特許第6670232号(P6670232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670232
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】重水素富化アルデヒド
(51)【国際特許分類】
   A01N 35/02 20060101AFI20200309BHJP
   A01N 63/10 20200101ALI20200309BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20200309BHJP
   A01P 19/00 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   A01N35/02
   A01N63/00 B
   A01P17/00
   A01P19/00
【請求項の数】10
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2016-503324(P2016-503324)
(86)(22)【出願日】2014年3月15日
(65)【公表番号】特表2016-516727(P2016-516727A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】US2014030065
(87)【国際公開番号】WO2014145325
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月2日
【審判番号】不服2019-51(P2019-51/J1)
【審判請求日】2019年1月4日
(31)【優先権主張番号】61/787,272
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/817,006
(32)【優先日】2013年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248333
【氏名又は名称】デューテリア アグロケミカルズ,リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Deuteria Agrochemicals,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】クザーニク,アンソニー
【合議体】
【審判長】 瀬良 聡機
【審判官】 村上 騎見高
【審判官】 中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−250341号公報(JP,A)
【文献】 特開平06−040990号公報(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0319007号明細書(US,A1)
【文献】 特開平06−040989号公報(JP,A)
【文献】 特開平02−256640号公報(JP,A)
【文献】 特開昭57−150603号公報(JP,A)
【文献】 特開昭52−099214号公報(JP,A)
【文献】 特開平06−040809号公報(JP,A)
【文献】 特開平09−241105号公報(JP,A)
【文献】 Nishizawa,M.et al.,Tetrahedron Letters,1980年,21(29),2821−2824
【文献】 SEEBACH,D.et al.,Journal of Organic Chemistry,1966年,31(12),4303−4304
【文献】 DEGANI,Iacopo et al.,Tetrahedron Letters,1981年,22(19),1821−1822
【文献】 MEYERS,A.I.et al.,Journal of the American Chemical Society,1969年,91(3),763−764
【文献】 MALKOV,Andrei V.et al.,2008年,130(15),5341−5348
【文献】 MICHEL,Dedieu et al.,Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,1976年,12(3),389−94
【文献】 Noyori,R.et al.,Journal of the American Chemical Society,1984年,106,6717−6725
【文献】 Noyori,R.,Pure and Applied Chemistry,1981年,53(12),2315−2322
【文献】 HOSKOVEC,Michal et al.,Tetrahedron,2002年,58(45),9193−9201
【文献】 KIM,Junheon et al.,Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,2004年,47(13),921−934
【文献】 CHEN,Jian−Lian et al.,Free Radical Biology & Medicine,2011年,51(9),1823−1829
【文献】 FRONZA,Giovanni et al.,Journal of the Chemical Society, Chemical Communications,1995年,(4),439−440
【文献】 BOWDEN,Keith et al.,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 2: Physical Organic Chemistry,1990年,(12),2089−2092
【文献】 YAMADA,Haruo et al.,Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,1987年,24(5),,561−575
【文献】 BECK,Warren F.et al.,Journal of Physical Chemistry,1984年,88(16),3431−3435
【文献】 DECOU,Donald F.et al.,Developments in Food Science,1995年,37,525−548
【文献】 GBUR,Randi K.et al.,Journal of Organic Chemistry,2012年,77(5),2134−2141
【文献】 SCHOLTE,Andrew A.et al.,Organic & Biomolecular Chemistry,2006年,4(4),730−742
【文献】 GAJEWSKI,Joseph J.et al.,Journal of Organic Chemistry,2002年,67(12),4236−4240
【文献】 RAKOFF,Henry,Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,1976年,12(3),473−475
【文献】 LENGES,Christian P. et al.,1998年,120(28),6965−697925.ABAD,Jose−Luis et al.,2006年,71(20),7558−7564
【文献】 福山勝,有機合成化学,1965年,23(8),700−712
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N25/00-65/48
A01P17/00-19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重水素富化アルデヒド
を含む組成物であって、
前記組成物中に前記アルデヒドの少なくとも6×1018個の分子が存在し;
が水素であり、前記水素において、R水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が存在し;
前記重水素富化アルデヒドがフェロモンであり、および、前記組成物が昆虫の挙動調節するための組成物であり;
前記組成物が、前記組成物に適した任意選択的な追加の成分を更に含み、前記成分が、農薬、溶媒、分注用の物質または装置、および昆虫を捕捉することができる粘着剤から選択される;
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、Rにおける前記重水素同位体が、Rに存在する前記水素原子の50パーセントを超える量であることを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物において、Rにおける前記重水素同位体が、Rに存在する前記水素原子の90パーセントを超える量であることを特徴とする組成物。
【請求項4】
昆虫の挙動を調節する方法において、前記昆虫から保護しようとする地域に請求項1乃至3の何れか1項に記載の組成物を導入することを含ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、調節が、昆虫をトラップに誘引することを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法において、調節が、昆虫の交尾を撹乱させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れか1項に記載の方法において、請求項1乃至3の何れか1項に記載の組成物に含まれる重水素富化アルデヒドのにおける前記重水素同位体が、Rに存在する水素原子の50パーセントを超える量であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項4乃至6の何れか1項に記載の方法において、請求項1乃至3の何れか1項に記載の組成物に含まれる重水素富化アルデヒドのにおける前記重水素同位体が、Rに存在する水素原子の90パーセントを超える量であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項4乃至8の何れか1項に記載の方法において、前記組成物を、昆虫が入るが出ることができないトラップの表面に塗布することを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項4乃至8の何れか1項に記載の方法において、
