(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670191
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】車両用クーリングファン制御方法
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20200309BHJP
B60H 1/12 20060101ALI20200309BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
B60K11/04 K
B60H1/12 641A
B60H1/32 626E
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-134244(P2016-134244)
(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-105426(P2017-105426A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2019年3月29日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0176323
(32)【優先日】2015年12月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 載 然
(72)【発明者】
【氏名】元 勝 ヒョン
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−235001(JP,A)
【文献】
特開2012−144231(JP,A)
【文献】
特開2004−353554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
B60H 1/12
B60H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタック用ラジエータと、前記スタック用ラジエータの前方に配置される電装用ラジエータと、前記電装用ラジエータと車両の幅方向を基準に並列配置されるコンデンサと、前記スタック用ラジエータの後方で前記電装用ラジエータと前記コンデンサにそれぞれ対応する位置に備えられる第1、第2クーリングファンとを含むクーリングモジュールで車両の走行状態およびエアコンの稼働有無により前記第1、第2クーリングファンの作動速度を制御するためのものであって、
車両の始動をオンさせて走行する段階と、
スタック温度を感知し、前記スタック用ラジエータが要求する前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)と前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)を設定する段階と、
電装品の温度を感知し、前記電装用ラジエータが要求する前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)を設定する段階と、
エアコンの作動有無を判断する段階と、
エアコンが作動していると判断されると、エアコン圧力を感知し、前記コンデンサが要求する前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)を設定する段階と、
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階(S6)と、
前記段階(S6)で条件を満足すると、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させる段階と、
スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階と、
前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあると判断されると、制御を終了する段階と、
を含むことを特徴とする車両用クーリングファン制御方法。
【請求項2】
前記エアコンの作動有無を判断する段階で、前記エアコンが作動していないと判断されると、次の段階で、前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であるかを判断することを特徴とする請求項1に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項3】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、条件を満足すると、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする請求項2に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項4】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、
条件を満足しないと、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする請求項2に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項5】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、
条件を満足しないと、次の段階で、前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断することを特徴とする請求項1に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項6】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断する段階で、
条件を満足すると、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする請求項5に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項7】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断する段階で、
条件を満足しないと、次の段階で、前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断することを特徴とする請求項5に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項8】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、
条件を満足すると、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする請求項7に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項9】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、
条件を満足しないと、次の段階で、前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断することを特徴とする請求項7に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項10】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断する段階で、
