特許第6670208号(P6670208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670208
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】スライド弁および冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/065 20060101AFI20200309BHJP
   F16K 27/04 20060101ALI20200309BHJP
   F25B 41/04 20060101ALN20200309BHJP
【FI】
   F16K11/065 Z
   F16K27/04
   !F25B41/04 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-166021(P2016-166021)
(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公開番号】特開2018-31461(P2018-31461A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2018年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 聡
(72)【発明者】
【氏名】上野 知之
(72)【発明者】
【氏名】木村 宏光
(72)【発明者】
【氏名】小泉 怜
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−125238(JP,A)
【文献】 実開平02−005602(JP,U)
【文献】 特開2012−082883(JP,A)
【文献】 特開2012−159100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/24
F16K 31/12−31/165;31/36−31/42
F15B 15/00−15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の弁ハウジング内でピストンにより弁体を移動して、前記弁ハウジングに接続される配管を流れる流体の流れを制御するスライド弁であって、前記弁ハウジングが、円筒形状の円筒部と該円筒部の両端を封止する栓体とで構成され、前記栓体は、前記円筒部の内部に嵌合される嵌合部を有し、前記ピストンを前記栓体側で停止するようにしたスライド弁において、
前記栓体は、全体が板状であるとともに端縁が筒状に屈曲された形状を有することで前記嵌合部が形成されるとともに、前記嵌合部より径方向内側に、前記嵌合部の前記ピストン側の端面と面一であり、かつ、前記嵌合部と一体に形成された幅拡大部が設けられ、
前記嵌合部と前記幅拡大部とを合わせた部分の径方向の厚みが、前記栓体のその他の部分の肉厚よりも厚く、
前記嵌合部の前記ピストン側の端面と、前記幅拡大部の前記ピストン側の端面である拡大ストッパ面と、に前記ピストンのストッパ板を当接させて該ピストンを停止するように構成されていることを特徴とするスライド弁。
【請求項2】
筒状の弁ハウジング内でピストンにより弁体を移動して、前記弁ハウジングに接続される配管を流れる流体の流れを制御するスライド弁であって、前記弁ハウジングが、円筒形状の円筒部と該円筒部の両端を封止する栓体とで構成され、前記栓体は、前記円筒部の内部に嵌合される環状の嵌合部を有し、前記ピストンを前記栓体側で停止するようにしたスライド弁において、
前記栓体の前記嵌合部の径方向内側には、前記嵌合部の前記ピストン側の端面と面一の幅拡大部が設けられ、
前記幅拡大部が、前記栓体の前記嵌合部の内側に嵌め込まれた環状部材で構成され、
前記嵌合部の前記ピストン側の端面と、前記幅拡大部の前記ピストン側の端面である拡大ストッパ面と、に前記ピストンのストッパ板を当接させて該ピストンを停止するように構成されていることを特徴とするスライド弁。
【請求項3】
