(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
缶胴と、該缶胴の両端を閉塞する管板と、前記缶胴内に配置された伝熱管群とを備え、前記缶胴内に導入された冷媒ガスと前記伝熱管群を流通する冷却水との間で熱交換を行って冷媒ガスを凝縮させる圧縮式冷凍機用凝縮器において、
前記缶胴の内壁と前記伝熱管群との間にバッフル板を設け、該バッフル板によって不凝縮ガスが滞留する場所を形成し、
前記不凝縮ガスが滞留する場所に、前記不凝縮ガスを抽気する抽気管を設け、
前記抽気管は前記バッフル板の下方に位置していることを特徴とする圧縮式冷凍機用凝縮器。
前記伝熱管群が上下方向に複数段配置され、前記バッフルおよび前記抽気管は最下段の伝熱管群側に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の圧縮式冷凍機用凝縮器。
前記缶胴の内壁と前記伝熱管群との間の隙間の一部分を、他の隙間部分より広くすることにより冷媒ガスが流れやすい流路を形成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の圧縮式冷凍機用凝縮器。
前記伝熱管群の伝熱管は千鳥状に配列され、千鳥配置の伝熱管の少なくとも1列を抜いて空隙とし、該空隙を冷媒ガスの流路としたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の圧縮式冷凍機用凝縮器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る圧縮式冷凍機用凝縮器の実施形態を
図1乃至
図17を参照して説明する。
図1乃至
図17において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。本実施形態においては、圧縮式冷凍機の一例としてターボ圧縮機を用いたターボ冷凍機を示すが、スクリュー式、レシプロ式、スクロール式等の圧縮機を用いたものであってもよい。
図1は、本発明に係る凝縮器を備えたターボ冷凍機を示す模式図である。
図1に示すように、ターボ冷凍機は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機1と、圧縮された冷媒ガスを冷却水(冷却流体)で冷却して凝縮させる凝縮器2と、冷水(被冷却流体)から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器3と、凝縮器2と蒸発器3との間に配置される中間冷却器であるエコノマイザ4とを備え、これら各機器を冷媒が循環する冷媒配管5によって連結して構成されている。冷媒にはR123等の低圧冷媒を用いている。
【0015】
図1に示す実施形態においては、ターボ圧縮機1は、多段ターボ圧縮機から構成されている。ターボ圧縮機1は、冷媒配管5によってエコノマイザ4と接続されており、エコノマイザ4で分離された冷媒ガスは多段ターボ圧縮機の多段の圧縮段(この例では2段)の中間部分(この例では一段目と二段目の間の部分)に導入されるようになっている。
【0016】
図1に示すように構成されたターボ冷凍機の冷凍サイクルでは、ターボ圧縮機1と凝縮器2と蒸発器3とエコノマイザ4とを冷媒が循環し、蒸発器3で冷水が製造されて負荷に対応し、冷凍サイクル内に取り込まれた蒸発器3からの熱量および圧縮機モータから供給されるターボ圧縮機1の仕事に相当する熱量が凝縮器2に供給される冷却水に放出される。一方、エコノマイザ4にて分離された冷媒ガスはターボ圧縮機1の多段圧縮段の中間部分に導入され、一段目圧縮機からの冷媒ガスと合流して二段目圧縮機により圧縮される。2段圧縮単段エコノマイザサイクルによれば、エコノマイザ4による冷凍効果部分が付加されるので、その分だけ冷凍効果が増加し、エコノマイザ4を設置しない場合に比べて冷凍効果の高効率化を図ることができる。
【0017】
図2は、
図1に示す凝縮器2の全体構造の一例を示す断面図である。
図2に示すように、凝縮器2は、円筒形の缶胴11と缶胴11の両端部に設けられた管板12,12とにより形成された空間内に、多数の伝熱管13を千鳥状に配列した伝熱管群14を配置して構成されている。冷媒ガスは缶胴11の上部にある冷媒入口11
INより流入し、伝熱管群14の中を通過し、伝熱管群14の中を通過する間に伝熱管内に流れる冷却水との間の熱交換によって冷却されて凝縮する。凝縮した凝縮液(冷媒液)は缶胴11の底部にある冷媒出口11
OUTより流出するようになっている。冷媒入口11
INの直下には入口バッフル19が設置されている。伝熱管13は、内部に冷却水(冷却流体)が流通するようになっており、缶胴11の長手方向に延びている。管板12,12には、それぞれヘッダ部15R,15Lが接続されている。ヘッダ部15Lは仕切板16により上下に区画されており、ヘッダ部15Lには冷却水入口15
INと冷却水出口15
OUTが設けられている。
【0018】
図2においては、2パスの伝熱管群として説明する。すなわち、多数の伝熱管13からなる伝熱管群14は、冷却水入口15
INに連通する上段伝熱管群14Uと冷却水出口15
OUTに連通する下段伝熱管群14Lとからなっている。冷却水は、ヘッダ部15Lの冷却水入口15
INから流入して上段伝熱管群14Uを流れた後にヘッダ部15Rで折り返し、下段伝熱管群14Lを流れた後に冷却水出口15
OUTから流出するようになっている。なお、図示例のように、冷却水入口15
INが上側にあり、冷却水出口15
OUTが下側にあるタイプを上IN,下OUTと云い、冷却水入口15
INが下側にあり、冷却水出口15
OUTが上側にあるタイプを下IN,上OUTと云う。
【0019】
図3および