条件を満足すると、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする請求項9に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項11】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断する段階で、
条件を満足しないと、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させる段階にリターンさせることを特徴とする請求項9に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項12】
スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階で、条件を満足しないと、スタック温度を感知し、前記スタック用ラジエータが要求する前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)と前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)を設定する段階にリターンさせることを特徴とする請求項1に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用クーリングファン制御方法に係り、より詳しくは、車両の状態により電気自動車でクーリングモジュールにデュアルに備えられるクーリングファンの作動を制御して消費電力を最小化できる車両用クーリングファン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、エネルギー効率と環境汚染問題に対する関心が増加し、内燃機関自動車を実質的に代替可能な環境にやさしい自動車の開発が要求されている。このような自動車は、普通燃料電池や電気を動力源として駆動される電気自動車や、エンジンと電気バッテリーを利用して駆動されるハイブリッド自動車に区分される。電気自動車には、燃料電池またはバッテリーを冷却するためのスタックラジエータと、電装品を冷却する電装用ラジエータと、コンデンサおよびクーリングファンを含むクーリングモジュールと、が車両の前方に配置される。クーリングモジュールは、車両の走行状態、およびエアコンシステムの作動の有無により燃料電池またはバッテリーと電装品を効率的に冷却し、エアコンシステムの冷房性能を向上させることが要求される。
【0003】
しかしながら、クーリングモジュールの性能確保のためには、クーリングファンの容量を増大させる、もしくはクーリングファンを効率的に制御しなければならないが、限定されたエンジンルーム空間で装着空間の確保が難しく、容積の増大には限界がある。また、各構成要素の要求冷却温度が互いに異なるため、各構成要素の要求冷却温度に合うようにクーリングファンを制御することが難しい。また、各構成要素の要求冷却温度のうち、最大冷却温度によりクーリングファンを作動させる場合、他の構成要素が不必要に冷却され、クーリングファンの消費電力が増加するため、車両の最大走行距離が短くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−076792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、電気自動車で走行状態およびエアコン作動によりクーリングモジュールにデュアルに備えられるクーリングファンの作動時、各構成要素のクーリングファン要求速度を比較して各クーリングファンの作動を独立制御することによって、クーリングファンの消費電力を最小化して不必要な電力消費を防止し、車両の全体走行距離を増大させる車両用クーリングファン制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法は、スタック用ラジエータと、前記スタック用ラジエータの前方に配置される電装用ラジエータと、前記電装用ラジエータと車両の幅方向を基準に並列配置されるコンデンサと、前記スタック用ラジエータの後方で前記電装用ラジエータと前記コンデンサにそれぞれ対応する位置に備えられる第1、第2クーリングファンとを含むクーリングモジュールで車両の走行状態およびエアコンの稼働有無により前記第1、第2クーリングファンの作動速度を制御するためのものであって、車両の始動をオンさせて走行する段階と、スタック温度を感知し、前記スタック用ラジエータが要求する前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)と前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)を設定する段階と、電装品の温度を感知し、前記電装用ラジエータが要求する前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)を設定する段階と、エアコンの作動有無を判断する段階と、エアコンが作動していると判断されると、エアコン圧力を感知し、前記コンデンサが要求する前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)を設定する段階と、前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階(S6)と、前記段階(S6)で条件を満足すると、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させる段階と、スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階と、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあると判断されると、制御を終了する段階と、を含むことを特徴とする。
【0007】
前記エアコンの作動有無を判断する段階で、前記エアコンが作動していないと判断されると、次の段階で、前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であるかを判断することを特徴とする。
【0008】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、条件を満足すると、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする。
【0009】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、条件を満足しないと、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする。
【0010】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、条件を満足しないと、次の段階で、前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断することを特徴とする。
【0011】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断する段階で、条件を満足すると、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする。
【0012】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断する段階で、条件を満足しないと、次の段階で、前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断することを特徴とする。
