【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1に係る包装用容器1は、
図1に示すように、主として搬送用として使用するものであり、液密性を有するトレイ等として使用できるものである。
【0025】
本実施例1に係る包装用容器1は、
図2及び
図3に示すように、主として一枚の低発泡合成樹脂シートから構成されるものである。当該低発泡合成樹脂シートは、底板2と、該底板2に夫々連続する前側板3、後側板4、右側板5、左側板6の各側板を有する。
【0026】
隣接する前記側板相互は、袖片部5A、6A又はこれに対応する接合端部3A、4Aを有する。具体的には、相互に対向する前記右側板5及び前記左側板6には、夫々の両端部における上端から下端に亘り前記袖片部5A、6Aを連続して有する。また相互に対向する前側板3及び後側板4には、夫々の両端に前記袖片5A、6Aと溶着するための接合端部3A、4Aを有する。
【0027】
前記袖片部5Aは、その端面において基端側から傾斜する傾斜面50と該傾斜面50に連続する垂直面51を有する。前記袖片部6Aは、その端面において基端側から傾斜する傾斜面60及び該傾斜面60に連続する垂直面61を有する。
【0028】
前記接合端部3Aは、その端面において基端側から傾斜する傾斜面30と該傾斜面30に連続する垂直面31を有する。前記接合端部4Aは、その端面において基端側から傾斜する傾斜面40及び該傾斜面40に連続する垂直面41を有する。展開状態における前記接合端部3A、4Aと袖片部5A、6Aの夫々隣接する傾斜面間のなす角度は概ね90°としてある。
【0029】
また、
図2、
図3、
図4(b)に示すように、上記接合端部3A、4A、袖片部5A、6Aの各傾斜面50、60及び垂直面51、61に沿う内面及び外面を余剰部70としてある。
【0030】
前記袖片部5A、6Aと接合端部3A、4Aとは溶着によって液密性を確保した状態で接合されている。
即ち、当該接合部分として境界ラインが表れる側板(前側板3及び後側板4)の内面側、外面側、及び上端面において、当該境界ラインに生じる間隙8に対して、前記余剰部70aが溶融状態で充填部71として埋め込まれた構成となることで、当該境界ラインが液密に閉塞される畝状の閉塞部7を構成するものである。尚、本発明において、合成樹脂の「溶融状態」とは、加熱された合成樹脂の少なくとも一部が溶融され他物との接触により変形可能な状態であり、且つ、溶融により合成樹脂自体が流失しない程度に保持されている状態をいう。
【0031】
上記実施例1に係る包装用容器1は以下の手順によって製造できる。
先ず、平面視四角形状の低発泡合成樹脂シートに対して、その四隅及び他の部分を切除する。また、前記第一の切欠部12a、12bにおけるV字状の先端位置よりも前後方向において中央よりとなる位置を通り左右方向に連続する仮想ラインを、第一の仮想ライン100とする。前記第一の仮想ライン100は、底面2と前側板3及び後側板4を区画し、右側板5と袖片部5Aを区画し、左側板6と袖片部6Aを区画するための仮想ラインである。
【0032】
また、前記四隅の切除によって形成された切欠部分は、
図2及び
図3に示すように、各側板相互を分離し且つ袖片部5A、6A及び接合端部3A、4Aを形成する範囲となる。
当該四隅の切除によって、袖片部5A、6A及び接合端部3A、4Aの各下端側に傾斜面30、40、50、60を夫々形成するためにV字状に切り込まれた第一の切欠部12a、12bが形成される。
また、前記第一の仮想ライン100の両端位置に頂点を有するV字状の切欠部13(以下、第二の切欠部13)を形成する。
【0033】
次に、
図3に示すように、断面V字輪郭を有し所定温度に加熱された長尺の熱板Pを、前記低発泡合成樹脂シートの第一の仮想ライン100に対して押し当てることにより、当該低発泡合成樹脂シートを溶融させて熱罫線を形成して底板2と前側板3及び後側板4を区画し、右側板5と袖片部5Aを区画し、左側板6と袖片部6Aを区画する。前記長尺の熱板Pの所定温度は、素材の融点以上であり、且つ、当該素材の変色や分解等を生じない温度とすることができる。例えば、低発泡合成樹脂シートの素材がポリプロピレンである場合には、170℃以上、ポリエチレンである場合には、120℃〜130℃以上とすることができる。
【0034】
ここで上記熱板Pを前記低発泡合成樹脂シートの第一の仮想ライン100に対して押し当てる際には、当該第一の仮想ライン100自体が何ら形成されていないところ、当該熱板Pの断面V字となるその先端p1を、
