特許第6670170号(P6670170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670170チップ形電解コンデンサ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670170
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】チップ形電解コンデンサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/048 20060101AFI20200309BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20200309BHJP
   H01G 9/10 20060101ALI20200309BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20200309BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   H01G9/048 H
   H01G2/02 101D
   H01G9/10 G
   H01G2/02 101C
   H01G9/08 Z
   H01G9/00 290J
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-98731(P2016-98731)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-208409(P2017-208409A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 秀
【審査官】 多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−217148(JP,A)
【文献】 特開2008−034516(JP,A)
【文献】 特開2007−234751(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102006015129(DE,A1)
【文献】 実開昭60−118231(JP,U)
【文献】 実開平02−136319(JP,U)
【文献】 特開2000−164465(JP,A)
【文献】 特開平05−198457(JP,A)
【文献】 実開昭61−096529(JP,U)
【文献】 実開平02−137021(JP,U)
【文献】 特開2005−294573(JP,A)
【文献】 独国特許発明第102005034659(DE,B3)
【文献】 特開平07−283068(JP,A)
【文献】 実開昭56−143842(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/048
H01G 2/02
H01G 9/00
H01G 9/08
H01G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に接続された一対のリード線と、前記コンデンサ素子を収納するための有底筒状の収納容器と、前記収納容器の開口端を封口すると共に前記一対のリード線が挿通された挿通孔が形成された封口体とを有するコンデンサ本体と、
前記封口体から導出された前記一対のリード線が挿通する孔が形成され、前記封口体と対向した状態で前記コンデンサ本体に取り付けられた絶縁性を有する座板と、
前記コンデンサ本体の前記座板に対する振れを規制する規制部材とを備えており、
前記座板の前記封口体と対向する面には、前記収納容器の周方向に沿って互いに離隔して配置され、当該収納容器の外周面を内面で保持するように前記収納容器に当接する複数の壁部が形成されており、
前記収納容器の前記封口体と対向する部分の外周面には、前記周方向に沿って延在し、前記複数の壁部と対向する環状の凹み部が形成されており、
前記規制部材は、
前記複数の壁部のうち前記周方向に隣接する2つの前記壁部の前記周方向に対向する壁面に当接することによって前記複数の壁部間にそれぞれ嵌合された複数の嵌合部と、
前記凹み部に嵌合しつつ前記周方向に沿って延在し、前記嵌合部を接続する接続部とを有していることを特徴とするチップ形電解コンデンサ。
【請求項2】
前記座板は、四角平面形状を有しており、