図4は、第1の実施形態に係る凝縮器2を示す図であり、
図3は凝縮器2の側断面図、
図4は凝縮器2の正面図である。第1の実施形態に係る凝縮器2は、4パスの伝熱管群を備えた凝縮器であり、上IN,下OUTタイプの凝縮器である。上IN,下OUTタイプの凝縮器の場合、冷却水温度が低い上段の伝熱管群側に不凝縮ガスが滞留しやすくなる。第1の実施形態においては、
図3に示すように、上段伝熱管群14Uは、左右に分割されて上段左伝熱管群14ULと上段右伝熱管群14URとから構成されている。冷却水の1パス目は上段左伝熱管群14ULでも良いし、上段右伝熱管群14URでもよい。下段伝熱管群14Lも同様に分割されて下段左伝熱管群14LLと下段右伝熱管群14LRとから構成されている。缶胴11の内壁には、上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URのやや上方の位置において左右一対のバッフル板17,17が固定されている。各バッフル板17は、細長い薄板状部材からなり、管板12,12間で缶胴11の長手方向に延びている。抽気管が短管の場合、全長ではなく、バッフル板17は抽気管18近傍の一部でもよい。左右一対のバッフル板17,17は、缶胴11の内壁から内側に向かって水平に延び、上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URにおける最上段の伝熱管列の端部側にある所定の本数の伝熱管13を覆うように配置されている。バッフル板17が伝熱管13をすくなくとも一本を覆うことにより、不凝縮ガスが滞留する場所への冷媒蒸気の流入が抑えられ、不凝縮ガスが滞留しやすくなる。また、反対にバッフル板の最大幅については、伝熱管の間隔が広い時、あるいは伝熱管が多い大型機の場合等、製品の仕様に応じて、冷媒の凝縮を阻害しない程度の伝熱管本数を覆う幅を定めればよい。
左右一対のバッフル板17,17の下方には、不凝縮ガスを抽気するための抽気管18,18が設置されている。バッフル板17と抽気管18は左右一対でもよいが、1パス目側の片方でも効果が発揮できる。
【0020】
図4に示すように、抽気管18は缶胴11の両端部に設置されている。
図5(a),(b)は、
図3および
図4に示す抽気管18の断面図である。抽気管18は単純な両端が開口する管でもよいが、好ましい態様によれば、
図5(a)に示すように、抽気管18は、円筒状の管からなり、その先端部が閉塞され、後端部に開口18aを有し、先端部側の下部に抽気孔18hを有している。
図5(b)に示すように、抽気管18は管の先端を斜面にカットした短管でもよい。カット面は下側向きにする。このような構成により、冷媒液が抽気管に流入し難く、抽気しやすい。抽気管18は、その先端部側が缶胴11内に挿入されることにより、抽気孔18hを介して缶胴11内の不凝縮ガスを抽気し、抽気した不凝縮ガスを後端部の開口18aよりパージタンク(図示せず)に排出するようになっている。
【0021】
第1の実施形態に係る凝縮器2においては、
図3に示すように、缶胴11の内壁に、上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URのやや上方の位置において左右一対のバッフル板17,17を固定し、左右一対のバッフル板17,17の下方に抽気管18,18を設けている。
図3に示すように、冷媒ガスGは缶胴11の上部にある冷媒入口11
INより流入して上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URに流入する。上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URに流入した冷媒ガス(冷媒蒸気)の一部は伝熱管表面で凝縮され、一部未凝縮冷媒ガスは下段伝熱管群14Lへ流れる。冷媒入口11
INより流入した一部の冷媒ガスGは上段左伝熱管群14ULと上段右伝熱管群14URとの間の隙間を通過し、下段伝熱管群14Lに流れると共に、一部の冷媒ガスGは上段左伝熱管群14ULと下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および上段右伝熱管群14URと下段右伝熱管群14LRとの間の隙間を通過し、更に缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間に流れる。
一方、上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URの最上段の伝熱管列の上方には、左右一対のバッフル板17,17が設置されているため、缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間が塞がれ、冷媒ガスがこの隙間から下方へ流れ難く、バッフル板下方付近の伝熱管はまだ充分な凝縮能力がある。ここの伝熱管への冷媒ガス供給は、上段伝熱管群14U内から缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間に向かって流れる冷媒ガス、および上段左伝熱管群14ULと下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および上段右伝熱管群14URと下段右伝熱管群14LRとの間の隙間を通過し、更に缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間から流れてきた冷媒ガスにより供給される。このように上方から流れる冷媒ガスGの流れは、左右一対のバッフル板17,17により堰き止められ、バッフル板下方付近の伝熱管に向かって伝熱管群内部および伝熱管群下方からの冷媒ガスの流れが形成される。バッフル板下方付近に流れてきた冷媒ガス(冷媒蒸気)は伝熱管表面で凝縮され、冷媒ガス中に混入している不凝縮ガスが滞留しやすい。そのため、各バッフル板17の下方には、不凝縮ガスが滞留するため、この滞留した不凝縮ガスを抽気管18によって抽気し、抽気した不凝縮ガスをパージタンク(図示せず)に排出する。
