(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のL−核酸の3’末端に1つまたは複数のL−ヌクレオチドを付加する方法であって、前記方法が、変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の存在下で第1のL−核酸と前記1つまたは複数のL−ヌクレオチドを反応させるステップを含み、前記酵素活性が、前記第1のL−核酸の3’末端に1つまたは複数のL―ヌクレオチドを付加することができ、
前記変異酵素活性提示部分が、アミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分が、酵素活性提示部分の変異体であり、前記酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸配列からなり、前記配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置で配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、かつ/または、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15〜22および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なり、
(i) 前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の以下のアミノ酸位置またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置71、76、もしくは67のうちの少なくとも1つ、または、
b)アミノ酸位置155もしくは203および71、または、
c)アミノ酸位置155もしくは203および31、または、
d)アミノ酸位置155もしくは203および76、または、
e)アミノ酸位置155もしくは203および67、または、
f)アミノ酸位置155もしくは203および86、または、
g)アミノ酸位置155もしくは203および96、または、
h)アミノ酸位置155もしくは203および85、または、
i)アミノ酸位置155および203および71、または、
j)アミノ酸位置155および203および86、または、
k)アミノ酸位置155および203および31、または、
l)アミノ酸位置155および203および76、または、
m)アミノ酸位置155および203および67、または、
n)アミノ酸位置155および203および96、または、
o)アミノ酸位置155および203および85
で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、ならびに/または
(ii) 前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であって、前記切断型が、配列番号15に係るアミノ酸配列のn個のC末端のアミノ酸を欠いており、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を含む群から選択されるいずれかの整数である、
方法。
a)〜o)のうちのいずれか1つで、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸が、セリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸が、グリシンまたはシステインにより置換されている、請求項1に記載の方法。
L−ヌクレオチドおよび変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の存在下で標的L−核酸を増幅する方法であって、前記変異酵素活性提示部分が、前記標的L−核酸を増幅することができ、
前記変異酵素活性提示部分がアミノ酸配列を含み、
前記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分が、酵素活性提示部分の変異体であり、前記酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸からなり、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸が、D−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、かつ/または、
前記変異酵素提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15〜22および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なり、
(i) 前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の以下のアミノ酸位置またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置71、76、もしくは67のうちの少なくとも1つ、または、
b)アミノ酸位置155もしくは203および71、または、
c)アミノ酸位置155もしくは203および31、または、
d)アミノ酸位置155もしくは203および76、または、
e)アミノ酸位置155もしくは203および67、または、
f)アミノ酸位置155もしくは203および86、または、
g)アミノ酸位置155もしくは203および96、または、
h)アミノ酸位置155もしくは203および85、または、
i)アミノ酸位置155および203および71、または、
j)アミノ酸位置155および203および86、または、
k)アミノ酸位置155および203および31、または、
l)アミノ酸位置155および203および76、または、
m)アミノ酸位置155および203および67、または、
n)アミノ酸位置155および203および96、または、
o)アミノ酸位置155および203および85
で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、ならびに/または
(ii) 前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であって、前記切断型が、配列番号15に係るアミノ酸配列のn個のC末端のアミノ酸を欠いており、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を含む群から選択されるいずれかの整数である、
方法。
a)〜o)のうちのいずれか1つで、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸が、セリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸が、グリシンまたはシステインにより置換されている、
請求項3に記載の方法。
第1のL−核酸の3’末端に1つまたは複数のL−ヌクレオチドを付加する方法であって、前記方法が、変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の存在下で第1のL−核酸と前記1つまたは複数のL−ヌクレオチドを反応させるステップを含み、前記酵素活性が、前記第1のL−核酸の3’末端に1つまたは複数のL―ヌクレオチドを付加することができ、
前記変異酵素活性提示部分が、アミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分が、酵素活性提示部分の変異体であり、前記酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸配列からなり、前記配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置で配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、かつ/または、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15〜22および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なり、
前記変異酵素活性提示部分が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含むか、または
前記変異酵素活性提示部分が、少なくとも1つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型が配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列の以下の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは96、または、
g)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは85
で、配列番号339〜343のいずれか1つのアミノ酸配列と異なる、
方法。
a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、請求項6に記載の方法。
L−ヌクレオチドおよび変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の存在下で標的L−核酸を増幅する方法であって、前記変異酵素活性提示部分が、前記標的L−核酸を増幅することができ、
前記変異酵素活性提示部分がアミノ酸配列を含み、
前記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分が、酵素活性提示部分の変異体であり、前記酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸からなり、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸が、D−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、かつ/または、
前記変異酵素提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15〜22および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なり、
前記変異酵素活性提示部分が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含むか、または
前記変異酵素活性提示部分が、少なくとも1つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型が配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列の以下の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは96、または、
g)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは85
で、配列番号339〜343のいずれか1つのアミノ酸配列と異なる、
方法。
a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、請求項8に記載の方法。
変異酵素活性提示部分を含むタンパク質であって、前記変異酵素活性提示部分がアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、前記変異酵素活性が、第1のL−核酸の3’末端に1つまたは複数のL−ヌクレオチドを付加することができ、
前記変異酵素活性提示部分が、酵素活性提示部分の変異体であり、前記酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸配列からなり、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、かつ/または、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15〜22、および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なり、
(i) 前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、以下の、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置71、76もしくは67のうちの少なくとも1つ、または、
b)アミノ酸位置155もしくは203および71、または、
c)アミノ酸位置155もしくは203および31、または、
d)アミノ酸位置155もしくは203および76、または、
e)アミノ酸位置155もしくは203および67、または、
f)アミノ酸位置155もしくは203および86、または、
g)アミノ酸位置155もしくは203および96、または、
h)アミノ酸位置155もしくは203および85、または、
i)アミノ酸位置155および203および71、または、
j)アミノ酸位置155および203および86、または、
k)アミノ酸位置155および203および31、または、
l)アミノ酸位置155および203および76、または、
m)アミノ酸位置155および203および67、または、
n)アミノ酸位置155および203および96、または、
o)アミノ酸位置155および203および85
で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、
ならびに/または
(ii) 前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であって、前記切断型が、配列番号15に係るアミノ酸配列のn個のC末端のアミノ酸を欠いており、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を含む群から選択されるいずれかの整数である、
タンパク質。
a)〜o)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸がシステインにより置換され、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、請求項12に記載のタンパク質。
変異酵素活性提示部分を含むタンパク質であって、前記変異酵素活性提示部分がアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、前記変異酵素活性が、第1のL−核酸の3’末端に1つまたは複数のL−ヌクレオチドを付加することができ、
前記変異酵素活性提示部分が、酵素活性提示部分の変異体であり、前記酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸配列からなり、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、かつ/または、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15〜22、および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なり、
前記変異酵素活性提示部分が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含むか、または
前記変異酵素活性提示部分が、少なくとも1つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型が配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列であり、
前記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列の以下の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは96、または、
g)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは85
で、配列番号339〜343のいずれか1つのアミノ酸配列と異なる、
タンパク質。
a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、請求項15に記載のタンパク質。
a)〜o)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸がシステインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、請求項18に記載のポリメラーゼの変異体。
a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、請求項21に記載のポリメラーゼ変異体。
L−核酸の3’末端に1つまたは複数のL−ヌクレオチドを付加する方法における変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の使用であって、前記タンパク質が、請求項12〜17のいずれか1項に記載のタンパク質である、使用。
L−ヌクレオチドの存在下で標的L−核酸を増幅する方法における変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の使用であって、前記タンパク質が、請求項12〜17のいずれか1項に記載のタンパク質である、使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一のL−核酸の3’末端に1以上のL−ヌクレオチドを付加するための方法、標的L−核酸を増幅するための方法、酵素活性提示部分を含むタンパク質、アミノ酸がD−アミノ酸であるアミノ酸配列を含むポリメラーゼ、配列番号15に記載のアミノ酸配列からなる野生型ポリメラーゼのポリメラーゼ変異体、1以上のL−ヌクレオチドを付加するための方法における酵素活性提示部分を含むタンパク質の使用、標的L−核酸を増幅するための方法における酵素活性提示部分を含むタンパク質の使用、標的分子結合L−核酸分子の同定のための方法、タンパク質およびポリメラーゼをそれぞれ作製するための方法に関する。
【0002】
より広い意味での遺伝子技術の使用は、医学および診断の分野において、ならびに基礎研究においてこの数十年にわたりなされた進歩に大いに貢献した。遺伝子技術によりもたらされる合成能力は、1つの化学合成を上回るものである。遺伝子技術および遺伝子工学によって、特に、原核および真核細胞の酵素機構を利用する事実上無制限量のL−ペプチドおよびL−タンパク質の産生が可能である。酵素およびポリメラーゼは特に、野生型であれ、またはこのような野生型の変異体であれ、理論的収率でないにせよ、化学合成によって達成可能である長さまでこのようなD−核酸の基本単位、すなわちD−ヌクレオチドを連結する、D−核酸の合成が可能である。
【0003】
遺伝子技術において使用される酵素は、それぞれ、キラル特異性ゆえに、そのキラリティーがそれら自身のキラリティーに適合する基本単位および基質しか利用できない。キラリティーが逆である基本単位および基質は、それぞれ、酵素の活性に対する対象になり得ない。キラル相反性の原理のため、逆キラリティーの基本単位および基質それぞれのプロセシングには、酵素が逆キラリティーを有することも必要とされる。
【0004】
このキラル相反性の原理は、例えば、シュピーゲルマーとしても知られ、このように呼ばれる標的結合L−核酸の作製において集中的に使用される。現在のところ、シュピーゲルマーは、D−ペプチドまたはD−タンパク質などの標的分子または標的構造の鏡像異性型に対するインビトロ選択のために第一段階でD−核酸ライブラリを使用する過程によって同定される。第二段階において、標的分子または標的構造の鏡像異性型に結合する、このように同定されたD−核酸を、対応するL−核酸として調製する。キラル相反性の原理の結果として、これらのL−核酸、すなわちシュピーゲルマーは、L−ペプチドまたはL−タンパク質などの真のまたは現実の標的分子に結合でき、選択過程に対して使用されるD−ペプチドまたはD−タンパク質などのその鏡像異性型には結合できない。好ましくは、このような真のまたは現実の標的分子または標的構造は、ヒトまたは動物体などの生体系で存在するような標的分子または標的構造である。このようなシュピーゲルマーの調製のための方法は、例えば「The Aptamer Handbook」(eds.Klussmann,2006)」に記載されている。
【0005】
シュピーゲルマーを同定する過程をより容易するある方法は、真のまたは現実の標的分子または標的構造により示される鏡像異性型において標的分子または標的構造を用いてL−核酸ライブラリからL−核酸が直接選択されるように過程を再設計することであり得る。この過程の一部は、標的分子および標的構造それぞれに最初に結合するL−核酸の増幅なので、ポリメラーゼが、L−プライマーに少なくとも1つのヌクレオチドを付加することが必要である。現在まで、このようなことが可能なL−アミノ酸からなるポリメラーゼは知られていない。このため、D−アミノ酸からなるポリメラーゼおよび同様の酵素が必要とされている。遺伝子技術は、D−アミノ酸からなるこのような機能的に活性のあるポリメラーゼを提供できないので、化学合成が必要である。しかし、D−タンパク質またはD−ポリペプチドの合成は、比較的低分子に限定される。今までのところ合成された最大のD−タンパク質は、102個のD−アミノ酸からなる血管由来タンパク質血管内皮増殖因子(略称VEGF−A)のD−タンパク質型であるが(Mandalら、2012)、ポリメラーゼは一般に300個を超えるアミノ酸からなる。
【0006】
したがって、本発明の根本となる問題は、プライマーなどのL−核酸への少なくとも1個のヌクレオチドの付加を可能にする方法の提供である。本発明の根本となるさらなる問題は、L−ヌクレオチドを利用する標的L−核酸を増幅するための方法の提供である。本発明の根本となるまたさらなる問題は、このような方法の実施を可能にする手段の提供である。
【0007】
本発明の根本となるこれらおよび他の問題は、添付される独立した特許請求の範囲の対象により解決される。好ましい実施形態は、添付される独立した特許請求の範囲から導かれ得る。
【0008】
具体的には、本発明の根本となるこれらおよび他の問題は、以下の実施形態によっても解決される。
【0009】
実施形態1:第1のL−核酸の3’末端に1つまたは複数のL−ヌクレオチドを付加する方法であって、上記方法が、変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の存在下で第1のL−核酸と上記1つまたは複数のL−ヌクレオチドを反応させるステップを含み、上記酵素活性が上記第1のL−核酸の3’末端に1つまたは複数のL−ヌクレオチドを付加することができ、
上記変異酵素活性提示部分が、アミノ酸配列を含み、上記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
上記変異酵素活性提示部分が、酵素活性提示部分の変異体であり、上記酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸配列からなり、上記配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、かつ/または
上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15〜22および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なる、
方法。
【0010】
実施形態2:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、以下の、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸位置またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置71、76、67、もしくは86のうちの少なくとも1つ、または
b)アミノ酸位置155もしくは203および71、または
c)アミノ酸位置155もしくは203および31、または
d)アミノ酸位置155もしくは203および76、または
e)アミノ酸位置155もしくは203および67、または、
f)アミノ酸位置155もしくは203および86、または、
g)アミノ酸位置155もしくは203および96、または、
h)アミノ酸位置155もしくは203および85、または、
i)アミノ酸位置155および203および71、または、
j)アミノ酸位置155および203および86、または、
k)アミノ酸位置155および203および31、または、
l)アミノ酸位置155および203および76、または、
m)アミノ酸位置155および203および67、または、
n)アミノ酸位置155および203および86、または、
o)アミノ酸位置155および203および96、または、
p)アミノ酸位置155および203および85
で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜p)のうちのいずれか1つで、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸が、セリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸が、グリシンまたはシステインにより置換されている、
実施形態1に記載の方法。
【0011】
実施形態3:上記変異酵素活性提示部分が、配列番号89〜120のいずれか1つに係るアミノ酸配列、好ましくは、配列番号89に係るアミノ酸配列、または配列番号90に係るアミノ酸配列、または配列番号94に係るアミノ酸配列、または配列番号97に係るアミノ酸配列、より好ましくは、配列番号94に係るアミノ酸配列、または配列番号97に係るアミノ酸配列、最も好ましくは配列番号94に係るアミノ酸配列を含む、実施形態2に記載の方法。
【0012】
実施形態4:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であって、上記切断型が、配列番号15に係るアミノ酸配列のn個のC末端のアミノ酸を欠いており、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を含む群から選択されるいずれかの整数である、実施形態1に記載の方法。
【0013】
実施形態5:上記変異酵素活性提示部分が、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、実施形態1および4のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
実施形態6:上記変異酵素活性提示部分が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型が、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列である、請求項1および4のいずれか1項に記載の方法。
【0015】
実施形態7:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列の以下の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
g)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは96、または、
h)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは85
で、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つのアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されており、
より好ましくは、上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号122〜160、162〜200、202〜240、242〜280、および282〜338のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含み、最も好ましくは、上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号135、174、214、254、294のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、
実施形態6に記載の方法。
【0016】
実施形態8:上記変異酵素活性提示部分が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の方法。
【0017】
実施形態9:上記変異酵素活性提示部分が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列である、実施形態1に記載の方法。
【0018】
実施形態10:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列の以下の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155および/もしくは203、および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155および/もしくは203、および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155および/もしくは203、および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155および/もしくは203、および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155および/もしくは203、および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155および/もしくは203、および/もしくは86、または、
g)アミノ酸位置155および/もしくは203、および/もしくは96、または、
h)アミノ酸位置155および/もしくは203、および/もしくは85
で、配列番号339〜343のいずれか1つのアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、実施形態9に記載の方法。
【0019】
実施形態11:上記変異酵素活性提示部分が、ポリメラーゼ活性提示部位である、実施形態1および10のいずれか1項に記載の方法。
【0020】
実施形態12:上記変異酵素活性がポリメラーゼ活性である、実施形態1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【0021】
実施形態13:上記ポリメラーゼ活性が、温度安定性ポリメラーゼ活性である、実施形態12に記載の方法。
【0022】
実施形態14:上記ポリメラーゼ活性が、DNAポリメラーゼ活性である、実施形態12〜13のいずれか1項に記載の方法。
【0023】
実施形態15:上記DNAポリメラーゼ活性が、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性である、実施形態14に記載の方法。
【0024】
実施形態16:上記変異酵素活性提示部分が酵素である、実施形態1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【0025】
実施形態17:上記ポリメラーゼ活性提示部位が、ポリメラーゼである、請求項11〜16のいずれか1項に記載の方法。
【0026】
実施形態18:上記反応ステップを、第1のL−核酸への少なくとも1つまたは複数のL―ヌクレオチドの付加を可能にし、好ましくは、5〜20,000個のL−ヌクレオチド、好ましくは10〜2,000個のL−ヌクレオチド、より好ましくは50〜500個のL−ヌクレオチド、最も好ましくは50〜100個のL−ヌクレオチドの付加を可能にする条件下で実行する、実施形態1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【0027】
実施形態19:上記第1のL−核酸への少なくとも1つまたは複数のL―ヌクレオチドの付加が、第1のL−核酸への少なくとも1つまたは複数のL−ヌクレオチドの共有結合であり、好ましくは、第1のL−核酸の3’OHと少なくとも1つまたは複数のL−ヌクレオチドのうちの1つの5’リン酸塩との間に3’―5’ホスホジエステルを形成することによる、共有結合である、実施形態1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【0028】
実施形態20:上記第1のL−核酸が、DNA、RNA、修飾DNA、修飾RNA、またはそれらの組み合わせからなるプライマーである、実施形態1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【0029】
実施形態21:上記第1のL−核酸が、L−ヌクレオチドおよび任意に修飾からなる、実施形態1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【0030】
実施形態22:上記第1のL−核酸が、L−ヌクレオチドからなる、実施形態1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【0031】
実施形態23:上記反応が、第2のL−核酸をさらに含み、上記第1のL−核酸のうちの1つの分子が、上記第2のL−核酸のうち1つの分子に、好ましくはワトソンクリック塩基対を介してハイブリダイズされている、実施形態1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【0032】
実施形態24:上記ポリメラーゼ活性提示部位が、上記第2のL−核酸に相補的な第3のL−核酸を合成し、上記第3のL−核酸が、上記第1のL−核酸と、上記第1のL−核酸の3’末端に付加したL−ヌクレオチドとを含む、実施形態23に記載の方法。
【0033】
実施形態25:L−ヌクレオチドおよび変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の存在下で標的L−核酸を増幅する方法であって、上記変異酵素活性提示部分が、上記標的L−核酸を増幅することができ、上記変異酵素活性提示部分がアミノ酸配列を含み、
上記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
上記変異酵素活性提示部分が、酵素活性提示部分の変異体であり、上記酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸からなり、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸が、D−アミノ酸であり、
上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、かつ/または、
上記変異酵素提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15〜22および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なる、
方法。
【0034】
実施形態26:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、以下の、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置71、76、67、もしくは86のうちの少なくとも1つ、または、
b)アミノ酸位置155もしくは203、および71、または、
c)アミノ酸位置155もしくは203、および31、または、
d)アミノ酸位置155もしくは203、および76、または、
e)アミノ酸位置155もしくは203、および67、または、
f)アミノ酸位置155もしくは203、および86、または、
g)アミノ酸位置155もしくは203、および96、または、
h)アミノ酸位置155もしくは203、および85、または、
i)アミノ酸位置155および203、および71、または、
j)アミノ酸位置155および203、および86、または、
k)アミノ酸位置155および203、および31、または、
l)アミノ酸位置155および203、および76、または、
m)アミノ酸位置155および203、および67、または、
n)アミノ酸位置155および203、および86、または、
o)アミノ酸位置155および203、および96、または、
p)アミノ酸位置155および203、および85
で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜p)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、
実施形態25に記載の方法。
【0035】
実施形態27:上記変異酵素活性提示部分が、配列番号89〜120のいずれか1つに係るアミノ酸配列、好ましくは、配列番号89に係るアミノ酸配列、または配列番号90に係るアミノ酸配列、または配列番号94に係るアミノ酸配列、または配列番号97に係るアミノ酸配列、より好ましくは配列番号94に係るアミノ酸配列、または配列番号97に係るアミノ酸配列、最も好ましくは配列番号94に係るアミノ酸配列を含む、実施形態26に記載の方法。
【0036】
実施形態28:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、上記切断型が、配列番号15に係るアミノ酸配列のn個のC末端のアミノ酸を欠いており、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を含む群から選択されるいずれかの整数である、実施形態25に記載の方法。
