(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硬化性樹脂が、硬化性樹脂の全重量をベースとして16から20重量%のビスフェノールAエポキシ樹脂、及び硬化性樹脂の全重量をベースとして3.6から7.6重量%のビスフェノールFエポキシ樹脂を含む、請求項2に記載のプリプレグ。
硬化性樹脂が、硬化性樹脂の全重量をベースとして16から20重量%のビスフェノールAエポキシ樹脂、及び硬化性樹脂の全重量をベースとして3.6から7.6重量%のビスフェノールFエポキシ樹脂を含む、請求項11に記載のプリプレグを製造する方法。
【背景技術】
【0002】
複合材料は典型的に、2種の主な構成成分として、樹脂マトリックスと強化繊維とから構成される。複合材料は、複合部品の物理的限界及び特性が非常に重要な航空宇宙産業の分野等の要求レベルの高い環境において機能を発揮することを求められることが多い。
予備含浸複合材料(プリプレグ)は、複合部品の製造の際に広く使用される。プリプレグは、典型的に未硬化樹脂と繊維強化材を含む結合体であり、最終的な複合部品に成形及び硬化するのが容易な形態をしている。繊維強化材に樹脂を予備含浸させることにより、製造者は、繊維ネットワーク中に含浸させる樹脂の量と位置を注意深く制御することができ、そして樹脂を、所望のとおり確実にネットワーク中に分配させることができる。複合部品中の繊維と樹脂の相対的な量及び繊維ネットワーク内の樹脂の分布は、部品の構造特性に影響することがよく知られている。プリプレグは、耐荷重又は一次構造部品並びに特に、翼、胴体、隔壁及び操舵面等の航空宇宙機用の一次構造部品を製造する際に使用するための好ましい材料である。これらの部品には、十分な強度、損傷許容性及びこのような部品に日常的に確立されている他の要件が備わっていることが重要である。
【0003】
通常、航空宇宙機用のプリプレグに使用される繊維強化材は、多方向織布又は互いに平行に延びる繊維を含有する一方向テープである。繊維は典型的に、多数の個々の繊維又はフィラメントの束の形態をしており、それは「トウ」(“tow”)と称される。繊維又はトウは、細断されて、そして樹脂中にランダムに配向して、不織マットを形成することもできる。これらの種々の繊維強化材の構造体は、注意深く制御した量の未硬化樹脂と組み合わされる。得られたプリプレグは典型的に、複数の保護層の間に配置され、そして貯蔵又は製造施設への輸送のために巻き取られる。
プリプレグは、ランダムに配向して細断された一方向テープの短いセグメントの形態をして、細断された一方向テープの不織マットを形成することもできる。このタイプのプリプレグは、「準等方性細断」(“quasi−isotropic chopped”)プリプレグと称される。準等方性細断プリプレグは、細断された繊維ではなく、短い長さの細断された一方向テープ(チップ)がマット中でランダムに配向している点を除いて、より伝統的な不織繊維マットプリプレグに類似している。
硬化複合材料の圧縮強度は、強化繊維とマトリクス樹脂の個々の特性、及びこれらの2種類の成分間の相互作用によって殆どが決定される。加えて、繊維−樹脂体積比は、重要なファクターである。複合部品の圧縮強度は、典型的に、乾燥条件下で室温にて測定される。しかし、圧縮強度はまた、通常、湿潤条件下で高められた温度(180°F)にて測定される。多くの部品は、このような高温且つ湿潤条件下では、圧縮強度がかなり低下する。
【0004】
多くの航空宇宙機の用途では、複合部品は、室温/乾燥条件及び高温/湿潤条件両方の下で高い圧縮強度を示すことが望ましい。しかし、より高温/より湿潤な条件下で圧縮強度を一定に保つ試みは、損傷許容性及び層間破壊靭性等の他の所望の特性に悪影響を与える結果となることが多い。
モジュラス(modulus)がより高い樹脂を選択することは、複合体の圧縮強度を高める効果的な方法であり得る。しかし、このような樹脂の選択は、損傷許容性を低下させる傾向があり、これは、圧縮特性、例えば衝撃後の圧縮(CAI)強度の減少により典型的に測定される。従って、圧縮強度と、破壊靭性を含む損傷許容性との両方を同時に高めるのは非常に困難である。
複数層のプリプレグは通常、積層構造を有する複合部品を形成するのに使用される。このような複合部品の層間剥離は、重要な破壊態様である。層間剥離は、2つの層が互いに脱離する場合に生じる。重要な設計制限ファクターには、層間剥離を開始するのに必要なエネルギーとそれが伝播するのに必要なエネルギーの両方が含まれる。層間剥離の開始と成長は、しばしば、モードIとモードIIの破壊靭性を検査することによって決定される。破壊靭性は通常、一方向繊維配向を有する複合材料を使用して測定される。複合材料の層間破壊靭性は、G1c(ダブルカンチレバービーム:Double Cantilever Beam)及びG2c(エンドノッチフレックス:End Notch Flex)試験を使用して定量される。モードIでは、予備亀裂積層破壊は、剥離力により支配され、そしてモードIIでは、亀裂は、せん断力により伝播する。
【0005】
層間破壊靭性を高める簡単な方法は、プリプレグの層間のインターリーフとして熱可塑性シートを導入することによりマトリクス樹脂の延性を高めることであった。しかし、このアプローチには、使用が困難な硬い非粘着性材料を生じる傾向がある。別のアプローチは、繊維層間に約20から50ミクロンの厚みの強靭化樹脂中間層を含ませることであった。強靭化樹脂には、熱可塑性粒子が含まれる。ポリアミドは、このような熱可塑性粒子として使用されてきた。
現在のプリプレグは、強い且つ損傷許容性のある複合部品を供給することを目的として使用するのによく適しているが、更により高いレベルの高温且つ湿潤条件下での圧縮強度、高い損傷許容性(CAI)及び高い層間破壊靭性(G1c及び/又はG2c)を有する複合部品を作成するのに使用することができるプリプレグを提供する継続的な必要性が依然としてある。
本発明により、添付の特許請求の範囲の請求項のいずれか一項に定義したプリプレグ、樹脂マトリクス、材料及び方法が、提供される。
本発明により、成形して、高いレベルの強度、損傷許容性及び層間破壊靭性を有する複合部品を形成することができる予備含浸複合材料(プリプレグ)が、提供される。これは、未硬化プリプレグ又は硬化複合部品の物理的又は化学的特性に実質的な悪影響を引き起こすことなく達成される。
【0006】
本発明の予備含複合材料は、強化繊維とマトリクスから構成される。マトリクスには、1種以上の二官能性エポキシ樹脂と多官能性エポキシ樹脂から成る樹脂成分が含まれる。マトリクスには、更に熱可塑性粒子成分、熱可塑性強靭化剤(toughening agent)及び硬化剤が含まれる。本発明の特徴として、熱可塑性粒子成分は、ポリアミド12(ナイロン12又はPA12)から形成されている熱可塑性粒子及びポリアミド11(ナイロン11又はPA11)から形成されている熱可塑性粒子から構成され、ポテト形状のグラファイトと組み合わされる。
本発明には、プリプレグを作成する方法及びプリプレグを多種多様な複合部品に成形するための方法も含まれる。本発明には、改良されたプリプレグを使用して作成される複合部品も含まれる。
上記のようなポリアミド12熱可塑性粒子及びポリアミド11熱可塑性粒子の混合物、並びにポテト形状のグラファイトを含有するマトリクス樹脂を使用することで、成形により改良された機械特性(特に引張強度及びG1c)を有する複合部品を形成することができるプリプレグが形成されることを見出した。更に、発明者らは、従来系に比べて高レベルの強度、損傷許容性及び層間破壊靭性を見出した。
【0007】
本発明の好ましい実施態様に従い、1種以上の以下の成分の組合せを含む樹脂が、提供される:即ち、樹脂の8から34重量%の範囲、好ましくは樹脂の10から32重量%、より好ましくは樹脂の14から26重量%、及び/又は範囲の組合せのトリグリシジルアミノフェノールの形態のベース樹脂成分;樹脂の20から28重量%、好ましくは樹脂の22から26重量%、より好ましくは樹脂の23から26重量%及び/又は前記範囲の組合せのビス−フェノールエポキシの形態の更なるベース樹脂成分;樹脂の25から35重量%、好ましくは樹脂の27から34重量%、より好ましくは樹脂の28から33重量%及び/又は前記範囲の組合せのテトラ−グリシジルアミンの形態の更なるベース樹脂成分;樹脂の10から25重量%、好ましくは樹脂の12から24重量%、より好ましくは樹脂の14から26重量%及び/又は前記範囲の組合せのポリエーテルスルホンの形態の強靭化剤;樹脂の2から28重量%、好ましくは樹脂の4から32重量%、より好ましくは樹脂の14から26重量%及び/又は前記範囲の組合せのメチル無水物(NMA)又はジアミノジフェニルスルホンの形態の硬化剤の1種以上の組合せを含む樹脂が提供される。
樹脂には、本明細書に記載したようなポリアミドを、樹脂の10から15重量%の範囲で更に含ませることができる。
