特許第6670285号(P6670285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670285
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】組立式加熱調理具
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/07 20060101AFI20200309BHJP
   F24C 1/16 20060101ALI20200309BHJP
   F24B 1/20 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   A47J37/07
   F24C1/16 B
   F24B1/20
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-230523(P2017-230523)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2019-97763(P2019-97763A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2018年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138336
【氏名又は名称】株式会社スノーピーク
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】山井 太
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−070002(JP,U)
【文献】 実開昭53−013980(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3036673(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0077135(KR,A)
【文献】 特開2016−049387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/07
F24B 1/20
F24C 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状に形成される本体部と、この本体部を支持する脚部と、前記本体部の下部側に配される熱源により調理される食材が載置される食材用載置部とを具備する組立式加熱調理具であって、前記本体部は、複数の金属製の板状部材が回動軸を介して夫々回動自在に横幅方向に順次連結され、展開時の形状が横長方形状を呈するように構成されていると共に、略円筒状に形成され内側に前記食材用載置部が架設される前記本体部の前記各板状部材には、該板状部材同士の屈曲量を規制し隣接する板状部材に対する内側への屈曲角度を所定角度に保持する屈曲規制部が設けられていて、前記本体部は、各板状部材を内側に屈曲させた場合は、各板状部材の前記屈曲規制部が隣接する板状部材に係合して、屈曲量が規制され隣接し合う板状部材同士が成す屈曲角度が所定角度に保持されて略円筒状に形成され、各板状部材を外側に屈曲させた場合は、前記屈曲規制部が係合せず屈曲量が規制されずこの本体部を巻回して巻物状にすることができるように構成され、この本体部は、展開時に一側端部に位置する板状部材に連結保持具が設けられ他側端部に位置する板状部材に前記連結保持具に係止する連結保持具係止部が設けられ、各板状部材を内側に屈曲させて略円筒状に形成された状態で前記連結保持具を前記連結保持具係止部に係止させることで該略円筒状の形態が保持されるように構成され、この本体部は、前記連結保持具係止部が設けられた板状部材と前記連結保持具が設けられた板状部材よりも内側に位置する板状部材との間に架設され、前記連結保持具と前記連結保持具係止部との係止状態が解除されても該本体部の略円筒状の形態を保形する本体部保形手段を備え、この本体部保形手段による保形作用により、前記連結保持具と前記連結保持具係止部との係止状態を解除し、前記連結保持具係止部が設けられる板状部材を含む複数の板状部材を開閉扉部として外側へ回動する開き操作し、この本体部に食材や熱源を出し入れすることができる本体正面開口部を形成することができるように構成されていることを特徴とする組立式加熱調理具。
【請求項2】
前記板状部材は、左右両側に前記屈曲規制部が設けられていて、隣接する板状部材の夫々に設けられた屈曲規制部同士が当接係止することで板状部材の屈曲量が規制され、この隣接する板状部材同士が成す屈曲角度が所定角度に保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の組立式加熱調理具。
