特許第6670230号(P6670230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670230
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】トルク検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20200309BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   G01L3/10 305
   B62D5/04
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-249510(P2016-249510)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-105642(P2018-105642A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】西口 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
(72)【発明者】
【氏名】深谷 繁利
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】神野 智
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−093624(JP,A)
【文献】 特開2004−101277(JP,A)
【文献】 特開平03−249529(JP,A)
【文献】 特開2010−112817(JP,A)
【文献】 特開2013−195108(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/012893(WO,A2)
【文献】 米国特許第08776619(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/10
B62D 5/04
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸(41)と第2軸(43)とを同軸上に連結する弾性部材(42)のねじれ変位に基づき、前記第1軸と前記第2軸との間のねじれトルクを検出するトルク検出装置(10)において、
前記第1軸に固定される磁石(11)と、
前記第2軸において、軸方向に互いに離間した状態で固定される1対の磁気ヨーク(12,121,122)と、
前記1対の磁気ヨークの間において発生する磁束密度を検出する磁気センサ(13)と、を備え、
前記1対の磁気ヨークには、前記磁石に対向して配置され、前記弾性部材がねじれ変位した場合に前記磁石に対して周方向に変位する対向部(151,152)と、前記対向部よりも径方向外側に配置され、それぞれ一方の前記磁気ヨーク側から他方の前記磁気ヨーク側に延びるように設けられ、前記磁気センサを挟んで両側に対向配置される壁部(161,162)と、が設けられ、
一方の前記磁気ヨークの前記壁部と、他方の前記磁気ヨークの前記壁部は、径方向において離間して配置され、
前記磁気センサは、径方向において、一方の前記磁気ヨークの前記壁部と、他方の前記磁気ヨークの前記壁部との間に配置されているトルク検出装置。
【請求項2】
前記磁気センサは、一方の前記磁気ヨークの前記壁部と、他方の前記磁気ヨークの前記壁部との間に発生する磁束密度を検出し、
一方の前記磁気ヨークの前記壁部と、他方の前記磁気ヨークの前記壁部は、平行に設けられている請求項1に記載のトルク検出装置。
【請求項3】
前記磁気ヨークは、前記磁石の外周を囲む環状に形成され、前記対向部と前記壁部とが設けられる環状部(141,142)を備え、
前記壁部は、前記環状部の全周に亘って設けられている請求項1又は2に記載のトルク検出装置。
【請求項4】
前記1対の磁気ヨークに設けられた前記壁部のうち、径方向外側に配置される前記壁部は、径方向において前記磁気センサと重なり、かつ、軸方向に対して斜めに設けられている請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【請求項5】
前記1対の磁気ヨークに設けられた前記壁部のうち、径方向内側に配置される前記壁部から径方向外側に突出する凸部が設けられており、
前記凸部は、軸方向において、前記磁気センサと重なるように突出する請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじれトルクを検出するトルク検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動パワーステアリング装置等において、ねじれトルク(軸トルク)を検出するトルク検出装置(トルクセンサ)が用いられることが知られている。例えば、特許文献1に記載のトルクセンサでは、入力軸と出力軸とを連結するトーションバーがねじれた場合、一組のヨークが、多極磁石に対して周方向に相対的に変位する。このとき、ヨークの間に発生する磁束密度を磁気センサが検出し、磁束密度の変化に基づき、ねじれトルクを検出する。
