(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670198
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】地下構造物およびその構築方法
(51)【国際特許分類】
E02D 29/05 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
E02D29/05 B
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-148602(P2016-148602)
(22)【出願日】2016年7月28日
(65)【公開番号】特開2018-17042(P2018-17042A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】鎌崎 祐治
【審査官】
佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−156033(JP,A)
【文献】
特開平11−324557(JP,A)
【文献】
特開平04−136322(JP,A)
【文献】
特開平08−338196(JP,A)
【文献】
特開平09−324431(JP,A)
【文献】
特開平11−021917(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0197909(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/00
E02D 29/045−29/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎地盤に掘られた掘削穴内に構築される地下構造物において、
前記掘削穴内に前記掘削穴に沿って設置されたライナープレートと、前記ライナープレートの内側に設置された複数本の縦梁と、前記掘削穴の底部に前記縦梁の下部を埋め込んで打設されたコンクリートにより構築された基礎と、対向する前記縦梁の上部間を連結する複数本の連結梁と、前記ライナープレートの内側に前記縦梁を埋め込んで打設されたコンクリートにより構築された内壁とを備えたことを特徴とする地下構造物。
【請求項2】
前記ライナープレートの上部と前記掘削穴との間には、裏込め材としてのコンクリートが打設されていることを特徴とする、請求項1に記載の地下構造物。
【請求項3】
前記ライナープレートと前記掘削穴との間には、裏込め材としてのコンクリートが打設されていることを特徴とする、請求項1に記載の地下構造物。
【請求項4】
前記基礎上にコンクリートを打設することにより底壁が構築されていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の地下構造物。
【請求項5】
前記ライナープレート、前記縦梁、前記内壁および前記基礎には、止水シートが敷設されていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の地下構造物。
【請求項6】
前記連結梁の上部には、天井材が設置されていることを特徴とする、請求項1から5の何れか1つに記載の地下構造物。
【請求項7】
前記天井材は、デッキプレートからなっていることを特徴とする、請求項6に記載の地下構造物。
【請求項8】
下記工程(a)から(h)、
(a)基礎地盤に掘削穴を掘る。
(b)掘削穴の壁内に沿ってライナープレートを設置する。
(c)前記ライナープレートの内側に支保材としての縦梁を設置する。
(d)対向する前記縦梁間に支保材としての切梁を設置する。
(e)前記(a)から(d)工程を繰り返し行って、前記ライナープレートを上下に複数段、前記掘削穴内に構築した後、互いに連結された前記縦梁の上部間を連結梁により連結する。
(f)前記掘削穴の底部に、前記縦梁の下部が埋め込まれるようにコンクリートを打設して基礎を構築する。
(g)前記切梁を撤去する。
(h)前記ライナープレートの内側に前記縦梁が埋め込まれるようにコンクリートを打設して内壁を構築する。
を含むことを特徴とする、地下構造物の構築方法。
【請求項9】
上段の前記ライナープレートと前記掘削穴との間に、裏込め材としてのコンクリートを打設する工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の、地下構造物の構築方法。
【請求項10】
前記ライナープレートと前記掘削穴との間に裏込め材としてのコンクリートを打設する工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の、地下構造物の構築方法。
【請求項11】
前記基礎上にコンクリートを打設して底壁を構築する工程を含むことを特徴とする、請求項8から10の何れか1つに記載の、地下構造物の構築方法。
【請求項12】
前記ライナープレート、前記縦梁、前記内壁および前記基礎に止水シートを敷設する工程を含むことを特徴とする、請求項8から11の何れか1つに記載の、地下構造物の構築方法。
【請求項13】
前記連結梁の上部に天井材を設置する工程を含むことを特徴とする、請求項8から12の何れか1つに記載の、地下構造物の構築方法。
【請求項14】