前記壁部は、前記座板の4角に配置されており、
前記嵌合部は、4つの前記壁部のそれぞれの間に嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載のチップ形電解コンデンサ。
【請求項3】
前記接続部は、前記周方向において分割された2つの接続半部から構成され、
各接続半部は、前記複数の壁部のうちの1つの壁部の両隣に嵌合される前記嵌合部同士を接続していることを特徴とする請求項2に記載のチップ形電解コンデンサ。
【請求項4】
前記複数の嵌合部のうちの1つの嵌合部を挟んで隣接する2つの前記壁部の第1並び方向と、別の前記嵌合部を挟んで隣接する2つの前記壁部の第2並び方向とが直交しており、
4つの前記嵌合部のうち、2つの前記嵌合部が前記第1並び方向に対向し、残りの2つの前記嵌合部が前記第2並び方向に対向して配置されており、
前記第1並び方向に対向する前記2つの嵌合部のそれぞれが、前記周方向において分割された2つの嵌合半部から構成され、
分割された一方の前記接続半部が、分割された前記2つの嵌合部の一方の嵌合半部と、前記第2並び方向に対向する前記2つの嵌合部のうちの一方の嵌合部とを接続し、
分割された他方の前記接続半部が、分割された前記2つの嵌合部の他方の嵌合半部と、前記第2並び方向に対向する前記2つの嵌合部のうちの他方の嵌合部とを接続していることを特徴とする請求項3に記載のチップ形電解コンデンサ。
【請求項5】
コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に接続された一対のリード線と、前記コンデンサ素子を収納するための有底筒状の収納容器と、前記収納容器の開口端を封口すると共に前記一対のリード線が挿通された挿通孔が形成された封口体とを有するコンデンサ本体の前記収納容器の前記封口体と対向する部分の外周面に形成された周方向に沿って延在する環状の凹み部に、複数の嵌合部と前記周方向に沿って延在し前記複数の嵌合部を接続する接続部とを有する規制部材の前記接続部を嵌合させて、前記コンデンサ本体に前記規制部材を取り付ける規制部材取付工程と、
前記規制部材取付工程の後に、前記コンデンサ本体の前記一対のリード線を、絶縁性を有する座板の孔に挿入させて、前記封口体と対向した状態で前記コンデンサ本体に前記座板を取り付ける座板取付工程とを備えており、
前記座板取付工程において、前記座板の前記封口体と対向する面に形成された複数の壁部の内面で前記収納容器の外周面を保持させるとともに、前記複数の壁部のうち前記周方向に隣接する2つの前記壁部の前記周方向に対向する壁面に当接させることによって前記複数の壁部間に前記複数の嵌合部のそれぞれを嵌合させることを特徴とするチップ形電解コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面実装型として基板に実装して用いられ、特に耐振動性が要求されるチップ形電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンデンサ素子を収納する金属ケース(収納容器)の周面を内面で保持するように当接する支持柱(壁部)が4角に設けられた絶縁端子板(座板)を有するチップ形電解コンデンサについて記載されている。このチップ形電解コンデンサの絶縁端子板の支持柱は、弾性変形可能とされているとともに金属ケースに設けられた円環状の絞り加工部(凹み部)を覆う高さ以上に形成されている。このため、チップ形電解コンデンサに振動が加わっても、絶縁端子板の支持柱が金属ケースの周面に当接して、金属ケースを効果的に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−052959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のチップ形電解コンデンサにおいて、絶縁端子板に形成された4つの支持柱は、互いに離隔して配置され、且つ絶縁端子板への金属ケースの装着を考慮して撓みやすく形成されている。