【0003】
特許文献1のトルクセンサでは、磁界ノイズを遮断する磁気シールドが磁気センサの周りに設けられている。これにより、外部からの磁気センサに直接入力される磁界ノイズの影響が抑えられ、磁束密度の検出精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−89890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外部からの磁界ノイズの影響を抑えるために、磁気シールドを用いると、トルクセンサの構成が複雑化する虞があり、また、組み立て等の工数が増える可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で外部からの磁界ノイズを抑制するトルク検出装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のようにした。
【0008】
第1軸と第2軸とを同軸上に連結する弾性部材のねじれ変位に基づき、前記第1軸と前記第2軸との間のねじれトルクを検出するトルク検出装置は、前記第1軸に固定される磁石と、前記第2軸において、軸方向に互いに離間した状態で固定される1対の磁気ヨークと、前記1対の磁気ヨークの間において発生する磁束密度を検出する磁気センサと、を備え、前記1対の磁気ヨークには、前記磁石に対向して配置され、前記弾性部材がねじれ変位した場合に前記磁石に対して周方向に変位する対向部と、前記対向部よりも径方向外側に配置され、それぞれ一方の前記磁気ヨーク側から他方の前記磁気ヨーク側に延びるように設けられ、前記磁気センサを挟んで両側に対向配置される壁部と、が設けられ、一方の前記磁気ヨークの前記壁部と、他方の前記磁気ヨークの前記壁部は、径方向において離間して配置され、前記磁気センサは、径方向において、一方の前記磁気ヨークの前記壁部と、他方の前記磁気ヨークの前記壁部との間に配置されている。
【0009】
これにより、磁気センサは、磁気ヨークの壁部により、外部からの磁界ノイズの影響を抑制することができる。そして、他方の磁気ヨーク側に延びるような壁部を磁気ヨークに設けることにより、磁界ノイズを抑制できるため、トルク検出装置を、簡易な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ステアリングシステムの概略構成図。
図2】トルク検出装置の分解斜視図。
図3】(a)〜(c)は、トルク検出装置の平面図。
図4】トルク検出装置の切断部端面図。
図5】第2実施形態のトルク検出装置の平面図。
図6】第2実施形態のトルク検出装置の斜視図。
図7】第2実施形態のトルク検出装置の切断部端面図。
図8】別例のトルク検出装置の切断部端面図。
図9】別例のトルク検出装置の切断部端面図。
図10】別例のトルク検出装置の切断部端面図。
図11】別例のトルク検出装置の切断部端面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0012】
実施形態にかかるトルク検出装置10について、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、トルク検出装置10は、例えば、車両のステアリング操作を補助するための電動パワーステアリング装置20を備えたステアリングシステム100に用いられる。
【0013】
ハンドル30は、ステアリングシャフト40と接続される。図2に示すように、ステアリングシャフト40は、ハンドル30と接続される第1軸としての入力軸41と、入力軸41に連結されるトーションバー42と、トーションバー42を介して入力軸41と連結される第2軸としての出力軸43を有する。
【0014】
トーションバー42は、一端側が入力軸41に、他端側が出力軸43にそれぞれ固定ピン44により固定され、入力軸41と出力軸43とを同軸上に連結する。トーションバー42は、棒状の弾性部材であり、ステアリングシャフト40に加えられるねじれトルクに応じて、ねじれ変位し、弾性力を蓄える。図1に示すように、入力軸41と出力軸43との間には、トーションバー42(すなわち、ステアリングシャフト40)に加わるねじれトルクを検出するトルク検出装置10が設けられている。
【0015】
出力軸43の先端には、ピニオンギヤ50が設けられており、ピニオンギヤ50はラック軸51にかみ合わされている。ラック軸51の両端には、タイロッド等を介して、一対の車輪52が連結されている。これにより、ドライバがハンドル30を回転させると、ハンドル30に接続されたステアリングシャフト40が回転する。ステアリングシャフト40が回転すると、ピニオンギヤ50によってラック軸51が左右方向に直線運動する。そして、ラック軸51の変位量に応じて、一対の車輪52が操舵される。
