(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態1)
図1ないし
図4を参照して、本発明の実施形態1の主軸装置10について説明する。以下、説明の便宜のため、
図1の右方向であり、主軸15の回転軸3に沿った方向をZ方向、紙面に垂直で表から裏へ向かう方向をX方向、紙面の上方向をY方向とする。Z方向の負方向側を先端側、Z方向の正方向側を基端側と呼ぶ場合もある。図において、丸にXを重ねたマークは表から裏への方向を、丸に点を重ねたマークは、裏から表への方向をそれぞれ示している。
【0009】
図1は、
図3のI−I断面図である。
図1の主軸15の回転軸3の上側半面は、ドローバー17が引き込まれ、主軸装置10が工具(ツール)1をクランプしている状態を表す。
図1の回転軸3の下側半面は、ドローバー17が先端側に押し出され、工具1をアンクランプしている状態を示す。
【0010】
図2は、カム押しスライダー41、カムフォロア43と、カム押しスライダー41、ドローバー17との位置関係を示す主軸装置10の縦断面図である。
図2は、回転軸3の下側半面がドローバー17の前進状況を、回転軸3の上側半面がドローバー17の後退状況を表す。理解を助けるため、カム押しスライダー41は、切断せず、かつ、カムフォロア43を破線で示した。また、カム押しスライダー41の中心軸5の右側半面は、カム押しスライダー41の後退状況を表す。
図2の中心軸5の左側半面は、カム押しスライダー41の前進状況を表す。ここで、カム押しスライダー41の前進(図の上昇方向)に伴ってドローバー17が前進するため、中心軸5の左半分のカム機構の部分と、回転軸3の下半分の主軸部分が対応する。また、カム押しスライダー41の後退(図の下降方向)に伴ってドローバー17が後退するため、中心軸5の右半分のカム機構の部分と、回転軸3の上半分の主軸部分が対応する。
【0011】
図3は、
図2のIII−III線組合せ断面図である。
図3の主軸15の回転軸3の上側半面は、ドローバー17が引き込まれ、主軸装置10が工具1をクランプしている状態を表す。
図1の回転軸3の下側半面は、ドローバー17が先端側に押し出され、工具1をアンクランプしている状態を示す。
【0012】
図1を参照して、主軸ケース11は、Z方向に延びている。主軸ケース11の内部には、主軸15が回転軸3のまわりに回転可能に支持されている。主軸15は、主軸受13で支持されている。主軸15は、中空円筒状をなしている。主軸15の先端部には、工具装着穴15aが設けられている。主軸15の内部空間は、基端側で内径が広がる段付き構造になっている。主軸15の内部空間の内、基端側の空間を大径部15cと、先端側の空間を小径部15dと呼ぶ。主軸15の基端側には、Z方向に沿って、長穴15bが設けられている。長穴15bは、主軸15を両側に貫通する貫通穴である。
【0013】
主軸ケース11の基端部には、主軸モータ39が設けられている。カップリング37は、主軸モータ39の出力軸39aと主軸15とを連結する。主軸モータ39は、主軸15を回転させる。出力軸39aの先端部には、ガイド穴39bが設けられている。
【0014】
主軸15の内部には、ドローバー17が設けられている。ドローバー17は、主軸方向に長く伸びる円柱状をなす。ドローバー17の先端側は、ドローヘッド17aである。ドローヘッド17aの先端部には、プルスタッドコレット19が設けられている。プルスタッドコレット19は、ドローバー17が基端方向に引かれると、工具1のプルスタッド1aを掴み、引き込む。ドローバー17が先端側に押し出されると、プルスタッドコレット19は開き、工具1を離す。ドローヘッド17aの中央より基端側の部分は、主軸15の小径部15dと摺動する。ドローバー17の中央部17cは、ドローヘッド17aと後述のアンクランプスライダー17dとを結ぶ。中央部17cは、ドローヘッド17aよりも小径に構成されている。
【0015】
ドローバー17の後端側は、アンクランプスライダー17dである。アンクランプスライダー17dは基端側が小径の段付き円柱状である。アンクランプスライダー17dの基端部は、小径のガイド部17d2が設けられている。アンクランプスライダー17dは、主軸15の大径部15cの基端部寄りに摺動可能に納められている。ガイド部17d2は、主軸モータ39のガイド穴39bに摺動するように挿入される。アンクランプスライダー17dには、Y方向に貫通する貫通穴17d1が設けられている。貫通穴17d1の位置は、長穴15bと対応している。なお、アンクランプスライダー17dは、ドローバー17と一体に構成されていても、別々に構成されていてもよい。
