【実施例】
【0024】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、第一部材1と該第一部材1と連結される第二部材2とから成る収納ケースであって、前記第一部材1の縁及び前記第二部材2の縁のいずれか一方には当該部材の外
周面20,21から内方に減寸する減寸部15,16が設けられ、前記第一部材1と前記第二部材2とを連結した際の境界部5には前記減寸部15,16により凹部6が形成され、収納物の情報が表示されたラベル4が前記第一部材1及び前記第二部材2に前記凹部6を跨いで設けられているものである。
【0026】
具体的には、
図1,2に図示したように、第一部材1(キャップ)にはエンドミルやドリル等の切削工具7のシャンク部8を保持するシャンク保持部9が設けられ、切削工具7の前記シャンク保持部9から突出する刃部等が第二部材2(カバー)に納まるように構成された切削工具収納用のものである。
【0027】
カバーは、断面視矩形状で一端が開口した筒状体であり、半透明の合成樹脂製である。また、本実施例のシャンク保持部9は、一対の挟持片部でシャンク部8を挟持状態で保持する構成としている。この挟持片部はカバー内面に嵌合する形状であり、シャンク部8を一対の挟持片部の間に挿入すると、この挟持片部は僅かに外方に撓んだ状態となるように構成されている。また、この状態で挟持片部をカバー内に挿入することで、挟持片部の外面がカバー内面に若干押し付けられるように挟持片部及びカバーが構成されている。従って、一対の挟持片部をカバー内に挿入し、カバーとキャップの対向端部同士が当接するまで押し込むことで、カバー内面により一対の挟持片部が内方に押し付けられてシャンク部8を一層強く挟持し切削工具7を安定的に収納することができる。
【0028】
また、ラベル4は、第一部材1及び第二部材2の外
周面20,21にして表面に凹部6を跨いで設けられ、この表面から、この表面と隣接し前記シャンク保持部9の底面側に位置する第一部材1の底端面及びこの底端面に隣接し前記表面の裏側に位置する第一部材1の裏面に至るように設けられている。なお、本実施例においては第一部材1及び第二部材2に凹部6を跨いでラベル4が設けられる前記第一部材1及び前記第二部材2の外
周面20,21を「表面」と表現し、その反対側(裏側)の外
周面20,21を「裏面」と表現している。本実施例においては、ラベル4は第一部材1及び第二部材2に貼着されて設けられている。
【0029】
そして、ラベル4の第一部材1及び第二部材2の表面に貼着される表面部10、第一部材1の底端面に貼着される底端面部11及び第一部材1の裏面に貼着される裏面部12には、夫々、収納される切削工具7の情報が表示されている。切削工具7の情報としては、名称、型番、寸法、製造番号等がある。また、携帯端末等で読み取ることで前記各情報にアクセスできるバーコードやQRコード(登録商標)を表示しても良い。ラベル4の表面部10、底端面部11及び裏面部12には、同じ情報を表示しても良いし、夫々異なる情報を表示しても良い。なお、ラベル4は前記表面部10及び底端面部11のみを有する構成としても良い。
【0030】
また、本実施例のラベル4の裏面部12は、第一部材1のみに設けられている(ラベル4が第二部材2の裏面まで設けられていない。)。従って、ラベル4を切断するのは表面部10だけで良い。例えば、ラベル4の面積の小さい裏面部12にはQRコードを表示し、面積の大きい表面部10にはバーコードと各種情報を表示する。
【0031】
また、本実施例においては、ラベル4は前述したように、凹部6を跨いで、第一部材1及び第二部材2の表面、第一部材1の底端面及び第一部材1の裏面の全てに貼着されて設けられているが、必ずしもそれら全ての面に貼着されていなくても良く、第一部材1と第二部材2の夫々一部の面に貼着されて設けられる構成としても良い。
【0032】
例えば、ラベル4が第二部材2の表面に貼着され、凹部6を跨いで第一部材1の表面に貼着され、第一部材1の底端面には貼着されずに、第一部材1の裏面に貼着されて設けられる構成としても良い。この場合、ラベル4の第一部材1の底端面との対向面は、この第一部材の底端面に固定されないが、その前後(ラベル4の第二部材2の表面との対向面、第一部材1の表面との対向面及び第一部材1の裏面との対向面)が固定されることで、第一部材1の底端面を覆うように該底端面に沿って設けられる。
【0033】
また、ラベル4が第一部材1の裏面に設けられない構成においては、ラベル4が第二部材2の表面に貼着され、凹部6を跨いで第一部材1の表面には貼着されずに、第一部材1の底端面に貼着されて設けられる構成としても良い。この場合も、ラベル4の第一部材1の表面との対向面は、この第一部材1の表面に固定されないが、その前後(ラベル4の第二部材2の表面との対向面及び第一部材1の底端面との対向面)が固定されることで、第一部材1の表面を覆うように該表面に沿って設けられる。
