(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670206
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】超純水製造装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20060101AFI20200309BHJP
B01D 61/18 20060101ALI20200309BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20200309BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20200309BHJP
B01D 69/08 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
C02F1/44 J
B01D61/18
B01D61/58
B01D63/02
B01D69/08
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-163519(P2016-163519)
(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公開番号】特開2018-30087(P2018-30087A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】市原 史貴
(72)【発明者】
【氏名】菅原 広
【審査官】
菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−200696(JP,A)
【文献】
特開平11−179164(JP,A)
【文献】
特開平06−319959(JP,A)
【文献】
特開2016−064342(JP,A)
【文献】
特開昭61−200811(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/050125(WO,A1)
【文献】
特開2016−155052(JP,A)
【文献】
特開昭59−183807(JP,A)
【文献】
特開2015−039677(JP,A)
【文献】
特開2007−152265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/18
B01D 61/58
B01D 63/02
B01D 69/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
限外ろ過膜装置を備えた超純水製造装置であって、
前記限外ろ過膜装置が、直列に接続された複数の限外ろ過膜を有し、
前記複数の限外ろ過膜が、第1の限外ろ過膜と、前記複数の限外ろ過膜のうち最も下流側に位置する第2の限外ろ過膜とを含み、
前記第2の限外ろ過膜の透過流束が、前記第1の限外ろ過膜の透過流束よりも大きい、超純水製造装置。
【請求項2】
限外ろ過膜装置を備えた超純水製造装置であって、
前記限外ろ過膜装置が、直列に接続された複数の限外ろ過膜を有し、
前記複数の限外ろ過膜が、第1の限外ろ過膜と、前記複数の限外ろ過膜のうち最も下流側に位置する第2の限外ろ過膜とを含み、
前記第2の限外ろ過膜の分画分子量が、前記第1の限外ろ過膜の分画分子量よりも大きい、超純水製造装置。
【請求項3】
前記複数の限外ろ過膜が、それぞれ中空糸膜である、請求項1または2に記載の超純水製造装置。
【請求項4】
限外ろ過膜装置を備えた超純水製造装置であって、
前記限外ろ過膜装置が、直列に接続された複数の限外ろ過膜モジュールを有し、
前記複数の限外ろ過膜モジュールが、第1の限外ろ過膜モジュールと、前記複数の限外ろ過膜モジュールのうち最も下流側に位置する第2の限外ろ過膜モジュールとを含み、
前記第2の限外ろ過膜モジュールの単位圧力当たりの透過流量が、前記第1の限外ろ過膜モジュールの単位圧力当たりの透過流量よりも大きい、超純水製造装置。
【請求項5】
前記複数の限外ろ過膜モジュールが、それぞれ中空糸膜モジュールである、請求項4に記載の超純水製造装置。
【請求項6】
前記第2の限外ろ過膜モジュールが、内圧型の中空糸膜モジュールである、請求項5に記載の超純水製造装置。
【請求項7】
