(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め定められた項目と、各項目に対応する診療情報を入力可能な入力欄とを含む第1入力フォームを表示する診療情報システムと、前記診療情報システムと連携する情報連携システムと、を含む医療情報システムであって、
前記診療情報システムは、
所定の装置から、指定された項目を示す指定項目情報を受け取り、
前記指定項目情報に示される項目と、各項目に対応する診療情報を入力可能な入力欄とを含む第2入力フォームを生成し、前記第1入力フォームおよび前記第2入力フォームを表示し、
前記第1入力フォームおよび前記第2入力フォームに入力された診療情報を記憶し、
前記情報連携システムは、
前記所定の装置から、前記指定項目情報を受け取り、
前記診療情報システムに記憶された診療情報のうち、前記指定項目情報に示される項目に対応して入力された情報を、前記診療情報システムから取得し、
取得した情報を記憶した後、他のシステムへ出力する、
医療情報システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本発明はこの実施の形態により限定されるものではない。
【0020】
まず、本実施の形態に係る医療情報システム100とその周辺の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、医療情報システム100とその周辺の構成(端末装置1、EDCシステム2)の一例を示すブロック図である。
【0021】
図1において、破線で示す各矢印は、所定のネットワークを介した通信の方向を示している。所定のネットワークは、有線ネットワーク、無線ネットワーク、または、有線ネットワークと無線ネットワークとが混在したネットワークのいずれであってもよい。なお、以下では、
図1の各矢印で示す通信について「送信」、「受信」と表現するが、これらはそれぞれ、「出力」、「入力」と言い換えてもよい。
【0022】
端末装置1は、例えば製薬会社、医療機器製造企業などの治験依頼者、または医薬品開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)によって使用される装置である。端末装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等である。
【0023】
治験依頼者またはCRO(以下、治験依頼者等という)は、端末装置1において、症例報告書に記載が求められる項目(以下、治験用項目という)を指定する操作を行う。端末装置1は、この操作により指定された治験用項目を示す情報(以下、指定項目情報という)を、電子カルテシステム3および情報連携システム4へ送信する。
【0024】
ここで、治験依頼者等が指定可能な治験用項目の一例について、
図2を用いて説明する。
図2は、臨床試験に関するデータの標準を定めたCDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)のうちのCDASH標準に基づいた治験用項目を示す図である。
【0025】
図2Aは、治験用項目の分類を示す図である。
図2Aに示すように、治験用項目の分類としては、例えば、「共通の識別変数」、「有害事象」、「前治療、併用治療」、「臨床検査結果」などがある。
【0026】
図2Bは、「共通の識別変数」の治験用項目の一例を示す図である。
図2Cは、「有害事象」の治験用項目の一例を示す図である。
図2Dは、「前治療、併用治療」の治験用項目の一例を示す図である。
図2Eは、「臨床検査結果」の治験用項目の一例を示す図である。
図2B〜
図2Eにおいて、変数名と説明(換言すれば、項目の名称)が治験用項目に相当する。
【0027】
上述した各種治験用項目は、例えば
図3に示すように端末装置1に画面表示される。治験依頼者等は、
図3に示した項目指定画面において、指定したい治験用項目に対応するチェック欄にレ点を入力することで、治験用項目の指定を行う。
【0028】
このようにして、治験依頼者等は、CDASH標準に基づいた各種治験用項目の中から、様々な治験に共通し、かつ、比較的症例報告書への記載頻度が高い項目(例えば、「有害事象」、「前治療、併用治療」、「患者背景」、「既往症・合併症」などの治験用項目)を指定することができる。
【0029】
端末装置1は、項目指定画面において指定された治験用項目を示す指定項目情報を生成する。この指定項目情報は、例えば、CDISCの諸標準で定められたファイル形式、すなわち「Define」、または、