【請求項3】
前記屈曲規制部は、前記板状部材の側縁部に沿って縦方向に延設される板状片に形成され、前記板状部材の前記側縁部から外側に向かって突出状態に設けられていることを特徴とする請求項2記載の組立式加熱調理具。
【請求項4】
前記屈曲規制部は、前記板状部材と成す角度が90°以上の所定角度となるようにして、前記板状部材の前記側縁部から外側に向かって突出状態に設けられていて、隣接する板状部材の屈曲規制部と面接触することで屈曲が規制され、この隣接する板状部材との成す屈曲角度が所定角度に保持されるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の組立式加熱調理具。
【請求項5】
前記本体部を横長方形状の展開状態にした際の少なくとも両端部に位置する板状部材以外の板状部材は、左右両側に前記回動軸が挿通される軸挿通孔を有する連結部が設けられていて、この板状部材の夫々の前記連結部同士が前記回動軸で枢着連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組立式加熱調理具。
【請求項6】
複数の前記板状部材のうち少なくとも三つの板状部材には、前記脚部が着脱自在または折り畳み収納自在に取り付けられる脚部取付部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組立式加熱調理具。
【請求項7】
前記本体部には、複数の支持部が設けられていて、略円筒状に組み立て形成された際にこの複数の支持部で前記食材用載置部を支持することができるように構成されていて、前記食材用載置部は、この複数の支持部により前記本体部に着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の組立式加熱調理具。
【請求項8】
熱源を載置する熱源用載置部を具備し、この熱源用載置部は、前記支持部により支持され本体部の下部側に組み付けられることを特徴とする請求項7記載の組立式加熱調理具。
【請求項9】
略円筒状に形成された本体部の上部開口部を閉塞する蓋部を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組立式加熱調理具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャンプ等のアウトドアレジャーでの使用に適する組立式加熱調理具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャンプ等で使用するバーベキューコンロ(グリル)等の加熱調理具は、持ち運びし易いコンパクトな収納形態となる組立式のものが一般的であり、例えば、本体部を支持する脚部が着脱するタイプや、本体部を折り畳み収納できるタイプ等、様々なものがある。
【0003】
この本体部を折り畳み収納できるタイプのものとしては、例えば特許文献1,2に示すようなものがある。
【0004】
この特許文献1,2に示すものは、いずれも本体部の周面部が、正面板、背面板および二枚の側面板が夫々枢着連結されて平面視方形状の筒状(角筒)に形成され、側面板が、同じ大きさの二枚の板を蝶番で屈曲自在に連結した構成とされ、この側面板を内側に折り畳むことで、本体部を、方形箱状(角筒状)の使用形態から平板状(扁平状)の収納形態にすることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−17661号公報
【特許文献2】実開平5−87401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の本体部を折り畳み収納できるタイプのものは、その折り畳み構造を容易に実現可能な点と、組み立て、折り畳み収納のいずれの操作も容易である点から、その本体部の形状が上述した特許文献に示すもののように、正面板、背面板および二枚の側面板で形成される方形箱状となっている。
【0007】
すなわち、言い換えると、本体部の形状が略円筒形を呈するような平面視多角形状に形成する場合、この本体部を形成する板状部材の枚数が多くなってしまうが、この本体部を形成する板状部材の枚数が多くなると、上述したような折り畳み構造とすることが困難になり、また、別の折り畳み構造も実現困難となると共に、多くの板状部材を位置決めして所定の形状に形成(組み立て)しこれを保形することも容易でなくなることから、従来の折り畳み収納タイプの本体部は、その形状が特許文献に示すような方形箱状にほぼ限られてしまっている。