前記第2の限外ろ過膜モジュールが、デッドエンド方式の中空糸膜モジュールである、請求項5に記載の超純水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶デバイスの製造プロセスでは、洗浄工程など様々な用途に、不純物が高度に除去された超純水が使用されている。超純水は、一般に、原水(河川水、地下水、工業用水など)を、前処理システム、一次純水システム、および二次純水システム(サブシステム)で順次処理することにより製造されている。
【0003】
多くのサブシステムでは、その最後段に、超純水に含まれる微粒子を除去するために、限外ろ過膜装置などの膜分離装置が設けられている。超純水に含まれる微粒子は、デバイスの歩留まりを低下させる直接の原因となるため、そのサイズ(粒径)および個数(濃度)が厳しく管理されている。そのため、超純水中の微粒子数を低減するために、複数の膜分離装置が直列に接続された構成が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−283710号公報
【特許文献2】特開2003−190951号公報
【特許文献3】特開平10−216721号公報
【特許文献4】特開平4−338221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の半導体デバイスの急速な高集積化・微細化に伴い、管理すべき微粒子のサイズおよび個数の要求はますます高まっている。例えば、国際半導体技術ロードマップ(ITRS)によれば、超純水に含まれる微粒子として、粒径が10nm以上の微粒子を1個/ml以下に管理することが求められている。しかしながら、特許文献1〜4に記載の構成では、このような要求を満足し得る処理水質が得られていないのが実情である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、微粒子数が十分に低減された超純水を製造する超純水製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の超純水製造装置は、限外ろ過膜装置を備えている。一態様では、限外ろ過膜装置が、直列に接続された複数の限外ろ過膜を有し、複数の限外ろ過膜が、第1の限外ろ過膜と、複数の限外ろ過膜のうち最も下流側に位置
する第2の限外ろ過膜とを含
み、第2の限外ろ過膜の透過流束が、第1の限外ろ過膜の透過流束よりも大きく、他の態様では、第2の限外ろ過膜の分画分子量が、第1の限外ろ過膜の分画分子量よりも大きい。
さらに別の態様では、限外ろ過膜装置が、直列に接続された複数の限外ろ過膜モジュールを有し、複数の限外ろ過膜モジュールが、第1の限外ろ過膜モジュールと、複数の限外ろ過膜モジュールのうち最も下流側に位置
する第2の限外ろ過膜モジュールとを含
み、第2の限外ろ過膜モジュールの単位圧力当たりの透過流量が、第1の限外ろ過膜モジュールの単位圧力当たりの透過流量よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、微粒子数が十分に低減された超純水を製造する超純水製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示すUF膜装置の2つのUF膜モジュールにそれぞれ同等のろ過性能のUF膜が充填されている場合の、第2のUF膜モジュールの透過水に含まれる微粒子のSEM写真である。
【
図3】本実施形態のUF膜装置の変形例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。なお、図示した超純水製造装置の構成は、単なる一例であり、本発明を制限するものではない。
【0012】
超純水製造装置1は、一次純水タンク2と、ポンプ3と、熱交換器4と、紫外線酸化装置5と、非再生型混床式イオン交換装置(カートリッジポリッシャー)6と、限外ろ過(UF)膜装置10とを有している。これらは、二次純水システム(サブシステム)を構成し、一次純水システム(図示せず)で製造された一次純水を順次処理して超純水を製造し、その超純水をユースポイント7に供給するものである。
【0013】
一次純水タンク2に貯留された被処理水(一次純水)は、ポンプ3により送出され、熱交換器4に供給される。熱交換器4を通過して温度調節された被処理水は、紫外線酸化装置5に供給されて紫外線を照射され、被処理水中の全有機炭素(TOC)が分解される。その後、被処理水は、カートリッジポリッシャー6においてイオン交換処理により金属などが除去され、UF膜装置10において微粒子が除去される。こうして得られた超純水は、一部がユースポイント7に供給され、残りが一次純水タンク2に返送するようになっている。一次純水タンク2には、必要に応じて、一次純水システム(図示せず)から一次純水が供給される。