図2及び
図3に示す前記二箇所の第二の切欠部13に合わせて配置することで当該第一の仮想ライン100上に位置決めできる。
【0035】
熱板Pの下降によって形成された熱罫線が溶融状態であるうちに、当該熱罫線を基準として当該側板を底板2から起立させる。この際に、前側板3若しくは後側板4に加えて、当該各側板の各両端位置となる袖片部5A、6Aも起立させる(
図4(a)参照。)。
底板2に対して前側板3、後側板4、袖片部5A、6Aが夫々起立した状態で溶着され、その後自然冷却され、固定される。
【0036】
この一連の動作によって、当初の四隅の切除によって形成された第一の切欠部12a、12bは、
図4に示すように、袖片部5A、6Aの下端部及び接合端部3A、4Aの下端部として上方に開口するV字溝となる。
【0037】
次に、底板2と左側板6若しくは右側板5を区画する。区画は、断面V字の輪郭を含む熱板Pを使用する。前記V字溝間を通る第二の仮想ライン101に対して熱板Pを配置して熱罫線L(
図5(b)参照。)を形成する。
【0038】
この熱罫線Lの形成に伴って、当該熱罫線Lのみならず、V字溝とこれに連続する袖片部5A、6Aの端面、接合端部3A、4Aの端面は溶融状態となる。
形成された熱罫線Lが加熱されて溶融した状態において、当該熱罫線Lを基準として当該左側板6若しくは右側板5(これらの袖片部5A、6Aを含む。)を起立させ、袖片部5A、6Aの各端面と接合端部3A、4Aの各端面とを押し付けて、固着させる。
【0039】
ここで、前記第一の仮想ライン100は、第一の切欠部12a、12bにおけるV字状の先端位置よりも前後方向において中央よりとなる位置を通り左右方向に連続するものとしたから、前記余剰部70は
図4(b)に示すように、第一の切欠部12a、12bにおけるV字形状に沿う部分、及びこれに連続して当該V字形状の先端位置と第一の仮想ライン100との間となる部分、及び接合端部3A、4Aに沿う部分において確保され、袖片部5A、6Aと、接合端部3A、4Aとの溶着において、前記余剰部70から溶融した余剰の樹脂が発生する。
【0040】
各側板は、プラスチック段ボールではなく低発泡合成樹脂シートで形成されていることから、溶融した余剰部70aは、当該低発泡合成樹脂シート内に入り込むことができず、当該袖片部5A、6Aと接合端部3A、4Aとの境界ラインから膨出する(
図5、
図6(a)〜(d)参照。)。
【0041】
続けて、膨出した余剰部70aの樹脂が冷却しないうちに、前側板3及び後側板4の内側及び外側から当該膨出した余剰部70aの樹脂を任意の押圧手段によって押圧し、境界ラインの一部に生じた間隙部に対して当該膨出した樹脂を充填部71として埋め込んで一体とし、当該前側板3及び後側板4の内側、外側、上端部に連続する畝状の閉塞部7を形成する。この閉塞部7の形成によって、本実施例1に係る包装用容器1が完成する(
図1参照。)。
【0042】
当該閉塞部7はその表面が押圧され、
図6(d)に示すように嵩h2を抑えた形状となることで、不用意に他物が当該閉塞部7に引っ掛かることを抑制できる。
また、併せて外観体裁を向上させることができる。また閉塞部7の形成に伴って境界ラインにおける樹脂の密度を高めて強度を向上させることができる。
【0043】
また、
図7に示すように、本実施例1に係る包装用容器1の上部に対して公知の補強枠部R1及び補強角部R2を取付けて包装用容器1の強度を向上させることもできる。
更に、輸送時、保管時等においても安定的な段積み(重ね積み)を行うこともできる。
【実施例2】
【0044】
次に本発明の実施例2に係る包装用容器1(
図18参照。)について説明する。
尚、上記実施例1についても共通する本発明の主要な畝状の閉塞部7を用いた液密構造を嵩高い箱に対して形成するためには、溶融箇所の長さに応じた大型の熱板が必要となる。このため、実施例1に開示した包装用容器1を嵩高とすべく、大型の熱板を用いて嵩高に形成した包装用容器1、及びその製造方法も本発明に含まれる。しかし一方で、以下に示す本実施例2に係る包装用容器1の構造及びその製造方法は、実施例1と共通した比較的小型の熱板Pを用いて、実施例1と共通する液密性の構成を備えた上、収容量を大幅に向上できるものである。この結果、以下に示す実施例2に係る包装用容器1及びその製造方法によれば、嵩高の包装用容器1について大型の熱板を用いずに、上記実施例1と同程度の液密構造及びその製造方法を実現でき、収容量を確保した上で、製造コスト及び製品の低廉化が可能となる利点を有する。
