【課題を解決するための手段】
【0019】
一態様によれば、本発明は、希薄燃焼内燃機関と、エンジン管理手段と、エンジンの排気ガスを処理するための排気系とを備えており、この排気系が、第1のハニカムモノリス基材に配置された第1の酸化触媒を備え、この第1の酸化触媒は、少なくとも1つの還元可能な酸化物を含む第1の金属酸化物支持体上に支持された白金を含んでおり、この第1の酸化触媒が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属を実質的に含まず、前記エンジン管理手段が、使用時に、前記第1の酸化触媒に接触する排気ガスのラムダ組成を間欠的に調節してラムダ組成を濃くするように構成されている装置を提供する。
【0020】
用語「バルク」は、本明細書においてセリア(または、任意の他の成分)などの還元可能な酸化物を指して使用されるとき、セリアが固体粒子として存在することを意味する。これらの粒子は、通常はきわめて微細であり、粒子の少なくとも90%が約0.5〜15ミクロンの直径である状態である。用語「バルク」は、セリアが耐熱支持材料上に「分散」させられた状況(例えば、セリアを溶液(例えば、硝酸セリウムまたは成分の何らかの他の分散液)から耐熱支持材料へと含浸させ、次いで含浸させた硝酸セリウムを乾燥および加熱によって耐熱支持体の表面のセリア粒子の分散体へと変換することによる)からの区別を意図している。したがって、上述のセリアは、耐熱支持体の表面層上に「分散」し、或る程度は耐熱支持体の表面層内に「分散」する。分散したセリアは、バルクの形態では存在せず、なぜならば、バルクのセリアは、セリアの微細な固体粒子を含むからである。分散体は、ゾル、すなわち例えばナノメートル程度のセリアの細かく分割された粒子の形態をとることもできる。
【0021】
米国特許第5,473,887号および国際公開第2004/025093号に開示されているようなNACを含む排気系から、NACを再生し、すなわち蓄えられたNO
xを放出および還元するために、NACを濃い排気ガスに間欠的に接触させることが知られているが、NAC技術は、酸化触媒がアルカリ金属およびアルカリ土類金属を実質的に含まないがゆえに本発明から除外される。
【0022】
国際公開第2004/076829号の構成も、このシステムにおいてはNO
xが希薄動作の際に熱的に放出され、NO
x貯蔵触媒の再生に濃い排気ガスが使用されていないため、除外される。
【0023】
米国特許出願公開第2010/0221161号の活性粒子フィルタの再生の際の下流のSCR触媒の上流の排気ガスの最適なNO/NO
2の生成ならびに最適な加熱およびHC変換挙動のプロセスは、全体的に希薄な排気ガスを使用して行なわれ、濃い排気ガスを使用して行なわれているのではない。
【0024】
1つ以上のエンジンシリンダにおける燃料噴射タイミングを調節することによって間欠的に濃い排気ガスをもたらす方法が、米国特許第5,473,887号に開示のようなNACを備える排気系を開示する文献から公知である。あるいは、やはり米国特許第5,473,887号において検討されているように、エンジン管理手段は、炭化水素燃料を、排気ガスを運ぶ排気系へと直接、すなわちエンジン排気マニホールドの下流に注入するように構成することができる。
【0025】
いくつかの実施の形態において提案される新規な触媒は、必須ではないが望ましくはSMSI(Strong Metal Support Interaction)特性を呈する少なくとも1つの層(下記の(1)を参照)と、上述のとおりの「従来の」DOCである少なくとも1つの層(やはり下記の(3)を参照)とを備える多層DOCを含む。触媒は、濃い事象をもたらすように構成されたシステム設定の一部であってよい(下記の(3)を参照)。
(1)PGMをセリアなどの第1の金属酸化物支持体上に支持することによって、PGMの焼結の程度を大幅に軽減することができ、したがって熱的な経年劣化の後でも多数の触媒活性部位が残る。しかしながら、各々の触媒部位は、PtまたはPtPd触媒部位の酸化物の特性ゆえに、きわめて活発というわけではない。PGMの最も活発な形態は、その金属状態であり、我々は、きわめて驚くべきことに、本発明による触媒に関して、濃い条件に曝されたときに活発な状態が実質的に再生されることを発見した。