【0014】
一次純水タンク2、ポンプ3、熱交換器4、紫外線酸化装置5、およびカートリッジポリッシャー6としては、超純水製造装置のサブシステムにおいて一般的に用いられているものを使用することができる。そのため、これらの詳細な構成の説明は省略し、以下では、UF膜装置10の詳細な構成について説明する。
【0015】
UF膜装置10は、直列に接続された2つのUF膜モジュール11,12を有している。各UF膜モジュール11,12は、円筒状のケーシング内に多数の中空糸状のUF膜(以下、単に「中空糸膜」ともいう)が束ねられて充填された中空糸膜モジュールであり、中空糸膜の外側から被処理水を供給して内側から透過水を取り出す外圧型のものである。また、各UF膜モジュール11,12は、ろ過方法として、被処理水を中空糸膜の膜面に平行に供給し、膜を透過しない被処理水の一部を濃縮水として排出するクロスフロー方式を採用したものである。
【0016】
第1のUF膜モジュール11と第2のUF膜モジュール12には、それぞれろ過性能が異なるUF膜が充填されている。例えば、第2のUF膜モジュール12に充填されたUF膜(第2のUF膜)は、第1のUF膜モジュール11に充填されたUF膜(第1のUF膜)よりも、透過流束(単位膜面積および単位圧力当たりの透過流量)が大きく、水が通りやすい膜である。また、第2のUF膜モジュール12に充填されたUF膜は、第1のUF膜モジュールに充填されたUF膜よりも分画分子量が大きく、ルーズな膜である。第2のUF膜モジュール12において、UF膜の透過流束がより大きいこと、分画分子量がより大きいことによる効果については後述する。
【0017】
第1のUF膜モジュール11としては、除去対象となる微粒子のサイズ(粒径)に合わせて適切なものを適宜選択することができ、その構成に特に制限はない。本実施形態では、分画分子量が4000〜6000のUF膜が充填されたものが好適に用いられ、これにより、粒径が10nm以上の微粒子(以下、「対象微粒子」という)を除去することも可能になる。充填されるUF膜の材料も、特に制限はないが、後述するように、膜自体からの溶出が少ないものが好ましく、ポリスルフォンが好適である。このような第1のUF膜モジュール11としては、例えば、旭化成株式会社製(品番:OLT−6036H)や日東電工株式会社製(品番:NTU−3306−K6R)のUF膜モジュールが挙げられる。これらは、いずれも分画分子量が6000のポリスルフォン製の中空糸膜が充填されたものである。なお、第1のUF膜モジュール11の回収率は、できるだけ高いことが好ましいが、膜面への微粒子の堆積を考慮すると、95%程度となるように設定されていることが好ましい。
【0018】
一方、第2のUF膜モジュール12についても、第1のUF膜モジュール11に充填されたUF膜よりも透過流束が大きい、あるいは分画分子量が大きいUF膜が充填されていればよく、その構成に特に制限はない。充填されるUF膜として、例えば、分画分子量が100000〜400000のUF膜を用いることができ、その材料は、第1のUF膜モジュール11と同様に、ポリスルフォンが好適である。このような第2のUF膜モジュール12としては、例えば、旭化成株式会社製(品番:FGT−6016H)のUF膜モジュールが挙げられる。これは、分画分子量が100000のポリスルフォン製の中空糸膜が充填されたものである。なお、第1のUF膜モジュール11が、分画分子量が4000のUF膜が充填されたものである場合、第2のUF膜モジュール12としては、分画分子量が6000のUF膜が充填された、上述した旭化成株式会社製や日東電工株式会社製のUF膜モジュールを用いることができる。
【0019】
なお、第2のUF膜モジュール12では、被処理水として、微粒子が十分に除去された第1のUF膜モジュール11の処理水(透過水)が供給されるため、第1のUF膜モジュール11の場合と比べて、処理負荷が小さく、膜面への微粒子の堆積による目詰まりの心配が少ない。そのため、第2のUF膜モジュール12の回収率は、できるだけ高いことが好ましく、例えば95%以上であってもよい。
【0020】
ところで、UF膜の孔径は完全に均一ではなく、分画分子量に相当する孔径の前後で幅があり、そのため、UF膜で除去できる微粒子の粒径にも幅があることが知られている。例えば、分画分子量に対応する孔径よりも大きい粒径の微粒子であっても、阻止率は必ずしも100%ではない。したがって、複数のUF膜モジュールを直列に接続する場合、それぞれ同じろ過性能のUF膜が充填されていても、単一のUF膜モジュールの場合に比べて、良好な処理水質(微粒子数)が得られることが期待される。