【0037】
実施形態29:上記変異酵素活性提示部分が、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、実施形態25および28のいずれか1項に記載の方法。
【0038】
実施形態30:上記変異酵素活性提示部分が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型が、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列である、実施形態25および28のいずれか1項に記載の方法。
【0039】
実施形態31:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、以下の、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは86、または、
g)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは96、または、
h)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは85
で、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つのアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸がシステインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されており、
より好ましくは、上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号122〜160、162〜200、202〜240、242〜280、および282〜338のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含み、最も好ましくは、上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号135、174、214、254、294のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、
実施形態30に記載の方法。
【0040】
実施形態32:上記変異酵素活性提示部分が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、実施形態25に記載の方法。
【0041】
実施形態33:上記変異酵素活性提示部分が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列である、実施形態25に記載の方法。
【0042】
実施形態34:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、以下の、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは86、または、
g)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは96、または、
h)アミノ酸位置155、および/もしくは203、および/もしくは85
で、配列番号339〜343のいずれか1つのアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸がシステインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、
実施形態33に記載の方法。
【0043】
実施形態35:上記酵素活性提示部分がポリメラーゼ活性提示部位である、実施形態25〜34のいずれか1項に記載の方法。
【0044】
実施形態36:上記酵素活性がポリメラーゼ活性である、実施形態25〜35のいずれか1項に記載の方法。
【0045】
実施形態37:上記ポリメラーゼ活性が温度安定性ポリメラーゼ活性である、実施形態36に記載の方法。
【0046】
実施形態38:上記ポリメラーゼ活性がDNAポリメラーゼ活性である、実施形態36〜37のいずれか1項に記載の方法。
【0047】
実施形態39:上記DNAポリメラーゼ活性がDNA依存性DNAポリメラーゼ活性である、実施形態38に記載の方法。
【0048】
実施形態40:上記酵素活性提示部分が酵素である、実施形態25〜39のいずれか1項に記載の方法。
【0049】
実施形態41:上記ポリメラーゼ活性提示部位がポリメラーゼである、実施形態35〜40のいずれか1項に記載の方法。
【0050】
実施形態42:上記反応するステップを、上記標的L−核酸の増幅を可能にする条件下で実行する、実施形態25〜41のいずれか1項に記載の方法。
【0051】
実施形態43:上記方法が、少なくとも1つのプライマー、好ましくは2つのプライマーを利用し、上記少なくとも1つのプライマーが、L−ヌクレオチドおよび任意に修飾からなる、実施形態25〜42のいずれか1項に記載の方法。
【0052】
実施形態44:上記プライマーがL−ヌクレオチドからなる、実施形態43に記載の方法。
【0053】
実施形態45:上記標的L−核酸が、L―ヌクレオチドからなる、実施形態25〜44のいずれか1項に記載の方法。
【0054】
実施形態46:上記方法がポリメラーゼ連鎖反応である、実施形態25〜45のいずれか1項に記載の方法。
【0055】
実施形態47:上記標的L−核酸が、L―DNAからなる、実施形態25〜46のいずれか1項に記載の方法。
【0056】
実施形態48:上記標的L−核酸が、20〜20,000個のL−ヌクレオチド、好ましくは30〜2,000個のL−ヌクレオチド、より好ましくは40〜500個のL−ヌクレオチド、最も好ましくは50〜100個のL−ヌクレオチドからなる、実施形態25〜47のいずれか1項に記載の方法。
【0057】
実施形態49:変異酵素活性提示部分を含むタンパク質であって、上記変異酵素活性提示部分がアミノ酸配列を含み、上記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、上記変異酵素活性が、第1のL−核酸の3’末端に1つまたは複数のL−ヌクレオチドを付加することができ、
上記変異酵素活性提示部分が、酵素活性提示部分の変異体であり、上記酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸配列からなり、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、かつ/または、
上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15〜22、および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なる、
タンパク質。
【0058】
実施形態50:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、以下の、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置71、76、67、もしくは86のうちの少なくとも1つ、または、
b)アミノ酸位置155もしくは203および71、または、
c)アミノ酸位置155もしくは203および31、または、
d)アミノ酸位置155もしくは203および76、または、
e)アミノ酸位置155もしくは203および67、または、
f)アミノ酸位置155もしくは203および86、または、
g)アミノ酸位置155もしくは203および96、または、
h)アミノ酸位置155もしくは203および85、または、
i)アミノ酸位置155および203および71、または、
j)アミノ酸位置155および203および86、または、
k)アミノ酸位置155および203および31、または、
l)アミノ酸位置155および203および76、または、
m)アミノ酸位置155および203および67、または、
n)アミノ酸位置155および203および86、または、
o)アミノ酸位置155および203および96、または、
p)アミノ酸位置155および203および85
で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる酵素活性提示部分のアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜p)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸がシステインにより置換され、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、
実施形態49に記載のタンパク質。
【0059】
実施形態51:上記変異酵素活性提示部分が、配列番号89〜120のいずれか1つに係るアミノ酸配列、好ましくは、配列番号89に係るアミノ酸配列、または配列番号90に係るアミノ酸配列、または配列番号94に係るアミノ酸配列、または配列番号97に係るアミノ酸配列、より好ましくは、配列番号94に係るアミノ酸配列、または配列番号97に係るアミノ酸配列、最も好ましくは配列番号94に係るアミノ酸配列を含む、実施形態50に記載のタンパク質。
【0060】
実施形態52:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、上記切断型が、配列番号15に係るアミノ酸配列のn個のC末端のアミノ酸を欠いており、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を含む群から選択されるいずれかの整数である、請求項49に記載のタンパク質。
【0061】
実施形態53:上記変異酵素活性提示部分が、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、実施形態49および52のいずれか1項に記載のタンパク質。
【0062】
実施形態54:上記変異酵素活性提示部分が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型が、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列である、実施形態49および52のいずれか1項に記載のタンパク質。
【0063】
実施形態55:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、以下の、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
g)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは96、または、
h)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは85
で、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つのアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸がシステインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されており、
より好ましくは、タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号122〜160、162〜200、202〜240、242〜280、および282〜338のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含み、最も好ましくは、上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号135、174、214、254、294に係るいずれか1つのアミノ酸配列を含む、
実施形態54に記載のタンパク質。
【0064】
実施形態56:上記変異酵素活性提示部分が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、実施形態49に記載のタンパク質。
【0065】
実施形態57:上記変異酵素活性提示部分が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列である、実施形態49に記載のタンパク質。
【0066】
実施形態58:上記変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、以下の、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
g)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは96、または、
h)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは85
で、配列番号339〜343のいずれか1つのアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸がシステインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、
実施形態57に記載のタンパク質。
【0067】
実施形態59:上記変異酵素活性提示部分が、ポリメラーゼ活性提示部位である、実施形態49〜58のいずれかに記載のタンパク質。
【0068】
実施形態60:上記変異酵素活性がポリメラーゼ活性である、実施形態49〜59に記載のタンパク質。
【0069】
実施形態61:上記ポリメラーゼ活性が温度安定性ポリメラーゼ活性である、実施形態60に記載のタンパク質。
【0070】
実施形態62:上記ポリメラーゼ活性がDNAポリメラーゼ活性である、請求項60〜61のいずれか1項に記載のタンパク質。
【0071】
実施形態63:上記DNAポリメラーゼ活性がDNA依存性DNAポリメラーゼ活性である、実施形態62に記載のタンパク質。
【0072】
実施形態64:上記変異酵素活性提示部分が酵素である、実施形態49〜63のいずれか1項に記載のタンパク質。
【0073】
実施形態65:上記ポリメラーゼ活性提示部位がポリメラーゼである、実施形態59〜63のいずれか1項に記載のタンパク質。
【0074】
実施形態66:野生型のポリメラーゼのポリメラーゼの変異体であり、上記ポリメラーゼの変異体が、アミノ酸配列を含み、好ましくは上記アミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
上記野生型のポリメラーゼが、配列番号15に係るアミノ酸配列からなり、好ましくは配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸がD−アミノ酸であり、
上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、野生型のポリメラーゼのアミノ酸配列と異なり、かつ/または、
上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、
上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列が、配列番号15〜22、および51のいずれかに係るアミノ酸配列と異なる、
ポリメラーゼの変異体。
【0075】
実施形態67:上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列が、以下の、配列番号15に係るアミノ酸配列のアミノ酸位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置71、76、67、もしくは86のうちの少なくとも1つ、または、
b)アミノ酸位置155もしくは203および71、または、
c)アミノ酸位置155もしくは203および31、または、
d)アミノ酸位置155もしくは203および76、または、
e)アミノ酸位置155もしくは203および67、または、
f)アミノ酸位置155もしくは203および86、または、
g)アミノ酸位置155もしくは203および96、または、
h)アミノ酸位置155もしくは203および85、または、
i)アミノ酸位置155および203および71、または、
j)アミノ酸位置155および203および86、または、
k)アミノ酸位置155および203および31、または、
l)アミノ酸位置155および203および76、または、
m)アミノ酸位置155および203および67、または、
n)アミノ酸位置155および203および86、または、
o)アミノ酸位置155および203および96、または、
p)アミノ酸位置155および203および85
で、配列番号15に係るアミノ酸配列からなる野生型のポリメラーゼのアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜p)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸がシステインにより置換されており、位置31のアミノ酸がセリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されている、
実施形態66に記載のポリメラーゼの変異体。
【0076】
実施形態68:上記ポリメラーゼの変異体が、配列番号89〜120のいずれか1つに係るアミノ酸配列、好ましくは、配列番号89に係るアミノ酸配列、または配列番号90に係るアミノ酸配列、または配列番号94に係るアミノ酸配列、または配列番号97に係るアミノ酸配列、より好ましくは、配列番号94に係るアミノ酸配列、または配列番号97に係るアミノ酸配列、最も好ましくは配列番号94に係るアミノ酸配列を含む、実施形態67に記載のポリメラーゼ変異体。
【0077】
実施形態69:上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型であり、上記切断型が、配列番号15に係るアミノ酸配列のn個のC末端のアミノ酸を欠いており、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を含む群から選択されるいずれかの整数である、実施形態66に記載のポリメラーゼの変異体。
【0078】
実施形態70:上記ポリメラーゼの変異体が、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、実施形態66および69のいずれか1つに記載のポリメラーゼの変異体。
【0079】
実施形態71:上記ポリメラーゼの変異体が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の切断型が、配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列である、実施形態66および69のいずれか1つに記載のポリメラーゼの変異体。
【0080】
実施形態72:上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列が、以下の配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つに係るアミノ酸配列の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
g)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは96、または、
h)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは85
での配列番号121、161、201、241、および281のいずれか1つのアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸が、セリンにより置換されており、位置76のアミノ酸がグリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸がグリシンまたはシステインにより置換されており、
より好ましくは、ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列が、配列番号122〜160、162〜200、202〜240、242〜280、および282〜338のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含み、最も好ましくは、上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列が、配列番号135、174、214、254、294のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、
実施形態71に記載のポリメラーゼの変異体
【0081】
実施形態73:上記ポリメラーゼの変異体が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含む、実施形態66に記載のポリメラーゼの変異体。
【0082】
実施形態74:上記ポリメラーゼの変異体が、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは3つのアミノ酸位置で、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型と異なるアミノ酸配列を含み、配列番号15に係るアミノ酸配列の変異型が、配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列である、実施形態66に記載のポリメラーゼの変異体。
【0083】
実施形態75:上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列が、以下の配列番号339〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列の位置、またはそれに対応するアミノ酸位置:
a)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは71、または、
b)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
c)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは31、または、
d)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは76、または、
e)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは67、または、
f)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは86、または、
g)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは96、または、
h)アミノ酸位置155および/もしくは203および/もしくは85
で、配列番号339〜343のいずれか1つのアミノ酸配列と異なり、
好ましくは、a)〜h)のいずれか1つにおいて、位置155、203、71、67、85、および96のアミノ酸が、システインにより置換されており、位置31のアミノ酸が、セリンにより置換されており、位置76のアミノ酸が、グリシンまたはアラニンにより置換されており、位置86のアミノ酸が、グリシンまたはシステインにより置換されている、
実施形態74に記載のポリメラーゼの変異体。
【0084】
実施形態76:上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列のアミノ酸が、D―アミノ酸である、請求項66〜75のいずれか1項に記載のポリメラーゼの変異体。
【0085】
実施形態77:上記ポリメラーゼの変異体のアミノ酸配列のアミノ酸が、L−アミノ酸である、実施形態66〜75のいずれか1項に記載のポリメラーゼの変異体。
【0086】
実施形態78:L−核酸の3’末端に1つまたは複数のL−ヌクレオチドを付加する方法における変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の使用であって、上記タンパク質が、実施形態49〜65のいずれか1項に記載のタンパク質である、使用。
【0087】
実施形態79:L−ヌクレオチドの存在下で標的L−核酸を増幅する方法における変異酵素活性提示部分を含むタンパク質の使用であって、上記タンパク質が、実施形態49〜65のいずれか1項に記載のタンパク質である、使用。
【0088】
実施形態80:上記標的L−核酸を増幅する方法が、ポリメラーゼ連鎖反応である、実施形態79に記載の使用。
【0089】
実施形態81:L−核酸分子に結合する標的分子の同定のための方法であって、以下の、
(a)L−核酸分子の異種性の集合を作製するステップと、
(b)上記標的分子と、ステップ(a)のL−核酸分子の異種性の集合を接触させるステップと、
(c)上記標的分子により結合されていないL−核酸分子を分離するステップと、
(d)上記標的分子により結合されたL−核酸分子を増殖するステップであって、上記増殖ステップがタンパク質を使用しており、上記タンパク質が、実施形態49〜65のいずれか1つに記載のタンパク質である、ステップと
を含む、方法。
【0090】
実施形態82:
(e)上記標的分子により結合されたL−核酸分子をシークエンシングするステップと、
(f)ステップ(e)においてシークエンシングしたL−核酸分子のヌクレオチド配列と同一のヌクレオチド配列の核酸分子を合成するステップと
をさらに含む、実施形態81に記載の方法。
【0091】
実施形態83:ステップ(a)のL−核酸分子の異種性の集合の核酸分子が、5’末端および3’末端で、プライマー結合部位、およびそれぞれ、ポリメラーゼ連鎖反応によりステップ(d)で得たL−核酸分子の増幅を可能にするプライマー結合部位と相補的である配列を含み、上記ポリメラーゼ連鎖反応で使用したポリメラーゼが、実施形態49〜65のいずれか1つに記載のタンパク質であり、上記ポリメラーゼ連鎖反応で使用したプライマーが、L−ヌクレオチドからなり、上記ポリメラーゼ連鎖反応で使用したヌクレオチドが、L−ヌクレオチドである、実施形態81〜82のいずれか1項に記載の方法。
【0092】
実施形態84:ステップ(d)の後に
(da)上記標的分子と上記増幅した核酸分子を接触させるステップ
が導入されており、
ステップ(b)および任意にステップ(c)および/または(d)が、ステップ(e)の前に実行されており、ステップ(da)、(b)、(c)、および任意に(d)が、1回または数回実行されている、実施形態81〜83のいずれか1項に記載の方法。
【0093】
実施形態85:L−核酸に結合する標的分子が、DNAである、実施形態81〜84のいずれか1項に記載の方法。
【0094】
実施形態86:L−核酸分子に結合する標的分子が、L−ヌクレオチドからなる、実施形態81〜85のいずれか1項に記載の方法。
【0095】
実施形態87:タンパク質を生成する方法であって、上記タンパク質がアミノ酸配列からなり、上記アミノ酸配列のアミノ酸がD―アミノ酸であり、
(a)上記タンパク質の2つ以上のフラグメントが化学的に合成されており、上記フラグメントが全体で、上記タンパク質のアミノ酸配列を形成し、好ましくは上記フラグメントが、固相ペプチド合成により合成されており、
(b)ステップ(a)のフラグメントが、セグメントの縮合、天然の化学的なライゲーション、酵素的なライゲーション、またはその組み合わせにより互いに結合しており、
上記タンパク質が、実施形態49〜65のいずれか1項に記載のタンパク質である、
方法。
【0096】
実施形態88:上記酵素的なライゲーションで使用した酵素が、クロストリパインである、実施形態87に記載のタンパク質を生成する方法。
【0097】
発明者らは、驚くべきことに、機能的に活性のあるD−アミノ酸からなるタンパク質を化学的に合成することが可能であり、それによって、このようなタンパク質が一般的にはポリメラーゼにより示されるようなサイズを有するようになることを見出した。より具体的には、発明者らは、このようなD−タンパク質およびD−ポリメラーゼ、すなわちポリメラーゼとして活性のあるD−アミノ酸からなるポリメラーゼの合成を可能にする方法に気付いた。この驚くべき知見に基づき、L−核酸およびL−核酸分子の酵素性合成に必要とされるタンパク質および酵素活性が今や利用可能である。L−核酸およびL−核酸分子のこのような酵素性合成は、第一のL−核酸の3’末端に1以上のL−ヌクレオチドを付加するための方法および、L−核酸としてのL−ヌクレオチドの存在下で標的L−核酸を増幅するための、すなわち増幅産物がL−核酸である方法を含むが、これらに限定されない。
【0098】
これらの方法および酵素活性は、利用するシュピーゲルマーを同定する代替的過程の一部であるので、シュピーゲルマーを同定するこのような代替的過程が現在、実現できる。
【0099】
発明者らは、酵素活性が、第一のL−核酸の3’末端に1以上のL−ヌクレオチドを付加することができる酵素活性提示部分を含むタンパク質の存在下で、1以上のL−ヌクレオチドを第一のL−核酸と反応させる段階を含む、第一のL−核酸の3’末端に対して1以上のL−ヌクレオチドを付加するための方法を開発した。
【0100】
好ましい実施形態において、酵素活性は、第一のL−核酸の3’末端に5から20,000個のL−ヌクレオチド、好ましくは10から2,000個のL−ヌクレオチド、より好ましくは50から500個のL−ヌクレオチド、最も好ましくは50から100個のL−ヌクレオチドを付加することができる。
【0101】
「付加する」という用語は、本明細書中で好ましく使用される場合、好ましくは第一のL−核酸の3’OHと少なくとも1以上のL−ヌクレオチドの1つの5’リン酸との間に3’−5’ホスホジエステル結合を形成させることによる、本発明による、分子間の共有結合、L−核酸の共有結合およびL−核酸への少なくとも1以上のL−ヌクレオチドの共有結合である。本発明によると、L−核酸に付加されるL−ヌクレオチドは、L−ヌクレオチドにより延長されるL−核酸の3’末端を形成する。
【0102】
好ましい実施形態において、第一のL−核酸の3’末端に1以上のL−ヌクレオチドを付加するための方法は、第二のL−核酸を含み、ここで、好ましくはワトソン−クリック塩基対形成を通じて、第一のL−核酸の1つの分子が第二のL−核酸の1つの分子とハイブリッド形成する。より好ましい実施形態において、本方法によって、第二のL−核酸と相補的である第三のL−核酸の合成が可能となり、この第三のL−核酸は、第一のL−核酸と、第一のL−核酸の3’末端、すなわち第一のL−核酸に付加されるL−ヌクレオチドと、を含み、1以上のL−ヌクレオチドが第一のL−核酸の3’末端に付加され、その結果、第三のL−核酸が得られる。
【0103】
本発明による酵素活性提示部分を含むタンパク質は、酵素活性提示部分のみを有するタンパク質および酵素活性提示部分と他の残基または部分とを有するタンパク質を含み、ここでタンパク質の他の残基または部分には酵素活性がない。本発明によると、酵素活性提示部分のアミノ酸配列は、300から900個の間のアミノ酸、好ましくは300から600個の間のアミノ酸、より好ましくは300から360個の間のアミノ酸、最も好ましくは340から360個のアミノ酸を含む。
【0104】
本発明による酵素活性提示部分を含むタンパク質は、好ましくはポリメラーゼ活性提示部分である。本発明によるポリメラーゼ活性提示部分を含むタンパク質は、ポリメラーゼ活性提示部分のみを有するポリメラーゼおよびポリメラーゼ活性提示部分と他の残基または部分とを有するポリメラーゼを含み、ここでポリメラーゼの他の残基または部分にはポリメラーゼ活性がない。本発明によると、ポリメラーゼ活性提示部分のアミノ酸配列は、300から900個の間のアミノ酸、好ましくは300から600個の間のアミノ酸、より好ましくは300から360個の間のアミノ酸、最も好ましくは340から360個のアミノ酸を含む。
【0105】
本発明によるポリメラーゼ活性提示部分は、好ましくは温度安定性のポリメラーゼ活性提示部分、より好ましくは温度安定性のDNAポリメラーゼ活性提示部分および最も好ましくは温度安定性のDNA依存性DNA−ポリメラーゼ活性提示部分である。
【0106】
本発明によるポリメラーゼ活性提示部分は、好ましくは、DNA−ポリメラーゼ活性提示部分、より好ましくはDNA依存性DNA−ポリメラーゼ活性提示部分または温度安定性のDNA−ポリメラーゼ活性提示部分、最も好ましくは温度安定性のDNA依存性DNA−ポリメラーゼ活性提示部分である。
【0107】
酵素活性という用語は、本明細書中で使用される場合、特異的な反応の触媒であり、好ましくは1以上のヌクレオチドを核酸の3’末端に付加すること、核酸および/またはポリメラーゼ活性のアンプリケーション(amplication)、より好ましくは1以上のL−ヌクレオチドをL−核酸の3’末端に付加すること、L−核酸のアンプリケーション(amplication)である。
【0108】
本発明によるポリメラーゼ活性という用語は、L−ヌクレオチドの重合および/またはL−核酸へのL−ヌクレオチドの重合の、酵素の性能であり、ここで好ましくはL−ヌクレオチドはL−ヌクレオシド三リン酸である。
【0109】
本発明によるポリメラーゼ活性は、好ましくは温度安定性のポリメラーゼ活性、より好ましくは温度安定性のDNAポリメラーゼ活性および最も好ましくは温度安定性のDNA依存性DNA−ポリメラーゼ活性である。
【0110】
本発明によるポリメラーゼ活性は、好ましくはDNA−ポリメラーゼ活性、より好ましくはDNA依存性DNA−ポリメラーゼまたは温度安定性のDNA−ポリメラーゼ活性、最も好ましくは温度安定性のDNA依存性DNA−ポリメラーゼ活性である。
【0111】
既知のポリメラーゼは、天然源由来であるかまたは天然源からのポリメラーゼの最適化もしくは突然変異誘導された変異体である。ポリメラーゼは、キラルな基本単位、すなわちL−アミノ酸からなる。結果的に、ポリメラーゼの構造は、本質的にキラルでもあり、その結果、立体特異的な基質認識が起こる。ゆえに、これらの酵素は、適正な、すなわち対応するキラル立体配置の基質分子のみを受容する。したがって、既知のポリメラーゼは、D−ヌクレオチドまたはD−ヌクレオシド三リン酸を重合させ、ここで、これらは、D−ヌクレオチドからなる相補的D−核酸鎖を合成するために、鋳型鎖として、D−ヌクレオチドからなるD−核酸を使用する。さらに、鋳型鎖に対して、ポリメラーゼは、場合によっては、鋳型鎖とハイブリッド形成し、D−ヌクレオチドからなるプライマーを使用する。天然の核酸は、D−ヌクレオチドから構成され、特にL−アミノ酸からなるタンパク質および酵素によって、処理、例えば増幅され得るので、それぞれL−アミノ酸からなるこのようなタンパク質および酵素によってL−核酸は認識されない。したがって、標的分子または標的構造に結合するL−核酸は、シュピーゲルマーとも呼ばれ、このような標的分子または標的構造の天然型を用いてインビトロ選択過程によって直接得ることができない。
【0112】
発明者らは、驚くべきことに、L−核酸鋳型鎖とハイブリッド形成するL−ヌクレオチドからなるプライマーにL−核酸ヌクレオチドを付加し得るポリメラーゼを作製することができることを見出した。さらに、発明者らは、驚くべきことに、好ましくはポリメラーゼ−連鎖反応(略称PCR)として知られる過程においてL−核酸の増幅のために使用され得るポリメラーゼを作製することが可能であることを見出した。
【0113】
ポリメラーゼは、ヌクレオシド三リン酸を重合させる酵素である。ポリメラーゼは、鋳型核酸鎖に相補的である核酸鎖鎖を合成するために、鋳型核酸鎖を使用する。鋳型核酸鎖に加えて、ポリメラーゼは、場合によっては、鋳型核酸鎖に対して塩基相補性に基づきハイブリッド形成するプライマーを使用する。鋳型核酸鎖、プライマーおよびポリメラーゼにより合成される核酸鎖は、独立にDNAまたはRNAの何れかであり得る。ポリメラーゼは、本明細書中で好ましく使用される場合、DNAポルメラーゼ(polmerase)およびRNA−ポリメラーゼ、好ましくはDNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ、例えば逆転写酵素など、RNA依存性RNAポリメラーゼおよびRNA依存性DNAポリメラーゼを含む。より好ましくは、ポリメラーゼは温度安定性のポリメラーゼである。ポリメラーゼは、対応するネイティブまたは野生型酵素で見出されるアミノ酸の全てを含有する必要はないが、ポリメラーゼが所望の触媒活性を遂行するのを可能にするのに十分であるもののみ必要である。ある実施形態において、ポリメラーゼ活性は、例えば、5’−3’重合化、5’−3’エキソヌクレアーゼおよび3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を含む触媒活性を含む群から選択される触媒活性である。
【0114】
本発明によるポリメラーゼは、D−アミノ酸からなり、L−ヌクレオチドまたはL−ヌクレオシド三リン酸を重合化し、この本発明によるポリメラーゼは、L−ヌクレオチドからなる相補的L−核酸鎖を合成するために、鋳型鎖としてL−ヌクレオチドからなるL−核酸を使用する。さらに、鋳型鎖に対して、本発明によるポリメラーゼは、場合によっては鋳型鎖とハイブリッド形成し、L−ヌクレオチドからなるプライマーを使用する。鋳型鎖、プライマーおよび合成核酸鎖は独立にL−DNAまたはL−RNAの何れかであり得る。本発明によるポリメラーゼは、D−アミノ酸からなるDNAポルメラーゼ(polmerase)およびD−アミノ酸からなるRNA−ポリメラーゼ、好ましくはD−アミノ酸からなるDNA依存性DNAポリメラーゼ、D−アミノ酸からなる逆転写酵素などのRNA依存性DNAポリメラーゼ、D−アミノ酸からなるRNA依存性RNAポリメラーゼおよびD−アミノ酸からなるRNA依存性DNAポリメラーゼを含む。より好ましくは、本発明によるポリメラーゼは、D−アミノ酸からなる温度安定性のポリメラーゼである。本発明によるポリメラーゼは、ネイティブ酵素で見出されるアミノ酸の全てを含有する必要はないが、本発明によるポリメラーゼが所望の触媒活性を遂行するのを可能にするのに十分であるもののみ必要である。触媒活性としては、例えば、5’−3’重合化、5’−3’エキソヌクレアーゼおよび3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が挙げられる。