好ましい例示的な樹脂は、25から35重量%の四官能性エポキシ樹脂;18から28重量%の二官能性エポキシ樹脂;4から18重量%のポリエーテルスルホン(PES);2から10重量%のポリアミド12(PA12)粒子;2から10重量%のポリアミド11(PA11)粒子;1から8重量%のポテト形状のグラファイト(PSG)粒子;及び17.4から27.4重量%の硬化剤から構成される。より好ましい例示的な樹脂は、28から32重量%の四官能性エポキシ樹脂;16から20重量%のビスフェノールAエポキシ樹脂;3.6から7.6重量%のビスフェノールFエポキシ樹脂;7から11重量%のPES;4から8重量%のPA12粒子;4から8重量%のPA11粒子;2から8重量%のPSG粒子;及び20.4から24.4重量%の硬化剤としての4,4’DDSから構成される。
【0008】
好ましい例示的な樹脂は、樹脂の25から35重量%、好ましくは樹脂の10から32重量%、より好ましくは樹脂の14から26重量%及び/又は前記範囲の組合せの四官能性エポキシ樹脂;樹脂の18から28重量%、好ましくは樹脂の22から26重量%、より好ましくは樹脂の23から26重量%及び/又は前記範囲の組合せの二官能性エポキシ樹脂;樹脂の4から18重量%、好ましくは樹脂の5から17重量%、より好ましくは樹脂の6から13重量%及び/又は前記範囲の組合せのポリエーテルスルホン(PES);樹脂をベースとして2から10重量%、好ましくは樹脂をベースとして3から9重量%又は樹脂をベースとして4から8重量%及び/又は前記範囲の組合せのポリアミド12(PA12)粒子;樹脂をベースとして2から10重量%、好ましくは樹脂をベースとして3から9重量%又は樹脂をベースとして4から8重量%及び/又は前記範囲の組合せのポリアミド11(PA11)粒子;1から8重量%、好ましくは2から7重量%又は3から6重量%及び/又は前記範囲の組合せのポテト形状のグラファイト(potato−shaped graphite:PSG)粒子;並びに、樹脂の重量をベースとして17から28重量%の硬化剤、好ましくは樹脂の重量をベースとして18から27重量%の硬化剤及び/又は前記範囲の組合せの硬化剤から構成される。
好ましい樹脂配合物の例は、30.0重量%の四官能性エポキシ樹脂;17.9重量%のビスフェノールAエポキシ樹脂;5.7重量%のビスフェノールFエポキシ樹脂;9.0重量%のPES;6.0重量%のPA12粒子;6.0重量%のPA12粒子;3.0重量%のPSG粒子;及び22.4重量%の4,4’DDSである。この例示的な配合物の場合、MY0721は、好ましい四官能性エポキシ樹脂であり;Epon825(DER332−Dow Chemical.Midland,Mich.)は、好ましいビスフェノールAエポキシであり、GY281(Huntsman Advanced Mterials−Brewster、ニューヨーク)は、好ましいビスフェノールFエポキシ樹脂であり、5003P(住友化学)は好ましいPESであり、SP10L粒子(KOBO Products−South Plainfield,N.J.)は、好ましいPA12粒子であり、そしてRilsanPA11粒子(Arkema、フランス)は好ましいPA11粒子である。
【0009】
別の実施態様では、5から30ミクロンの粒子サイズのポリアミドがこれらの配合物には好ましい。10から20ミクロンの粒子サイズのポリアミドは更により好ましい。
本発明の上記した並びに多くの他の特徴及び付随する利点は、以下の詳細な説明を参照して、より理解されるであろう。
本発明の予備含浸複合材料(プリプレグ)は、高構造強度及び損傷許容性が要求される航空宇宙産業及び他のいずれかの用途における複合部品を形成するのに使用している現在のプリプレグの代替物として使用することができる。本発明には、プリプレグを作成するのに使用している現在の樹脂に代えて、本発明の樹脂配合物に置換えることが含まれる。従って、本発明の樹脂配合物は、従来のプリプレグ製造及び硬化プロセスのいずれにおいても使用するのに好適である。
本発明の予備含浸複合材料は、強化繊維と未硬化樹脂マトリクスから構成される。強化繊維は、プリプレグ産業で使用される従来の繊維構造のいずれであってもよい。マトリクス樹脂には、二官能性エポキシ樹脂及び/又は二より多い官能性を有する多官能性芳香族エポキシ樹脂から成る樹脂成分が含まれる。マトリクス樹脂には、更に熱可塑性粒子成分、熱可塑性強靭化剤及び硬化剤が含まれる。本発明の特徴は、熱可塑性粒子成分がポリアミド12粒子及びポリアミド11粒子の混合物から構成されることである。
【0010】
PA12粒子及びPA11粒子の混合物を含む熱可塑性強靭化エポキシ樹脂により、特に樹脂マトリクス中でポテト形状のグラファイト粒子(PSG)と組合せた場合に、高い層間破壊靭性を有する硬化積層体が提供されることが、発見された。好ましい実施態様では、PA11及びPA12の合計含量は、樹脂の全重量をベースとして8から13重量%の範囲内であり、好ましくは樹脂の全重量をベースとして9から12.5重量%であり、及び/又は前記範囲の組合せである。
別の実施態様では、PA11、PA12及びPSGの合計含量は、樹脂の全重量をベースとして12から18重量%の範囲内であり、好ましくは樹脂の全重量をベースとして13から16重量%であり、そしてより好ましくは樹脂の全重量をベースとして14から16重量%であり、及び/又は前記範囲の組合せである。
マトリクスの樹脂成分を形成するのに使用される二官能性エポキシ樹脂は、任意の好適な二官能性エポキシ樹脂であってもよい。これには、2つのエポキシ官能基を有する任意の好適なエポキシ樹脂が含まれることが理解されるであろう。二官能性エポキシ樹脂は、飽和、不飽和、脂環式(cycloaliphatic)、脂環式(alicyclic)又は複素環式であってもよい。二官能性エポキシは、単独で又は多官能性エポキシ樹脂と組合せて使用して、樹脂成分を形成してもよい。多官能性エポキシのみを含有する樹脂成分も可能である。
【0011】
二官能性エポキシ樹脂には、例えば、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(任意選択で臭素化)のジグリシジルエーテル、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、エピコート(Epikote)、エポン(Epon)、芳香族エポキシ樹脂、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、又はこれらの任意の組合せをベースとするものが含まれる。二官能性エポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、又はこれらの任意の組合せから選択される。最も好ましくは、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルである。ビスフェノールFのジグリシジルエーテルは、Huntsman Advanced Mterials (Brewster、ニューヨーク、)からAralditeGY281及びGY285の商品名で、並びにCiba−Geigy(所在地)からLY9703の商品名で市販されている。二官能性エポキシ樹脂は、単独で又は他の二官能性エポキシ又は多官能性エポキシとの好適な組合せで使用して、樹脂成分を形成することができる。
樹脂成分は、二より多い官能性を有する1種以上のエポキシ樹脂を含むことができる。好ましい多官能性エポキシ樹脂は、三官能性又は四官能性のものである。多官能性エポキシ樹脂は、三官能性と多官能性エポキシの組合せとすることができる。多官能性エポキシ樹脂は、飽和、不飽和、脂環式(cycloaliphatic)、脂環式(alicyclic)又は複素環式とすることができる。
好適な多官能性エポキシ樹脂には、例えば、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、二脂肪族(dialiphatic)ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、二脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂又はこれらの任意の組合せをベースとするものが含まれる。
【0012】
三官能性エポキシ樹脂は、化合物の主鎖にあるフェニル環のパラ又はメタ位に直接又は間接のいずれかで置換された3つのエポキシ基を有するものとして理解されるでろう。四官能性エポキシ樹脂は、化合物の主鎖にあるフェニル環のメタ又はパラ位に直接又は間接のいずれかで置換された4つのエポキシ基を有するものとして理解されるでろう。