図4に示す「ODM」とよばれるXML形式で生成される。このようにして生成された指定項目情報は、端末装置1から電子カルテシステム3および情報連携システム4の両方に送信される。なお、電子カルテシステム3へ送信される指定項目情報のファイル形式と、情報連携システム4へ送信される指定項目情報のファイル形式とは、異なっていてもよい。
【0030】
以上、治験用項目の一例について説明した。以下、
図1の説明に戻る。
【0031】
EDCシステム2(他のシステムの一例)は、例えば、臨床試験(例えば、治験、市販後調査、製造販売後調査)、臨床研究、または、疫学研究などに用いられるシステムである。本実施形態では例として、EDCシステム2が、治験の症例報告書を電子データで作成するシステムである場合を例に挙げて説明する。EDCシステム2は、例えば、治験の依頼を受けた医療機関で使用される。
【0032】
EDCシステム2は、情報連携システム4から症例報告書の作成に必要な情報(以下、治験必要情報という。詳細は後述)を受信し、その治験必要情報に基づいて症例報告書を作成する。そして、EDCシステム2は、作成した症例報告書を端末装置1へ送信する。
【0033】
なお、本実施の形態では、情報連携システム4からの治験必要情報の出力先がEDCシステム2である場合を例に挙げて説明するが、これに限定されず、治験依頼者が所有する他のシステムまたはデータベースであってもよい。
【0034】
医療情報システム100は、電子カルテシステム3(診療情報システムの一例)と、情報連携システム4とを有する。電子カルテシステム3および情報連携システム4は、治験の依頼を受けた医療機関で使用される装置である。なお、本実施の形態では、情報連携システム4と連携するシステムが電子カルテシステム3である場合を例に挙げて説明するが、これに限定されず、診療情報の入力を受け付け、その診療情報を記憶する装置であればよい。
【0035】
電子カルテシステム3は、通信部31、入力部32、表示部33、記憶部34、制御部35を有する。
【0036】
通信部31は、通信用のインタフェースデバイスであり、所定の情報の送受信を行う。
【0037】
例えば、通信部31は、端末装置1から指定項目情報を受信する。
【0038】
また、例えば、通信部31は、治験必要情報を情報連携システム4へ送信する。
【0039】
入力部32は、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力デバイスであり、医療機関の関係者(以下、医師とする)の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を制御部35に出力する。
【0040】
例えば、入力部32は、診療情報を入力するための画面(以下、入力画面という)の表示を指示する操作、診療情報を入力する操作などを受け付ける。
【0041】
表示部33は、ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部35の制御により、所定の情報の表示を行う。
【0042】
例えば、表示部33は、入力画面の表示を行う。入力画面は、例えば、電子カルテ用入力フォーム(第1入力フォームの一例)のみを示す通常入力画面(図示略)と、電子カルテ用入力フォームと治験用入力フォーム(第2入力フォームの一例)を示す専用入力画面(後述の
図6参照)とがある。電子カルテ用入力フォームは、例えば、電子カルテ用項目の名称ごとに、診療情報が入力される入力欄が対応付けられたフォームである(後述の
図6参照)。また、治験用入力フォームは、例えば、治験用項目の名称ごとに、診療情報が入力される入力欄が対応付けられたフォームである(後述の
図6参照)。
【0043】
記憶部34は、メモリ、ハードディスク装置などの記憶デバイスであり、所定の情報を記憶する。
【0044】
例えば、記憶部34は、通信部31が端末装置1から受信した指定項目情報を記憶する。
【0045】
また、例えば、記憶部34は、画面情報を記憶する。画面情報は、通常入力画面を表示するための通常入力画面情報と、専用入力画面を表示するための専用入力画面情報とがある。
【0046】
また、例えば、記憶部34は、電子カルテ用入力フォーム、治験用入力フォーム入力された診療情報を記憶する。この意味で、記憶部34を「診療情報記憶部」と呼ぶことができる。
【0047】
制御部35は、プロセッサなどの制御デバイスであり、電子カルテシステム3が行う各処理を制御する。制御部35による制御の詳細については、
図5を用いて後述する。
【0048】
情報連携システム4は、通信部41、入力部42、表示部43、記憶部44、制御部45を有する。
【0049】
通信部41は、通信用のインタフェースデバイスであり、所定の情報の送受信を行う。
【0050】