このため、チップ形電解コンデンサに比較的強い振動が生じる過酷条件下では、収納容器が大きく振れてチップ形電解コンデンサの基板からの脱落を確実に防止するには至っていなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、耐振動性の優れたチップ形電解コンデンサ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のチップ形電解コンデンサは、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に接続された一対のリード線と、前記コンデンサ素子を収納するための有底筒状の収納容器と、前記収納容器の開口端を封口すると共に前記一対のリード線が挿通された挿通孔が形成された封口体とを有するコンデンサ本体と、前記封口体から導出された前記一対のリード線が挿通する孔が形成され、前記封口体と対向した状態で前記コンデンサ本体に取り付けられた絶縁性を有する座板と、前記コンデンサ本体の前記座板に対する振れを規制する規制部材とを備えており、前記座板の前記封口体と対向する面には、前記収納容器の周方向に沿って互いに離隔して配置され、当該収納容器の外周面を内面で保持するように前記収納容器に当接する複数の壁部が形成されており、前記収納容器の前記封口体と対向する部分の外周面には、前記周方向に沿って延在し、前記複数の壁部と対向する環状の凹み部が形成されており、前記規制部材は、前記複数の壁部のうち前記周方向に隣接する2つの前記壁部の前記周方向に対向する壁面に当接することによって前記複数の壁部間にそれぞれ嵌合された複数の嵌合部と、前記凹み部に嵌合しつつ前記周方向に沿って延在し、前記嵌合部を接続する接続部とを有している。
【0007】
また、本発明のチップ形電解コンデンサの製造方法は、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に接続された一対のリード線と、前記コンデンサ素子を収納するための有底筒状の収納容器と、前記収納容器の開口端を封口すると共に前記一対のリード線が挿通された挿通孔が形成された封口体とを有するコンデンサ本体の前記収納容器の前記封口体と対向する部分の外周面に形成された周方向に沿って延在する環状の凹み部に、複数の嵌合部と前記周方向に沿って延在し前記複数の嵌合部を接続する接続部とを有する規制部材の前記接続部を嵌合させて、前記コンデンサ本体に前記規制部材を取り付ける規制部材取付工程と、前記規制部材取付工程の後に、前記コンデンサ本体の前記一対のリード線を、絶縁性を有する座板の孔に挿入させて、前記封口体と対向した状態で前記コンデンサ本体に前記座板を取り付ける座板取付工程とを備えている。そして、前記座板取付工程において、前記座板の前記封口体と対向する面に形成された複数の壁部の内面で前記収納容器の外周面を保持させるとともに、前記複数の壁部のうち前記周方向に隣接する2つの前記壁部の前記周方向に対向する壁面に当接させることによって前記複数の壁部間に前記複数の嵌合部のそれぞれを嵌合させる。
【0008】
ここで、「嵌合」とは、嵌合部と複数の壁部とが互いに当接して、嵌合部が壁部間に嵌まること、及び、接続部と凹み部とが互いに当接して、接続部が凹み部に嵌まることをいう。
【0009】
この構成によれば、規制部材の複数の嵌合部がそれぞれ座板の複数の壁部間に嵌合されるとともに、複数の嵌合部を接続する接続部が収納容器の凹み部に嵌合しているので、コンデンサ本体の座板に対する振れを規制することが可能となる。すなわち、複数の壁部がコンデンサ本体(収納容器)の装着を考慮して撓むように形成されていても、規制部材により壁部の変形が規制される結果、コンデンサ本体の座板に対する揺動も規制される。このため、コンデンサ本体が複数の壁部のみならず、規制部材によっても保持され、当該コンデンサ本体の保持力が高くなり、耐振動性が向上する。この結果、チップ形電解コンデンサに比較的強い振動が生じる過酷条件下でも、チップ形電解コンデンサの基板からの脱落を確実に防止することが可能となる。
【0010】
本発明において、前記座板は、四角平面形状を有しており、前記壁部は、前記座板の4角に配置されており、前記嵌合部は、4つの前記壁部のそれぞれの間に嵌合されていることが好ましい。これにより、各嵌合部を挟んで隣接する2つの壁部の並び方向が座板の各辺に沿った方向となる。このため、規制部材によりコンデンサ本体が座板の各辺に沿った方向に振れにくくなる。
【0011】
また、本発明において、前記接続部は、前記周方向において分割された2つの接続半部から構成され、各接続半部は、前記複数の壁部のうちの1つの壁部の両隣に嵌合される前記嵌合部同士を接続していることが好ましい。これにより、接続部が周方向に沿って連続的に形成された規制部材よりも、コンデンサ本体に取り付けやすくなる。
