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10のものが挙げられる。複環式アルキル基としては、アダマンチル基等の炭素数4〜10のものが挙げられる。
前記R
1及びR
2に係るアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙がられる。
前記R
1及びR
2に係るアルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としは、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基及び一般式;−N(A
1)(A
2)(式中、A
1及びA
2は炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基を示す)から選ばれる基が挙げられる。
本発明において、前記一般式(3)の式中のR
1及びR
2は、それぞれが異なる基である。
【0029】
本発明において、前記一般式(3)の式中のR
1及びR
2は、メチル基とtert−ブチル基の組み合わせであることが好ましい。
【0030】
一般式(3)の式中のMは遷移金属元素を示し、遷移金属元素としては、例えばニッケル、パラジウム、白金等が挙げられ、これらの中、白金が好ましい。
【0031】
一般式(3)の式中のX
-はアニオンを示し、本発明において、アニオンは特に制限はなく、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、四フッ化ホウ素イオン、六フッ化リン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、テトラフェニルボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等が挙げられる。
【0032】
一般式(3)の式中のX
-がトリフルオロメタンスルホン酸イオンのビスホスフィン-ビピリジン配位子を得る場合には、例えば下記の反応スキーム(2)に従って製造することができる。
なお、出発原料となる化合物(3a)は公知の化合物であり(例えば、特開2007−56007号公報参照)、また、一部市販されている。
また、X
-が他のアニオンのものを得る場合には、一旦、ビスホスフィン-ビピリジン配位子含有錯体(3')を合成し、次いで所望の無機酸、有機酸又はそれらのアルカリ金属塩を溶媒中で反応させることにより、式中のXを他のアニオンに誘導することができる(特開平10−147590号公報、特開平10−114782号公報、特開2004−210672号公報等参照)。
【0033】
【化10】
(式中、R
1、R
2及びMは前記と同義。)
【0034】
本発明に係るビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーの製造方法は、前記一般式(2)で表されるアセチレン化合物を、薗頭カップリング反応条件で前記一般式(3)で表されるビスホスフィン-ビピリジン配位子含有錯体と反応させる。
【0035】
ここで、薗頭カップリング反応とは、パラジウム触媒、銅触媒、塩基の作用によりアリールアルキン類とハロゲン化アリールとをクロスカップリングさせてアルキニル化アリールを得る化学反応のことである。
【0036】
本製造方法において、パラジウム触媒としては、Pd(Ph
3)
4、銅触媒としてヨウ化第一銅、塩基としてはトリエチルアミン、ブチルアミン等が好ましく用いられる。また、必要に応じて、トリフェニルホスフィンを添加して反応を行うことができる。
【0037】
前記一般式(2)で表されるアセチレン化合物に対する前記一般式(3)で表されるビスホスフィン-ビピリジン配位子のモル比は、0.95〜1.05、好ましくは0.98〜1.02である。
【0038】
また、パラジウム触媒、銅触媒及び必要により添加されるトリフェニルホスフィンの添加量は、反応原料等に合わせて適宜好適な範囲を選択することが好ましいが、多くの場合、前記一般式(2)で表されるアセチレン化合物に対するモル比で0.05〜1である。
【0039】
用いることができる反応溶媒としては、原料を溶解でき生成物に対して不活性な溶媒であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、アセトニトリル等が挙げられ、これは1種又は2種以上で用いることができる。
【0040】
薗頭カップリング反応における反応温度は、25〜150℃、好ましくは50〜100℃である。また、反応時間は5時間以上、好ましくは10〜40時間である。
【0041】
重合反応終了後、常法により、反応溶媒を除去し、必要により再沈殿化等の精製を行う
ことにより、目的とする前記一般式(1)で表わされるビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーを得ることができる。
【0042】
かくして、得られる前記一般式(1)で表わされるビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーは、数平均分子量が1000〜100000、好ましくは1000〜50000、特に好ましくは1500〜20000である。また、本発明において、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5.0以下、好ましくは1.1〜3.0である。
【0043】
本発明に係る前記一般式(1)で表されるビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーは、フォト・エレクトロルミネッセンス分野や不斉認識能を必要とする分野、イオンセンサー等への応用が期待できる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
{実施例1}
<ビスホスフィン-ジピリジン配位子含有錯体(3'−1)の調製>
【化11】
【0045】
(化合物(3b−1)の調製)
反応容器内に(R,R)−2,3−ビス(tert−ブチルメチルホスフィノ)キノキサリン((3a−1)、日本化学工業社製;406mg、1.2mmol)、1,5−シクロオクタジエンプラチナム(II)ジクロリド(376mg、1.0mmol)を仕込み、CH
2Cl
2(50ml)をアルゴン下で加え, 室温で1時間攪拌した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して濃縮した後、ジエチルエーテル(50ml)に投入して沈殿した固体を回収し, 化合物(3b−1)を薄黄色の固体(555mg、0.93mmol)として得た(収率92%)。
(同定データ)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): ( 1.21 (d, 18H, -C(CH
3)
3,J
P-H= 16.8 Hz),2.27 (d, 6H, -PCH
3, J
P-H =12.4 Hz), 8.03-8.05(m, 2H, Ar), 8.30-8.32 (m, 2H, Ar).