【0008】
しかしながら、このバーベキューコンロ(グリル)を囲んで調理しながら食事をする場合、バーベキューコンロ(グリル)の形状は、方形状(四角形)よりも円形のほうが使い勝手が良いと思われるが、従来、上述したような観点から、本願出願人の知る限り、本体部が円筒状(略円筒状)のバーベキューコンロ(グリル)において、この本体部が折り畳み収納できるタイプのものは提案されていない。
【0009】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、折り畳み収納可能で且つ組み立てが容易な略円筒形に形成される本体部を備える組立式加熱調理具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0011】
略円筒状に形成される本体部1と、この本体部1を支持する脚部2と、前記本体部1の下部側に配される熱源により調理される食材が載置される食材用載置部3とを具備する組立式加熱調理具であって、前記本体部1は、複数の金属製の板状部材4が回動軸5を介して夫々回動自在に横幅方向に順次連結され、展開時の形状が横長方形状を呈するように構成されていると共に、略円筒状に形成され内側に前記食材用載置部3が架設される前記本体部1の前記各板状部材4には、該板状部材4同士の屈曲量を規制し隣接する板状部材4に対する内側への屈曲角度を所定角度に保持する屈曲規制部6が設けられていて、前記本体部1は、各板状部材4を内側に屈曲させた場合は、各板状部材4の前記屈曲規制部6が隣接する板状部材4に係合して、屈曲量が規制され隣接し合う板状部材4同士が成す屈曲角度が所定角度に保持されて略円筒状に形成され、各板状部材4を外側に屈曲させた場合は、前記屈曲規制部6が係合せず屈曲量が規制されずこの本体部1を巻回して巻物状にすることができるように構成され、この本体部1は、展開時に一側端部に位置する板状部材4に連結保持具13が設けられ他側端部に位置する板状部材4に前記連結保持具13に係止する連結保持具係止部14が設けられ、各板状部材4を内側に屈曲させて略円筒状に形成された状態で前記連結保持具13を前記連結保持具係止部14に係止させることで該略円筒状の形態が保持されるように構成され、この本体部1は、前記連結保持具係止部14が設けられた板状部材4と前記連結保持具13が設けられた板状部材4よりも内側に位置する板状部材4との間に架設され、前記連結保持具13と前記連結保持具係止部14との係止状態が解除されても該本体部1の略円筒状の形態を保形する本体部保形手段12を備え、この本体部保形手段12による保形作用により、前記連結保持具13と前記連結保持具係止部14との係止状態を解除し、前記連結保持具係止部14が設けられる板状部材4を含む複数の板状部材4を開閉扉部1Aとして外側へ回動する開き操作し、この本体部1に食材や熱源を出し入れすることができる本体正面開口部1Bを形成することができるように構成されていることを特徴とする組立式加熱調理具に係るものである。
【0012】
また、前記板状部材4は、左右両側に前記屈曲規制部6が設けられていて、隣接する板状部材4の夫々に設けられた屈曲規制部6同士が当接係止することで板状部材4の屈曲量が規制され、この隣接する板状部材4同士が成す屈曲角度が所定角度に保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の組立式加熱調理具に係るものである。
【0013】
また、前記屈曲規制部6は、前記板状部材4の側縁部に沿って縦方向に延設される板状片に形成され、前記板状部材4の前記側縁部から外側に向かって突出状態に設けられていることを特徴とする請求項2記載の組立式加熱調理具に係るものである。
【0014】
また、前記屈曲規制部6は、前記板状部材4と成す角度が90°以上の所定角度となるようにして、前記板状部材4の前記側縁部から外側に向かって突出状態に設けられていて、隣接する板状部材4の屈曲規制部6と面接触することで屈曲が規制され、この隣接する板状部材4との成す屈曲角度が所定角度に保持されるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の組立式加熱調理具に係るものである。
【0015】
また、前記本体部1を横長方形状の展開状態にした際の少なくとも両端部に位置する板状部材4以外の板状部材4は、左右両側に前記回動軸5が挿通される軸挿通孔7Aを有する連結部7が設けられていて、この板状部材4の夫々の前記連結部7同士が前記回動軸5で枢着連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組立式加熱調理具に係るものである。