フェニル環は、追加的に他の好適な非エポキシ置換基で置換されていてもよい。好適な置換基には、例えば、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、アラルキルオキシル、アラルキル、ハロ、ニトロ、又はシアノラジカルが含まれる。好適な非エポキシ置換基は、フェニル環にパラ又はオルト位にて結合することができ、あるいはエポキシ基によって占有されていないメタ位に結合することができる。好適な四官能性エポキシ樹脂には、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱ガス化学社(日本、東京、千代田区)からTetrad−Xの名称で市販されている。)及びErisys GA−240(CVC Chemicals(Morrestown、ニュージャージー)から)が含まれる。好適な三官能性エポキシ樹脂には、例えば、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、二脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン及びグリシジルエーテル、複素環式グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂又はこれらの任意の組合せをベースとするものが含まれる。
【0013】
例示的な三官能性エポキシ樹脂は、トリグリシジルメタ−アミノフェノールである。トリグリシジルメタ−アミノフェノールは、Huntsman Advanced Materials(Monthey、スイス)からAraldite MY0600の商品名で、そして住友化学株式会社(大阪、日本)からELM−120の商品名で市販されている。別の例示的な三官能性エポキシ樹脂は、トリグリシジルパラ−アミノフェノールである。トリグリシジルパラ−アミノフェノールは、Huntsman Advanced Materials(Monthey、スイス)からAraldite MY0510の商品名で市販されている。
好適な多官能性エポキシ樹脂の追加的な例には、例えばN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(TGDDM、Araldite MY720及びMY721としてHuntsman Advanced Materials(Monthey、スイス)から、又はELM434としてSumitomoから市販されている。)、パラアミノフェノールのトリグリシジルエーテル(Aradite MY0500又はMY0510としてHuntsman Advanced Materialsから市販されている。)、Tactix556(Huntsman Advanced Materialsから市販されている。)等のジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂、トリス−(ヒドロキシルフェニル)、及びTactix742(Huntsman Advanced Materialsから市販されている。)等のメタン系エポキシ樹脂が含まれる。他の好適な多官能性エポキシ樹脂には、DEN438(Dow Chemnicals(Midland Mich.)から)、DEN439(Dow Chemicalsから)、Araldite ECN1273(Huntsman Advanced Materialsから)、及びAraldite ECN1299(Huntsman Advanced Materialsから)が含まれる。
好ましい樹脂成分には、二官能性エポキシ、三官能性エポキシ及び四官能性エポキシが含有される。好ましい樹脂成分では、二官能性エポキシ樹脂は、樹脂マトリクスの全重量をベースとして7重量%から27重量%の範囲で存在する。好ましくは、二官能性エポキシ樹脂は、樹脂マトリクスの全重量をベースとして12重量%から22重量%の範囲で存在する。より好ましくは、二官能性エポキシ樹脂は、樹脂マトリクスの全重量をベースとして15重量%から19重量%の範囲で存在する。三官能性エポキシ樹脂は、樹脂マトリクスの全重量をベースとして15重量%から35重量%の範囲で存在する。好ましくは、三官能性エポキシ樹脂は、樹脂マトリクスの全重量をベースとして20重量%から30重量%の範囲で存在する。より好ましくは、三官能性エポキシ樹脂は、樹脂マトリクスの全重量をベースとして24重量%から28重量%の範囲で存在する。四官能性エポキシ樹脂は、樹脂マトリクスの全重量をベースとして5重量%から15重量%の範囲で存在する。好ましくは、四官能性エポキシ樹脂は、樹脂マトリクスの全重量をベースとして8重量%から12重量%の範囲で存在する。より好ましくは、四官能性エポキシ樹脂は、樹脂マトリクスの全重量をベースとして9重量%から11重量%の範囲で存在する。好ましい樹脂成分において3つのタイプのエポキシ樹脂についての種々の好ましい範囲の量の組合せが可能である。
本発明に従って、プリプレグマトリクスには、ポリアミド12から構成されるポリアミド粒子及びポリアミド11から構成されるポリアミド粒子から成る熱可塑性粒子成分も含まれる。
【0014】
ポリアミド12粒子は、多くの供給源から市販されている。好ましいポリアミド12粒子は、Kobo ProductsからSP10Lの商品名で市販されている。SP10L粒子には、98重量%のPA12が含有されている。粒子サイズ分布は、7ミクロンから13ミクロン、平均粒子サイズは10ミクロンである。粒子密度は、1g/cm
3である。このPA12粒子は、水分含量を除いて、少なくとも95重量%のPA12であると好ましい。
ポリアミド11粒子も、多くの供給源から市販されている。好ましいポリアミド11粒子は、ArkemaからRislan PA11の商品名で市販されている。これらの粒子には、98重量%を超えるPA11が含有され、そして15ミクロンから25ミクロンの粒子サイズ分布である。平均粒子サイズは、20ミクロンである。Rislan PA11粒子の密度は、1g/cm
3である。PA11粒子は、水分含量を除いて、少なくとも95重量%のPA11であると好ましい。
好ましくは、PA12及びPA11の両方のポリアミド粒子は、100ミクロン未満の粒子サイズを有するべきである。その粒子は、5から60ミクロンのサイズ範囲が好ましく、より好ましくは5から30ミクロンである。平均粒子サイズは、5から20ミクロンであると好ましい。粒子は、形が規則的又は非規則的であってもよい。例えば、粒子は、実質的に球形であってもよく、又はそれらは、ギザギザ形の粒子とすることができる。PA11粒子は、PA12粒子より大きい平均粒子サイズを有すると好ましい。好ましくは、PA12の平均粒子サイズは、5から15ミクロンの範囲であり、そしてPA11の平均粒子サイズは、15から25ミクロンの範囲であろう。
【0015】
熱可塑性粒子成分は、マトリクスの全重量をベースとして5重量%から20重量%の範囲で存在する。好ましくは、5から15重量の熱可塑性粒子が存在する。最も好ましくは、マトリクスが、9から13重量%の熱可塑性粒子を含有する。PA12とPA11の粒子の相対的な量は変動してよい。PA12粒子の重量は、好ましくはPA11粒子の重量に等しいか又はそれより大きい。PA12粒子の重量はPA11粒子の重量より大きいと好ましい。PA12粒子:PA11粒子の好ましい重量比は、1.1:1.0から1.5:1.0の範囲である。
「ポテトグラファイト」(“potato graphite”)の用語は、本明細書では、グラファイトの気孔率又は球形度を高めるように処理されたグラファイトを説明するために使用する。この処理は、天然グラファイト(例えば、鱗状グラファイト)又は人工グラファイト(例えば、高結晶合成グラファイト)に対して実施することができる。処理前、グラファイトは、通常、鱗片状(例えば、プレート状)又は比較的結晶化度が高いフレーク状グラファイトである。グラファイトを、粉砕、圧延、摩砕、圧縮、変形等により処理し、グラファイトを曲げ、折り重ね、形状化し、成形等してフレークを略球形にする。この処理により、より多い異方性のフレーク状グラファイトを上回って等方性特性のグラファイトを増加させることができる。ポテト形状のグラファイトは、コーティングされていてもよいし、コーティングされていなくてもよい。これらを、炭素の高導電性層を典型的に堆積する蒸着によってコーティングすることができる。PSG粒子は、平面の結晶構造を示す場合があるが、CVD炭素層を非晶質炭素コーティングとしてこの上に堆積させる。炭素コーティングは、PSGの比抵抗(specific resistivity)を低下させることができる。PSG粒子を、当該技術分野で既知の他のコーティングプロセス、例えばメタライゼーション又はスパッタリングによってコーティングしてもよい。これらは、任意の形態の炭素でコーティングされることができ、又は金属若しくはポリマーでコーティングしてもよい。「ポテト形状のグラファイト」の用語は、以下の例で確認することができるように、当該技術分野では一般的である:「High−Purity Graphite Powders for High Performance」、Giovanni Juri,Henri−Albert Wilhelm及びJean L’Heureux,Timhncal Ltd.スイス,2007年、並びに「Graphite:High−tech Supply Sharpens Up」Penny Crossley,industrial Minerals,2000年。
【0016】