【0013】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、条件を満足すると、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする。
【0014】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階で、条件を満足しないと、次の段階で、前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断することを特徴とする。
【0015】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断する段階で、条件を満足すると、次の段階で、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)で作動させ、前記スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階にリターンさせることを特徴とする。
【0016】
前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)が前記第1クーリングファンの第2要求速度(C)より小さく、前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)が前記第2クーリングファンの第2要求速度(D)より小さいかを判断する段階で、条件を満足しないと、前記第1クーリングファンは前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)で作動させ、前記第2クーリングファンは前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)で作動させる段階にリターンさせることを特徴とする。
【0017】
スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階で、条件を満足しないと、スタック温度を感知し、前記スタック用ラジエータが要求する前記第1クーリングファンの第1要求速度(A)と前記第2クーリングファンの第1要求速度(B)を設定する段階にリターンさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
前述のように、本発明の車両用クーリングファン制御方法によれば、走行状態およびエアコン作動により電気自動車で車両の走行状態によりクーリングモジュールにデュアルに備えられるクーリングファンの作動時、各構成要素のクーリングファン要求速度を比較して各クーリングファンの作動を独立制御することによって、クーリングファンの消費電力を最小化して不必要な電力消費を防止し、車両の全体走行距離を増大させることができる。また、クーリングファンの容量増大なしにもクーリングモジュールの性能確保が可能であることによって、限定された装着孔間内でクーリングモジュールの搭載性を向上させ、車両に搭載されたスタック、電装品、およびエアコンシステムの作動性能および作動効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法が適用されるクーリングモジュールの構成図である。
【
図2】本発明の実施形態による車両用クーリングファン制御方法を説明するための制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
本発明を明確に説明するために、同一または類似する構成要素に対しては同一の参照符号を付した。図面に示された各構成の大きさは、便宜的な大きさで、厚さは、複数の部分および領域を明確に表現するため拡大して表示した。そして、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、他の構成要素をさらに含むことができる。また、明細書の「…ユニット」、「…手段」、「…部」、「…部材」などの用語は、一つの機能を行う単位とする。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法が適用されるクーリングモジュールの構成図であり、
図2は、本発明の実施形態による車両用クーリングファン制御方法を説明するための制御フローチャートである。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法は、電気自動車に適用される。電気自動車の前方には、クーリングモジュール1が装着され、クーリングモジュール1は、スタック用ラジエータ3、電装用ラジエータ5、コンデンサ7、および第1、第2クーリングファン10、20を含む。スタック用ラジエータ3は、スタック(燃料電池)に冷却水を供給する。スタック用ラジエータ3の前方一側には、電装品に冷却水を供給するように電装用ラジエータ5が配置される。スタック用ラジエータ3の前方他側には、エアコンシステムの冷媒を凝縮するようにコンデンサ7が配置される。つまり、電装用ラジエータ5と、コンデンサ7は車両の幅方向を基準に並列配置される。そして、第1、第2クーリングファン10、20は、スタック用ラジエータ3の後方で電装用ラジエータ5とコンデンサ7にそれぞれ対応する位置に装着される。
【0023】
このように構成されるクーリングモジュール1で本発明の実施形態に係るクーリングファン制御方法は、車両の走行状態およびエアコンシステムの稼働有無により第1クーリングファン10と第2クーリングファン20の作動速度を制御するために適用される。本発明の実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法は、
図2に示すように、車両の始動をオンさせて走行する状態(S1)で、スタックの温度を感知し、スタック用ラジエータ3が要求する第1クーリングファン10の第1要求速度(A)と第2クーリングファン20の第1要求速度(B)を設定する(S2)。
【0024】
その後、車両に搭載された電装品の温度を感知し、電装用ラジエータ5が要求する第1クーリングファン10の第2要求速度(C)を設定する(S3)。そして、車両でエアコンの作動有無を判断する(S4)。段階(S4)で車両のエアコンが作動していると判断されると、エアコン圧力を感知し、コンデンサ7が要求する第2クーリングファン20の第2要求速度(D)を設定する(S5)。第2クーリングファン20の第2要求速度(D)の設定が完了されると、第1クーリングファン10の第1要求速度(A)が第1クーリングファン10の第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、第2クーリングファン20の第1要求速度(B)が第2クーリングファン20の第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する(S6)。
【0025】
段階(S6)で条件を満足すると、第1クーリングファン10は、第1クーリングファン10の第1要求速度(A)で作動させ、第2クーリングファン20は、第2クーリングファン20の第1要求速度(B)で作動させる(S7)。その後、スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断し(S8)、スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあると判断されると、制御を終了する。
【0026】