前記天井材としてデッキプレートを使用することを特徴とする、請求項13に記載の、地下構造物の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地下構造物およびその構築方法、特に、地下構造物を構築する際の支保材の内、縦梁を撤去しないで、地下構造物の構造部材として使用することにより、地下構造物の内壁の壁厚を軽減することができ、この結果、地下構造物のスペースを広くとることができる地下構造物およびその構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、住宅建築物の構築に際して、土地の有効利用や優れた断熱性および防音性の確保を目的として、地下構造物を構築することが行なわれている。
【0003】
従来の、地下構造物の構築方法の一例を、図面を参照しながら説明ずる。以下、この構築方法を従来構築法Aという。
【0004】
図3は、従来構築法Aの工程を示す断面図であり、(a)は、掘削工程図、(b)は、上段ライナープレート設置工程図、(c)は、裏込め材打設工程図、(d)は、上段補強リング設置工程図、(e)は、中段ライナープレート設置工程図、(f)は、中段補強リングと下段ライナープレートおよび下段補強リング設置工程図、(g)は、基礎コンクリート打設工程図、(h)は、内壁配筋施工工程図、(i)は、型枠設置工程図、(j)は、内壁コンクリート打設工程図、(k)は、型枠撤去工程図である。
【0005】
先ず、
図3(a)に示すように、基礎地盤31に矩形状の掘削穴32を掘る。次に、同図(b)に示すように、掘削穴32の内壁に沿って上段ライナープレート33aを設置する。なお、ライナープレートとは、鋼板を縦方向の断面が波形形状になるように加工したものである。次に、同図(c)に示すように、掘削穴32と上段ライナープレート33aとの間に裏込め材としてのコンクリート34を打設する。
【0006】
次に、
図3(d)に示すように、基礎地盤31をさらに掘削して、上段ライナープレート33aの下部に上段補強リング35aを設置する。次に、同図(e)に示すように、基礎地盤31をさらに掘削して、上段補強リング35aを介して中段ライナープレート33bを設置する。次に、同図(f)に示すように、基礎地盤31をさらに掘削して、中段ライナープレート33bの下部に中段補強リング35bを設置し、中段ライナープレート33bの下部に中段補強リング35bを介して下段ライナープレート33cを設置し、そして、下段ライナープレート33cの下部に下段補強リング35cを設置する。
【0007】
次に、
図3(g)に示すように、掘削穴32の底部に基礎コンクリート36を打設する。次に、同図(h)に示すように、上段補強リング35a、中段補強リング35bおよび下段補強リング35cの内側に内壁配筋37を施工する。次に、同図(i)に示すように、内壁配筋37の内側に型枠38を設置する。次に、同図(j)に示すように、上段ライナープレート33a、中段ライナープレート33bおよび下段ライナープレート33cと型枠38との間にコンクリートを打設して内壁39を構築する。そして、同図(k)に示すように、コンクリートの硬化後、型枠38を撤去する。
【0008】
以上のようにして、従来構築法Aにより地下構造物Xが構築されるが、上段補強リング35a、中段補強リング35bおよび下段補強リング35cは、上段ライナープレート33a、中段ライナープレート33bおよび下段ライナープレート33cの内側から突出し、これらの内側に内壁39が構築されるので、その分、内壁39の壁厚が厚くなり、この結果、地下構造物Xのスペースが狭くなるといった問題があった。
【0009】
そこで、補強リングを用いずに支保材を用いて地下構造物を構築する構築方法が考えられる。以下、この地下構造物の構築方法を従来構築法Bといい、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図4は、従来構築法Bの工程を示す断面図であり、(a)は、掘削工程図、(b)は、上段ライナープレート設置工程図、(c)は、裏込め材打設工程図、(d)は、上段支保材設置工程図、(e)は、中段ライナープレート設置工程図、(f)は、中段支保材、下段ライナープレートおよび下段支保材設置工程図、(g)は、基礎コンクリート打設工程図、(h)は、内壁配筋施工工程図、(i)は、型枠設置工程図、(j)は、内壁コンクリート打設工程図、(k)は、型枠撤去工程図である。
【0011】
先ず、
図4(a)に示すように、基礎地盤41に矩形状の掘削穴42を掘る。次に、同図(b)に示すように、掘削穴42の内壁に沿って上段ライナープレート43aを設置する。次に、同図(c)に示すように、掘削穴12と上段ライナープレート43aとの間に裏込め材としてのコンクリート44を打設する。
【0012】
次に、
図4(d)に示すように、上段ライナープレート43aの内側に腹起しと切梁からなる上段支保材45aを設置する。次に、同図(e)に示すように、基礎地盤41をさらに掘削して、上段ライナープレート43aの下部に中段ライナープレート43bを設置する。次に、同図(f)に示すように、中段ライナープレート43bの内側に腹起しと切梁からなる中段支保材45bを設置し、基礎地盤41をさらに掘削して、中段ライナープレート43bの下部に下段ライナープレート43cを設置し、そして、下段ライナープレート43cの内側に腹起しと切梁からなる下段支保材45cを設置する。