【0045】
本実施例2に係る包装用容器1は、
図8、
図9(a)に示すように、容器本体10を低発泡合成樹脂シートからなるものとし、対向する一対の側板の一部を構成する第二側板部11(第二右側板11a及び第二左側板11b)を、前記容器本体10とは別体として中空プラスチック段ボール板で形成し、これらを組み合わせて構成したものである。
尚、
図9(b)は二つ折りとして利用するバリエーションの第二側板部11であり、より座屈強度を高めたものである。また中空プラスチックダンボール板を二つ折り構造とすることによって、折り返し部分から当該中空プラスチックダンボール板内への水の浸入を抑えるとともに、水上がり(毛細管現象に伴う中空プラスチックダンボール板内での水の上昇)を防止できるものである。
【0046】
底板2から概ね5cm〜6cm程度の高さ位置までとなる底部1a(
図15、
図18参照。)は、実施例1と概ね同様の液密構造を有している。即ち、底板2と、該底板2に夫々連続する前側板3、後側板4、第一右側板55、第一左側板65の各側板を有しており、前記第一右側板55及び第一左側板65には、夫々の両端に前記袖片部5A、6Aを連続して設けてある。当該袖片部5A、6Aは、前記第一右側板55若しくは前記第一左側板65の下端から上端に亘って形成されている(
図13参照。)。
【0047】
また相互に対向する前側板3及び後側板4には、夫々の両端に前記袖片部5A、6Aと溶着するための接合端部5B、6Bを備えている。
前記袖片部5A、6Aと接合端部5B、6Bは溶着によって接合してある。当該接合部分として境界ラインが表れる側板(前側板3及び後側板4)の内面側、外面側、及び上端面には、当該境界ラインに形成される僅かな間隙部8に対して樹脂を充填部71として埋め込んで一体とし、当該間隙部8を閉塞した畝状の閉塞部7を備えている。
【0048】
そして前記底部1aの上方に連続する中央部1bにおいては、前側面及び後側面側については、前側板3及び後側板4が夫々底部1aから上方へ連続して延設されており、概ね30cmの高さを確保してある。これに対して右側面及び左側面側においては、前側板3及び後側板4の側端から連続し前記第一右側板55若しくは第一左側板65の上端に当接する側支片部14を備えている。そして右側面の二つの側支片部14の内側面は第二右側板11aの外側面と固着されている。
また左側面の二つの側支片部14の内側面は第二左側板11bの外側面と固着されている。
更に底部1aにおける第一右側板55の内側面と第二右側板11aの外側面、第一左側板65の内側面と第二左側板11bの外側面は当接した構成である。
【0049】
上記実施例2に係る包装用容器1は以下の手順によって製造できる(
図8〜
図17参照。)。
尚、上記実施例1に係る包装用容器1では一枚の低発泡合成樹脂シートから、底板2、前後左右の各側板5、6を一体として得るものであったが、本実施例2に係る包装用容器1においては、当該一枚の低発泡合成樹脂シートから底板2、嵩高の前側板3及び後側板4と、嵩の低い第一右側板55及び第一左側板65、各側支片部14、各袖片部5A、6Aを得るものとしており、上記実施例2に係る包装用容器1で示したように嵩高となる第二右側板11a、第二左側板11bは別に構成する。
【0050】
先ず、
図8に示すように、平面視四角形状の低発泡合成樹脂シートに対して、四隅等において、側支片部14、袖片部5A、6A、第一右側板55、第一左側板65を形成するために不要な部分を切除する。
尚、この状態においては、図中の仮想ライン(第一の仮想ライン100、第二の仮想ライン101)は罫線等としては形成されていない。
【0051】
同
図8において、中央に位置する底板2の上端に連続して後側板4を有する。前記底板2の下端に連続して前側板3を有する。前記底板2の右端に連続して第一右側板55を有する。前記側板の左端に連続して第一左側板65を有する。
また、前側板3及び後側板4の各右端及び左端に、側支片部14及び袖片部5A、6Aを有する。袖片部5A、6Aは側支片部14よりも底板2側に配置され、且つ、第一右側板55若しくは第一左側板65に連続している。
【0052】
第一右側板55と袖片部5Aとの連続部分となる位置、及び第一左側板65と袖片部6Aとの連続部分となる位置に、夫々、V字状に切り込まれた第一の切欠部12a、12bを形成する。