【0016】
電動パワーステアリング装置20は、ドライバによるハンドル30の操舵を補助する補助トルクを出力するモータ21と、減速ギヤ22と、制御装置23等を備える。減速ギヤ22は、モータ21の回転を減速してステアリングシャフト40に伝達する。本実施形態では、コラムアシストタイプであるが、モータ21の回転をピニオンギヤ50に伝えるピニオンアシストタイプや、モータ21の回転をラック軸51に伝えるラックアシストタイプでもよい。制御装置23は、トルク検出装置10からねじれトルクを示す電圧信号を入力し、取得した電圧信号に応じてモータ21の駆動を制御する。
【0017】
なお、以下では、単に軸方向と示した場合には、ステアリングシャフト40(入力軸41、トーションバー42、及び出力軸43も含む。以下同様)の軸方向のことを意味する。また、単に径方向と示した場合には、ステアリングシャフト40の径方向のことを意味し、単に周方向と示した場合には、ステアリングシャフト40の周方向のことを意味する。また、図では、ステアリングシャフト40の軸方向を矢印Zで示し、径方向を矢印Xで示し、周方向を矢印Yで示す。
【0018】
図2に示すように、トルク検出装置10は、入力軸41に固定される磁石11と、出力軸43に固定される1対の磁気ヨーク12と、1対の磁気ヨーク12の間における磁束密度を検出する磁気センサ13等を備える。
【0019】
磁石11は、硬磁性体により円筒状に形成される。磁石11は、入力軸41に同軸上に固定される。磁石11は、N極とS極とが周方向に交互に着磁される。本実施形態では、N極及びS極の数は、8対、計16極である。磁石11の磁極数は、16極に限らず、偶数であればよい。
【0020】
1対の磁気ヨーク12は、軸方向において離間した状態で配置される。なお、1対の磁気ヨーク12を樹脂モールドすることによって、又はスペーサなどによって磁気ヨーク12間の配置が固定される。ここで、入力軸41側に配置される磁気ヨーク12を第1ヨーク121と示し、出力軸側に配置される磁気ヨーク12を第2ヨーク122と示す。第1ヨーク121及び第2ヨーク122は、共に軟磁性体により環状に形成され、磁石11の径方向外側において出力軸43に固定される。
【0021】
具体的には、第1ヨーク121は、円環状の環状部141と、軸方向に沿って延びるように設けられた対向部としての爪部151と、爪部151よりも径方向外側に配置される壁部161とを備える。第2ヨーク122も同様に、円環状の環状部142と、軸方向に沿って延びるように設けられた対向部としての爪部152と、爪部152よりも径方向外側に配置される壁部162とを備える。
【0022】
爪部151,152は、磁石11の極対数と同数(本実施形態では8)設けられている。爪部151,152は、環状部141,142の内縁に沿って等間隔に設けられる。つまり、爪部151,152は、磁石11の磁極ピッチに応じて複数設けられている。第1ヨーク121の爪部151と、第2ヨーク122の爪部152とは、周方向にずれて交互に配置されている。なお、爪部151,152の数は、磁石11の極対数と異なっていてもよい。
【0023】
爪部151,152は、磁石11の外周と対向するように配置されている。図3(b)に示すように、トーションバー42にねじれ変位が生じていない場合、すなわち、ステアリングシャフト40にねじれトルクが加わっていない場合、各爪部151,152の中心と、磁石11のN極とS極の境界とが一致するように配置されている。なお、磁石11と磁気ヨーク12は、非接触である。
【0024】
第1ヨーク121と第2ヨーク122との間には、少なくとも1つの磁気センサ13が配置されている。磁気センサ13は、通過する磁束密度を電圧信号に変換して出力する。磁気センサ13としては、例えば、ホール素子、磁気抵抗素子などが使用される。
【0025】
ここで、磁気センサ13によるねじれトルクの検出について説明する。
【0026】
まず、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されていない場合、つまり、トーションバー42がねじれていない中立位置である場合について説明する。この場合、図3(b)に示すように、爪部151,152の中心がそれぞれ磁石11のN極とS極との境界に一致するように配置されている。このとき、爪部151,152には、磁石11のN極及びS極から同数の磁力線が出入りする。このため、第1ヨーク121と第2ヨーク122の内部で、それぞれ磁力線が閉じられている。したがって、第1ヨーク121と、第2ヨーク122との間に磁束が漏れることなく、磁気センサ13が検出する磁束密度は、ゼロとなる。
【0027】