筒状の弁ハウジング内でピストンにより弁体を移動して、前記弁ハウジングに接続される配管を流れる流体の流れを制御するスライド弁であって、前記弁ハウジングが、円筒形状の円筒部と該円筒部の両端を封止する栓体とで構成され、前記栓体は、前記円筒部の内部に嵌合される環状の嵌合部を有し、前記ピストンを前記栓体側で停止するようにしたスライド弁において、
前記栓体の前記嵌合部の軸方向内側には、前記嵌合部の前記ピストン側の端面に当接するとともに前記嵌合部よりも径方向内側に突出した金属製の環状ストッパ板が設けられ、
前記環状ストッパ板における前記嵌合部よりも径方向内側に突出した部分の前記ピストン側の面によって拡大ストッパ面が構成され、
前記拡大ストッパ面を含む前記環状ストッパ板の前記ピストン側の当接面に、前記ピストンのストッパ板を当接させて該ピストンを停止するように構成されていることを特徴とするスライド弁。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスライド弁を備えたことを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れを制御するスライド弁および冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルシステム等に用いられるスライド弁として、例えば特開2004−125238号公報(特許文献1)及び特開2007−247865号公報(特許文献2)に開示されたものがある。これらのスライド弁は、円筒状の弁ハウジングの内部で、弁座上に弁体を配置するとともにこの弁体を一対のピストンに連結し、ピストンに加わる流体の圧力で弁体をスライドさせるものがある。
【0003】
図8は例えば特許文献1のスライド弁の弁ハウジングの端部の拡大断面図である。このスライド弁は切換弁であり、弁ハウジング9が、円筒部91の端部に栓体92を嵌合することで構成されている。ピストン93は連結板94の端部に取り付けられ、この連結板94で図示しない弁体を保持している。また、ピストン93は、固定円板93aとストッパ板93bとの間にばね93cとパッキン93dを挟持して構成されており、ピストン93はパッキン93dを円筒部91の内周面に押圧しながら弁ハウジング9の軸線L方向に往復移動可能となっている。そして、ピストン93と連結板94(及び弁体)は、ピストン93のストッパ板93bが栓体92の嵌合部92aに当接することにより弁ハウジング9内の端部で停止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−125238号公報
【特許文献2】特開2007−247865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したスライド弁においては、ピストン93のストッパ板93bが栓体92の嵌合部92aに当接するとき、ピストン93が軸線Lを中心として当接すると、ストッパ板93bと嵌合部92aとの接触部分は、図9の格子線で示す部分のようになる。なお、図9及び図10図8のA−A断面図である。しかしながら、ピストン93が軸線Lから偏った場合、ストッパ板93bと嵌合部92aとの接触部分は、例えば図10の格子線で示す部分のようになる。このため、接触部分の最大幅となる部分と最少幅となる部分とで、接触面積の差が大きくなり、ストッパ機能が不安定になる。このため、スライド弁の作動性能にバラツキが生じる。このことは、例えば特許文献2に開示されているような二方開閉弁でも同様である。
【0006】
本発明は、スライド弁において、ピストンに対するストッパ機能を安定させて、作動性能のバラツキを低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のスライド弁は、筒状の弁ハウジング内でピストンにより弁体を移動して、前記弁ハウジングに接続される配管を流れる流体の流れを制御するスライド弁であって、前記弁ハウジングが、円筒形状の円筒部と該円筒部の両端を封止する栓体とで構成され、前記栓体は、前記円筒部の内部に嵌合される嵌合部を有し、前記ピストンを前記栓体側で停止するようにしたスライド弁において、前記栓体は、全体が板状であるとともに端縁が筒状に屈曲された形状を有することで前記嵌合部が形成されるとともに、前記嵌合部より径方向内側に、前記嵌合部の前記ピストン側の端面と面一であり、かつ、前記嵌合部と一体に形