【0022】
図6および
図7は、第2の実施形態に係る凝縮器2を示す図であり、
図6は凝縮器2の側断面図、
図7は凝縮器2の正面図である。第2の実施形態に係る凝縮器2は、4パスの伝熱管群を備えた凝縮器であり、第1の実施形態と同様に上IN,下OUTタイプの凝縮器である。第2の実施形態においては、
図6に示すように、上段伝熱管群14Uは、左右に分割されて上段左伝熱管群14ULと上段右伝熱管群14URとから構成されている。下段伝熱管群14Lも同様に分割されて下段左伝熱管群14LLと下段右伝熱管群14LRとから構成されている。缶胴11の内壁には、上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URのやや上方の位置において左右一対のバッフル板17,17が固定されている。各バッフル板17は、細長い薄板状部材からなり、管板12,12間で缶胴11の長手方向に延びている。左右一対のバッフル板17,17は、缶胴11の内壁から内側に向かって水平に延び、上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URにおける最上段の伝熱管列の端部側にある所定の本数の伝熱管13を覆うように配置されている。左右一対のバッフル板17,17の下方には、不凝縮ガスを抽気するための抽気管18,18が設置されている。バッフル板17と抽気管18は左右一対でもよいが、1パス目側の片方でも効果が発揮できる。
【0023】
図7に示すように、抽気管18は缶胴11の長手方向に延びる円筒状の管から構成されている。
図8は、
図6および
図7に示す抽気管18の斜視図である。
図8に示すように、抽気管18は、長尺の円筒状の管からなり、その両端部が閉塞され、下部に間隔をおいて形成された多数の抽気孔18hを有している。抽気管18は、その中央部に短管からなる排気管18eを備えている。抽気管18は、長尺の円筒状の管が缶胴11内に挿入されることにより、多数の抽気孔18hを介して缶胴11内の不凝縮ガスを抽気し、抽気した不凝縮ガスを排気管18eによりパージタンク(図示せず)に排出するようになっている。
【0024】
第2の実施形態に係る凝縮器2においては、
図6に示すように、缶胴11の内壁に、上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URのやや上方の位置において左右一対のバッフル板17,17を固定し、左右一対のバッフル板17,17の下方に抽気管18,18を設けている。
図6に示すように、冷媒ガスGは缶胴11の上部にある冷媒入口11
INより流入して上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URに流入する。上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URに流入した冷媒ガス(冷媒蒸気)の一部は伝熱管表面で凝縮され、一部未凝縮冷媒ガスは下段伝熱管群14Lへ流れる。冷媒入口11
INより流入した一部の冷媒ガスGは上段左伝熱管群14ULと上段右伝熱管群14URとの間の隙間を通過し、下段伝熱管群14Lに流れると共に、一部の冷媒ガスGは上段左伝熱管群14ULと下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および上段右伝熱管群14URと下段右伝熱管群14LRとの間の隙間を通過し、更に缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間に流れる。
一方、上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URの最上段の伝熱管列の上方には、左右一対のバッフル板17,17が設置されているため、缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間が塞がれ、冷媒ガスがこの隙間から下方へ流れ難く、バッフル板下方付近の伝熱管はまだ充分な凝縮能力がある。ここの伝熱管への冷媒ガス供給は、上段伝熱管群14U内から缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間に向かって流れる冷媒ガス、および上段左伝熱管群14ULと下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および上段右伝熱管群14URと下段右伝熱管群14LRとの間の隙間を通過し、更に缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間から流れてきた冷媒ガスにより供給される。このように上方から流れる冷媒ガスGの流れは、左右一対のバッフル板17,17により堰き止められ、バッフル板下方付近の伝熱管に向かって伝熱管群内部および伝熱管群下方からの冷媒ガスの流れが形成される。バッフル板下方付近に流れてきた冷媒ガス(冷媒蒸気)は伝熱管表面で凝縮され、冷媒ガス中に混入している不凝縮ガスが滞留しやすい。そのため、各バッフル板17の下方には、不凝縮ガスが滞留するため、この不凝縮ガスを抽気管18によって抽気し、抽気した不凝縮ガスをパージタンクに排出する。
【0025】
図9および
図10は、第3の実施形態に係る凝縮器2を示す図であり、
図9は凝縮器2の側断面図、