入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されて、トーションバー42にねじれ変位が生じると、磁石11と1対の磁気ヨーク12との相対位置が周方向に変位する。これにより、図3(a)と図3(c)に示すように、磁気ヨーク12に設けられた爪部151,152の中心と、磁石11のN極とS極との境界が一致しなくなるため、磁気ヨーク12には、N極又はS極の極性を有する磁力線が増加する。
【0028】
この場合、第1ヨーク121と第2ヨーク122は、それぞれ逆の極性を有する磁力線が増加するので、第1ヨーク121と第2ヨーク122との間で磁束密度が発生する。磁気センサ13を検出する磁束密度は、トーションバー42のねじれ変位量に略比例し、かつ、トーションバー42のねじれ方向に応じて極性が反転する。磁気センサ13は、この磁束密度を検出し、電圧信号として出力する。電圧信号の電圧は、磁束密度、すなわち、ねじれ変位量に略比例する。そして、ねじれトルクは、ねじれ変位量に比例するため、電圧信号の電圧も、ねじれトルクに比例することとなる。したがって、トルク検出装置10は、ねじれトルクに応じた電圧信号を出力することが可能となる。
【0029】
ところで、磁気センサ13を用いた場合、外部からの磁界ノイズの影響を受ける場合がある。磁界ノイズとしては、例えば、車両に搭載された電装品のオン・オフによるノイズ、高圧送電線によるノイズ、道路や周辺の道路から発生するノイズ等がある。これらの磁界ノイズの影響を抑えるために、磁界ノイズを遮断する磁気シールドにより磁気センサ13の周りを覆うという構成が考えられる。しかしながら、この場合、部品点数が多くなるうえに、トルク検出装置10の構成が複雑となる可能性がある。また、組み立てる際に、手間(工数)が多くなる可能性がある。
【0030】
そこで、本実施形態のトルク検出装置10では、磁気ヨーク12によって磁気センサ13を覆うことにより、磁界ノイズの影響を抑えることとした。以下、磁気ヨーク12の構成と、磁気センサ13の配置について詳しく説明する。
【0031】
図3に示すように、環状部141,142の内径は、磁石11の外径よりも大きく形成されている。このため、環状部141,142は、磁石11と離間し、非接触となる。図4に示すように、第1ヨーク121の環状部141の外径は、第2ヨーク122の環状部142の外径よりも大きく形成されている。なお、第1ヨーク121の環状部141の内径と、第2ヨーク122の環状部142の内径は同じである。図4は、図3(b)のA−A線切断部端面図である。
【0032】
図4に示すように、環状部141,142は、薄板状に形成され、軸方向に対して直交方向に延びるように設けられている。そして、軸方向において、第1ヨーク121の環状部141は、磁石11の入力軸41側における端部に揃えて配置される。一方、軸方向において、第2ヨーク122の環状部142は、磁石11の出力軸43側における端部に揃えて配置される。このため、軸方向において、第1ヨーク121の環状部141から第2ヨーク122の環状部142までの距離d1は、磁石11の高さと略同じとなる。
【0033】
図1及び図4に示すように、第1ヨーク121の爪部151は、軸方向において、第1ヨーク121から第2ヨーク122側に向かって延びるように設けられている。第2ヨーク122の爪部152も同様に、軸方向において、第2ヨーク122から第1ヨーク121側に向かって延びるように設けられている。爪部151,152は、環状部141,142に対して直交するように立設しており、その先端側が根元部分よりも細くなるように形成されている。また、爪部151,152は、磁石11の外周から、距離を空けて配置されている。
【0034】
図3に示すように、第1ヨーク121の爪部151は、環状部141の内縁に沿って周方向において45度間隔で配置されている。第2ヨーク122の爪部152も同様である。第1ヨーク121は、第2ヨーク122に対して、爪部151,152が22.5度間隔で交互に配置されるように位置決めされる。周方向において、爪部151,152の間には、隣り合う爪部151,152と接触しないように隙間が存在する。また、爪部151,152は、他方の磁気ヨーク12と接触しないように距離を空けている。
【0035】
図4に示すように、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162は、径方向において離間して配置されている。具体的には、第1ヨーク121の壁部161は、第1ヨーク121の環状部141の外縁から、軸方向において第2ヨーク122側に向かって延びるように形成されている。第1ヨーク121の壁部161は、環状部141に対して直交するように設けられている。また、図3(b)の破線に示すように、第1ヨーク121の壁部161は、環状部141の全周に亘って設けられている。
【0036】