【0021】
しかしながら、本実施形態では、上述したように、2つのUF膜モジュール11,12にそれぞれ同じろ過性能のUF膜が充填されているのではなく、下流側の第2のUF膜モジュール12に、第1のUF膜とはろ過性能が異なるUF膜、例えば、透過流束あるいは分画分子量がより大きいUF膜が充填されている。これは、所望の処理水質を得るためには、直列に接続された複数のUF膜モジュールのうち最も下流側に位置するUF膜モジュール自体から発生する微粒子(モジュール由来の微粒子)を考慮する必要がある、という知見に基づくものである。以下、この知見を得るに至った実験結果について説明する。
【0022】
本発明者らは、
図1に示す超純水製造装置を用いて、超純水の製造を行い、処理水質を測定した。具体的には、UF膜装置の各UF膜モジュールの処理水(透過水)に含まれる対象微粒子(粒径が10nm以上の微粒子)の個数(濃度)を測定した。
【0023】
第1および第2のUF膜モジュールとして、いずれも分画分子量が6000のポリスルフォン製のUF膜が充填されたUF膜モジュールを用い、このようなUF膜モジュールとして、A社製とB社製の2種類のUF膜モジュールを用意した。各UF膜モジュールの透過流量は15m
3/hとした。
【0024】
また、透過水中の微粒子数は、以下に示す直接検鏡法(SEM法)で算出した。すなわち、ろ過膜を有する微粒子捕捉装置に各UF膜モジュールの透過水を通水して微粒子を捕捉し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、ろ過膜に捕捉した微粒子の数や粒径を観察し、対象微粒子の個数(濃度)を算出した。
【0025】
表1に、2種類のUF膜モジュールに対する透過水中の微粒子数の測定結果を示す。
【0027】
表1から明らかなように、第2のUF膜モジュールの透過水中の対象微粒子数が、A社製とB社製の場合の両方で、第1のUF膜モジュールのそれとそれほど大きな差はないことが確認された。これは、上述した原理から期待されるほど良好な処理水質が得られていないことを示している。
【0028】
これに関し、
図2に、第2のUF膜モジュールの透過水に含まれる微粒子のSEM写真の一例を示す。
【0029】
図2から、第2のUF膜モジュールの透過水には、各UF膜モジュールのUF膜の分画分子量に対応するサイズよりもかなり大きい、粒径が100nm以上の微粒子が含まれることが確認された。被処理水に含まれる対象微粒子(例えば、100〜1000個/ml)は、そのほとんどが第1のUF膜モジュールで除去されることから、第2のUF膜モジュールの透過水中の粒径100nm以上の微粒子は、被処理水に元々含まれていたものであるとは考えにくく、UF膜モジュール自体から発生したものである可能性が高いと考えられる。実際のところ、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて第1のUF膜モジュールの透過水に含まれる一部の微粒子について組成分析を行ったところ、粒径が100nm以上の微粒子の多くが、UF膜(ポリスルフォン)の構成元素である炭素や硫黄を含む有機化合物であることが確認されている。なお、第1のUF膜モジュールから発生していると考えられる微粒子は、第2のUF膜モジュールで除去されていると考えられる。
【0030】
以上を踏まえると、所望の処理水質、具体的には、上述した直接検鏡法で評価したときに粒径が10nm以上の微粒子数が10個/ml未満、好ましくは5個/ml未満、さらに好ましくは1個/ml未満の処理水(超純水)を得るためには、処理水に含まれる微粒子のうちモジュール由来のものを低減することが必要であり、そのためには、直列に接続された複数のUF膜モジュールのうち最も下流側に位置するUF膜モジュールから発生する微粒子を低減することが必要である。なお、この最後段のUF膜モジュールの除粒子性能としては、それより前段のUF膜モジュールから発生する100nm以上の大きな微粒子を除去できる程度であればよい。
【0031】
このような観点から、本実施形態では、上述したように、下流側の第2のUF膜モジュール12に、上流側の第1のUF膜モジュール11に充填されたUF膜よりも透過流束が大きい、特に分画分子量が大きいUF膜が充填されている。第2のUF膜モジュール12は、第1のUF膜モジュール11よりも大きな流量での通水が可能になるため、洗浄時に第2のUF膜モジュール12自体から発生する微粒子を容易に系外に排出することができる。したがって、超純水に含まれる微粒子のうちモジュール由来のものを低減することができる。