例えば、通信部41は、端末装置1から指定項目情報を受信する。
【0051】
また、例えば、通信部41は、電子カルテシステム3から治験必要情報を受信する。
【0052】
また、例えば、通信部41は、治験必要情報をEDCシステム2へ送信する。
【0053】
入力部42は、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力デバイスであり、例えば医師の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を制御部45に出力する。
【0054】
例えば、入力部42は、治験必要情報の画面表示を指示する操作などを受け付ける。
【0055】
表示部43は、ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部45の制御により、所定の情報の表示を行う。
【0056】
例えば、表示部43は、治験必要情報を示す画面の表示を行う。
【0057】
記憶部44は、メモリ、ハードディスク装置などの記憶デバイスであり、所定の情報を記憶する。
図1に示すように、記憶部44は、電子カルテシステム3の記憶部34とは独立した記憶部である。
【0058】
例えば、記憶部44は、通信部41が端末装置1から受信した指定項目情報を記憶する。
【0059】
また、例えば、記憶部44は、通信部41が電子カルテシステム3から受信した治験必要情報を記憶する。この治験必要情報は、電子カルテシステム3から抽出される情報であるので、記憶部44を「抽出情報記憶部」と呼ぶことができる。
【0060】
制御部45は、プロセッサなどの制御デバイスであり、情報連携システム4が行う各処理を制御する。制御部45による制御の詳細については、
図7を用いて後述する。
【0061】
以上、医療情報システム100とその周辺の構成について説明した。
【0062】
以下、医療情報システム100を構成する電子カルテシステム3および情報連携システム4の動作について説明する。
【0063】
図5を用いて、電子カルテシステム3の動作例について説明する。
図5は、電子カルテシステム3の動作例を示すフローチャートである。
【0064】
まず、通信部31が端末装置1から指定項目情報を受信すると、制御部35は、その指定項目情報を記憶部34に記憶させる(ステップS11)。
【0065】
その後、入力部32が通常入力画面の表示指示操作を受け付けた場合(ステップS12:通常)、制御部35は、記憶部34から通常入力画面情報を読み出し、その通常入力画面情報に基づいて通常入力画面を表示部33に表示させる(ステップS13)。上述したとおり、通常入力画面とは、電子カルテ用入力フォーム(後述の
図6参照)のみを表す画面である。
【0066】
一方、入力部32が専用入力画面の表示指示操作を受け付けた場合(ステップS12:専用)、制御部35は、記憶部34から通常入力画面情報および指定項目情報を読み出し、それらの情報に基づいて専用入力画面情報を生成する(ステップS14)。
【0067】
ここで、ステップS14における専用入力画面情報の生成処理について具体的に説明する。
【0068】
まず、制御部35は、読み出した指定項目情報に示される治験用項目の名称(
図2、
図3に示した「説明」)の情報を取得する。
【0069】
次に、制御部35は、治験用項目の名称ごとに、診療情報の入力欄が対応付けられた治験用入力フォームを作成する。このとき、治験用入力フォームは、電子カルテ用入力フォームと同様に、項目と入力欄とが1対1に対応して画面表示されるように生成される。治験用入力フォームの具体例については、
図6を用いて後述する。
【0070】
また、例えば、指定項目情報に示される治験用項目が予め電子カルテ用入力フォームに含まれている場合、治験用入力フォームは、その治験用項目の名称およびそれに対応する入力欄が含まれないように生成される。
【0071】
電子カルテ用入力フォームに予め含まれ、かつ、治験用項目として指定される可能性がある項目としては、例えば、「患者背景」の各項目、「バイタルサイン」の各項目、「前治療、併用治療」の項目である「併用薬」、または、「臨床検査結果」の項目の一部が挙げられる。
【0072】
また、例えば、「治験の被験者ID」の項目、「試験対象被験者の内訳」のうち治験への参加の同意取得に関する項目、「有害事象」の項目、「薬物暴露」すなわち被験薬の処方に関する項目などは、一般的には、電子カルテ用入力フォーム(例えば、主訴を記述する入力フォーム)に含まれ、自然言語を用いて診療情報が入力されることがある。しかし、自然言語で情報の入力が行われると、後述する情報連携システム4が治験必要情報として抽出することが困難となる。よって、これらの項目については、自然言語を用いた入力方法以外で情報の入力を受け付けるように入力欄が生成される。