【0013】
次に、
図4(g)に示すように、掘削穴42の底部に基礎コンクリート46を打設する。次に、同図(h)に示すように、上段ライナープレート43a、中段ライナープレート43bおよび下段ライナープレート43cの内側に内壁配筋47を施工する。次に、同図(i)に示すように、内壁配筋47の内側に型枠48を設置する。次に、同図(j)に示すように、上段ライナープレート43a、中段ライナープレート43bおよび下段ライナープレート43cと型枠48との間にコンクリートを打設して内壁49を構築する。そして、同図(k)に示すように、コンクリート硬化後、型枠48を撤去する。
【0014】
以上のようにして、従来構築法Bにより地下構造物Yが構築される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2012−180644号公報
【特許文献2】特開2012−180647号公報
【特許文献3】特開2013−204396号公報
【特許文献4】特開2015−190220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のようにして、従来構築法Bによれば、補強リングを用いないので、内壁49の壁厚が厚くなることにより、地下構造物Yのスペースが狭くなるといった問題は解決されるが、内壁配筋47の施工時に、上段、中段および下段支保材45a、45bおよび45cが干渉して、配筋が行なえない。
【0017】
また、型枠48の設置時にも、上段、中段および下段支保材45a、45bおよび45cが干渉する。
【0018】
さらに、内壁49の構築時におけるコンクリートの打設後に、上段、中段および下段支保材45a、45bおよび45cを撤去することができないといった問題がある。
【0019】
上述した従来構築法A、B以外に、特許文献1から4には、ライナープレートを使用した地下構造物が開示されているが、何れの構築法も、この発明のように、地下構造物を構築する際に用いる支保材の内、縦梁を撤去しないで、地下構造物の構造部材として使用することにより、地下構造物の壁厚を軽減することができるといった地下構造物の構築方法ではない。
【0020】
従って、この発明の目的は、地下構造物を構築する際の支保材の内、縦梁を撤去しないで、地下構造物の構造部材として使用することにより、地下構造物の内壁の壁厚を軽減することができ、この結果、地下構造物のスペースを広くとることができる地下構造物およびその構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とする。
【0022】
請求項1記載の発明は、基礎地盤に掘られた掘削穴内に構築される地下構造物において、前記掘削穴内に前記掘削穴の内壁に沿って設置されたライナープレートと、前記ライナープレートの内側に設置された複数本の縦梁と、前記掘削穴の底部に前記縦梁の下部を埋め込んで打設されたコンクリートにより構築された基礎と、対向する前記縦梁の上部間を連結する複数本の連結梁と、前記ライナープレートの内側に前記縦梁を埋め込んで打設されたコンクリートにより構築された内壁とを備えたことに特徴を有するものである。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ライナープレートの上部と前記掘削穴との間には、裏込め材としてのコンクリートが打設されていることに特徴を有するものである。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ライナープレートと前記掘削穴との間には、裏込め材としてのコンクリートが打設されていることに特徴を有するものである。
【0025】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、前記基礎上にコンクリートを打設することにより底壁が構築されていることに特徴を有するものである。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記ライナープレート、前記縦梁、前記内壁および前記基礎には、止水シートが敷設されていることに特徴を有するものである。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか1つに記載の発明において、前記連結梁の上部には、天井材が設置されていることに特徴を有するものである。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記天井材は、デッキプレートからなっていることに特徴を有するものである。
【0029】
請求項8に記載の発明は、下記工程(a)から(h)、
(a)基礎地盤に掘削穴を掘る。
(b)掘削穴の内壁に沿ってライナープレートを設置する。
(c)前記ライナープレートの内側に支保材としての縦梁を設置する。
(d)対向する前記縦梁間に支保材としての切梁を設置する。
(e)前記(a)から(d)工程を繰り返し行って、前記ライナープレートを上下に複数段、前記掘削穴内に構築した後、互いに連結された前記縦梁の上部間を連結梁により連結する。
(f)前記掘削穴の底部に、前記縦梁の下部が埋め込まれるようにコンクリートを打設して基礎を構築する。
(g)前記切梁を撤去する。