【0016】
ドローバー17は、主軸15の内部を、Z方向に摺動する。ここで、ドローヘッド17aが主軸15の小径部15dに、アンクランプスライダー17dの大径部が主軸15の大径部15cに、基端側のガイド部17d2がガイド穴39bにそれぞれ摺動することで、ドローバー17が回転軸3と同軸に支持される。
【0017】
アンクランプスライダー17dの貫通穴17d1に、ピン23が貫通して設けられている。ピン23の内、アンクランプスライダー17dから突出した部分は、請求項の突出部に相当する。ピン23は、長穴15bを貫通する。ピン23は、長穴15b内をZ方向に摺動できるように設けられている。ピン23は、ドローバー17に、主軸の回転を伝達する。ピン23と長穴15bによって、ドローバー17は、主軸15と一体となって回転する。そしてピン23は長穴15bと共に、ドローバー17の摺動範囲を規定する。
【0018】
主軸15の内部の大径部15cには、皿ばね25が重ねて設けられている。この皿ばね25は、第1の付勢部材である。皿ばね25は、ドローバー17を、主軸15の基端方向へ付勢する。皿ばね25の付勢力によって、工具1は、ドローバー17によって引っ張られ、工具装着穴15aへ密着する。そして、主軸15は工具1を保持する。第1の付勢部材は、皿ばね25に限定されるものではなく、コイルばねやガススプリング等の種々の付勢手段を採用できる。
【0019】
突出部押出しスライダーであるピン押しスライダー33は、中空円筒状をなしている。ピン押しスライダー33は、主軸15の基端側を取り囲むように、カップリング37の先端側に設けられている。ピン押しスライダー33は、Z軸を中心に回転せず、Z軸方向に主軸15に沿って摺動する。ピン押しスライダー33の先端側は、内部が拡大されて形成されている収容室33aとなっている。
【0020】
収容室33aは、円筒状をなしている。収容室33aは、主軸15から突出したピン23が、収容室33aの内部で回転できる広さを持っている。収容室33aの基端側の端面は、押出し面33cとなっている。押出し面33cは、皿ばね25の付勢力に抗して、ピン23を押し出す。ピン押しスライダー33が主軸15の軸方向(Z方向)先端側に押し出すときに、押出し面33cがピン23を押し下げる。ピン23がZ方向先端側に押し出されることにより、ドローバー17が先端側に移動して工具1を押し出すと共に、プルスタッドコレット19が工具1を開放する。
【0021】
ピン押しスライダー33の基端側は、斜めに切り落とされている。ピン押しスライダー33の斜めに切り落とされた面がカム面33bを構成する。カム面33bは、Y方向に向くにしたがって、徐々に基端側に延びるように形成されている。ピン押しスライダー33のY正方向端面側には、ドグ35が設けられている。カム面33bは、後述するカム押しスライダー41(
図2参照)の移動速度に応じて、ドローバー17の位置及び速度がスムーズな工具交換に適するように構成される。なおカム面33bは、平面または曲面で構成できる。
【0022】
ピン押しスライダー33は、直動案内31に案内されて、Z方向に摺動する。直動案内31は、ボールスプラインのように構成されている。直動案内31は、ピン押しスライダー33の先端側に形成された軸31aと、保持器31cと、保持器31c内に保持された複数のボール31bとからなる。軸31aには、Z方向に設けられた転動溝31a1が設けられている。ボール31bは、転動溝31a1内を転動して、ピン押しスライダー33を回転不能に案内する。
なお、上述の構成に替えて、ボール31bは、ピン押しスライダー33に保持され、外輪側に転動溝を設けても良い。
また、直動案内は上述の構成に替えて、主軸15の回転軸方向に沿って直線方向に回転不能に案内できればよく、例えば直線ガイドを用いても良い。
【0023】
第2の付勢部材である戻しスプリング27は、スナップリング28と、ピン押しスライダー33との間に設けられている。戻しスプリング27は、つるまきばねである。ピン押しスライダー33は、戻しスプリング27で、Z正方向へ付勢されている。後述のカム押しスライダー41が後退位置に戻るときに、ピン押しスライダー33は、戻しスプリング27の付勢力により基端位置に戻る。
【0024】
図2ないし
図4を参照して、カム押しスライダー41および移動装置50について説明する。
【0025】