図10は凝縮器2の正面図である。第3の実施形態に係る凝縮器2は、4パスの伝熱管群を備えた凝縮器であり、下IN,上OUTタイプの凝縮器である。下IN,上OUTタイプの凝縮器の場合、冷却水温度が低い下段の伝熱管群側に不凝縮ガスが滞留しやすくなる。第3の実施形態においては、
図9に示すように、上段伝熱管群14Uは、左右に分割されて上段左伝熱管群14ULと上段右伝熱管群14URとから構成されている。下段伝熱管群14Lも同様に分割されて下段左伝熱管群14LLと下段右伝熱管群14LRとから構成されている。缶胴11の内壁には、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群14LRのやや上方の位置において左右一対のバッフル板17,17が固定されている。各バッフル板17は、細長い薄板状部材からなり、管板12,12間で缶胴11の長手方向に延びている。抽気管が短管の場合、全長ではなく、バッフル板17は抽気管18近傍の一部でもよい。左右一対のバッフル板17,17は、缶胴11の内壁から内側に向かって水平に延び、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群14LRにおける最上段の伝熱管列の端部側にある所定の本数の伝熱管13を覆うように配置されている。左右一対のバッフル板17,17の下方には、不凝縮ガスを抽気するためのパイプ状の抽気管18,18が設置されている。バッフル板17と抽気管18は左右一対でもよいが、1パス目側の片方でも効果が発揮できる。
【0026】
図10に示すように、抽気管18は缶胴11の両端部に設置されている。抽気管18は、
図5に示す抽気管18と同様の構成である。
【0027】
第3の実施形態に係る凝縮器2においては、
図9に示すように、缶胴11の内壁に、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群14LRのやや上方の位置において左右一対のバッフル板17,17を固定し、左右一対のバッフル板17,17の下方に抽気管18,18を設けている。
図9に示すように、冷媒ガスGは缶胴11の上部にある冷媒入口11
INより流入して上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URに流入する。上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URに流入した冷媒ガス(冷媒蒸気)の一部は伝熱管表面で凝縮され、一部未凝縮冷媒ガスは下段伝熱管群14Lへ流れる。また、冷媒入口11
INより流入した一部の冷媒ガスGは上段左伝熱管群14ULと上段右伝熱管群14URとの間の隙間、缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間を通過し、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群14LRに流入する。更に、一部の冷媒ガスGは下段左伝熱管群14LLと下段右伝熱管群14LRとの間の隙間を通過し、下段伝熱管群14Lの下方から缶胴11の内壁と下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および缶胴11の内壁と下段右伝熱管群14LRとの間の隙間に向かって流れる。
一方、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群14LRの最上段の伝熱管列の上方には、左右一対のバッフル板17,17が設置されているため、缶胴11の内壁と下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および缶胴11の内壁と下段右伝熱管群14LRとの間の隙間が塞がれ、冷媒ガスがこの隙間から下方へ流れ難く、バッフル板下方付近の伝熱管はまだ充分な凝縮能力がある。ここの伝熱管への冷媒ガス供給は、下段伝熱管群14L内から缶胴11の内壁と下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および缶胴11の内壁と下段右伝熱管群14LRとの間の隙間に向かって流れる冷媒ガス、および下段左伝熱管群14LLと下段右伝熱管群14LRの下方を通過し、更に缶胴11の内壁と下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および缶胴11の内壁と下段右伝熱管群14LRとの間の隙間から流れてきた冷媒ガスにより供給される。このように上方から流れる冷媒ガスGの流れは、左右一対のバッフル板17,17により堰き止められ、バッフル板下方付近の伝熱管に向かって伝熱管群内部および伝熱管群下方からの冷媒ガスの流れが形成される。バッフル板下方付近に流れてきた冷媒ガス(冷媒蒸気)は伝熱管表面で凝縮され、冷媒ガス中に混入している不凝縮ガスが滞留しやすい。そのため、各バッフル板17の下方には、不凝縮ガスが滞留するため、この滞留した不凝縮ガスを抽気管18によって抽気し、抽気した不凝縮ガスを冷媒ガスとともにパージタンクに排出する。
【0028】
図11および
図12は、第4の実施形態に係る凝縮器2を示す図であり、
図11は凝縮器2の側断面図、
図12は凝縮器2の正面図である。第4の実施形態に係る凝縮器2は、4パスの伝熱管群を備えた凝縮器であり、第3の実施形態と同様に下IN,上OUTタイプの凝縮器である。第4の実施形態においては、