「ポテト形状のグラファイト」の用語は、本明細書では、通常、(このような方法により生産される、別の方法(単数又は複数)により生産される、天然に産出されるもののいずれも)上述の方法によって生産される形状を有するグラファイトを説明するためにも使用される。「ポテト形状のグラファイト」は、一般に、ポテトの形状から略球形までの形状に及ぶ。「ポテト形状のグラファイト」は、通常、細長い、長方形等であり、そして楕円形状、卵形状、矩形形状、偏球形状等を有するグラファイトを含むことができる。「ポテトグラファイト」全体と「ポテトグラファイト」の個々の粒子は両方とも、必ずしも均一な形状ではなく、また必ずしも対称的形状ではない。本明細書で使用するように、「ポテト形状のグラファイト」の用語は、上記の方法によって生産されるグラファイト、及びこのパラグラフで説明したような形状を有するグラファイトを包含することを意図する。
通常、PSGは、以下の2つの特性のうち少なくとも1つを有する:Logan Instrument Corp. Model Tap−2の名称で販売されている装置に関する方法に従って測定した場合、0.3と1.5g/ccの間、好ましくは0.5と1.4g/ccの間、最も好ましくは1と1.3g/ccの間のタップ密度である。更に、Microtac Model X100 Particle Analyzerの名称で販売されている粒子アナライザーに関する方法に従って粒度分析分散(granulometric dispersion)を測定した結果、D90/D10分布比が2と5の間で変動し、そして粒子サイズが1μmと50μmの間であり、好ましくは、D90/D10分布比が2.2と4.2の間で変動し、そして粒子サイズが2μmと30μmの間であり、及び/又は前述の範囲の組合せである。
【0017】
本発明者らは、平均粒子サイズが10から20ミクロン、好ましくは15ミクロンである、日本のNippon Power Graphite Companyにより供給されるコーティングしたPSG粒子が、プリプレグの導電性を高めるのに特に好適であることを見出した。コーティングPSGは通常、未コーティングPSGよりもより硬い表面とより低い比抵抗率を有しており、その抵抗率は未コーティングPSGよりも少なくとも50%低くなり得る。加えて、ドイツのNGS NaturgraphitからのPSG粒子も本発明で使用するのに好適である。更に、上記のものに類似した特性を有する他の供給者の回転楕円状又は略球状のグラファイトも、本発明で使用するのに好適である。
従って、本発明は、繊維強化硬化性樹脂を含むプリプレグであって、ポテト形状のグラファイトを含有するプリプレグを提供する。
更なる実施態様では、本発明は、繊維強化樹脂を含む複合体であって、ポテト形状のグラファイトを含有する複合体を提供する。
更なる実施態様では、本発明は、ポテト形状のグラファイトを含有する硬化性樹脂を含むこのようなプリプレグ又は複合体の生産に有用な樹脂組成物を提供する。
【0018】
ポテト形状のグラファイト(PSG)粒子は、米国特許出願公報第2010/0092808号に記載されており、その内容を参照により本明細書に援用し、そして以下の特性の少なくとも1つを有する:即ち、0.3と1.5g/ccの間のタップ密度、ポテト様形状、及びD90/D10比が2と5の間で変動するような粒度分析分散、及びMicrotac Model X100粒子アナライザーを使用して測定した場合に1と50μmの間のサイズを有する粒子である。破壊繊維が樹脂中間層にもある実施態様では、繊維と粒子の両方が導電性の向上に寄与するので、炭素粒子のサイズ及び形状はそれほど重要ではない。
更に、本発明者らは、破壊繊維(disrupted fibers)を使用することで、所定の導電率の達成に必要とされる導電性粒子の量がより少ないことを見出した。ポテト形状のグラファイトは、比較的軟らかい材料であり、樹脂含浸の間に材料を部分的に崩壊し、加えてその形状と軟性によって、ポテト形状のグラファイト粒子を使用した場合には、樹脂組成物がプリプレグ製造の際に使用するローラーの表面に損傷を与えるという傾向を低減する。球状又は略球状の形状であるPSG粒子は、樹脂に対して最低濃度のPSGで導電性を向上させることができるので好ましい。プリプレグは、0.05から4.5重量%、より好ましくは0.1から3.0重量%、最も好ましくは0.25重量%と1.5重量%の間のポテト形状のグラファイトを含有するのが好ましい。
【0019】
一態様の好適なポテト形状のグラファイト(PSG)は、平均粒子サイズが10から30ミクロンのSG25/99.95SCと呼ばれる、ドイツのNGS Naturgraphitにより供給される製品である。あるいは、平均粒子サイズが10から30ミクロンでGHDR−15−4と呼ばれる、日本のNippon Power Graphite Companyにより供給されるPSGを好ましくは使用することができる。GHDR−15−4は、炭素蒸着によってその外表面上に堆積された炭素コーティングを含む。Timrex等の他の提供者から入手可能な球状又は回転楕円状のグラファイトも好適である。
一実施態様では、本発明の複合体は、樹脂を含浸させた繊維強化材の2つ以上の個別の層を、それらの間のポテト形状のグラファイト粒子を含有する樹脂のインターリーフ層と共に硬化することにより形成することができる。これらの層は好ましくは、一方向性トウを含み、各層のトウは実質的に平行である。2つの層は、一方向性トウが同一平面にあるように、圧縮により連結することができる。1つ以上の追加的な繊維層を、連結層と組み合わせることもできる。
プリプレグマトリクス樹脂には、少なくとも1種の硬化剤が含まれる。好適な硬化剤は、本発明のエポキシ官能性化合物の硬化を促進するものであり、そして特に、このようなエポキシ化合物の開環重合を促進するものである。特に好ましい実施態様では、このような硬化剤には、その開環重合においてエポキシ官能性化合物(単数又は複数)と重合するこれらの化合物が含まれる。2種以上のこのような硬化剤を組合せて使用することができる。
【0020】
好適な硬化剤には、無水物、特にポリカルボン酸無水物、例えばナジック酸無水物(NA)、メチルナジック酸無水物(MNA−Aldrichから入手可能である。)、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA−Anhydrides and Chemicals Inc.(Newark N.J.)から入手可能である。)、メチルテトラヒドロフタル酸無水物(MTHPA−Anhydrides and Chemicals Inc.から入手可能である。)、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA−Anhydrides and Chemicals Inc.から入手可能である。)、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサクロロエンドメチレン−テトラヒドロフタル酸無水物(クロレンド酸無水物−Velsicol Chemical Corporation(ローズモント、イリノイ州)から入手可能である。)、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物、無水マレイン酸(MA−Aldrichから入手可能である。)、無水コハク酸(SA)、ノネニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物(DDSA−Anhydrides and Chemicals Inc.から入手可能である。)、ポリセバシン酸ポリ無水物、及びポリアゼライン酸ポリ無水物が含まれる。
更に、好適な硬化剤は、芳香族アミン、例えば、1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、及びポリアミノスルホン、例えば4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(4,4'−DDS、Huntsmanから入手可能である。)、4−アミノフェニルスルホン、及び3,3'−ジアミノジフェニルスルホン(3,3'−DDS)を含むアミンである。更に、好適な硬化剤には、ポリオール、例えば、エチレングリコール(EG、Aldrichから入手可能である。)、ポリプロピレングリコール、及びポリビニルアルコール、並びにフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、例えば平均分子量が約550から650のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、平均分子量が約600から700のp−t−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、及び平均分子量が約1200から1400のp−n−オクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が含まれていてよく、これらは、それぞれHRJ2210、HRL−2255、及びSP−1068としてSchenectady Chemicals Inc.(Schenectady N.Y.)から入手可能である。更に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂について、CTUグアナミン及び分子量が398のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂の組合せ(CG−125としてAjinomoto USA Inc.(Teaneck N.J.)から市販されている)も好適である。