カム押しスライダー41は、主軸15を挟むように、一対設けられている。一対のカム押しスライダー41は、Y方向に延びて設けられる。一対のカム押しスライダー41は回転軸3を通り、Y方向に平行な線に対称に設けられている。Y方向正方向を一方(又は先端)、Y方向負方向を他方(又は基端)と呼ぶ。一対のカム押しスライダー41は、連結板45で連結されている。
【0026】
図3および
図4を参照して、カム押しスライダー41は、段付きの略円筒状をなす。基端部41aと先端側ガイド部41dが細く、中央部基端側の基端側ガイド部41bが最も大径となっている。中央部41cは中間の太さで形成され、その主軸15向きの内側に切欠部41eが設けられている。切欠部41eがあるために、カム押しスライダー41がY軸方向に移動するときに、カム押しスライダー41が主軸15と干渉しない。カム押しスライダー41は、基端側ガイド部41bと先端側ガイド部41dがそれぞれブッシュ47でガイドされてY方向に摺動自在に支持されている。
【0027】
一対のカム押しスライダー41は、その基端部41aにおいて、連結板45により連結されている。連結板45は、直方体状をなしている。連結板45は、一対のカム押しスライダー41のY方向の位置が一致するように保持する。
【0028】
それぞれのカム押しスライダー41の切欠部41eには、カムフォロア43が設けられている。一対のカムフォロア43は、X方向のまわりに回転するように設けられる。一対のカムフォロア43は、Y方向の同じ位置に向かい合って設けられる。カム押しスライダー41の先端方向への移動に伴って、カムフォロア43は、ピン押しスライダー33のカム面33bを転動し、ピン押しスライダー33を主軸15の先端方向へ押し出す。カム面33bが回転軸3から45°以上の角度で設けられているため、カム押しスライダー41の押し出し力が、皿ばね25の付勢力よりも小さな力となる。
【0029】
移動装置50について説明する。移動装置50は、主軸ケース11に配設された押し出し装置である流体圧シリンダ51とリターンスプリング49とを備えている。
【0030】
それぞれのカム押しスライダー41の基端部41aは、流体圧シリンダ51のピストンロッド51aと結合している。流体圧シリンダ51は、複動式シリンダが用いられる。流体圧シリンダは、非圧縮性流体シリンダである油圧シリンダを利用できる。カム押しスライダー41は、流体圧シリンダ51によって、先端方向又は基端方向へ移動する。2つの流体圧シリンダ51によって、それぞれのカム押しスライダー41を押し上げ、かつ、一対のカム押しスライダー41を連結板45で連結しているため、一対のカムフォロア43がスムーズにかつ均等にピン押しスライダー33を押し下げる。流体圧シリンダ51が複動型シリンダであるため、電源停止後にアンクランプ位置で保持できる。
【0031】
リターンスプリング49は、主軸ケースに設けられたガイド穴48内の、カム押しスライダー41の先端側に設けられる。リターンスプリング49はつるまきばねである。リターンスプリング49は、カム押しスライダー41を後端方向へ付勢する。
【0032】
メカストッパ42がガイド穴48に設けられてもよい。メカストッパ42は、カム押しスライダー41の一方の移動を制限する。なお、メカストッパ42は省いても良い。
【0033】
流体圧供給装置52は、流体圧シリンダ51へ流体を供給する。流体圧供給装置52は、流体圧ポンプと、流体タンクと、方向切替え弁とを含む。これらの機器は一般的であるため図示しない。流体圧ポンプは、常時回転する。流体圧シリンダ51を駆動する時のみ、供給弁を介して、流体圧ポンプが汲み上げた流体を流体圧シリンダ51へ送る。
【0034】
望ましくは、流体圧供給装置52は、主軸ケース11のうち、流体圧シリンダ51に近接する位置に設ける。これにより、配管54の配管長を短くできる。そのため、アンクランプ動作およびクランプ動作の所要時間を短縮できる。また、配管内の流体圧力伝達が早くなり、気温変化に伴う動作の所要時間変化を小さくできる。なお、流体圧供給装置52は、主軸装置10を支持する工作機械2のZサドル、移動コラム等の流体圧シリンダ51に近接した位置に設けても良い。
【0035】
さらに望ましくは、流体圧供給装置52とそれぞれの流体圧シリンダ51とを結ぶ配管54の配管抵抗を同一にする。配管54内の流体抵抗が一対の流体圧シリンダ51について同一であれば、一対の流体圧シリンダ51のピストンの動きが同期できる。従って、連結板45への負荷が小さくなり、一対のカム押しスライダー41およびピン押しスライダー33の動作が滑らかになる。
【0036】