(h)前記ライナープレートの内側に前記縦梁が埋め込まれるようにコンクリートを打設して内壁を構築する。
を含むことに特徴を有するものである。
【0030】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、上段の前記ライナープレートと前記掘削穴との間に、裏込め材としてのコンクリートを打設する工程を含むことに特徴を有するものである。
【0031】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記ライナープレートと前記掘削穴との間に裏込め材としてのコンクリートを打設する工程を含むことに特徴を有するものである。
【0032】
請求項11に記載の発明は、請求項8から10の何れか1つに記載の発明において、前記基礎上にコンクリートを打設して底壁を構築する工程を含むことに特徴を有するものである。
【0033】
請求項12に記載の発明は、請求項8から11の何れか1つに記載の発明において、前記ライナープレート、前記縦梁、前記内壁および前記基礎に止水シートを敷設する工程を含むことに特徴を有するものである。
【0034】
請求項13に記載の発明は、請求項8から12の何れか1つに記載の発明において、前記連結梁の上部に天井材を設置する工程を含むことに特徴を有するものである。
【0035】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、前記天井材としてデッキプレートを使用することに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0036】
この発明によれば、地下構造物を構築する際の支保材の内、縦梁を撤去しないで、地下構造物の構造部材として使用することにより、地下構造物の内壁の壁厚を軽減することができる。この結果、地下構造物のスペースを広くとることができる。
【0037】
また、この発明によれば、縦梁の下部を基礎に埋め込むことにより基礎に固定し、縦梁の上部間を連結梁により連結して、縦梁を門型に固定することにより、支保材としての切梁の撤去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2(a-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の掘削工程を示す断面図である。
【
図2(a-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の掘削工程を示す平面図である。
【
図2(b-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の上段ライナープレート設置工程を示す断面図である。
【
図2(b-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の上段ライナープレート設置工程を示す平面図である。
【
図2(c-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の縦梁設置工程を示す断面図である。
【
図2(c-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の縦梁設置工程を示す平面図である。
【
図2(d-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の腹起し設置工程を示す断面図である。
【
図2(d-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の腹起し設置工程を示す平面図である。
【
図2(e-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の切梁設置工程を示す断面図である。
【
図2(e-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の切梁設置工程を示す平面図である。
【
図2(f-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の裏込め材打設工程を示す断面図である。
【
図2(f-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の裏込め材打設工程を示す平面図である。
【
図2(g-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の中段ライナープレート設置工程を示す断面図である。
【
図2(g-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の中段ライナープレート設置工程を示す平面図である。
【
図2(h-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の中段ライナープレートへの縦梁と切梁の設置工程を示す断面図である。
【
図2(h-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の中段ライナープレートへの縦梁と切梁の設置工程を示す平面図である。
【