【0073】
次に、制御部35は、作成した治験用入力フォームを、通常入力画面情報の電子カルテ用入力フォームに追加することで、専用入力画面情報を生成する。次に、制御部35は、生成した専用入力画面情報を記憶部34に記憶させる。
【0074】
以上、専用入力画面情報の生成処理について具体的に説明した。以下、
図5のフローの説明に戻る。
【0075】
次に、制御部35は、記憶部34から専用入力画面情報を読み出し、その専用入力画面情報に基づいて専用入力画面を表示部33に表示させる(ステップS15)。
【0076】
ここで、専用入力画面の表示例について、
図6を参照して説明する。
図6は、専用入力画面の表示例を示す図である。
【0077】
図6に示すように、専用入力画面の上部には患者の個人情報(例えば、氏名、年齢、性別等)が表示され、専用入力画面の右端にはユーザである医師が選択可能なメニューの一覧が表示される。
【0078】
また、
図6に示すように、専用入力画面には、電子カルテ用入力フォームF1と治験用入力フォームF2とが互いに隣接して表示される。電子カルテ用入力フォームF1は、電子カルテ用項目(治験用項目を兼ねる項目も含む)の名称ごとに、診療情報の入力欄が対応付けられている。また、治験用入力フォームF2は、治験用項目の名称ごとに、診療情報の入力欄が対応付けられている。また、
図6に示すように、各入力フォームの各入力欄には、診療情報として、各項目の名称に応じた数値、文字列等が入力される。各入力欄における情報の入力方法は同じである。
【0079】
図6に示すように、電子カルテ用入力フォームF1と治験用入力フォームF2では、1つの項目と1つの入力欄とが一組として表示され、かつ、複数の組が表形式(リスト形式)で表示される。よって、医師は、項目と入力欄との対応関係を容易に認識できるので、診療情報を円滑にかつ正確に入力でき、医師の主業務である診療行為に悪影響が及んだり、入力された診療情報に重複や矛盾を生じたりすることを防止できる。また、電子カルテシステム3においてアプリケーションソフトを大きく変更する必要がない。したがって、アプリケーションソフトの変更作業や、アプリケーションソフトの変更に伴うデータベースのバックアップ等にかかるコストを低減することができる。
【0080】
以上、専用入力画面の表示例について説明した。以下、
図5のフローの説明に戻る。
【0081】
専用入力画面が表示された後、入力部32は、診療情報の入力操作を受け付ける(ステップS16)。ここでいう入力操作とは、電子カルテ用入力フォームF1および治験用入力フォームF2における入力欄に診療情報を入力する操作である。また、入力部32は、入力操作の終了後、入力された診療情報を医師が承認する承認操作を受け付けてもよい。
【0082】
次に、制御部35は、例えば承認操作が行われた場合、電子カルテ用入力フォームF1および治験用入力フォームF2に入力された診療情報を記憶部34に記憶させる(ステップS17)。
【0083】
以上、電子カルテシステム3の動作例について説明した。
【0084】
次に、
図7を用いて、情報連携システム4の動作例について説明する。
図7は、情報連携システム4の動作例を示すフローチャートである。
【0085】
まず、通信部41が端末装置1から指定項目情報を受信すると、制御部45は、その指定項目情報を記憶部44に記憶させる(ステップS21)。
【0086】
次に、制御部45は、電子カルテシステム3に記憶された診療情報から治験必要情報を抽出する(ステップS22)。なお、ここでいう「抽出」は、「取得」と言い換えてもよい。
【0087】
ここで、ステップS22における治験必要情報の抽出処理について具体的に説明する。
【0088】
まず、制御部45は、記憶部44から指定項目情報を読み出し、その指定項目情報を通信部41から電子カルテシステム3へ送信する。
【0089】
次に、電子カルテシステム3の制御部35は、通信部31が情報連携システム4から指定項目情報を受信すると、その指定項目情報に示される治験用項目の名称に対応して入力された診療情報を、記憶部34から読み出す。ここで読み出された診療情報が、治験必要情報である。
【0090】
次に、制御部35は、読み出した治験必要情報を通信部31から情報連携システム4へ送信する。
【0091】
次に、情報連携システム4の通信部41は、電子カルテシステム3から治験必要情報を受信する。
【0092】
次に、制御部45は、通信部41が受信した治験必要情報を記憶部44に記憶させ、抽出処理を完了させる。
【0093】
以上、治験必要情報の抽出処理について具体的に説明した。以下、