(2)セリアおよびセリア−ジルコニアが、NO
xトラップにおいて、NO
x貯蔵機能を改善するために、K、Cs、Ba、Srなどの他の金属との組み合わせにて使用されている。しかしながら、本発明においては、そのような追加の金属は、HCおよびCOの酸化を妨げる効果があるがゆえに、好ましくは使用されない。
(3)従来の層が、計画時の濃い事象を実行することができない場合に容認できる触媒活性を維持するために使用される。例えば、比較的高い希薄温度に長時間にわたって曝された後には、酸化活性の大部分が、層のうちの少なくとも1つにおいて生じる。
【0026】
本発明による触媒の特性を充分に使用するために、触媒を、短い時間期間にわたって濃い排気ガスの状態に曝すことによって活性化させることができる。この濃い活性化段階に続いて、触媒は、かなりの継続時間にわたって通常の希薄な動作状態において活発な状態を保つ。触媒が高温の希薄条件に曝されることで活性を失う可能性があるため、いつ触媒の再活性化が必要であるかを判断するために、所定のアルゴリズムが使用される。
【0027】
還元可能な酸化物の説明のための例は、MnO
2、Mn
2O
3、Fe
2O
3、SnO
2、CuO、CoO、およびCeO
2など、マンガン、鉄、すず、銅、コバルト、およびセリウムで構成されるグループから選択される少なくとも1つの金属の酸化物、複合酸化物、および混合酸化物である。これらの還元可能な酸化物の少なくとも1つが、炭化水素および一酸化炭素の酸化のために白金を支持するSMSI活性を呈すると考えられる。還元可能な酸化物を、適切な支持体上に分散させることができ、さらには/あるいは支持体そのものが、微粒子のバルクの還元可能な酸化物を含むことができる。例えばCeO
2の利点は、比較的熱的に安定な点にあるが、硫黄に毒されやすい。酸化マンガンは、熱的にあまり安定でないが、硫黄による被毒によりよく耐える。酸化マンガンの熱的な安定性を、複合酸化物または混合酸化物においてジルコニウムなどの安定剤と組み合わせることによって改善することができる。或る程度は、セリアの耐硫黄性を、ジルコニウムおよび/または希土類金属(セリウム以外)などの適切な安定剤との複合酸化物または混合酸化物を形成することによって高めることができる。
【0028】
本明細書において、「還元可能な酸化物」は、或る酸化物がその場に存在し、そこで金属が2つ以上の酸化状態を有することを意味する。製造においては、金属を非酸化の化合物として導入し、加熱によって還元可能な酸化物へと酸化させることができる。
【0029】
「複合酸化物」は、本明細書において定義されるとき、少なくとも2つの元素からなる真の混合酸化物ではない少なくとも2つの元素の酸化物を含むおおむね非晶質の酸化物材料を意味する。
【0030】
還元可能な酸化物がCeO
2を含む場合、セリアを、ジルコニア、少なくとも1つの非セリウム希土類酸化物、あるいはジルコニアおよび少なくとも1つの非セリウム希土類酸化物の両方で安定化させることができる。例えば、セリア含有混合酸化物は、86重量%のセリア、10重量%のジルコニア、および残りを占めるランタン、あるいは80%のセリア、10%のジルコニア、3%のランタン、および7%のプラセオジム、もしくは65%のセリア、27%のジルコニア、および8%のプラセオジムを含むことができる。
【0031】
特定の実施の形態においては、第1の金属酸化物支持体が、バルクの少なくとも1つの還元可能な酸化物または随意により安定化させたその同族体(homologues)で基本的に構成される。あるいは、少なくとも1つの還元可能な酸化物または随意により安定化させたその同族体を、白金とともに第1の金属酸化物支持体上に支持でき、すなわち分散させることができる。
【0032】
白金に加え、好ましくは第1の酸化触媒は、第1の金属酸化物支持体上に支持されたパラジウムを含むことができる。しかしながら、一実施の形態においては、第1の酸化触媒がパラジウムを実質的に含まない。
【0033】
白金族の金属を、第1の酸化触媒において、10gft