【0012】
また、本発明において、前記複数の嵌合部のうちの1つの嵌合部を挟んで隣接する2つの前記壁部の第1並び方向と、別の前記嵌合部を挟んで隣接する2つの前記壁部の第2並び方向とが直交しており、4つの前記嵌合部のうち、2つの前記嵌合部が前記第1並び方向に対向し、残りの2つの前記嵌合部が前記第2並び方向に対向して配置されており、前記第1並び方向に対向する前記2つの嵌合部のそれぞれが、前記周方向において分割された2つの嵌合半部から構成され、分割された一方の前記接続半部が、分割された前記2つの嵌合部の一方の嵌合半部と、前記第2並び方向に対向する前記2つの嵌合部のうちの一方の嵌合部とを接続し、分割された他方の前記接続半部が、分割された前記2つの嵌合部の他方の嵌合半部と、前記第2並び方向に対向する前記2つの嵌合部のうちの他方の嵌合部とを接続していることが好ましい。これにより、コンデンサ本体の座板に対する第1及び第2並び方向の振れを効果的に規制することが可能となる。また、規制部材をコンデンサ本体に取り付けやすくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、規制部材の複数の嵌合部がそれぞれ座板の複数の壁部間に嵌合されるとともに、複数の嵌合部を接続する接続部が収納容器の凹み部に嵌合しているので、コンデンサ本体の座板に対する振れを規制することが可能となる。すなわち、複数の壁部がコンデンサ本体(収納容器)の装着を考慮して撓むように形成されていても、規制部材により壁部の変形が規制される結果、コンデンサ本体の座板に対する揺動も規制される。このため、コンデンサ本体が複数の壁部のみならず、規制部材によっても保持され、当該コンデンサ本体の保持力が高くなり、耐振動性が向上する。この結果、チップ形電解コンデンサに比較的強い振動が生じる過酷条件下でも、チップ形電解コンデンサの基板からの脱落を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るチップ形電解コンデンサの概略斜視図である。
図2図1に示すII−II線に沿った断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るチップ形電解コンデンサの規制部材を分離させたときの分解斜視図である。
図4図1に示すコンデンサ本体の正面図である。
図5図1に示す座板の斜視図である。
図6図1に示す規制部材を示しており、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るチップ形電解コンデンサについて、図1図6を参照しつつ以下に説明する。
【0016】
本実施形態におけるチップ形電解コンデンサ100は、図1図3に示すように、コンデンサ本体10と、座板20と、規制部材30とを含み、コンデンサ本体10の一対のリード線3を基板(不図示)に電気的に接続することで、基板の表面に実装されるものである。コンデンサ本体10は、図2に示すように、コンデンサ素子1と、電解液を含浸したコンデンサ素子1を収納するための有底筒状の収納容器2と、コンデンサ素子1に接続された一対のリード線3と、収納容器2の開口端を封口すると共に一対のリード線3が挿通された挿通孔4aが形成された封口体4とを有する。
【0017】
コンデンサ素子1は、アルミニウム箔に酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極箔とに、電極取り出し用の一対のリード線3を接続し、セパレータを介して巻回させることで構成されている。
【0018】
収納容器2は、アルミニウムを素材として作製された筒状ケースである。収納容器2の封口体4と対向する領域には、図2図4に示すように、外周面2aの周方向A(図3参照)に沿って環状に延在する凹み部2bが形成されている。凹み部2bは、封口体4を収納容器2に挿入した後に、収納容器2の外周面2aに絞り加工を施すことで形成される。封口体4は、例えば、イソブチレン−イソプレンラバー(IIR)やエチレンプロピレンターポリマー(EPT)のような弾性ゴムを素材として作製されている。
【0019】