成された幅拡大部が設けられ、前記嵌合部と前記幅拡大部とを合わせた部分の径方向の厚みが、前記栓体のその他の部分の肉厚よりも厚く、前記嵌合部の前記ピストン側の端面と、前記幅拡大部の前記ピストン側の端面である拡大ストッパ面と、に前記ピストンのストッパ板を当接させて該ピストンを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2のスライド弁は、筒状の弁ハウジング内でピストンにより弁体を移動して、前記弁ハウジングに接続される配管を流れる流体の流れを制御するスライド弁であって、前記弁ハウジングが、円筒形状の円筒部と該円筒部の両端を封止する栓体とで構成され、前記栓体は、前記円筒部の内部に嵌合される環状の嵌合部を有し、前記ピストンを前記栓体側で停止するようにしたスライド弁において、前記栓体の前記嵌合部の径方向内側には、前記嵌合部の前記ピストン側の端面と面一の幅拡大部が設けられ、前記幅拡大部が、前記栓体の前記嵌合部の内側に嵌め込まれた環状部材で構成され、前記嵌合部の前記ピストン側の端面と、前記幅拡大部の前記ピストン側の端面である拡大ストッパ面と、に前記ピストンのストッパ板を当接させて該ピストンを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3のスライド弁は、筒状の弁ハウジング内でピストンにより弁体を移動して、前記弁ハウジングに接続される配管を流れる流体の流れを制御するスライド弁であって、前記弁ハウジングが、円筒形状の円筒部と該円筒部の両端を封止する栓体とで構成され、前記栓体は、前記円筒部の内部に嵌合される環状の嵌合部を有し、前記ピストンを前記栓体側で停止するようにしたスライド弁において、前記栓体の前記嵌合部の軸方向内側には、前記嵌合部の前記ピストン側の端面に当接するとともに前記嵌合部よりも径方向内側に突出した金属製の環状ストッパ板が設けられ、前記環状ストッパ板における前記嵌合部よりも径方向内側に突出した部分の前記ピストン側の面によって拡大ストッパ面が構成され、前記拡大ストッパ面を含む前記環状ストッパ板の前記ピストン側の当接面に、前記ピストンのストッパ板を当接させて該ピストンを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の冷凍サイクルシステムは、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスライド弁を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ピストンが停止するとき、栓体の嵌合部より内側にある拡大ストッパ面がピストンのストッパ板に当接するので、このストッパ板に対して嵌合部の内側において接触面積が増大する。したがって、ピストンが弁ハウジングの円筒部の中心から偏ったとしても、その偏り方向の端部の接触面積の差が小さくなるので、ストッパ機能が安定し、スライド弁の作動性能のバラツキが低減する。
【0014】
また、栓体の嵌合部のピストン側の端面とその内側の拡大ストッパ面とがピストンのストッパ板に当接するので、ストッパ板に対する接触面積がさらに増大し、偏り方向の端部の接触面積の差がさらに小さくなる。
【0015】
また、拡大ストッパ面を有する幅拡大部が嵌合部と一体に形成されているので、栓体の加工のみで拡大ストッパ面を設けることができるので、弁ハウジングの組み付け作業が容易になる。
【0016】
請求項の発明によれば、栓体の嵌合部の内側に環状部材を嵌め込むだけで拡大ストッパ面を設けることができるので、栓体に対するさらなる加工を必要とせず従来のものを用いることができる。
【0017】
請求項の発明によれば、栓体の嵌合部のピストン側に環状ストッパ板を設けるだけで拡大ストッパ面を構成することができる。
【0018】
請求項の発明によれば、スライド弁における作動性能のバラツキが低減されるので、信頼性の高い冷凍サイクルシステムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態のスライド弁及び冷凍サイクルを示す図である。
図2】第1実施形態のスライド弁における弁ハウジングの端部の拡大断面図である。