なお、流体圧供給装置52は、流体の温度を計測する温度センサと、配管54の配管抵抗を調整するサーボ弁を備えてもよい。温度センサが計測した流体温度に応じて、サーボ弁の開きを調整すれば、流体温度の違いによる流体圧シリンダ51の移動速度を一定速度に調整できる。
【0037】
図1を参照して、主軸ケース11には、検知装置である位置センサ29が設けられる。位置センサ29は、ドグ35の位置を直接検知して、ピン押しスライダー33の位置を検知する。望ましくは、位置センサ29の分解能は、ピン押しスライダー33の移動幅(ストローク)の、好ましくは20分の1ないし200分の1、より好ましくは50分の1ないし100分の1とする。位置センサ29としては、例えば誘電式の距離センサを利用できる。
【0038】
自動工具交換装置7は、サーボモータ7bでアーム7aを駆動する。具体的には、サーボモータ7bは、アーム7aを回転させる。一方で、サーボモータ7bの駆動力を、歯車機構で分岐し、カム機構を用いてアーム7aの送り出しを行う。これによって、アーム7aの送り出しと回転が同期できる。
【0039】
工具交換を行うには、アーム7aの動きと、ドローバー17の動きを連動させ、ドローバー17が前進しきった位置で、ちょうどアーム7aが工具を掴む必要がある。ここで、位置センサ29の分解能が高いため、制御装置9は、ドローバー17の移動速度、移動位置を位置センサ29が読み取り、読み取った動きに合わせて、サーボモータ7bがアーム7aとの動きを調整できる。ドローバー17の位置及び速度に同期してアーム7aを旋回できるため、工具交換速度(Tool to Tool)を短縮できる。
【0040】
さらに、位置センサ29の分解能が20μmないし50μmの場合、工具装着穴15aと工具1との間に切りくず等が噛み込んだ場合、ドローバー17の位置が正常位置からずれていることを検知できる。このため、制御装置9は、工具装着穴15aへの切りくず噛み込みを検知できる。
【0041】
主軸装置10の動作及びその他の作用効果について説明する。
【0042】
主軸装置10において、制御装置9がアンクランプ指令を発すると、流体圧シリンダ51は、カム押しスライダー41を一方側(先端側)へ押し出す。カムフォロア43は、カム面33bを転動し、ピン押しスライダー33、ピン23を介してドローバー17を、皿ばね25および戻しスプリング27の付勢力に抗して、主軸先端方向へ押下げる。プルスタッドコレット19が工具1のプルスタッドを離し、工具1がアンクランプする。
【0043】
主軸装置10において、制御装置9がクランプ指令を発すると、流体圧シリンダ51は、カム押しスライダー41を他方側(基端側)に引き込む。リターンスプリング49の付勢力は、カム押しスライダー41の移動を補助する。皿ばね25および戻しスプリング27の付勢力によって、ドローバー17およびピン押しスライダー33が主軸基端方向へ引き込まれる。
【0044】
主軸装置10は、自動工具交換装置7と機械的に分離している。そして、主軸装置10は、外部からの機械的な力を受けずに、工具1のクランプ動作およびアンクランプ動作を実行できる。そのため、主軸装置10は、その位置や動作タイミングに関わらず、自由に工具1をクランプでき、又はアンクランプできる。
【0045】
本実施形態の主軸装置10によれば、例えば、主軸装置10と、点検扉付近に工具交換用の工具置き台(不図示)を設けた工作機械2を提供できる。主軸装置10は、まず工具交換位置に移動し、摩耗した工具1を主軸装置10に装着する。次いで工具置き台へ移動させ、工具アンクランプを実行する。続いて工作の動力を断ち、作業者(不図示)が工具置き台から摩耗した工具1を取り除き、新しい工具を工具置き台へ取付ける。作業者が点検扉を閉めた後、工作機械2は、工具置き台から新しい工具を主軸装置10に装着する。最後に、工作機械2は工具交換位置へ主軸装置10を移動させ、工具マガジン(不図示)へ新しい工具を納める。工具のシャンクが大きいとき、工具を取り付けた工具ホルダーは重く、取扱いが不便である。しかし、このような工作機械2によれば、作業者は、工具置き台を介して工具の取付け、取り外しを容易にできる。そして、工具置き台を工具交換位置、工具マガジンと無関係に、作業者がアクセスしやすい位置に設けられる。
【0046】