【0115】
L−アミノ酸のみからなるポリメラーゼは、好ましくは本明細書中で「全L−ポリメラーゼ」と呼ばれる。
【0116】
D−アミノ酸のみからなるポリメラーゼは、好ましくは本明細書中で「全−Dポリメラーゼ」と呼ばれる。
【0117】
好ましい実施形態において、本発明によるポリメラーゼは、アフリカブタ熱ウイルスポリメラーゼX、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)ポリメラーゼXコアドメイン、ラットポリメラーゼβ、真核生物ポリメラーゼβ、クレノウ断片、クレノウエキソポリメラーゼ、T4DNAポリメラーゼ、Phi29DNAポリメラーゼ、シーケナーゼ、T7DNAポリメラーゼ、SP6ポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、ポリメラーゼλ、ポリメラーゼDPO4、好ましくは、Sulfolobus solfataricus属、Sulfolobus islandicus属、Sulfolobus shibatae属、Sulfolobus tengchongensis属、Sulfolobus tokodaii属、Sulfolobus acidocaldarius属、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)DNAポリメラーゼ、パイロコッカス属(Pyrococcus sp.)DNAポリメラーゼ、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)DNAポリメラーゼ、Pfuturbo
(商標)ポリメラーゼ、スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)DNAポリメラーゼ、サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)DNAポリメラーゼ、KODポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、Pyrobestポリメラーゼ、Pwoポリメラーゼ、Sacポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Pocポリメラーゼ、Pabポリメラーゼ、Mthポリメラーゼ、Phoポリメラーゼ、ES4ポリメラーゼ、EX−Taq
(商標)ポリメラーゼ、LA−Taq
(商標)ポリメラーゼ、Expand
(商標)ポリメラーゼ、Platinum
(商標)Taqポリメラーゼ、Hi−Fi
(商標)ポリメラーゼ、Tbrポリメラーゼ、Tflポリメラーゼ、Truポリメラーゼ、Tacポリメラーゼ、Tneポリルネラーゼ(polyrnerase)、Tmaポリメラーゼ、Tihポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、AmpliTaq
(商標)、Stoffel断片、9°Nm
(商標)DNAポリメラーゼ、Therminator
(商標)、Therminator II
(商標)、Phusion High Fidelity
(商標)ポリメラーゼ、Paq5000
(商標)、Pfx−50
(商標)、Proofstart
(商標)、FideliTaq
(商標)、エロンガーゼ
(商標)およびそれらのそれぞれおよび何れかの変異体の群から選択される。
【0118】
より好ましい実施形態において、本発明によるポリメラーゼは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるアフリカブタ熱ウイルスポリメラーゼXである。別のより好ましい実施形態において、本発明によるポリメラーゼは、アフリカブタ熱ウイルスポリメラーゼXの変異体、最も好ましくは、配列番号2に記載のアミノ酸配列、配列番号3に記載のアミノ酸配列および配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列の選択されるアミノ酸配列のアフリカブタ熱ウイルスポリメラーゼXの変異体である。
【0119】
より好ましい実施形態において、本発明によるポリメラーゼは、ポリメラーゼDpo4の変異体もしくは変異型、または切断型であり、ここでポリメラーゼDpo4が、配列番号15に係るアミノ酸配列からなり、ポリメラーゼDpo4の変異体もしくは変異型、または切断型が、配列番号89〜343のいずれかに係るアミノ酸配列を含み、好ましくは、配列番号15に係るポリメラーゼDpo4のアミノ酸、および配列番号89〜343のいずれかに係るポリメラーゼDpo4の変異体もしくは変異型または切断型がD−アミノ酸である。別のより好ましい実施形態において、本発明によるポリメラーゼは、ポリメラーゼDpo4の変異体、最も好ましくは配列番号16に記載のアミノ酸配列、配列番号17に記載のアミノ酸配列、配列番号18に記載のアミノ酸配列、配列番号19に記載のアミノ酸配列、配列番号20に記載のアミノ酸配列、配列番号21に記載のアミノ酸配列および配列番号22に記載のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列の選択されるアミノ酸配列からなるポリメラーゼDpo4の変異体である。
【0120】
ポリメラーゼの変異体もしくは変異型または切断型は、1以上のアミノ酸位置でこのポリメラーゼのアミノ酸配列とは異なるポリメラーゼである。アミノ酸配列中のアミノ酸位置は、好ましくはポリメラーゼのN−末端およびC−末端に対するその位置および/またはそのアミノ酸の周囲のアミノ酸に対するその位置により決定され、
a)ポリメラーゼがN−末端で短縮される場合、アミノ酸位置は、ポリメラーゼのC−末端に対するその位置により、およびそのアミノ酸の周囲のアミノ酸に対して決定され、
b)ポリメラーゼがC−末端で短縮される場合、アミノ酸位置は、ポリメラーゼのN−末端に対するその位置により、およびそのアミノ酸の周囲のアミノ酸に対して決定され、
b)ポリメラーゼがN−末端およびC−末端で短縮される場合、アミノ酸位置は、そのアミノ酸の周囲のアミノ酸に対するその位置によって決定されるようになる。
【0121】
本発明の一実施形態では、変異酵素活性提示部分は、酵素活性提示部分の変異体または変異型または切断型であり、酵素活性提示部分が、配列番号15に係るアミノ酸配列からなり、好ましくは、配列番号15に係る酵素活性提示部分のアミノ酸がD―アミノ酸であり、変異酵素活性提示部分が、本明細書中に開示されるように変異しており、すなわち、配列番号15の少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは配列番号15の3つのアミノ酸位置で変異している。好ましくは、変異酵素活性提示部分は、配列番号89〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列を含み、より好ましくは、配列番号89〜343のいずれか1つに係るアミノ酸配列のアミノ酸は、D―アミノ酸である。
【0122】
本発明のさらなる実施形態では、変異酵素活性提示部分は、本明細書中に開示されるように変異しており、すなわち、変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列が、配列番号15に係るアミノ酸配列と比較して、配列番号15の少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは配列番号15の3つのアミノ酸位置で変異しており、言い換えると、変異酵素活性提示部分に固有の変異は、変異酵素活性提示部分のアミノ酸配列の区画に属しており、上記変異を除き配列番号15に係るアミノ酸配列であり、よって、アミノ酸配列において、変異酵素活性提示部分および酵素活性提示部分の両方に含まれている。このような実施形態に関連して、変異酵素活性提示部分は、配列番号15に係るアミノ酸配列のN末端およびC末端のいずれかまたは両方に付着した1つまたは複数の追加的なアミノ酸を含んでもよい。
【0123】
温度安定性である本発明によるポリメラーゼは、温度上昇によって比較的影響を受けにくい。ある具体的な非限定例において、温度安定性であるポリメラーゼは、少なくとも50℃、例えば、50℃の温度、60℃、75℃、80℃、82℃、85℃、88℃、90℃、92℃、95℃以上の温度により影響を受けない。
【0124】
L−ヌクレオシド三リン酸のポリメルセーション(polymersation)の過程内で、本ポリメラーゼは、1個のヌクレオシド三リン酸を別のヌクレオシド三リン酸に付加し、好ましくはその結果、核酸とも呼ばれるオリゴヌクレオチドが得られる。好ましい実施形態において、本ポリメラーゼは、1個のヌクレオシド三リン酸のみを1個のヌクレオシド三リン酸にまたは、例えばヌクレオチドが連鎖停止剤ヌクレオチド、例えばジデオキシヌクレオチドである場合、核酸の末端ヌクレオチドに付加する。このような連鎖停止剤ヌクレオチドは、核酸の配列決定を行うために使用され、当業者により知られている。
【0125】
L−核酸、好ましくは標的L−核酸を増幅するために、L−ヌクレオシド三リン酸のポリメルセーション(polymersation)の過程が使用され得る。
【0126】
増幅は、核酸、好ましくは標的L−核酸のコピー数を増加させる何らかの過程である。
【0127】
好ましい実施形態において、標的L−核酸は、20から20,000個のL−ヌクレオチド、好ましくは30から2,000個のL−ヌクレオチド、より好ましくは40から500個のL−ヌクレオチド、最も好ましくは50から100個のL−ヌクレオチドからなる。
【0128】
増幅の例は、核酸鋳型に対するプライマーのハイブリッド形成を可能にする条件下で、核酸をプライマー対と接触させるものである。適切な条件下でプライマーに1以上のヌクレオシド三リン酸を付加することによってポリメラーゼによりプライマーを伸長させ、核酸鋳型から解離させ、次いで再アニーリングさせ、伸長させ、解離させて核酸分子のコピー数を増幅させる。インビトロ増幅の産物は、標準的技術を用いて、電気泳動、制限エンドヌクレアーゼ切断パターン、オリゴヌクレオチドハイブリッド形成またはライゲーションおよび/または核酸配列決定によって特徴を調べることができる。
【0129】
代替的なインビトロ増幅技術は当業者にとって公知であり、転写フリー等温性増幅、鎖置換増幅およびNASBA
(商標)RNA転写フリー増幅を含む。
【0130】
増幅方法の一部は、核酸、好ましくは2本鎖核酸を融解させるための反応の加熱および冷却の反復のサイクルからなる温度サイクリングおよび核酸の酵素性複製に依存する。これらの温度サイクリング段階は、核酸融解と呼ばれる過程において高温で2本鎖核酸の2本の鎖を最初に物理的に分離させるために必要である。次に、より低い温度で、標的核酸を選択的に増幅させるためのポリメラーゼによる核酸合成において、各鎖が鋳型として使用される。ポリメラーゼとともに標的領域に相補的な配列を含有するプライマー(この後この方法を示す。)は、選択的および反復性の増幅を可能にする重要な構成要素である。温度サイクリング進行に基づく増幅方法として、作製される核酸はそれ自身、複製のための鋳型として使用され、核酸鋳型が指数関数的に増幅される連鎖反応を引き起こす。
【0131】
温度性の増幅による最も著名な増幅方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(略称PCR)である。
【0132】
プライマーは、DNAもしくはRNAまたはそれらの組み合わせ、好ましくは、長さが10ヌクレオチド以上のDNAオリゴヌクレオチドからなる短い核酸分子である。より好ましくは、より長いプライマーは、長さが約15、20または25ヌクレオチド以上であり得る。核酸ハイブリッド形成によって相補的標的核酸鎖とプライマーをアニーリングさせ、プライマーと標的核酸鎖との間でハイブリッドを形成させることができ、次いで、ポリメラーゼプライマー対によって標的核酸鎖に沿って伸長させたプライマーを、例えばPCRまたは当技術分野で公知の他の核酸増幅方法による核酸の増幅のために使用し得る。
【0133】
D−アミノ酸からなる本発明のポリメラーゼの使用によって、プライマーおよび相補的標的核酸鎖がL−ヌクレオチドからなるようにすることが必要となる。好ましくは少なくとも1つのプライマーは、L−ヌクレオチドおよび場合によっては修飾からなる。
【0134】
核酸プライマーおよびプローブを調製し、使用するための方法は、例えばSambrookら(Sambrockら、1989)に記載されている。PCRプライマー対は、例えばプライマーなど、その目的を対象としたコンピュータプログラムを用いることにより、既知の配列由来となることがある。当業者にとって当然のことながら、特定のプローブまたはプライマーの特異性は、その長さに伴い向上する。
【0135】
そのため、本発明によるポリメラーゼはD−アミノ酸からなる、好ましくはD−アミノ酸のみからなる。D−アミノ酸からなる本発明によるポリメラーゼは、天然源から単離することができず、細菌、酵母、真菌、ウイルスまたは動物細胞を用いた組み換え発現により作製できず、化学的過程、好ましくはライゲーション法と組み合わせた固相ペプチド合成(略称SPPS)などによって作製しなければならない。
【0136】
固相ペプチド合成は、ペプチドまたはタンパク質断片の合成に対する最新の技術であり:不溶性であるが多孔性の小型の固形ビーズをペプチド鎖が構築され得る機能的単位(「リンカー」)で処理する。ペプチドは、無水フッ化水素またはトリフルオロ酢酸などの試薬によりビーズから切断されるまで、ビーズに共有結合したままである。したがって、ペプチドは固相上に「固定化」されており、ろ過過程中に保持され得、一方で、液相試薬および合成の副産物が除去される。SPPSの全般的な原理は、カップリング−洗浄−脱保護−洗浄の1反復サイクルである。固相連結ペプチドの自由N末端アミンを1個のN−保護アミノ酸単位にカップリングさせる(下記参照)。次に、この単位を脱保護し、これにより、さらなるアミノ酸が連結され得る新しいN末端アミンが現れる。この技術の優位性は、一部には、関心のある伸長中のペプチドが全て不溶性樹脂に共有結合されたまま、過剰な試薬を除去する各反応後の洗浄サイクルを行うことができることにある。SPPSの主要な使用形態は2種類、FmocおよびBocがある。アミノ酸単量体のN末端は、これらの2つの基の何れかにより保護され、脱保護されたアミノ酸鎖上に付加される。SPPSは収率により限定され、一般的には70個のアミノ酸の範囲のペプチドおよびタンパク質が合成の利用能の限界となっている。合成の困難性は配列にも依存する。2個のペプチドを一緒にカップリングするために、断片縮合、ネイティブ化学ライゲーションまたは酵素性ライゲーションなどのライゲーション法を用いることによって、より大きな合成オリゴペプチドおよびタンパク質が得られるようになり得る。しかし、今までに合成された最大のD−タンパク質は、102個のD−アミノ酸からなる血管由来タンパク質血管内皮増殖因子(略称VEGF−A)のD−タンパク質型である(Mandalら、2012)。
断片縮合は、ペプチドのアミノ酸のその鎖が化学基で完全に保護されているペプチドを使用し、そのペプチドは溶液中でカップリングされる。
【0137】
ネイティブ化学ライゲーションは水溶液中で行われる。必要な非保護ペプチド−チオエステル基本単位の調製は難関である。ネイティブ化学ライゲーションにおいて、非保護ペプチド2のN末端システイン残基のチオレート基は、pH7.0、20℃<T<37℃の水性緩衝液中で第二の非保護ペプチド1のC末端チオエステルを攻撃する。この可逆的トランスチオエステル化段階は、化学選択的であり、位置選択的であり、チオエステル中間体3の形成につながる。この中間体は、分子内S,N−アシルシフトにより再編成し、その結果、ライゲーション部位でネイティブアミド(「ペプチド」)結合4が形成される。
【0138】
実施例で示されるように、驚くべきことに、発明者らは、ネイティブ化学ライゲーションに必要なC末端チオエステルが、酵素性ライゲーション条件下で安定であるので、ネイティブ化学ライゲーションおよび酵素性ライゲーションを組み合わせて使用し得ることを示すことができた。
【0139】
D−ペプチドの酵素性ライゲーションは、次の段階を含むプロテアーゼの使用により作用する:(a)独自にD−ペプチドであるアミノ構成要素の調製、(b)脱離基を含み、独自にD−ペプチドであるカルボキシ構成要素の調製および(c)独自にD−ポリペプチドを与えるための、脱離基の切断によりアミノ構成要素とカルボキシ構成要素との間でペプチド結合を形成させるためのプロテアーゼ存在下でのアミノ構成要素およびカルボキシ構成要素の反応(WO2003047743参照)。好ましくはプロテアーゼはクロストリパインである。
【0140】
本発明のポリメラーゼはまた、本発明のポリメラーゼ、および特に本明細書中で開示される特定の配列と基本的に相同であるポリメラーゼも含む。実質的に相同である、という用語は、相同性が少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%および最も好ましくは95%、96%、97%、98%または99%を超えるものなどと理解されたい。
【0141】
本発明のポリメラーゼ活性提示部分はまた、本発明のポリメラーゼ活性提示部分および特に本明細書中で開示される特定の配列と基本的に相同であるポリメラーゼ活性提示部分も含む。実質的に相同である、という用語は、相同性が少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%および最も好ましくは95%、96%、97%、98%または99%を超えるものなどと理解されたい。
【0142】
本発明のポリメラーゼまたは本発明発明のポリメラーゼ活性提示部分に存在する相同アミノ酸の実際のパーセンテージは、ポリメラーゼまたはポリメラーゼ活性提示部分に存在するアミノ酸の総数に依存する。%修飾は、ポリメラーゼまたはポリメラーゼ活性提示部分に存在するアミノ酸の総数に基づき得る。
【0143】
2つのポリメラーゼまたは2つのポリメラーゼ活性提示部分間の相同性は、当業者にとって公知のように決定され得る。より具体的には、指定のプログラムパラメーターに基づき、参照配列に対する試験配列についてのパーセント配列相同性を計算するために配列比較アルゴリズムを使用し得る。試験配列は、好ましくは、相同であると言われるかまたは相同であるか否か、相同である場合は、異なるポリメラーゼまたはポリメラーゼ活性提示部分に対してどの程度相同であるかを試験しようとするポリメラーゼまたはポリメラーゼ活性提示部分であり、そのため、このような異なるポリメラーゼまたはポリメラーゼ活性提示部分は相同性参照配列とも呼ばれる。例えばSmithおよびWatermanのローカル相同性アルゴリズム(Smith & Waterman,1981)によって、NeedlemanおよびWunschの相同性アラインメントアルゴリズム(Needleman & Wunsch,1970)によって、PearsonおよびLipmanの類似度法に対する検索(Pearson & Lipman,1988)によって、これらのアルゴリズムのコンピュータでの実行によって(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.における、GAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)または目視によって、比較のためのポリメラーゼのアミノ酸配列の最適アラインメントを行い得る。
【0144】
パーセント配列同一性を決定するために適切であるアルゴリズムの一例は、ベーシック・ローカル・アラインメント検索ツール(本明細書中で以後、「BLAST」)において使用されるアルゴリズムであり、例えばAltschulら(Altschulら、1990およびAltschulら、1997)参照。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(本明細書中で以後「NCBI」)を通じて公開されている。NCBIから入手可能なソフトウェア、例えば、BLASTN(ヌクレオチド配列用)およびBLASTP(アミノ酸配列用)を用いて配列同一性を決定する際に使用される初期設定パラメーターは、McGinnisら(McGinnisら、2004)に記載されている。
【0145】
本発明のポリメラーゼはまた、本発明のポリメラーゼおよび特に本明細書中で開示される本発明の特定のポリメラーゼに対してある一定の同一性を有し、それらのアミノ酸配列によって定められるポリメラーゼも含む。より好ましくは、本発明はまた、本発明のポリメラーゼおよび特に本明細書中で開示され、それらのアミノ酸配列またはその一部により定められる本発明の特定のポリメラーゼ対して少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%および最も好ましくは95%、96%、97%、98%または99%を超える同一性を有し、それらのアミノ酸配列またはそれらの一部により定められるポリメラーゼも含む。
【0146】
本発明のポリメラーゼ活性提示部分は、本発明のポリメラーゼ活性提示部分および特に本明細書中で開示され、それらのアミノ酸配列により定められる本発明の特定のポリメラーゼ活性提示部分に対してある一定の同一性を有するポリメラーゼ活性提示部分も含む。より好ましくは、本発明はまた、本発明のポリメラーゼ活性提示部分および特に本明細書中で開示され、それらのアミノ酸配列またはそれらの一部により定められる本発明の特定のポリメラーゼ活性提示部に対して、少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%および最も好ましくは95%、96%、97%、98%または99%を超える同一性を有するポリメラーゼ活性提示部分も含む。
【0147】
本願に関連して、核酸分子および核酸という用語は、別段の断りが明確に示されない場合は交換可能に使用される。
【0148】
好ましく本明細書中で使用される場合、「核酸(nucleic aicdおよびnucleic acids)」は、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、例えばデオキシリボ核酸(略称DNA)およびリボ核酸(略称RNA)などを指す。さらに「核酸」という用語は複数の核酸を含む。「核酸(nucleic aicdおよびnucleic acids)」という用語はまた、ヌクレオチド類似体、1本鎖(センスまたはアンチセンス)および2本鎖のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドからなるRNAまたはDNAの何れかの同等物、変異体および類似体を含むとも理解されたい。デオキシリボヌクレオチドには、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシンおよびデオキシチミジンが含まれる。リボヌクレオチドには、アデノシン、シチジン、グアノシンおよびウリジンが含まれる。「ポリヌクレオチド」としての核酸分子への言及は、1本鎖のまたは2本鎖の分子を含む、共有結合により連結される2以上のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を意味するためにその広義の意味で使用される。「オリゴヌクレオチド」という用語はまた、共有結合によって連結される2以上のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を意味するためにも本明細書中で使用されるが、本明細書中で定義されるように、オリゴヌクレオチドは、100ヌクレオチド未満を含む。
【0149】
核酸は、核酸を形成する連続ヌクレオチド全てが互いに1以上の共有結合により連結または結合されることを特徴とする。より具体的には、このようなヌクレオチドのそれぞれは、2個の他のヌクレオチドに、好ましくはホスホジエステル結合または他の結合を通じて連結または結合され、一続きの連続ヌクレオチドを形成する。しかし、このような配置において、このような配置が直鎖状であり、環状配置でなく、したがって環状分子でなく直鎖状であるという前提下で、2つの末端ヌクレオチド、すなわち好ましくは5’末端および3’末端のヌクレオチドは、それぞれ1個のヌクレオチドにのみ連結される。
【0150】
本願の別の実施形態において、核酸は少なくとも2つの連続ヌクレオチド群を含み、それにより連続ヌクレオチドの各群内で、各ヌクレオチドが2個の他のヌクレオチドに、好ましくはホスホジエステル結合または他の結合を通じて連結または結合され、一続きの連続ヌクレオチドが形成される。しかし、このような配置において、2個の末端ヌクレオチド、すなわち好ましくは5’末端および3’末端のヌクレオチドは、それぞれ1個のヌクレオチドにのみ連結される。しかし、このような実施形態において、連続ヌクレオチドの2つの群は、共有結合を通じて互いに連結または結合されず、共有結合、好ましくはこの2つのヌクレオチドの一方の糖部分とこの2つのヌクレオチドまたはヌクレオシドの他のホスホール部分との間で形成される共有結合を通じて、一方の群の1ヌクレオチドおよび別のまたは他方の群の1ヌクレオチドを連結する。しかし、代替的な実施形態において、連続ヌクレオチドの2つの群は、共有結合、好ましくはこの2つのヌクレオチドの一方の糖部分とこの2つのヌクレオチドまたはヌクレオシドの他方のホスホール部分との間で形成される共有結合を通じて1つの群の1ヌクレオチドおよび別のまたは他の群の1ヌクレオチドを連結する共有結合を通じて互いに対して連結または結合される。好ましくは、連続ヌクレオチドの少なくとも2群は共有結合を通じて連結されることはない。別の好ましい実施形態において、ホスホジエステル結合とは異なる共有結合を通じて少なくとも2群が連結される。
【0151】
核酸という用語は、好ましくはD−核酸またはL−核酸の何れかも包含する。好ましくは、核酸はL−核酸である。さらに、核酸の1または数個の部分がD−核酸として存在し、核酸の少なくとも1または数個の部分がL−核酸であり得る。核酸の「一部分」という用語は、1ヌクレオチドのような小さいものを意味する。このような核酸は、一般に本明細書中でそれぞれD−およびL−核酸と呼ばれる。したがって、好ましい実施形態において、本発明による核酸は、L−ヌクレオチドからなり、少なくとも1つのD−ヌクレオチドを含む。好ましくは、このようなD−ヌクレオチドは、一続きの何れかおよび何れかの核酸の末端に連結される。
【0152】
L−核酸は、本明細書中で使用される場合、L−ヌクレオチドからなる、好ましくは完全にL−ヌクレオチドからなる核酸である。
【0153】
D−核酸は、本明細書中で使用される場合、D−ヌクレオチドからなる、好ましくは完全にD−ヌクレオチドからなる核酸である。
【0154】
また、別段の指示がない場合、何れのヌクレオチド配列も、本明細書中で5’→3’方向に示される。
【0155】
核酸が、D−ヌクレオチド、L−ヌクレオチドまたは、例えば無作為である両者の組み合わせまたは少なくとも1つのL−ヌクレオチドおよび少なくとも1つのD−核酸からなる一続きの定められた配列からなるか否かに関わりなく、核酸分子は、デスオキシリボヌクレオチド(desoxyribonucleotide)、リボヌクレオチドまたはそれらの組み合わせからなり得る。
【0156】
核酸が、D−ヌクレオチド、L−ヌクレオチド、これらの混合物、DNAまたはRNAまたはそれぞれおよび何らかのそれらの組み合わせであるか否かにかかわらず、核酸という用語は、本明細書中で好ましく使用される場合、1本鎖核酸および2本鎖核酸も包含し、それにより好ましくは本発明による方法に供される場合の核酸分子は1本鎖核酸である。
【0157】
核酸という用語は、本明細書中で好ましく使用される場合、修飾核酸も包含する。修飾核酸は、ヌクレオチド−修飾RNAまたはヌクレオチド−修飾DNA分子であり得、それにより、ヌクレアーゼ耐性基、例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−H(概説についてはUsman & Cedergren,1992参照)での修飾により安定性を促進するために、RNAまたはDNA分子は個々のヌクレオチドにおいて大規模に修飾される。
【0158】
核酸という用語は、本明細書中で好ましく使用される場合、完全に閉じた核酸も包含する。核酸に対する、完全に閉じた、すなわち環状構造は、ヌクレオチド配列が本発明により決定されるべきである核酸が、好ましくは共有結合を通じて閉じている場合に認められ、それによって、より好ましくはこのような共有結合は、本明細書中で開示されるように、核酸分子配列の5’末端と3’末端との間で形成される。
【0159】
核酸という用語は、好ましく使用される場合、非核酸分子部分を含むあらゆる核酸分子も包含する。このような非核酸分子部分は、次でより詳細に概説するように、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、様々な基を含む群から選択され得る。したがって、核酸という用語は、少なくとも1つの核酸部分および、細胞など、生体系への核酸分子の送達を促進するために使用され得る少なくとも1つのさらなる部分を含む複合物および/または複合体も包含する。提供される複合物および複合体は、細胞膜を横切って治療化合物を移送し、薬物動態を変化させ、および/または本発明の核酸の局在性を調節することによって治療活性を付与し得る。これらの種類の複合物および複合体は、好ましくは、細胞膜を横切る、低分子、脂質、リン脂質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、抗体、毒素、負電荷ポリマーおよび他のポリマー、例えばタンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、ポリエチレングリコールまたはポリアミンを含むがこれらに限定されない分子の送達に適切である。一般に、記載される輸送体は、分解性リンカーありまたはなしで、個別にまたは多構成要素系の一部としての何れかで使用されるように設計される。これらの化合物は、血清の存在下または非存在下で、異なる組織由来の多くの細胞タイプへの核酸分子の送達および/または局在を向上させると予想される(米国特許第US5,854,038号参照)。本明細書中に記載の分子の複合物は、生体分解性核酸リンカー分子など、生体分解性であるリンカーを介して生物学的活性分子に結合させ得る。
【0160】
配列を決定しようとする核酸に関する次の記述で詳述されるように、非核酸部分は、PEG部分、すなわちポリ(エチレングリコール)部分またはHES部分、すなわちヒドロキシエチルデンプン部分であり得る。
【0161】
直接的にまたはリンカーを通じて、の何れかで、非核酸部分および好ましくはPEGおよび/またはHES部分を核酸分子に結合させ得る。核酸分子が1以上の修飾、好ましくは1以上のPEGおよび/またはHES部分を含むことも本発明の範囲内である。実施形態において、個別のリンカー分子によって、複数のPEG部分またはHES部分が核酸分子に結合される。本発明に関連して使用されるリンカーは、それ自身、直鎖状または分岐状の何れかであり得る。これらの種類のリンカーは、当業者にとって公知であり、特許出願WO2005/074993およびWO2003/035665にさらに記載されている。
【0162】
好ましい実施形態において、リンカーは生体分解性リンカーである。生体分解性リンカーによって、とりわけ、動物の身体、核酸分子からの修飾物の放出ゆえに、好ましくはヒトの身体における、滞留時間に関して、核酸分子の特徴を改変することが可能となる。生体分解性リンカーの使用によって、核酸分子の滞留時間をより良好に制御できるようになり得る。このような生体分解性リンカーの好ましい実施形態は、国際特許出願WO2006/052790、WO2008/034122、WO2004/092191およびWO2005/099768に記載のものなどであるがそれらに限定されない生体分解性リンカーであり、したがって、国際特許出願WO2004/092191およびWO2005/099768において、リンカーは、本明細書中で記載のような1または2個の修飾物、核酸分子およびその間の生体分解性リンカーからなる、ポリマー性オリゴヌクレオチドプロドラッグの一部である。
【0163】
本明細書中で好ましく使用される場合、「ヌクレオチド」は、天然のDNAヌクレオシド一−、二−および三リン酸:デオキシアデノシン一−、二−および三リン酸;デオキシグアノシン一−、二−および三リン酸;デオキシチミジン一−、二−および三リン酸;およびデオキシシチジン一−、二−および三リン酸を含むがこれらに限定されない。(本明細書中で、それぞれdA、dG、dTおよびdCまたはA、G、TおよびCと呼ぶ。)。ヌクレオチドという用語はまた、天然のRNAヌクレオシド一−、二−および三リン酸:アデノシン一−、二−および三リン酸;グアニン一−、二−および三リン酸;ウリジン一−、二−および三リン酸;シチジン一−、二−および三リン酸(本明細書中でそれぞれA、G、UおよびCと呼ぶ。)も含み;核酸分子、すなわちDNA分子およびRNA分子の単量体の単位である塩基−糖−リン酸の組み合わせを指す。しかし、言い換えると、「ヌクレオチド」という用語は、環状フラノシド型糖(RNA中のp−D/L−リボースおよびDNA中のP−D/L−2’−デオキシリボース)を含有する何らかの化合物を指し、これは、5’位置でリン酸化されており、−グリコシルC1’−N結合を介してC−1’糖位置に連結されるプリンまたはピリミジン型塩基の何れかを有する。ヌクレオチドは、とりわけ修飾塩基(例えば5−メチルシトシン)および修飾糖基(例えば2’−O−メチルリボシル、2’−O−メトキシエチルリボシル、2’−フルオロリボシル、2’−アミノリボシルなど)による修飾ヌクレオチドを有するヌクレオチドを含むマス修飾ヌクレオチドを含め、天然または合成であり得る。
【0164】
「核酸塩基」という用語は、天然の核酸塩基アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)ならびに非天然の核酸塩基、例えばキサンチン、ジアミノプリン、8−オキソ−N6−メチルアデニン、7−デアザキサンチン、7−デアザグアニン、N4,N4−エタノシトシン、N6,N6−エタノ−2,6−ジアミノプリン、5−メチルシトシン、5〜(C3−C6)−アルキニル−シトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、シュードイソシトシン、2−ヒドロキシ−5−メチル−4−トリアゾロピリジン、イソシトシン、イソグアニン、イノシンなど、およびFreier & Altmann(Freier & Altmann,1997)の刊行物における米国特許US5,432,272号に記載の「非天然の」核酸塩基を包含する。したがって、「核酸塩基」という用語は、既知のプリンおよびピリミジン複素環だけでなく、複素環類似体およびその互変異性体も含む。
【0165】
1本鎖核酸が個別および安定な三次元構造を形成し得、抗体のような標的分子に特異的に結合し得ることは本発明の範囲内である。D−ヌクレオチドから構成されるこのような核酸分子はアプタマーと呼ばれる。アプタマーは、いくつかの標的分子、例えば低分子、タンパク質、核酸に対して、および細胞、組織および生物に対しても同定され得、特異的な標的分子のインビトロおよび/またはインビボ機能を阻害し得る。アプタマーは通常、インビトロ選択と呼ばれる標的に対する選択過程または指数関数的進化によるリガンドの系統的進化(Systematic Evolution of Ligands byExponential Enrichment、略称SELEX)(Bockら、1992;Ellington & Szostak,1990;Tuerk & Gold,1990)によって同定される。主に、ヌクレアーゼ分解および腎臓による身体からのクリアランスゆえに、非修飾アプタマーは血量から迅速に排除され、半減期は分単位から時間単位であるが、これはアプタマーが本質的に低分子量であるからである。それゆえに、アプタマーを治療に使用するためには、糖の2’位(例えばリボース)骨格でこれらが修飾されねばならない(Burmesterら、2006)。
【0166】
アプタマーの不安定性の主因である偏在ヌクレアーゼは、キラル基本単位、すなわちL−アミノ酸からなる。結果的に、ヌクレアーゼの構造は、本質的にキラルでもあり、その結果、立体特異的な基質認識が起こる。それゆえに、これらの酵素は、適正なキラル立体配置の基質分子のみを受容する。アプタマーおよび天然の核酸分子はD−ヌクレオチドから構成されるので、L−オリゴヌクレオチドは、酵素的認識および続く分解から逃れるはずである。残念ながら、同じ原理ゆえに、この場合では、このような鏡像核酸を増幅するための酵素活性が自然には得られなかった。したがって、SELEX過程を使用して、L−核酸アプタマーを直接得ることができない。とはいえ、立体化学の原理から、所望の機能的L−核酸アプタマーへと最終的につながる迂回路が明らかとなる。
【0167】
インビトロで選択された(D−)アプタマーがその天然の標的に結合する場合、このアプタマーの構造鏡像は、天然標的の鏡像と同じ特徴により結合する。ここで、両相互作用パートナーは、同じ(非天然)キラリティーを有する。生命体および殆どの生化学的化合物のホモキラリティーゆえに、このようなエナンチオ−RNAリガンドは、当然ではあるが、実際の使用には制限がある。一方で、(非天然)鏡像標的に対してSELEX過程が行われる場合、この(非天然)標的を認識するアプタマーが得られる。このアプタマー−所望のL−アプタマーの対応する鏡像立体配置は、同様に天然標的を認識する。生体安定性核酸分子の生成のためのこの鏡像選択過程は、最初に1996年(Klussmannら、1996;Nolteら、1996)に公開され、これにより、ある標的分子に対する高い親和性および特異性だけでなく、同時に生体安定性も示す、機能性の鏡像核酸分子リガンドが生成される。1本鎖核酸分子が、「シュピーゲルマー」(ドイツ語の「Spiegel」鏡より)と呼ばれるこのようなリガンド−結合L−核酸であることは本発明の範囲内である(「The Aptamer Handbook」;eds.Klussmann,2006参照)。