図2(i-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の下段ライナープレート設置工程を示す断面図である。
【
図2(i-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の下段ライナープレート設置工程を示す平面図である。
【
図2(j-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の下段ライナープレートへの縦梁と切梁の設置工程を示す断面図である。
【
図2(j-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の下段ライナープレートへの縦梁と切梁の設置工程を示す平面図である。
【
図2(k-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の連結梁設置工程を示す断面図である。
【
図2(k-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の連結梁設置工程を示す平面図である。
【
図2(l-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の基礎コンクリート打設工程を示す断面図である。
【
図2(l-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の基礎コンクリート打設工程を示す平面図である。
【
図2(m-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の裏込め材打設工程を示す断面図である。
【
図2(m-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の裏込め材打設工程を示す平面図である。
【
図2(n-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の腹起しおよび切梁の撤去工程を示す断面図である。
【
図2(n-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の腹起しおよび切梁の撤去工程を示す平面図である。
【
図2(o-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の止水シート敷設工程を示す断面図である。
【
図2(o-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の止水シート敷設工程を示す平面図である。
【
図2(p-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の床配筋の設置工程を示す断面図である。
【
図2(p-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の床配筋の設置工程を示す平面図である。
【
図2(q-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の底壁コンクリート打設工程を示す断面図である。
【
図2(q-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の底壁コンクリート打設工程を示す平面図である。
【
図2(r-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の内壁配筋と型枠の設置工程を示す断面図である。
【
図2(r-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の内壁配筋と型枠の設置工程を示す平面図である。
【
図2(s-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の内壁コンクリート打設工程を示す断面図である。
【
図2(s-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の内壁コンクリート打設工程を示す平面図である。
【
図2(t-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の型枠撤去工程を示す断面図である。
【
図2(t-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の型枠撤去工程を示す平面図である。
【
図2(u-1)】この発明の、地下構造物の構築方法のデッキプレート設置工程を示す断面図である。
【
図2(u-2)】この発明の、地下構造物の構築方法のデッキプレート設置工程を示す平面図である。
【
図2(v-1)】この発明の、地下構造物の構築方法の天井コンクリート打設工程を示す断面図である。
【
図2(v-2)】この発明の、地下構造物の構築方法の天井コンクリート打設工程を示す平面図である。
【
図2(w-1)】この発明の、地下構造物の内装材設置工程を示す断面図である。
【
図2(w-2)】この発明の、地下構造物の内装材設置工程を示す平面図である。
【
図3(a)】従来構築法Aの掘削工程を示す断面図である。
【
図3(b)】従来構築法Aの上段ライナープレート設置工程を示す断面図である。
【
図3(c)】従来構築法Aの裏込め材打設工程を示す断面図である。
