【実施例】
【0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例は、略円筒状に形成される本体部1と、この本体部1を支持する脚部2と、前記本体部1の下部側に配される熱源により調理される食材が載置される食材用載置部3とを具備する組立式加熱調理具である。
【0032】
具体的には、本実施例は、前記本体部1と、前記脚部2と、前記食材用載置部3に加え、略円筒状に形成される本体部1の上部開口部を開閉自在に閉塞する蓋部11と、略円筒状に形成される本体部1の下部開口部を閉塞する熱源(木炭等)を載置する熱源用載置部10を具備し、例えば、キャンプ等のアウトドアレジャーに適したバーベキューグリルとオーブンの2タイプの調理具として使用することができるように構成される組立式加熱調理具である。
【0033】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0034】
本実施例の本体部1は、複数の金属製の板状部材4が回動軸5を介して横幅方向に回動自在に連結され、展開形状が横長方形状を呈する形状に形成されている。
【0035】
また、この本体部1を形成する各板状部材4には、夫々、隣接する板状部材4対する内側方向への屈曲移動量を規制し、この隣接する板状部材4に対する内側への屈曲角度を所定角度に保持することができる屈曲規制部6が設けられていて、本実施例の本体部1は、各板状部材4を隣接する板状部材4に対して内側に屈曲させた場合は、各板状部材4に設けられている屈曲規制部6が隣接する板状部材4に係合(当接)して屈曲移動量が規制され(これ以上屈曲移動することができない状態になり)、隣接し合う板状部材4同士が成す屈曲角度が所定角度に保持されてこの本体部1が略円筒状に形成されるように構成され、また、各板状部材4を隣接する板状部材4に対して外側に屈曲させた場合は、各板状部材4に設けられた屈曲規制部6が隣接する板状部材4に係合せず屈曲量が規制されず屈曲操作自在となって、この本体部1を巻物状に巻回した形状にすることができるように構成されている。
【0036】
すなわち、本実施例の本体部1は、横長方形状の展開状態から各板状部材4を内側に屈曲操作することでこの本体部1を使用形態となる略円筒状に形成することができ、この屈曲操作と反対側、すなわち、外側に屈曲操作することでこの本体部1を収納形態となる巻物状に形成することができるように構成されている。
【0037】
具体的には、屈曲規制部6は、板状部材4の両側縁部に夫々設けられていて、この側縁部に沿って縦方向に延設される縦長板状片に形成され、この側縁部から外側に向かって突出状態に設けられている。
【0038】
より具体的には、本実施例の屈曲規制部6は、板状部材4と成す角度が90°以上の所定角度となるようにして、板状部材4の側縁部から外側に向かって突出状態に設けられていて、隣接する他の板状部材4に設けられる屈曲規制部6と面接触するように構成されている。
【0039】
更に具体的に説明すると、本実施例の屈曲規制部6は、板状部材4の側縁部を外側に向かって所定角度に折曲して(本実施例では板状部材4の板面との成す角度が約105°となるように折曲して)形成されていて、板状部材4と一体形成されている。
【0040】
また、本実施例の板状部材4には、夫々、連結部7が設けられていて、各板状部材4は、この連結部7を介して屈曲回動自在に連結されている。
【0041】
具体的には、本実施例の連結部7は、板状部材4の左右両端部に夫々設けられており、より具体的には、板状部材4の側縁部に設けられた屈曲規制部6の側端部に設けられている。本実施例では、この連結部7も屈曲規制部6と同様、板状部材4を折曲して形成されるものであり、すなわち、本実施例は、所定形状に形成される板状部材4の両端部を外側に所定角度折曲することで屈曲規制部6が形成され、更にこの屈曲規制部6の側端部を所定形状に折曲することで連結部7が形成され、板状部材4に屈曲規制部6と連結部7とが一体形成される構成とされている。
【0042】