【0168】
とりわけ、本発明による核酸は、好ましくは本発明による核酸の検出を可能にする修飾を含み得る。このような修飾は、好ましくは放射性、酵素性および蛍光標識を含む群から選択される。このような修飾はまた、それ自身、放射性、酵素性および蛍光標識を含む群から選択される修飾により修飾され得るD−ヌクレオチドからも選択される。
【0169】
本明細書中で使用される場合の、核酸、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質の様々な配列番号、化学的性質、その実際の配列および内部参照番号を次の表でまとめる。
表1(A)本願において参照される配列
【表1】
【0170】
上記のものは、それらが本発明と関連して使用された場合、分子の代表であることを理解されたい。添付の配列リストは、単にアミノ酸またはそのヌクレオチド配列を反映するだけのものであり、上記の表で示されるようなその分子のさらなる特性を何ら反映するものではない。
【0171】
本発明は、さらなる特性、実施形態および長所が汲み取られ得る、図面、実施例および配列表によりさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【
図1A】
図1Aは、L−ポリメラーゼXの活性試験のための1−ギャップD−DNA鋳型の組成を示す。
【
図1B】
図1Bは、L−ポリメラーゼXの活性試験のための6−ギャップD−DNA鋳型の組成を示す。
【
図2A】
図2Aは、UPLC(A)および質量分析(B)による、合成D−ポリペプチド生成物Ac−MLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSL−OGp(1)の分析を示す。
【
図2B】
図2Bは、UPLC(A)および質量分析(B)による、合成D−ポリペプチド生成物Ac−MLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSL−OGp(1)の分析を示す。
【
図3A】
図3Aは、UPLC(A)および質量分析(B)による、合成D−ポリペプチド生成物H−RREEKMLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKA−SMe(2)の分析を示す。
【
図3B】
図3Bは、UPLC(A)および質量分析(B)による、合成D−ポリペプチド生成物H−RREEKMLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKA−SMe(2)の分析を示す。
【
図4A】
図4Aは、UPLC(A)および質量分析(B)による、合成D−ポリペプチド生成物H−CGERKCVLFIEWEKKTYQLDLFTALAEEKPYAIFHFTGPVSYLIRIRAALKKKNYKLNQYGLFKNQTLVPLKITTEKELIKELGFTYRIPKKRL−OH(3)の分析を示す。
【
図4B】
図4Bは、UPLC(A)および質量分析(B)による、合成D−ポリペプチド生成物H−CGERKCVLFIEWEKKTYQLDLFTALAEEKPYAIFHFTGPVSYLIRIRAALKKKNYKLNQYGLFKNQTLVPLKITTEKELIKELGFTYRIPKKRL−OH(3)の分析を示す。
【
図5A】
図5Aは、UPLC(A)および質量分析(B)による、合成D−ポリペプチド生成物Ac−MLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSLRREEKMLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKA−SMe(4)の分析を示す。
【
図5B】
図5Bは、UPLC(A)および質量分析(B)による、合成D−ポリペプチド生成物Ac−MLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSLRREEKMLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKA−SMe(4)の分析を示す。
【
図6A】
図6Aは、SDS−PAGE(A)および質量分析(B)による、ネイティブ化学ライゲーションD−ポリペプチド生成物Ac−MLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSLRREEKMLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKACGERKCVLFIEWEKKTYQLDLFTALAEEKPYAIFHFTGPVSYLIRIRAALKKKNYKLNQYGLFKNQTLVPLKITTEKELIKELGFTYRIPKKRL−OH(5)の分析を示す。
【
図6B】
図6Bは、SDS−PAGE(A)および質量分析(B)による、ネイティブ化学ライゲーションD−ポリペプチド生成物Ac−MLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSLRREEKMLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKACGERKCVLFIEWEKKTYQLDLFTALAEEKPYAIFHFTGPVSYLIRIRAALKKKNYKLNQYGLFKNQTLVPLKITTEKELIKELGFTYRIPKKRL−OH(5)の分析を示す。
【
図7】
図7は、D−ポリメラーゼXの活性試験のための1−ギャップL−DNA鋳型の組成を示す。
【
図8】
図8は、1−ギャップ基質におけるD−ポリメラーゼXのL−DNA伸長活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図9A】
図9Aは、D−ポリメラーゼXの活性試験のための6−ギャップL−DNA鋳型の組成を示す。
【
図9B】
図9Bは、6−ギャップ基質におけるD−ポリメラーゼXのL−DNA伸長活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図10A】
図10Aは、L−ポリメラーゼXの活性アッセイのためのプライマー−鋳型複合D−DNA基質を示す。
【
図10B】
図10Bは、一定温度で行われたL−ポリメラーゼXのD−DNA伸長活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図10C】
図10Cは、温度サイクリング用いて行われたL−ポリメラーゼXのD−DNA伸長活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図11A】
図11Aは、SDS−PAGE(A)およびLC−ESI質量分析(B)による合成全−L−ポリメラーゼdpo4変異体A155Cの分析を示す。
【
図11B】
図11Bは、SDS−PAGE(A)およびLC−ESI質量分析(B)による合成全−L−ポリメラーゼdpo4変異体A155Cの分析を示す。
【
図12A】
図12Aは、L−ポリメラーゼdpo4変異体A155C、V203C、C31SおよびA155C/V203CのD−DNA PCR活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図12B】
図12Bは、組み換えおよび合成L−ポリメラーゼdpo4のD−DNA PCR活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図12C】L―ポリメラーゼdpo4の変異体A71C/A155C/V203C、S86C/A155C/V203CおよびC31S/S86C/A155C/V203CのD−DNA PCR活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図12D】L―ポリメラーゼdpo4の変異体M76G/A155C/V203CおよびM76A/A155C/V203CのD−DNA PCR活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図12E】L―ポリメラーゼdpo4の変異体I67C/A155C/V203C、S86G/A155C/V203CおよびS96C/A155C/V203CのD−DNA PCR活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図12F】L―ポリメラーゼdpo4のC末端のトランケーション形態Δ3、Δ6、Δ9、Δ12、およびΔ15のD−DNA PCR活性アッセイのゲル電気泳動を示す。
【
図13】
図13は、質量分析による合成D−ポリペプチド生成物H−RTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH2(1)の分析を示す。
【
図14】
図14は、質量分析による合成D−ポリペプチド生成物Boc−VDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRG−OH(2)の分析を示す。
【
図15】
図15は、質量分析による断片縮合D−ポリペプチド生成物H−VDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(3)の分析を示す。
【
図16A】
図16Aは、RP−HPLC(A)および質量分析(B)による合成D−ポリペプチド生成物Z−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKL−ベンジル−チオエステル(4)の分析を示す。
【
図16B】
図16Bは、RP−HPLC(A)および質量分析(B)による合成D−ポリペプチド生成物Z−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKL−ベンジル−チオエステル(4)の分析を示す。
【
図17A】
図17Aは、UPLC(A)および質量分析(B)による合成D−ポリペプチド生成物H−RKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SMe(7)の分析を示す。
【
図17B】
図17Bは、UPLC(A)および質量分析(B)による合成D−ポリペプチド生成物H−RKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SMe(7)の分析を示す。
【
図18A】
図18Aは、UPLC(A)および質量分析(B)による合成D−ポリペプチド生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPM−OGp(6)の分析を示す。
【
図18B】
図18Bは、UPLC(A)および質量分析(B)による合成D−ポリペプチド生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPM−OGp(6)の分析を示す。
【
図19A】
図19A−Bは、SDS−PAGE(A)およびESI質量分析(B)によるクロストリパインが介在するD−ポリペプチドライゲーション生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SMe(8)の分析を示す。
【
図19B】
図19A−Bは、SDS−PAGE(A)およびESI質量分析(B)によるクロストリパインが介在するD−ポリペプチドライゲーション生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SMe(8)の分析を示す。
【
図20A】
図20Aは、SDS−PAGE(A)およびLC−ESI質量分析(B)による、全−L−ポリメラーゼdpo4断片155−352(V203C)のネイティブ化学ライゲーション生成物の分析を示す。
【
図20B】
図20Bは、SDS−PAGE(A)およびLC−ESI質量分析(B)による、全−L−ポリメラーゼdpo4断片155−352(V203C)のネイティブ化学ライゲーション生成物の分析を示す。
【
図21】UPLCによる合成されたD−ポリペプチド生成物H−CVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(9)の分析を示す。
【
図22】質量分析による合成されたD−ポリペプチド生成物H−CVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(9)の分析を示す。
【
図23】UPLCによる合成されたD−ポリペプチド生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPN−SBzl(11)の分析を示す。
【
図24】質量分析による合成されたD−ポリペプチド生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPN−SBzl(11)の分析を示す。
【
図25A】UPLC(A)およびESI−LC−MS(B)による合成されたD−ポリペプチド生成物Z−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKL−ベンジル−チオエステル(7)の分析を示す。
【
図25B】UPLC(A)およびESI−LC−MS(B)による合成されたD−ポリペプチド生成物Z−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKL−ベンジル−チオエステル(7)の分析を示す。
【
図26A】SDS−PAGE(A)およびESI−LC−MS(B)によるすべてのD−ペプチドの天然の化学的なライゲーション生成物H−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIG VRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH2(8)の分析を示す。
【
図26B】SDS−PAGE(A)およびESI−LC−MS(B)によるすべてのD−ペプチドの天然の化学的なライゲーション生成物H−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIG VRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH2(8)の分析を示す。
【
図27A】SDS−PAGE(A)およびESI−LC−MS(B)によるすべてのD−ペプチドの天然の化学的ライゲーション生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNCVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(11)の分析を示す。
【
図27B】SDS−PAGE(A)およびESI−LC−MS(B)によるすべてのD−ペプチドの天然の化学的ライゲーション生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNCVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(11)の分析を示す。
【
図28A】SDS−PAGE(AおよびB)およびESI−LC−MS(C)によるすべてのD−ポリメラーゼのDpo4変異体A71C/A155C/V203Cの天然の化学的なライゲーション生成物の分析を示す。
【
図28B】SDS−PAGE(AおよびB)およびESI−LC−MS(C)によるすべてのD−ポリメラーゼのDpo4変異体A71C/A155C/V203Cの天然の化学的なライゲーション生成物の分析を示す。
【
図28C】SDS−PAGE(AおよびB)およびESI−LC−MS(C)によるすべてのD−ポリメラーゼのDpo4変異体A71C/A155C/V203Cの天然の化学的なライゲーション生成物の分析を示す。
【
図29】UPLCによる合成されたD−ポリペプチド生成物H−RKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(9)の分析を示す。
【
図30】質量分析による合成されたD−ポリペプチド生成物H−RKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(9)の分析を示す。
【
図31】UPLCによる合成されたD―ポリペプチド生成物Ac−MIVLFVDFDY FYAQVEEVLNP SLKGKPVVV CVFSGRFEDS GAVATANYEA RKFGVKAGIP IVEAKKILPN AVYLPG−OGp(10)の分析を示す。
【
図32】質量分析による合成されたD−ポリメラーゼ生成物Ac−MIVLFVDFDY FYAQVEEVLNP SLKGKPVVV CVFSGRFEDS GAVATANYEA RKFGVKAGIP IVEAKKILPN AVYLPG−OGp(10)の分析を示す。
【
図33A】SDS−PAGE(a)およびESI−LC−MS(B)によるプロテアーゼにより触媒されたすべてのD−ライゲーション生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPGRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(11)の分析を示す。
【
図33B】SDS−PAGE(a)およびESI−LC−MS(B)によるプロテアーゼにより触媒されたすべてのD−ライゲーション生成物Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPGRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(11)の分析を示す。
【
図34】UPLCプロファイル(a)および質量スペクトル(b)による、合成された粗製のすべてのD―ペプチド H−KAIHVVAVT EDLDIVSRGR TFPHGISKET AYSESVKLLQ KILEEDERKI RRIGVRFSKF IEAIGLDKFF DT−NH
2(1)の分析を示す。
【
図35】UPLCプロファイル(a)および質量スペクトル(b)による、合成された粗製のすべてのD―ペプチドH−CDTLSIEF DKLKGMIGEA KAKYLISLAR DEYNEPIRTR VRKSIGRIVT MKRNSRNLEE IKPYLFRAIE ESYYKLDKRI P−OH(3)の分析を示す。
【
図36】UPLCプロファイル(a)および質量スペクトル(b)による、フラグメントの縮合により合成されたH−CDTLSIEF DKLKGMIGEA KAKYLISLAR DEYNEPIRTR VRKSIGRIVT MKRNSRNLEE IKPYLFRAIE ESYYKLDKRI PKAIHVVAVT EDLDIVSRGR TFPHGISKET AYSESVKLLQ KILEEDERKI RRIGVRFSKF IEAIGLDKFF DT−NH
2(5)の分析を示す。
【
図37】UPLCプロファイル(a)および質量スペクトル(b)による、合成および精製したすべてのD−ペプチドH−CVYLPMRKEV YQQVSSRIMN LLREYSEKIE IASIDEAYLD ISDKVRDYRE AYNLGLEIKN KILEKEKITV TVGISKNKVF AKIA−NHNH
2の分析を示す。
【0173】
(実施例)
実施例で使用される場合の略語
ACN アセトニトリル(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
DCM ジクロロメタン(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
DIPEA N,N−ジイソプロピルアミン(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
EDT(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
Fmoc 9−フルオレニル−メトキシカルボニル−
HATU (2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(CreoSalus,米国ケンタッキー州ルイビル)
HFIP 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロホスフェート(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
HPLC 高速液体クロマトグラフィー(高圧液体クロマトグラフィーと呼ばれることもある。)
MeIm メチルイミダゾール(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
MeOHメタノール(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
MSNT 1−(メシチレン−2−スルホニル)−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(Merck KGaA,ドイツダルムシュタット)
NMP N−メチル−ピロリドン(Iris Biotech GmbH,ドイツマルクトレドヴィッツ)
PyBOP (ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(Merck KGAA,ドイツダルムシュタット)
SDS ドデシル硫酸ナトリウム(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
TBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(Merck KGaA,ドイツダルムシュタット)
tBu (tert.−ブチル−)
TFA トリフルオロ酢酸(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
TFE 1,1,1−トリフルオロエタノール(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
THF(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
TIS(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
TLC 薄層クロマトグラフィー
Tris トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
【0174】
(実施例1)−ポリメラーゼXの野生型および変異体の組み換え発現および精製
アフリカブタ熱ウイルス(略称ASFV)からのポリメラーゼXは、1997年にOliverosらにより記載され、特徴が調べられた。ポリメラーゼXの野生型遺伝子は、開始コドンおよび終止コドンを含む、僅か525塩基対のオープンリーディングフレーム(略称ORF)を有する(Oliverosら、1997)。コードされるタンパク質の長さは僅か174アミノ酸である。この例は、どのようにポリメラーゼXならびにそれらの変異体がE.コリ(E.coli)で発現され、His
6−Tagを用いて精製されたかを説明する。
【0175】
1.1 発現コンストラクト
ASFVのコドン使用はE.コリ(E.coli)と異なるので、ポリメラーゼXに対するE.コリ(E.coli)−コドン最適化合成遺伝子をGeneArt AG(ドイツレーゲンスブルク)から購入した。本合成遺伝子配列は、pCR4−Blunt−TOPOベクター(元の会社:Invitrogen,ドイツカールスルーエ)中で提供された。開始コドンおよび2つの終止コドンを含むコドン最適化オープンリーディングフレームは、次の配列:ATGCTGACCCTGATTCAGGGCAAAAAAATCGTGAACCATCTGCGTAGCCGTCTGGCCTTTGAATATAACGGCCAGCTGATTAAAATTCTGAGCAAAAACATTGTGGCGGTGGGCAGCCTGCGTCGTGAAGAAAAAATGCTGAACGATGTGGATCTGCTGATTATTGTGCCGGAAAAAAAACTGCTGAAACATGTGCTGCCGAACATTCGTATTAAAGGCCTGAGCTTTAGCGTGAAAGTGTGCGGCGAACGTAAATGCGTGCTGTTTATCGAATGGGAAAAAAAAACCTACCAGCTGGACCTGTTTACCGCGCTGGCCGAAGAAAAACCGTATGCGATCTTTCATTTTACCGGTCCGGTGAGCTATCTGATTCGTATTCGTGCGGCGCTGAAAAAAAAAAACTACAAACTGAACCAGTATGGCCTGTTTAAAAACCAGACCCTGGTGCCGCTGAAAATTACCACCGAAAAAGAACTGATTAAAGAACTGGGCTTTACCTATCGCATTCCGAAAAAACGCCTGTAATAAを有した。
【0176】
全−LポリメラーゼXとも呼ばれるポリメラーゼXに対する発現コンストラクトを得るために、BamHIおよびPstIによってポリメラーゼXの遺伝子をpCR4−Blunt−TOPOから切り出し、pRSET−Aベクター(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)中でサブクローニングした。付加したHis
6−TagをN−末端にサブクローニングし、この遺伝子をT7プロモーターの調節下に置いた。コンストラクトをpMJ14と名付け、E.コリ(E.coli)での全−LポリメラーゼXの発現のために使用した。pMJ14から発現されたタンパク質ポリメラーゼXは210個のアミノ酸の次の配列:MRGSHHHHHHGMASMTGGQQMGRDLYDDDDKDRWGSMLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSLRREEKMLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKVCGERKCVLFIEWEKKTYQLDLFTALAEEKPYAIFHFTGPVSYLIRIRAALKKKNYKLNQYGLFKNQTLVPLKITTEKELIKELGFTYRIPKKRLを有した。
【0177】
最初の36個のアミノ酸は、数個のスペーサーアミノ酸およびいくつかの他の配列タグを含むHis
6−Tagに相当した(T7遺伝子10リーダー、抗発現エピトープ)。最後の174個のアミノ酸部分は、ASFVで見られるようなポリメラーゼXタンパク質配列と同一であった。
【0178】
製造者のプロトコールに従い、市販のQuikChangeキット(Stratagene GmbH,ドイツヴァルトブロン)を用いて、全−LポリメラーゼXの変異体に対する発現コンストラクトを作製した。プラスミドpMJ14を鋳型とした。QuikChangeに必要なオリゴヌクレオチドは、NOXXONの施設で合成したか(QC10_up、QC10_low)、またはPurimex(ドイツグレーベンシュタイン)から購入したか(QC26_up、QC26_low、QC27_up、QC27_low、QC31_up、QC31_low)の何れかであった。次の変異体発現コンストラクトを作製し、E.コリ(E.coli)での全−Lポリメラーゼの変異体の発現のために使用した。
【表2】
【0179】
1.2 E.コリ(E.coli)におけるタンパク質発現
発現コンストラクトpMJ14を用いてE.コリ(E.coli)で全−L−ポリメラーゼXを発現させた。pMJ130、pMJ356、pMJ357またはpMJ412から全−L−ポリメラーゼXの変異体を発現させた。発現のために、コンピーテントE.コリ(E.coli)株の「BL−21(DE3)pLysS’」(Novagen/VWR、ドイツドレスデン)において適切な発現コンストラクトを形質転換し、抗生物質アンピシリンを用いて維持した。600nmでの光学密度がおよそ0.6に到達するまで、2YT培地中で培養物を37℃で増殖させた。次いで、0.4mMの最終濃度まで、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(略称IPTG)を添加することによって、タンパク質発現を誘導した。30℃で発現を4時間行った。遠心によって細胞を回収し、−80℃で保存するか、またはすぐに処理した。
【0180】
1.3 タンパク質精製
「溶解および結合(lyse and bind)緩衝液」(50mM Na−リン酸、pH7.5、500mM NaCl、40mMイミダゾール)中、新鮮または凍結E.コリ(E.coli)細胞を氷上で再懸濁し、「フレンチプレス」(G.Heinemann,
ドイツシュヴェービッシュ・グミュント)細胞破壊装置を用いて溶解させた。「Ni−NTA Superflow」材料(Qiagen、ドイツヒルデン)を用いて4℃で精製を行った。溶出緩衝液(50mM Na−リン酸、pH7.5、500mM NaCl、200mMイミダゾール)を用いて、段階溶出を行った。SDS−PAGE(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)を用いて分画を分析し、プールし、必要に応じて「Q Sepharose fast flow」材料(GE healthcare,ドイツフライブルク)を用いて「AKTA purifier」システム上で陰イオン−イオン交換クロマトグラフィーによりさらに精製した。MALDI質量分析によってタンパク質同一性を確認し、的確な分画をプールし、濃縮し、再緩衝化した。25mM Na−リン酸、pH7.5、250mM NaCl、50%グリセロールからなる緩衝液中で精製タンパク質を−20℃で保存した。ウシ血清アルブミン(略称BSA)標準物質を用いてBCA−タンパク質アッセイ(Pierce/Perbio Science,ドイツボン)によってタンパク質濃度を評価した。
【0181】
実施例2−ポリメラーゼXおよびポリメラーゼXの変異体の活性確認
オリゴヌクレオチドにより形成される様々なタイプの基質複合体を用いて、全−L−ポリメラーゼXおよび全−L−ポリメラーゼXの変異体(実施例1参照)に対する活性アッセイを行ったが、この基質およびオリゴヌクレオチドはD−DNA−ヌクレオチドからなる。
【0182】
2.1 1−ヌクレオチドギャップを有する基質における活性アッセイ
1−ギャップ基質に対するオリゴヌクレオチドのリスト:
【表3】
【0183】
33個のヌクレオチドからなるDNAオリゴヌクレオチドの鋳型鎖(下鎖(lower strand)とも呼ばれる。)をそれぞれ15および17個のヌクレオチドからなる2つの異なるDNAオリゴヌクレオチドとアニーリングさせ、それぞれその5’−末端および3’末端で鋳型鎖とハイブリッド形成させ、その結果、上鎖(upper strand)において1つのヌクレオチドのギャップを生じさせることによって、基質複合体を作製した。この複合体は、ギャップ内の鋳型位置でA、C、GまたはTの何れかを含有した。アニーリング前に、Gamma−
32P−アデノシン−三リン酸(ATP)およびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いた標準的なキナーゼ反応によって、15個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドSP−1をその5’−末端で
32Pにより放射性標識した。65℃で10分間加熱し、ゆっくりと冷却することによって、10mM Tris−HCl、5mM MgCl
2、pH8.0中でアニーリングを行った。NAP−カラム(GE healthcare)での精製によって、組み込まれなかったgamma−
32P−ATPを除去した。
【0184】
活性アッセイにおいて、全−L−ポリメラーゼXおよびそれらの変異体をD−立体配置1−ギャップ基質複合体と合わせた(
図1A参照)。陰性対照として、各基質を全−L−ポリメラーゼXおよびそれらの変異体およびD−デスオキシ−ヌクレオチド−三リン酸(dNTP’s)なしでも温置した。1−ギャップ複合体内の鋳型塩基によって、アッセイ中に対応するD−dNTPのみを添加した。典型的な6μLアッセイは、50nM基質複合体、1.7ng/μL L−全−L−ポリメラーゼXまたはそれらの変異体、8μMの1つのD−dNTPおよび緩衝液(50mM Tris−HCl、10mM MgCl
2、4%グリセロール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、pH7.5)を含有した。Rovalab(ドイツテルトー)からD−dNTPを購入した。温置時間は、37℃で30分間であった。アッセイ体積全体を試料緩衝液/色素と混合し、変性配列決定ゲル上に載せ、4時間分離した。このゲルをKodak Kスクリーンに−80℃で一晩曝露し、BioRad Fxホスホイメージャーシステムを用いて読み取った。
【0185】
全−L−ポリメラーゼXおよび変異体I124G、V80AおよびV80Gは、これらの条件下で活性があり、2本の上鎖(upper strand)DNAオリゴヌクレオチド間の1つのヌクレオチドギャップが充填された。
【0186】
2.2 6−ヌクレオチドギャップを有する基質における活性アッセイ
6−ギャップ基質に対するオリゴヌクレオチドのリスト:
【表4】
【0187】
33個のヌクレオチドからなるDNAオリゴヌクレオチドの鋳型鎖(下鎖(lower strand)と呼ばれる。)をそれぞれ15および12個のヌクレオチドからなる2つの異なるDNAオリゴヌクレオチドとアニーリングさせ、それぞれその5’−末端および3’末端で鋳型鎖とハイブリッド形成させ、その結果、上鎖(upper strand)の6個のヌクレオチドのギャップを生じさせることによって、基質複合体を作製した。アニーリング前に、Gamma−
32P−アデノシン−三リン酸(ATP)およびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いた標準的なキナーゼ反応によって、15個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドSP−1をその5’−末端で
32Pにより放射性標識した。65℃で10分間加熱し、ゆっくりと冷却することによって、10mM Tris−HCl、5mM MgCl
2、pH8.0中でアニーリングを行った。NAP−カラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)での精製によって、組み込まれなかったgamma−
32P−ATPを除去した。
【0188】
活性アッセイにおいて、全−L−ポリメラーゼXおよびそれらの変異体をD−立体配置6−ギャップ基質複合体と合わせた(
図1B)。陰性対照として、基質を全−L−ポリメラーゼXまたはそれらの変異体およびデスオキシ−ヌクレオチド−三リン酸塩(D-dNTP’s)なしでも温置した。典型的な6μLアッセイは、50nM基質複合体、1.3ng/μL以下の全−L−ポリメラーゼXまたはそれらの変異体、8μMの各D−dNTPおよび緩衝液(50mM Tris−HCl、10mM MgCl2、4%グリセロール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、pH7.5)を含有した。Rovalab(ドイツテルトー)からD−dNTPを購入した。典型的な温置時間は、37℃で30分間であった。アッセイ体積全体を試料緩衝液/色素と混合し、変性配列決定ゲル上に載せ、4時間分離した。このゲルをKodak Kスクリーンに−80℃で一晩曝露し、BioRad Fxホスホイメージャーシステムを用いて読み取った。
【0189】
全−L−ポリメラーゼXおよび変異体(C86Sを除く。)はこれらの条件下で活性があり、2本の上鎖(upper strand)DNAオリゴヌクレオチド間の6ヌクレオチドギャップが充填された。
【0190】
実施例3−D−アミノ酸からなるポリメラーゼPolXの変異体の合成
【0191】
本実施例内で、全−DポリメラーゼX変異体V80Aの合成を記載する。全−DポリメラーゼX変異体V80Aのアミノ酸配列は、Ac−MLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSLRREEKMLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKACGERKCVLFIEWEKKTYQLDLFTALAEEKPYAIFHFTGPVSYLIRIRAALKKKNYKLNQYGLFKNQTLVPLKITTEKELIKELGFTYRIPKKRL−OHであった。
【0192】
固相ペプチド合成Fmoc/tBu−ストラテジーの必須要件に従い(Eric Athertonら、1981)使用する全アミノ酸を保護する。使用される全アミノ酸がD−アミノ酸である(Bachem,スイスブーベンドルフ)。
【0193】
3.1 HO−Gp(Boc)
2の合成
Sekizakiら(Sekizakiら、1996)と同様に、tert−ブチルオキシカルボニル−保護4−グアニジノフェノールを合成した。これに従い、40mmolのN,N’−Bis−(tert−ブチルオキシカルボニル)−S−メチルイソチオウレア(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)および60mmolの4−アミノフェノール(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)を500mL丸底フラスコ中、250mL THF中で溶解させた。この後、溶液にアルゴンを10分間吹き付け、CaCl
2チューブで密封しながら120時間撹拌し続けた。
【0194】
溶媒を蒸発させた後、氷冷メタノールを用いて残渣を沈殿させた。P
4O