ここで、エアコンの作動有無を判断する段階(S4)で、エアコンが作動していないと判断されると、第1クーリングファン10の第1要求速度(A)が第1クーリングファン10の第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であるかを判断する(S9)。第1クーリングファン10の第1要求速度(A)が第1クーリングファン10の第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階(S9)で、条件を満足すると、第1クーリングファン10は第1クーリングファン10の第1要求速度(A)で作動させる。そして、第2クーリングファン20は第2クーリングファン20の第1要求速度(B)で作動させる(S10)。
【0027】
その後、第1クーリングファン10と第2クーリングファン20が作動すると、スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階(S8)にリターンさせる。反面、第1クーリングファン10の第1要求速度(A)が第1クーリングファン10の第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階(S9)で、条件を満足しないと、第1クーリングファン10は第1クーリングファン10の第2要求速度(C)で作動させる。そして、第2クーリングファン20は第2クーリングファン20の第1要求速度(B)で作動させる(S11)。その後、第1クーリングファン10と第2クーリングファン20が作動すると、スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階(S8)にリターンさせる。
【0028】
つまり、本発明の実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法は、車両の走行状態によりスタック用ラジエータ3 を冷却するように要求される第1、第2クーリングファン10、20の要求速度と、電装用ラジエータ5を冷却するように要求される第1クーリングファン10の要求速度を比較して大きい要求速度で第1、第2クーリングファン10、20を独立制御してクーリングモジュール1の効率的な冷却を行なう。
【0029】
一方、第1クーリングファン10の第1要求速度(A)が第1クーリングファン10の第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、第2クーリングファン20の第1要求速度(B)が第2クーリングファン20の第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する段階(S6)で、条件を満足しないと、第1クーリングファン10の第1要求速度(A)が第1クーリングファン10の第2要求速度(C)より大きいかまたは同一であり、第2クーリングファン20の第1要求速度(B)が第2クーリングファン20の第2要求速度(D)より小さいかを判断する(S12)。
【0030】
段階(S12)で、条件を満足すると、第1クーリングファン10は第1クーリングファン10の第1要求速度(A)で作動させる。そして、第2クーリングファン20は第2クーリングファン20の第2要求速度(D)で作動させる(S13)。その後、第1クーリングファン10と第2クーリングファン20が作動すると、スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階(S8)にリターンさせる。
【0031】
反面、段階(S12)で、条件を満足しないと、第1クーリングファン10の第1要求速度(A)が第1クーリングファン10の第2要求速度(C)より小さく、第2クーリングファン20の第1要求速度(B)が第2クーリングファン20の第2要求速度(D)より大きいかまたは同一であるかを判断する(S14)。段階(S14)で、条件を満足すると、第1クーリングファン10は第1クーリングファンの10第2要求速度(C)で作動させ、第2クーリングファン20は第2クーリングファン20の第1要求速度(B)で作動させる(S15)。
【0032】
その後、第1クーリングファン10と第2クーリングファン20が作動すると、スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階(S8)に再びリターンさせる。反面、段階(S14)で、条件を満足しないと、第1クーリングファン10の第1要求速度(A)が第1クーリングファン10の第2要求速度(C)より小さく、第2クーリングファン20の第1要求速度(B)が第2クーリングファン20の第2要求速度(D)より小さいかを判断する(S16)。
【0033】
第1クーリングファン10の第1要求速度(A)が第1クーリングファン10の第2要求速度(C)より小さく、第2クーリングファン20の第1要求速度(B)が第2クーリングファン20の第2要求速度(D)より小さいと判断されると(S16)、第1クーリングファン10は第1クーリングファン10の第2要求速度(C)で作動させ、第2クーリングファン20は第2クーリングファン20の第2要求速度(D)で作動させる(S17)。
【0034】
その後、第1クーリングファン10と第2クーリングファン20が作動すると、スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階(S8)に再びリターンされる。反面、段階(S16)で、条件を満足しないと、第1クーリングファン10は第1クーリングファン10の第1要求速度(A)で作動させ、第2クーリングファン20は第2クーリングファン20の第1要求速度(B)で作動させる段階にリターンさせる。
【0035】
一方、本実施形態で、スタックおよび電装品の冷却水温とエアコン圧力が予め設定された設定値内にあるかを判断する段階(S8)で、条件を満足しないと、スタック温度を感知し、スタック用ラジエータが要求する第1クーリングファンの第1要求速度(A)と第2クーリングファンの第1要求速度(B)を設定する段階(S2)にリターンされ得る。つまり、本発明の車両用クーリングファン制御方法は、前述の過程を反復して行ない、、車両の走行状態とエアコンの作動有無によりスタック用ラジエータ3を冷却するように要求される第1、第2クーリングファン10、20の要求速度、電装用ラジエータ5を冷却するように要求される第1クーリングファン10の要求速度、およびコンデンサ7を冷却するように要求される第2クーリングファン20の要求速度をそれぞれ比較して大きい要求速度で第1、第2クーリングファン10、20をそれぞれ独立制御することによって、クーリングモジュール1の効率的な冷却が行われる。
【0036】
したがって、本発明の車両用クーリングファン制御方法を適用すれば、走行状態およびエアコン作動により電気自動車で車両の走行状態によりクーリングモジュール1にデュアルに備えられる第1、第2クーリングファン10、20の作動時、各構成要素のクーリングファン要求速度を比較して第1、第2クーリングファン10、20の作動速度を独立的に制御することによって、第1、第2クーリングファン10、20の消費電力を最小化して不必要な電力消費を防止し、車両の全体走行距離を増大させることができる。
【0037】
また、第1、第2クーリングファン10、20の容量増大なしにクーリングモジュール1の性能確保が可能であるため、限定された装着空間内でクーリングモジュール1の搭載性を向上させ、車両に搭載されたスタック、電装品、およびエアコンシステムの作動性能および作動効率を向上させることができる。
【0038】
以上のように、本発明を実施例と図面により説明したが、これに限定されず、多様な修正および変形が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 クーリングモジュール
3 スタック用ラジエータ
5 電装用ラジエータ
7 コンデンサ
10 第1クーリングファン
20 第2クーリングファン