本実施例の連結部7には、回動軸5が挿通される軸挿通孔7Aが形成されていて、本実施例は、隣接し合う板状部材4の夫々の連結部7を、軸挿通孔7Aが連通状態となるように連結係合し、連通状態となった夫々の連結部7の軸挿通孔7Aに回動軸5、具体的には、リベット軸5を挿通配設して、板状部材4同士がこのリベット軸5を軸として屈曲回動自在に連結される構成とされている。
【0043】
尚、本実施例の連結部7は、図示するように、一箇所だけ軸挿通孔7Aではなく、回動軸5(リベット軸5)の代わりとなる板状軸部5Aが設けられていて、連結時にこの板状軸部5Aを他方の連結部7の軸挿通孔7Aに挿入することで、容易に位置決めができると共に、取り付け時に抜け止め処理が必要なリベット軸5の取り付け本数を低減して作業工数を軽減することができるように構成されている。
【0044】
本実施例の本体部1について、より詳細に説明すると、本実施例の本体部1は、縦長状に形成され板面に凸条の補強リブ17が形成される十二枚の板状部材4からなり、屈曲操作により組み立てることで平面視十二角形の筒状体(略円筒体)に形成され、本体部1の一側端部に配置される板状部材4に設けられる連結保持具13を、他側端部に配置される板状部材4に設けられる連結保持具係止部14に係止させることで、この筒状形態が保持(保形)される構成とされている。
【0045】
また、本実施例の本体部1は、この連結保持具13と連結保持具係止部14との係止状態を解除し、連結保持具13が設けられる板状部材4及びこれと連続する二枚の板状部材4の計三枚の板状部材4が、この本体部1の開閉扉部1Aとなる構成とされ、この三枚の板状部材4で形成される開閉扉部1Aの開き操作により、本体正面開口部1Bが形成され、この本体正面開口部1Bを介して本体部1内に食材や熱源となる木炭等の出し入れを行うことができるように構成されている。
【0046】
また、本実施例の本体部1は、この連結保持具13と連結保持具係止部14との係止状態を解除しても、本体部1の筒状形態を保持する本体部保形手段12を有する構成とされている。
【0047】
具体的には、本実施例の本体部保形手段12は、線材12(本実施例では金属製ワイヤーを採用)であり、この線材12で、連結保持具13との係止状態が解除される連結保持具係止部14が設けられる板状部材4と、本体正面開口部1Bの基端部と連結される板状部材4とを引張り付勢状態で連結することで、連結保持具13と連結保持具係止部14との係止状態が解除されても、本体正面開口部1Bを形成する三枚の板状部材4を除く残りの九枚の板状部材4で本体部1が保形されるように構成されている。
【0048】
また、本実施例の本体部1は、十二枚の板状部材4のうち少なくとも三枚の板状部材4には、本体部1を支持する脚部2が着脱自在折に取り付けられる脚部取付部8が設けられており、具体的には、所定位置に配される三枚の板状部材4に、この脚部取付部8が設けられていて、本実施例は、これら板状部材4の脚部取付部8に取り付けられる三本の脚部2で本体部1が支持される構成とされている。
【0049】
尚、この脚部取付部8に着脱自在に取り付けられる本実施例の脚部2は、図示するように、U字状またはV字状に形成される弾性を有する金属線材からなる構成とされ、押圧操作により対向する線材の間隔を狭めて、脚部取付部8にセットし、押圧操作を解除して線材間隔が広がることで、脚部2の先端部に設けられる脚部係止部2Aが脚部取付部8に嵌挿されて、脚部取付部8に取り付けられる構成とされている。
【0050】
また、同じくこれら十二枚の板状部材4のうち少なくとも三枚の板状部材4には、本体部1内に配置される食材を載置する網状に形成される食材用載置部3及び木炭等の熱源を載置するトレー状に形成される熱源用載置部10を支持する支持部9が取り付けられており、具体的には、所定位置に配される三枚の板状部材4(本実施例では、前述した脚部取付部8が設けられる三枚の板状部材4)に、この支持部9が設けられていて、本実施例は、この板状部材4に設けられる三体の支持部9で本体部1に設けられる食材用載置部3及び熱源用載置部10が着脱自在に支持される構成とされている。
【0051】