図3】第1実施形態のスライド弁におけるピストンが中心にある場合のストッパ板に対する接触部分を示す図である。
図4】第1実施形態のスライド弁におけるピストンが偏った場合のストッパ板に対する接触部分を示す図である。
図5】第2実施形態のスライド弁における弁ハウジングの端部の拡大断面図である。
図6】第3実施形態のスライド弁における弁ハウジングの端部の拡大断面図である。
図7】第4実施形態のスライド弁における弁ハウジングの端部の拡大断面図である。
図8】従来のスライド弁における弁ハウジングの端部の拡大断面図である。
図9】従来のスライド弁におけるピストンが中心にある場合のストッパ板に対する接触部分を示す図である。
図10】従来のスライド弁におけるピストンが偏った場合のストッパ板に対する接触部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態のスライド弁及び冷凍サイクルシステムを示す図、図2は実施形態のスライド弁における弁ハウジングの端部の拡大断面図である。この実施形態に係るスライド弁100は四方切換弁であり、後述のようにパイロット弁200により切り換えられる。スライド弁100は、弁ハウジング10内に、弁座2、一対のピストン3,3、連結板4、弁体5を備えている。
【0021】
弁ハウジング10は筒状であり、円筒形状の円筒部101と2つの栓体1,1とで構成されている。栓体1,1はそれぞれ円筒部101の端部を塞ぐように円筒部101にろう付けや溶接等により取り付けられており、円筒部101及び栓体1,1の中心軸が弁ハウジング10の軸線Lとなっている。この軸線Lは後述のピストン3,3及び弁体5のスライド方向である。円筒部101の側部の一箇所には溶接やろう付け等によりD継手6dが取り付けられており、D継手6dは弁ハウジング10内に導通されている。
【0022】
弁座2には、弁ハウジング10の軸線L方向に一直線上に並んでEポート2a、Sポート2b及びCポート2cが形成されており、これらEポート2a、Sポート2b、Cポート2cには、それぞれE継手6a、S継手6b、C継手6cが取り付けられている。
【0023】
一対のピストン3,3は互いに対向配置され、それぞれが、固定円板31とストッパ板32とにより、ばね33とパッキン34を挟持しており、このピストン3,3はパッキン34を円筒部101の内周面に押圧しながら軸線L方向に往復移動可能となっている。これにより、弁ハウジング10の内部は、2つのピストン3,3により、中央部の主弁室10Aと主弁室10Aの両側の2つの作動室10B,10Bとに仕切られている。
【0024】
連結板4は金属板からなり、この連結板4は、弁ハウジング10の軸線L上に配置されるようにピストン3,3の間に架設されている。また、連結板4には、その中央に弁体5を保持する保持孔4aと、弁体5の両側に位置する透孔4b,4cが形成されている。弁体5は椀部51が保持孔4a内に嵌め込まれて連結板4に保持されている。そして、弁体5は、ピストン3,3が移動すると連結板4に連動して弁座2の弁座面上を軸線L方向(スライド方向)に摺動し、予め定められた左右の位置で停止する。
【0025】
弁体5には椀部51の内側に椀状凹部51Aが形成されている。そして、弁体5は、図1の右側の端部位置において、Sポート2bとCポート2cとを椀状凹部51Aにより導通する。このとき、Eポート2aは主弁室10A内で主に透孔4bを介してD継手6dに導通する。また、弁体5は、図1の左側の端部位置において、Sポート2bとEポート2aとを椀状凹部51Aにより導通する。このとき、Cポート2cは主弁室10A内で主に透孔4cを介してD継手6dに導通する。
【0026】
図1に示す冷凍サイクルシステムは、ルームエアコン等の空気調和機に利用されるものであって、スライド弁100と、パイロット弁200と、冷媒を圧縮する圧縮機300と、冷房モード時に蒸発器として機能する室内熱交換器400と、冷房モード時に凝縮器として機能する室外熱交換器500と、室内熱交換器400と室外内熱交換器500との間にて冷媒を膨張させて減圧する膨張手段としての膨張弁600と、を備え、これらが冷媒配管によって連結されている。なお、膨張手段としては、膨張弁600に限らず、キャピラリでもよい。上記のように、この実施形態の冷凍サイクルシステムは、弁ハウジング10に対して、圧縮機300の吐出側に接続されるD継手6dと、圧縮機300の吸入側に接続されるS継手6bと、一方の室内熱交換器400に接続されるE継手6aと、他方の室外内熱交換器500に接続されるC継手6cと、がそれぞれ導通され、弁体5により、S継手6bに対してE継手6aまたはC継手6cを択一的に切換導通するとともに、S継手6bに対して非導通となるC継手6cまたはE継手6aを弁ハウジング10内を介してD継手6dに導通するよう構成されている。