−3超などの任意の適切な量にてモノリス基材上に取り入れることができる。白金族の金属が白金からなる触媒においては、白金の量が、10〜120gft
−3であってよく、好ましくは30〜60gft
−3である。PtおよびPdを含む好ましい実施の形態においては、白金族の金属の総量が、30〜150gft
−3(例えば、40〜120gft
−3)など、15〜300gft
−3であってよい。
【0034】
第1の酸化触媒は、例えばアルミノケイ酸塩ゼオライトなどの1つ以上の分子ふるいを備えることができる。第1の酸化触媒における分子ふるいの役割は、冷間始動後またはデューティサイクルの低温段階において炭化水素を蓄え、蓄えた炭化水素を関連の白金族の金属触媒成分がHCの変換に関してより活発である高温時に放出することによって、デューティサイクルの全体における炭化水素の変換を向上させることにある。例えば、出願人/譲受人のEP0830201を参照されたい。分子ふるいは、軽量なディーゼル車両のための本発明による触媒組成物において典型的に使用される一方で、大型ディーゼルの用途のための触媒組成物にはほとんど使用されない。なぜならば、大型ディーゼルエンジンの排気ガス温度においては、炭化水素の捕捉の機能が、通常は必要とされないからである。本発明による第1の酸化触媒が、2つ以上の層を含む場合には、2つ以上の層のうちの少なくとも1つが、分子ふるいを含むことがきわめて好ましい。最も好ましくは、2層の実施の形態において、第1の(または、下側の)層および第2の(上側の)層の両方が分子ふるいを備える。
【0035】
しかしながら、アルミノケイ酸塩ゼオライトなどの分子ふるいは、白金群の金属のための特に良好な支持体ではない。なぜならば、それらは、熱的な耐久性の向上に有利なように、大部分がシリカであり、特にアルミナに対してシリカが比較的多い分子ふるいであるため、年月とともに熱的に劣化する可能性があり、結果として分子ふるいの構造が崩れ、さらには/あるいはPGMの焼結が生じ、分散が低下してHCおよび/またはCOの変換の活性が低くなりかねないからである。したがって、好ましい実施の形態においては、第1の酸化触媒が、個々のウォッシュコートコーティング層の30重量%以下(25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、など)の分子ふるいを含む。少なくとも1つの還元可能な酸化物を含む第1の金属酸化物支持体上に支持された白金に加えて、第1の酸化触媒の組成は、随意により安定化させたアルミナ、非晶質シリカアルミナ、随意により安定化させたジルコニア、チタニア、およびこれらのうちの任意の2つ以上の混合物で構成されるグループから選択される少なくとも1つの金属酸化物をさらに含むことができる。
【0036】
支持材料/炭化水素吸収体としての使用にとって好ましい分子ふるいは、中程度の孔のゼオライト(好ましくは、アルミノケイ酸塩ゼオライト)、すなわち10個の四面体原子からなる最大リングサイズを有するゼオライト、および大きな孔のゼオライト(12個の四面体原子からなる最大リングサイズ)(好ましくは、アルミノケイ酸塩ゼオライト)であり、フォージャサイト(faujasite)、クリノプチロライト(clinoptilolite)、モルデナイト(mordenite)、シリカライト(silicalite)、フェリエライト(ferrierite)、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO−5ゼオライト、オフレタイト(offretite)またはベータゼオライト、好ましくはZSM−5、ベータおよびYゼオライト、などの天然または合成ゼオライトが挙げられる。好ましいゼオライト吸着材料は、優れた熱水安定性のために、高いシリカ対アルミナ比を有する。ゼオライトは、少なくとも約25/1、好ましくは少なくとも約50/1からのシリカ/アルミナのモル比を有することができ、有用な範囲は、約25/1〜1000/1、50/1〜500/1、ならびに約25/1〜100/1、25/1〜300/1、約100/1〜250/1である。
【0037】