より具体的には、本実施例の支持部9は、図示するように、上下方向に複数のフック部9Aを有する構成とされていて、食材用載置部3及び熱源用載置部10は、このフック部9Aに支持されて本体部1内の所望の高さ位置にセットされる構成とされている。
【0052】
更に具体的には、本実施例の食材用載置部3及び熱源用載置部10は、夫々、図示するように、周縁部にこのフック部9Aに被嵌する被嵌部3A,10Aが設けられていて、食材用載置部3は被嵌係合部3Aを、熱源用載置部10は被嵌係合部10Aを夫々所望の高さ位置のフック部9Aに被嵌させることで、本体部1内の所望の高さ位置にセットされる構成とされている。
【0053】
また、このように構成される本体部1の上部開口部を閉塞する蓋部11は、開口度調整自在に構成される排気口部15と、取手部16とを有し、本体部1の上部開口部に着脱自在に設けられる構成とされている。
【0054】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0055】
まず、本実施例の組み立て方について説明する。
【0056】
本実施例を組み立てる際は、まず、収納状態の巻物状に巻回されている本体部1を展開し、各板状部材4を、夫々の板状部材4に設けられる屈曲規制部6同士が当接し合うように内側に屈曲操作し、本体部1を略円筒状の平面視正十二角形の筒状体に形成する。
【0057】
次いで、この筒状に形成した本体部1の一側端部に設けられる連結保持具13を他側端部に設けられる連結保持具係止部14に係止すると共に、本体部保形手段12である線材12を所定の板状部材4間に架設しこの板状部材4同士を引張り付勢連結することで、各板状部材4の屈曲規制部6同士の面接状態が保持され本体部1が保形され、本体部1の組み立てが完了する。
【0058】
次いで、この筒状に組み立てられた本体部1に脚部2を取り付ける。脚部2の取り付けは、前述のとおり、押圧操作により対向する線材の間隔を狭めて、脚部取付部8にセットし、押圧操作を解除して線材間隔を広げ、脚部2の先端部に設けられる脚部係止部2Aを脚部取付部8の脚部係止孔8Aに嵌挿させることで、脚部2を本体部1の脚部取付部8に取り付けることができる。
【0059】
次いで、食材用載置部3及び熱源用載置部10を本体部1にセットする。熱源用載置部10は本体部1の下部(底部)にセットされるよう、支持部9の最下段のフック部9Aに被嵌係合部10Aを被嵌させて取り付ける。
【0060】
また、食材用載置部3は、使用目的により、そのセット位置を調整する。例えば、バーベキューグリルとして使用する場合は、支持部9の最上段のフック部9Aに被嵌係合部3Aを被嵌させて取り付け、また、オーブンとして使用する場合は、支持部9の中段付近のフック部9Aに被嵌係合部3Aを被嵌させて取り付ける。
【0061】
以上により、本実施例の組み立てが完了する。尚、上記組み立て手順は一例に過ぎず、脚部2、食材用載置部3、熱源用載置部10の取り付け順は、入れ替え可能であり、また、展開状態の本体部1に予め脚部2を取り付け、この脚部2が取り付けられた状態で本体部1を組み立てても良い。
【0062】
このように、本実施例は、本体部1を内側方向に屈曲操作するだけの簡易な操作で容易にこの本体部1を使用形態となる略円筒状に形成することができるので、組み立て容易な使い勝手の良い組立式加熱調理具となる。
【0063】
また、本実施例は、この組み立て時の屈曲方向と反対方向の外側に屈曲操作した場合は、屈曲規制部6が機能しない(隣接する板状部材4と干渉しない)ので、各板状部材4をこの外側方向に対しては屈曲量が規制されることなく自在に屈曲回動させることができ、これにより本体部1を渦巻状に巻回してコンパクトな形態にすることができ、収納時に嵩張らず持ち運びが容易になる。
【0064】
このように、本実施例、折り畳み収納可能で且つ組み立てが容易な略円筒形に形成される本体部1を備える実用性に優れた画期的な組立式加熱調理具となる。
【0065】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。