【
図3(d)】従来構築法Aの上段補強リング設置工程を示す断面図である。
【
図3(e)】従来構築法Aの中段ライナープレート設置工程を示す断面図である。
【
図3(f)】従来構築法Aの中段補強リングと下段ライナープレートおよび下段補強リング設置工程を示す断面図である。
【
図3(g)】従来構築法Aの基礎コンクリート打設工程を示す断面図である。
【
図3(h)】従来構築法Aの内壁配筋施工工程を示す断面図である。
【
図3(i)】従来構築法Aの型枠設置工程を示す断面図である。
【
図3(j)】従来構築法Aの内壁コンクリート打設工程を示す断面図である。
【
図3(k)】従来構築法Aの型枠撤去工程を示す断面図である。
【
図4(a)】従来構築法Bの掘削工程を示す断面図である。
【
図4(b)】従来構築法Bの上段ライナープレート設置工程を示す断面図である。
【
図4(c)】従来構築法Bの裏込め材打設工程を示す断面図である。
【
図4(d)】従来構築法Bの上段支保材設置工程を示す断面図である。
【
図4(e)】従来構築法Bの中段ライナープレート設置工程を示す断面図である。
【
図4(f)】従来構築法Bの中段支保材、下段ライナープレートおよび下段支保材設置工程を示す断面図である。
【
図4(g)】従来構築法Bの基礎コンクリート打設工程を示す断面図である。
【
図4(h)】従来構築法Bの内壁配筋施工工程を示す断面図である。
【
図4(i)】従来構築法Bの型枠設置工程を示す断面図である。
【
図4(j)】従来構築法Bの内壁コンクリート打設工程を示す断面図である。
【
図4(k)】従来構築法Bの型枠撤去工程図を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
この発明の地下構造物の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1は、この発明の地下構造物Zを示す断面図である。
【0041】
図1において、1は、基礎地盤2に掘られた、例えば、直方体形状をなす掘削穴、3は、掘削穴1の内壁に沿って設置されたライナープレートであり、上段ライナープレート3a、中段ライナープレート3b、下段ライナープレート3cからなっている。4は、上段ライナープレート3aと掘削穴1との間に打設された裏込め材としてのコンクリート、5は、中段ライナープレート3bおよび下段ライナープレート3cと掘削穴1との間に打設された裏込め材としてのコンクリート、6は、ライナープレート3の内側に垂直に設置されたH形鋼からなる複数本の縦梁である。縦梁6は、互いに連結された上段縦梁6a、中段縦梁6b、下段縦梁6cからなっている。
【0042】
7は、掘削穴1の底部に構築された基礎である。基礎7は、掘削穴1の底部に打設された基礎コンクリートにより構築され、縦梁6の下部は、基礎7内に埋め込まれている。8は、対向する縦梁6の上部間を連結するH形鋼からなる複数本の連結梁である。このように、縦梁6の下部は、基礎7に固定され、縦梁6の上部は、連結梁8により連結されているので、縦梁6は、門型構造をなしている。9は、ライナープレート3の内側に構築された内壁である。内壁9は、縦梁6を埋め込んで内壁コンクリートを打設することにより構築されている。
【0043】
10は、基礎7上にコンクリートを打設することにより構築された底壁、11は、ライナープレート3、縦梁6、内壁9および基礎7に敷設された止水シート、12は、連結梁8の上部にボルト13により固定された天井材としてのデッキプレートである。デッキプレート12上には、コンクリートが打設され、天井14が構築されている。21は、基礎地盤2上に打設されたコンクリートである。
【0044】
この発明の地下構造物Zは、以上のように構成されている。地下構造物Z内には、後述するように、天井材、壁材、床材等の内装材が施されて地下室等が構築される。
【0045】
この発明によれば、地下構造物Zを構築する際の支保材の内、縦梁6を撤去しないで、地下構造物Zの構造部材として使用することにより、地下構造物Zの内壁9の壁厚を軽減することができる。この結果、地下構造物Zのスペースを広くとることができる。
【0046】
次に、この発明の地下構造物Zの構築方法を、図面を参照しながら説明する。
【0047】
図2は、この発明の、地下構造物の構築方法を示す工程図である。
【0048】
先ず、
図2(a−1)、(a−2)に示すように、基礎地盤2に直方体形状の掘削穴1を掘る。次に、
図2(b−1)、(b−2)に示すように、掘削穴1の内壁に沿って上段ライナープレート3aを設置する。次に、
図2(c−1)、(c−2)に示すように、上段ライナープレート3aの内側に上段縦梁6aを垂直に設置する。次に、
図2(d−1)、(d−2)に示すように、上段縦梁6aの内側に支保材としての腹起し15を設置する。 次に、
図2(e−1)、(e−2)に示すように、対向する腹起し15間に支保材としての切梁16を設置する。次に、
図2(f−1)、(f−2)に示すように、上段ライナープレート3aと掘削穴1との間に、裏込め材としてのコンクリート4を打設する。
【0049】
次に、
図2(g−1)、(g−2)に示すように、基礎地盤2をさらに掘削して、上段ライナープレート3aの下部に中段ライナープレート3bを設置する。次に、