酸化触媒におけるセリアまたはセリア主体の成分の使用に関して認識される課題は、エンジンの燃料またはエンジンの潤滑剤に存在する硫黄含有の種によって毒されたときに、活性が損なわれかねない点にある。本発明の発明者は、第1の酸化触媒に硫黄の「シンク」として機能する少なくとも1つの成分、すなわち排気ガスからの硫黄を第1の酸化触媒の他の成分と比べて不釣り合いに吸着することによって第1の酸化触媒の活性成分の硫黄による被毒を軽減または防止する成分を含ませることによって、この影響を軽減または防止することを提案する。好ましくは、この「硫黄シンク」が再生可能であり、すなわち「硫黄シンク」の容量が有限にならないように、吸収(または、吸着)した硫黄の種を放出することができる。
【0038】
好ましい実施の形態においては、「硫黄シンク」成分が、銅および/または鉄を含む分子ふるいを含み、この分子ふるいが、好ましくはアルミノケイ酸塩ゼオライトである。銅および/または鉄を、含浸させることができ、イオン交換することができ、あるいは分子ふるいそのものの格子構造に存在させることができる。特に好ましい実施の形態においては、分子ふるいを含む銅および/または鉄が、1つ以上の白金族の金属、好ましくはパラジウムを、例えば30gft
−3以下の比較的少ない量でさらに含み、この1つ以上の白金族の金属を、それらの水性の塩として、銅および/または鉄含有の分子ふるいへと含浸させることができる。銅および/または鉄を含み、随意により白金族の金属をさらに含む分子ふるいは、使用時に、例えば最大約650℃の温度の希薄な排気ガスに曝されたときに、再生可能であることが明らかになっている。そのような条件は、第1の酸化触媒が触媒フィルタの上流に配置され、フィルタ再生の事象が開始されたときに生じることができる(さらなる説明については、下記を参照)。フィルタ再生の事象の主たる目的は、フィルタに保持された粒子状物質を燃焼させることにあり、この目的のために、排気ガスの温度が高められる。しかしながら、フィルタ再生の事象が温度を高めることを必要とするため、有益な副作用として、第1の酸化触媒が希薄な高温の排気ガスに曝され、これが第1の酸化触媒の硫黄シンク成分に吸収された硫黄含有の種の放出を生じさせることができる。
【0039】
分子ふるいが「硫黄シンク」として含まれる場合、第1の酸化触媒は、好ましくは2つの層を備え、第1の(または、下側の)層が硫黄シンク成分を含み、第2の(または、上側の)層が、少なくとも1つの還元可能な酸化物を含む第1の金属酸化物支持体上に支持された白金を含む。
【0040】
好ましくは、銅および/または鉄含有の分子ふるいにもとづく硫黄シンク成分は、全体としての第1の酸化触媒の50重量%以下の量にて、第1の酸化触媒(例えば、下側の層)に存在する。これは、上述した分子ふるい炭化水素捕捉成分に追加される。したがって、第1の酸化触媒が2つの層を備え、すなわち2.0gin
−3のウォッシュコート量の銅および/または鉄主体の分子ふるいにもとづく硫黄シンク成分の下側層と、やはり2.0gin
−3のウォッシュコート量であり、少なくとも1つの還元可能な酸化物を含む第1の金属酸化物支持体上に支持された白金および炭化水素の捕捉のための分子ふるいを含む上側層とを備える場合、第1の酸化触媒(すなわち、組み合わせられた触媒の下側および上側層)の合計の分子ふるい含有量は、65重量%以下(すなわち、50重量%以下の硫黄シンク分子ふるいおよび15重量%以下の炭化水素捕捉分子ふるい(ただし、上側層単独では30重量%以下の炭化水素捕捉分子ふるい))であってよい。あるいは、硫黄シンク成分と、少なくとも1つの還元可能な酸化物を含む第1の金属酸化物支持体上に支持された白金と、随意による炭化水素捕捉分子ふるい成分とを混ぜ合わせ、単一のウォッシュコート層にて塗布することができる。
【0041】