【0034】
凹部6は、少なくとも、第一部材1及び第二部材2の外
周面20,21にしてラベル4が貼着される面における前記第一部材1と前記第二部材2とを連結した際の境界部5の長手方向全域にわたって設けられていれば良い。即ち、本実施例においては、少なくとも、第一部材1及び第二部材2の表面における合わせ目に沿って、その合わせ目の全域に設けられていれば良い。
【0035】
本実施例においては、凹部6は、第一部材1と第二部材2とを連結した際の境界部5の全周を囲繞するように設けられている。具体的には、第一部材1及び第二部材2の合わせ目に沿って全周に設けられている。
【0036】
なお、凹部6を、前記境界部5の全周ではなく、一部を囲繞するように設けても良い。
【0037】
凹部6は、境界部5の長手方向と直交する方向における幅wが0.05mm以上2mm以下に設定されている。0.05mm未満であるとカッター等の刃が入り難く、また、2mmを超えると刃のガイド作用が発揮され難く、凹部6内で刃が蛇行し易くなる。
【0038】
また、凹部6の(最大)深さdは0.05mm以上2mm以下に設定されている。0.05mm未満であるとカッター等の刃のガイド作用が発揮され難く、また、2mm以下で十分なガイド作用が発揮される。なお、2mmを超えるとその分収納ケースの剛性が低下し、更にその剛性不足を補うために収納ケースを肉厚にして大型化する必要が生じてしまうため、2mm以下に設定することが好ましい。
【0039】
また、本実施例においては、凹部6は第一部材1の縁及び第二部材2の縁に夫々設けられている減寸部15,16により形成されている。具体的には、第一部材1及び第二部材2の対向端部外周縁の全周に前記減寸部15,16として面取りを施した面取り部を設けた構成としている。即ち、第一部材1及び第二部材2の対向端部外周縁の全周に前記減寸部15,16として傾斜面13,14(面取り部)を夫々設けている。減寸部15,16の外形寸法(若しくは減寸部15,16を一部に含む外形寸法)は、減寸部15,16を含まない外
周面20,21の外形寸法より小さくなる。
【0040】
従って、第一部材1及び第二部材2の対向端部17,18を突き合せて第一部材1で第二部材2の開口部3を閉塞した状態では、各傾斜面13,14により断面視V字状の凹部6が形成され、この凹部6が第一部材1及び第二部材2の合わせ目に沿って全周に形成されるように構成している。
【0041】
よって、ラベル4を切断する際、
図3,4に図示したように、カッター等の刃Aの先端は凹部6(傾斜面13,14)によってガイドされ、ラベル4を第一部材1及び第二部材2の合わせ目に沿って容易に切断することが可能となる。
【0042】
なお、前記減寸部は傾斜面に限らず第一部材1及び第二部材2の対向端部外周縁に段差面を形成し、第一部材1及び第二部材2の対向端部17,18を突き合せて各段差面により断面視U字状の凹部6若しくは凹部6の底面に複数の角を有する断面視角U字状の凹部6が形成されるように構成しても良く、その他の断面形状を成す凹部6としても良い。
【0043】
また、本実施例は、減寸部を第一部材1及び第二部材2の双方に設けているが、第一部材1若しくは第二部材2の一方の対向端部外周縁にのみ、減寸部として上述のような傾斜面若しくは段差面を形成することで凹部6を設けても良い。
【0044】
図5に、断面視角U字状の凹部6が形成された別例1を示す。この別例1は具体的には、第一部材1の対向端部外周縁にのみ減寸部15として段差面を形成しており、第二部材2には減寸部を設けていない。前記第一部材1の対向端部17と前記第二部材2の対向端部18とを突き合せて断面視角U字状の凹部6を形成している。
【0045】
また、ラベル4は凹部6内にも貼着される構成としても良いし、
図4に図示したような凹部6内にはラベル4が貼着されない構成(ラベル4が凹部6内に落ち込まない構成)としても良い。ラベル4が凹部6内に落ち込まず貼着されない構成とした場合、貼着された状態のラベル4を切断するよりもラベル4を切断し易くなる。
【0046】
本実施例は上述のように構成したから、収納ケースを開封するためにラベル4をカッター等で切断する際、カッター等の刃の先端を凹部6に入れれば、カッター等の刃がこの凹部6にガイドされ、ラベル4は、第一部材1と第二部材2との境界部5で確実に切断される。
【0047】
よって、本実施例は、凹部に沿って第一部材
1及び第二部材
2の外
周面
20,21に跨って貼着されたラベルを容易に切断でき、それだけ開封作業を効率的に行うことが可能となる実用的なものとなる。