一方、第2ヨーク122の壁部162は、図4に示すように、第2ヨーク122の環状部142の外縁から、軸方向において第1ヨーク121側に向かって延びるように形成されている。ただし、第2ヨーク122の壁部162は、その先端が第1ヨーク121に接触しないように設けられている。第2ヨーク122の壁部162は、環状部142に対して直交するように設けられている。つまり、第1ヨーク121の壁部161と第2ヨーク122の壁部162とが、平行となるように設けられている。また、図3(b)の一点鎖線に示すように、第2ヨーク122の壁部162は、環状部142の全周に亘って設けられている。
【0037】
第1ヨーク121の壁部161の長さと、第2ヨーク122の壁部162の長さは、軸方向において壁部161,162が互い違いとなるようにそれぞれ設定されている。本実施形態では、環状部141,142間の距離d1の半分よりも長く、かつ、環状部141,142間の距離d1よりも短く設定されている。これにより、軸方向における磁気ヨーク12間の中心において、壁部161,162が重なる(互い違いとなる)。
【0038】
径方向において、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162との間の距離d2は、磁気ヨーク12間のいずれの距離よりも最も短くなっている。例えば、距離d2は、軸方向において、第2ヨーク122の壁部162の先端から、第1ヨーク121の環状部141までの距離d3よりも短い。距離d2は、径方向において、第1ヨーク121の壁部161から爪部151,152までの距離d4よりも短い。距離d2は、径方向において、第2ヨーク122の壁部162から爪部151,152までの距離d5よりも短い。また、距離d2は、周方向において、隣り合う爪部151,152間の距離よりも短い。このため、磁石11に対して磁気ヨーク12との相対位置が周方向に変位した場合、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162との間には、径方向において磁束密度が発生する。つまり、磁気ヨーク12の壁部161,162以外の部分から磁束が漏れることを抑えることができる。
【0039】
磁気センサ13は、径方向において、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162との間に配置される。すなわち、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162は、磁気センサ13を挟んで両側に対向配置されている。この磁気センサ13は、径方向における磁束密度を検出するように配置される。つまり、磁気センサ13は、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162との間に発生する径方向の磁束密度を検出する。また、磁気センサ13は、径方向において、第1ヨーク121の外縁から内縁の間に配置され、第2ヨーク122の外縁よりも外側に配置される。すなわち、第1ヨーク121の環状部141は、径方向において、少なくとも磁気センサ13と重なるように設けられている。
【0040】
磁気センサ13は、軸方向において、第1ヨーク121の壁部161の先端から第2ヨーク122の壁部162の先端までの間に配置される。すなわち、径方向において、壁部161,162が重なっている部分(互い違いとなっている部分)において配置される。例えば、軸方向において、環状部141,142間の中心に配置される。
【0041】
以上により、径方向において磁気センサ13の両側は、壁部161,162により覆われている。さらに、壁部161,162は、環状部141,142の外縁に沿って全周に亘って設けられているため、磁気センサ13は、壁部161,162により軸方向に直交する全方向(例えば、軸方向及び径方向に直交する方向)も覆われていることとなる。また、第1ヨーク121の環状部141により、軸方向において、磁気センサ13の第1ヨーク121側が覆われている。
【0042】
上記構成により、以下の効果を奏する。
【0043】
径方向において、磁気センサ13の両側は、壁部161,162によって覆われている(挟まれている)。このため、径方向からの磁界ノイズは、壁部161,162に吸収され、磁気センサ13が検出する磁束密度に直接影響を与えることがなくなり、径方向からの磁界ノイズの影響を抑えることができる。また、磁気センサ13は、軸方向において第1ヨーク121側が、第1ヨーク121の環状部141により、覆われている。このため、軸方向において第1ヨーク121側からの磁界ノイズは、環状部141に吸収され、磁気センサ13が検出する磁束密度に直接影響を与えることがなくなる。つまり、軸方向において、第1ヨーク121側からの磁界ノイズの影響を抑えることができる。
【0044】