図11に示すように、上段伝熱管群14Uは、左右に分割されて上段左伝熱管群14ULと上段右伝熱管群14URとから構成されている。下段伝熱管群14Lも同様に分割されて下段左伝熱管群14LLと下段右伝熱管群14LRとから構成されている。缶胴11の内壁には、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群LRのやや上方の位置において左右一対のバッフル板17,17が固定されている。各バッフル板17は、細長い薄板状部材からなり、管板12,12間で缶胴11の長手方向に延びている。左右一対のバッフル板17,17は、缶胴11の内壁から内側に向かって水平に延び、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群14LRにおける最上段の伝熱管列の端部側にある所定の本数の伝熱管13を覆うように配置されている。左右一対のバッフル板17,17の下方には、不凝縮ガスを抽気するための抽気管18,18が設置されている。バッフル板17と抽気管18は左右一対でもよいが、1パス目側の片方でも効果が発揮できる。
【0029】
図12に示すように、抽気管18は缶胴11の長手方向に延びる円筒状の管から構成されている。抽気管18は、
図8に示す抽気管18と同様の構成である。
【0030】
第4の実施形態に係る凝縮器2においては、
図11に示すように、缶胴11の内壁に、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群14LRのやや上方の位置において左右一対のバッフル板17,17を固定し、左右一対のバッフル板17,17の下方に抽気管18,18を設けている。
図11に示すように、冷媒ガスGは缶胴11の上部にある冷媒入口11
INより流入して上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URに流入する。上段左伝熱管群14ULおよび上段右伝熱管群14URに流入した冷媒ガス(冷媒蒸気)の一部は伝熱管表面で凝縮され、一部未凝縮冷媒ガスは下段伝熱管群14Lへ流れる。また、冷媒入口11
INより流入した一部の冷媒ガスGは上段左伝熱管群14ULと上段右伝熱管群14URとの間の隙間、缶胴11の内壁と上段左伝熱管群14ULとの間の隙間および缶胴11の内壁と上段右伝熱管群14URとの間の隙間を通過し、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群14LRに流入する。更に、一部の冷媒ガスGは下段左伝熱管群14LLと下段右伝熱管群14LRとの間の隙間を通過し、下段伝熱管群14Lの下方から缶胴11の内壁と下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および缶胴11の内壁と下段右伝熱管群14LRとの間の隙間に向かって流れる。
一方、下段左伝熱管群14LLおよび下段右伝熱管群14LRの最上段の伝熱管列の上方には、左右一対のバッフル板17,17が設置されているため、缶胴11の内壁と下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および缶胴11の内壁と下段右伝熱管群14LRとの間の隙間が塞がれ、冷媒ガスがこの隙間から下方へ流れ難く、バッフル板下方付近の伝熱管はまだ充分な凝縮能力がある。ここの伝熱管への冷媒ガス供給は、下段伝熱管群14L内から缶胴11の内壁と下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および缶胴11の内壁と下段右伝熱管群14LRとの間の隙間に向かって流れる冷媒ガス、および下段左伝熱管群14LLと下段右伝熱管群14LRの下方を通過し、更に缶胴11の内壁と下段左伝熱管群14LLとの間の隙間および缶胴11の内壁と下段右伝熱管群14LRとの間の隙間から流れてきた冷媒ガスにより供給される。このように上方から流れる冷媒ガスGの流れは、左右一対のバッフル板17,17により堰き止められ、バッフル板下方付近の伝熱管に向かって伝熱管群内部および伝熱管群下方からの冷媒ガスの流れが形成される。バッフル板下方付近に流れてきた冷媒ガス(冷媒蒸気)は伝熱管表面で凝縮され、冷媒ガス中に混入している不凝縮ガスが滞留しやすい。そのため、各バッフル板17の下方には、不凝縮ガスが滞留するため、この滞留した不凝縮ガスを抽気管18によって抽気し、抽気した不凝縮ガスをパージタンクに排出する。
【0031】
図13は、第5の実施形態に係る凝縮器2を示す図であり、凝縮器2の側断面図である。第5の実施形態に係る凝縮器2は、2パスの伝熱管群を備えた凝縮器であり、下IN,上OUTタイプの凝縮器である。下IN,上OUTタイプの凝縮器の場合、冷却水温度が低い下段の伝熱管群側に不凝縮ガスが滞留しやすくなる。第5の実施形態においては、
図13に示すように、多数の伝熱管13からなる伝熱管群14は、冷却水入口に連通する下段伝熱管群14Lと冷却水出口に連通する上段伝熱管群14Uとからなっている。
【0032】
第5の実施形態においては、凝縮器2の上段、中段、下段に、それぞれ抽気管18が設置されているので、1,2,3の添え字を使用してこれらを峻別する。すなわち、第5の実施形態においては、缶胴の上部にある冷媒入口11
INの下方であって、上段伝熱管群14Uの直上方にバッフル板20を設置することにより、冷媒入口11
INから流入した冷媒ガスGがバッフル板20に当たってから上段伝熱管群14Uに流入するように構成している。バッフル板20の下面側にも一部の冷媒ガスは流入するが、バッフル板20の下面側では不凝縮ガスが滞留しがちになる。そのため、バッフル板20の下面側に不凝縮ガスを抽気するための抽気管18−1を設置している。抽気管18−1は、
図5に示す抽気管18と同様の構成であるが、抽気孔18hは円筒状の管の上面側にある。
【0033】