【0016】
また、複数の前記板状部材4のうち少なくとも三つの板状部材4には、前記脚部2が着脱自在または折り畳み収納自在に取り付けられる脚部取付部8が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組立式加熱調理具に係るものである。
【0017】
また、前記本体部1には、複数の支持部9が設けられていて、略円筒状に組み立て形成された際にこの複数の支持部9で前記食材用載置部3を支持することができるように構成されていて、前記食材用載置部3は、この複数の支持部9により前記本体部1に着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の組立式加熱調理具に係るものである。
【0018】
また、熱源を載置する熱源用載置部10を具備し、この熱源用載置部10は、前記支持部9により支持され本体部1の下部側に組み付けられることを特徴とする請求項7記載の組立式加熱調理具に係るものである。
【0019】
また、略円筒状に形成された本体部1の上部開口部を閉塞する蓋部11を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組立式加熱調理具に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したから、折り畳み収納可能で且つ組み立てが容易な略円筒形に形成される本体部を備える組立式加熱調理具となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例を示す分解斜視図である。
図3】本実施例を示す説明断面図である。
図4】本実施例の展開状態の本体部を示す図であり、(a)は正面(外側面)側から見た図であり、(b)は背面(内側面)から見た図である。
図5】本実施例の本体部を示す説明底面図である。
図6】本実施例の板状部材(非連結状態)を示す斜視図である。
図7】本実施例の板状部材(連結状態)を示す斜視図である。
図8】本実施例の板状部材の屈曲操作状態を示す説明平面図であり、(a)は展開状態(非屈曲操作状態)を示す図であり、(b)は内側に屈曲操作した状態を示す図であり、(c)は外側に屈曲操作した状態を示す図である。
図9】本実施例の連結保持具係止部が設けられる板状部材を示す斜視図である。
図10】本実施例の本体部を筒状に組み立てた状態を示す斜視図である。
図11】本実施例の本体部を筒状に組み立てた状態を示す説明平面図である
図12】本実施例の本体部を筒状に組み立てた状態において、連結保持具と連結保持具係止部の係止状態を解除し、開閉扉部を開き操作した状態を示す説明平面図である。
図13】本実施例の脚部を脚部取付部に取り付ける状態を示す説明斜視図である。
図14】本実施例の本体部の収納状態(巻物状にした状態)を示す斜視図である。
図15】本実施例の本体部の収納状態(巻物状にした状態)を示す側面図である。
図16】本実施例の使用状態を示す図であり、(a)はバーベキューグリルとして使用している状態を示す図であり、(b)はオーブンとして使用している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0023】
本発明の本体部1は、複数の金属製の板状部材4が回動軸5を介して横幅方向に回動自在に連結され、展開時の形状が横長方形状を呈するように構成されているから、使用時に組み立てる際は、この本体部1を形成する各板状部材4を夫々隣接する板状部材4に対して内側に屈曲操作することで所定の筒形状に形成することができ、また、収納時は、この組み立て時の屈曲操作方向と反対側に屈曲操作することで巻回して渦巻状にすることができ、コンパクトな収納形態にすることができる。
【0024】
具体的には、本発明は、展開状態の横長方形状の本体部1の各板状部材4を、隣接する板状部材4に対して内側に屈曲させると、板状部材4は所定の屈曲角度に屈曲した時点で屈曲規制部6により屈曲不能になり、隣接する板状部材4に対して所定角度の屈曲状態になる。
【0025】
より具体的には、本発明は、板状部材4を隣接する板状部材4に対して内側に屈曲操作すると、屈曲規制部6が隣接する板状部材4に接近し所定量屈曲すると隣接する板状部材4に当接し、この屈曲規制部6が隣接する板状部材4に当接係止することで屈曲不能になり、隣接する板状部材4に対して所定角度で屈曲した状態になる。
【0026】