31P NMR (162MHz, CDCl
3): δ 31.6(s, J
Pt-P =3524 Hz).
【0046】
(ビスホスフィン-ジピリジン配位子含有錯体(3'−1)の調製)
反応容器内に化合物((3b−1)、439mg、0.73mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf、589mg、2.3mmol)を仕込み、CH
2Cl
2(110ml)を加え、暗闇中、室温、アルゴン下で4時間攪拌した。濾過により沈殿を除去し, ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した後, 得られた黄色固体と4,4−ジブロモー2,2'−ビスホスフィン-ビピリジン(230mg、0.73mmol)を反応容器に仕込み、CH
2Cl
2(110ml)をアルゴン下で加え室温で1時間攪拌した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して濃縮した後、CHCl
3(50ml)に投入して沈殿した固体を回収し、ビスホスフィン-ジピリジン配位子含有錯体(3'−1)を白色の結晶(667mg、0.59mmol)として得た(収率80%)。
(同定データ)
Mp286-288 °C. [α]
D +168.5° (c = 0.10 g/dL, DMF). IR (KBr): 3448, 2960,2921, 2872, 2838, 1599, 1459, 1377, 1258,1165, 1031, 900, 831, 778, 637, 518 cm
-1.
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): ( 1.12-1.17 (d, 18H, -C(CH
3)
3,J
P-H= 16.8 Hz), 2.68-2.64 (d, 6H, -PCH
3, J
P-H= 11.2 Hz),8.20-8.26 (m, 4H, Ar), 8.45-8.47 (m, 2H, Ar), 8.91-8.94 (m, 2H, Ar),9.36-9.37(m, 2H, Ar).
13C NMR (100 MHz,DMSO-d
6):δ 5.2, 27.0, 79.7 (-CH
3,-C(CH
3)
3),119.5, 122.8 (OTf
-),129.6, 130.6, 132.5,135.5, 140.0, 143.8, 151.4, 154.4, 157.4 (Ar).
31PNMR (162 MHz, DMSO-d
6): δ29.16 (s, J
Pt-P=3277 Hz)
【0047】
{実施例2}
【化12】
【0048】
ビスホスフィン-ビピリジン配位子含有錯体(3'−1)、アセチレン化合物(2')、Pd(Ph
3)
4、PPh
3、CuIを表1に示す量をそれぞれ反応容器に仕込み、DMF(0.67ml)、Et
3N(0.33ml)を加え、80℃、24時間、アルゴン下で攪拌した。重合混合物をエチルアセトン(10ml)に投入し、沈殿した固体を濾別して各ポリマーを単離して、各ビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマー(1')を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の評価>
実施例で得られたビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーについて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を求めた。その結果を表2に示す。
なお、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の評価は、SEC (ShodexGPCKD-G × 2, Shodex TSK-GELa-M C0053 × 2,JASCO CO-965,JASCO UV-2075 Plus, JASCORI-930, JASCO PU-980, JASCO DG-980-50, 10 mM DMF 溶液, ポリスチレン換算)により行った。
【0051】
【表2】
注)実施例2−4は、ポリマーがDMF、THF、CHCl
3の何れにも溶解しなかったため、Mn、Mwは測定できなかった。
【0052】
<光学的性質の評価>
実施例2−2及び実施例2−3で得られたビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーをDMFに溶解し比旋光度とUV−visスペクトルを測定した。なお、DMF中のビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーの濃度は0.04mMとした。
【0053】
実施例2−2及び実施例2−3で得られたビピリジン配位子含有共役ポリマーのろ過処理を行った前後でのCDスペクトルとUV−visスペクトルを
図1及び
図2にそれぞれ示す。
【0054】
実施例2−2で得られたビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーのCDシグナルはビスホスフィン-ビピリジン配位子含有錯体(3'−1)のものとパターンが似ており、モノマー由来のキラリティを保持していると考えられる。ビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーのDMF溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過しても、CDシグナルに変化が見られなかったことから、0.2μmより大きな会合体は形成していないことが確認された。ビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーのUV-vis吸収端がモノマーのビスホスフィン-ビピリジン配位子含有錯体(3'−1)、アセチレン化合物(2p)と比較してそれぞれ160nm、290nmレッドシフトしていることから, Ptを介して共役が伸びていることがわかった。さらに,共役ポリマー主鎖の吸収領域である432nmにDe=-1.14M
-1 cm
-1のCDシグナルが確認されたことから,実施例2−2で得られたビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーは何らかのキラルな高次構造を形成していると考えられる。
また、実施例2−6で得られたビスホスフィン-ビピリジン配位子含有共役ポリマーついてもモノマー由来のCDシグナルに加えて,ポリマー主鎖の吸収領域である423nmにDe=-1.69 M
-1cm
-1のCDシグナルが確認され,キラルな高次構造の形成が示唆された。