10上で沈殿物を真空下で乾燥させた。最後に、DCMとともにフラッシュクロマトグラフィーを用いて生成物を精製した。生成物含有分画を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させた。TLC、逆相HPLC、質量分析およびNMRを分析のために使用した。実験により決定された質量は、351Daの計算質量に対応する。
【0195】
3.2 H−D−Leu−OGp(Boc)
2の合成
1mmolのZ−D−Leu−OH(Bachem,スイスブーベンドルフ)、0.9eq.TBTUおよび0.9eq.HO−Gp(Boc)
2を10mL DMF中で溶解させた。2eq.DIPEAの添加後、溶液を2時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、DCMを用いて粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。Z−D−Leu−OGp(Boc)
2の純粋な分画を合わせ、溶媒を蒸発させた。
【0196】
Z−D−Leu−OGp(Boc)
2を10mL MeOH中で溶解させ、アルゴンを吹き付けた。2時間で、Pd/C触媒およびH
2の添加によって、N末端Z−基の加水分解性切断を達成した。H−D−Leu−OGp(Boc)
2をろ別した後、MeOHを減圧下で蒸発させた。逆相HPLCおよび質量分析を用いて分析を行った。生成物に対する465Daの正確な質量が見いだされ、計算質量と対応した。
【0197】
3.3 全−D−ペプチドAcMLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSL−OGp(1)の合成
Barlosら(Barlosら、1989)により記載のように、0.10mmolのTentaGel−R−Tritylレジン(Rapp Polymere,ドイツテュービンゲン)をFmoc−D−Ser(tBu)−OH(Bachem,スイスブーベンドルフ)とともに載せた。したがって、0.10mmolレジンを0.6mmolの塩化チオニルとともに、30分間、2回温置し、その後DCMで洗浄した。この後、6mL DCM中で、0.6mmolのFmoc−D−Ser(tBu)−OH、2.4mmol DIPEとともに90分間レジンを温置した。その後、DCM中の10%MeOH(v/v)、10%DIPEA(v/v)の溶液を用いて、レジンを10分間、3回ブロッキング処理し、DCMで洗浄した。FASTmocプロトコールとともにABI433(Applied Biosystems,米国フォスターシティ)を用いて、自動化合成を行った。NMP中9eq.HATUおよび20eq.DIPEAを用いて10eq.アミノ酸を活性化した。カップリング時間は45分間であり、NMP中20%(v/v)ピペリジン(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)を用いてFmoc−脱保護化を7分間、3回行った。
【0198】
2時間にわたり、10mLのDCM中30%(v/v)HFIP中でぺプチジルレジンを2回温置することによって、完全保護化ペプチド酸の切断を達成した。ペプチドをろ別した後、溶媒を蒸発させ、氷冷ジエチルエーテルを用いて残渣を沈殿させた。沈殿ペプチドを単離し、乾燥させた。
【0199】
6mL NMP中で、0.01mmolの完全保護化ペプチド、4eq.PyBOPおよび5eq.H−D−Leu−OGp(Boc)
2を溶解させた。10eq.DIPEAの添加後、混合物を4時間撹拌した。この後、溶媒を還元気化(reduced evaporated)させ、氷冷ジエチルエーテルによって残渣を沈殿させた。沈殿ペプチドエステルを乾燥させ、その後、2時間にわたり、TFA中、2.5%EDT、2.5%水、2.5%TISを用いて保護基を切り離した。TFAの蒸発後、氷冷ジエチルエーテルを用いてペプチドを沈殿させた。ACN/水勾配を用いて、C18カラム(Phenomenex,ドイツアシャッフェンブルク)上でペプチドエステルの逆相HPLC精製を行った。生成物を含有する分画を合わせ、凍結乾燥させた。
【0200】
HPLC/UPLC(
図2A)および質量分析(
図2B)によって最終生成物の特徴を調べた。4654,7Daの生成物に対する測定質量は、4652,7Daの理論質量と一致した。
【0201】
3.4 全−D−ペプチドH−RREEKLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKA−SMe(2)の合成
6mL NMP中で45分間にわたり、5eq.アミノ酸、eq.4.9eq.HATUおよび10eq.DIPEAを用いて、Fmoc−D−Ala−OHを0.10mmolのTentaGel−R−NH
2レジン(Rapp Polymere,ドイツテュービンゲン)に充填した。その後に、レジンをTHFで洗浄した。80℃で2時間、THF中の4eq.Lawesson試薬と温置することによって、Fmoc−D−Ala−Ψ[CS−NH]−R−TentaGelへの変換を達成した。この後、レジンをNMPで洗浄した。その後、既に記載のとおり(実施例1.3参照)、そのように調製したレジンを自動化ペプチド合成において使用した。この後、Sharmaら(Sharmaら、2011)に従い、DMF中ヨウ化メチルと一晩温置することによって、対応するチオエステルを生成させた。レジンのろ過後、ペプチドチオエステルを含有する溶媒を蒸発させ、氷冷ジエチルエーテルを用いて残渣を沈殿させた。TFA中2.5%EDT、2.5%水、2.5%TISを用いて2時間にわたり、側鎖保護基の切断を行った。TFAの蒸発後、氷冷ジエチルエーテルでペプチドを沈殿させた。ACN/水勾配を用いて、C18カラム(Phenomenex,ドイツアシャッフェンブルク)上でペプチドチオエステルの逆相HPLC精製を行った。生成物を含有する分画を合わせ、凍結乾燥させた。
【0202】
HPLC/UPLC(
図3A)および質量分析(
図3B)によって最終生成物の特徴を調べた。生成物に対して実験により決定された質量(4683,8Da)は、4681,7Daの理論値と一致する。
【0203】
3.5 全−D−ペプチドH−CGERKCVLFIEWEKKTYQLDLFTALAEEKPYAIFHFTGPVSYLIRIRAALKKKNYKLNQYGLFKNQTLVPLKITTEKELIKELGFTYRIPKKRL−OH(3)の合成
DCM中6eq.アミノ酸、6eq.MSNTおよび4.5eq MeImを用いて、0.10mmolのTentaGel−R−PHBレジン(Rapp Polymere,ドイツテュービンゲン)にFmoc−D−Leu−OHを充填した。FASTmocプロトコールとともにABI433を用いて自動化合成を行った。NMP中9eq.HATUおよび20eq.DIPEAを用いて10eq.アミノ酸を活性化した。カップリング時間は45分間であり、NMP中20%(v/v)ピペリジンを用いて7分間にわたりFmoc−脱保護化を3回行った。42アミノ酸後、ダブルカップリング段階を行った。TFA中2.5%EDT、2.5%水、2.5%TISを用いて2時間にわたり、N末端Fmoc−保護化ペプチドの切断を達成した。TFAの蒸発後、氷冷ジエチルエーテルによりペプチドを沈殿させた。C18カラム上でACN/水勾配を用いて、粗製N末端保護化ペプチドの逆相HPLC精製を行った。生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥させた。その後、Fmoc−保護化ペプチドを溶解させ、N末端Fmoc−基を切り離すために、DMF中20%ピペリン中で撹拌した。20分後、溶媒を蒸発させ、氷冷ジエチルエーテルを用いて残渣を沈殿させた。その後に、ACN/水勾配とともにC18カラムにより逆相HPLCを用いて、沈殿粗製ペプチドを精製した。生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥させた。
【0204】
HPLC/UPLC(
図4A)および質量分析(
図4B)によって最終生成物の特徴を調べた。生成物の決定質量(11184,3Da)は、11178,2Daの理論質量と一致する。
【0205】
3.6 ペプチド2とのペプチド1のプロテアーゼ触媒ライゲーションによる、全−D−ペプチドAc−MLTLIQGKKIVNHLRSRLAFEYNGQLIKILSKNIVAVGSLRREEKMLNDVDLLIIVPEKKLLKHVLPNIRIKGLSFSVKA−SMe(4)の合成
2%TritonX100(Sigma Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)を含有するリン酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH8.5、100mM NaCl入り)中で、ペプチド1を0.2mMに、ペプチド2を0.6mMに溶解させた。20μMクロストリパイン(Endoprotease Arg−C,Worthington Biochemical Corporation,米国ニュージャージー州レイクウッド)の添加後、反応混合物を37℃で一晩振盪した。沈殿ペプチドを遠心し、H
2O/ACN/ギ酸 60/40/0.5中で溶解させ、30分内の30%から60%の水中ACNの勾配でRP−18−カラム(Phenomenex,ドイツアシャッフェンブルク)を用いて、逆相HPLCによって精製した。生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥させた。
【0206】
逆相UPLC(
図5A)およびESI−質量分析(
図5B)によって最終ペプチドを分析した。理論分子量(M
theor=9199.3Da)は、実測分子量(M
obs=9199.4Da)と一致する。
【0207】
3.7 ペプチド3とのペプチド4のネイティブ化学ライゲーションによる全−DポリメラーゼX変異体V80Aの合成
【0208】
6MグアニジンHCl(Sigma Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)、200mMメルカプトフェニル−酢酸(Sigma Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)および5mm Tris(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Sigma Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)を含有するTRIS−緩衝液(pH8.6)中でペプチド3および4の両方を0.2M溶解させた。反応混合物を室温で72時間振盪した。その後、30分内で30%から60%の水中ACNの勾配でRP−8−カラム(Phenomenex,ドイツアシャッフェンブルク)を用いて、逆相HPLCによって混合物を精製した。ライゲーション生成物を含有した分画をプールし、乾燥させた。乾燥粉末を水中で溶解させ、溶出液としてのリン酸ナトリウム緩衝液(Sigma Aldrich Chemie GmbH,ドイツシュネルドルフ)(50mM、pH6.8、0.5%SDS)とともにSEC3000−カラム(Phenomenex,ドイツアシャッフェンブルク)を用いて、サイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥させた。
【0209】
最終生成物をSDS−PAGE(
図6A)およびESI−質量分析(
図6B)により分析した。レーン7で14.4kDaと21.5kDaとの間で明確なバンドが見られ、このことから、純粋な全長ポリメラーゼが示唆された。理論分子量(M
theor=20342Da)は、ESI−MSにより示されるような実測分子量(M
obs=20361Da)と一致する。
【0210】
実施例4−D−アミノ酸からなる合成ポリメラーゼX変異体の活性確認
6Mグアニジウム塩酸塩中で実施例3による乾燥全−DポリメラーゼX変異体V80Aを溶解させ、3,500分子量カットオフの市販の透析装置(Pierce/PerBio,ドイツボン)中での段階的な透析によって4℃で再折り畳みを行った。最終緩衝液は、50mMリン酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、pH7.5であった。プレキャストゲル(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)上で標準的な一連の既知のタンパク質濃度を用いてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を行い、続いてSYPRO−RED染色(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)およびBioRad Fxスキャナー機器上での密度バンド分析を行うことによってタンパク質濃度を推定した。
【0211】
2種類の異なる基質タイプを用いて、全−DポリメラーゼX変異体V80Aに対する活性アッセイを行った。
【0212】
4.1 1−ヌクレオチドギャップがある基質における活性アッセイ
33マー下鎖(lower strand)DNAオリゴヌクレオチドを2本の17マー上鎖(upper strand)DNAオリゴヌクレオチドとアニーリングさせ、その結果、上鎖(upper strand)で1ヌクレオチドギャップを生じさせることによって、基質を作製した。L−立体配置でオリゴヌクレオチドを合成した。アニーリング前に、Gamma−
32P−アデノシン−三リン酸(Gamma−
32P−ATP)およびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いた標準的キナーゼ反応によって、
32Pにより17マーの上鎖(upper strand)オリゴヌクレオチドMJ_1_58_MDをその5’−末端で放射性標識した。L−オリゴヌクレオチドMJ_1_58_MDのキナーゼ反応を促進するために、オリゴヌクレオチド合成中に、2つのD−立体配置グアノシン塩基を5’末端に付加した。65℃で10分間加熱し、ゆっくりと冷却することによって、10mM Tris−HCl、5mM MgCl
2、pH8.0中でアニーリングを行った。NAP−カラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)上での精製によって、組み込まれなかったgamma−32P−ATPを除去した。この複合体は、ギャップ内の鋳型位置でA、C、GまたはTの何れかを含有した。基質複合体の仕組みについては、
図7参照。
【0213】
活性アッセイにおいて、合成全−DポリメラーゼX変異体V80AをL−立体配置1−ギャップ基質複合体と合わせた。陰性対照として、各基質を全−DポリメラーゼX変異体V80AおよびL−デスオキシ−ヌクレオチド−三リン酸(dNTP’s)なしでも温置した。1−ギャップ複合体内の鋳型塩基に依存して、アッセイ中に対応するL−dNTPのみが付加された。典型的な6μLアッセイは、50nM基質複合体、1.7ng/μL全−DポリメラーゼX変異体V80A、8μMの1つのL−dNTPおよび緩衝液(50mM Tris−HCl、10mM MgCl
2、4%グリセロール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、pH7.5)を含有した。L−dNTPをRasayan,Inc.(米国カリフォルニア州エンシニータス)によるカスタム合成として購入した。温置時間は37℃で30分間であった。アッセイ体積全体を試料緩衝液/色素と混合し、変性配列決定ゲル上に載せ、4時間分離した。ゲルを−80℃で一晩Kodak Kスクリーンに曝露し、BioRad Fxホスホイメージャーシステムを用いて読み取った。
【0214】
図8から見られ得るように、全−DポリメラーゼX変異体V80Aにより、L−DNA1−ギャップ基質上で伸長生成物がもたらされ、したがって、合成タンパク質の活性を確認した。特筆すべきことに、L−基質およびL−dNTPと組み合わせた全−DポリメラーゼX変異体V80Aのみが何らかの伸長生成物をもたらした。また、それらの鋳型塩基に対応するL−dNTPを含有する試料のみが伸長生成物をもたらした。これは、A−複合体上でのdTTPヌクレオチド、C−複合体でのdGTPヌクレオチド、G−複合体でのdCTPヌクレオチドおよびT−複合体でのdATPヌクレオチドが何らかの伸長生成物を与えるために存在しなければならなかったことを意味する。
【0215】
4.2 6−ヌクレオチドギャップがある基質における活性アッセイ
33マー下鎖(lower strand)DNAオリゴヌクレオチドを2つの17マーおよび12−マー上鎖(upper strand)DNAオリゴヌクレオチドとアニーリングさせ、その結果上鎖(upper strand)において6ヌクレオチドのギャップを生じさせることによって、基質を作製した。L−立体配置でオリゴヌクレオチドを合成した。アニーリング前に、Gamma−
32P−アデノシン−三リン酸(ATP)およびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いた標準的なキナーゼ反応によって、17マー上鎖(upper strand)オリゴヌクレオチドMJ_1_58_MD(L−立体配置)をその5’−末端で
32Pにより放射性標識した。L−オリゴヌクレオチドMJ_1_58_MDのキナーゼ反応を促進するために、オリゴヌクレオチド合成中に2つのD−立体配置グアノシン塩基を5’末端に付加した。65℃で10分間加熱し、ゆっくりと冷却することによって、10mM Tris−HCl、5mM MgCl
2、pH8.0中で、アニーリングを行った。NAP−カラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)上での精製によって、組み込まれなかったgamma−
32P−ATPを除去した。基質複合体の仕組みについては、
図9Aを参照。
【0216】
活性アッセイにおいて、合成全−DポリメラーゼX変異体V80AをL−立体配置6−ギャップ基質複合体と合わせた。陰性対照として、基質を全−DポリメラーゼX変異体V80Aおよびデスオキシ−ヌクレオチド−三リン酸(L−dNTP)なしでも温置した。典型的な6μLアッセイは、50nM基質複合体、1.3ng/μL以下の全−DポリメラーゼX変異体V80A、8μMの各L−dNTPおよび緩衝液(50mM Tris−HCl、10mM MgCl
2、4%グリセロール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、pH7.5)を含有した。Rasayan,Inc.(米国カリフォルニア州エンシニータス)によるカスタム合成としてL−dNTPを購入した。典型的な温置時間は37℃で30分間であったが、そのバッチの活性に依存して、より長時間、温置を行った。アッセイ体積全体を試料緩衝液/色素と混合し、変性配列決定ゲル上に載せ、4時間分離した。ゲルを−80℃で一晩、Kodak Kスクリーンに曝露し、BioRad Fxホスホイメージャーシステムを用いて読み取った。
【0217】
図9Bから見られ得るように、合成全−DポリメラーゼX変異体V80Aにより、L−DNA6−ギャップ基質上でN+6伸長生成物がもたらされ、したがって、合成タンパク質の活性を確認した。しかし、N+6伸長生成物の合成は、同じ6−ギャップ複合体上でのN+1伸長生成物よりも明確ではなかった。また、6−ギャップを充填するために温置時間の延長が必要であった。特筆すべきことに、何らかの伸長生成物を与えたのは、L−基質+L−dNTPと合わせた全−DポリメラーゼX変異体V80Aのみであった。
【0218】
実施例5−ポリメラーゼXおよびポリメラーゼXの変異体によるDNA合成
アフリカブタ熱ウイルス(略称ASFV)からのポリメラーゼXは、ギャップ修復機能がある非常に離散性の高い酵素として文献(Oliveros,1997)に記載されている。実施例2で示されるように、全−L−ポリメラーゼXおよびそれらの変異体は、ギャップのある基質上でのそれぞれの開始後、非常に僅かなヌクレオチドのみの組み込みを触媒することが示された。ここで、発明者らは、全−L−ポリメラーゼXおよび変異体を用いてより長いDNAを合成することを可能にする方法を開示し、83マー鎖の完全な重合化を示す。
【0219】
5.1 プライマー−鋳型基質
全−L−ポリメラーゼXおよびそれらの変異体の活性を試験するために、プライマー−鋳型複合体を使用した。全−L−ポリメラーゼXの変異体V80GおよびV80Aを試験するためにも同じ複合体を使用した。
【0220】
gapのないプライマー−鋳型複合体に対するD−オリゴヌクレオチドのリスト:
【表5】
【0221】
19個のヌクレオチドからなるDNAオリゴヌクレオチドと83個のヌクレオチドからなる鋳型鎖DNAオリゴヌクレオチド(MJ_1_1_DD)をアニーリングさせることによって、基質を作製した。NOXXONでオリゴヌクレオチドを合成した。オリゴヌクレオチドMJ_1_33_DDは、蛍光色素Atto−532(AttoTec,ドイツジーゲン)を有する。65℃で10分間加熱し、ゆっくりと冷却することによって、10mM Tris−HCl、5mM MgCl2、pH8.0中でアニーリングを行った。プライマー−鋳型複合体を
図10Aで示す。
【0222】
5.2 一定温度での反応
活性アッセイにおいて、全−L−ポリメラーゼXまたは全−L−ポリメラーゼXの変異体V80GまたはV80AをD−立体配置プライマー−鋳型複合体と合わせた。典型的な6μLアッセイは、50nM基質複合体、1.3ng/μL以下の全−L−ポリメラーゼXまたは全−L−ポリメラーゼXの変異体V80GもしくはV80A、8μMの各D−dNTPおよび緩衝液(50mM Tris−HCl、10mM MgCl
2、4%グリセロール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、pH7.5)を含有した。Rovalab(ドイツテルトー)からD−dNTPを購入した。Pol−X試料に対して、温置時間は37℃で30分間であった。陰性対照として、基質を全−L−ポリメラーゼXまたは全−L−ポリメラーゼXの変異体V80GもしくはV80Aなし、およびデスオキシ−ヌクレオチド−三リン酸(D−dNTP)なしでも温置した。製造者により供給されたTaq緩衝液中0.083U/μLの最終濃度でTaqポリメラーゼ(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)を用いて陽性対照を遂行した。Taq試料を60℃で30分間温置した。アッセイ体積全体を試料緩衝液/色素と混合し、変性ゲル上で分離した。ゲルをBioRad Fxホスホイメージャーシステムを用いて読み取った。
【0223】
全−L−ポリメラーゼXまたは変異体V80GまたはV80A全−L−ポリメラーゼXは、活性があったが、全長83マー鋳型の重合化を完遂することはできなかった。Taqポリメラーゼ陽性対照は、83マー鋳型の完全な重合化を示し、
図10Bを参照のこと。
【0224】
5.3 温度サイクリング条件下での反応
開始後の全−L−ポリメラーゼXが僅か1個のヌクレオチドの組み込みを触媒し、次いでDNA基質上に留まりながら停止するという仮定のもと、発明者らは、全−L−ポリメラーゼXが鋳型から解離し、鋳型に再会合できるように、加熱パルス(50℃、2分間)を繰り返し行った。この温度サイクリング手順を繰り返して、発明者らは、全−L−ポリメラーゼXを用いて、83マーの完全な重合化を行うことができた。全−L−ポリメラーゼX試料に対する温度プロファイルを次のように行ったことを除き、一定温度に対して上に記載のように反応および対照を設定した:
5から25サイクルの(20℃で30分間//50℃で2分間)
次いで20℃で30分間の最終段階。
【0225】
15サイクルを超えてから、全−L−ポリメラーゼXは、陽性対照と同様に、全長83マー鋳型鎖を重合化することができたことが観察されたが、
図10Cを参照のこと。
【0226】
実施例6−D−アミノ酸からなる合成ポリメラーゼX変異体を用いたプライマー伸長
この実施例で開示される方法は、全−D立体配置ポリメラーゼを試験するためにL−立体配置基質を使用する。
【0227】
6.1 プライマー−鋳型基質
ギャップのないプライマー−鋳型複合体に対するL−オリゴヌクレオチドのリスト:
【表6】
【0228】
19マー上鎖(upper strand)DNAオリゴヌクレオチドと83マー下鎖(lower strand)DNAオリゴヌクレオチドをアニーリングすることによって基質を作製する。L−立体配置で、社内施設のNOXXONでオリゴヌクレオチドを合成する。アニーリング前に、Gamma−
32P−アデノシン−三リン酸(ATP)およびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いた標準的なキナーゼ反応によって、21マー上鎖(upper strand)オリゴヌクレオチドMJ_1_109_MDをその5’−末端で
32Pにより放射性標識する。L−オリゴヌクレオチドMJ_1_109_MDのキナーゼ反応を促進するために、オリゴヌクレオチド合成中、2個のD−立体配置グアノシン塩基を5’末端に付加する。65℃で10分間加熱し、ゆっくりと冷却することによって、10mM Tris−HCl、5mM MgCl
2、pH8.0中でアニーリングを行う。NAP−カラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)での精製によって、組み込まれないGamma−
32P−ATPを除去する。
【0229】
6.2 一定温度での反応
活性アッセイにおいて、合成全−DポリメラーゼX変異体V80AをL−立体配置プライマー−鋳型複合体と合わせる。典型的な6μLアッセイは、50nM基質複合体、1.3ng/μL以下の全−DポリメラーゼX変異体、8μMの各L−dNTPおよび緩衝液(50mM Tris−HCl、10mM MgCl
2、4%グリセロール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、pH7.5)を含有する。L−dNTPをRasayan,Inc.(米国カリフォルニア州エンシニータス)から購入した。温置時間は37℃で少なくとも30分間である。陰性対照として、基質をまた、ポリメラーゼなし、およびデスオキシ−ヌクレオチド−三リン酸(L−dNTP)なしでも温置する。アッセイ体積全体を試料緩衝液/色素と混合し、変性ゲル上で分離する。ゲルはBioRad Fxホスホイメージャーシステムを用いて読み取る。
【0230】
全−LポリメラーゼXの場合と同じように、合成全−DポリメラーゼX変異体V80Aは、この状態下で活性があるが、全83個のヌクレオチド鋳型鎖を重合化できない。
【0231】
6.3 温度サイクリング条件下での反応
実施例5と同様に、全−DポリメラーゼX変異体V80Aによる83マーL−基質の全長全重合化を可能にするために温度サイクリング手順を繰り返す。温度プロファイルを次のように行ったことを除き、一定温度に対して上で記載されるように反応および対照を設定する:
5から25サイクルの(20℃で30分間//50℃で2分間)
次いで20℃で30分間の最終段階。
【0232】
温度サイクル伸長を用いる場合、全−LポリメラーゼXの場合と同じように、全−DポリメラーゼX変異体V80Aが全83マー鋳型鎖を重合化できることが観察される。
【0233】
実施例7−ポリメラーゼDpo4および全てL−アミノ酸からなるポリメラーゼDpo4の変異体の組み換え発現および精製
ポリメラーゼDpo4は元来、スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)(略称Sso)(Boudsocq,2001)で発見された。この野生型遺伝子は、開始コドンおよび終止コドンを含む1,059塩基対のオープンリーディングフレーム(略称ORF)を有する。コードされるタンパク質の長さは、352アミノ酸である。この例は、ポリメラーゼDpo4およびポリメラーゼDpo4の変異体がどのようにE.コリ(E.coli)において発現されて、Strep−Tagを用いて精製されたかを説明する。
【0234】
7.1 発現コンストラクト
Ssoのコドン使用はE.コリ(E.coli)とは異なるので、野生型SsoポリメラーゼDpo4に対するE.コリ(E.coli)−コドン最適化合成遺伝子をGeneArt AG(ドイツレーゲンスブルク)から購入した。合成遺伝子配列は、pENTRY−IBA10ベクター(元の会社:IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)において提供された。開始コドンを含むが終止コドンを含まないコドン最適化オープンリーディングフレームは、次の配列を有した:ATGATTGTGCTGTTTGTGGATTTTGATTATTTTTATGCCCAGGTGGAAGAAGTTCTGAATCCGAGCCTGAAAGGTAAACCGGTTGTTGTTTGTGTTTTTAGCGGTCGCTTTGAAGATAGCGGTGCAGTTGCAACCGCCAATTATGAAGCCCGTAAATTTGGTGTTAAAGCCGGTATTCCGATTGTTGAAGCCAAAAAAATTCTGCCGAATGCAGTTTATCTGCCGATGCGCAAAGAAGTTTATCAGCAGGTTAGCAGCCGTATTATGAATCTGCTGCGCGAATATAGCGAAAAAATTGAAATTGCCAGCATTGATGAAGCCTATCTGGATATTAGCGATAAAGTGCGCGATTATCGCGAAGCATATAATCTGGGCCTGGAAATTAAAAATAAAATCCTGGAAAAAGAAAAAATTACCGTGACCGTGGGCATTAGCAAAAATAAAGTGTTTGCCAAAATTGCAGCAGATATGGCAAAACCGAATGGCATTAAAGTGATTGATGATGAAGAAGTGAAACGTCTGATTCGCGAACTGGATATTGCAGATGTTCCGGGTATTGGCAATATTACCGCAGAAAAACTGAAAAAACTGGGCATTAATAAACTGGTTGATACCCTGAGCATTGAATTTGATAAACTGAAAGGCATGATTGGTGAAGCGAAAGCCAAATATCTGATTAGCCTGGCACGTGATGAATATAATGAACCGATTCGTACCCGTGTTCGTAAAAGCATTGGTCGTATTGTGACCATGAAACGCAATAGCCGTAATCTGGAAGAAATTAAACCGTACCTGTTTCGTGCAATTGAAGAAAGCTATTATAAACTGGATAAACGCATTCCGAAAGCCATTCATGTTGTTGCAGTTACCGAAGATCTGGATATTGTTAGCCGTGGTCGTACCTTTCCGCATGGTATTAGCAAAGAAACCGCCTATAGCGAAAGCGTTAAACTGCTGCAGAAAATCCTGGAAGAAGATGAACGTAAAATTCGTCGTATTGGTGTGCGCTTTAGCAAATTTATTGAAGCCATTGGCCTGGATAAATTTTTTGATACC。
【0235】
全−L−ポリメラーゼDpo4とも呼ばれるポリメラーゼDpo4に対する発現コンストラクトを得るために、市販のStarGateクローニングキット(IBA GmbH)を用いて、pENTRY−IBA10からpASG−IBA5ベクター(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)に遺伝子をサブクローニングした。サブクローニングによって、Strep−Tag IIがN−末端に付加され、終止コドンがC−末端に付加され、遺伝子がtetプロモーターの制御下となった。本コンストラクトをpMJ343と名付け、E.コリ(E.coli)での全−L−ポリメラーゼDpo4の発現のために使用した。pMJ343から発現された全−L−ポリメラーゼDpo4は、368個のアミノ酸の次の配列を有した:MASAWSHPQFEKSGMIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIAADMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLVDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDTGS。
【0236】
最初の14個のアミノ酸は、数個のスペーサーアミノ酸を含むStrep−Tag IIに相当し、最後の2個のアミノ酸はスペーサーアミノ酸に相当し、中間部の352個のアミノ酸部分は、Ssoで見られるポリメラーゼDpo4配列と同一であった。
【0237】
製造者のプロトコールにしたがって、市販のQuikChangeキット(Stratagene GmbH,ドイツヴァルトブロン)を用いて、全−L−ポリメラーゼDpo4の変異体に対する発現コンストラクトを作製した。pMJ361、pMJ362、pMJ363、pMJ502、pMJ503、およびpMJ504を作製するためにプラスミドpMJ343を鋳型とした。また、2つのステップでpMJ365を作製するためにプラスミドpMJ343を鋳型とした。次に、pMJ508、pMJ509、pJA95、pJA96、pJA100、pJA103、およびpJA104を作製するためにプラスミドpMJ365を鋳型とした。次に、PMJ511を作製するためにプラスミドpMJ509を鋳型とした。QuikChangeに必要なオリゴヌクレオチドは、NOXXONで合成したか(QC_38_up、QC_38_low、QC_39_up、QC_39_low、QC_40_up、QC_40_low、QC_41_up、QC_41_low、QC_dpo4_M76G_センス、QC_dpo4_M76G_アンチセンス、QC_dpo4_M76A_センス、QC_dpo4_M76Aアンチセンス、QC_dpo4_I67C_センス、QC_dpo4_I67C_アンチセンス、QC_dpo4_S86G_センス、QC_dpo4_S86G_アンチセンス)またはPurimexから購入した(ドイツグレーベンシュタイン)(QC_28_up、QC_28_low、QC_29_up、QC_29_low、QC_30_up、QC_30_low)。
【0238】
次の変異体発現コンストラクトを作製し、E.コリ(E.coli)での全−L−ポリメラーゼDpo4の変異体の発現のために使用した。
【表7】
【0239】
7.2 E.コリ(E.coli)でのタンパク質発現
発現コンストラクトpMJ343を用いて、E.コリ(E.coli)において全−L−ポリメラーゼDpo4を発現させた。pMJ361、pMJ362、pMJ363、pMJ365、pMJ502、pMJ503、pMJ504、pMJ508、pMJ509、pMJ511、pJA95、pJA96、pJA100、pJA103またはpJA104から、全−L−ポリメラーゼDpo4の突然変異の変異体を発現させた。発現のために、「Transformation and Storage Solution」(Epicentre/Biozym,ドイツヘッシシュ・オルデンドルフ)を用いて、E.コリ(E.coli)株「NEB express」(New England Biolabs,ドイツフランクフルト・アム・マイン)において適切な発現コンストラクトを形質転換し、抗生物質アンピシリンを用いて維持した。誘導因子として200ng/mLアンヒドロテトラサイクリン(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いて、培地「EnBase Flo」または「EnPresso」(BioSilta,フィンランドオウル)中で30℃にて48時間、発現を行った。遠心によって細胞を回収し、−80℃で保存するかまたはすぐに処理した。
【0240】
7.3 タンパク質精製
「緩衝液W」(100mM Tris−HCl、pH8.0、150mM NaCl、1mM EDTA)中で新鮮または凍結E.コリ(E.coli)細胞を氷上で再懸濁し、「フレンチプレス」(G.Heinemann,ドイツシュヴェービッシュ・グミュント)細胞破壊装置を用いて溶解させた。5mL StrepTrap HPカラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)を備えた「AKTA express」システム上で4℃で精製を行った。2.5mMデスチオビオチン(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を含む緩衝液Wを用いて段階溶出を行った。SDS−PAGE(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)を用いて分画を分析し、プールし、必要に応じて、「Q HP」カラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)を備えた「AKTA精製装置」システム上で陰イオン−イオン交換クロマトグラフィーでさらに精製した。LC−MS質量分析によってタンパク質同一性を確認し、的確な分画をプールし、濃縮し、10,000分子量カットオフ(MWCO)のVivaSpin 15R濃縮装置(VivaSciences/Sartorius Stedim Biotech,ドイツゲッティンゲン)を用いて再緩衝化した。100mM KCl、10mM Tris−HCl pH7.4、0.1mM EDTA、1mM DTT、50%グリセロールからなる緩衝液中で、精製タンパク質を−20℃で保存した。SDS−PAGE上でウシ血清アルブミン(略称BSA)標準物質を用い、SYPRO Red(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)で染色して、ゲル密度測定によって、タンパク質濃度を推定した。
【0241】
実施例8−2つの断片からなる合成ポリメラーゼDpo4の産生
全−LポリメラーゼDpo4の長さは352アミノ酸である。全−LポリメラーゼDpo4を化学的に作製するために、固相ペプチド合成により合成され得るより短い断片から、このような合成全−LポリメラーゼDpo4を組み立てなければならず、このより短い断片は、ネイティブ化学ライゲーションなどのペプチドライゲーション法によってライゲーションしなければならなかった。この例は、合成全−L−ポリメラーゼDpo4を得るためにネイティブ化学ライゲーションによって、Dpo4のライゲーション断片1−154、155−352、155−202および203−352が、E.コリ(E.coli)でどのように発現され、精製され、互いに対してライゲーションされているかを説明する。