また、上段伝熱管群14Uと下段伝熱管群14Lとの間の隙間に、抽気管18−2を設置している。缶胴11の内壁には、下段伝熱管群14Lの最下段近傍の位置において左右一対のバッフル板17,17が固定されている。各バッフル板17は、細長い薄板状部材からなり、管板12,12間で缶胴11の長手方向に延びている。抽気管が短管の場合、全長ではなく、バッフル板17は抽気管18近傍の一部でもよい。各バッフル板17は、缶胴11の内壁から内側に向かって水平に延び、下段伝熱管群14Lにおける最下段の伝熱管列の端部側に隣接して配置されている。下段伝熱管群14Lの下方には、不凝縮ガスを抽気するための抽気管18−3が設置されている。抽気管18−2,18−3は、
図4と同様に缶胴11の長手方向に間隔をおいて複数個設置されている(図示せず)。抽気管18−1,18−2,18−3は、
図5に示す抽気管18と同様の構成である。
【0034】
第5の実施形態に係る凝縮器2においては、
図13に示すように、冷媒ガスGは缶胴11の上部にある冷媒入口11
INより流入してバッフル板20に当たってから、上段伝熱管群14Uに流入する。バッフル板20の下面側にも一部の冷媒ガスは流入するが、バッフル板20の下面側では不凝縮ガスが滞留しがちになる。そのため、滞留した不凝縮ガスを抽気管18−1により抽気する。上段伝熱管群14Uに流入した冷媒ガス(冷媒蒸気)の一部は伝熱管表面で凝縮され、一部未凝縮冷媒ガスは下段伝熱管群14Lへ流れる。また、冷媒入口11
INより流入した一部の冷媒ガスGは缶胴11の内壁と上段伝熱管群14Uとの間の隙間を通過し、下段伝熱管群14Lに流入する。更に、冷媒ガスの一部は缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間を下方に流れる。しかしながら、下段伝熱管群14Lの最下段の伝熱管列の近傍には、バッフル板17が設置されているため、缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間を下方に流れる冷媒ガスの流れは、バッフル板17により塞がれ、冷媒ガスがこの隙間から下方へ流れ難い。そのため、冷媒ガスGの一部は、下段伝熱管群14Lの内側に向かって流れて伝熱管表面で凝縮するが、冷媒ガス中に混入している不凝縮ガスは下段伝熱管群14Lの中央部付近又はその下方に滞留しやすい。滞留した不凝縮ガスは抽気管18−2、18−3により抽気される。
【0035】
図14は、第6の実施形態に係る凝縮器2を示す図であり、凝縮器2の側断面図である。第6の実施形態に係る凝縮器2は、2パスの伝熱管群を備えた凝縮器であり、下IN,上OUTタイプの凝縮器である。下IN,上OUTタイプの凝縮器の場合、冷却水温度が低い下段の伝熱管群側に不凝縮ガスが滞留しやすくなる。第6の実施形態においては、
図14に示すように、多数の伝熱管13からなる伝熱管群14は、冷却水入口に連通する下段伝熱管群14Lと冷却水出口に連通する上段伝熱管群14Uとからなっている。
【0036】
第6の実施形態においても、凝縮器2の上段、中段、下段に、それぞれ抽気管18が設置されているので、1,2,3の添え字を使用してこれらを峻別する。すなわち、第6の実施形態においては、缶胴の上部にある冷媒入口11
INの下方であって、上段伝熱管群14Uの直上方にバッフル板20を設置することにより、冷媒入口11
INから流入した冷媒ガスGがバッフル板20に当たってから上段伝熱管群14Uに流入するように構成している。バッフル板20の下面側にも一部の冷媒ガスは流入するが、バッフル板20の下面側では不凝縮ガスが滞留しがちになる。そのため、バッフル板20の下面側に不凝縮ガスを抽気するための抽気管18−1を設置している。抽気管18−1は、
図5に示す抽気管18と同様の構成であるが、抽気孔18hは円筒状の管の上面側にある。
【0037】
また、上段伝熱管群14Uと下段伝熱管群14Lとの間の隙間に、抽気管18−2を設置している。缶胴11の内壁には、下段伝熱管群14Lの最下段近傍の位置において左右一対のバッフル板17,17が固定されている。各バッフル板17は、細長い薄板状部材からなり、管板12,12間で缶胴11の長手方向に延びている。各バッフル板17は、缶胴11の内壁から内側に向かって水平に延び、下段伝熱管群14Lにおける最下段の伝熱管列の端部側に隣接して配置されている。下段伝熱管群14Lの下方には、不凝縮ガスを抽気するための抽気管18−3が設置されている。抽気管18−2,18−3は、
図7と同様に缶胴11の長手方向に延びる円筒状の管から構成されている(図示せず)。抽気管18−2,18−3は、
図8に示す抽気管18と同様の構成である。
【0038】
第6の実施形態に係る凝縮器2においては、
図14に示すように、冷媒ガスGは缶胴11の上部にある冷媒入口11
INより流入してバッフル板20に当たってから、上段伝熱管群14Uに流入する。バッフル板20の下面側にも一部の冷媒ガスは流入するが、バッフル板20の下面側では不凝縮ガスが滞留しがちになる。そのため、滞留した不凝縮ガスを抽気管18−1により抽気する。上段伝熱管群14Uに流入した冷媒ガス(冷媒蒸気)の一部は伝熱管表面で凝縮され、一部未凝縮冷媒ガスは下段伝熱管群14Lへ流れる。また、冷媒入口11
INより流入した一部の冷媒ガスGは缶胴11の内壁と上段伝熱管群14Uとの間の隙間を通過し、下段伝熱管群14Lに流入する。更に、冷媒ガスの一部は缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間を下方に流れる。しかしながら、下段伝熱管群14Lの最下段の伝熱管列の近傍には、バッフル板17が設置されているため、缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間を下方に流れる冷媒ガスの流れは、バッフル板17により塞がれ、冷媒ガスがこの隙間から下方へ流れ難い。そのため、冷媒ガスGの一部は、下段伝熱管群14Lの内側に向かって流れて伝熱管表面で凝縮するが、冷媒ガス中に混入している不凝縮ガスは下段伝熱管群14Lの中央部付近又はその下方に滞留しやすい。滞留した不凝縮ガスは抽気管18−2、18−3により抽気される。