座板20は、合成樹脂から構成されており、絶縁性を有する。座板20は、図1及び図2に示すように、コンデンサ本体10の封口体4側の端部(図2の下端部)と当接した状態で、コンデンサ本体10に取り付けられている。つまり、座板20は、封口体4と対向した状態でコンデンサ本体10に取り付けられている。また、座板20は、図1図3及び図5に示すように、平板状の座板本体21を有している。座板本体21は、略正方形平面形状を有しているが、特にこの平面形状を限定するものではない。座板本体21は、コンデンサ素子1から導出された一対のリード線3が挿通される孔20aと、孔20aに挿通した一対のリード線3を夫々直角に折り曲げて収納するための溝20bを有している。
【0020】
座板本体21の封口体4と対向する面21aには、収納容器2の外周面2aの周方向Aに沿って互いに離隔して配置され、収納容器2の外周面2aを内面で保持するように当接する4つの壁部22が一体で設けられている。4つの壁部22は、座板本体21の封口体4と対向する面21aの各コーナー部(4角)に配置されている。これにより、隣接する2つの壁部22は、座板本体21の辺に沿って並んで配置された構成となる。
【0021】
より詳細には、図3及び図5中紙面最も手前側にある壁部22と当該壁部22の右側にある壁部22とが、座板本体21の一辺に沿った第1並び方向Bに沿って並んで配置される。また、図3及び図5中紙面最も手前側にある壁部22と当該壁部22の左側にある壁部22とが、座板本体21の当該一辺(第1並び方向Bに平行な辺)とは直交する他辺に沿った第2並び方向Cに沿って並んで配置される。また、図5中紙面最も奥側にある壁部22と当該壁部22の右側にある壁部22とが、第2並び方向Cに沿って並んで配置される。また、図5中紙面最も奥側にある壁部22と当該壁部22の左側にある壁部22とが、第1並び方向Bに沿って並んで配置される。なお、第1並び方向Bと第2並び方向Cとは、直交している。4つの壁部22は、図5に示すように、隣接する2つの壁部22の並び方向に面する2つの壁面22aをそれぞれ有する。
【0022】
コンデンサ本体10に取り付けられた座板20の4つの壁部22の高さは、図3に示すように、面21aから収納容器2の凹み部2bを越えている。つまり、凹み部2bは、4つの壁部22と対向している。また、4つの壁部22の内面間の寸法が、収納容器2の外形よりも若干小さくなるようにして絶縁樹脂材料で形成されている。なお、4つの壁部22の内面間の寸法が、座板本体21からの立ち上がり部分は収納容器2の外形とほぼ同寸法で、壁部先端部分は収納容器2の外形よりも若干小さくなるようにしてもよい。また、壁部先端部分に内側に突出する突起を設けてもよい。
【0023】
また、座板20には、2つの面取り部23が設けられている。これら面取り部23は、一対のリード線3が収納されるいずれか一方の溝20bの終端が接する座板本体21の辺の両端となる座板20の2つのコーナー部に設けられている。この面取り部23によって極性を表示する構成となっている。
【0024】
規制部材30は、合成樹脂から構成されており、絶縁性を有する。規制部材30は、図1図3及び図6に示すように、4つの嵌合部31,32と、これら4つの嵌合部31,32を接続する接続部33とを有し、コンデンサ本体10の座板20に対する振れを規制するものである。4つの嵌合部31,32のうち、2つの嵌合部31は、図1及び図3に示すように、第2並び方向Cに並んで隣接する2つの壁部22間に配置される。2つの嵌合部32は、第1並び方向Bに並んで隣接する2つの壁部22間に配置される。つまり、2つの嵌合部31は、第1並び方向Bに対向して配置され、2つの嵌合部32は、第2並び方向Cに対向して配置されている。4つの嵌合部31,32は、規制部材30がコンデンサ本体10に取り付けられたときに、収納容器2の外周面2aを内面で保持するように、収納容器2に当接して配置されている。
【0025】
また、4つの嵌合部31,32は、図1に示すように、座板20の4つの壁部22間のそれぞれに嵌合するように形成されている。より詳細には、各嵌合部31,32は、板状に形成されており、隣接する2つの壁部22間にちょうど嵌合する幅を有している。また、各嵌合部31,32は、対応する2つの壁部22間に嵌合したときに、当該壁部22間を構成する2つの壁面22aに当接しつつ当該壁面22aに平行な2つの当接面31c,32aを有する。つまり、当接面31c,32aも、嵌合部31,32が嵌合する2つの壁部22間を構成する壁面22aの並び方向B,Cに面するように構成されている。
【0026】