【0021】
種々の市販の組成物を本発明の硬化剤として使用することができる。このような組成物の一つは、AH−154、即ちジシアンジアミド型配合物であり、Ajinomoto USA Inc.から入手可能である。好適な他のものには、Ancamide400(これはポリアミド、ジエチルトリアミン及びトリエチレンテトラアミンの混合物である。)、Ancamide506(これはアミドアミン、イミダゾリン、及びテトラエチレンペンタアミンの混合物である。)、及びAncamide1284(これは4,4’−メチレンジアニリン及び1,3−ベンゼンジアミンの混合物である。)が含まれ、これらの配合物は、Pacific Anchor Chemical,Performance Chemical Division,Air Products and Chemicals,Inc.(Allentown、Pa)から入手可能である。
追加的な好適な硬化剤には、Sigma Aldrich(St.Louis,Mo.)から入手可能なイミダゾール(1,3−ジアザ−2,4−シクロペンタジエン)、Sigma Aldrichから入手可能な2−エチル−4−メチルイミダゾール、及び、Air Products&Chemicals, Inc.から入手可能なAnchor 1170等の三フッ化ホウ素アミン錯体が含まれる。
更に追加的な好適な硬化剤には、3,9−ビス(3−アミノプロピル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(これはATUとしてAjinomoto USA Inc.から市販されている。)、そして脂肪族ジヒドラジド(これは、Ajicure UDHとして、同じくAjinomoto USA Inc.から市販されている。)、そしてメルカプト−末端ポリスルフィド(これは、LP540としてMorton International Inc.(シカゴ、イリノイ州)から市販されている。)が含まれる。
硬化剤(単数又は複数)は、適切な温度でマトリクスが硬化するように選択される。マトリクスを適切に硬化するのに必要な硬化剤の量は、硬化される樹脂のタイプ、必要な硬化温度及び硬化時間を含む多数のファクターに依存して変わるであろう。硬化剤には典型的に、シアノグアニジン、芳香族及び脂肪族アミン、酸無水物、ルイス酸、置換尿素、イミダゾール及びヒドラジンも含まれていてよい。各特定の状況に必要な硬化剤の特定の量は、十分に確立された日常的な実験により決定することができる。
【0022】
例示的な好ましい硬化剤には、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDS)及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)が含まれ、両方ともHuntsmanから市販されている。
硬化剤は、未硬化マトリクスの10重量%から30重量%の範囲の量で存在する。好ましくは、硬化剤は、15重量%から25重量%の範囲の量で存在する。より好ましくは、硬化剤は、未硬化マトリクスの18重量%から24重量%の範囲で存在する。
3,3’−DDSは、特に好ましい硬化剤である。これは、19重量%から23重量%の範囲の量で単独の硬化剤として使用するのが好ましい。少量(2重量%未満)の他の硬化剤、例えば4,4’−DDSを、必要に応じて、含むことができる。
本発明のマトリクスには、熱可塑性強靭化剤も含まれる。任意の好適な熱可塑性ポリマーを、強靭化剤として使用することができる。典型的には、熱可塑性ポリマーは、樹脂混合物に、硬化剤の添加前に加熱により樹脂混合物中に溶解する粒子として添加される。熱可塑性剤が実質的に高温マトリクス樹脂前駆体(即ち、エポキシ樹脂のブレンド)中に溶解すると、前駆体は冷却され、そして残りの成分(硬化剤と不溶性熱可塑性粒子)が添加される。
例示的な熱可塑性強靭化剤/粒子には、以下の熱可塑性物質のいずれかが単独又は組合せのいずれかで含まれる:即ち、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、高性能炭化水素ポリマー、エラストマー、及びセグメント化したエラストマーである。
【0023】
強靭化剤は、未硬化樹脂マトリクスの全重量をベースとして、5重量%から26重量%の範囲で存在する。強靭化剤は、好ましくは8重量%から23重量%の範囲で存在する。より好ましくは、強靭化剤は、13重量%から18重量%の範囲で存在する。好適な強靭化剤は、例えば、Sumikaexcel 5003Pの商品名で販売されている粒状ポリエーテルスルホン(PES)であり、これは、Sumitomo Chemicalsから市販されている。5003Pの代替物としては、Solvay ポリエーテルスルホン105RP、又は非ヒドロキシル末端等級、例えばSolvay 1054Pがある。高密度PES粒子は強靭化剤として使用することができる。PESの形態は、PESが樹脂形成の間に溶解するので、特に重要ではない。高密度PES粒子は、米国特許第4,945,154号の教示に従って作成することができ、この内容を、参照により本明細書に援用する。高密度PES粒子は、Hexcel Corporation(Dublin,Calif.)からもHRI−1の商品名で市販されている。強靭化剤の平均粒子サイズは、マトリクス中でPESの完全な溶解を促進し且つ確実にするために、100ミクロン未満であるべきである。
マトリクスは、プリプレグの粘着性及び外形又は硬化複合部品の強度及び損傷許容性に悪影響を与えない限りは、追加的な成分、例えば性能向上剤又は改変剤及び追加的な熱可塑性ポリマーを含んでいてよい。性能向上剤又は改変剤は、例えば可撓性付与剤、非粒子状の強靭化剤、促進剤、コアシェルゴム、難燃剤、湿潤剤、顔料/染料、UV吸収剤、抗真菌化合物、充填剤、導電性粒子、及び粘度調整剤から選択することができる。
【0024】
好適な促進剤は、通常使用されてきたウロン(urone)化合物のいずれかである。促進剤の特定の例には、N,N−ジメチル,N’−3,4−ジクロロフェニル尿素(Diuron)、N’−3−クロロフェニル尿素(Monuron)、及び好ましくは、N,N−(4−メチル−m−フェニレンビス[N’,N’−ジメチル尿素](例えば、Degussaから入手可能なDyhard UR500)が含まれ、単独でも組合せても使用することができる。
好適な充填剤には、例えば単独又は組合せのいずれかで以下のいずれかが含まれる:即ち、シリカ、アルミナ、チタニア、ガラス、炭酸カルシウム及び酸化カルシウムである。
好適な導電性粒子には、例えば単独又は組合せのいずれかで以下のいずれかが含まれる:即ち、銀、金、銅、アルミニウム、ニッケル、炭素の導電性等級、バックミンスターフラーレン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーである。金属コーティング充填剤も使用することができ、例えば、ニッケルコーティング炭素粒子及び銀コーティング銅粒子である。
マトリクスは、少量(5重量%未満)の追加的な非エポキシ熱硬化性重合体樹脂を含んでよい。いったん硬化すると、熱硬化性樹脂は、溶融及び再成形には適さない。本発明の好適な非エポキシ熱硬化性樹脂材料には、非限定的に、フェノールホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン)、ビスマレイミドの樹脂群、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、シアン酸エステル樹脂、エポキシドポリマー、又はこれらの任意の組合せが含まれる。熱硬化性樹脂は、好ましくはエポキシド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ベンゾオキサジン及びフェノール樹脂から選択される。必要に応じて、マトリクスには、更に好適なフェノール性基含有樹脂、例えばレゾルシノール系樹脂、及びカチオン性重合により形成される樹脂、例えばDCPD−フェノールコポリマーが含まれる。更に追加的な好適な樹脂は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0025】
樹脂マトリクスは、標準的なプリプレグマトリクス処理に従って作成される。一般に、種々のエポキシ樹脂は、室温で一緒に混合されて、樹脂混合物を形成し、これに熱可塑性強靭化剤が添加される。その後、この混合物を、約120℃に約1から2時間加熱して、熱可塑性強靭化剤を溶解する。その後、混合物を約80℃に冷却し、そして成分の残り(熱可塑性粒子成分、硬化剤、及び(存在するならば)他の添加剤)を、樹脂に混合して、最終的なマトリクス樹脂を形成し、これを繊維強化材に含浸させる。