本発明のこの「硫黄シンク」の態様に特段の用途を有する分子ふるいとして、上述した任意の分子ふるいが挙げられ、小さな孔の分子ふるい、すなわち8個の四面体原子からなる最大リングサイズを有する分子ふるいも挙げられる。実施の形態において使用するための分子ふるいとして、ベータゼオライト、フォージャサイト(NaYおよびUSYを含むXゼオライトまたはYゼオライトなど)、Lゼオライト、ZSMゼオライト(例えば、ZSM−5、ZSM−48)、SSZゼオライト(例えば、SSZ−13、SSZ−41、SSZ−33)、モルデナイト(mordenite)、菱沸石(chabazite)、オフレタイト(offretite)、エリオナイト(erionite)、クリノプチロライト(clinoptilolite)、シリカライト(silicalite)、リン酸アルミニウムゼオライト(SAPO−34などの金属アルミノリン酸塩など)、メソ多孔性ゼオライト(例えば、MCM−41、MCM−49、SBA−15)、金属含有ゼオライト、またはこれらの混合物が挙げられ、より好ましくは、ゼオライトが、ベータゼオライト、ZSM−5ゼオライト、Fe−βゼオライト、またはSSZ−33、あるいはY−ゼオライトである。ゼオライトは、最も好ましくは、ベータゼオライト、ZSM−5ゼオライト、Fe−βゼオライト、またはSSZ−33である。最も好ましくは、随意によりパラジウムを支持するFe/ベータゼオライトである。
【0042】
好ましい実施の形態において、第1の酸化触媒は、第1の酸化触媒とは異なる第2の酸化触媒に組み合わせられ、この第2の酸化触媒は、第2の金属酸化物支持体上に支持された少なくとも1つの貴金属を含んでいる。
【0043】
1つのそのような構成においては、第1および第2の酸化触媒が、それぞれ別の層に配置される。特定の実施の形態においては、第2の酸化触媒が、下層の第1のハニカムモノリス基材に配置され、第1の酸化触媒が、第2の酸化触媒の上方に位置する層(下層上に直接位置し、あるいは中間層が間に挟まれる)に配置される。しかしながら、第1および第2の酸化触媒の順序は、所望に応じて逆にすることが可能である。
【0044】
別の構成においては、第1の酸化触媒の金属酸化物支持体と、第2の酸化触媒の金属酸化物支持体とが、第1のハニカムモノリス基材上に配置される単一の層に組み合わせられる。
【0045】
さらなる別の実施の形態においては、第1の酸化触媒が、第1のハニカムモノリス基材上に配置された第1のゾーンに位置し、第2の酸化触媒が、第1のハニカムモノリス基材上の第2のゾーンに位置し、第1のハニカムモノリス基材が、排気ガスが第2のゾーンよりも先に第1のゾーンに接触するように向けられる。しかしながら、第1のハニカムモノリス基材を、所望に応じ、排気ガスが第1のゾーンよりも先に第2のゾーンに接触するように向けることもできる。
【0046】
さらなる別の実施の形態においては、第1の酸化触媒を備える第1のハニカムモノリス基材が、第2の酸化触媒を備える第2のハニカムモノリス基材の上流に配置される。しかしながら、第2のモノリス基材を、所望に応じ、排気ガスが第1のモノリス基材よりも先に第2のモノリス基材に接触するように向けてもよい。
【0047】
本発明において用いられるハニカムモノリス基材を、コーディエライト(cordierite)または炭化ケイ素などのセラミック材料から製作することができ、あるいはFecralloy(商標)などの金属から製作することができる。配置は、好ましくは複数のチャネルが開いた入り口端から開いた出口端へと平行に延びているいわゆる貫流(flow−through)構成である。しかしながら、ハニカムモノリス基材が、いわゆる壁流(wall−flow)フィルタまたはセラミック発泡体などのフィルタ処理基材の形態をとってもよい。
【0048】
壁流フィルタは、複数の入り口チャネルを複数の出口チャネルに平行に配置して備えているセラミック多孔質フィルタ基材であり、各々の入り口チャネルおよび各々の出口チャネルが、多孔質構造のセラミック壁によって部分的に定められており、各々の入り口チャネルが、多孔質構造のセラミック壁によって出口チャネルから交互に隔てられており、その逆も然りである。換言すると、壁流フィルタは、上流端が塞がれた複数の第1のチャネルと、上流端は塞がれていないが、下流端が塞がれている複数の第2のチャネルとを定めているハニカム構成である。第1のチャネルに縦方向および横方向において隣接するチャネルが、下流端において塞がれる。いずれかの端部から眺めると、チャネルの塞がれた端部と開いている端部とが交互に位置し、チェス盤の外観を呈する。
【0049】