【0027】
パイロット弁200は、導管7a〜7dによりスライド弁100に接続されている。パイロット弁200は、例えばスライド弁100と同様な構造であり、電磁アクチュエータ等により弁体を移動して流路を切り換える。そして、このパイロット弁200は、スライド弁100のS継手6bに連通する導管7aの接続先を、スライド弁100の左側の作動室10Bに連通する導管7bと、右側の作動室10Bに連通する導管7cとで切り換え、これと同時にスライド弁100のD継手6dに連通する導管7dの接続先を導管7cと導管7bとで切り換える。
【0028】
すなわち、スライド弁100の左右の作動室10B,10Bに対して、一方を減圧するとともに他方を高圧にする状態を両作動室10B,10B間で切り換える。これにより、減圧された作動室10Bの圧力と主弁室10Aの高圧の圧力との圧力差を減圧された作動室10B側のピストン3に加わえる。これにより、ピストン3、連結板4及び弁体5が移動され、この弁体5の位置が切り換えられて冷凍サイクルの流路が切り換えられる。なお、圧縮機300で圧縮された高圧の冷媒はD継手6dから主弁室10A内に流入し、冷房運転の状態では、高圧冷媒はC継手6cから室外熱交換器500に流入される。また、暖房運転の状態では、高圧冷媒はE継手6aから室内熱交換器400に流入される。
【0029】
スライド弁100において、弁体5の移動により流路を切り換えるとき、ピストン3のストッパ板32が栓体1に当接することで、ピストン3及び弁体5の移動が停止される。図2に示すように、栓体1は、円筒部101の内部に嵌合される環状の嵌合部11を有している。また、この嵌合部11の内側に、嵌合部11のストッパ板32側(ピストン3側)の端面11aと面一の拡大ストッパ面12aを有する幅拡大部12が設けられている。この実施形態では、幅拡大部12は、栓体1の嵌合部11と一体に形成されている。なお、嵌合部11及び幅拡大部12は軸線Lを中心として回転対称な形状であり、この嵌合部11と幅拡大部12との境界を二点鎖線で図示する。このように、嵌合部11と幅拡大部12とを合わせた部分の半径方向の厚みは、栓体1のその他の部分の肉厚よりも厚くなっている。
【0030】
図3はストッパ板32が栓体1に当接したときの、ピストン3が軸線Lの中心にある場合のストッパ板32に対する接触部分を示す図である。なお、図3及び図4図2のA−A断面図である。上記のように、栓体1の嵌合部11の内側に拡大ストッパ面12aを備えているので、この拡大ストッパ面12aは嵌合部11のストッパ板32側の端面11aと共に、ピストン3のストッパ板32に当接し、ピストン3を停止させる。これにより、図3に示すように、ストッパ板32に対する当接部の接触部分(格子線の部分)は、前記従来のものに比べて、拡大ストッパ面12aの分だけ広くなる。したがって、例えば図4に示すように、ピストン3が軸線Lから偏っている場合でも、接触部分の偏り方向の端部の接触面積の差が小さくなり、ストッパ機能が安定し、スライド弁の作動性能のバラツキが低減する。
【0031】
図5は第2実施形態のスライド弁における弁ハウジングの端部の拡大断面図である。なお、以下の各実施形態では、弁ハウジングの端部の拡大断面図について説明するが、各実施形態のスライド弁のその他の構成及び冷凍サイクルシステムは第1実施形態と同様である。また、第1実施形態と同じ要素には図1乃至図4と同符号を付記して重複する説明は省略する。
【0032】
図5の第2実施形態では、嵌合部11の内側に、嵌合部11のストッパ板32側(ピストン3側)の端面11aと面一の拡大ストッパ面13aを有する幅拡大部13が設けられている。この実施形態では、幅拡大部13は、栓体1の嵌合部11と一体に形成されている。なお、嵌合部11及び幅拡大部13は軸線Lを中心として回転対称な形状である。このように、嵌合部11と幅拡大部13とを合わせた部分の半径方向の厚みは、栓体1のその他の部分の肉厚よりも厚くなっている。