図2(h−1)、(h−2)に示すように、中段ライナープレート3bの内側に中段縦梁6bを垂直に設置し、上段縦梁6aと連結する。そして、中段ライナープレート3bに腹起し15を設置し、腹起し15間に支保材としての切梁16を設置する。
【0050】
次に、
図2(i−1)、(i−2)に示すように、基礎地盤2をさらに掘削して、中段ライナープレート3bの下部に下段ライナープレート3cを設置する。この際、掘削穴1の底部に後述する基礎コンクリート打設用の基礎掘り17を施す。次に、
図2(j−1)、(j−2)に示すように、下段ライナープレート3cの内側に下段縦梁6cを垂直に設置し、中段縦梁6bと連結する。そして、下段ライナープレート3cに腹起し15を設置し、腹起し15間に支保材としての切梁16を設置する。
【0051】
次に、
図2(k−1)、(k−2)に示すように、対向する縦梁6の上部間を連結梁8により連結する。次に、
図2(l−1)、(l−2)に示すように、基礎掘り17内に基礎コンクリートを打設して基礎7を構築する。基礎7内には、縦梁6の下部が埋め込まれるので、縦梁6の下部は、基礎7に固定される。次に、
図2(m−1)、(m−2)に示すように、中段ライナープレート3bおよび下段ライナープレート3cと掘削穴1との間に、裏込め材としてのコンクリート5を打設する。次に、
図2(n−1)、(n−2)に示すように、腹起し15および切梁16を撤去する。縦梁6の下部は、基礎7内に埋め込まれて基礎7に固定され、対向する縦梁6の上部間は、連結梁8により連結されている。このように、縦梁6は、門型構造をなしているので、切梁16を撤去しても強度上の問題は生じない。次に、
図2(o−1)、(o−2)に示すように、ライナープレート3、縦梁6、内壁9および基礎7に止水シート11を敷設する。
【0052】
次に、
図2(p−1)、(p−2)に示すように、基礎7上に床配筋18を施工する。次に、
図2(q−1)、(q−2)に示すように、基礎7上にコンクリートを打設して底壁10を構築する。次に、
図2(r−1)、(r−2)に示すように、ライナープレート3の内側に内壁配筋19と型枠20を施工する。次に、
図2(s−1)、(s−2)に示すように、型枠20内にコンクリートを打設して内壁9を構築する。次に、
図2(t−1)、(t−2)に示すように、型枠20を撤去する。
【0053】
このように、地下構造物Zを構築する際の支保材の内、腹起し15および切梁16は、撤去するが、縦梁6を撤去しないで、地下構造物Zの構造部材として使用することにより、地下構造物Zの内壁9の壁厚を軽減することができる。この結果、この結果、地下構造物Zのスペースを広くとることができる。
【0054】
次に、
図2(u−1)、(u−2)に示すように、基礎地盤2上にコンクリート21を打設し、連結梁8の上部に天井材としてのデッキプレート12を設置し、ボルト13により連結梁8に固定する。なお、デッキプレート12には、後述する階段用23の開口22を形成する。次に、
図2(v−1)、(v−2)に示すように、デッキプレート12上に天井コンクリートを打設して天井14を構築する。
【0055】
このようにして、この発明の地下構造物Zを構築することができる。この後、
図2(w−1)、(w−2)に示すように、開口22に地下に続く階段23を構築し、地下構造物Z内に、天井材24、壁材25、床材26等の内装材を施せば、地下室等を構築することができる。
【0056】
以上の例は、ライナープレート3を3段で構成したものであるが、3段に限定されないことはいうまでもない。
【0057】
上述したように、この発明によれば、地下構造物Zを構築する際の支保材の内、縦梁6を撤去しないで、地下構造物Zの構造部材として使用することにより、地下構造物Zの内壁9の壁厚を軽減することができる。この結果、地下構造物Zのスペースを広くとることができる。
【0058】
また、この発明によれば、縦梁6の下部を基礎7に埋め込むことにより基礎7に固定し、縦梁6の上部間を連結梁8により連結して、縦梁6を門型構造にすることにより、支保材としての切梁16の撤去が可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1:掘削穴
2:基礎地盤
3:ライナープレート
3a:上段ライナープレート
3b:中段ライナープレート
3c:下段ライナープレート
4:コンクリート
5:コンクリート
6:縦梁
6a:上段縦梁
6b:中段縦梁
6c:下段縦梁
7:基礎
8:連結梁
9:内壁
10:底壁
11:止水シート
12:デッキプレート
13:ボルト
14:天井
15:腹起し
16:切梁
17:基礎掘り
18:床配筋
19:内壁配筋
20:型枠
21:コンクリート
22:開口
23:階段
24:天井材
25:壁材
26:床材
31:基礎地盤
32:掘削穴
33a:上段ライナープレート
33b:中段ライナープレート
33c:下段ライナープレート
34:コンクリート
35a:上段補強リング
35b:中段補強リング
35c:下段補強リング
36:基礎コンクリート
37:内壁配筋
38:型枠
39:内壁
41:基礎地盤
42:掘削穴
43a:上段ライナープレート
43b:中段ライナープレート
43c:下段ライナープレート
44:コンクリート
45a:上段支保材
45b:中段支保材
45c:下段支保材
46:基礎コンクリート
47:内壁配筋
48:型枠
49:内壁