また、第1並び方向Bに対向する2つの嵌合部31のそれぞれは、周方向A(又は第2並び方向C)において、2つに分割された嵌合半部31a,31bによって構成されている。
【0027】
接続部33は、図1図3及び図6に示すように、周方向Aに沿って延在する円環形状を有している。接続部33は、図2及び図3に示すように、コンデンサ本体10に規制部材30を取り付けたときに、凹み部2bにちょうど嵌合する形状に形成されている。具体的には、接続部33は、半円柱状の断面形状を有する。接続部33は、凹み部2bに嵌合した状態では、凹み部2bと当接している。また、接続部33は、その内径が凹み部2bの外径よりも若干小さく形成されている。なお、接続部33の断面形状は特に限定するものではなく、凹み部2bに係止可能な形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0028】
接続部33は、図3及び図6に示すように、周方向Aにおいて、2つに分割された接続半部33a,33bによって構成されている。2つの接続半部33a,33bのうちの一方の接続半部33aは、2つの嵌合部31の一方の嵌合半部31aと、2つの嵌合部32のうちの一方の嵌合部32とを接続している。他方の接続半部33bは、2つの嵌合部31の他方の嵌合半部31bと、2つの嵌合部32のうちの他方の嵌合部32とを接続している。
【0029】
続いて、チップ形電解コンデンサ100の製造方法について説明する。
【0030】
まず、高純度のアルミニウム箔にエッチング処理を施して表面積を拡大し、このアルミニウム箔に化成処理を施してコンデンサの誘電体となる酸化皮膜を形成した陽極箔、及び、エッチング処理された陰極箔を作製する。この陽極箔および陰極箔(以下、この両者をあわせて「電極箔」と称する)にそれぞれリード線3を針穴加締や超音波溶接等により接続した後、セパレータを介して巻回し、コンデンサ素子1を作製する。
【0031】
次に、コンデンサ素子1に電解液を含浸させ、含浸済みのコンデンサ素子1を収納容器2に収納する。次に、一対のリード線3を挿入孔4aに挿通させた封口体4を収納容器2の開口部に挿入する。その後、収納容器2の開口部をカーリング加工し、外周面2aに絞り加工を施し、封口体4から導出した一対のリード線3に扁平加工を施す。なお、封口体4の挿通孔4aは、電極箔に接合された一対のリード線3を挿通させることによって、その隙間が密封される。この段階でコンデンサ本体10が完成する。
【0032】
次に、コンデンサ本体10の凹み部2bに、規制部材30の接続部33を嵌合させて、コンデンサ本体10に規制部材30を取り付ける(規制部材取付工程)。つまり、分割された接続半部33aとこれに接続された2つの嵌合半部31a及び嵌合部32とで構成された規制部材半部の接続半部33aと、分割された接続半部33bとこれに接続された2つの嵌合半部31b及び嵌合部32とで構成された規制部材半部の接続半部33bとを、凹み部2bに嵌合させて、両規制部材半部をコンデンサ本体10に取り付ける。このとき、4つの嵌合部31,32の内面で収納容器2の外周面2aを保持するように、4つの嵌合部31,32を収納容器2に当接させる。
【0033】
次に、規制部材30が取り付けられたコンデンサ本体10の一対のリード線3を座板20の孔20aに挿通させた後、一対のリード線3を直角に折り曲げて座板20の溝20b内に配置させる。こうして、封口体4と対向した状態でコンデンサ本体10に座板20を取り付ける(座板取付工程)。
【0034】
このとき、座板20の4つの壁部22の内面で収納容器2の外周面2aを保持するように、4つの壁部22を収納容器2に当接させる。また、このとき、4つの壁部22間に嵌合部31,32をそれぞれ嵌合させる。つまり、第1並び方向Bに隣接する2つの壁部22間に嵌合部32をそれぞれ嵌合させ、嵌合部32の当接面32aを壁部22の壁面22aに当接させる。また、第2並び方向Cに隣接する2つの壁部22間に嵌合部31をそれぞれ嵌合させ、嵌合部31の当接面31cを壁部22の壁面22aに当接させる。こうして、チップ形電解コンデンサ100が製造される。
【0035】