そして、壁部161,162は、径方向に離間して配置されており、壁部161,162は、他方の磁気ヨーク12側に延びるような構造をしている。このため、壁部161,162を容易に設けることができる。例えば、金属板をプレス加工等で折り曲げれば、容易に壁部161,162を設けることができる。また、例えば、環状の環状部141,142の外縁に沿って壁部161,162を溶接等することにより、容易に壁部161,162を設けることができる。また、軸方向に沿って第2ヨーク122に対して第1ヨーク121を被せるように組み付ければよいため、壁部161,162が設けられていない場合と比較して、組み付ける際の手間が変わらない。したがって、トルク検出装置10を、簡易な構成とすることができる。
【0045】
また、壁部161,162は、平行であるため、磁気センサ13の配置が軸方向にずれたとしても、磁束密度を検出可能であり、検出精度も落ちない。このため、トルク検出装置10の組み立てが容易となる。
【0046】
壁部161,162は、環状部141,142の外縁に沿って全周に亘って設けられているため、磁気センサ13は、壁部161,162により軸方向に直交する方向(例えば、径方向に直交する方向)も覆われていることとなる。このため、軸方向に直交する全方向からの磁界ノイズを壁部161,162に吸収させることができ、磁気センサ13が検出する磁束密度に与える影響を抑えることができる。
【0047】
また、磁気センサ13は、軸方向において、第1ヨーク121の壁部161の先端よりも環状部141側に配置されている。このため、先端付近に磁気センサ13を配置する場合と比較して、磁界ノイズの影響を抑えることができる。
【0048】
(第2実施形態)
第2実施形態のトルク検出装置10では、爪部151,152の形状に一部変更を加えた。以下、図5図7に基づき、詳しく説明する。なお、図6では、説明の都合上、壁部161,162の図示を省略している。
【0049】
図5に示すように、第1ヨーク121の爪部151は、環状部141の内縁から、径方向内側(磁石11側)に延びるように形成された後、図6及び図7に示すように、軸方向において第2ヨーク122側に延びるように形成されている。すなわち、爪部151は、環状部141の内縁から径方向内側に延びる延出部151aと、延出部151aから軸方向に沿って、磁石11に対向する対向部151bとを有している。
【0050】
図5及び図6に示すように、径方向において、延出部151aの長さは、環状部141の内縁から磁石11までの長さよりも短く形成されている。すなわち、爪部151は、磁石11の手前で折れ曲がるように形成されている。
【0051】
図6及び図7に示すように、対向部151bは、径方向において延出部151aの内側端部(つまり、磁石11側端部)から第2ヨーク122側に延びるように形成されている。また、軸方向において、対向部151b(爪部151)の長さは、環状部141,142間の距離d1よりも長くした。対向部151bの長さを距離d1よりも長くすることで、磁石11と対向する面積を大きくしている。第2ヨーク122の爪部152も同様に形成されている。
【0052】
また、図5に示すように、爪部151は、第1実施形態と同様に、環状部141に沿って周方向において45度間隔で配置されている。第2ヨーク122の爪部152も同様である。第1ヨーク121は、第2ヨーク122に対して、爪部151,152が22.5度間隔で交互に配置されるように位置決めされる。これにより、図5及び図6に示すように、周方向において、爪部151,152の間には、隣り合う爪部151,152と接触しないように隙間が存在する。また、図7に示すように、爪部151,152は、他方の磁気ヨーク12と接触しないように距離を空けている。
【0053】
なお、径方向において、一方の環状部141に設けられた爪部151から他方の環状部142の内縁(内径)までの距離d6は、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162との間の距離d2よりも長く形成されている。同様に、爪部152から環状部141の内径までの距離d6は、距離d2よりも長い。また、周方向において、隣り合う爪部151,152間の距離は、距離d2よりも長い。
【0054】
このため、磁石11に対して磁気ヨーク12との相対位置が周方向に変位した場合、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162との間には、径方向において磁束密度が発生する。つまり、磁気ヨーク12の壁部161,162以外の部分から磁束が漏れることを抑えることができる。
【0055】
上記構成により、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0056】