図7のフローの説明に戻る。
【0094】
制御部45は、通信部41が受信した治験必要情報を記憶部44に記憶させる(ステップS23)。このとき、制御部45は、通信部41が受信した治験必要情報のうち、治験用(症例報告書用)のフォーマットに適合していない情報については、治験用(症例報告書用)のフォーマットに変換する。治験用(症例報告書用)のフォーマットとしては、例えば、CDISCの諸標準が挙げられる。
【0095】
例えば、治験必要情報が和暦(例えば、
図6に示した「発現日」に対応して入力された「H28.4.22」等)である場合、制御部45は、その和暦を西暦に変換する。
【0096】
また、例えば、治験必要情報が一日あたりの処方量と用法を示す内容(例えば、「1日6錠、分3、朝昼夜食後」)である場合、制御部45は、その内容を一回あたりの処方量と一日あたりの頻度を示す内容(例えば、「1回2錠、1日3回」)に変換する。
【0097】
なお、上記変換処理において、制御部45は、電子カルテ用として通常用いられる用語と、CDISCの諸標準に適合した統制用語とを予め対応付けた辞書データを参照することにより、電子カルテ用入力フォームF1に入力された用語を、統制用語に変換してもよい。
【0098】
次に、制御部45は、記憶部44から治験必要情報を読み出し、その治験必要情報をEDCシステム2へ送信する(ステップS24)。
【0099】
その後、EDCシステム2は、情報連携システム4から受信した治験必要情報に基づいて、症例報告書を作成し、その症例報告書を端末装置1へ送信する。
【0100】
なお、上記症例報告書の作成にあたり、EDCシステム2が情報連携システム4から受信した治験必要情報に不足がある場合(症例報告書に記載が求められる治験必要情報であって、情報連携システム4から受信していない治験必要情報がある場合)、その不足分の情報は、従来通り、EDCシステム2において入力されてもよい。
【0101】
端末装置1は、EDCシステム2から受信した症例報告書を所定の記憶部に記憶し、症例報告書の表示指示操作が行われた場合、症例報告書の表示を行う。これにより、治験依頼者等は、端末装置1において、症例報告書を視認することができる。
【0102】
以上、情報連携システム4の動作例について説明した。
【0103】
これまで説明してきたように、本実施形態の医療情報システム100によれば、電子カルテシステム3における診療情報の入力フォームを大きく変更することなく、かつ、多大なコストをかけることなく、電子カルテシステム3に蓄積された診療情報から治験必要情報を抽出し、EDCシステムへ出力することができる。
【0104】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下、実施の形態の変形例について説明する。
【0105】
<変形例1>
上記実施の形態では、予め用意された電子カルテ用入力フォームに対して、指定項目情報に基づいて作成した治験用入力フォームを追加することで、専用入力画面情報を生成する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0106】
例えば、電子カルテ用入力フォームに対して全ての治験用項目を含む治験用入力フォームを予め追加した専用入力画面情報を生成しておき、指定項目情報を受信した際に、その指定項目情報に示される治験用項目のみが含まれるように治験用入力フォームを変更するようにしてもよい。
【0107】
<変形例2>
上記実施の形態において、情報連携システム4は、電子カルテシステム3から抽出した治験必要情報を表示してもよい。この場合のフローチャートを
図8に示す。
図8は、ステップS22とS23の間にステップS31を有する点が、
図7と異なる。以下、ステップS31について説明する。
【0108】
ステップS31において、制御部45は、電子カルテシステム3から抽出した治験必要情報を表示部43に表示させる。これにより、医師または治験コーディネータ(Clinical Research Coordinator:CRC)は、治験必要情報を確認することができる。
【0109】
また、ステップS31において、入力部42は、医師または治験コーディネータによる治験必要情報の修正(例えば、変更、削除、追加等)操作を受け付けてもよい。そして、制御部45は、修正操作の指示内容を反映した治験必要情報(以下、修正後の治験必要情報という)と、修正前の治験必要情報とを対応付けて、記憶部44に記憶させる。これにより、修正前の治験必要情報と修正後の治験必要情報とが分類されて記憶される。
【0110】