【0033】
図6の第3実施形態では、栓体1の嵌合部11の内側に、嵌合部11のストッパ板32側(ピストン3側)の端面11aと面一の拡大ストッパ面14aを有する幅拡大部14が設けられている。この幅拡大部14は嵌合部11の内側に嵌め込まれた環状部材14Aで構成されている。環状部材14Aは、嵌合部11に圧入等により固定されている。この実施形態では、栓体1は肉厚が均一でよいので、製造が容易になる。
【0034】
図7の第4実施形態では、栓体1′は、円筒部101の内部に嵌合される環状の嵌合部11′を有している。この実施形態の嵌合部11′は、第1実施形態等の嵌合部11よりも軸線L方向の幅が短くなっており、この嵌合部11′のストッパ板32側に設けられた環状ストッパ板15を備えている。この環状ストッパ板15は円筒部101の段部と栓体1′との間に設けられ、円筒部101のかしめにより栓体1′と共に固定されている。そして、環状ストッパ板15は、ストッパ板32側に当接面15aを有し、この当接面15aの一部により拡大ストッパ面15a1が構成されている。この実施形態でも、第3実施形態と同様に、栓体1′は肉厚が均一でよいので、製造が容易になる。
【0035】
以上の第2実施形態及び第3実施形態でも、拡大ストッパ面13a,14aは嵌合部11のストッパ板32側の端面11aと共に、ピストン3のストッパ板32に当接し、ピストン3を停止させる。したがって、ストッパ板32に対する当接部の接触部分は、従来のものに比べて拡大ストッパ面13a,14aの分だけ広くなり、第1実施形態と同様に、ピストン3が軸線Lから偏っている場合でも、接触部分の偏り方向の端部の接触面積の差が小さくなり、ストッパ機能が安定し、スライド弁の作動性能のバラツキが低減する。
【0036】
また、第4実施形態でも、環状ストッパ板15のストッパ板32側の当接面15aに、拡大ストッパ面15aを有しており、ピストン3のストッパ板32に当接した時の、ストッパ板32に対する当接部の接触部分は、従来のものに比べて拡大ストッパ面15a1の分だけ広くなり、ピストン3が軸線Lから偏っている場合でも、接触部分の偏り方向の端部の接触面積の差が小さくなり、ストッパ機能が安定し、スライド弁の作動性能のバラツキが低減する。
【0037】
なお、以上の各実施形態の栓体1,1′は、真鍮等の金属部材を母材として、冷間鍛造、プレス加工等により形成されたものである。なお、第2実施形態(図5)における幅拡大部13のように、栓体1の内側に膨出している箇所は長めの筒状の嵌合部を形成した後、再度、プレスする鍛造工程により形成される。栓体の形成方法は切削等の別の方法でもよい。
【0038】
また、以上の実施形態では、四方切換弁として構成したスライド弁について説明したが、本発明のスライド弁は、例えば特許文献2のスライド弁のように、流体(冷媒)の流路を開閉するような二方弁に適用できることはいうまでもない。そして、このような二方弁に適用したスライド弁は、例えば、冷凍サイクルシステムにおいて、ホットガスデフロスト式のバイパス回路の開閉用の他、大きな流量が必要とされる流路の開閉等にも用いることができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
10 弁ハウジング
101 円筒部
1 栓体
11 嵌合部
11a 端面
12 幅拡大部
12a 拡大ストッパ面
13 幅拡大部
13a 拡大ストッパ面
14 幅拡大部
14A 環状部材
14a 拡大ストッパ面
1′ 栓体
11′ 嵌合部
15 環状ストッパ板
15a 当接面
15a1 拡大ストッパ面
2 弁座
3 ピストン
31 固定円板
32 ストッパ板
33 ばね
34 パッキン
4 連結板
5 弁体
6a E継手
6b S継手
6c C継手
6d D継手
100 スライド弁
200 パイロット弁
300 圧縮機
400 室内熱交換器
500 室外熱交換器
600 膨張弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10