【0242】
8.1 発現コンストラクト
実施例7で開示されるように、市販ソースから合成遺伝子コンストラクトとして全−L−ポリメラーゼDpo4に対する遺伝子を得た(GeneArt,ドイツレーゲンスブルク)。そのコドン最適化配列に基づいてこの実施例の全ての断片をクローニングした。全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片1−154、155−352、155−202および203−352に対する次の発現コンストラクトを作製した:
【表8】
【0243】
8.1.1 全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片1−154−チオエステル−発現コンストラクトpMJ370
このコンストラクトは、全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片1−154、続いてMxe GyrAインテインを含有し、チオエステルおよびキチン−結合ドメイン(CBD)を生成させるためにこれを使用した。2つのPCR生成物からコンストラクトを組み立てた。全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片1−154を増幅するために鋳型としてのpMJ343およびプライマーMJ_1_90_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGATGATTGTGCTGTTTGTGGATTTT−3’)およびMJ_1_91_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGGCATGCAATTTTGGCAAACACTTT−3’)を用いて、PCR生成物1を作製した。Mxe Gyr AインテインおよびCBDを増幅するために鋳型としてのpTWIN1(New England Biolabs,ドイツフランクフルト・アム・マイン)およびプライマーMJ_1_72_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGTGCATCACGGGAGAT−3’)およびMJ_1_73_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGCCCTTGAAGCTGCCACAAGGCAGGAACGTT−3’)を用いて、PCR生成物2を作製した。プライマーMJ_1_90_DDおよびMJ_1_91_DDは、Purimex(ドイツグレーベンシュタイン)由来であり、一方でプライマーMJ_1_72_DDおよびMJ_1_73_DDは、IBA GmbH(ドイツゲッティンゲン)由来であった。フラッシュゲル系(LONZA,スイスバーゼル)上で2つのPCR生成物をゲル精製し、StarGate Mutagenesis ENTRYクローニングキット(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いてpENTRY−IBA20において一緒にクローニングし、その結果、pMJ366が得られた。StarGate Transferクローニングキット(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いたpASG−IBAwt1(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)におけるpMJ366からのサブクローニングによって、pMJ370が得られた。コンストラクトpMJ370は、(インテイン切断/チオエステル産生後)154アミノ酸長の次のタンパク質配列とともに、全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片1−154−チオエステルをコードする:MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−チオエステル。
【0244】
8.1.2 全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片155−352−発現コンストラクトpMJ384
このコンストラクトは、「Profinity eXact」タグと、それに続く全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片155−352を含有する。「Profinity eXact」タグを精製およびタンパク質分解性切断のために使用した。2つのPCR生成物からコンストラクトを組み立てた。「Profinity eXact」タグを増幅するために鋳型としてのpPAL7(Bio−Rad,ドイツミュンヘン)およびプライマーMJ_1_99_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGATGGGAGGGAAATCAAACGGGGAA−3’)およびMJ_1_100_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGGCACAAAGCTTTGAAGAGCTTGTC−3’)を用いて、PCR生成物1を作製した。A155C突然変異を含有するdpo4断片155−352を増幅するために鋳型としてのpMJ361およびプライマーMJ_1_96_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGTGCGATATGGCAAAACCGAATGGCATTAAA−3’)およびMJ_1_97_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGCCCTTAGGTATCAAAAAATTTATCCAGG−3’)を用いて、PCR生成物2を作製した。プライマーMJ_1_96_DD、MJ_1_97_DD、MJ_1_99_DDおよびMJ_1_100_DDは全て、Purimex(ドイツグレーベンシュタイン)由来であった。フラッシュゲルシステム(LONZA,スイスバーゼル)上で2つのPCR生成物をゲル精製し、StarGate Mutagenesis ENTRYクローニングキット(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いてpENTRY−IBA20と一緒にクローニングし、pMJ382が得られた。StarGate Transferクローニングキット(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いたpASG−IBA5(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)中のpMJ382からのサブクローニングによって、pMJ384が得られた。コンストラクトpMJ384は、(タンパク質分解性切断後)198アミノ酸長の次のタンパク質配列とともに突然変異A155Cを含有する全−L−ポリメラーゼDpo4の断片155−352をコードする:
CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLVDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT。
【0245】
8.1.3 全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片203−352−発現コンストラクトpMJ385
このコンストラクトは、「Profinity eXact」タグとそれに続く、突然変異V203Cを含有するdpo4断片203−352を含有する。「Profinity eXact」タグを精製およびタンパク質分解性切断のために使用した。2つのPCR生成物からコンストラクトを組み立てた。「Profinity eXact」タグを増幅するために鋳型としてのpPAL7(Bio−Rad,ドイツミュンヘン)およびプライマーMJ_1_99_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGATGGGAGGGAAATCAAACGGGGAA−3’)およびMJ_1_100_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGGCACAAAGCTTTGAAGAGCTTGTC−3’)を用いてPCR生成物1を作製した。V203C突然変異を含有するdpo4断片203−352を増幅するために鋳型としてのpMJ362およびプライマーMJ_1_98_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGTGTGATACCCTGAGCATTGAATTT−3’)およびMJ_1_97_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGCCCTTAGGTATCAAAAAATTTATCCAGG−3’)を用いてPCR生成物2を作製した。プライマーMJ_1_97_DD、MJ_1_98_DD、MJ_1_99_DDおよびMJ_1_100_DDは全てPurimex(ドイツグレーベンシュタイン)由来であった。フラッシュゲルシステム(LONZA,スイスバーゼル)上で2つのPCR生成物をゲル精製し、StarGate Mutagenesis ENTRYクローニングキット(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いてpENTRY−IBA20中で一緒にクローニングし、その結果、pMJ383が得られた。StarGate Transferクローニングキット(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いたpASG−IBA5(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)中のpMJ383からのサブクローニングによって、pMJ385が得られた。コンストラクトpMJ385は、(タンパク質分解性切断後)150アミノ酸長の次のタンパク質配列とともにdpo4断片203−352 V203Cをコードする:
CDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT。
【0246】
8.1.4.全−L−ポリメラーゼDpo4の断片155−202−発現コンストラクトpMJ388
このコンストラクトは、dpo4断片155−202とそれに続く、チオエステルを生成させるために使用したMxe GyrAインテインおよびキチン−結合ドメイン(CBD)を含有する。2つのPCR生成物からコンストラクトを組み立てた。dpo4 155−202断片を増幅するために鋳型としてのpMJ343およびプライマーMJ_1_101_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGATGGCAGATATGGCAAAACCGAAT−3’)およびMJ_1_102_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGGCACAGTTTATTAATGCCCAGTTT−3’)を用いてPCR生成物1を構築した。Mxe Gyr AインテインおよびCBDを増幅させるために鋳型としてのpTWIN1(New England Biolabs,ドイツフランクフルト・アム・マイン)およびプライマーMJ_1_72_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGTGCATCACGGGAGAT−3’)およびMJ_1_73_DD(5’−リン酸−AGCGGCTCTTCGCCCTTGAAGCTGCCACAAGGCAGGAACGTT−3’)を用いてPCR生成物2を作製した。プライマーMJ_1_101_DDおよびMJ_1_102_DDは、Purimex(ドイツグレーベンシュタイン)由来であり、一方、プライマーMJ_1_72_DDおよびMJ_1_73_DDはIBA GmbH(ドイツゲッティンゲン)由来であった。フラッシュゲルシステム(LONZA,スイスバーゼル)上で2つのPCR生成物をゲル精製し、StarGate Mutagenesis ENTRYクローニングキット(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いてpENTRY−IBA20中で一緒にクローニングし、その結果、pMJ386が得られた。StarGate Transferクローニングキット(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いたpASG−IBAwt1(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)中でのpMJ386からのサブクローニングによって、pMJ388が得られた。コンストラクトpMJ388は、dpo4断片155−202とそれに続く(最初のメチオニンのE.コリ(E.coli)介在切断後およびインテイン切断/チオエステル産生後)48アミノ酸長のタンパク質配列をコードする:ADMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKL−チオエステル。
【0247】
8.2 E.コリ(E.coli)におけるタンパク質発現
発現のために、「Transformation and Storage Solution」(Epicentre/Biozym,ドイツヘッシシュ・オルデンドルフ)を用いてE.コリ(E.coli)株「NEB EXPRESS」(New England Biolabs,ドイツフランクフルト・アム・マイン)中で適切な発現コンストラクトを形質転換し、抗生物質アンピシリンを用いて維持した。誘導因子として200ng/mLアンヒドロテトラサイクリン(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を用いて、一晩、周囲温度で培地「EnBase Flo」または「EnPresso」(BioSilta,フィンランドオウル)中で発現を行った。遠心によって細胞を回収し、−80℃で保存するかまたはすぐに処理した。
【0248】
8.3 Mxe Gyr Aインテインを用いたコンストラクトpMJ370およびpMJ388からのチオエステルの精製および生成
「カラム緩衝液」(20mM HEPES、pH8.5、500mM NaCl)中で新鮮または凍結E.コリ(E.coli)細胞を氷上で再懸濁し、「フレンチプレス」(G.Heinemann,ドイツシュヴェービッシュ・グミュント)細胞破壊装置を用いて溶解させた。キチン結合ビーズを含有するカラム(New Englands Biolabs,ドイツフランクフルト・アム・マイン)を備えた「AKTA express」システム(GE healthcare,ドイツフライブルク)」上で4℃で精製を行った。細胞溶解液を適用し、ベースラインまでカラム緩衝液で洗浄した後、インテイン介在性タンパク質切断およびチオエステル形成を誘導するために、カラム緩衝液中の50mM 2−メルカプトエタンスルホネート(略称MESNA)とともにカラムを4℃で20時間温置した。チオエステルを担う切断タンパク質をカラム緩衝液でカラムから洗い流し、濃縮し、5mM Bis−Tris、pH6.5、250mM NaClからなる緩衝液中でBioGel P60媒体材料(BioRad,ドイツミュンヘン)を用いてゲルろ過に供した。SDS−PAGE上でウシ血清アルブミン(BSA)標準物質を用い、SYPRO Red(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)で染色して、ゲル密度測定によってタンパク質濃度を推定した。LC−MS質量分析によって、タンパク質の正体およびチオエステルの存在を確認した。
【0249】
8.4 「Profinity eXact」タグによるコンストラクトpMJ384からの精製およびタンパク質分解性切断
次のとおり、pMJ384からの全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片155−352の精製を行った:「緩衝液W」(100mM Tris−HCl、pH8.0、150mM NaCl、1mM EDTA)中で新鮮または凍結E.コリ(E.coli)細胞を氷上で再懸濁し、「フレンチプレス」(G.Heinemann,ドイツシュヴェービッシュ・グミュント)細胞破壊装置を用いて溶解させた。5mL StrepTrap HPカラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)を備えた「AKTA express」システム上で4℃で精製を行った。2.5mMデスチオビオチン(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を含む緩衝液Wを用いて段階溶出を行った。HiPrep26/10脱塩カラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)を用いた「Profinity eXact溶出緩衝液」(0.1M Na−リン酸、pH7.2、0.1M NaF)中での緩衝液交換に、溶出タンパク質を供し、次いでゆっくりとProfinity eXactカラムに注入した。試料を濃縮し、1mMの最終濃度になるまでTris(2−カルボキシエチル)ホスフィン)(TCEP)を供給し、5mM Bis−Tris、pH6.5、250mM NaClからなる緩衝液で展開されるHiLoad 16/60 Superdex 75調製グレードカラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)を用いてゲルろ過に適用した。タンパク質を濃縮し、−80℃で保存した。SDS−PAGE上でウシ血清アルブミン(BSA)標準物質を用い、SYPRO Red(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)で染色して、ゲル密度測定によってタンパク質濃度を推定した。LC−MS質量分析によってタンパク質同一性を確認した。
【0250】
8.5 「Profinity eXact」タグによるコンストラクトpMJ385からの精製およびタンパク質分解性切断
次のとおりpMJ385からのdpo4断片203−352 V203Cの精製を行った:封入体を調製し、「i−FOLDタンパク質再折り畳み系」マニュアル(Novagen/Merck−Millipore,ドイツダルムシュタット)に記載のとおり変性させた。Sephadex G−25微細物質(GE healthcare,ドイツフライブルク)を用いて、可溶化タンパク質を「緩衝液W」(100mM Tris−HCl、pH8.0、150mM NaCl、1mM EDTA)への緩衝液交換に供し、StrepTrap HPカラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)を備えた「AKTA express」システム上で4℃で精製した。2.5mMデスチオビオチン(IBA GmbH,ドイツゲッティンゲン)を含む緩衝液Wで段階溶出を行った。0.1Mの最終濃度まで溶出タンパク質溶液にNaFを供給し、1mMの最終濃度になるようにTris(2−カルボキシエチル)ホスフィン)(TCEP)を供給し、次いでProfinity eXactカラム中にゆっくりと注入した。脱イオン化水でフロースルーを1:3希釈し、HClを用いてpHを7.2に調整した。「緩衝液A」(50mM Na−リン酸、pH7.2、1mM 2−メルカプトエタノール)中で平衡化したHiTrap SP HPカラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)を用いて陽イオン交換−クロマトグラフィーによって試料をさらに精製した。17%、25%および100%の「緩衝液B」(50mM Na−リン酸、pH7.2、1M NaCl、1mM 2−メルカプトエタノール)を用いて段階溶出を行った。分画をプールし、濃縮し、脱イオン化水中で展開させるHiLoad 16/60 Superdex 75調製グレードカラム(GE healthcare,ドイツフライブルク)を用いてゲルろ過に適用した。液体窒素中でタンパク質を瞬間凍結し、凍結乾燥させた。SDS−PAGE上でのウシ血清アルブミン(BSA)標準物質を用い、SYPRO Red(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)で染色して、ゲル密度測定によってタンパク質濃度を推定した。LC−MS質量分析によってタンパク質同一性を確認した。
【0251】
8.6 断片1−154−チオエステルおよび155−352のネイティブ化学ライゲーションによる合成全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの合成
2%Triton X100、1%チオフェノールおよび5mM TRIS(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含有するTRIS−緩衝液(pH8.6)中で全−L−ポリメラーゼDpo4変異体A155Cの断片1−154−チオエステルおよび155−352を50μMで溶解させた。反応混合物を室温により72時間振盪した。その後、ライゲーションの成功をSDS−PAGE(
図11A)およびLC−ESI−質量分析(RP18−カラム、20分間の0.1%TFA 5−95%での水中0.1%TFAによるACN勾配、
図11B)により分析した。41kDa前後でレーンにおいて明確なバンドが見出され、このことから、全長ポリメラーゼが示された。理論分子量(M
theor=40223Da)は、ESI−MSにより示される場合の、実測分子量(M
obs=40265Da)と一致する。
【0252】
8.7 断片155−202−チオエステルおよび203−352のネイティブ化学ライゲーションによる断片155−352の合成
2%SDS、1%チオフェノールおよび5mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含有するTRIS−緩衝液(pH8.6)中で、全−L−ポリメラーゼDpo4の断片155−202−チオエステルおよび203−352 V203Cを0.2Mで溶解させた。室温によって反応混合物を72時間振盪した。SDS−PAGE(
図20A)およびLC−ESI−質量分析(RP18−カラム、20分間の0.1%TFA 5−95%での水中0.1%TFAによるACN勾配、
図20B)によって、ライゲーションの成功の分析を行った。レーン7で21.5kDa前後で明確なバンドが見出され、これによりライゲーション生成物が示された。理論分子量(M
theor=22749Da)は、ESI−MSによって示される場合の、実測分子量(M
obs=22769Da)と一致する。
【0253】
実施例9−全てL−アミノ酸からなる、ポリメラーゼDpo4の切断型の組み換え発現および精製
ポリメラーゼDpo4は、初めにSulfolobus Solfataricus(略語 Sso)で発見された(Boudsocq, 2001)。野生型の遺伝子は、開始コドンおよび終始コドンを含む1,059の塩基対のオープンリーディングフレーム(略語:ORF)を有する。コードされたタンパク質は、352個の長さのアミノ酸を有する。この実施例は、どのようにポリメラーゼDpo4の切断型がE.Coliで発現されたか、およびStrep−Tagを使用して精製されたかを説明する。
【0254】
9.1発現構築物
Ssoのコドンの利用は、E.Coliと異なるため、野生型SsoポリメラーゼDpo4用のE.Coli−コドン最適化合成遺伝子は、GeneArt AG(ドイツレーゲンスブルク)から購入した。また、C末端から3、6、または9個のアミノ酸を切断した切断型を、GeneArtによりカスタムメイドした。合成遺伝子の配列は、N末端にStrep−Tagを追加するpASK−IBA5plusベクター(originator company: IBA GmbH, ドイツゲッティンゲン)で提供されている。C末端で3つのアミノ酸が欠失したdpo4のトランケーション形態は、この一連のプラスミドから発現した最も長い変異体であり、クローン3.C11(変異体Δ3)と命名されており、368個のアミノ酸である以下のアミノ酸を有した(N〜C末端が示された配列):
MASWSHPQFEKGAETAVPNSIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIAADMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLVDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKF。
【0255】
最初の20個のアミノ酸は、数個のスペーサーアミノ酸を含むStrep−Tag IIを表し、次に以下の配列は、スルホロブス・ソルファタリカスのDpo4のアミノ酸2−349を表す。この実施例で説明される他のトランケーション形態は、N末端に同一の配列を有するが、C末端のアミノ酸が少なかった。たとえば、クローン9.C3(変異体Δ6)は、6つのアミノ酸が欠失しており、クローン2.F12(変異体Δ9)は、C末端から欠失した9つのアミノ酸を有した。Dpo4のさらなるトランケーション形態用の発現構築物を、製造社のプロトコルにしたがって、市販のQuikChangeキット(Stratagene GmbH, ドイツヴァルトブロン)を使用して作製した。クローン2.F12(pASK−IBA5plusで、C末端で欠失した9つのアミノ酸を含むdpo4)は、pCK58およびpCK59を作製するために鋳型として使用したQ。uikChangeで必要とされるオリゴヌクレオチドは、NOXXONであった。
【0256】
以下の発現構築物を、E.coliにおけるポリメラーゼDpo4の切断型の発現のために作製し、使用した。
【表9】
【0257】
9.2E.Coliにおけるタンパク質発現
Dpo4の切断型Δ3、Δ6、Δ12、またはΔ15を、pASK−IB5plusに基づく発現構築物を使用してE.coliにおいて発現した。発現のために、適切な発現構築物を、“形質転換および保存用溶液(Transformation and Storage Solution)”(Epicentre/Biozym, ドイツヘッシシュ・オルデンドルフ)を使用してE.coliの株「NEB express」(New England Biolabs, ドイツフランクフルト・アム・マイン)で形質転換し、抗菌性のアンピシリンを用いて維持した。インデューサーとして200ng/mlのアンヒドロテトラサイクリン(IBA GmbH、ドイツゲッティンゲン)を使用して、30℃で48時間、培地“EnBase Flo”または“EnPresso”(BioSilta, フィンランドオウル)中で発現を行った。細胞を、延伸により収集して、−80℃で保存するか、またはすぐに処理した。
【0258】
9.3タンパク質の精製
新鮮または凍結したE.coliを、“Buffer W”(100 mM Tris−HCl(pH8.0)、150mM NaCl、1mM EDTA)中、氷上で再懸濁し、“French Press”(G. Heinemann, ドイツシュヴェービッシュ・グミュント)細胞破砕機を使用して溶解した。5mlのStrepTrap HPのカラム(GE healthcare, ドイツフライブルク)を備え付けた“AKTA Express”システムで精製を4℃で行った。段階溶出を、2.5mMのデスチオビオチン(IBA GmbH, ドイツゲッティンゲン)を含むバッファーWを用いて行った。画分を集め、HiPrep_26/10カラム(GE healthcare, ドイツフライブルク)を使用して、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.2)でバッファー交換した。次にタンパク質の試料を、5mlの陽イオン交換カラムHiTrap_SP_HP(GE healthcare、ドイツフライブルク)に添加し、最大1MのNaClを含む50mMのリン酸ナトリウム(pH7.2)の勾配で溶出した。溶出したピークの画分を回収し、集め、20mM Tris−HCl(pH7.4)、200mM KCl、0.2mM EDTAでバッファー交換した。すべての重要な画分を、SDS−PAGEを使用して分析した(Invitrogen, ドイツカールスルーエ)。タンパク質の同一性を、LC−MS質量分析により確認した。最終的な試料を、10,000の分子量のカットオフ(MWCO)で、VivaSpin 15Rの濃縮装置を使用して濃縮し(VivaSciences/Sartorius Stedim Biotech, ドイツゲッティンゲン)、1容量のグリセロールおよびDTTを追加することにより、保存バッファーは、10mM Tris−HCl(pH7.4)、100mM KCl、0.1mM EDTA、1mM DTT、50%のグリセロールからなるものであった。精製したタンパク質を−20℃で保存した。タンパク質の濃度を、SDS−PAGEにとって標準的なウシ血清アルブミン(略語BSA)を使用し、SYPRO Red(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)で染色したゲルデンシトメトリーにより評価した。
【0259】
実施例10−ポリメラーゼDpo4およびL−アミノ酸からなるポリメラーゼDpo4の変異体の活性確認
この実施例は、全−L−ポリメラーゼDpo4および実施例7による全−L−ポリメラーゼDpo4の変異体に対する、および実施例8による合成全−L−ポリメラーゼDpo4に対する、および実施例9によるDpo4の切断型に対するPCR活性試験を記載する。
【0260】
10.1 PCR活性アッセイのための鋳型
PCR反応のための鋳型は、83マー1本鎖D−DNAオリゴヌクレオチド(MJ_1_1_DD)であり、これにより第一の温度サイクルにおいて逆の鎖が生成する。その後、両鎖を指数関数的増幅のための鋳型とする。D−立体配置で、NOXXONにおいて、鋳型DNAオリゴヌクレオチドおよびDNAプライマーを合成する。
【0261】
PCR活性アッセイに対するオリゴヌクレオチドのリスト:
【表10】
【0262】
10.2 PCR反応
15μLPCR反応は、各0.2mMの4種類のD−dNTP、10nM 83マーssDNA(MJ_1_1_DD)鋳型、1μMのフォワードおよびリバースプライマー、1x ThermoPol緩衝液(Invitrogen、20mMトリス−HCl、10mM KCl、10mM(NH
4)
2SO
4、2mM MgSO
4、0.1%Triton X−100、pH8.8@25℃)および少なくとも0.67ng/μLの全−L−ポリメラーゼDpo4または全−L−ポリメラーゼDpo4の変異体または合成全−L−ポリメラーゼDpo4を含有した。フォワードプライマーはDE4.40T7であり、リバースプライマーはDE4.40Rであり、102塩基対長のPCR生成物が得られる。Rovalab(ドイツテルトー)からD−dNTPを購入した。全−L−ポリメラーゼDpo4または全−L−ポリメラーゼDpo4の変異体または合成全−L−ポリメラーゼDpo4を省くことによって陰性対照を遂行した。市販の全−L−dpo4(New England Biolabs,ドイツフランクフルト・アム・マイン)を用いて陽性対照を遂行した。
【0263】
温度サイクリングプログラムは、1サイクル(85℃、3分)、次に少なくとも7サイクル(85℃、30秒/56℃、1分/60℃、4分)、次いで4℃で保持から構成された。PCR反応物の4μLアリコートを試料ローディング緩衝液と混合し、TBE−PAGEまたはアガロースゲル(LONZA、ドイツケルン)上で分析した。とりわけ100bpバンドを含有するDNA標準物質ラダーをこのゲル上に適用した。
【0264】
10.3活性確認
全−L−ポリメラーゼDpo4、全−L−ポリメラーゼDpo4の変異体A155C、V203C、C31S、A155C/V203C、S85C、S86C、S96C、A71C/A155C/V203C、S86C/A155C/V203C、C31S/S86C/A155C/V203C、M76G/A155C/V203C、M76A/A155C/V203C、I67C/A155C/V203C、S86G/A155C/V203Cおよび全−L−ポリメラーゼDpo4のS96C/A155C/V203C、およびDpo4のC末端での切断型Δ3、Δ6、Δ9、Δ12、およびΔ15を試験した。試験したポリメラーゼは全て、PCR反応において鋳型鎖を増幅することができた。
図12Aは、全−L−ポリメラーゼDpo4の変異体A155C、V203C、C31S、A155C/V203Cを用いて行ったPCR反応の分析を示し、、DNA標準物質ラダーと比較した場合に約100bpの範囲となるバンドを示した。予想されたPCR生成物サイズは102塩基対であった。このバンドはポリメラーゼがない陰性対照では現れない。またこの102bpバンドは、83マー鋳型より高く移動する。
図12Bは、組み換え全−L−ポリメラーゼdpo4を用い、断片のライゲーションにより作製された合成全−L−ポリメラーゼdpo4を使用して行ったPCR反応の分析を示す。ゲルは、DNA標準物質ラダーと比較した場合に約100bpの範囲となるバンドを示した。予想されたPCR生成物サイズは102塩基対であった。ポリメラーゼがない陰性対照においてこのバンドは非常に弱い。組み換え全−L−ポリメラーゼdpo4および合成全−L−ポリメラーゼdpo4は、比較可能な活性を示す。
図12Cは、組み換え全L−ポリメラーゼdpo4、および変異体71C/A155C/V203C、S86C/A155C/V203CおよびC31S/S86C/A155C/V203Cを用いて実施したPCR反応の分析を示す。このゲルは、DNAの標準ラダーと比較して約100bpの範囲のバンドを示した。予測したPCR産物の大きさは102の塩基対であった。
図12Dは、組み換え全L−ポリメラーゼdpo4、および変異体M76G/A155C/V203CおよびM76A/A155C/V203Cで実施したPCR反応の分析を示す。このゲルは、DNA標準ラダーと比較して約100bpの範囲のバンドを示した。予測したPCR産物の大きさは102の塩基対であった。
図12Eは、変異体I67C/A155C/V203C、S86G/A155C/V203CおよびS96C/A155C/V203Cで実施したPCR反応の分析を示す。このゲルは、DNA標準ラダーと比較して約100bpの範囲のバンドを示した。予測したPCR産物の大きさは102塩基対であった。
図12Fは、Dpo4のC末端での切断型Δ3、Δ6、Δ9、Δ12、およびΔ15で実施したPCR反応の分析を示す。このゲルは、DNA標準ラダーと比較した約100bpの範囲のバンドを示した。予測したPCR産物の大きさは102塩基対であった。
【0265】
実施例11−D−アミノ酸からなるポリメラーゼDpo4の変異体の合成
本実施例中では、全−DポリメラーゼDpo変異体A155C/V203Cの合成を記載する。全−DポリメラーゼDpo変異体A155C/V203Cのアミノ酸配列は、Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIACDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−OHである。
【0266】
固相ペプチド合成Fmoc/tBu−ストラテジーの要件(Eric Athertonら、1981)に従い、使用する全アミノ酸を保護する。使用するアミノ酸は全てD−アミノ酸である(Bachem,スイスブーベンドルフ)。
【0267】
11.1 H−D−Met−OGp(Boc)
2の合成
1mmolのZ−D−Met−OH、0.9eq.TBTUおよび0.9mmol HO−Gp(Boc)
2を10mL DMF中で溶解させた。2eq.DIPEAの添加後、溶液を2時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、DCMを用いてフラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。Z−D−Met−OGp(Boc)
2の純粋な分画を合わせ、溶媒を蒸発させた。
【0268】
Z−D−Met−OGp(Boc)
2を10mL MeOH中で溶解させ、アルゴンを吹き付けた。2時間のPd/C触媒およびH
2の添加によって、N末端Z−基の加水分解性切断を達成した。ろ別後、H−D−Met−OGp(Boc)
2MeOHを減圧下で蒸発させた。逆相HPLCおよび質量分析を用いて分析を行った。482Daの計算質量は、483Daの決定質量と一致する。
【0269】
11.2 完全保護化全−D−ペプチドH−RTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(1)の合成
6mL NMP中で45分間、5eq.アミノ酸、eq.4.9eq.HATUおよび10eq DIPEAを用いて、Fmoc−脱保護後に、Fmoc−D−Thr(tBu)−OHを0.1mmolのFmoc−Sieber rink アミドNovaSynTGレジンに充填した。
【0270】
FASTmocプロトコールによりABI 433を用いて自動化合成を行った。NMP中で9eq.HATUおよび20eq.DIPEA用いて、10eq.アミノ酸を活性化した。カップリング時間は45分間であり、NMP中20%(v/v)ピペリジンを用いて7分間にわたりFmoc−脱保護化を3回行った。42アミノ酸のカップリング後、ダブルカップリングを行った。
【0271】
2時間にわたり、10mLのDCM中1%(v/v)TFA中でぺプチジルレジンを2回温置することによって、完全保護化ペプチド酸の切断を達成した。ペプチドをろ別した後、溶媒を蒸発させ、氷冷ジエチルエーテルを用いて残渣を沈殿させた。沈殿させたペプチドを単離し、乾燥させた。
【0272】
HPLCおよび質量分析(
図13)によって最終生成物の特徴を調べた。生成物に対する計算質量(6244Da)は、測定質量(6249Da)と一致する。