記組成物が昆虫の交尾を撹乱し;
記組成物が小片上に含浸されて散布され、ポリマー中空繊維中に含浸されて散布され、または、ゴムセプタム内に吸着され、前記小片、前記ポリマー中空繊維または前記ゴムセプタムが担体であり;および
導入することは、前記組成物を前記保護しようとする地域に散布することを含む;
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、重水素富化アルデヒド、重水素富化アルデヒドを含む組成物、およびアルデヒドの自動酸化の速度を遅らせる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルデヒドは、H−C(O)−部分を含有する有機化合物である。アルデヒドは工業プロセスで広く使用されている。例えば、ホルムアルデヒドは約6,000,000トン/年のスケールで生産されている。アルデヒドは樹脂の生産で主に使用されるが、可塑剤の前駆体として、およびポリマーの製造で使用されるその他の化合物としても適用される。より小さい規模では、香料、香味料、および昆虫の挙動を調節する組成物、例えばフェロモン含有組成物の成分として、いくつかのアルデヒドが使用される。
【0003】
アルデヒドには、自動酸化(auto−oxidation)または自動酸化(autoxidation)として知られているプロセスで大気中の酸素と反応してカルボン酸を形成する(H−C(O)−が酸化してHOC−になる)傾向がある。自動酸化で生じた酸により、アルデヒド含有組成物の品質および有用性が低下する可能性がある。
【0004】
アルデヒドの保存を対象としている全ての研究および開発にも関わらず、当技術分野では、アルデヒド含有組成物および関連する方法の改善が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
ある態様では、本発明は、下記構造1:
の新規の重水素富化アルデヒドを提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、構造1の重水素富化アルデヒドを製造する新規の方法を提供する。
【0007】
別の態様では、本発明は、構造1の重水素富化アルデヒドを含む新規の組成物を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、構造1の重水素富化アルデヒドと有機溶媒とを含む新規の組成物を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物であって、構造1の重水素富化アルデヒドと、この組成物に適した任意選択的な追加の成分とを含む組成物を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、構造1の重水素富化アルデヒドを使用して樹脂またはポリマーを製造する新規の方法を提供する。
【0011】
下記の詳細な説明の中で明らかになるであろうこれらの態様およびその他の態様は、重水素がアルデヒドの自動酸化を遅らせることができるという本発明者らの発見により実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ベンズアルデヒドの安息香酸への空気酸化の量を比較するグラフを示しており、カルボニル基上の水素原子(即ちH−C(O)Ph)は、その重水素同位体に富んでいる(即ち>95%重水素、「ベンズアルデヒド−D」)、および富んでいない(即ち天然に存在する同位体存在度、「ベンズアルデヒド−H」)。
図2図2は、ヘキサナールのヘキサン酸への空気酸化の量を比較するグラフを示しており、カルボニル基の水素原子(即ちH−C(O)C11)は、その重水素同位体に富んでいる(即ち>95%重水素、「ヘキサナール−D」)、および富んでいない(即ち天然に存在する同位体存在度、「ヘキサナール−H])。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本明細書に記載の全ての例は限定すること意図していない。
【0014】
「アルキル」はアルカン化学部分を意味する。アルカンは、直鎖、分枝または環状であることができる。低級アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基である。高級アルキル基は、7〜20個の炭素原子を含むアルキル基である。環状アルキル基またはシクロアルキル基は3〜8個の炭素原子を含む。そのような部分の例として、CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、CHCHCHCH、CH(CH)CHCH、CHCH(CH、C(CH、CHCHCHCHCH、CH(CH)CHCHCH、CHCH(CH)CHCH、CHCHCH(CH、CHCHCHCHCHCH、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルが挙げられる。
【0015】
「置換アルキル」は、水素原子のうちの1個または複数個が別の化学基で置き換えられているアルキル基を意味する。そのようなその他の化学基の例として、ハロ、OH、OR(Rは低級アルキル基である)、CF、OCF、NH、NHR(Rは低級アルキル基である)、NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、COH、CO(Rは低級アルキルである)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールならびに置換ヘテロアリールが挙げられる。
【0016】
「ハロ」はCl、F、BrまたはIを意味する。
【0017】
「アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を含む、炭素および水素のみを含有する部分を意味する。アルケンは直鎖、分枝または環状であることができる。低級アルケニル基は、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基である。高級アルケニル基は、7〜20個の炭素原子を踏むアルケニル基である。環状アルケニル基またはシクロアルケニル基は5〜8個の炭素原子を含む。そのような部分の例として、CH=CH、CH=CHCH、CHCH=CH、CH=CHCHCH、CHCH=CHCH、CHCHCH=CH、CH=CHCHCHCH、CH=CHCH(CH、CHCH=CHCHCH、CHCHCH=CHCH、CHCHCHCH=CH、CH=CHCHCHCHCH、CH=CHCHCH(CH、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。
【0018】
「置換アルケニル」は、水素原子のうちの1個または複数個が別の化学基で置き換えられているアルケニル基を意味する。そのようなその他の化学基の例として、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アルキル、置換アルキル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールならびに置換ヘテロアリールが挙げられる。置き換えられる水素原子が二重結合の炭素上ではない場合、そのようなその他の化学基の例として、ハロ、OH、OCH、CF、OCF、NH、NHR(Rは低級アルキル基である)ならびにNR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)が更に挙げられる。
【0019】
「アルキニル」は、三重結合を含む、炭素および水素のみを含有する部分を意味する。アルキンは直鎖または分枝であることができる。低級アルキニル基は、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基である。高級アルキニル基は、7〜20個の炭素原子を含むアルキニル基である。そのような部分の例として、C≡CH、C≡CCH、CHC≡CH、C≡CCHCH、CHC≡CCH、CHCHC≡CH、C≡CCHCHCH、CHC≡CCHCH、CHCHC≡CCH、CHCHCHC≡CH、C≡CCHCHCHCH、CHC≡CCHCHCH、CHCHC≡CCHCH、CHCHCHC≡CCH、CHCHCHCHC≡CHおよびC≡CCHCH(CHが挙げられる。
【0020】
「置換アルキニル」は、水素原子のうちの1個または複数個が別の化学基で置き換えられているアルキニル基を意味する。そのようなその他の化学基の例として、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールならびに置換ヘテロアリールが挙げられる。置き換えられる水素原子が三重結合の炭素原子上ではない場合、そのようなその他の化学基の例として、ハロ、OH、OCH、CF、OCF、NH、NHR(Rは低級アルキル基である)、NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)が更に挙げられる。
【0021】
「ヘテロアルキル」は、炭素原子のうちの少なくとも1個がヘテロ原子で置き換えられているアルキル基を意味する。ヘテロ原子の例として、酸素(「O」)、窒素(「N」)および硫黄(「S」)が挙げられる。ヘテロアルカンは、直鎖、分枝または環状であることができる。低級ヘテロアルキル基は、1〜6個の炭素とヘテロ原子とを含むヘテロアルキル基である。高級ヘテロアルキル基は、7〜20個の炭素とヘテロ原子とを含むヘテロアルキル基である。ヘテロアルキル基の例として、CHOCH、CHCHOCH、CHN(R)CH(Rは低級アルキル基である)、CHCHN(R)CH(Rは低級アルキル基である)、CHSCH、CHCHSCH、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランおよびモルホリンが挙げられる。