【0032】
さらに、第2のUF膜モジュール12に対してより大きな流量での通水が可能になることは、単位圧力当たりの透過流量の増加にもつながる。このため、上述した洗浄効果の向上によって微粒子の絶対的な個数を低減できるだけでなく、透過流量の増加による希釈効果によって透過水(超純水)中の微粒子の相対的な個数、すなわち微粒子濃度を低減することも可能になる。
【0033】
こうして、本実施形態では、超純水中の微粒子数を十分に低減することができ、所望の処理水質を得ることができる。
【0034】
一方で、第2のUF膜モジュール12に対してより大きな流量での通水が可能になることは、洗浄工程の短縮によるコストダウンが見込める点でも有利である。すなわち、UF膜モジュール製造時に微粒子の付着が避けられないため、少なくとも装置立ち上げ時には、所望の処理水質になるまで大量の超純水(または純水)による洗浄が必要になる。しかしながら、本実施形態の第2のUF膜モジュール12によれば、上述した洗浄効果の向上によって、第2のUF膜モジュール12から発生する微粒子を容易に系外に排出することが可能になるため、この洗浄にかかる時間およびコストを大幅に削減することができる。
【0035】
なお、実際の運転方法(第2のUF膜モジュール12への被処理水の供給方法)としては、いくつかの方法が考えられる。例えば、第2のUF膜モジュール12を予め大流量で洗浄し、モジュール由来の微粒子の発生を極力低減した後、より小さい流量で(例えば、第1のUF膜モジュール11と同程度の流量が流れるように)定常運転を行うようになっていてよい。あるいは、
図3に示すように、第1のUF膜モジュール11を並列に複数接続し、それらを第2のUF膜モジュール12に直列に接続することで、複数の第1のUF膜モジュール11からの透過水が第2のUF膜モジュール12に供給されるようになっていてもよい。
外圧型のUF膜モジュールにおいて大流量で長時間の通水を行う場合、水流の衝撃による(中空糸膜の)糸切れの発生やろ過安定性の低下などの不具合が生じるおそれがある。そのため、第2のUF膜モジュール12は、このような不具合の発生を抑制するという観点からは、内圧型の通水方式であってもよい。また、第2のUF膜モジュール12では、上述したように、回収率を高く設定しても、目詰まりの心配が少ないため、ろ過方法として、被処理水の全量をろ過するデッドエンド方式が採用されていてもよい。
【0036】
上述した実施形態では、各UF膜モジュールにそれぞれ分画分子量あるいは透過流束の異なるUF膜を充填して、各UF膜モジュールの単位圧力当たりの透過流量を変えることで、各UF膜モジュールのろ過性能を変えているが、例えば、同じ分画分子量のUF膜をそれぞれ異なる充填率で充填したり、膜の厚さや材質を変えたりして、各UF膜モジュールの単位圧力当たりの透過流量を変えることで、各UF膜モジュールのろ過性能を変えることもできる。
【0037】
また、上述した実施形態では、2つのUF膜モジュールが直列に接続されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上のUF膜モジュールが直列に接続されている場合にも適用可能である。例えば、3つのUF膜モジュールを用いる場合、
図1に示す2つのUF膜モジュールに1つのUF膜モジュールを追加することが考えられる。その場合、第2のUF膜モジュールと同じ、第1のUF膜とはろ過性能の異なるUF膜が充填されたUF膜モジュールを、第1のUF膜モジュールと第2のUF膜モジュールとの間か、第1のUF膜モジュールの上流側に追加することができる。被処理水に含まれる微粒子をより効率的に除去するという観点からは、第2のUF膜モジュールと同じUF膜モジュールを、第1のUF膜モジュールの上流側に追加することが好ましい。さらに、複数のUF膜モジュールの下流側に、中空糸型の精密ろ過膜モジュールが追加されていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 超純水製造装置
2 一次純水タンク
3 ポンプ
4 熱交換器
5 紫外線酸化装置
6 非再生型混床式イオン交換装置(カートリッジポリッシャー)
7 ユースポイント
10 UF膜装置
11 第1のUF膜モジュール
12 第2のUF膜モジュール