すなわち、本発明は、板状部材4を隣接する板状部材4に対して一々角度を見ながら屈曲操作して隣接する板状部材4に対して所定角度となるように屈曲操作するのではなく、単に板状部材4を隣接する板状部材4に対して屈曲操作不能になるまで内側に向かって屈曲操作するだけで、板状部材4が隣接する板状部材4に対して所定の屈曲角度に屈曲され、各板状部材4が夫々同様の屈曲操作により所定角度に屈曲されることで、各板状部材4が隣接する板状部材4に対して所定角度の屈曲状態となり、この各板状部材4が夫々内側方向に所定角度で屈曲することで展開時に両端部に位置する各板状部材4の端部同士が連設状態となって本体部1が略円筒状に形成される。
【0027】
このように、本発明は、本体部1を内側方向に屈曲操作するだけの簡易な操作で容易にこの本体部1を使用形態となる略円筒状に形成することができるので、組立て容易な使い勝手の良い組立式加熱調理具となる。
【0028】
また、本発明は、この組み立て時の屈曲方向と反対方向の外側に屈曲操作した場合は、屈曲規制部6が機能しない(隣接する板状部材4と干渉しない)ので、各板状部材4をこの外側方向に対しては屈曲量が規制されることなく自在に屈曲回動させることができ、これにより本体部1を渦巻状に巻回してコンパクトな形態にすることができ、収納時に嵩張らず持ち運びが容易になる。
【0029】
このように、本発明は、折り畳み収納可能で且つ組み立てが容易な略円筒形に形成される本体部1を備える実用性に優れた画期的な組立式加熱調理具となる。
【実施例】
【0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例は、略円筒状に形成される本体部1と、この本体部1を支持する脚部2と、前記本体部1の下部側に配される熱源により調理される食材が載置される食材用載置部3とを具備する組立式加熱調理具である。
【0032】
具体的には、本実施例は、前記本体部1と、前記脚部2と、前記食材用載置部3に加え、略円筒状に形成される本体部1の上部開口部を開閉自在に閉塞する蓋部11と、略円筒状に形成される本体部1の下部開口部を閉塞する熱源(木炭等)を載置する熱源用載置部10を具備し、例えば、キャンプ等のアウトドアレジャーに適したバーベキューグリルとオーブンの2タイプの調理具として使用することができるように構成される組立式加熱調理具である。
【0033】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0034】
本実施例の本体部1は、複数の金属製の板状部材4が回動軸5を介して横幅方向に回動自在に連結され、展開形状が横長方形状を呈する形状に形成されている。
【0035】
また、この本体部1を形成する各板状部材4には、夫々、隣接する板状部材4対する内側方向への屈曲移動量を規制し、この隣接する板状部材4に対する内側への屈曲角度を所定角度に保持することができる屈曲規制部6が設けられていて、本実施例の本体部1は、各板状部材4を隣接する板状部材4に対して内側に屈曲させた場合は、各板状部材4に設けられている屈曲規制部6が隣接する板状部材4に係合(当接)して屈曲移動量が規制され(これ以上屈曲移動することができない状態になり)、隣接し合う板状部材4同士が成す屈曲角度が所定角度に保持されてこの本体部1が略円筒状に形成されるように構成され、また、各板状部材4を隣接する板状部材4に対して外側に屈曲させた場合は、各板状部材4に設けられた屈曲規制部6が隣接する板状部材4に係合せず屈曲量が規制されず屈曲操作自在となって、この本体部1を巻物状に巻回した形状にすることができるように構成されている。
【0036】
すなわち、本実施例の本体部1は、横長方形状の展開状態から各板状部材4を内側に屈曲操作することでこの本体部1を使用形態となる略円筒状に形成することができ、この屈曲操作と反対側、すなわち、外側に屈曲操作することでこの本体部1を収納形態となる巻物状に形成することができるように構成されている。
【0037】
具体的には、屈曲規制部6は、板状部材4の両側縁部に夫々設けられていて、この側縁部に沿って縦方向に延設される縦長板状片に形成され、この側縁部から外側に向かって突出状態に設けられている。
【0038】
より具体的には、本実施例の屈曲規制部6は、板状部材4と成す角度が90°以上の所定角度となるようにして、板状部材4の側縁部から外側に向かって突出状態に設けられていて、隣接する他の板状部材4に設けられる屈曲規制部6と面接触するように構成されている。
【0039】
更に具体的に説明すると、本実施例の屈曲規制部6は、板状部材4の側縁部を外側に向かって所定角度に折曲して(本実施例では板状部材4の板面との成す角度が約105°となるように折曲して)形成されていて、板状部材4と一体形成されている。
【0040】
また、本実施例の板状部材4には、夫々、連結部7が設けられていて、各板状部材4は、この連結部7を介して屈曲回動自在に連結されている。