【0022】
「置換ヘテロアルキル」は、水素原子のうちの1個または複数個が別の化学基で置き換えられているヘテロアルキル基を意味する。置き換えられる水素原子は典型的には、ヘテロ原子に直接取り付けられている炭素原子上ではない。そのようなその他の化学基の例として、ハロ、OH、OCH、CF、OCF、NH、NHR(Rは低級アルキル基である)、NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アルキル、アリールならびにヘテロアリールが挙げられる。
【0023】
「アリール」は、炭素および水素のみを含有する芳香族基(例えばCおよびH10)を意味する。
【0024】
「置換アリール」は、水素原子のうちの少なくとも1個が別の化学基で置き換えられているアリール基を意味する。そのようなその他の化学基の例として、ハロ、OH、OCH、CF、OCF、NH、NHR(Rは低級アルキル基である)、NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アルキル、アリールならびにヘテロアリールが挙げられる。
【0025】
「ヘテロアリール」は、炭素原子のうちの少なくとも1個がヘテロ原子で置き換えられている芳香族基を意味する。そのようなヘテロ原子の例として、酸素(「O」)、窒素(「N」)および硫黄(「S」)が挙げられる。ヘテロアリール基の例として、CO、CN、CSおよびCNが挙げられる。
【0026】
「置換ヘテロアリール」は、水素原子のうちの少なくとも1個が別の化学基で置き換えられているヘテロアリール基を意味する。そのようなその他の化学基の例として、ハロ、OH、OCH、CF、OCF、NH、NHR(Rは低級アルキル基である)、NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アリールならびにヘテロアリールが挙げられる。
【0027】
態様
ある態様では、本発明は、下記構造1:
の重水素富化アルデヒドを対象とし、この重水素富化アルデヒドにおいてRが水素であり、この水素において、重水素同位体がR水素原子の0.10パーセントを超える量である。いくつかの場合では、重水素同位体がR水素原子の1%超を占めている、またはR水素原子の2%超、5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超もしくは95%パーセント超を占めている。R、RおよびRが独立して、水素(この水素は富化されていない(即ち天然に存在する)、またはこの水素の重水素同位体が例えば1%を超えて、2%を超えて、5%を超えて、10%を超えて、20%を超えて、30%を超えて、40%を超えて、50%を超えて、60%を超えて、70%を超えて、80%を超えて、90%を超えてもしくは95%を超えて富化されている)、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される。あるいは、CR部分が、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される基を形成する。あるいは、CR部分が、アルケニルおよび置換アルケニルから選択される基を形成する。あるいは、CR部分が、アルキニルおよび置換アルキニルから選択される基を形成する。任意選択的に、アルデヒドがC(O)Rで置換されており、このC(O)RにおいてRが水素であり、この水素においてR水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が任意選択的に存在しており、但し、R水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が存在する場合にはRは任意選択的にHである。いくつかの場合では、重水素同位体がR水素原子の1%超を占めているか、またはR水素原子の2%超、5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超もしくは95%パーセント超を占めている。
【0028】
別の態様では、本発明は、下記構造1:
の重水素富化アルデヒドを含む組成物であって、構造1のアルデヒドの少なくとも6×1018個の分子が存在する組成物を提供する。本発明の組成物は典型的には、少なくとも6×1019個の分子を含むことができ、例えば少なくとも6×1020個の分子、6×1021個の分子、6×1022個の分子または6×1023個の分子を含むことができる。Rが水素であり、この水素において、重水素同位体がR水素原子の0.10パーセントを超える量である。いくつかの場合では、重水素同位体がR水素原子の1%超を占めているか、またはR水素原子の2%超、5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超もしくは95%パーセント超を占めている。R、RおよびRが独立して、水素(この水素は富化されていない(即ち天然に存在する)、またはこの水素の重水素同位体が例えば1%を超えて、2%を超えて、5%を超えて、10%を超えて、20%を超えて、30%を超えて、40%を超えて、50%を超えて、60%を超えて、70%を超えて、80%を超えて、90%を超えてもしくは95%を超えて富化されている)、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される。あるいは、CR部分が、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される基を形成する。あるいは、CR部分が、アルケニルおよび置換アルケニルから選択される基を形成する。あるいは、CR部分が、アルキニルおよび置換アルキニルから選択される基を形成する。任意選択的に、アルデヒドがC(O)Rで置換されており、このC(O)RにおいてRが水素であり、この水素においてR水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が任意選択的に存在しており、但し、R水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が存在する場合にはRは任意選択的にHである。いくつかの場合では、重水素同位体がR水素原子の1%超を占めているか、またはR水素原子の2%超、5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超もしくは95%パーセント超を占めている。
【0029】
別の態様では、「構造1のアルデヒド」を含む組成物への言及は、構造1のアルデヒドを少なくとも0.1モル含む組成物を意味する。本発明の組成物は、構造1のアルデヒドを例えば少なくとも0.2モル、0.5モル、1モル、2モル、3モル、4モル、5モル、10モルまたは20モル含むことができる。
【0030】
別の態様では、「構造1のアルデヒド」を含む組成物への言及は、構造1のアルデヒドを少なくとも1グラム含む組成物を意味する。本発明の組成物は、構造1のアルデヒドを例えば少なくとも5グラム、10グラム、20グラム、30グラム、40グラム、50グラム、100グラム、500グラムまたは1,000グラム含むことができる。
【0031】
別の態様では、本発明は、下記構造1:
の重水素富化アルデヒドを含む組成物において、
アルデヒドの少なくとも6×1018個の分子が存在し、
が水素であり、この水素においてR水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が存在し、
、RおよびRが独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択され、
あるいは、CR部分が、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される基を形成し、
あるいは、CR部分が、アルケニルおよび置換アルケニルから選択される基基を形成し、
あるいは、CR部分が、アルキニルおよび置換アルキニルから選択される基基を形成し、
任意選択的に、アルデヒドがC(O)Rで置換されており、このC(O)RにおいてRが水素であり、この水素においてR水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が任意選択的に存在しており、但し、R水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が存在する場合にはRは任意選択的にHである
組成物を提供する。
【0032】
下記は、本発明に係るアルデヒドの例である。
1.RおよびRが水素でありRが低級アルキルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
2.RおよびRが水素でありRが高級アルキルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
3.RおよびRが水素であり、Rが置換アルキルであり、置換アルキルが低級アルキルであり、1個または複数個のその他の化学基が、ハロ、OH、OR(Rは低級アルキル基である)、CF、OCF、NH、NHR(Rは低級アルキル基である)、NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アリール、置換アリール、ヘテロアリールならびに置換ヘテロアリールから選択される、構造1の重水素富化アルデヒド。
4.RおよびRが水素であり、Rが置換アルキルであり、置換アルキルが高級アルキルであり、1個または複数個のその他の化学基が、ハロ、OH、OR(Rは低級アルキル基である)、CF、OCF、NH、NHR(Rは低級アルキル基である)、NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アリール、置換アリール、ヘテロアリールならびに置換ヘテロアリールから選択される、構造1の重水素富化アルデヒド。