2つ以上のハニカムモノリス基材を直列に備える実施の形態においては、各々のモノリス基材を、貫流およびフィルタ処理の構成から選択することができる。第1のモノリス基材が貫流の構成を有し、第2のモノリス基材がフィルタ処理の構成を有する場合には、フィルタ処理のモノリス基材を貫流のモノリス基材の下流に配置し、上流の貫流のモノリス基材におけるNOの酸化から生じるNO
2において400℃未満でフィルタ処理の基材に捕捉された粒子状物質を燃焼させるという利益を得ることが好ましい(EP341832に開示のとおり)。しかしながら、一好ましい実施の形態においては、装置が、モノリス基材を1つだけ備え、すなわち下流のモノリス基材(例えば、フィルタ処理の基材)を有さない。
【0050】
適当な応用においては、第1のハニカムモノリス基材あるいは第1および第2のハニカムモノリス基材(存在する場合)を、いかなる追加の排気ガス事後処理要素も備えずに使用することができ、すなわち第1のハニカムモノリス基材または第2のハニカムモノリス基材(存在する場合)を出る排気ガスが、追加の触媒に最初に出会うことなく大気へと直接排出される。しかしながら、所望に応じ、本発明による酸化触媒を、より複雑な排気系の構成へ統合することが可能である。一実施の形態においては、第1のハニカムモノリス基材および第2のハニカムモノリス基材(存在する場合)が、排気ガスから粒子状物質をろ過するためのフィルタの上流に配置される。随意により、フィルタに触媒機能が付加される。
【0051】
一実施の形態においては、フィルタ触媒が、排気ガス中の一酸化炭素および未燃焼の炭化水素を酸化させるためのものであり、すなわち例えばディーゼル(圧縮点火)エンジンが排出する粒子状物質を処理するためのいわゆる触媒煤煙フィルタである。
【0052】
排気系がフィルタを備える場合、さらなる実施の形態は、フィルタの下流に配置されるNH
3−SCR触媒を特徴とする。そのような構成は、SCR触媒の上流に前駆体を含むチッ素還元剤を導入するための手段を備えることができ、例えばチッ素還元剤を、フィルタとSCR触媒との間に導入することができる。あるいは、NH
3−SCRをフィルタ上にコートすることができる。
【0053】
あるいは、好ましい実施の形態においては、フィルタ触媒が、チッ素還元剤を用いたチッ素の酸化物の還元を選択的に触媒するための触媒である。上述のように、そのような構成は、SCR触媒フィルタの上流に前駆体を含むチッ素還元剤を導入するための手段を備えることができる。さらなる代案として、あるいはチッ素還元剤またはその前駆体を注入するための手段に加えて、別の実施の形態においては、第1の酸化触媒におけるNO
xの還元によってアンモニアガスがその場で生成されるよう、排気ガスを濃くするためのエンジン管理手段を設けることができる。この実施の形態においては、適切に設計および制御されるエンジンとの組み合わせにおいて、濃い排気ガス、すなわち通常の希薄動作モードと比べて一酸化炭素および炭化水素を多く含む排気ガスが、第1の基材モノリスの触媒組成物に接触する。PGMによって促進されたセリアまたはセリア−ジルコニアが、水性ガスシフト反応、すなわちCO
(g)+Η
2O
(v)→CO
2(g)+H
2(g)を促進し、H
2を放出することができる。例えばBa(NO
3)
2+8H
2→BaO+2NH
3+5H
2Oなど、上述の反応(3)および(4)の補足説明に示した副反応から、NH
3をその場で生成でき、下流のSCR触媒におけるNO
xの還元のために蓄えることができる。
【0054】
特定のSCR触媒において、チッ素還元剤を用いたチッ素の酸化物の触媒還元を、好ましくは受動的に可能であるかぎりにおいて、NO:NO
2の比をほぼ1:1へと調節することによって促進することができる。この理由で、酸化触媒を、SCR触媒を備える実施の形態における使用において、可能なかぎり広い温度範囲における下流のSCR触媒でのNO
xの還元に有利なように、おおむね1:1のNO:NO
2比を生じるように最適化することができる。
【0055】