【0273】
11.3 完全保護化全−D−ペプチドBoc−VDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRG−OH(2)の合成
Barlosら(Barlosら、1989)により記載されるように、0.10mmolのTentaGel−R−TritylレジンにFmoc−D−Gly−OHを充填した。したがって、0.6mmolの塩化チオニルとともに0.10mmolレジンを30分間、2回温置し、その後にDCMで洗浄した。この後、6mLDCM中の0.6mmolのFmoc−Gly−OH、2.4mmol DIPEAとともにレジンを90分間温置した。その後、DCM中10%MeOH(v/v)、10%DIPEA(v/v)の溶液を用いて、レジンを10分間、3回ブロッキング処理し、DCMで洗浄した。FASTmocプロトコールによりABI433を用いて自動化合成を行った。NMP中9eq.HATUおよび20eq.DIPEAを用いて10eq.アミノ酸を活性化した。カップリング時間は45分間であり、NMP中20%(v/v)ピペリジンを用いてFmoc−脱保護化を7分間、3回行った。39アミノ酸のカップリング後、ダブルカップリングを行った。
【0274】
DCM中の10mL 30%(v/v)HFIP中でぺプチジルレジンを2時間、2回温置することによって、完全保護化ペプチド酸の切断を達成した。ペプチドをろ別した後、溶媒を蒸発させ、氷冷ジエチルエーテルを用いて残渣を沈殿させた。沈殿させたペプチドを単離し、乾燥させた。HPLCおよび質量分析によって最終生成物の特徴を調べた(
図14)。実験により決定された生成物の質量(11289Da)は理論値(11286Da)のとおりであった。
【0275】
11.4 ペプチド2とペプチド1の断片縮合による全−D−ペプチドH−VDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(3)の合成
【0276】
DCM中25%(v/v)TFE中で5μmole(2)および1eq.(1)を溶解させた。5eq.PyBOPおよび10eq.DIPEAの添加後、混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、氷冷ジエチルエーテルを用いてペプチドを沈殿させ、ろ別した。
【0277】
2時間にわたり、TFA中2.5%EDT、2.5%水、2.5%TISによってペプチドの側鎖保護基の切断を行った。TFAの蒸発後、氷冷ジエチルエーテルを用いてペプチドを沈殿させた。ACN/水勾配を用いてC18カラムにおいて、N末端Fmoc−保護化ペプチドの逆相HPLC精製を行った。生成物を含有する分画を合わせ、凍結乾燥させた。
【0278】
HPLCおよび質量分析によって最終生成物の特徴を調べた(
図15)。実験により決定された質量(17531Da)は理論分子質量(17512Da)と一致する。
【0279】
11.5 全−D−ペプチドZ−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKL−ベンジル−チオエステル(4)の合成
Barlosら(Barlosら、1989)に記載のように、Fmoc−D−Leu−OHを0.10mmolのTentaGel−R−Tritylレジンに充填した。したがって、0.6mmolの塩化チオニルとともに0.10mmolレジンを30分間、2回温置し、その後にDCMで洗浄した。この後、6mL DCM中の0.6mmolのFmoc−D−Leu−OH、2.4mmol DIPEAとともにレジンを90分間温置した。その後、DCM中10%MeOH(v/v)、10%DIPEA(v/v)の溶液を用いて、レジンを10分間、3回ブロッキング処理し、DCMで洗浄した。FASTmocプロトコールによりABI433を用いて自動化合成を行った。NMP中9eq.HATUおよび20eq.DIPEAを用いて、10eq.アミノ酸を活性化した。カップリング時間は45分間であり、NMP中20%(v/v)ピペリジンを用いてFmoc−脱保護化を7分間、3回行った。
【0280】
2時間にわたり、10mLのDCM中30%(v/v)HFIP中でぺプチジルレジンを2回温置することによって、完全保護化ペプチド酸の切断を達成した。ペプチドのろ別後、溶媒を蒸発させ、氷冷ジエチルエーテルを用いて残渣を沈殿させた。沈殿ペプチドを単離し、乾燥させた。
【0281】
DMF中でN末端Z−および完全に側鎖保護されたペプチド4を1mMに溶解させた。5eq.PyBOP、10eq.DIPEAおよび30eq.ベンジルメルカプタンの添加後、混合物を4時間撹拌した。次に、DMFを蒸発させ、ペプチドを沈殿させ、氷冷ジエチルエーテルで洗浄した。2時間にわたるTFA中2.5%EDT、2.5%水、2.5%TISでの処理により、側鎖保護基を除去した。TFAの蒸発後、ペプチドを沈殿させ、氷冷ジエチルエーテルで洗浄した。次に、逆相HPLCによってペプチド−ベンジル−チオエステルを精製し、逆相HPLC(
図16A)およびESI−MS(
図16B)によって分析した。理論分子量(M
theor=5527Da)は、ESI−MSにより示されるように実測分子量(M
obs=5533Da)と一致する。
【0282】
11.6 全−D−ペプチドH−RKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SMe(7)の合成
6mL NMP中で、45分間、5eq.アミノ酸、eq.4.9eq.HATUおよび10eq.DIPEAを用いて、0.10mmolのTentaGel−R−NH
2レジンにFmoc−D−Ala−OHを充填した。その後に、レジンをTHFで洗浄した。2時間にわたり、80℃でTHF中4eq.Lawesson試薬との温置によって、Fmoc−D−Ala−Ψ[CS−NH]−R−TentaGelへの変換を達成した。この後、レジンをNMPで洗浄した。その後に、このように調製したレジンを既に記載のように自動化ペプチド合成において使用した(ABI433、FASTmocプロトコール、NMP中9eq.HATUおよび20eq.DIPEAを用いて10eq.アミノ酸を活性化し;カップリング時間は45分間であり、NMP中20%(v/v)ピペリジンによって7分間、Fmoc−脱保護化を3回行った。)。44カップリングアミノ酸の後、ダブルカップリング段階を行った。
【0283】
この後、Sharmaら(Sharmaら、2011)に従い、DMF中ヨウ化メチルと一晩温置することによって、対応するチオエステルを生成させた。レジンのろ過後、ペプチドチオエステル含有溶媒を蒸発させ、氷冷ジエチルエーテルを用いて残渣を沈殿させた。2時間にわたり、TFA中2.5%EDT、2.5%水、2.5%TISを用いて、側鎖保護基の切断を行った。TFAの蒸発後、氷冷ジエチルエーテルによりペプチドを沈殿させた。ACN/水勾配を用いて、C18カラム上で、ペプチドチオエステルの逆相HPLC精製を行った。生成物を含有する分画を合わせ、凍結乾燥させた。
【0284】
HPLC(
図17A)および質量分析(
図17B)によって、最終生成物の特徴を調べた。質量分析によって決定された生成物の分子量(9155Da)は、計算質量(9150Da)と一致した。
【0285】
11.7 Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPM−OGp(6)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Tritylレジンに、Barlosら(Barlosら、1989)に記載のようにFmoc−D−Pro−OHを充填した。したがって、0.6mmolの塩化チオニルとともに30分間、2回、0.10mmolレジンを温置し、その後に、DCMで洗浄した。この後、6mL DCM中0.6mmolのFmoc−D−Pro−OH、2.4mmol DIPEAとともに、レジンを90分間温置した。その後、DCM中10%MeOH(v/v)、10%DIPEA(v/v)の溶液を用いて、レジンを10分間、3回ブロッキング処理し、DCMで洗浄した。FASTmocプロトコールによってABI433を用いて自動化合成を行った。NMP中9eq.HATUおよび20eq.DIPEAを用いて10eq.アミノ酸を活性化した。カップリング時間は45分間であり、NMP中20%(v/v)ピペリジンによって、7分間、3回、Fmoc−脱保護化を行った。46アミノ酸のカップリング後、ダブルカップリングを行った。DMF中10%(v/v)無水酢酸および10%(v/v)DIPEAを用いてN−末端のアセチル化を10分間、3回行った。
【0286】
2時間にわたり、10mLのDCM中30%(v/v)HFIP中でぺプチジルレジンを2回温置することによって、完全保護化ペプチド酸の切断を達成した。ペプチドのろ別後、溶媒を蒸発させ、氷冷ジエチルエーテルを用いて残渣を沈殿させ。沈殿ペプチドを単離し、乾燥させた。
【0287】
0.01mmolの完全保護化ペプチド、4eq.PyBOPおよび5eq.H−D−Met−OGp(Boc)
2を6mL NMP中で溶解させた。10eq.DIPEAの添加後、混合物を4時間撹拌した。この後、溶媒を還元気化(reduced evaporated)させ、氷冷ジエチルエーテルによって残渣を沈殿させた。沈殿ペプチドエステルを乾燥させ、その後、2時間にわたり、TFA中2.5%EDT、2.5%水、2.5%TISを用いて保護基を切り出した。TFAの蒸発後、氷冷ジエチルエーテルによりペプチドを沈殿させた。ACN/水勾配を用いて、C18カラム上でペプチドエステルの逆相HPLC精製を行った。生成物を含有する分画を合わせ、凍結乾燥させた。
【0288】
HPLC(
図18A)および質量分析(
図18B)によって最終生成物の特徴を調べた。実験により決定された質量(8547Da)は、理論分子量(8541Da)と一致する。
【0289】
11.8 ペプチド3とペプチド4のネイティブ化学ライゲーションによる、全−D−ペプチド、H−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIG VRFSKFIEAIGLDKFFDT−OH(5)の合成
【0290】
2%SDS、1%チオフェノールおよび5mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含有するトリス−緩衝液(pH8.6)中でペプチド3および4の両方を0.2Mに溶解させる。反応混合物を室温により72時間振盪する。その後、逆相HPLCによって混合物を精製する。N末端Z−保護基の除去のために、270eq.TFAおよび50eq.チオアニソールでペプチドを溶解させ、室温で6時間振盪した(Yoshiaki Kisoら、1980)。TFAの蒸発後、ペプチドを沈殿させ、氷冷ジエチルエーテルにより洗浄し、逆相HPLC(Phenomenex,ドイツアシャッフェンブルク)によって再び精製した。SDS−PAGE、逆相UPLCおよびESI−質量分析によって、遊離ペプチド5の分析を行う。生成物の正確な質量が分かる。
【0291】
11.9 全−D−ペプチドの合成
ペプチド7とのペプチド6のプロテアーゼ−触媒ライゲーションによる、全−D−ペプチド、Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SMe(8)の合成
4M尿素を含有するリン酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH8.5、100mM NaCl入り)中で、ペプチド6を0.2mMに溶解させ、ペプチド7を0.6mMに溶解させた。20μMクロストリパイン(エンドプロテアーゼArg−C、Worthington Biochemical Corporation,米国ニュージャージー州レイクウッド)の添加後、反応混合物を37℃で一晩振盪した。沈殿ペプチドを遠心し、H
20/ギ酸 80/20中で溶解させ、30分内で5%から95%の水中ACN勾配でRP−18−カラム(Phenomenex,ドイツアシャッフェンブルク)を用い、逆相HPLCによって精製する。最終ペプチドをSDS−PAGE(
図19A)およびESI−質量分析(
図19B)により分析した。レーン1で14,4kDaと21.5kDaとの間でバンドが見られ、ライゲーション生成物が示された。ライゲーション生成物の理論分子量(M
theor=17476Da)は、ESI−MSにより示されるように実測分子量(M
obs=17486Da)と一致する。
【0292】
11.10 ペプチド5とのペプチド8のネイティブ化学ライゲーションによる全−DポリメラーゼDpo変異体A115C/V203Cの合成
2%Triton X100、1%チオフェノールおよび5mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含有するトリス−緩衝液(pH8.6)中で、ペプチド5および8の両方を0.2Mに溶解させる。反応混合物を室温により72時間振盪する。その後、逆相HPLCにより混合物を精製し、SDS−PAGE、逆相UPLCおよびESI−質量分析により分析する。ライゲーション生成物の正確な質量が分かる。
【0293】
実施例12−
D−アミノ酸からなるポリメラーゼDpo4の変異体A71C/A155C/V203Cの合成
実施例の中で、全D−ポリメラーゼDpo変異体A71C/A155C/V203Cの合成を説明する。全―DポリメラーゼDpo変異体A71C/A155C/V203Cのアミノ酸配列は、Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNCVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIACDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2である。
【0294】
使用するすべてのアミノ酸は、Solid−phase peptide synthesis Fmoc/tBu−strategy requirements(固相ペプチド合成Fmoc/tBu戦略の必要条件)(Eric Atherton et al, 1981)にしたがって保護されている。使用するすべてのアミノ酸は、D−アミノ酸である(Bachem, スイスブーベンドルフ)。
【0295】
12.1完全に保護された全D−ペプチドの合成
H−RTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(1)
0.1mmolのFmoc−Sieber rinkアミドNovaSynTG樹脂を、5当量のアミノ酸、4.9当量のHATU、および10当量のDIPEAを使用してFmoc−D−Thr(tBu)−OHを用いた、6mlのNMP中で45分間のFmocの脱保護の後で充填した。
【0296】
自動化合成を、FASTmocプロトコルを用いるABI 433シンセサイザーを使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%(v/v)ピペリジンで7分間、3回行った。ダブルカップリングを、42個のアミノ酸のカップリングの後に行った。
【0297】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中1%(v/v)のTFA10mlで、ペプチジル樹脂を2時間インキュベートすることにより達成した。樹脂をろ過した後、溶媒を蒸発させ、ペプチドを、氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。最終的にペプチドを単離し、乾燥した。最終的な産物を、HPLCおよび質量分析により特徴付けた(
図13)。産物で計算した質量(6244Da)は、測定した質量(6249Da)に対応する。
【0298】
12.2 完全に保護した全DペプチドBoc−CDTLSIEF DKLKGMIGEA KAKYLISLAR DEYNEPIRTR VRKSIGRIVT MKRNSRNLEE IKPYLFRAIE ESYYKLDKRI PKAIHVVAVT EDLDIVSRG−OH(3)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al.(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−D−Gly−OHで充填した。よって0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで30分間2回インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、0.6mmolのFmoc−Gly−OH、2.4mmolのDIPEAを含む6mlのDCMで90分インキュベートした。その後、この樹脂を、DCM中10% MeOH(v/v)、10% DIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルを用い、ABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%(v/v)のピペリジンで7分間、3回行った。ダブルカップリングのステップを、39のアミノ酸のカップリングの後に行った。
【0299】
合成したペプチドの同一性を、HPLCおよび質量分析により、少量のペプチジル樹脂のTFA切断の後に特徴づけた(
図14)。実験的に決定した産物の質量(11289Da)は、理論値(11286Da)に従うものであった。
【0300】
完全に保護したペプチドの酸の切断は、DCM中1%(v/v)のTFA10ml中で、ペプチジル樹脂を、2時間、2回、インキュベートすることにより達成した。樹脂をろ過した後、溶媒を蒸発させ、ペプチドを、氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。最終的にペプチドを単離し、乾燥した。
【0301】
12.3 ペプチド3とペプチド1のフラグメント縮合による全D−ペプチド
H−CDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(5)の合成
5マイクロモル濃度の(3)および1当量の(1)を、DCM中25%(v/v)のTFEに溶解した。5当量のPyBOPおよび10当量のDIPEAを添加した後、混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿し、ろ過した。
【0302】
ペプチドの側鎖の保護基の切断を、2.5%のEDT、2.5%の水、2.5%のTISを含むTFAを用いて2時間行った。TFAを蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルを用いて沈殿させた。N末端をFmoc保護したペプチドの逆相HPLC精製を、ACN/水勾配を使用してC18カラムで行った。産物を含む画分を、組み合わせ、凍結乾燥した。
【0303】
最終的な産物を、HPLCおよび質量分析により特徴づけた(
図15)。実験的に決定した質量(17531Da)は、理論的な分子質量(17512Da)に対応する。
【0304】
12.4 全D−ペプチド H−CVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(9)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al. (Barlos et al., 1989)に記載するようにFmoc−D−Ala−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで30分間、2回インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、0.6mmolのFmoc−D−Ala−OH、2.4mmolのDIPEAを含む6mlのDCMで、90分間インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10% MeOH(v/v)、10% DIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocのプロトコルを用い、ABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc−脱保護を、NMP中20%(v/v)のピペリジンで7分間、3回行った。ダブルカップリングは、44のアミノ酸のカップリングの後に行った。N末端のアセチル化を、DMF中10%(v/v)の無水酢酸および10%(v/v)のDIPEAで、10分間、3回行った。
【0305】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中30%(v/v)のHFIP10ml中で、ペプチジル樹脂を2時間、2回インキュベートすることにより、達成した。樹脂をろ過した後、溶媒を蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。沈殿したペプチドを単離し、乾燥した。
【0306】
0.005mmolの完全に保護したペプチド、5当量のPyBOPおよび100当量のベンジルメルカプタンを6mlのDCMに溶解した。10当量のDIPEAを添加した後、混合物を4時間撹拌した。この後、溶媒を還元し、蒸発させ、残渣を、氷冷したジエチルエーテルにより沈殿させた。沈殿させたペプチドのエステルを乾燥させ、その後、保護基を、TFA中、2.5%のEDT、2.5%の水、2.5%のTISを使用して2時間切断させた。TFAを蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルで沈殿した。ペプチドエステルの逆相HPLC精製を、ACN/水勾配を使用してC18カラムで実施した。産物を独占的に含む画分を、組み合わせ、凍結乾燥した。
【0307】
最終的な産物をUPLC(
図21)および質量分析(
図22)により特徴づけた。質量分析により決定した産物の分子質量(9926Da)は、計算した質量(9923Da)に従うものであった。
【0308】
12.5 Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPN−SBzl(11)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al.(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−D−Asn(Trt)−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルを用いて、30分間、2回、インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、6mlのDCM中0.6mmolのFmoc−D−Asn(Trt)−OH、2.4mmolのDIPEAで90分間インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して、10分間、3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルを用い、ABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%(v/v)のピペリジンで、7分間、3回、行った。ダブルカップリングを、40のアミノ酸のカップリングの後に行った。N末端のアセチル化を、DMF中10%(v/v)の無水酢酸および10%(v/v)のDIPEAを用いて10分間、3回行った。
【0309】
完全に保護したペプチドの切断を、10mlの30%(v/v)のHFIPを含むDCMで、2時間、2回、ペプチジル樹脂をインキュベートすることにより達成した。ペプチドをろ過した後、溶媒を蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。沈殿したペプチドを単離し、乾燥させた。
【0310】
0.005mmolの完全に保護したペプチド、5当量のPyBOPおよび100当量のベンジルメルカプタンを、6mlのDCMに溶解した。10当量のDIPEAを添加した後、混合物を4時間撹拌した。この後、溶媒を、還元し、蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルにより沈殿した。沈殿したペプチドのエステルを乾燥し、その後、保護基を、TFA中2.5%のEDT、2.5%の水、2.5%のTISを使用して、2時間切断した。TFAを蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルで沈殿した。ペプチドエステルの逆相HPLC精製を、ACN/水勾配を使用してC18カラムで行った。産物を独占的に含む画分を、組み合わせ、凍結乾燥した。
【0311】
最終的な産物を、UPLC(
図23)および質量分析(
図24)により特徴づけた。質量分析により決定した産物の分子質量(7848Da)は、計算した質量(7845Da)に従うものであった。
【0312】
12.6 全D−ペプチドZ−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKL−ベンジル−チオエステル(7)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−D−Leu−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで30分間、2回インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、0.6mmolのFmoc−D−Leu−OH、2.4mmolのDIPEAを含む6mlのDCMで、90分間インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルを用い、ABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%(v/v)のピペリジンで、7分間、3回行った。
【0313】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中30%(v/v)のHFIP10ml中、ペプチジル樹脂を2時間、2回インキュベートすることにより達成した。ペプチドをろ過した後、溶媒を蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。沈殿したペプチドを単離し、乾燥させた。
【0314】
N末端のZ−および完全に側鎖保護したペプチド4を、DMFに1mMで溶解した。5当量のPyBOP、10当量のDIPEAおよび30当量のベンジルメルカプタンを添加した後、混合物を4時間撹拌した。次にDMFを蒸発させ、ペプチドを沈殿し、氷冷したジエチルエーテルで洗浄した。側鎖保護基を、TFA中2.5%のEDT、2.5%の水、2.5%のTISで2時間処理することにより除去した。TFAを蒸発した後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルで沈殿し、洗浄した。次に、ペプチド−ベンジル−チオエステルを、逆相HPLCにより精製し、逆相UPLC(
図25A)およびESI−MS(
図25B)により分析した。理論的な分子量(M
theor=5527Da)は、ESI−LC−MSにより示されるように、観察した分子量(M
obs=5534Da)に対応する。
【0315】
12.7.ペプチド5とペプチド7の天然の化学的なライゲーションによる全D―ペプチドH−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIG VRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH2(8)の合成
【0316】
ペプチド5および7の両方を、0.2Mで、2%のTriton X100、1%のチオフェノール、および5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含むリン酸ナトリウムバッファー(100mM、100mMのNaClを含む、pH8)に溶解した。反応混合物を室温で48時間振盪した。その後、混合物を、30%〜80%の1:1のACN/メタノールを含む水/1%のTFAの勾配を使用してRP−8カラム(Vydac 208 TP, Grace GmbH & Co KG, ドイツヴォルムス)で、逆相HPLCにより30分以内に精製した。産物を含む画分を集め、移動相として50mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH6)を使用してYarra 3u SEC−2000カラム(Phenomenex,ドイツアシャッフェンブルク)で分子ふるいクロマトグラフィーによる第2の段階で精製した。HiTrap脱塩カラム5ml(GE Healthcare GmbH,ドイツミュンヘン)を使用して水/1%のギ酸中の塩を除去した後、ペプチド産物の画分を凍結乾燥した。N末端のZ保護基の除去のために、ペプチドを270当量のTFAおよび50当量のチオアニソールに溶解し、室温で6時間振盪した(Yoshiaki Kisoet al, 1980)。TFAを蒸発させた後、ペプチドを沈殿し、氷冷したジエチルエーテルにより洗浄した。遊離ペプチド8の分析を、SDS−PAGE(
図26A)およびESI−LC質量分析(
図26B)により行った。バンドを、ライゲーション産物を示すマーカーの20kDaのバンドと25kDaのバンドの間で見出した。ライゲーション産物の理論的な分子量(M
theor=22781Da)は、ESI−LC−MSにより示されるように観察された分子量(M
obs=22796Da)に対応する。
【0317】
12.8 ペプチド9とペプチド10の天然の化学的なライゲーションによる、全D−ペプチドAc−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNCVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(11)の合成
ペプチド10およびペプチド9を、6Mのグアニジン―HCl、5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、および2%のチオフェノールを含むリン酸ナトリウムバッファー(100mM、pH8、100mM NaClを含む)に、0.5Mで溶解した。反応混合物を室温で72時間振盪した。その後、チオフェノール―沈殿物を遠心し、上清を、Agilent SEC−3カラム(Agilent Technologies Deutschland GmbH, ドイツブリンゲン)および移動相として50mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH6)中6Mのグアニジンを使用した分子ふるいクロマトグラフィーにより精製した。次にペプチドを含む画分を、HiTrap脱塩カラム5ml(GE Healthcare GmbH, ドイツミュンヘン)で水/1%のギ酸で脱塩した。凍結乾燥した後、画分を、SDS−PAGE(
図27A)およびESI−LC質量分析(
図27B)により分析した。バンドを、ライゲーション産物を示すマーカーの15kDaのバンド〜20kDaのバンドの間で、レーン3〜6で見出した。ライゲーション産物の理論的な分子量(M
theor=17641Da)は、ESI−LC−MSにより示されるように観察された分子量(M
obs=17641Da)に対応する。
【0318】
12.9 ペプチド8とペプチド11の天然の化学的なライゲーションによる、全―DポリメラーゼDpo4の変異体A71C/A155C/V203Cの合成
ペプチド11および8の両方を、50μMで、2%のTriton X100、1%のチオフェノール、および5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含むリン酸ナトリウムバッファー(pH8、100mMのNaClを含む)に溶解した。反応混合物を室温で72時間振盪した。その後、反応混合物を、SDS−PAGE(
図28A+B)およびESI−LC質量分析(
図28C)により分析した。バンドを、ライゲーション産物を示す天然のL−Dpo4が多い抽出物において、マーカーの37kDaのバンド〜50kDaのバンドの間のクマシー染色したゲルのレーン3(A)および銀染色したゲルの対応するレーン(B)で見出された。ライゲーション産物の理論的な分子量(M
theor=40298Da)は、ESI−MS(C)により示されるように観察した分子量(M
obs=40945Da)に対応する。647kDaより高い測定した質量は、Triton X−100付加物により引き起こされ得る。
【0319】
実施例13:D−アミノ酸からなるポリメラーゼDpo4の変異体M76G/A155C/V203Cの合成
本実施例の中で、全DポリメラーゼDpoの変異体M76G/A155C/V203Cの合成を説明する。全DポリメラーゼDpoの変異体M76G/A155C/V203Cのアミノ酸配列は、Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPGRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIACDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2である。
【0320】
使用されるすべてのアミノ酸は、Solid−phase peptide synthesis Fmoc/tBu−strategy requirements(Eric Atherton et al, 1981)にしたがって保護されている。使用するすべてのアミノ酸は、D―アミノ酸(Bachem, スイスブーベンドルフ)である。
【0321】
13.1 H−Gly−OGp(Boc)
2の合成
1mmolのZ−Gly−OH、0.9当量のTBTUおよび0.9mmmolのHO−Gp(Boc)
2を、10mlのDMEに溶解した。0.2当量のDIPEAを添加した後、溶液を2時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、未処置の産物を、DCM:EE(9:1)を使用してフラッシュクロマトグラフィーで精製した。Z−Gly−OGp(Boc)
2の精製した画分を組み合わせ、溶媒を蒸発させた。
【0322】
Z−Gly−OGp(Boc)
2を、10mlのMeOHに溶解し、アルゴンを流した。N末端のZ基の加水切断を、Pd/C触媒およびH
2を2時間以内に添加することにより達成した。触媒をろ過したした後、溶媒を減圧下で蒸発させた。分析物を、逆相HPLCおよび質量分析により行った。計算した質量(408Da)は、実験的に決定した質量(409Da)に従うものである。
【0323】
13.2完全に保護した全DペプチドH−R TFPHGISKET AYSESVKLLQ KILEEDERKI RRIGVRFSKF IEAIGLDKFF DT−NH
2(1)の合成
0.1mmolのFmoc−Sieber rinkアミドNovaSynTG樹脂を、6mlのNMPにおいて、5当量のアミノ酸、4.9当量のHATU、および10当量のDIPEAを45分間、使用する、Fmoc−D−Thr(tBu)−OHを用いたFmoc脱保護の後充填した。
【0324】
自動化合成を、FASTmocプロトコルを用いて、ABI433シンセサイザーを使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中、9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%(v/v)のピペリジンを用いて、7分間、3回、行った。ダブルカップリングを、42のアミノ酸のカップリングの後に行った。
【0325】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中1%(v/v)のTFA10mlで、2時間、2回、ペプチジル樹脂をインキュベートすることにより達成した。樹脂をろ過した後、溶媒を蒸発させ、ペプチドを、氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。最終的にペプチドを単離し、乾燥させた。
【0326】
最終的な産物を、HPLCおよび質量分析により特徴づけた(
図13)。産物に関して計算した質量(6244Da)は、測定した質量(6249Da)に対応する。
【0327】
13.3完全に保護した全DペプチドBoc−CDTLSIEF DKLKGMIGEA KAKYLISLAR DEYNEPIRTR VRKSIGRIVT MKRNSRNLEE IKPYLFRAIE ESYYKLDKRI PKAIHVVAVT EDLDIVSRG−OH(3)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al.(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−Gly−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで30分間、2回、インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、6mlのDCM中0.6mmolのFmoc−Gly−OH、2.4mmolのDIPEAで、90分インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回、ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルでABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%(v/v)のピぺリジンで7分間、3回行った。ダブルカップリングのステップを、39のアミノ酸のカップリングの後行った。
【0328】
合成したペプチドの同一性を、少量のペプチジル樹脂のTFA切断の後、HPLCおよび質量分析により特徴づけた(
図14)。産物の実験的に決定した質量(11289Da)は、理論値(11286Da)に従うものであった。