【0039】
図15は、第7の実施形態に係る凝縮器2を示す図であり、凝縮器2の側断面図である。第7の実施形態に係る凝縮器2は、2パスの伝熱管群を備えた凝縮器であり、下IN,上OUTタイプの凝縮器である。下IN,上OUTタイプの凝縮器の場合、冷却水温度が低い下段の伝熱管群側に不凝縮ガスが滞留しやすくなる。第7の実施形態においては、
図15に示すように、多数の伝熱管13からなる伝熱管群14は、冷却水入口に連通する下段伝熱管群14Lと冷却水出口に連通する上段伝熱管群14Uとからなっている。
【0040】
第7の実施形態においては、凝縮器2の下段に、抽気管18が設置されている。
第7の実施形態においては、缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間は、一方(
図15において右側)が広く、他方(
図15において左側)が狭くなっている。また、缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間が狭い方(
図15において左側)の缶胴11の内壁には、下段伝熱管群14Lのやや上方の位置においてバッフル板17が固定されている。バッフル板17は、細長い薄板状部材からなり、管板12,12間で缶胴11の長手方向に延びている。抽気管が短管の場合、全長ではなく、バッフル板17は抽気管18近傍の一部でもよい。バッフル板17は、缶胴11の内壁から内側に向かって水平に延び、下段伝熱管群14Lにおける最上段の伝熱管列の端部側にある所定の本数の伝熱管13を覆うように配置されている。バッフル板17の下方には、不凝縮ガスを抽気するための抽気管18が設置されている。抽気管18は、
図4と同様に缶胴11の両端部に設置されている(図示せず)。抽気管18は、
図5に示す抽気管18と同様の構成である。
【0041】
第7の実施形態に係る凝縮器2においては、
図15に示すように、冷媒ガスGは缶胴11の上部にある冷媒入口11
INより流入し、上段伝熱管群14Uに流入する。上段伝熱管群14Uに流入した冷媒ガス(冷媒蒸気)の一部は伝熱管表面で凝縮され、一部未凝縮冷媒ガスは下段伝熱管群14Lへ流れる。また、冷媒入口11
INより流入した一部の冷媒ガスGは缶胴11の内壁と上段伝熱管群14Uとの間の隙間を通過し、下段伝熱管群14Lに流入する。また冷媒ガスの一部は缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の広い方の隙間(
図15において右側)を下方に流れる。下段伝熱管群14Lの下方に流れた冷媒ガスの一部は缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の狭い方の隙間(
図15において左側)に向かって流れる。
一方、下段伝熱管群14Lの最上段の伝熱管列の上方には、バッフル板17が設置されているため、缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間が塞がれ、冷媒ガスがこの隙間から下方へ流れ難く、バッフル板下方付近の伝熱管はまだ充分な凝縮能力がある。ここの伝熱管への冷媒ガス供給は、下段伝熱管群14L内から缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の狭い方の隙間に向かって流れる冷媒ガス、および下段伝熱管群14Lの下方を通過し、更に缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の狭い方の隙間から流れてきた冷媒ガスにより供給される。このように上方から流れる冷媒ガスGの流れは、バッフル板17により堰き止められ、バッフル板下方付近の伝熱管に向かって伝熱管群内部および伝熱管群下方からの冷媒ガスの流れが形成される。バッフル板下方付近に流れてきた冷媒ガス(冷媒蒸気)は伝熱管表面で凝縮され、冷媒ガス中に混入している不凝縮ガスが滞留しやすい。そのため、バッフル板17の下方には、不凝縮ガスが滞留するため、この滞留した不凝縮ガスを抽気管18によって抽気し、抽気した不凝縮ガスをパージタンクに排出する。
【0042】
図16は、第8の実施形態に係る凝縮器2を示す図であり、凝縮器2の側断面図である。第8の実施形態に係る凝縮器2は、2パスの伝熱管群を備えた凝縮器であり、下IN,上OUTタイプの凝縮器である。下IN,上OUTタイプの凝縮器の場合、冷却水温度が低い下段の伝熱管群側に不凝縮ガスが滞留しやすくなる。第8の実施形態においては、
図16に示すように、多数の伝熱管13からなる伝熱管群14は、冷却水入口に連通する下段伝熱管群14Lと冷却水出口に連通する上段伝熱管群14Uとからなっている。
【0043】
第8の実施形態においては、凝縮器2の下段に、抽気管18が設置されている。
第8の実施形態においては、缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間は、一方(
図16においては右側)が広く、他方(
図16においては左側)が狭くなっている。また、缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間が狭い方(