チッ素還元剤を用いたチッ素の酸化物の還元を選択的に触媒する触媒(SCR触媒)は、公知であり、耐熱酸化物または分子ふるい上に支持されたCu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド、およびFeなどのVIII族の遷移金属のうちの少なくとも1つで構成されるグループから選択することができる。適切な耐熱酸化物として、Al
2O
3、TiO
2、CeO
2、SiO
2、ZrO
2、およびこれらのうちの2つ以上を含む混合酸化物が挙げられる。非ゼオライトの触媒は、例えばV
2O
5/WO
3/TiO
2など、酸化タングステンを含むこともできる。
【0056】
特定の実施の形態においては、SCR触媒が、アルミノケイ酸塩ゼオライトまたはSAPOなどの少なくとも1つの分子ふるいを含む。この少なくとも1つの分子ふるいは、例えば小さい孔、中程度の孔、または大きな孔の分子ふるいであってよい。本明細書において、「小さい孔の分子ふるい」は、CHAなどの8個の四面体原子からなる最大リングサイズを含む分子ふるいを意味し、「中程度の孔の分子ふるい」は、ZSM−5などの10個の四面体原子からなる最大リングサイズを含む分子ふるいを意味し、「大きな孔の分子ふるい」は、ベータなどの12個の四面体原子からなる最大リングサイズを有する分子ふるいを意味する。小さな孔の分子ふるいは、SCR触媒における使用に関して好都合となりうる。例えば、国際公開第2008/132452号(その全内容が、ここでの言及によって本明細書に援用される)を参照されたい。
【0057】
本発明への適用における特定の分子ふるいは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデナイト(mordenite)、フェリエライト(ferrierite)、ベータを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22、およびEU−1で構成されるグループから選択される。CHA分子ふるいが、現時点において、特に例えばイオン交換および/または含浸される促進剤としてのCuとの組み合わせにおいて好ましい。
【0058】
いくつかの実施の形態において、分子ふるいは、金属化されなくても、あるいは周期表のIB、IIB、IIIA、IIIB、VB、VIB、VIB、およびVIII族で構成されるグループから選択される少なくとも1つの金属で金属化されてもよい。金属化される場合、金属を、Cr、Co、Cu、Fe、Hf、La、Ce、In、V、Mn、Ni、Zn、Ga、ならびに貴金属Ag、Au、Pt、Pd、およびRhで構成されるグループから選択することができる。そのような金属化された分子ふるいを、還元剤を用いた火花点火(positive ignition)の排気ガスのチッ素酸化物の還元を選択的に触媒するためのプロセスに使用することができる。本明細書において、「金属化」は、例えば骨組み内にFeを有するベータおよび骨組み内にCuを有するCHAなど、分子ふるいの骨組みへと1つ以上の金属が取り入れられている分子ふるいを含む意味を有する。分子ふるいを、上述のいずれかの金属でイオン交換することができる。
【0059】
特に興味深い金属は、Ce、Fe、およびCuで構成されるグループから選択される。適切なチッ素還元剤として、アンモニアが挙げられる。あるいは、チッ素還元剤またはその前駆体を、排気ガスへと直接注入することができる。適切な前駆体として、ギ酸アンモニウム、尿素、およびカルバミン酸アンモニウムが挙げられる。アンモニアおよび他の副産物への前駆体の分解は、熱水または接触加水分解によることができる。
【0060】
別の構成においては、チッ素還元剤を用いたチッ素の酸化物の還元のためのSCR触媒を含む貫流のモノリス基材が、第1のモノリス基材および第2のモノリス基材(存在する場合)の下流に位置することができ、SCR触媒へと進入する排気ガスのNO:NO
2比を調節するうえで有益である。
【0061】
特に好ましい実施の形態においては、SCR触媒が、フィルタ処理の基材モノリス(好ましくは、壁流のモノリス)へとコートされる。押し出しによるSCR触媒から壁流フィルタを製作することも可能である(本出願の出願人/譲受人の国際公開第2009/093071号および国際公開第2011/092521号を参照されたい)。
【0062】