5.RおよびRが水素でありRが低級アルケニルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
6.RおよびRが水素でありRが高級アルケニルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
7.RおよびRが水素であり、Rが置換アルケニルであり、置換アルケニルが低級アルケニルであり、1個または複数個のその他の化学基が、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アリール、置換アリール、ヘテロアリールならびに置換ヘテロアリールから選択される、構造1の重水素富化アルデヒド。
8.RおよびRが水素であり、Rが置換アルケニルであり、置換アルケニルが高級アルケニルであり、1個または複数個のその他の化学基が、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アリール、置換アリール、ヘテロアリールならびに置換ヘテロアリールから選択される、構造1の重水素富化アルデヒド。
9.RおよびRが水素でありRが低級アルキニルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
10.RおよびRが水素でありRが高級アルキニルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
11.RおよびRが水素であり、Rが置換アルキニルであり、置換アルキニルが低級アルキニルであり、化学基が、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アリール、置換アリール、ヘテロアリールならびに置換ヘテロアリールから選択される、構造1の重水素富化アルデヒド。
12.RおよびRが水素であり、Rが置換アルキニルであり、置換アルキニルが高級アルキニルであり、化学基が、COH、CO(Rは低級アルキル基である)、C(O)NH、C(O)NHR(Rは低級アルキル基である)、C(O)NR(RおよびRは独立して低級アルキル基である)、CN、アリール、置換アリール、ヘテロアリールならびに置換ヘテロアリールから選択される、構造1の重水素富化アルデヒド。
13.RおよびRが水素でありRが低級ヘテロアルキルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
14.RおよびRが水素でありRが高級ヘテロアルキルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
15.RおよびRが水素であり、Rが置換ヘテロアルキルであり、置換ヘテロアルキルが低級ヘテロアルキルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
16.RおよびRが水素であり、Rが置換ヘテロアルキルであり、置換ヘテロアルキルが高級ヘテロアルキルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
17.RおよびRが水素でありRがアリールである、構造1の重水素富化アルデヒド。
18.RおよびRが水素でありRが置換アリールである、構造1の重水素富化アルデヒド。
19.RおよびRが水素でありRがヘテロアリールである、構造1の重水素富化アルデヒド。
20.CRがアリールである、構造1の重水素富化アルデヒド。
21.CRが置換アリールである、構造1の重水素富化アルデヒド。
22.CRがヘテロアリールである、構造1の重水素富化アルデヒド。
23.CRが置換ヘテロアリールである、構造1の重水素富化アルデヒド。
24.CRがアルケニルでありRが水素である、構造1の重水素富化アルデヒド。
25.CRが置換アルケニルでありRが水素である、構造1の重水素富化アルデヒド。
26.CRがアルケニルでありRがアルキルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
27.CRが置換アルケニルでありRがアルキルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
28.Rが、C(O)Rで置換されているアルキルである、構造1の重水素富化アルデヒド。
29.Rが、C(O)Rで置換されているアルキルであり、RおよびRが水素である、構造1の重水素富化アルデヒド。
30.CRが、C(O)Rで置換されているアリールである、構造1の重水素富化アルデヒド。
31.CRが、C(O)Rで置換されている置換アリールである、構造1の重水素富化アルデヒド。
【0033】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとして、下記に示す2〜64の番号が付けられたアルデヒドが挙げられる。
【0034】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の2%を超える量である。
【0035】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の10%を超える量である。
【0036】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の20%を超える量である。
【0037】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の30%を超える量である。
【0038】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の40%を超える量である。
【0039】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の50%を超える量である。
【0040】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の60%を超える量である。
【0041】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の70%を超える量である。
【0042】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の80%を超える量である。
【0043】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の90%を超える量である。
【0044】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとしてアルデヒド2〜64が挙げられ、これらアルデヒド2〜64において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の95%を超える量である。
【0045】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0046】
「化合物2〜64を含む組成物」への言及は、アルデヒド2〜64のうちの少なくとも1種の少なくとも6×1018個の分子を含み、典型的には少なくとも6×1019個の分子を含み、例えば少なくとも6×1020個の分子、6×1021個の分子、6×1022個の分子または6×1023個の分子を含むことができる組成物を意味する。Rは水素であり、この水素において、重水素同位体はR水素原子の0.10パーセントを超える量である。いくつかの場合には、重水素同位体は水素原子の1%超を占めるか、または水素原子の2%超、5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超もしくは95%超を更に占める。
【0047】
別の態様では、「化合物2〜64を含む組成物」への言及は、アルデヒド2〜64のうちの少なくとも1種を少なくとも0.1モル含む組成物を意味する。本発明の組成物は、化合物2〜64のうちの少なくとも1種を例えば少なくとも0.2モル、0.5モル、1モル、2モル、3モル、4モル、5モル、10モル、20モルまで含むことができる。
【0048】
別の態様では、「化合物2〜64を含む組成物」への言及は、アルデヒド2〜64のうちの少なくとも1種を少なくとも1グラム含む組成物を意味する。本発明の組成物は、化合物2〜64のうちの少なくとも1種を例えば少なくとも5グラム、10グラム、20グラム、30グラム、40グラム、50グラム、100グラム、500グラム、1,000グラムまで含むことができる。
【0049】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の2%を超える量である組成物を提供する。
【0050】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の10%を超える量である組成物を提供する。
【0051】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の20%を超える量である組成物を提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の30%を超える量である組成物を提供する。
【0053】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の40%を超える量である組成物を提供する。
【0054】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の50%を超える量である組成物を提供する。
【0055】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の60%を超える量である組成物を提供する。
【0056】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の70%を超える量である組成物を提供する。