主軸装置に対して機械的に分離された自動工具交換装置やカム装置等、外部装置からの駆動力によって工具クランプ・アンクランプ機構を駆動するとき、外部装置の駆動力に抗して、外部装置を保持しなければならない。例えば、特許文献1の主軸装置によれば、アンクランプカムを駆動する際に、アンクランプカムに、アンクランプカムがローラフォロアを軸支した腕に対して与える駆動力の反力が作用する。この反力に耐えるように、アンクランプカムを支持する必要がある。例えばアンクランプカムが、ベッド上に設けられたフレームに設置されている場合、このフレームが十分な剛性をもつ必要がある。主軸のクランプ力が大きくなればなるほど、フレームの剛性が要求されフレームが大きくなる。
【0047】
本実施形態の主軸装置10は、主軸ケース11に配設された移動装置50を備えるため、外部装置からの駆動力が不要になる。そして、主軸装置10を含む工作機械2全体のサイズを小型化できる。また、主軸装置10は、移動装置50を備えるため、クランプ・アンクランプ時に外部の駆動装置からの負荷が作用しない。従って、主軸装置10の変形が抑制され、主軸装置10を含む工作機械2の加工精度を高められる。さらに、主軸装置10の寿命が延びる。
【0048】
外部装置からの駆動力によって工具クランプ・アンクランプ機構を駆動するときは、この外部装置と、自動工具交換装置7と、主軸装置の相対位置を互いに精密に位置決めする必要がある。しかし、本実施形態の主軸装置10は、移動装置50を備えるため、自由な位置で工具1をクランプ又はアンクランプできる。そのため、主軸装置10は、アーム7aとの相対位置のみを合わせれば、確実に自動工具交換できる。従って、主軸装置10を含む工作機械2では、自動工具交換機構と主軸装置10との位置を合わせやすい。
【0049】
(実施形態2)
図5ないし
図7を参照して、本発明の実施形態2の主軸装置100について説明する。主軸装置100は、流体圧シリンダ51を用いた移動装置50に替えて、サーボモータ駆動式の平板カム装置151を利用している点で相違するが、その他の構成については上述の実施形態1の主軸装置10と同様である。また、移動装置である平板カム装置151を主軸ケース11に配設した点において、同様の構成であり、同様の作用効果を奏する。本実施形態の主軸装置100において、主軸装置10と同様の構成については、主軸装置10と同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図5の回転軸3の上側は、ドローバー17を引き込んだ様子を、回転軸3の下側は、ドローバー17を先端側に押し出した様子をそれぞれ示す。
図5の中心軸5の右側はカム押しスライダー141が後端側に戻った様子を、中心軸5の左側はカム押しスライダー141が先端側に押し出された様子をそれぞれ示す。
【0051】
図6は、
図5のVI−VI線断面図である。図の右側半分は、カム押しスライダー141が基端側(他方)へ移動した状態を、図の左側半分は、カム押しスライダー141が先端側(一方)へ移動した状態を示す。
【0052】
図7は、
図5のVII−VII線断面図である。
図7の上側半分は、ボールねじ163によって平板カム157を主軸15の基端側に移動させた様子を、
図7の下側半分は、ボールねじ163によって平板カム157を主軸15の先端側に移動させた様子を示す。
【0053】
主に
図5を参照して、カム押しスライダー141は、その基端部(Y負方向端部)にローラフォロア169を備える。カム押しスライダー141のその他の構成は、実施形態1のカム押しスライダー41と同様である。ローラフォロア169は、X方向のまわりに回転する。ローラフォロア169は、後述する平板カム157上を転動し、平板カム157の移動に従属してカム押しスライダー141をY方向に往復運動させる。2つのローラフォロア169は、共通の軸171で連結されている。軸171は、一対のカム押しスライダー141の中心を通るように貫通して設けられている。2つのローラフォロア169の回転軸3からの距離は同一に保たれる。
【0054】
ケース153は、平板カム装置(移動装置)151を納める。平板カム装置151は、送りモータ167、ボールねじ163、ボールナット161および平板カムスライダー159を含む駆動装置と、平板カム157を含む。
【0055】
平板カム157は、Y方向から見て2又に分岐するフォーク状をなす(
図7参照)。フォーク状の2本の先端部分は、それぞれY軸に対して斜めに切り取られている。この切り取られた面がカム面157aを構成する。一対のカム面157aは、同一の形状をもつ。カム面157aは概ね15ないし25°の傾斜を持つ。カム面157aは、平面で構成されても良い。カム面157aの傾斜が15ないし25°と緩やかであるため、カム押しスライダー141のY方向の移動量に対する平板カム157の移動量が大きくなる。そのため、送りモータ167は、ピン押しスライダー33の移動量を精密に制御できる。