マトリクス樹脂は、既知のプリプレグ製造技術のいずれかに従って、繊維強化材に適用される。繊維強化材に、十分に又は部分的にマトリクス樹脂を含浸させることができる。別の実施態様では、マトリクス樹脂は、繊維強化材の近傍にあり且つ接触した別の層として繊維強化材に適用することができるが、実質的に繊維強化材に含浸されない。プリプレグは、典型的に保護フィルムで両側をカバーされ、早期硬化を回避するために、典型的に室温より十分に低く維持した温度で、貯蔵及び輸送のためにロールアップされる。必要であれば、他のプリプレグ製造プロセス及び貯蔵/輸送システムのいずれかを使用することができる。
【0026】
プリプレグの繊維強化材は、合成若しくは天然の繊維又はこれらの組合せを含むハイブリッド又は混合繊維系から選択することができる。繊維強化材は、好ましくは繊維ガラス、炭素又はアラミド(芳香族ポリアミド)繊維等の任意の好適な材料から選択することができる。繊維強化材は、好ましくは炭素繊維である。好ましい炭素繊維は、3,000から15,000の炭素フィラメント(3Kから15K)を含有するトウ(tows)の形態である。6,000又は12,000の炭素フィラメント(6K又は12K)を含有する市販の炭素繊維トウが好ましい。
本発明の樹脂配合物は、炭素トウが10,000から14,000のフィラメントを含有し、引張強度が750から860ksiであり、引張モジュラスが35から45Msiであり、破断歪みが1.5から2.5%であり、密度が1.6から2.0g/cm
3であり、そして長さ当たりの重量が0.2から0.6g/mである場合、高いGlc値(3.0より高い)を有する積層体を提供する際に特に効果的である。6K及び12KのIM7炭素トウ(Hexcel Corporationから入手可能である。)が好ましい。IM7 12K繊維は、引張強度が820ksiであり、引張モジュラスが40Msiであり、破断歪みが1.9%であり、密度が1.78g/cm
3であり、そして長さ当たりの重量が0.45g/mである。IM7 6K繊維は、引張強度が800ksiであり、引張モジュラスが40Msiであり、破断歪みが1.9%であり、密度が1.78g/cm
3であり、そして長さ当たりの重量が0.22g/mである。
繊維強化材には、亀裂のある(即ち、ストレッチ破断した)若しくは選択的に不連続な繊維、又は連続した繊維が含まれてもよい。亀裂のある又は選択的に不連続な繊維を使用することにより、完全に硬化する前に複合材料のレイアップ(lay−up)を促進し、成形性を改良することができると想定される。繊維強化材は、織布、非捲縮、不織布、一方向、又は多軸織物構造形態、例えば準等方細断プリプレグであってよい。織布形態は、平織り、サテン、又は綾織スタイルから選択することができる。非捲縮及び多軸形態は、多くの積層(plies)及び繊維配向を有することができる。このようなスタイル及び形態は、複合体強化材分野でよく知られており、そしてHexcel Reinforcements(Villeurbanne、フランス)を含む多くの会社から市販されている。
【0027】
プリプレグは、連続的なテープ、トウプレグ、ウェブ、又は細断された長さ(細断及びスリット作業は、含浸後任意の時点で行うことができる)の形態であってよい。プリプレグは、接着性又は表面フィルムとすることができ、そして追加的に織布、編物及び不織布の両方の種々の形態のキャリアを埋設することができる。プリプレグは、例えば硬化の間に空気の除去を促進するために、完全に又は部分的にのみ含浸させてよい。
例示的な好ましいマトリクス樹脂には、15重量%から19重量%のビスフェノールFジグリシジルエーテル(GY285);24重量%から28重量%のトリグリシジル−m−アミノフェノール(MY0600);8重量%から13重量%の四官能性エポキシ(MY721);強靭化剤として13重量%から18重量%のポリエーテルスルホン(5003P);4重量%から9重量%のポリアミド12粒子(SP10L);2重量%から7重量%のポリアミド11粒子(RislanPA11)(ここでポリアミド12粒子:ポリアミド11粒子の重量比は、1.2:1.0から1.4:1.0である);及び、硬化剤として18重量%から23重量%の3,3’−DDSが含まれる。
プリプレグは、複合部品を形成するのに使用される標準的な技術のいずれかを使用して、成形することができる。典型的に、1つ以上のプリプレグの層を、好適なモールド中に配置し、そして硬化して最終的な複合部品を形成する。本発明のプリプレグは、当該技術分野で既知の任意の好適な温度、圧力、及び時間の条件を使用して完全に又は部分的に硬化させることができる。典型的に、プリプレグは、160℃と190℃の間の温度のオートクレーブ中で硬化される。複合材料は、マイクロ波放射、電子ビーム、ガンマ放射、又は他の好適な熱又は非熱放射から選択される方法を使用して硬化させることができる。
【0028】
本発明のプリプレグは、その樹脂含量、並びに/或いはその繊維容量及び樹脂容量、並びに/或いは水分吸収試験により測定したその含浸の程度によって特性決定することができる。
未硬化のプリプレグ又は複合体の樹脂及び繊維の含量は、一方向性炭素を含まない繊維材料を含有する成形材料又は構造体について、ISO 11667(方法A)に従って決定される。一方向性炭素繊維材料を含有する未硬化のプリプレグ又は複合体の樹脂及び繊維の含量は、DIN EN 2559A(コードA)に従って決定される。炭素繊維材料を含有する硬化複合体の樹脂及び繊維の含量は、DIN EN 2564Aに従って決定される。
プリプレグ又は複合体の繊維及び樹脂の容量%は、繊維と樹脂の重量%から、樹脂及び炭素繊維のそれぞれの密度でその重量%を割ることによって決定することができる。
樹脂を含浸させたトウ又は繊維材料の含浸率(%)は、水分吸収試験によって測定される。
【0029】
水分吸収試験は、以下のようにして行われる。プリプレグの6つの細片を100(+/−2)mm×100(+/−2)mmのサイズにカットする。すべての裏材シート材料を除く。試料を略0.001gに秤量する(W1)。15mmのプリプレグ細片がPTFE裏当てプレートアセンブリの一端から突き出て、それによりプリプレグの繊維配向がその突出部分に沿って伸びるように、細片をPTFE裏当てアルミニウムプレートの間に配置する。クランプを反対の末端に置き、5mmの突出部分を、相対空気湿度50%+/−35%、及び周囲温度23℃で、温度23℃の水に浸漬する。5分間浸漬した後、試料を水から取り出し、外側のすべての水を吸い取り紙で除去する。次いで、試料を再び秤量する(W2)。次いで、水分吸収率WPU(%)を、次式のように6つの試料について測定した重量を平均することによって計算する:WPU(%)=[(<W2>−<W1>)/<W1>)×100。WPU(%)は、樹脂の含浸の程度(DRI)を示す。
通常、本発明の未硬化プリプレグに関する樹脂の重量含量の値は、プリプレグの15から70重量%まで、プリプレグの18から68重量%まで、プリプレグの20から65重量%まで、プリプレグの25から60重量%まで、プリプレグの25から55重量%まで、プリプレグの25から50重量%まで、プリプレグの25から45重量%まで、プリプレグの25から40重量%まで、プリプレグの25から35重量%まで、プリプレグの25から30重量%まで、プリプレグの30から55重量%まで、プリプレグの32から35重量%まで、プリプレグの35から50重量%までの範囲、及び/又は前述の範囲の組合せである。
【0030】
通常、本発明の未硬化プリプレグに関する樹脂の容量含量の値は、プリプレグの15から70容量%まで、プリプレグの18から68容量%まで、プリプレグの20から65容量%まで、プリプレグの25から60容量%まで、プリプレグの25から55容量%まで、プリプレグの25から50容量%まで、プリプレグの25から45容量%まで、プリプレグの25から40容量%まで、プリプレグの25から35容量%まで、プリプレグの25から30容量%まで、プリプレグの30から55容量%まで、プリプレグの35から50容量%までの範囲、及び/又は前述の範囲の組合せである。
本発明の未硬化プリプレグ成形材料及びトウに関する水分吸収値は、1から90%まで、5から85%まで、10から80%まで、15から75%まで、15から70%まで、15から60%まで、15から50%まで、15から40%まで、15から35%まで、15から30%まで、20から30%まで、25から30%までの範囲、及び/又は前述の範囲の組合せであってもよい。更なる実施態様において、本発明は、液状樹脂を完全に含浸させた一方向性繊維トウの1つの層を、乾燥未含浸の一方向性繊維トウの1つの層上に重ねて構造体を得、次いで、この未含浸トウ間の空間に樹脂が浸透するがトウ内のフィラメント間の空間は少なくとも部分的に未含浸のままであるように、前記の構造体を圧密化(consolidate)する方法を提供する。支持織布又は支持スクリムは、好ましくは圧密化の前に、構造の一側面又は両面上に供給することができる。
【0031】