【0057】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の80%を超える量である組成物を提供する。
【0058】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の90%を超える量である組成物を提供する。
【0059】
別の態様では、本発明は、アルデヒド2〜64から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物において、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の95%を超える量である組成物を提供する。
【0060】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとして、下記の表Aに列挙するアルデヒド65〜358が挙げられる。この表に列挙する各アルデヒドに関しては、元々のアルデヒドの水素(C(O)−H)がR(C(O)−R)に置き換えられている。例えば、ホルムアルデヒド−R(CHO−R)はHC(O)−Rである。
【0061】
本発明の更なる重水素富化アルデヒドとして、下記の表B〜Lに列挙するアルデヒド65〜358が挙げられる。
【0062】
表B:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の2%を超える量である。
【0063】
表C:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の10%を超える量である。
【0064】
表D:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の20%を超える量である。
【0065】
表E:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の30%を超える量である。
【0066】
表F:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の40%を超える量である。
【0067】
表G:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の50%を超える量である。
【0068】
表H:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の60%を超える量である。
【0069】
表I:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の70%を超える量である。
【0070】
表J:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の80%を超える量である。
【0071】
表K:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の90%を超える量である。
【0072】
表L:表Aの例64〜358、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の95%を超える量である。
【0073】
別の態様では、本発明は、表Aのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0074】
「化合物65〜358を含む組成物」への言及は、アルデヒド65〜358のうちの少なくとも1種の少なくとも6×1018個の分子を含み、典型的には少なくとも6×1019個の分子を含み、例えば少なくとも6×1020個の分子、6×1021個の分子、6×1022個の分子または6×1023個の分子を含むことができる組成物を意味する。Rは水素であり、この水素において、重水素同位体はR水素原子の0.10パーセントを超える量である。いくつかの場合では、重水素同位体は水素原子の1%超を占めるか、または水素原子の2%超、5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超もしくは95%超を更に占める。
【0075】
別の態様では、「化合物65〜358を含む組成物」への言及は、アルデヒド65〜358のうちの少なくとも1種を少なくとも0.1モル含む組成物を意味する。本発明の組成物は、化合物65〜358のうちの少なくとも1種を例えば少なくとも0.2モル、0.5モル、1モル、2モル、3モル、4モル、5モル、10モル、20モルまで含むことができる。
【0076】
別の態様では、「化合物65〜358を含む組成物」への言及は、アルデヒド65〜358のうちの少なくとも1種を少なくとも1グラム含む組成物を意味する。本発明の組成物は、化合物65〜358のうちの少なくとも1種を例えば少なくとも5グラム、10グラム、20グラム、30グラム、40グラム、50グラム、100グラム、500グラム、1,000グラムまで含むことができる。
【0077】
別の態様では、本発明は、表Bのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0078】
別の態様では、本発明は、表Cのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0079】
別の態様では、本発明は、表Dのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0080】
別の態様では、本発明は、表Eのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0081】
別の態様では、本発明は、表Fのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0082】
別の態様では、本発明は、表Gのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0083】
別の態様では、本発明は、表Hのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0084】
別の態様では、本発明は、表Iのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0085】
別の態様では、本発明は、表Jのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0086】
別の態様では、本発明は、表Kのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0087】
別の態様では、本発明は、表Lのアルデヒド65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを含む組成物を提供する。
【0088】
本発明の化合物は、カルボニル部分に取り付けられている水素原子(即ちH−C(O))が重水素同位体に富んでいない対応するアルデヒドと比べて、自動酸化に対して安定である。例えば、重水素同位体が対象の水素原子の90パーセント超を占める場合、自動酸化(即ち、酸化触媒(例えば、金属または遷移金属をベースとする触媒)の不存在下での大気中の酸素による酸化を通じたアルデヒドのその対応するカルボン酸への変換)の割合は少なくとも10パーセント低下する(例えば、重水素が富化されていないアルデヒドの10.0パーセントが自動酸化を経験する場合、重水素が富化されているアルデヒドの9.0パーセント未満が同じ条件下で自動酸化を経験する)。いくつかの場合では、この割合は少なくとも20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセントまたは90パーセント低下する。
【0089】
任意の適切な方法を使用して化合物1〜358を合成することができる。そのような方法の例として、対応する酸ハロゲン化物の重水素ガスによる還元(米国特許第5,149,820号明細書を参照されたい)、CpZr(D)Clを使用する、対応する第3級アミドの還元(Georg et al.Tet.Lett.2004;45:2787−2789を参照されたい)、ならびにアルコールを産生するためにLiAlDを使用する対応するエステルの還元、およびその後の酸化(Kim et al.,J.Label Compd Radiopharm 2004;47:921−934を参照されたい)(または対応するアルコールの単なる酸化)が挙げられる。
【0090】
あるいは、更なる方法として、富化されていないアルデヒドのNaBDまたはNACNBDによる還元、続いてクロロクロム酸ピリジニウムまたは別の好適な酸化剤による再酸化が挙げられ、アルデヒドの重水素の富化は同位体効果の結果である。
【0091】
別の態様では、本発明は、アルデヒド1〜64のうちの1種または複数種と、有機溶媒(例えばアルコール(例えばエチルアルコールおよびイソプロピルアルコール)、エーテル(例えばジメチルエーテル)またはアルカン(例えばヘキサン))とを含む組成物を提供する。別の態様では、有機溶媒はエチルアルコールである。エチルアルコールの濃度の例として、50〜97.5重量パーセント、60〜97重量パーセントおよび70〜96重量パーセントが挙げられる。
【0092】
別の態様では、本発明は、アルデヒド65〜358のうちの1種または複数種と、有機溶媒(例えばアルコール(例えばエチルアルコールおよびイソプロピルアルコール)、エーテル(例えばジメチルエーテル)またはアルカン(例えばヘキサン))とを含む組成物を提供する。別の態様では、有機溶媒はエチルアルコールである。エチルアルコールの濃度の例として、50〜97.5重量パーセント、60〜97重量パーセントおよび70〜96重量パーセントが挙げられる。
【0093】
別の態様では、本発明の組成物は追加成分を含む。追加成分の例として、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、油(例えばココナッツ油)および液体ワックス(例えばホホバ油)が挙げられる。