【0329】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中1%(v/v)のTFA10mlで、ペプチジル樹脂を2回、2時間インキュベートすることにより達成した。溶媒を蒸発させ、ペプチドを、氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿させた。最終的に、ペプチドを単離し、乾燥させた。
【0330】
13.4 ペプチド3とペプチド1のフラグメント縮合による全D−ペプチドH−CDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(5)の合成
5マイクロモル濃度の(3)および1当量の(1)を、DCM中25%(v/v)のTFEに溶解した。5当量のPyBOPおよび10当量のDIPEAを添加した後、混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿させ、ろ過した。
【0331】
ペプチドの側鎖保護基の切断を、TFA中2.5%のEDT、2.5%の水、2.5%のTISを用いて2時間行った。TFAを蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿させ、N末端のFmoc保護したペプチドの逆相HPLC精製を、ACN/水勾配を使用してC18カラムで行った。産物を含む画分を組み合わせ、凍結乾燥した。
【0332】
最終的な産物を、HPLCおよび質量分析により特徴づけた(
図15)。実験的に決定した質量(17531Da)は、理論的な分子質量(17512Da)に対応する。
【0333】
13.5 全DペプチドH−RKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(9)の合成
0.1mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al.(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−D−Ala−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで2回、30分間インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、0.6mmolのFmoc−D−Ala−OH、2.4mmolのDIPEAを含む6mlのDCMで90分間インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回、ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルでABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量HATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護は、NMP中20%(v/v)のピペリジンで7分間、3回、行った。ダブルカップリングを、44のアミノ酸をカップリングした後行った。N末端のアセチル化を、DMF中10%(v/v)の無水酢酸および10%(v/v)のDIPEAを用いて、10分間、3回行った。
【0334】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中30%(v/v)のHFIP10ml中、ペプチジル樹脂を2時間、2回インキュベートすることにより達成した。樹脂をろ過した後、溶媒を蒸発させ、残渣を、氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。沈殿したペプチドを単離し、乾燥させた。
【0335】
0.005mmolの完全に保護したペプチド、5当量のPyBOPおよび100当量のベンジルメルカプタンを、6mlのDCMに溶解した。10当量のDIPEAを添加した後、混合物を4時間撹拌した。この後、溶媒を、還元し、蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルにより沈殿した。沈殿したペプチドエステルを乾燥させ、その後、保護基を、TFA中2.5%のEDT、2.5%の水、2.5%のTISを使用して、2時間切断した。TFAを蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルで沈殿した。ペプチドエステルの逆相HPLCの精製を、ACN/水勾配を使用してC18カラムで行った。産物を独占的に含む画分を凍結乾燥した。
【0336】
最終的な産物を、UPLC(
図29)および質量分析(
図30)により特徴づけた。質量分析により決定した産物の分子質量(9217Da)は、計算した質量(9217Da)に従うものであった。
【0337】
13.6 Ac−MIVLFVDFDY FYAQVEEVLNP SLKGKPVVV CVFSGRFEDS GAVATANYEA RKFGVKAGIP IVEAKKILPN AVYLPG−OGp(10)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al.(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−D−Pro−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで30分間、2回インキュベートし、その後DCMで洗浄した。この後、樹脂を、0.6mmolのFmoc−D−Pro−OH、2.4mmolのDIPEAを含む6mlのDCMで、90分間インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルでABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおyび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%(v/v)のピペリジンで、7分間、3回行った、ダブルカップリングを、45のアミノ酸をカップリングした後行った。N末端のアセチル化を、DMF中10%(v/v)の無水酢酸および10%(v/v)のDIPEAを用いて、10分間3回行った。
【0338】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中30%(v/v)HFIP10ml中、ペプチド樹脂を2時間、2回インキュベートすることにより達成した。ペプチドをろ過した後、溶媒を蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。沈殿したペプチドを単離かつ乾燥させた。
【0339】
0.005mmolの完全に保護したペプチド、5当量のPyBOPおよび10当量のH−Gly−OGp(Boc)
2を、6mlのDCMに溶解した。10当量のDIPEAを添加した後、混合物を4時間撹拌した。この後、溶媒を還元し、蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルにより沈殿させた。沈殿したペプチドエステルを乾燥させ、その後、保護基を、TFA中2.5%のEDT、2.5%の水、2.5%のTISを使用して、2時間切断した。TFAの蒸発の後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルで沈殿させた。ペプチドエステルの逆相HPLC精製を、ACN/水勾配を使用してC18カラムで行った。産物を含む画分を組み合わせ、凍結乾燥した。
【0340】
最終的な産物を、UPLC(
図31)および質量分析(
図32)により特徴づけた。質量分析により決定した産物の分子質量(8481Da)は、計算した質量(8473Da)に従うものであった。
【0341】
13.7 全DペプチドZ−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKL−ベンジル―チオエステル(7)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al.(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−D−Leu−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで30分間、2回インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、0.6mmolのFmoc−D−Leu−OH、2.4mmolのDIPEAを含む6mlのDCMで、90分間インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して、10分間3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルでABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分間であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%(v/v)のピペリジンで7分間、3回行った。
【0342】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中30%(v/v)のHFIP10mlで、ペプチジル樹脂を、2時間、2回インキュベートすることにより達成した。ペプチドをろ過した後、溶媒を蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。沈殿したペプチドを単離し、乾燥させた。
【0343】
N末端のZ−および完全に側鎖保護したペプチド4を、DMFに1mMで溶解した。5当量のPyBOP、10当量のDIPEA、および30当量のベンジルメルカプタンを添加した後、混合物を4時間撹拌した。次にDMFを蒸発させ、ペプチドを沈殿し、氷冷したジエチルエーテルで洗浄した。側鎖保護基を、TFA中2.5%のEDT、2.5%の水、2.5%のTISで2時間処理することにより除去した。TFAを蒸発させた後、ペプチドを沈殿し、氷冷したジエチルエーテルで洗浄した。次に、ペプチド―ベンジルチオエステルを、逆相HPLCにより精製し、逆相UPLCにより(
図25A)およびESI−MS(
図25B)により分析した。理論的な分子量(M
theor=5527Da)は、ESI−LC−MSにより示されるように観察された分子量(M
obs=5534Da)に対応する。
【0344】
13.8 ペプチド5とペプチド7の天然の化学的なライゲーションによる全DペプチドH−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIG VRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(8)の合成
ペプチド5および7の両方を、2%のTriton X100、1%のチオフェノール、および5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含むリン酸ナトリウムバッファー(100mM、100mMのNaClを含む、pH8)に0.2Mで溶解した。反応混合物を室温により48時間で振盪した。その後、混合物を、30分以内に、水/1%TFA中30%〜80%のACN/メタノール(1:1)の勾配を使用して、RP−8カラム(Vydac 208 TP, Grace GmbH & Co KG, ドイツヴォルムス)での逆相HPLCにより精製した。産物を含む画分を集め、Yarra 3u SEC−2000−カラム(Phenomenex, ドイツアシャッフェンブルク)で分子ふるいクロマトグラフィーによる第2の段階で精製した。N末端のZ保護基の除去のために、ペプチドを、270当量のTFAおよび50当量のチオアニソールに溶解し、室温で6時間振盪した(Yoshiaki Kisoet al, 1980)。TFAを蒸発させた後、ペプチドを沈殿させ、氷冷したジエチルエーテルにより洗浄した。遊離ペプチド8の分析を、SDS−PAGE(
図26A)およびESI−LC質量分析(
図26B)により行った。バンドが、ライゲーション産物を示すマーカーの20kDaのバンドおよび25kDaのバンドの間で見出された。ライゲーション産物の理論的な分子量(M
theor=22781Da)は、ESI−LC−MSにより示されるように観察された分子量(M
obs=22796Da)に対応する。
【0345】
ペプチド9とペプチド10のプロテアーゼ触媒のライゲーションによる、全DペプチドのAc−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNAVYLPGRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−SBzl(11)の合成
4Mの尿素を含むリン酸ナトリウムバッファー(100mM、pH8、100mMのNaClを含む)に、ペプチド10を0、2Mで溶解し、ペプチド9を0.6mMで溶解した。20μMのクロストリパイン(Endoprotease Arg−C, Worthington Biochemical Corporation, 米国ニュージャージー州レイクウッド)を添加した後、反応混合物を37℃で一晩振盪した。その後、6Mのグアニジン―HClを添加し、混合物を、移動相として50mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH6)中の6Mのグアニジン―HClを用い、AgilentSEC−3カラム(Agilent Technologies Deutschland GmbH, ドイツブリンゲン)を使用して分子ふるいクロマトグラフィーにより精製した。その後、ペプチドを含む画分を、HiTrap脱塩カラム5ml(GE Healthcare GmbH, ドイツミュンヘン)で、水/1%のギ酸で脱塩した。凍結乾燥した後、画分を、SDS−PAGE(
図33A)およびESI−LC質量分析(
図33B)により分析した。バンドは、リガンド産物を示す15kDa〜20kDaのレーン3および4で見出された。ライゲーション産物の理論的な分子量(M
theor=17612Da)は、ESI−MSにより示される観察された分子量(M
obs=17641Da)に対応した。
【0346】
13.10 ペプチド8とペプチド11の天然の化学的なライゲーションによる全DポリメラーゼDpo4の変異体M76G/A155C/V203Cの合成
ペプチド11および8の両方を、2%のTriton X100、1%のチオフェノール、および5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含むTRISバッファー(pH8.6)に0.2Mで溶解した。反応混合物を室温により72時間振盪した。その後、混合物を逆相HPLCにより精製し、SDS−PAGEおよび逆相UPLCおよびESI質量分析により分析した。ライゲーション産物の正確な質量を見出す。
【0347】
実施例14 代替的な合成戦略によりD−アミノ酸からなるポリメラーゼDpo4の変異体A71C/A155C/V203Cの合成
本実施例の中で、全DポリメラーゼDpoの変異体 A71C/A155C/V203Cの合成を説明する。全DポリメラーゼDpoの変異体 A71C/A155C/V203Cのアミノ酸配列は、Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNCVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIACDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2である。
【0348】
使用するすべてのアミノ酸は、固相ペプチド合成のFmoc/tBu−戦略の必要要件(Eric Atherton et al, 1981)に従い保護されている。使用するすべてのアミノ酸はD−アミノ酸である(Bachem, スイスブーベンドルフ)。
【0349】
14.1.完全に保護した全DペプチドH−KAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(1)の合成
0.1mmolのFmoc−Sieber rinkアミドNovaSynTG樹脂を、45分間、6mlのNMP中、5当量のアミノ酸、4.9当量のHATU、および10当量のDIPEAを使用する、Fmoc−D−Thr(tBu)−OHでFmoc脱保護の後に充填した。
【0350】
自動化合成を、FASTmocプロトコルでABI433シンセサイザーを使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%のピペリジン(v/v)で7分間、3回、行った。ダブルカップリングを、42のアミノ酸をカップリングした後行った。
【0351】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中1%のTFA(v/v)10mlで、ペプチジル樹脂を2時間、2回インキュベートすることにより達成した。樹脂をろ過した後、溶媒を蒸発させ、ペプチドを、氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿させた。最終的なペプチドを単離し、乾燥させた。
【0352】
最終的な産物を、HPLCおよび質量分析により特徴づけた(
図34)。産物に関して計算した質量(8148Da)は、測定した質量(8156Da)に対応する。
【0353】
14.2 完全に保護した全DペプチドH−CDTLSIEF DKLKGMIGEA KAKYLISLAR DEYNEPIRTR VRKSIGRIVT MKRNSRNLEE IKPYLFRAIE ESYYKLDKRI P−OH(3)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al.(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−D−Pro−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで30分間インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、0.6mmolのFmoc−D−Pro−OH、2.4mmolのDIPEAを含む6mlのDCMで、90分間インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルを用い、ABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%のピペリジン(v/v)で7分間、3回、行った。ダブルカップリングのステップを、40のアミノ酸をカップリングした後行った。N末端のシステイン誘導体は、Boc−D−Cys(Trt)−OHであった。
【0354】
合成したペプチドの同一性を、HPLCおよび質量分析により、少量のペプチジルのTFA切断の後に特徴づけた(
図35)。実験的に決定した産物の質量(9393Da)は、理論値(9382Da)に従うものであった。
【0355】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中1%のTFA(v/v)10ml中で、ペプチジル樹脂を2時間、2回インキュベートすることにより達成した。樹脂をろ過した後、溶媒を蒸発させ、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。最終的にペプチドを単離し、乾燥させた。
【0356】
14.3 ペプチド3とペプチド1のフラグメント縮合による全―DペプチドH−CDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIGVRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(5)の合成
5マイクロモル濃度の(3)および1当量の(1)を、DCM中25%のTFE(v/v)に溶解した。5当量のPyBOPおよび10当量のDIPEAを添加した後、混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿させ、ろ過した。
【0357】
ペプチドの側鎖保護基の切断を、TFA中2.5%のEDT(v/v)、2.5%の水(v/v)、2.5%のTIS(v/v)で、2時間行った。TFAを蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿させた。N末端のFmoc保護したペプチドの逆相HPLC精製を、ACN/水勾配を使用してC18カラムで行った。産物を含む画分を組み合わせ、凍結乾燥した。
【0358】
最終的な産物を、HPLCおよび質量分析により特徴づけた(
図36)。実験的に決定した質量(17529Da)は、理論的な分子量(17512Da)に対応する。
【0359】
14.2 全DペプチドH−CVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−NHNH
2(9)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Zheng et al.(Zheng et al., 2013)に記載されるようにヒドラジドで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで30分間、2回インキュベートし、その後、DCM、およびDCM中50%のDMF(v/v)で洗浄した。この後、樹脂を、DMF中5%のNH
2NH
2(v/v)で30分間、2回インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。第1のアミノ酸のカップリングを、NMPに溶解した1mmolのFmoc−D−Ala−OH、0.9mmolのHATU、2mmolのDIPEAで1時間樹脂をインキュベートすることにより達成した。自動化合成を、FASTmocプロトコルを用い、ABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%のピペリジン(v/v)で7分間、3回行った。ダブルカップリングを、43のアミノ酸のカップリングの後行った。
【0360】
樹脂からのペプチドヒドラジドの切断を、TFA中2.5%のEDT(v/v)、2.5%の水(v/v)、2.5%のTIS(v/v)で、ペプチジル樹脂を2時間インキュベートすることにより達成した。TFAを蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルで沈殿した。ペプチドエステルの逆相HPLC精製を、ACN/水勾配を使用してC18カラムで行った。産物を独占的に含む画分を組み合わせ、凍結乾燥した。
【0361】
最終的な産物を、UPLC(
図37A)および質量分析(
図37B)により特徴付けた。質量分析により決定した分子質量(9843Da)は、計算した質量(9830Da)に従うものであった。
【0362】
14.5 Ac−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPN−SBzl(11)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al.(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−D−Asn(Trt)−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで30分間、2回インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、0.6mmolのFmoc−D−Asn(Trt)−OH、2.4mmolのDIPEAを含む6mlのDCMで90分間インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルでABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分間であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%のピペリジン(v/v)で7分間、3回、行った。ダブルカップリングを、40のアミノ酸のカップリングの後行った。N末端のアセチル化を、DMF中10%の無水酢酸(v/v)および10%のDIPEA(v/v)で、10分間、3回行った。
【0363】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中30%のHFIP(v/v)10mlで、ペプチド樹脂を2時間、2回インキュベートすることにより達成した。ペプチドをろ過した後、溶媒を蒸発させ、残渣を、氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿させた。沈殿したペプチドを単離し、乾燥させた。
【0364】
0.005mmolの完全に保護したペプチド、5当量のPyBOPおよび100当量のベンジルメルカプタンを、6mlのDCMに溶解した。10当量のDIPEAを添加した後、混合物を4時間撹拌した。この後、溶媒を還元し、蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルにより沈殿した。沈殿したペプチドエステルを乾燥させ、その後、保護基を、TFA中2.5%のEDT(v/v)、2.5%の水(v/v)、2.5%のTIS(v/v)を使用して、2時間切断した。TFAを蒸発させた後、ペプチドを氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿した。ペプチドエステルの逆相HPLC精製を、ACN/水勾配を使用してC18カラムで行った。産物を独占的に含む画分を組み合わせ、凍結乾燥した。
【0365】
最終的な産物を、UPLC(
図23)および質量分析(
図24)により特徴づけた。質量分析により決定した産物の分子質量(7848Da)は、計算した質量(7845Da)に従うものであった。
【0366】
14.6 全D−ペプチドリポ CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKL−4−acetamidothiophenylester(7)の合成
0.10mmolのTentaGel−R−Trityl樹脂を、Barlos et al.(Barlos et al., 1989)に記載されるようにFmoc−D−Leu−OHで充填した。よって、0.10mmolの樹脂を、0.6mmolの塩化チオニルで2回、30分間インキュベートし、その後、DCMで洗浄した。この後、樹脂を、0.6mmolのFmoc−D−Leu−OH、2.4mmolのDIPEAを含む6mlのDCMで90分間インキュベートした。その後、樹脂を、DCM中10%のMeOH(v/v)、10%のDIPEA(v/v)の溶液を使用して10分間、3回ブロッキングし、DCMで洗浄した。自動化合成を、FASTmocプロトコルでABI433を使用して行った。10当量のアミノ酸を、NMP中9当量のHATUおよび20当量のDIPEAを使用して活性化した。カップリング時間は45分であり、Fmoc脱保護を、NMP中20%(v/v)のピペリジンで7分間、3回行った。最終的なカップリングステップの後、Fmoc脱保護を実行した。リポタグを、Garcia−Echeverria (Garcia−Echeverria, C. 1995)にしたがって、一晩、NMP中10当量の4−ニトロフェニル−2−(オクタデシルスルホニル)エチルカルボナート、10当量のHOBt、および10当量のDIPEAで樹脂をインキュベートすることにより導入した。この後、樹脂を、NMPおよびDCMで洗浄した。
【0367】
完全に保護したペプチドの酸の切断を、DCM中30%(v/v)のHFIP10mlで2時間、2回ペプチジル樹脂をインキュベートすることにより達成した。ペプチドをろ過した後、溶媒を蒸発させ、残渣を氷冷したジエチルエーテルを使用して沈殿させた。沈殿したペプチドを単離し、乾燥した。
【0368】
0.05mmolのN末端のリポおよび完全に側鎖保護したペプチド4を、DCMに溶解した。5当量のPyBOP、10当量のDIPEA、および30当量の4−アセトアミドチオフェノールを添加した後、混合物を4時間撹拌した。DCMを蒸発させ、ペプチドを沈殿させ、氷冷したジエチルエーテルで洗浄した。側鎖保護基を、TFA中2.5%のEDT(v/v)、2.5%の水(v/v)、2.5%のTIS(v/v)での2時間処理することにより除去した。TFAを蒸発させた後、ペプチドを沈殿し、氷冷したジエチルエーテルで洗浄した。次に、ペプチド―4アセトアミドチオフェニルエステルを、逆相HPLCにより精製し、逆相UPLCおよび質量分析により分析した。理論的な分子量(M
theor=5844)は、ESI−LS−MSにより示されるように観察した分子量(M
obs=5847)に対応する。
【0369】
14.7 ペプチド5とペプチド7の天然の化学的なライゲーションによる全DペプチドH−CDMAKPNGIKVIDDEEVKRLIRELDIADVPGIGNITAEKLKKLGINKLCDTLSIEFDKLKGMIGEAKAKYLISLARDEYNEPIRTRVRKSIGRIVTMKRNSRNLEEIKPYLFRAIEESYYKLDKRIPKAIHVVAVTEDLDIVSRGRTFPHGISKETAYSESVKLLQKILEEDERKIRRIG VRFSKFIEAIGLDKFFDT−NH
2(8)の合成
【0370】
ペプチド5および7の両方を、200mMのメルカプトフェニル酢酸および50mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含むリン酸ナトリウムバッファー(200mM、6MのグアニジンHCl、pH8)で2mMに溶解した。反応混合物を室温により24時間振盪した。その後、混合物を、30分以内に30〜95%のACN(0.1%のTFA)の勾配を使用することによりRP4カラム(Jupiter 5μm,300Å, Phenomenex, ドイツアシャッフェンブルク)で逆相HPLCにより精製した。産物を含む画分を組み合わせ、凍結乾燥した。リポタグの切断を、Garcia−Echeverria(Garcia−Echeverria,C. 1995)にしたがって、TFE中10%のNH
4OHで、一晩、乾燥した産物をインキュベートすることにより達成した。最終的な産物の精製を、上述と同一のHPLC条件を使用して実行した。ライゲーション産物の理論的な分子量(M
theor=22781Da)は、ESI−LC−MSにより示されるように観察した分子量(M
obs=22796Da)に対応する。
【0371】
14.8 ペプチド9とペプチド10の天然の化学的なライゲーションによる全DペプチドAc−MIVLFVDFDYFYAQVEEVLNPSLKGKPVVVCVFSGRFEDSGAVATANYEARKFGVKAGIPIVEAKKILPNCVYLPMRKEVYQQVSSRIMNLLREYSEKIEIASIDEAYLDISDKVRDYREAYNLGLEIKNKILEKEKITVTVGISKNKVFAKIA−NHNH
2(11)の合成
ペプチド10およびペプチド9を、200Mのメルカプトフェニル酢酸および50mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を含むリン酸ナトリウムバッファー(200mM、6MのグアニジンHCl、pH8)に2mMで溶解した。反応混合物を室温で24時間振盪した。HPLC精製を、30分で、C4カラム(Jupiter 5μm,300Å, Phenomenex, ドイツアシャッフェンブルク)および30〜95%のACN(0.1%のTFA)の勾配を使用して実行した。画分を含む産物を組み合わせ、凍結乾燥した。ライゲーション産物の理論的な分子量(M
theor=17641Da)は、ESI−LC−MSにより示されるように観察した分子量(M
obs=17641Da)に対応する。
【0372】
14.9 ペプチド8とペプチド11の天然の化学的なライゲーションによる全DポリペプチドDpo4変異体A71C/A155C/V203Cの合成
ペプチド11のヒドラジドの官能性の酸化、チオエステルへの変換、および天然の化学的なライゲーションを、Zheng et al.(Zheng et al., 2013)により行った。ペプチド11を、リン酸ナトリウムバッファー(200mM、6MのグアニジンHCl、pH3)に2mMで溶解し、−15℃の氷冷槽に置いた。酸化を、NaNO
2を添加することにより行い、50mMの最終濃度を得た。15分後、溶液を、200Mのメルカプトフェニル酢酸および50mMのTCEPを含むリン酸ナトリウムバッファー(200mM、6Mのグアニジン―HCl、pH8)中、ペプチド8の2mMの溶液と混合した。
【0373】
反応混合物を、室温により24時間振盪した。その後、反応混合物をSDS−PAGEおよびESI−LC質量分析により分析した。
【0374】
実施例15 D−アミノ酸からなる合成ポリメラーゼdpo4の活性確認
この実施例は、実施例11、12、13、および14による全−DポリメラーゼDpo4変異体A155C/V203C、A71C/A155C/V203C、およびM76G/A155C/V203Cに対するPCR活性試験を記載する。ここで、全―DポリメラーゼDpo4変異体A71C/A155C/V203Cは、実施例13または14による合成およびライゲーションで産生できる。
驚くべきことに、合成全−DポリメラーゼDpo4変異体A155C/V203C、A71C/A155C/V203C、およびM76G/A155C/V203Cは、余分な再折り畳みを行うことなく活性であり、したがって、さらなる再折り畳み手順なく使用される。プレキャストゲル(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)上でのドデシル硫酸ナトリウム(略称SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(略称PAGE)により、標準的な一連の既知のタンパク質濃度を用い、その後SYPRO−RED染色(Invitrogen,ドイツカールスルーエ)およびBioRad Fxスキャナー機器上での密度バンド分析を行うことによって、タンパク質濃度を推定する。
【0375】
14.1 PCR活性アッセイに対する鋳型
PCR反応に対する鋳型は、83マー1本鎖L−DNAオリゴヌクレオチド(MJ_1_105_LD)であり、そこから、第一の温度サイクルにおいて逆鎖が生成される。その後、両鎖を指数関数的増幅に対する鋳型とする。NOXXONにおいてL−立体配置で鋳型DNAオリゴヌクレオチドおよびDNAプライマーを合成する。
【0376】
PCR活性アッセイに対するオリゴヌクレオチドのリスト:
【表11】
【0377】
14.2 PCR反応
15μLPCR反応は、各0.2mMの4種類のL−dNTP、10nM 83マーssDNA(MJ_1_105_LD)鋳型、1μMのフォワードおよびリバースプライマー、1x ThermoPol緩衝液(Invitrogen、20mMトリス−HCl、10mM KCl、10mM(NH
4)
2SO
4、2mM MgSO
4、0.1%Triton X−100、pH8.8@25℃)および少なくとも0.67ng/μLの全−DポリメラーゼDpo4変異体A155C/V203Cを含有する。フォワードプライマーは、MJ_oligo_187_LDであり、102bpのPCR生成物が得られ、これは83マー鋳型とは区別されるものである。リバースプライマーは、MJ_oligo_189_LDである。L−dNTPは、Rasayan,Inc.(米国カリフォルニア州エンシニータス)によるカスタム合成として購入する。
【0378】
全−DポリメラーゼDpo4変異体A155C/V203Cを省くことによって陰性対照を遂行する。
【0379】
温度サイクリングプログラムは、1サイクル(85℃、3分)、次いで少なくとも7サイクルの(85℃、30秒/56℃、1分/60℃、4分)、次いで4℃で保持からなる。PCR反応物の4μLアリコートを試料ローディング緩衝液と混合し、TBEゲル上で分析する。とりわけ100bpバンドを含有するDNA標準物質ラダーをこのゲルに適用する。
【0380】
14.3 活性確認
全−DポリメラーゼDpo4変異体A155C/V203CおよびL−DNA基質およびL−ヌクレオチドを用いたPCR反応によって、DNA標準物質ラダーと比較した場合に約100bpの範囲となるバンドが得られる。このバンドは、ポリメラーゼがない陰性対照では出現しない。また、この102bpバンドは、83マー鋳型より高く移動する。全−DポリメラーゼDpo4変異体A155C/V203CはL−DNA増幅の出現に依存するので、温度増幅過程での合成全−DポリメラーゼDpo4変異体A155C/V203Cの活性が確認される。
【0381】
実施例15−D−またはL−核酸の合成
標準的な環外アミン保護基とともに(DamhaおよびOgilvie、1993)2’TBDMS DNAホスホラミダイト化学を用いて、ABI394合成装置(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)による固相合成によって、L−DNA核酸またはD−DNA核酸を作製した。DNA合成のために、D−およびL−立体配置のdA(N−Bz)−、dC(N−Ac)−、dG(N−ibu)−およびdTを適用した。ChemGenes,Wilmington,MAから全ホスホルアミダイトを購入した。合成および脱保護後、ゲル電気泳動によってL−DNA核酸またはD−DNA核酸を精製した。
【0382】
参考文献
次のような、本明細書中で引用する書類の完全な文献データは、別段の断りがない場合、それによってその参考文献の開示が参照により本明細書中に組み込まれる。
【表12】
【0383】
本明細書、特許請求の範囲および/または図面中で開示される本発明の特徴は、両者とも個別に、および何らかのそれらの組み合わせで、その様々な形態で本発明を実現するための材料であり得る。