その後、制御部45は、記憶部44から修正後の治験必要情報と修正前の治験必要情報を読み出し、それらの情報を、表示部43に表示させたり、または、EDCシステム2へ送信したりする。
【0111】
本変形例によれば、EDCシステム2へ送信する前に、医師または治験コーディネータは、電子カルテシステム3から抽出した治験必要情報を確認することができる。また、必要に応じて、医師または治験コーディネータは、電子カルテシステム3から抽出した治験必要情報を修正することができる。
【0112】
また、本変形例によれば、例えば、医療機関でのモニタリングの開始前に、作業者(モニタリングの実施者)が、情報連携システム4の表示部43において、電子カルテとEDCとで、記載が完全一致することが予想される項目と、完全一致はしないものの、同様の事象を示していることが予想される項目、あるいは、EDCに記載されているものの、電子カルテには記載されていない項目とを、予め分別して認識することが可能となる。
【0113】
<変形例3>
また、上記変形例2で説明したように治験必要情報の修正が行われた場合、制御部45は、修正を行ったユーザを識別可能な修正者情報を、修正後の治験必要情報とともに記憶部44に記憶させてもよい。修正者情報は、修正操作が実行されたときに、入力部42が受け付ける。修正者情報は、例えば、修正操作を行った医師または治験コーディネータの氏名またはID等である。
【0114】
その後、制御部45は、記憶部44から修正者情報を読み出し、その情報を、表示部43に表示させたり、または、EDCシステム2へ送信したりする。
【0115】
本変形例によれば、治験必要情報の修正を行ったユーザを確認することが可能となる。例えば、モニタリング時に、治験必要情報の修正の意図を確認することが、より容易になる。
【0116】
<変形例4>
上記実施の形態において、情報連携システム4の制御部45は、電子カルテシステム3から抽出した治験必要情報の中に、内容が重複した情報が含まれる場合(例えば、有害事象名が重複して入力されている場合)、その情報を表示部43に表示させてもよい。
【0117】
これにより、医師または治験コーディネータは、内容が重複して入力された治験必要情報を確認することができる。この場合、医師または治験コーディネータは、変形例2で説明したように、治験必要情報の修正操作を行うことで、重複した内容を修正することができる。
【0118】
<変形例5>
上記実施の形態において、情報連携システム4の制御部45は、電子カルテシステム3から抽出した治験必要情報の中に、予め定義された範囲外の状況(例えば、異常な値の処方量)を示す範囲外状況情報が含まれる場合、その範囲外状況情報を表示部43に表示させてもよい。また、制御部45は、範囲外の状況への対応を示唆する対応示唆情報(例えば、処方量の値を修正するように促す旨のメッセージ)を表示部43に表示させてもよい。
【0119】
本変形例によれば、医師または治験コーディネータは、予め定義された範囲外の状況を示す治験必要情報を確認することができる。これにより、医師または治験コーディネータは、例えば、患者基本情報、既往歴、合併症、併用薬、臨床検査結果などの治験必要情報が予め定義された範囲外の状況を示す場合、治験被験者としての選択基準または除外基準への適合/逸脱を、把握することが可能となる。また、医師または治験コーディネータは、例えば、臨床検査結果、有害事象などの治験必要情報が予め定義された範囲外の状況を示す場合、重要な副作用を把握することが可能となる。
【0120】
<変形例6>
上記実施の形態で説明した
図7または
図8のステップS22において、電子カルテシステム3の制御部35は、電子カルテ用入力フォームおよび治験用入力フォーム以外の入力フォーム(以下、第3の入力フォームという)に入力された診療情報に対してテキスト検索を行い、診療情報から治験必要情報を取得してもよい。
【0121】
例えば、予め治験用項目ごとにキーワードが定義されているとする。制御部35は、情報連携システム4から指定項目情報を受信すると、その情報に示される治験用項目に対応して定められたキーワードに該当する診療情報を、治験必要情報として記憶部34から読み出す。そして、制御部35は、読み出した診療情報を、治験必要情報として情報連携システム4へ送信するように制御する。ここで、キーワードの例としては、治験用項目そのものを表す用語(例えば、体重、血圧、体温など)や、有害事象を表す用語(例えば、腹痛、頭痛など)であってもよい。
【0122】
本変形例によれば、例えば、医師等が誤って第3の入力フォームに治験必要情報を入力した場合、その治験必要情報を抽出することが可能となる。
【0123】
<変形例7>