また、各側支片部14と袖片部5A、6Aとの境界には直線状の切込15を設けてある。
切込15の先端位置は、前記第一の切欠部12a、12bのV字先端位置よりも当該低発泡合成樹脂シートの幅方向における中央寄り位置としてある。これによって、切込15の先端位置150相互を通る仮想ラインを形成すると、前記第一切欠部のV字先端位置150に隣接して余剰部70を確保することができる。
【0053】
また前側板3、後側板4の夫々の上端部位置に、補強角部R2を取り付けるための第三の切欠部107及び第一の舌片部109と補強枠部R1を取り付けるための延設部103を形成する。延設部103の基端(即ち、前側板3及び後側板4との境界ライン)として、切込線102を設けてある。当該切込線102は浅目(概ね当該低発泡合成樹脂シートの厚みに対して半分未満程度の深さであり、当該低発泡膨性樹脂シートを折り返しできる限度の深さ)の切込としている。当該深さの切込とすることによって、当該切込線102の形成に伴う不慮の切断を防止するとともに、折曲後の反発弾性を確保してある。
【0054】
次に、実施例1と同様に、断面V字輪郭を有し且つ所定温度(即ち、素材の融点以上で当該素材の変色や分解等を生じない温度で当該素材を加工可能な温度)に加熱された長尺の熱板を、前記低発泡合成樹脂シートにおける左右の側支片部14及び袖片部5A、6Aを区画する第一の仮想ライン100に対して押し当てることにより、当該低発泡合成樹脂シートを溶融させて熱罫線を形成する。当該第一の仮想ライン100は、前記各切込15の前記先端位置150を結ぶラインとすることができる。
【0055】
当該第一の仮想ライン100を設定することにより、当該第一の仮想ライン100と前記第一の切欠部12a、12bのV字先端位置との間に一定の距離が保持される。これによって、余剰部70が確保される。
【0056】
形成された熱罫線が溶融した状態において、当該熱罫線を基準として第一右側板55、第一左側板65、及び袖片部5A、6Aを底板2、前側板3及び後側板4から起立させ、当該底板2、前側板3及び後側板4に固着させる。
【0057】
そして当該状態において自然冷却し、固定する。この一連の動作によって、第一の切欠部12a、12bは、
図11に示すように、袖片部5A、6Aの下端位置及び接合端部の下端位置において上方に開口するV字溝となる。
【0058】
次に、
図12及び
図13に示すように、所定温度に加熱された前記長尺の熱板を、前記低発泡合成樹脂シートにおける第二の仮想ライン101に対して押し当てることにより、当該低発泡樹脂シートを溶融させて熱罫線を形成する。
当該第二の仮想ライン101は、前記第一の切欠部12a、12bによって形成されたV字溝を結ぶラインとすることができる。
【0059】
この熱罫線の形成に伴って、袖片部5A、6Aの各端面(傾斜面50、60及び垂直面51、61)、並びに、第一右側板55及び第一左側板65における各接合端部5B、6Bの端面(傾斜面550、650及び垂直面551、651)が溶融状態となる。
形成された熱罫線が溶融した状態において、
図14に示すように、当該熱罫線を基準として当該前側板3及び後側板4(これらの袖片部5A、6Aを含む。)を起立させ、前記袖片部5A、6Aの各端面(各傾斜面50、60及び垂直面51、61)と第一右側板55及び第一左側板65の前記各接合端部5B、6B(特に、各傾斜面550、650及び垂直面551、651)とを押し付けて、固着させる。
【0060】
本実施例2においては、前記第一の仮想ライン100と前記第一の切欠部12a、12bのV字先端位置との間に一定の距離が保持されていることで、溶融状態でない余剰部70が確保されており、前記袖片部5A、6Aは、第一右側板55及び第一左側板65における各接合端部5B、6Bとの溶着において、溶融した余剰の樹脂が発生することとなる(
図6参照。ここで、本実施例2においては、
図6の参照に際して符号3Aを5Bに読み替える。)。
【0061】
本実施例2においても、各側板は低発泡合成樹脂シートで形成されているため、溶融した余剰部70aは、当該低発泡合成樹脂シート内に入り込むことができず、当該袖片部5A、6Aと接合端部5B、6Bとの境界ラインから膨出することとなる。
【0062】