【0094】
本明細書で論じる組成物を例えば香料で使用することもできる。「香料」への言及は、ヒトの身体、動物、物体および居住空間に心地よい香りを付与するために使用する、芳香性化合物と溶媒とを含む混合物を意味する。
【0095】
別の態様では、本発明は、昆虫の挙動を調節する(例えば昆虫種を誘引するまたは阻止する)ための新規の組成物であって、構造1〜64から選択される重水素富化アルデヒドであって、フェロモンであるアルデヒドと、組成物に適した任意選択的な1種または複数種の追加の成分(例えば農薬、分注用の物質または装置、溶媒、昆虫を捕捉することができる粘着剤等)とを含む組成物を提供する。
【0096】
別の態様では、本発明は、昆虫の挙動を調節する(例えば昆虫種を誘引するまたは阻止する)ための新規の組成物であって、構造65〜358から選択される重水素富化アルデヒドであって、フェロモンであるアルデヒドと、組成物に適した任意選択的な1種または複数種の追加の成分(例えば農薬、分注用の物質または装置、溶媒、昆虫を捕捉することができる粘着剤等)とを含む組成物を提供する。
【0097】
別の態様では、組成物はフェロモン混和物を含む。
【0098】
フェロモン混和物は、本発明の重水素富化アルデヒドから選択される少なくとも1種のフェロモンアルデヒドと、富化されていないアルデヒドまたは本発明の重水素富化アルデヒドから選択される異なるフェロモンアルデヒドのどちらかである少なくとも1種の追加のフェロモンとを含む。
【0099】
別の態様では、本発明は、昆虫の挙動を調節する(例えば昆虫種を誘引するまたは昆虫種の交尾もしくは集合を阻止する)新規の方法であって、
a.本発明の重水素富化アルデヒドフェロモン、または組成物であり、本発明の重水素富化アルデヒドフェロモンと組成物に適した任意選択的な溶媒もしくはその他の追加の成分とを含む組成物を物体(例えば、昆虫が入るが出ることができないトラップ内のおとり、おとりもしくは昆虫が表面に張り付くトラップ、または殺虫することができる化学物質を含有するおとりもしくはトラップ)の表面に塗布することと、
b.昆虫種を誘引することまたは昆虫種の交尾もしくは集合を阻止することのどちらかが望まれる場所に物体を置くことと
を含む方法を提供する。
【0100】
別の態様では、フェロモン混和物を(そのまま、または本発明の組成物の一部として)塗布する。
【0101】
別の態様では、本発明の2種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンを(そのまま、または本発明の組成物の一部として)塗布する。
【0102】
あるいは、この方法は、本発明の重水素富化アルデヒドフェロモンを含む組成物を、(例えば農産物上に空中散布することにより)地域に、貯蔵品(例えば穀類農産物中におけるトラップまたは撹乱剤用ディスペンサー)に、(例えば、エマルション(例えばSPLAT(登録商標)型製剤)の塊の苗木、茎、葉または新芽への手動塗布により)植物上に散布すること、またはフェロモン含浸小片、フェロモン含有ポリマー中空繊維もしくはフェロモン含有ゴムセプタムの組成物を空中散布または手動配置によって塗布することにより交尾挙動を撹乱させて昆虫の挙動を調節することを含む。複数種の組成物または方法を組み合わせて、農産物のダメージの所望の減少を実現することができる。
【0103】
別の態様では、この散布される組成物中にフェロモン混和物が存在する。
【0104】
別の態様では、この散布される組成物中に本発明の2種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンが存在する。
【0105】
別の態様では、本発明の重水素富化アルデヒドフェロモンが、小片上に含浸されて散布されている、ポリマー中空繊維中に含浸されて散布されている、またはゴムセプタム内に吸着している。
【0106】
別の態様では、フェロモン混和物が、小片上に含浸されて散布されている、ポリマー中空繊維中に含浸されて散布されている、またはゴムセプタム内に吸着している。
【0107】
別の態様では、本発明の2種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンが、小片上に含浸されて散布されている、ポリマー中空繊維中に含浸されて散布されている、またはゴムセプタム内に吸着している。
【0108】
昆虫の挙動の調節は、アルデヒドフェロモントラップへの誘引、あるいは交尾相手の発見および交尾挙動の撹乱を含むことができる。そのような昆虫挙動の調節の利点は、果物、木の実、種子、穀物、ブドウ、葉、新芽、樹皮、穀粒またはその他の高価な農産物への昆虫によるダメージを現地においてまたは前記高価な農産物の収穫後の貯蔵において減少させることによる前記農産物へのダメージの低減等の、農産物のダメージの減少であることができる。
【0109】
別の態様では、本発明の調節用組成物は、誘引トラップで使用するために配合されている本発明の重水素富化アルデヒドフェロモンを含む(誘引組成物)。
【0110】
別の態様では、本発明の調節用組成物は、誘引トラップで使用するために配合されているフェロモン混和物を含む(誘引組成物)。
【0111】
別の態様では、この調製用組成物中には、本発明の2種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンが存在する。
【0112】
別の態様では、本発明は、誘引トラップで誘引組成物を使用する方法を提供する。
【0113】
別の態様では、本発明は、農産品の寄生および損失を最小化させる目的で貯蔵品において成虫を誘引する、捕捉するまたはモニタリングするための組成物の成分として重水素富化アルデヒドフェロモンを使用する方法を提供する。別の態様では、この組成物中にはフェロモン混和物が存在する。別の態様では、この組成物中には、本発明の2種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンが存在する。
【0114】
別の態様では、本発明の調節用組成物は、交尾撹乱剤として使用するために配合されている本発明の重水素富化アルデヒドフェロモンを含む(撹乱剤組成物)。撹乱剤組成物は典型的には、保護しようとする地域の一部または全体にわたって散布される。
【0115】
別の態様では、この撹乱剤組成物中にはフェロモン混和物が存在する。
【0116】
別の態様では、この撹乱剤組成物中には、本発明の2種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンが存在する。
【0117】
別の態様では、本発明は、保護しようとする地域(例えば農地)で撹乱剤組成物を使用する方法を提供する。当業者は、成虫の交尾の撹乱により子孫の個体数を減少させることができることを理解するであろう。この種の子孫、即ち幼虫は、農作物または収穫された農産品へのダメージの原因となることが多い。交尾の撹乱は、農産物または農産品を餌とする昆虫の幼生形による農作物または収穫した農産品へのダメージを低減する間接的な方法であることできることを当業者は理解するであろう。
【0118】
別の態様では、担体上に撹乱剤を配置するために油/水エマルション調製を使用して、撹乱剤組成物を製造する。担体の例として、ポリマー中空ループ、ゴム(例えばセプタム)またはポリマー担体、および含浸可能な小片が挙げられる。
【0119】
誘引および/または撹乱の製剤のタイプの例として、マイクロカプセル化、中空管ディスペンサー、餌ステーション、油−水エマルション、およびその他の揮発性の重水素富化アルデヒド用ディスペンサーが挙げられる。
【0120】
マイクロカプセル化は、本発明の少なくとも1種の重水素富化アルデヒドフェロモンのポリマー中への封入を意味する。少なくとも数日にわたりフェロモンの放出を遅延させるためにポリマーが選択される。マイクロカプセル化したフェロモンを噴霧により塗布することができる。
【0121】
中空管ディスペンサーの例として、プラスチック製ツイストタイ型のディスペンサー、プラスチック製中空繊維およびプラスチック製中空マイクロ繊維が挙げられる。これらの種類のディスペンサーには本発明の少なくとも1種の撹乱剤または撹乱剤組成物が充填されており、次いで保護しようとする地域全体にわたって散布される。
【0122】
餌ステーションは、典型的には誘引して殺すために使用される据置装置である。例として、少なくとも本発明のフェロモンアルデヒドと接着剤板(または誘引した昆虫を捕捉することができるいくつかのその他の仕組み)とを含むプラットフォームが挙げられる。接着剤の代わりにまたは接着剤に加えて、このステーションは、昆虫に悪影響を及ぼす(例えば、昆虫の交尾するまたは繁殖する能力を弱める)農薬を含有することができる。
【0123】
ディスペンサーまたは高放出ディスペンサーは、本発明のフェロモンアルデヒドを受動的または能動的のどちらかで放出する装置である。受動的な放出の例として、フェロモンのサシェまたはエマルション(例えばSPLAT(登録商標)(Specialized Lure And Pheromone Technology)製剤)が挙げられる。能動的なディスペンサーは、一定間隔でまたはディスペンサーからの揮発による連続的な放出により、本発明の少なくとも1種のフェロモンアルデヒド(または本発明の少なくとも1種のフェロモンアルデヒドを含有する組成物)を一気に放出することができる。
【0124】
本明細書で使用する場合、フェロモンは、天然型フェロモンの特性を有する構造1の重水素富化アルデヒド、即ち、少なくとも1種の昆虫種とやりとりすることができる化学物質である。フェロモンは、警報シグナルとして作用することができる、食料源への臭跡をつけることができる、捕食寄生者またはその他の捕食者を誘引することができる、および/または交尾を目的として同じ種の昆虫を誘引することができる。
【0125】