上記実施の形態において、情報連携システム4が電子カルテシステム3から治験必要情報を抽出した後、医師等の操作により電子カルテシステム3において当該治験必要情報の更新(修正、または、書き換えと言い換えてもよい)が行われた場合、情報連携システム4は、電子カルテシステム3において治験必要情報が更新された旨を表示してもよい。
【0124】
例えば、電子カルテシステム3の制御部35は、記憶部34に記憶されている所定の治験必要情報の更新が行われた場合、治験必要情報が更新された旨を示す更新通知情報を情報連携システム4へ送信するように通信部31を制御する。
【0125】
情報連携システム4の制御部45は、通信部41が電子カルテシステム3から更新通知情報を受信すると、電子カルテシステム3において治験必要情報が更新された旨を示すメッセージ等を表示部43に表示させる。
【0126】
上記説明では、電子カルテシステム3において治験必要情報の更新が行われた場合を例に挙げたが、情報連携システム4において治験必要情報の更新が行われた場合も適用することができる。すなわち、情報連携システム4が電子カルテシステム3から治験必要情報を抽出した後、医師または治験コーディネータの操作により情報連携システム4において当該治験必要情報の更新が行われた場合、電子カルテシステム3は、情報連携システム4において治験必要情報が更新された旨を表示してもよい。
【0127】
例えば、情報連携システム4の制御部45は、記憶部44に記憶されている所定の治験必要情報の更新が行われた場合、治験必要情報が更新された旨を示す更新通知情報を電子カルテシステム3へ送信するように通信部31を制御する。
【0128】
電子カルテシステム3の制御部35は、通信部31が情報連携システム4から更新通知情報を受信すると、情報連携システム4において治験必要情報が更新された旨を示すメッセージ等を表示部33に表示させる。
【0129】
本変形例によれば、医師等または治験コーディネータは、電子カルテシステム3または情報連携システム4において所定の治験必要情報が更新されたことを知ることができる。
【0130】
<変形例8>
上記変形例7において、電子カルテシステム3または情報連携システム4は、更新前の治験必要情報と更新後の治験必要情報を表示してもよい。
【0131】
まず、電子カルテシステム3において治験必要情報の更新が行われた場合について説明する。
【0132】
例えば、電子カルテシステム3の制御部35は、記憶部34に記憶されている所定の治験必要情報の更新が行われた場合、更新後の治験必要情報を情報連携システム4へ送信するように通信部31を制御する。
【0133】
情報連携システム4の制御部45は、通信部41が電子カルテシステム3から更新後の治験必要情報を受信すると、その情報の更新前の治験必要情報を記憶部44から読み出す。そして、制御部45は、更新後の治験必要情報と更新前の治験必要情報を表示部43に表示させる。
【0134】
また、制御部45は、更新後の治験必要情報と更新前の治験必要情報を記憶部44に記憶させる。そして、制御部45は、所定のタイミングで更新後の治験必要情報と更新前の治験必要情報を記憶部44から読み出し、それらの情報をEDCシステム2へ送信するように通信部41を制御する。
【0135】
次に、情報連携システム4において治験必要情報の更新が行われた場合について説明する。
【0136】
例えば、情報連携システム4の制御部45は、記憶部44に記憶されている所定の治験必要情報の更新が行われた場合、更新後の治験必要情報を電子カルテシステム3へ送信するように通信部41を制御する。
【0137】
電子カルテシステム3の制御部35は、通信部31が情報連携システム4から更新後の治験必要情報を受信すると、その情報の更新前の治験必要情報を記憶部34から読み出す。そして、制御部35は、更新後の治験必要情報と更新前の治験必要情報を表示部33に表示させる。
【0138】
また、制御部35は、更新後の治験必要情報と更新前の治験必要情報を記憶部34に記憶させる。
【0139】
本変形例によれば、医師または治験コーディネータは、更新前の治験必要情報と更新後の治験必要情報を視認することで、それらの差異を認識することができる。
【0140】
<変形例9>
上記実施の形態において、電子カルテシステム3は、規定のデータセット構造に従って情報を記憶してもよい。例えば、
図6に示した専用入力画面において入力された診療情報のうち、指定項目情報に示される治験用項目に対応する情報は、SS−MIXなどの規約に従って記憶部34に記憶されてもよい。
【0141】
本変形例によれば、情報連携システム4は、電子カルテ入力フォームの構造によらず、治験必要情報を抽出することが可能となる。
【0142】
以上、各変形例について説明した。これらの変形例は適宜組み合わせてもよい。