【0041】
具体的には、本実施例の連結部7は、板状部材4の左右両端部に夫々設けられており、より具体的には、板状部材4の側縁部に設けられた屈曲規制部6の側端部に設けられている。本実施例では、この連結部7も屈曲規制部6と同様、板状部材4を折曲して形成されるものであり、すなわち、本実施例は、所定形状に形成される板状部材4の両端部を外側に所定角度折曲することで屈曲規制部6が形成され、更にこの屈曲規制部6の側端部を所定形状に折曲することで連結部7が形成され、板状部材4に屈曲規制部6と連結部7とが一体形成される構成とされている。
【0042】
本実施例の連結部7には、回動軸5が挿通される軸挿通孔7Aが形成されていて、本実施例は、隣接し合う板状部材4の夫々の連結部7を、軸挿通孔7Aが連通状態となるように連結係合し、連通状態となった夫々の連結部7の軸挿通孔7Aに回動軸5、具体的には、リベット軸5を挿通配設して、板状部材4同士がこのリベット軸5を軸として屈曲回動自在に連結される構成とされている。
【0043】
尚、本実施例の連結部7は、図示するように、一箇所だけ軸挿通孔7Aではなく、回動軸5(リベット軸5)の代わりとなる板状軸部5Aが設けられていて、連結時にこの板状軸部5Aを他方の連結部7の軸挿通孔7Aに挿入することで、容易に位置決めができると共に、取り付け時に抜け止め処理が必要なリベット軸5の取り付け本数を低減して作業工数を軽減することができるように構成されている。
【0044】
本実施例の本体部1について、より詳細に説明すると、本実施例の本体部1は、縦長状に形成され板面に凸条の補強リブ17が形成される十二枚の板状部材4からなり、屈曲操作により組み立てることで平面視十二角形の筒状体(略円筒体)に形成され、本体部1の一側端部に配置される板状部材4に設けられる連結保持具13を、他側端部に配置される板状部材4に設けられる連結保持具係止部14に係止させることで、この筒状形態が保持(保形)される構成とされている。
【0045】
また、本実施例の本体部1は、この連結保持具13と連結保持具係止部14との係止状態を解除し、連結保持具13が設けられる板状部材4及びこれと連続する二枚の板状部材4の計三枚の板状部材4が、この本体部1の開閉扉部1Aとなる構成とされ、この三枚の板状部材4で形成される開閉扉部1Aの開き操作により、本体正面開口部1Bが形成され、この本体正面開口部1Bを介して本体部1内に食材や熱源となる木炭等の出し入れを行うことができるように構成されている。
【0046】
また、本実施例の本体部1は、この連結保持具13と連結保持具係止部14との係止状態を解除しても、本体部1の筒状形態を保持する本体部保形手段12を有する構成とされている。
【0047】
具体的には、本実施例の本体部保形手段12は、線材12(本実施例では金属製ワイヤーを採用)であり、この線材12で、連結保持具13との係止状態が解除される連結保持具係止部14が設けられる板状部材4と、本体正面開口部1Bの基端部と連結される板状部材4とを引張り付勢状態で連結することで、連結保持具13と連結保持具係止部14との係止状態が解除されても、本体正面開口部1Bを形成する三枚の板状部材4を除く残りの九枚の板状部材4で本体部1が保形されるように構成されている。
【0048】
また、本実施例の本体部1は、十二枚の板状部材4のうち少なくとも三枚の板状部材4には、本体部1を支持する脚部2が着脱自在折に取り付けられる脚部取付部8が設けられており、具体的には、所定位置に配される三枚の板状部材4に、この脚部取付部8が設けられていて、本実施例は、これら板状部材4の脚部取付部8に取り付けられる三本の脚部2で本体部1が支持される構成とされている。
【0049】
尚、この脚部取付部8に着脱自在に取り付けられる本実施例の脚部2は、図示するように、U字状またはV字状に形成される弾性を有する金属線材からなる構成とされ、押圧操作により対向する線材の間隔を狭めて、脚部取付部8にセットし、押圧操作を解除して線材間隔が広がることで、脚部2の先端部に設けられる脚部係止部2Aが脚部取付部8に嵌挿されて、脚部取付部8に取り付けられる構成とされている。
【0050】
また、同じくこれら十二枚の板状部材4のうち少なくとも三枚の板状部材4には、本体部1内に配置される食材を載置する網状に形成される食材用載置部3及び木炭等の熱源を載置するトレー状に形成される熱源用載置部10を支持する支持部9が取り付けられており、具体的には、所定位置に配される三枚の板状部材4(本実施例では、前述した脚部取付部8が設けられる三枚の板状部材4)に、この支持部9が設けられていて、本実施例は、この板状部材4に設けられる三体の支持部9で本体部1に設けられる食材用載置部3及び熱源用載置部10が着脱自在に支持される構成とされている。