本発明による装置において使用するためのエンジンは、ガソリンの火花点火エンジンであってよいが、ディーゼルエンジンとして一般的に知られる圧縮点火エンジン(ただし、一部の圧縮点火エンジンは、天然ガス、バイオディーゼルまたはバイオディーゼルと混合されたディーゼル燃料、ならびに/あるいはフィッシャー・トロプシュ(Fischer−Tropsch)燃料などといった他の燃料で動作することができる)が特に妥当である。
【0063】
さらなる態様によれば、本発明は、上述のいずれかの請求項に記載の装置を備える車両を提供する。
【0064】
またさらなる態様によれば、本発明は、第1の金属酸化物支持体上に支持された白金を含んでおり、ハニカムモノリス基材上に配置され、希薄燃焼内燃機関の排ガス中で経年劣化した第1の酸化触媒の酸化活性を回復する方法であって、濃いラムダ組成へと調節された排気ガスに前記第1の酸化触媒を間欠的に接触させるステップを含んでおり、前記第1の金属酸化物支持体が、少なくとも1つの還元可能な酸化物を含んでおり、前記第1の酸化触媒が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を実質的に含んでいない方法を提供する。
【0065】
使用時、エンジン管理手段が、例えば電子プロセッサのプログラミングによって、第1の酸化触媒に接触する排気ガスのラムダ組成を濃いラムダ組成へと調節するように設定される。実務においては、ステアリングコラムおよびハンドルを介して運転者へと伝わる可能性があるトルクの変動などの運転性の問題を避けるために、エンジンを濃い状態で連続的に運転することはできない。好ましい設定は、酸化活性を所望の程度まで回復させるために充分な時間期間にわたってλを頻繁に調節すること(「薄い/濃い」の切り換え)を含む。そのような「薄い/濃い」の切り換えが、酸化触媒に発熱を生じさせることができ、触媒の温度を例えば550℃超に高める。本発明において使用するための「薄い/濃い」の切り換えの構成は、例えばNO
x捕捉部の脱硫機構の技術から公知である。しかしながら、NO
x捕捉部の脱硫機構は、車両がおおむね2,000〜3,000km走行するたびにほぼ1回行なわれる。濃さの限界は、装置の設計に依存しうるが、0.80超であってよく、例えば0.90以上、0.95以上などであってよい。しかしながら、排気ガスの組成は、酸化触媒の活性の再生時に1未満であることが不可欠である。
【0066】
触媒フィルタ(例えば、第1の酸化触媒、SCRでコートされたフィルタまたは触媒煤煙フィルタ(CSF))、すなわち1つ以上の白金群の金属を含むフィルタを、第1の酸化触媒を含むモノリス基材の下流に配置して備えている装置に関連して使用される本発明の方法の特に好ましい実施の形態においては、第1の酸化触媒の酸化活性を回復させる工程が、フィルタの再生の工程の直後に実行される。特に軽負荷のディーゼルの用途において、システムは、フィルタに保持されたすすを燃焼させることによってシステムを「清浄」な状態に戻し、例えば背圧の問題などのすすの蓄積による問題を防止するために、例えば点火後の気筒内への炭化水素燃料の噴射などのエンジン管理手段によって排気系の構成要素を加熱する手順を実行するように設計される。フィルタの温度が、(炭化水素の噴射量の増加にもかかわらず)全体としての希薄な排気ガスにおいて600〜650℃に達しうる。そのようなフィルタの再生手順は、典型的には、車両がおおむね500km走行するたびに1回行なわれる。
【0067】
本発明の方法は、濃い排気ガスが使用される点で、燃料を多く使用する可能性がある。本発明の好ましい態様は、フィルタの再生の工程によって生じる温度の上昇を好都合に利用し、エンジンがエンジン管理手段によって第1の酸化触媒に濃い排気を接触させる(あるいは、より多くの炭化水素をエンジンの下流の排気ガスへと注入する)ように動作させられるときに、第1の酸化触媒がすでに比較的高い温度にある。これは、第1の酸化触媒の酸化活性が、第1の酸化触媒が高温であるほどより迅速に、より少ないシステムへの燃料にて回復されるという利点を有している。
【0068】
本発明をより充分に理解できるよう、以下の実施例が、あくまでも例示として、添付の図面を参照して提示される。