続けて、膨出した樹脂が冷却しないうちに、各袖片部5A、6Aと前記第一右側板55及び第一左側板65における内側及び外側から当該膨出した樹脂部分を押圧手段によって押圧し、境界ラインの一部に生じた間隙部8を当該膨出した樹脂を埋め込み一体とし、当該第一右側板55若しくは第一左側板65と各袖片部5A、6Aとの境界ラインに連続する畝状の閉塞部7を形成する。この閉塞部7の形成によって、本実施例2に係る包装用容器1の底部1aが完成する(
図15参照。)。
【0063】
次に
図17に示すように、第一右側板55、各袖片部5A、その上方の側支片部14における各内面に対して第二右側板11aを当接し、前記側支片部14と第二右側板11aとを固着する。また、第一左側板65、各袖片部6A、その上方の側支片部14における各内面に第二左側面11bを当接し、前記側支片部14と第二左側板11bとを固着する。
固着方法は、超音波を用いた接着や、熱溶着等、従来公知の任意の固着方法を使用できる。
【0064】
本実施例2における前記第二右側板11a及び第二左側板11bは共通した形状を有しており、プラスチック段ボールによって構成される。当該プラスチック段ボールは、二枚の対向する構成板110と、該構成板110間に所定間隔で平行して設けられる複数のリブ111によって構成される。前記複数のリブ111間には空間部111aを有する(
図17参照。)。
【0065】
また本実施例2における第二右側板11a及び第二左側板11bは、いずれも当該リブ111の長手方向を上下方向とする。そして上部には、補強角部R2を取り付けるための第四の切欠部113及び第二の舌片部114と補強枠部R1を取り付けるための延設部105を有する。延設部105の基端には切込線104を設けてある。当該切込線104は浅目(概ね当該プラスチックダンボールを折り返しできる限度の深さ)の切込としている。
また上部側に把手穴106を設けてある。
【0066】
本実施例2における第二右側板11a及び第二左側板11bの上記固着方法においては、熱溶着によるものとしている。
当該構成により、底面から袖片部5A、6Aの上端までの高さにおいては実施例1と同様に、境界ラインを閉塞する畝状の閉塞部7によって液密性が保持される。
そして当該液密性が確保されたうえで、当該高さを超える高さにおいては、収納量を確保される。
【0067】
第二右側板11a、第二左側板11bを各側支片部14と固着したのち、上端の四隅に、補強角部R2を取着する。
本実施例2に係る補強角部R2は、本体部R20の下方に開口する舌片保持部R22を有し、前記前側板3若しくは後側板4の上端における前記第一の舌片部109と前記第二右側板11a若しくは第二左側板11bの上端における第二の舌片部114を合わせて保持し、且つ、両端部に補強枠部R1を被着可能な接続部R21を備えたものである。前記第三の切欠部107及び第四の切欠部113に前記接続部を嵌合させ、前記前側板3若しくは後側板4の上端と、前記第二右側板11a若しくは第二左側板11bの上端を保持することで、位置決めできる(
図16、
図17参照。)。
【0068】
そして、上端の四隅に補強角部R2を被着した後、当該第二右側板11a及び第二左側板11b、前側板3、後側板4の各縁部に補強枠部R1を取り付ける。補強枠部R1は断面略コの字状の保持部R10を有しており、当該保持部R10の内面に係止爪R11を備えている。当該第二右側板11a及び第二左側板11b、前側板3、後側板4の夫々の上端における延設部103、105を、矢印sで示すように前記切込線102、104を基準に内側へ折曲した状態で、前記補強枠部R1の断面コの字の開口を下方として被着し、折曲された延設部103、105の端部が前記係止爪R11に係止させた状態とする。また補強角部R2の両端は当該補強枠部R1により保持され、補強角部R2が補強枠部R1と共に当該包装用容器1から離脱不能となり、上端部の強度が確保される(
図16〜
図18参照。)。
【0069】
上記実施例2においては把手穴106を設けてあるが、当該把手穴106はそのまま使用してもよいし、別途図示されない把手部を取着することもできる。
取着される把手部は把持を容易とすべく開口するものであってもよいし、包装用容器1の上部において閉口するものとすることもできる。
【0070】
また上記実施例2に開示した延設部103に形成する切込線102にあっては、浅目の切込としたが、本発明においては当該切込に限るものではなく、不慮の切断の防止、曲げやすさ、折曲後の反発弾性が確保できれば、押し罫線、リード罫等の他の罫線とすることもできる。
【0071】