【0056】
平板カム157の一対のカム面157aは、主軸15の先端方向への移動により、それぞれローラフォロア169を押し上げる。平板カム157の上面および下面には、それぞれガイド155が設けられる。ガイド155は、ピン押しスライダー33が皿ばね25から受ける付勢力を、平板カム157を介して受け止める。
【0057】
平板カム157は、円筒状の平板カムスライダー159に固定されている。平板カムスライダー159の外周円筒面は、ケース153に設けられたガイド153aと摺動する。平板カムスライダー159がガイド153aと摺動するため、平板カム157は、回転軸3に平行に移動できる。平板カムスライダー159の基端側にはボールねじ163が収容される収容室159aが設けられている。収容室159aは、ボールねじ163が回転できる広さを有する。収容室159aの基端部には、ボールナット161が固定されている。
【0058】
ボールナット161は、ボールねじ163と組み合わされる。ボールねじ163は、ベアリング165によってケース153内に軸支される。ボールねじ163は、カップリング166によって送りモータ167の出力軸167aに連結している。
【0059】
送りモータ167はサーボモータが利用できる。送りモータ167に内蔵されるエンコーダは、検知装置として利用できる。エンコーダは、送りモータ167の回転量を測定し、間接的にピン押しスライダー33の位置を検出できる。なお、検出器としてエンコーダに替えて、実施形態1の位置センサ29を利用できる。また、検出器として送りモータ167のエンコーダと位置センサ29を併用しても良い。この他、送りモータ167は、サーボモータに替えて、同期モータとエンコーダ、同期モータとレゾルバの組合せに替えても良い。エンコーダ、レゾルバを検出器として用いる場合、位置センサ29は省いても良い。
【0060】
続いて主軸装置100の動作および作用効果について説明する。
主軸装置100が工具1をアンクランプするときは、送りモータ167がボールねじ163を回転させて、平板カム157を先端方向に移動させる。ローラフォロア169がカム面157a上を転動する。カム押しスライダー141は、ブッシュ47にガイドされてY軸方向正方向へ移動する。カムフォロア43は、カム面33bを転動しながらピン押しスライダー33を主軸15の先端方向へ押し出す。そして、ピン押しスライダー33は、ドローバー17を押し出す。
【0061】
主軸装置100が工具1をクランプするときは、送りモータ167がボールねじ163を回転させて、平板カム157を基端方向に移動させる。ピン押しスライダー33が皿ばね25に付勢されているため、カムフォロア43がカム面33bを転動しながらカム押しスライダーがY負方向へ押し戻される。従って、平板カム157の移動に従属して、ローラフォロア169が転動してカム押しスライダー141が戻る。
【0062】
本実施形態の主軸装置100によれば、平板カム157をサーボ制御するため、ピン押しスライダー33の位置および速度を正確に制御できる。このため、主軸装置100のクランプ、アンクランプ動作を独立した自動工具交換装置7と連動できる。また、平板カム157をサーボ制御するため、クランプ動作、アンクランプ動作に所要する時間を正確に一定値にできる。そして、ドローバー17の位置及び速度に合わせてアーム7aを旋回させるため、工具交換速度(Tool to Tool)を大きく短縮できる。
【0063】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が行われ得る。特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の範囲全てが本発明の対象となる。上述の実施形態は、好適な例を示したものである。当業者ならば、本明細書に開示した内容から各種の代替例、修正例、変形例、改造例を実現でき、これらは本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、ドローバー17、を中空構造とし、主軸モータ39をクーラントスルータイプのモータとし、主軸モータ39の後端からクーラントを供給するクーラントスルーの主軸装置としても良い。また、主軸装置100の平板カム装置151に替えて、丸カムと丸カムを回転させるサーボモータの組合せに替えても良い。