軸方向において、爪部151,152の長さを、環状部141,142間の距離d1よりも長くなるようにした。これにより、環状部141,142間の距離d1よりも短い場合と比較して、爪部151,152が磁石11と対向する面積を大きくすることができる。このため、壁部161,162間に発生する磁束密度を大きくすることができ、検出しやすくなる。
【0057】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
【0058】
・壁部161,162を環状部141,142に対して直交するように設けたが、直交しなくてもよい。例えば、図8図9に示すように、環状部141,142に対して、斜めとなる(90度未満となる)ように、壁部161,162を設けてもよい。この場合、径方向外側に配置される壁部161は、軸方向において磁気センサ13と重なるように、軸方向に対して斜めに設けられていることが望ましい。このようにすれば、壁部161により、軸方向において、磁気センサ13の第2ヨーク122側(出力軸43側)を覆うことができる。これにより、第2ヨーク122側からの磁界ノイズの影響を抑えることができる。
【0059】
・第1ヨーク121の外縁に壁部161を設けたが、外縁でなくてもよい。この場合、磁気センサ13が配置される位置よりも径方向において外側に壁部161が設けられるようにすればよい。
【0060】
・第2ヨーク122の外縁に壁部162を設けたが、外縁でなくてもよい。この場合、磁気センサ13が配置される位置よりも径方向において内側に壁部162が設けられるようにすればよい。
【0061】
・環状部141,142は、軸方向に対して斜め方向に延びるように設けられていてもよい。
【0062】
図10に示すように、第2ヨーク122の壁部162から、径方向外側に突出する凸部172を設けてもよい。この凸部172は、軸方向において、壁部161の先端よりも第2ヨーク122側(出力軸43側)に設けられていることが望ましい。また、凸部172の先端は、径方向において磁気センサ13よりも外側まで延びるように(磁気センサ13と重なるように)設けられていることが望ましい。すなわち、凸部172は、壁部161と壁部162との間の隙間に対向する位置に設けられていることが望ましい。これにより、凸部172により軸方向において出力軸43側からの磁界ノイズの影響を抑えることができる。
【0063】
・磁石11の着磁方向を変更してもよい。この場合、磁石11の着磁方向に合わせて、爪部151,152の形状を任意に変更してもよい。例えば、図11に示すように、軸方向に着磁した場合、爪部151,152を、内縁から軸心に延びるようにすればよい。この場合、第1ヨーク121の爪部151と、第2ヨーク122の爪部152は、周方向において同じ位置に配置される。
【0064】
・軟磁性体によって形成され、磁界ノイズを遮断する磁気シールドを設けてもよい。例えば、壁部161,162の間を覆うように、すなわち、径方向において磁気センサ13と重なるように、壁部162の径方向外側にリング状の磁気シールドを設けてもよい。このようにすれば、軸方向において、第2ヨーク122側からの磁界ノイズの影響を抑制することができる。
【0065】
・軟磁性体で形成され、第1ヨーク121からの磁束を集める集磁部と、第2ヨーク122からの磁束を集める集磁部と、を設けてもよい。例えば、第1ヨーク121の壁部161の径方向内側に、リング状の集磁部を設ける一方、第2ヨーク122の壁部162の径方向外側に、リング状の集磁部を設けてもよい。そして、集磁部間に発生する磁束密度を磁気センサ13により検出するようにしてもよい。
【0066】
・環状部141,142の全周に壁部161,162を設けたが、全周に設けなくてもよい。例えば、磁気センサ13を径方向において挟むように、平面視円弧状の壁部161,162を設けてもよい。
【0067】
・軸方向において、第1ヨーク121の壁部161を、第2ヨーク122の環状部142よりも出力軸43側に延設し、その先端を軸心に向かうように折り曲げてもよい。これにより、壁部161の折り曲げ部分(先端部分)により、軸方向において磁気センサ13を覆うことができる。このため、軸方向において、第2ヨーク122側からの磁界ノイズの影響を抑制することができる。
【0068】
・第1ヨーク121と、第2ヨーク122の形状を逆にしてもよい。すなわち、第2ヨーク122の環状部142の外径を、第1ヨーク121の環状部141の外径よりも大きくしてもよい。そして、第2ヨーク122の壁部162を、径方向において、第1ヨーク121の壁部161よりも外側に配置してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…トルク検出装置、11…磁石、12…磁気ヨーク、13…磁気センサ、41…入力軸、42…トーションバー、43…出力軸、121…第1ヨーク、122…第2ヨーク、151,152…爪部、161,162…壁部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11