好ましい実施形態において、トウの内部は、少なくとも部分的に樹脂を含まず、空気を排出する経路又は構造を提供し、その結果、最初からトウ中に存在し得る空気又は液状樹脂による含浸中に導入され得る空気は、樹脂により構造内部に閉じ込められず、プリプレグの製造及び圧密化中に排出され得る。樹脂による含浸で、繊維層の第2の側面の一部又は全部の表面に樹脂が担持されていないような場合、空気は、トウの長さに沿って、また繊維層の第2の側面から排出され得る。特には、加えて、プリプレグの一面が樹脂で完全に被覆されていない場合に、積層体の形成中にプリプレグの間に閉じ込められた空気が、トウのフィラメント間に空間を提供することによって排出され得る。
本発明のプリプレグは、通常、利用可能なエポキシ樹脂から生産することができ、これは、硬化剤(hardener又はcuring agent)を含有し、任意選択で促進剤を含有していていてもよい。好ましい実施形態において、エポキシ樹脂は、従来の硬化剤、例えば、ジシアンジアミド等は含まず、また特に、本発明者らは、望ましいプリプレグが、無水物、特にポリカルボン酸無水物;アミン、特に芳香族アミン、例えば1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、特にスルホン及びメチレンビスアニリン、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’DDS)及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’DDS)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−6−イソプロピルアニリン)(M−MIPA)、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン)(M−CDEA)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチレンアニリン)(M−DEA)、及びフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、並びに/或いは前述の硬化剤の組合せ等の硬化剤の使用によって得ることができることを見出した。好ましい硬化剤は、メチレンビスアニリン及びアミノスルホン、特に4,4’DDS及び3,3’DDSである。使用されるべき硬化剤及びエポキシ樹脂の相対量は、樹脂の反応性、所望する保存期間、所望する処理特性、並びにプリプレグ中の繊維強化材の性質及び量に依存する。
【0032】
実質的に一定な機械的特性を有する複合体を生産するためには、構造繊維及びエポキシ樹脂を混合し、実質的に均質なプリプレグを提供することが重要である。本発明の好ましいプリプレグは、トウの間に低レベルの空隙を含有する。従って、プリプレグ及びプリプレグ積層体はそれぞれ、6%未満又は2%未満、さらに好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満の水分吸収値を有するのが好ましい。水分吸収試験は、本発明のプリプレグの一方向性トウ間の防水処理又は含浸の程度を決定する。この試験において、プリプレグ材の試験片は、まず秤量され、幅5mmの細片が突出するような方法で2つのプレート間に留める。この配置物を、5分間室温(21℃)で、ウォーターバス中、繊維方向に浮遊させる。次いで、試験片をプレートから取り除き、再び秤量し、その重量差が試験片内の含浸の程度についての値を与える。水分吸収量が小さくなるほど、防水処理又は含浸の程度は高くなる。
本発明の改良されたプリプレグから作成される複合部品は、航空宇宙機の多数の一次構造物及び二次構造物(翼、胴体、隔壁など)等の物品を作成する際に用途が見出されるであろうが、高圧縮強度、層間破壊靭性及び衝撃損傷耐性が必要とされる自動車、鉄道及び海洋船舶の用途を含む多くの他の高性能複合体の用途においても有用であろう。
次に、本発明をより容易に理解するため、以下の背景情報及び本発明の諸例が参考になるであろう。
【実施例】
【0033】
例1
好ましい例示的な樹脂配合物を、表1に示すように調製した。室温にてエポキシ成分とポリエーテルスルホンとを混合して、樹脂ブレンドを形成し、これを120℃にて60分間加熱し、ポリエーテルスルホンを完全に溶解することにより、マトリクス樹脂を調製した。この混合物を80℃に冷却し、そして成分の残りを添加し、そして完全に混合した。
【表1】
プリプレグを、一方向炭素繊維の1以上の層に表1の樹脂配合物を含浸させることにより調製した。一方向炭素繊維(Hexcel Corporationから入手可能な12K IM7)を使用して、プリプレグを作成したが、ここでマトリクス樹脂は、未硬化プリプレグの全重量の35重量パーセントになり、繊維目付は、1平方メートル当たり145グラム(gsm)となった。種々のプリプレグのレイアップを、標準的なプリプレグ製造手順を使用して調製した。プリプレグを177℃のオートクレーブ中で約2時間硬化した。その後、硬化プリプレグを標準的な試験に供して、損傷に対する許容性(CAI)及び層間破壊靭性(G1c及びG2c)を測定した。
【0034】
衝撃後圧縮強度(Compression after Impact:CAI)を、32プライの準等方性積層体に対して270インチ−ポンド(in−lb)の衝撃を使用して測定した。積層体を、177℃で2時間オートクレーブ中で硬化した。最終的な積層体の厚みは、約4.5mmであった。圧密化はc−スキャンによって確認した。試料を、BMS8−276についてのBoeing試験法BSS7260に従って、機械加工し、衝撃を与え、そして試験した。それらの値を、公称0.18インチの硬化積層体厚みに正規化した。
G1c及びG2cは、硬化積層体の層間破壊靭性を測定する標準的な試験である。G1c及びG2cは、以下のように測定した。26−プライの一方向積層体を、レイアップの中間面で、一つの端部に沿って、繊維方向に対して垂直に挿入した亀裂スターターとして作用する3インチのフルオロエチレンポリマー(FEP)フィルムと共に硬化した。積層体を2時間177℃でオートクレーブ中にて硬化し、3.8mmの公称厚みを得た。圧密度をC−スキャンによって確認した。G1c及びG2cの両方のサンプルを、同じ硬化積層体から機械加工した。G1cを、Boeing試験法BSS7233に従って試験し、そしてG2cをBSS7320に従って試験した。G1c及びG2cの値は正規化しなかった。
乾燥条件下の室温における0°圧縮強度をBSS7260に従って測定した。湿潤条件下の180°Fにおける0°圧縮強度もBSS7260に従って測定した。
硬化プリプレグのCAIは、54.7であり、G1c及びG2cは、それぞれ3.6と10.4であった。CAI及びG2cは、両方とも構造部品についての許容限界を十分に超えている。しかし、3.6のG1cは、非常に高く、予期しなかった。3.0以上のG1c値は、層間破壊靭性について非常に高い値であると考えられ、それらは、引張強度を含む他の機械特性と共に本出願の関係で望まれる値である。乾燥条件下の室温における0°圧縮強度は293であり、そして湿潤条件下の180°Fにおける0°圧縮強度は、188であった。
【0035】
例2
別のプリプレグを、例1と同じ方法で調製した。プリプレグは、繊維強化材が12K IM10であることを除いて、例1と同じであった。IM10は、一方向炭素繊維材料であり、Hexcel Corporation(Dublin、Calif.)からも入手可能である。IM10 12K繊維は、引張強度が1010ksiであり、引張モジュラスが45Msiであり、破壊歪みが2.0%であり、密度が1.79g/cm
3であり、そして長さ当たりの重量が0.32g/mである。
プリプレグには、未硬化プリプレグの全重量の35重量パーセントの量でマトリクス樹脂が含まれ、そしてIM10繊維の繊維目付は、145グラム/平方メートル(gsm)であった。
32−プライ及び26−プライの積層体を硬化し、そして例1と同じ方法で試験した。硬化プリプレグのCAIは54.4であり、G1c及びG2cは、それぞれ2.1と9.1であった。CAI、G1c及びG2cは全て、構造部品についての許容限界を超えている。繊維がIM7炭素繊維である例1のプリプレグの方が、G1cがかなり高いので好ましい。乾燥条件下の室温における0°圧縮強度は271であり、そして湿潤条件下の180°Fにおける0°圧縮強度は193であった。
【0036】
例3〜例5
3つの他のプリプレグを、PA12粒子及びPA11粒子の量を変えたことを除いて、例2と同じ方法で調製した。マトリクス配合物を表2に示す。プリプレグには、未硬化プリプレグの全重量の35重量パーセントの量でマトリクス樹脂が含まれ、そして12K IM10繊維の繊維目付は、1平方メートル当たり145グラム(gsm)であった。
【表2】
硬化したプリプレグを、例1と同じ試験手順に供した。その結果を表3に示す。
【表3】
圧縮強度、CAI、G1c、及びG2cは全て、構造部品についての許容限界を超えている。PA12粒子とPA11粒子の量は、G1c及びG2cの両方の層間破壊靭性を最大にするために、全樹脂重量の5から20重量%であると好ましい。更に、PA12粒子の重量が、PA11粒子の重量より大きいと好ましい。好ましい比は1.1:1から1.5:1である。
【0037】