また上記実施例2においては、底部1aにおける第一右側板55の内側面と第二右側板11aの外側面、第一左側板65の内側面と第二左側板11bの外側面は当接した構成であるが、本発明は上記実施例2の構成に限定されるものではなく、当該第一右側板55の内側面と第二右側板11aの外側面、及び、第一左側板65の内側面と第二左側板11bの外側面は、超音波溶着等を用いて固着した構成とすることができる。
【0072】
また上記実施例2においては第二右側板11a及び第二左側板11bについてプラスチック段ボールを用いた構成としたが、本発明は上記構成に限定されるものではない。
例えば、軽量な収容物に対して使用するための包装用容器で強度を過度に求めないのであれば、例えば、低発泡合成樹脂シート、若しくは、無発泡合成樹脂シート等を用いたものとすることもできる。
また、上記プラスチック段ボールは、実施例2に示した平行リブを有するものに限らず、
例えば、円錐台形状の山を千鳥格子に配置した二枚のポリプロピレン製プラスチックシートをピンの先端同士で溶着させた後、表面に面板を張り合わせた四層構造のプラスチックシート(商品名「ツインコーン」(登録商標))等、種々の公知のプラスチック段ボールを用いることができる。
【0073】
また、第二右側板11a及び第二左側板11bは、
図9(b)に示すように長手中央に幅方向へ連続する折曲部112を設け、折り畳んで二重として用いる構成とすることもできる。当該構成によれば、強度を更に向上させるとともに、中空プラスチックダンボール内への液体の浸入を抑制することもできる。
【0074】
また本発明の畝状の閉塞部7は、境界ラインに沿って隙間を埋めて閉塞するものであれば足り、外形の凹凸や平面の有無等の形状については特に限定するものではない。例えば、幅挟の畝状部分が二本並列した形状であってもよいし、一本の太幅の畝状部分で構成されていてもよい。本発明の畝状とは、いわゆる畝の形状のみを示すものでなく、全体に境界ラインを連続して被覆する形状で足りる。
また上記実施例においては、
図6(d)に開示したように内側及び外側の両方から閉塞処理を行う構成を示したが、本発明によれば、内側及び外側のいずれか一方のみから閉塞処理を行う構成とすることもできる。
【0075】
また、一方で、当該閉塞部7は境界ラインからの嵩が低ければ低いほど、他物との接触の可能性が低減され、より好ましい。また、底面側への当該閉塞部7のはみ出しをなくすことによって載置時の水平が保持され安定性を確保できる点で、より好ましい。
【0076】
また本発明の包装用容器1の製造方法の行程中、畝状の閉塞部7を形成する第二工程において、境界ラインの間隙部8を埋めるためにされる押圧操作は、制御機器を用いた押圧手段によって押圧処理するものであってもよいし、耐熱性を有する治具その他の物を用いて作業者による手作業による処理を行うものとすることもできる。
また、当該閉塞部7における充填部71の形成処理は、実施例に示した外側、内側の双方から行うものであるものに限らず、外側、内側のいずれか一方のみから充填処理を行うものも含む。
【0077】
また本発明の包装用容器1は、上記実施例において低発泡合成樹脂シートを開示しているが、具体的には、例えば発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等を好適な低発泡合成樹脂シートとして用いることができる。また、無発泡合成樹脂シートとすることもできる。
低発泡合成樹脂シートの場合、発泡倍率は、概ね8倍発泡成形品以下であればよく、より好ましくは1.3倍〜5倍発泡成形品であることが望ましい。尚、発泡倍率が8倍を超えた場合には、包装用容器1の強度に問題を生じ破損の虞が高くなるため好ましくない。
【0078】
上記の通り、本発明における液密構造は、基本的に無発泡合成樹脂シート若しくは低発泡合成樹脂シートによる包装用容器によりなされるものであり、中空プラスチックダンボールによるものではない。
【0079】
また、本発明によれば、実施例1における第二の切欠部13のように、仮想ラインの位置決めとして設けることによって、当該仮想ラインに一致させて形成される熱罫線(熱V罫線)から無発泡合成樹脂シート若しくは低発泡合成樹脂シートを折り返す際に、当該切欠部13によって折り返し部分の樹脂材料が外方へ突出した突出部を生じないものとすることができる。
これによって、外観体裁が良好となることに加え、組立作業時において載置位置の位置合わせ等を行う際には、前記突出部によって生じる載置位置の位置合わせの阻害を防止し、より円滑に組立作業を行うことができる。