図16においては左側)の缶胴11の内壁には、下段伝熱管群14Lのやや上方の位置においてバッフル板17が固定されている。バッフル板17は、細長い薄板状部材からなり、管板12,12間で缶胴11の長手方向に延びている。バッフル板17は、缶胴11の内壁から内側に向かって水平に延び、下段伝熱管群14Lにおける最上段の伝熱管列の端部側にある所定の本数の伝熱管13を覆うように配置されている。バッフル板17の下方には、不凝縮ガスを抽気するための抽気管18が設置されている。抽気管18は、
図7と同様に缶胴11の長手方向に延びる円筒状の管から構成されている(図示せず)。抽気管18は、
図8に示す抽気管18と同様の構成である。
【0044】
第8の実施形態に係る凝縮器2においては、
図16に示すように、冷媒ガスGは缶胴11の上部にある冷媒入口11
INより流入し、上段伝熱管群14Uに流入する。上段伝熱管群14Uに流入した冷媒ガス(冷媒蒸気)の一部は伝熱管表面で凝縮され、一部未凝縮冷媒ガスは下段伝熱管群14Lへ流れる。また、冷媒入口11
INより流入した一部の冷媒ガスGは缶胴11の内壁と上段伝熱管群14Uとの間の隙間を通過し、下段伝熱管群14Lに流入する。また冷媒ガスの一部は缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の広い方の隙間(
図16において右側)を下方に流れる。下段伝熱管群14Lの下方に流れた冷媒ガスの一部は缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の狭い方の隙間(
図16においては左側)に向かって流れる。
一方、下段伝熱管群14Lの最上段の伝熱管列の上方には、バッフル板17が設置されているため、缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の隙間が塞がれ、冷媒ガスがこの隙間から下方へ流れ難く、バッフル板下方付近の伝熱管はまだ充分な凝縮能力がある。ここの伝熱管への冷媒ガス供給は、下段伝熱管群14L内から缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の狭い方の隙間に向かって流れる冷媒ガス、および下段伝熱管群14Lの下方を通過し、更に缶胴11の内壁と下段伝熱管群14Lとの間の狭い方の隙間から流れてきた冷媒ガスにより供給される。このように上方から流れる冷媒ガスGの流れは、バッフル板17により堰き止められ、バッフル板下方付近の伝熱管に向かって伝熱管群内部および伝熱管群下方からの冷媒ガスの流れが形成される。バッフル板下方付近に流れてきた冷媒ガス(冷媒蒸気)は伝熱管表面で凝縮され、冷媒ガス中に混入している不凝縮ガスが滞留しやすい。そのため、バッフル板17の下方には、不凝縮ガスが滞留するため、この滞留した不凝縮ガスを抽気管18によって抽気し、抽気した不凝縮ガスをパージタンクに排出する。
【0045】
以上説明したように、
図3乃至
図16に示す各実施形態においては、冷却水入口付近の温度が一番低く、この近傍の伝熱管群に不凝縮ガスが集まりやすい。そこで、本発明は、以下のように構成している。
1)伝熱管群と缶胴の内壁の間にバッフル板17を設置し、その下に抽気管18を配置する。
2)伝熱管の配置を調整し、冷媒蒸気の流路を作り、蒸気流れが抽気管18の付近に向かって流れるようにする。
3)短管を用いた抽気管は缶胴の両端部に設置されている。また、長手方向に延びる円筒状の管から構成された抽気管は缶胴の長手方向に設置されている。
【0046】
上記1)〜3)の構成を有する本発明によれば、冷却水温度が低い場所は、伝熱管表面で蒸気が凝縮されやすく、冷媒蒸気中に混入している不凝縮ガス(空気など)がこれらの場所に滞留しやすい。凝縮器の中で、バッフル板17の設置や冷媒蒸気流路の形成により、不凝縮ガスの滞留場所を、抽気しやすい側面に形成することで、抽気機構の構成が簡単になる。
【0047】
図17(a)〜(d)は、冷媒入口11
INが缶胴11の側面に配置されている実施形態を示す図であり、凝縮器2の側断面図である。
図17(a)〜(d)に示す実施形態においては、伝熱管群14は上段伝熱管群14Uと下段伝熱管群14Lとからなり、冷媒入口11
INは缶胴11の側面(側部)に設けている。冷媒入口11
INから遠い位置で且つ缶胴11の内部の上下端付近に上下一対のバッフル板17,17を設け、上下一対のバッフル板17,17の近傍に抽気管18,18を設けている。すなわち、各抽気管18は、冷媒ガス(冷媒蒸気)の流れ方向において、バッフル板17の下流側に設置されている。バッフル板17と抽気管18は上下一対でもよいが、1パス目側の片方でも効果が発揮できる。
【0048】
図17(a)〜(d)に示す実施形態においては、伝熱管13の配置を調整し、冷媒蒸気流路21を作り、冷媒蒸気が抽気管18の付近に向かって流れるようにしている。冷媒蒸気流路21は、水平方向に1個(
図17(a))、水平方向に複数個(
図17(b))、水平方向に1個,斜め方向に複数個(
図17(c),(d))など、各種の形態が考えられる。冷媒流路の形成により、冷媒蒸気を伝熱管群内部へ供給すると共に、伝熱管群内部に滞留しがちの不凝縮ガスを蒸気の流れにより意図的に抽気しやすい場所へ集めるようにする。このような構成により、以下の二つの効果を奏する。
(1)伝熱管群内部まで冷媒蒸気を供給でき、各伝熱管の性能が十分発揮できる。
(2)不凝縮ガスが意図的に設けた抽気場所付近に流れ、抽気しやすくなる。
このように、凝縮器の中で、バッフル板17の設置や冷媒蒸気流路21の形成により、不凝縮ガスの滞留場所を、抽気しやすい缶胴11の側面(側部)に形成することで、抽気管18により不凝縮ガスを容易に抽気することができる。
【0049】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。