別途指定しない限り、本発明においてフェロモンが挙げられる場合、このフェロモンは、単一の構造1の重水素富化アルデヒド、または少なくとも1種が構造1の重水素富化アルデヒドであるフェロモンの混和物であることができる。第2の、第3の、第4の、第5のまたはより高次のフェロモンは、構造1の重水素富化アルデヒドまたは重水素が富化されていないアルデヒドであることができる。
【0126】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種または10種の重水素富化アルデヒドフェロモンを含む。
【0127】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の2種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンを含む。
【0128】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の3種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンを含む。
【0129】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の4種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンを含む。
【0130】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の5種以上の重水素富化アルデヒドフェロモンを含む。
【0131】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の少なくとも1種、2種、3種、4種または5種の重水素富化アルデヒドフェロモンと、少なくとも1種、2種、3種、4種または5種の富化されていない富化されていないフェロモンとを含む。
【0132】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の少なくとも1種の重水素富化アルデヒドフェロモンと、少なくとも1種の富化されていないフェロモンとを含む。
【0133】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の少なくとも2種の重水素富化アルデヒドフェロモンと、少なくとも1種の富化されていないフェロモンとを含む。
【0134】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の少なくとも1種の重水素富化アルデヒドフェロモンと、少なくとも2種の富化されていないフェロモンとを含む。
【0135】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の少なくとも3種の重水素富化アルデヒドフェロモンと、少なくとも1種の富化されていないフェロモンとを含む。
【0136】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の少なくとも3種の重水素富化アルデヒドフェロモンと、少なくとも2種の富化されていないフェロモンとを含む。
【0137】
別の態様では、本発明の組成物は、本発明の少なくとも3種の重水素富化アルデヒドフェロモンと、少なくとも3種の富化されていないフェロモンとを含む。
【0138】
重水素富化フェロモン(またはフェロモン)が調製され得る昆虫の例として、多くの中から、コーンイヤワーム(corn earworm)(ヘリオティス(ヘリコベルパ)ゼア(Heliothis(Helicoverpa)zea))、タバコバドワーム(tobacco budworm)(ヘリオティス・ビレッセンス(Heliothis virescens))、コットンボールワーム(cotton bollworm)(ヘリオティス(ヘリコベルパ)アルミゲラ(Heliothis(Helicoverpa)armigera))、ホースチェストナットリーフマイナー(horse chestnut leaf miner)(カメラリア・オリデラ(Cameraria orhidella))、イースターンスプルースバドワーム(eastern spruce budworm)(コリストネウラ・フミフェラナ(Choristoneura fumiferana))、ライスボーラー(rice borer)(チロ・スプレッサリス(Chilo suppressalis))、グレインウィービルズ(grain weevils)(トロゴデルマ(Trogoderma)種)、グレイン/フラワーウィービルズ(grain/flower weevils)(トリボリウム(Tribolium)種)、コットンボールウィービル(cotton boll weevil)(アントノムス・グランジス(Anthonomus grandis))、シトラスリーフマイナー(citrus leaf miner)(フィロクニスチス・シトレラ(Phyllocnistis citrella))、カロブモス(carob moth)(エクトミエロイス・セラトニア(Ectomyelois ceratoniae))、およびアジアンロングホーンビートル(Asian longhorn beetle)(アノプロホラ・グラブリペンニス((Anoplophora glabripennis))が挙げられる。昆虫のアルデヒドフェロモンおよびこのフェロモンを使用する標的種の完全な列挙はPherobase.comデータベース(http://www.pherobase.com/database/compound/compounds−aldes.php)で入手可能であり、この全体が本出願に援用される。これらの昆虫用の既知のアルデヒドフェロモンのうちの1種または複数種を、本発明の重水素富化アルデヒドで置き換えることができる。
【0139】
例えば、Z11−16:アルデヒドを含有する、コーンイヤワーム用のフェロモン組成物を、本発明の化合物27で置き換えることができる。そのような重水素富化アルデヒドフェロモンの代表例として、アルデヒド8、アルデヒド15、アルデヒド23、アルデヒド24、アルデヒド27、アルデヒド28、アルデヒド29、アルデヒド30、アルデヒド34、アルデヒド35、アルデヒド36、アルデヒド37、アルデヒド38、アルデヒド39、アルデヒド40、アルデヒド41、アルデヒド42、アルデヒド43、アルデヒド44、アルデヒド45、アルデヒド46、アルデヒド47、アルデヒド48、アルデヒド49、アルデヒド50、アルデヒド51、アルデヒド52、アルデヒド53、アルデヒド54、アルデヒド55、アルデヒド56、アルデヒド57、アルデヒド58、アルデヒド59、アルデヒド60、アルデヒド61、アルデヒド62、アルデヒド63およびアルデヒド64から選択される化合物が挙げられる。
【0140】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドが、アルデヒド27、アルデヒド28およびアルデヒド35から選択される組成物を提供する。
【0141】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドが、アルデヒド27およびアルデヒド28から選択される組成物を提供する。
【0142】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドがアルデヒド36である組成物を提供する。
【0143】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドが、アルデヒド37およびアルデヒド38から選択される組成物を提供する。
【0144】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドが、アルデヒド27、アルデヒド28およびアルデヒド44から選択される組成物を提供する。
【0145】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドがアルデヒド49である組成物を提供する。
【0146】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドがアルデヒド55である組成物を提供する。
【0147】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドがアルデヒド59である組成物を提供する。
【0148】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドが、アルデヒド40、アルデヒド60およびアルデヒド61から選択される組成物を提供する。
【0149】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドアルデヒド62である組成物を提供する。
【0150】
別の態様では、本発明は、フェロモンである少なくとも1種の重水素富化アルデヒドを含む、昆虫の挙動を調節するための新規の組成物において、重水素富化アルデヒドがアルデヒド64である組成物を提供する。
【0151】
本発明の化合物は本発明の組成物に含まれた場合、この化合物に対応する、重水素が富化されていない同等物と比べて自動酸化に対して安定でもある。自動酸化の割合は少なくとも10パーセント低下する。いくつかの場合には、この割合は、少なくとも20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセントまたは90パーセント低下する。
【0152】
特定の種のためのフェロモンまたはフェロモン混和物が、非アルデヒド成分、例えばアルキル、アルケニル、アルキニルアルコール、またはアルキルエステル、アルケニルエステルもしくはアルキニルエステルを含むことができることを当業者は認識するであろう。この混和物が、最適な誘引のためにそのような追加の非アルデヒド成分を含む場合、当業者は、昆虫の挙動の調節の効力、例えば交尾の撹乱またはトラップへの誘引を高める追加の誘引化合物または撹乱化合物で本発明の重水素標識アルデヒドフェロモンを増強するであろう。
【0153】
表1には、下記本発明の組成物:
であって、
組成物中にアルデヒドの少なくとも6×1018個の分子が存在し、
が水素であり、この水素において、R水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が存在し、
別途定義しない限り、R、RおよびRが独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択され、
あるいは、CR部分が、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される基を形成し、
あるいは、CR部分が、アルケニルおよび置換アルケニルから選択される基基を形成し、
あるいは、CR部分が、アルキニルおよび置換アルキニルから選択される基基を形成し、
任意選択的に、アルデヒドがC(O)Rで置換されており、このC(O)Rにおいて、Rが水素であり、この水素において、R水素原子の0.10%を超える量で重水素同位体が存在する
組成物の例が記載されている。
【0154】
表2:表2の例A〜HHHHHは表1の例A〜HHHHHに対応するが、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の2%を超える量である。
【0155】
表3:表2の例A〜HHHHHは表1の例A〜HHHHHに対応するが、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の10%を超える量である。
【0156】
表4:表2の例A〜HHHHHは表1の例A〜HHHHHに対応するが、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の50%を超える量である。
【0157】
表5:表2の例A〜HHHHHは表1の例A〜HHHHHに対応するが、但し、Rにおける重水素同位体が、Rに存在する水素原子の90%を超える量である。
【0158】
別の態様では、本発明に係る化合物を使用して樹脂および/またはポリマーを製造することができる。この方法は、溶媒中でおよび触媒の存在下で、構造1〜64から選択される重水素富化アルデヒドと、芳香族化合物(即ちアリール含有化合物)またはオレフィン化合物(即ちアルケニル含有化合物)とを混合して、芳香族化合物またはオレフィン化合物とアルデヒドとの間で反応を開始させることと、反応によって生じる反応生成物(例えば樹脂またはポリマー)を単離することとを含む。触媒は、ブレンステッド酸(例えば硫酸水溶液もしくは塩酸水溶液)、ルイス酸(例えばAlCl)、塩基(例えばKOH)または金属(例えば遷移金属)であることができる。この反応を、室温でまたは高温(例えば50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃もしくは120℃)で行うことができる。この反応を、大気圧でまたは高圧(例えば2atm、3atm、4atmもしくは5atm)で行うこともできる。
【0159】
別の態様では、本発明に係る化合物を使用して樹脂および/またはポリマーを製造することができる。この方法は、溶媒中でおよび触媒の存在下で、構造65〜358から選択される重水素富化アルデヒドと、芳香族化合物(即ちアリール含有化合物)またはオレフィン化合物(即ちアルケニル含有化合物)とを混合して、芳香族化合物またはオレフィン化合物とアルデヒドとの間で反応を開始させることと、反応によって生じる反応生成物(例えば樹脂またはポリマー)を単離することとを含む。触媒は、ブレンステッド酸(例えば硫酸水溶液もしくは塩酸水溶液)、ルイス酸(例えばAlCl)、塩基(例えばKOH)または金属(例えば遷移金属)であることができる。この反応を、室温でまたは高温(例えば50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃もしくは120℃)で行うことができる。この反応を、大気圧でまたは高圧(例えば2atm、3atm、4atmもしくは5atm)で行うこともできる。
【0160】
ポリマー/樹脂の製造反応におけるアルデヒドの自動酸化の割合は、同じ条件下での、重水素が富化されてないアルデヒドの使用と比較して少なくとも10パーセント低下する。いくつかの場合では、この割合は少なくとも20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセントまたは90パーセント低下する。
【0161】
樹脂および/またはポリマーを製造する下記の一般的方法は、本発明を説明することを意図しており、本発明を限定することを意図していない。
【0162】
一般的方法1
芳香族化合物(例えば、ナフタレン、ベンゼン、トルエン等の置換ベンゼン)を酸性混合物(例えば硫酸および水)中で6時間にわたり160℃で加熱する。この混合物を100℃まで冷却し、構造1〜64から選択される重水素富化アルデヒドを芳香族化合物のモル当量未満の量で添加する。生じる混合物を30分〜16時間の範囲の期間で100℃に保持して縮合ポリマーを得る。
【0163】
一般的方法1A
芳香族化合物(例えば、ナフタレン、ベンゼン、トルエン等の置換ベンゼン)を酸性混合物(例えば硫酸および水)中で6時間にわたり160℃で加熱する。この混合物を100℃まで冷却し、構造65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを芳香族化合物のモル当量未満の量で添加する。生じる混合物を30分〜16時間の範囲の期間で100℃に保持して縮合ポリマーを得る。
【0164】
一般的方法2
構造1〜64から選択される重水素富化アルデヒドと芳香族アルコール(例えばレゾルシノール)との混合物に、室温で酸性溶液(例えばHCl水溶液)を添加する。これにより、単離によって縮合ポリマーが得られる。
【0165】
一般的方法2B
構造65〜358から選択される重水素富化アルデヒドと芳香族アルコール(例えばレゾルシノール)との混合物に、室温で酸性溶液(例えばHCl水溶液)を添加する。これにより、単離によって縮合ポリマーが得られる。
【0166】
一般的方法3
有機溶媒(例えば、ジオキサン等のエーテル)中の芳香族アルコール(例えば、フェノール、レゾルシノール)に、酸(例えば硫酸)を緩やかに添加する。撹拌しつつ、構造1〜64から選択される重水素富化アルデヒドを滴下する。この反応混合物を加熱し、内容物を2時間にわたり環流させる。有機溶媒および水を除去し、反応混合物を冷却する。物質の沈殿により、縮合ポリマーが生成される。
【0167】
一般的方法3A
有機溶媒(例えば、ジオキサン等のエーテル)中の芳香族アルコール(例えば、フェノール、レゾルシノール)に、酸(例えば硫酸)を緩やかに添加する。撹拌しつつ、構造65〜358から選択される重水素富化アルデヒドを滴下する。この反応混合物を加熱し、内容物を2時間にわたり環流させる。有機溶媒および水を除去し、反応混合物を冷却する。物質の沈殿により、縮合ポリマーが生成される。
【0168】
アルデヒドの酸化の一般的な測定手順
12mLの無色透明の、撹拌子付きガラスバイアルに、アルデヒド(1mmol)、トリアセチン(2.0mL)および水(0.10mL、逆浸透により精製している)を添加した。バイアルの上部をティッシュで覆い、混合物を室温で激しく撹拌した。(HおよびDの両方の)ベンズアルデヒド反応では、4.0μLのアリコートを、0時間の、0.5時間の、18時間の、25時間の、96時間のおよび120時間の時点で採取した。これらアリコートをエタノール(1.0mL)で希釈し、HPLCにより分析した。(HおよびDの両方の)ヘキサナール反応では、45μLのアリコートを、2時間の、4時間の、6時間のおよび24時間の時点で採取した。これらアリコートをエタノール(1.0mL)で希釈し、GCにより分析した。
【0169】
分析に使用する機器および条件:
高圧液体クロマトグラフィー:Agilent XDB C18 50×4.6mm 1.8ミクロンカラム
溶媒A − 水(0.1%TFA)
溶媒B − アセトニトリル(0.07%TFA)
勾配 − 5分95%Aから95%B、その後1分保持。1.5mL/分
UV検出(積分)@210nmおよび254nm
ガスクロマトグラフィー:
HP 6890GCカラム=Agilent DB−5 15m×0.25mmキャピラリーカラム。
35℃開始(2分保持)、1分当たり5℃で100℃まで上昇する
7.8mL/分ガス流量
炎イオン検出(積分)
【実施例】
【0170】
実施例1:上記手順使用して、重水素富化ベンズアルデヒド(即ち、α−Hで、即ちH−C(O)Phで>95%重水素、「ベンズアルデヒド−D」)の安息香酸への酸化の割合を、富化されていないベンズアルデヒド(即ち、天然に存在する同位体存在度、「ベンズアルデヒド−H」)と比較した。期間および残存するアルデヒドの量を図4に示すようにプロットした。24時間後に、ベンズアルデヒド−Dの約90%が残存した(10%減少)。対照的に、24時間後に、ベンズアルデヒド−Hの約30%が残存した(70%減少)。重水素の存在に起因して、重水素富化ベンズアルデヒドの自動酸化は、約24時間の期間後に50パーセントを超えて低下した。
【0171】
実施例2:上記方法を使用して、重水素富化ヘキサナール(即ち、α−水素で、即ちH−C(O)C11で>95%重水素、「ヘキサナール−D」)のヘキサン酸への酸化の割合を、富化されていないヘキサナール(即ち、天然に存在する同位体存在度、「ヘキサナール−H」)と比較した。期間および残存するアルデヒドの量を図5に示すようにプロットした。24時間後に、ヘキサナール−Dの約90%が残存した(10%減少)。対照的に、24時間後に、ヘキサナール−Hの約30%が残存した(70%減少)。重水素富化ヘキサナールの自動酸化は、約24時間の期間後に約50パーセントまで低下した。
【0172】
上記の教示を考慮して、本発明の多数の変更形態および変形形態が可能である。従って、添付した特許請求の範囲内において、本明細書に具体的に記載したのとは別の方法で本発明を実施することができることを理解しなければならない。
図1
図2