例6
プリプレグを、例1と同じ方法で調製し、そして硬化した。マトリクス配合物には、Arkema(フランス)からOrgasol 1002及びOrgasol 3803の商品名で市販されているポリアミド粒子が含有されていた。Orgasol 1002は、20ミクロンの平均粒子サイズを有する100%のPA6粒子から構成される。Orgasol 3803は、80%のPA12と20%のPA6のコポリマーであり、平均粒子サイズが17から24ミクロンである粒子から構成される。プリプレグを例1と同じIM7炭素繊維を使用して調製した。プリプレグは、35重量%の樹脂を含有し、そして145gsmの繊維目付を有した。プリプレグに使用した配合を表4に示す。
【表4】
硬化したプリプレグを、例1と同じ方法で試験した。CAIは、57.9であり、そしてG1c及びG2cは、それぞれ2.1と7.3であった。乾燥条件下の室温における0°圧縮強度は、269であり、湿潤条件下の180°Fにおける0°圧縮強度は、160であった。硬化した比較プリプレグのG1cは、本発明に従ってエポキシ樹脂を使用して作成した例1の硬化プリプレグのG1c値よりかなり低かったが、それには、樹脂マトリクスの全重量をベースとして全量で11重量%のSP10Lポリアミド12粒子とRislanポリアミド粒子が含まれ、そしてSP10L粒子:RislanPA11粒子の比は1.3:1である。
【0038】
例7〜例9
プリプレグ(比較例2から比較例4)を、12K IM10繊維を使用して、例2と同じ方法で調製した。比較マトリクス用の配合物を表5に示す。RislanPA11粒子は、ポリアミド11で形成されており、Arkemaから市販されている。RislanPA11粒子は平均粒子サイズが20ミクロンであった。
【表5】
硬化プリプレグを、例1と同じ試験手順に供した。その結果を表6に示す。
【表6】
例7は、繊維支持体が、12K IM7炭素繊維の替わりに12K IM10炭素繊維であることを除いて、例6と同じである。両方の比較例は、同等の層間破棄靭性(それぞれ2.2と2.1)を有している。これは、熱可塑性粒子が全てPA12から形成されている場合に、繊維の種類が、G1cに殆ど影響を与えないことを意味する。従って、例1及び2による樹脂マトリクスを用いたとき、12K IM10炭素繊維から12K IM7炭素繊維へと同様に変更した場合に、層間破棄靭性が2.1から3.6に増加することは予期し得ない結果である。
例8及び例9は、許容可能な層間破壊靭性を有する。しかし、CAI値は50未満であった。これは、本発明に従う樹脂配合物を使用して得たCAI値よりも非常に低い。
【0039】
例10
プリプレグを、例1と同じ方法で調製し且つ硬化した。マトリクス配合物には、Arkema(フランス)からRislan11の形態で商業的に得られるPA11ポリアミド粒子及びKOBOからSP10Lの名称で得られるPA12が含有されていた。PSGはSG25/99.95である。プリプレグを例1と同じIM7炭素繊維を使用して調製した。プリプレグには35重量%の樹脂が含有され、そして繊維目付は145gsmであった。プリプレグP1とP2に使用した配合を表7及び8にそれぞれ記載する。
【表7】
【表8】
硬化プリプレグを例1と同じ方法で試験した。P1とP2のG1cは、それぞれ2.9と3.2であった。乾燥条件下の室温における0°の引張強度(正規化)は、それぞれ379Ksiと393Ksiであった(PSG含有プリプレグの引張強度が増加した)一方で、そのモジュラスは同じままであった。
このように説明してきた本発明の例示的な実施態様から、当業者は、開示範囲内のことは、単なる例示であり、且つ種々の他の代替、適合及び改変が本発明の範囲内で可能であることに留意すべきである。従って、本発明は上記の実施態様に限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
このように、プリプレグ、及び引張強度と共にG1c性能が向上した樹脂マトリクスを開示する。
なお、本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおり要約される。
[態様1]
繊維強化材並びに硬化性樹脂を含むプリプレグであって、
この硬化性樹脂が、
硬化性樹脂の全重量をベースとして25から35重量%の四官能性エポキシ樹脂、
硬化性樹脂の全重量をベースとして18から28重量%の二官能性エポキシ樹脂、
硬化性樹脂の全重量をベースとして4から18重量%のポリエーテルスルホン、
硬化性樹脂の全重量をベースとして2から10重量%のポリアミド12粒子、
硬化性樹脂の全重量をベースとして2から10重量%のポリアミド11粒子、
硬化性樹脂の全重量をベースとして1から8重量%のポテト形状のグラファイト粒子、及び
硬化性樹脂の全重量をベースとして17.4から27.4重量%の硬化性樹脂用の硬化剤を含む、プリプレグ。
[態様2]
二官能性エポキシ樹脂が、ビスフェノールAエポキシ樹脂及びビスフェノールFエポキシ樹脂の混合物である、上記態様1に記載のプリプレグ。
[態様3]
硬化性樹脂が、硬化性樹脂の全重量をベースとして16から20重量%のビスフェノールAエポキシ樹脂、及び硬化性樹脂の全重量をベースとして3.6から7.6重量%のビスフェノールFエポキシ樹脂を含む、上記態様2に記載のプリプレグ。
[態様4]
ポリアミド12粒子の量が、ポリアミド11粒子の量に等しい、上記態様1に記載のプリプレグ。
[態様5]
ポリアミド12粒子の量が、硬化性樹脂の全重量をベースとして6重量%である、上記態様4に記載のプリプレグ。
[態様6]
繊維強化材が、炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維からなる群から選択される繊維を含む、上記態様1に記載のプリプレグ。
[態様7]
硬化性樹脂が、硬化プリプレグを与えるように硬化されている、上記態様1に記載のプリプレグを含む複合材料。
[態様8]
硬化プリプレグが、航空機の構成要素である、上記態様7に記載の複合材料。
[態様9]
航空機の構成要素が、胴体である、上記態様8に記載の複合材料。
[態様10]
繊維強化材を供給するステップ、及びこの繊維強化材に硬化性樹脂を適用するステップを含む、プリプレグを製造する方法であって、
この硬化性樹脂が、
硬化性樹脂の全重量をベースとして25から35重量%の四官能性エポキシ樹脂、
硬化性樹脂の全重量をベースとして18から28重量%の二官能性エポキシ樹脂、
硬化性樹脂の全重量をベースとして4から18重量%のポリエーテルスルホン、
硬化性樹脂の全重量をベースとして2から10重量%のポリアミド12粒子、
硬化性樹脂の全重量をベースとして2から10重量%のポリアミド11粒子、
硬化性樹脂の全重量をベースとして1から8重量%のポテト形状のグラファイト粒子、及び
硬化性樹脂の全重量をベースとして17.4から27.4重量%の硬化性樹脂用の硬化剤を含む、プリプレグ製造方法。
[態様11]
二官能性エポキシ樹脂が、ビスフェノールAエポキシ樹脂及びビスフェノールFエポキシ樹脂の混合物である、上記態様10に記載のプリプレグを製造する方法。
[態様12]
硬化性樹脂が、硬化性樹脂の全重量をベースとして16から20重量%のビスフェノールAエポキシ樹脂、及び硬化性樹脂の全重量をベースとして3.6から7.6重量%のビスフェノールFエポキシ樹脂を含む、上記態様11に記載のプリプレグを製造する方法。
[態様13]
ポリアミド12粒子の量が、ポリアミド11粒子の量に等しい、上記態様1に記載のプリプレグを製造する方法。
[態様14]
ポリアミド12粒子の量が、硬化性樹脂の全重量をベースとして6重量%である、上記態様13に記載のプリプレグを製造する方法。
[態様15]
繊維強化材が、炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維からなる群から選択される繊維を含む、上記態様10に記載のプリプレグを製造する方法。
[態様16]
上記態様10に記載のプリプレグを製造するステップの後、硬化性樹脂を硬化して複合材料を形成するステップを含む、方法。
[態様17]
上記態様1に記載のプリプレグを供給するステップ及び硬化性樹脂を硬化するステップを含む、複合材料を製造する方法。
[態様18]
複合材料が、航空機の構成要素である、上記態様17に記載の複合材料を製造する方法。
[態様19]
航空機の構成要素が、胴体である、上記態様18に記載の複合材料を製造する方法。
[態様20]
樹脂マトリクスであって、
硬化性樹脂の全重量をベースとして25から35重量%の四官能性エポキシ樹脂、
硬化性樹脂の全重量をベースとして18から28重量%の二官能性エポキシ樹脂、
硬化性樹脂の全重量をベースとして4から18重量%のポリエーテルスルホン、
硬化性樹脂の全重量をベースとして2から10重量%のポリアミド12粒子、
硬化性樹脂の全重量をベースとして2から10重量%のポリアミド11粒子、
硬化性樹脂の全重量をベースとして1から8重量%のポテト形状のグラファイト粒子、及び
硬化性樹脂の全重量をベースとして17.4から27.4重量%の硬化性樹脂用の硬化剤
を含む、樹脂マトリクス。