【0051】
より具体的には、本実施例の支持部9は、図示するように、上下方向に複数のフック部9Aを有する構成とされていて、食材用載置部3及び熱源用載置部10は、このフック部9Aに支持されて本体部1内の所望の高さ位置にセットされる構成とされている。
【0052】
更に具体的には、本実施例の食材用載置部3及び熱源用載置部10は、夫々、図示するように、周縁部にこのフック部9Aに被嵌する被嵌部3A,10Aが設けられていて、食材用載置部3は被嵌係合部3Aを、熱源用載置部10は被嵌係合部10Aを夫々所望の高さ位置のフック部9Aに被嵌させることで、本体部1内の所望の高さ位置にセットされる構成とされている。
【0053】
また、このように構成される本体部1の上部開口部を閉塞する蓋部11は、開口度調整自在に構成される排気口部15と、取手部16とを有し、本体部1の上部開口部に着脱自在に設けられる構成とされている。
【0054】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0055】
まず、本実施例の組み立て方について説明する。
【0056】
本実施例を組み立てる際は、まず、収納状態の巻物状に巻回されている本体部1を展開し、各板状部材4を、夫々の板状部材4に設けられる屈曲規制部6同士が当接し合うように内側に屈曲操作し、本体部1を略円筒状の平面視正十二角形の筒状体に形成する。
【0057】
次いで、この筒状に形成した本体部1の一側端部に設けられる連結保持具13を他側端部に設けられる連結保持具係止部14に係止すると共に、本体部保形手段12である線材12を所定の板状部材4間に架設しこの板状部材4同士を引張り付勢連結することで、各板状部材4の屈曲規制部6同士の面接状態が保持され本体部1が保形され、本体部1の組み立てが完了する。
【0058】
次いで、この筒状に組み立てられた本体部1に脚部2を取り付ける。脚部2の取り付けは、前述のとおり、押圧操作により対向する線材の間隔を狭めて、脚部取付部8にセットし、押圧操作を解除して線材間隔を広げ、脚部2の先端部に設けられる脚部係止部2Aを脚部取付部8の脚部係止孔8Aに嵌挿させることで、脚部2を本体部1の脚部取付部8に取り付けることができる。
【0059】
次いで、食材用載置部3及び熱源用載置部10を本体部1にセットする。熱源用載置部10は本体部1の下部(底部)にセットされるよう、支持部9の最下段のフック部9Aに被嵌係合部10Aを被嵌させて取り付ける。
【0060】
また、食材用載置部3は、使用目的により、そのセット位置を調整する。例えば、バーベキューグリルとして使用する場合は、支持部9の最上段のフック部9Aに被嵌係合部3Aを被嵌させて取り付け、また、オーブンとして使用する場合は、支持部9の中段付近のフック部9Aに被嵌係合部3Aを被嵌させて取り付ける。
【0061】
以上により、本実施例の組み立てが完了する。尚、上記組み立て手順は一例に過ぎず、脚部2、食材用載置部3、熱源用載置部10の取り付け順は、入れ替え可能であり、また、展開状態の本体部1に予め脚部2を取り付け、この脚部2が取り付けられた状態で本体部1を組み立てても良い。
【0062】
このように、本実施例は、本体部1を内側方向に屈曲操作するだけの簡易な操作で容易にこの本体部1を使用形態となる略円筒状に形成することができるので、組み立て容易な使い勝手の良い組立式加熱調理具となる。
【0063】
また、本実施例は、この組み立て時の屈曲方向と反対方向の外側に屈曲操作した場合は、屈曲規制部6が機能しない(隣接する板状部材4と干渉しない)ので、各板状部材4をこの外側方向に対しては屈曲量が規制されることなく自在に屈曲回動させることができ、これにより本体部1を渦巻状に巻回してコンパクトな形態にすることができ、収納時に嵩張らず持ち運びが容易になる。
【0064】
このように、本実施例、折り畳み収納可能で且つ組み立てが容易な略円筒形に形成される本体部1を備える実用性に優れた画期的な組立式加熱調理具となる。
【0065】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0066】
1 本体部
1A 開閉扉部
1B 本体正面開口部
2 脚部
3 食材用載置部
4 板状部材
5 回動軸
6 屈曲規制部
7 連結部
7A 軸挿通孔
8 脚部取付部
9 支持部
10 熱源用載置部
11 蓋部
12 本体部保形手段
13 連結保持具
14 連結保持具係止部
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