以上に述べたように、本実施形態のチップ形電解コンデンサ100は、規制部材30の嵌合部31,32が対応する壁部22間にそれぞれ嵌合されている。このため、チップ形電解コンデンサ100に第1並び方向B(又は第2並び方向C)と直交する方向に振動が生じた場合、第1及び第2並び方向B,Cが互いに交差しているため、規制部材30の嵌合部31(又は嵌合部32)と当該嵌合部31(又は嵌合部32)を挟んで隣接する2つの壁部22(すなわち、第2並び方向Cに並んで隣接する2つの壁部22)との係合によって、コンデンサ本体10の座板20に対する振れを規制することが可能となる。このため、コンデンサ本体10が4つの壁部22のみならず、規制部材30によっても保持され、当該コンデンサ本体10の保持力が高くなり、耐振動性が向上する。この結果、チップ形電解コンデンサ100に比較的強い振動が生じた場合でも、チップ形電解コンデンサ100の基板からの脱落を防止することが可能となる。また、チップ形電解コンデンサ100の製造方法によると、上記効果を有するチップ形電解コンデンサを製造することができる。
【0036】
また、壁部22が、座板20の4角に配置され、嵌合部31,32が4つの壁部22のそれぞれの間に嵌合されているため、壁部22の並び方向B,Cが座板20(座板本体21)の各辺に沿った方向となる。このため、規制部材30によりコンデンサ本体10が座板20の各辺に沿った方向に振れにくくなる。
【0037】
また、接続部33が、2つに分割され、その分割された接続半部33a,33bのそれぞれが、第1及び第2並び方向B,Cに隣接する2つの壁部間のそれぞれに嵌合された2つの嵌合部31,32と接続されているため、接続部33が周方向Aに沿って連続的に形成された規制部材30よりも、コンデンサ本体10に取り付けやすくなる。
【0038】
また、分割された一方の接続半部33aは、2つの嵌合部31の一方の嵌合半部31aと、2つの嵌合部32のうちの一方の嵌合部32とを接続し、他方の接続半部33bは、2つの嵌合部31の他方の嵌合半部31bと、2つの嵌合部32のうちの他方の嵌合部32とを接続している。これにより、コンデンサ本体10の座板20に対する第1及び第2並び方向B,Cの振れを効果的に規制することが可能となる。また、規制部材30をコンデンサ本体10に取り付けやすくなる。
【0039】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。座板20は、壁部22を、2つ、3つ、及び、5以上有していてもよい。また、規制部材30も、嵌合部31,32を、2つ、3つ、及び、5以上有していてもよい。座板20(座板本体21)は、円形、楕円、三角形、正方形以外の四角形、多角形などどのような平面形状を有していてもよい。また、チップ形電解コンデンサ100の壁部22と嵌合部31,32との平面視における位置関係が入れ替わっていてもよい。
【0040】
嵌合部31,32は、収納容器2の外周面2aと当接していなくてもよい。接続部33は、周方向Aにおいて、分割されていなくてもよい。また、接続部33は、周方向Aにおいて、3以上に分割されていてもよい。この場合、分割された各接続半部は、互いに異なる並び方向に隣接する2つの壁部22間のそれぞれに嵌合された2つの嵌合部と接続されていることが好ましい。
【0041】
また、嵌合部31も、周方向Aにおいて、分割されていなくてもよい。また、嵌合部32が、周方向Aにおいて、分割されていてもよい。この場合、接続部33が、周方向Aにおいて、4つに分割され、分割された接続部のそれぞれが、嵌合部31の半部と、嵌合部32の半部を接続することが好ましい。
【0042】
また、第1並び方向Bと、第2並び方向Cとが直交せずに交差していてもよい。これにおいても、上述の実施形態と同様に、チップ形電解コンデンサに第1並び方向B(又は第2並び方向C)と直交する方向に振動が生じた場合、第1及び第2並び方向B,Cが互いに交差しているため、規制部材30の嵌合部31(又は嵌合部32)と当該嵌合部31(又は嵌合部32)を挟んで隣接する2つの壁部22との係合によって、コンデンサ本体10の座板20に対する振れを規制することが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 コンデンサ素子
2 収納容器
2a 外周面
2b 凹み部
3 リード線
4 封口体
4a 挿入孔
10 コンデンサ本体
20 座板
20a 孔
21a 面
22 壁部
30 規制部材
31 嵌合部
31a,31b 嵌合半部
32 嵌合部
33 接続部
33a,33b 接続半部
A 周方向
B 第1並び方向
C 第2並び方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6