特許第6670298号(P6670298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670298硬化型樹脂組成物用表面処理炭酸カルシウム填料、及び該填料を含有してなる硬化型樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670298
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】硬化型樹脂組成物用表面処理炭酸カルシウム填料、及び該填料を含有してなる硬化型樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09C 1/02 20060101AFI20200309BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20200309BHJP
   C09C 3/08 20060101ALI20200309BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20200309BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200309BHJP
   C09J 201/10 20060101ALI20200309BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20200309BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20200309BHJP
   C08L 101/10 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   C09C1/02
   C08L101/00
   C09C3/08
   C09J11/04
   C09J11/06
   C09J201/10
   C09K3/10 G
   C09K3/10 Z
   C09K3/10 Q
   C09K3/10 D
   C09K3/10 F
   C09K3/10 E
   C09K3/10 L
   C08K9/04
   C08L101/10
【請求項の数】7
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-508308(P2017-508308)
(86)(22)【出願日】2016年3月18日
(86)【国際出願番号】JP2016058654
(87)【国際公開番号】WO2016152762
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2019年1月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-59316(P2015-59316)
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008442
【氏名又は名称】丸尾カルシウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(74)【代理人】
【識別番号】100076820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 健次
(72)【発明者】
【氏名】内海 良二
(72)【発明者】
【氏名】坂口 茂
(72)【発明者】
【氏名】西岡 孝明
【審査官】 山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−220547(JP,A)
【文献】 特開2007−197585(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/099154(WO,A1)
【文献】 特開2013−216863(JP,A)
【文献】 特開2014−156525(JP,A)
【文献】 特開2010−077258(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104263014(CN,A)
【文献】 特開2015−003835(JP,A)
【文献】 特開2007−161515(JP,A)
【文献】 伊藤 征司郎 編,顔料の辞典,東京:株式会社 朝倉書店,2000年,初版,第171頁,ISBN 4-254-25243-9, 表II.3.5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/00−3/12
C09D 15/00−17/00
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
C09K 3/00−3/12
C09J 1/00−5/00、9/00−201/10
C01F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緻密質石灰石を用いて合成された炭酸カルシウムが表面処理剤で処理された表面処理炭酸カルシウムであって、下記式(1)〜(4)
(1)0≦Mg≦2000 [ppm]
(2)0≦Fe≦200 [ppm]
(3)70≦SFa≦100 [重量%]
(4)0≦UFa≦30 [重量%]
但し、
Mg:表面処理炭酸カルシウムに含まれるマグネシウムの割合 [ppm]
Fe:表面処理炭酸カルシウムに含まれる鉄の割合 [ppm]
SFa:脂肪酸の1価の水溶性塩からなる表面処理剤のうち、飽和脂肪酸の割合 [重量%]
UFa:脂肪酸の1価の水溶性塩からなる表面処理剤のうち、不飽和脂肪酸の割合 [重量%]
を満足し、
炭酸カルシウムの固形分に対する表面処理量が0.5〜20.0重量%である、硬化型樹脂組成物用表面処理炭酸カルシウム填料。
【請求項2】
下記成分(A)、(B)及び(C)を含有することを特徴とする硬化型樹脂組成物。
(A)架橋性珪素基を含有する硬化型樹脂、
(B)架橋性硬化触媒、及び
(C)請求項1に記載の表面処理炭酸カルシウム填料。
【請求項3】
架橋性珪素基を有する硬化型樹脂(A)が、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、シリル基末端ポリイソブチレン樹脂、シリル化アクリレート樹脂及びシリル化ウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
架橋性硬化触媒(B)が、錫、チタン、ビスマス、ジルコニウム、アルミニウムからなる有機金属触媒、アミン化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2又は3記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
下記成分(D)、(E)及び(F)を含有することを特徴とする硬化型樹脂組成物。
(D)ポリウレタン樹脂、ポリサルファイド樹脂及び変成ポリサルファイドからなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化型樹脂、
(E)硬化触媒、及び
(F)請求項1に記載の表面処理炭酸カルシウム填料。
【請求項6】
硬化型樹脂組成物がシーリング材又は接着剤であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項7】
硬化型樹脂組成物が1成分形であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の硬化型樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化型樹脂組成物用表面処理炭酸カルシウム填料、及び該填料を配合してなる硬化型樹脂組成物に関し、更に詳しくは、たとえば建築外壁目地に充填されたシーラント分野においては、長期にわたって耐熱性、耐変色性、強度、伸びに優れた性能を有し、また、住宅外壁のタイル接着剤分野においては、長期にわたって剥落防止させるだけでなくタイル間目地に存在する接着剤が変色することなく意匠性を損なわない、表面処理炭酸カルシウム填料、及び該填料を含有してなる硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
末端にシラノール基または反応性シリル基等、架橋性珪素基を持った、加水分解と縮合反応によってシロキサン結合を形成するシリコーン系樹脂組成物や変成シリコーン系樹脂組成物、末端にイソシアネート基を有するポリウレタン系樹脂組成物や、末端にチオール基を有するポリサルファイド系樹脂組成物、末端にメルカプト基を有する変成ポリサルファイド系樹脂組成物は、その硬化物が耐候性・耐久性・耐熱性・耐寒性等の物性に優れていることから、様々な分野で広く使用されており、特に建築分野ではシーリング材、接着剤、床材、防水材、塗料として大量に使用されている。特に、外装タイル接着分野においては、従来、樹脂モルタル接着剤が用いられていたが、近年ではタイル剥落落下問題から接着力の大きい他材料が求められている。架橋性珪素基をもったシリコーン変成エポキシ接着剤が強力な接着強度があるうえ弾性機能を有する特徴から、経年劣化による剥落防止だけでなく、地震による振動、衝撃への緩和にも効果があり、その実績が認められたことからめざましい勢いで普及が進んでいる。また最近では建築物、住宅の長寿命化の要求に伴い、これらの架橋性珪素基を有する硬化型樹脂組成物は、長期にわたって物性変化の少ない耐久性、耐候性の高いもの、あるいは黄変、退色等の意匠性を損なう外観上の劣化現象を軽減できるものが必要とされてきた。
【0003】
炭素数8以上の飽和脂肪酸の金属石鹸、又は不飽和脂肪酸の金属石鹸、又は脂環式カルボン酸の金属石鹸からなる群より選ばれた少なくとも1種で湿式表面処理されるとともに、アルカリ金属を含有しないことを特徴とする表面処理炭酸カルシウム填料が、乾燥時の耐熱性にすぐれ硬化型樹脂組成物のチキソ性、耐スランプ性及び良好な貯蔵安定性を付与することが報告されている(特許文献1)。
【0004】
また、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸のナトリウム塩、カリウム塩の合計割合が30〜60重量%の範囲で、かつ不飽和脂肪酸ナトリウム塩、及びカリウム塩の含有割合が5重量%以下である表面処理炭酸カルシウムが、低粘度で貯蔵安定性にすぐれたペースト状樹脂組成物を得ることができると報告されている(特許文献2)。
さらには、耐候性、貯蔵安定性、耐水性が良好で、熱暴露後又は長期での伸びの低下が少ないシーリング材組成物が報告されている(特許文献3)。ここでは加水分解性シリル基である硬化型樹脂の分子内にウレタン結合又は尿素結合をもち、シラン化合物、三フッ化ホウ素及び/又は錯体化合物、フッ素化剤、多価フルオロ化合物のアルカリ金属塩等から選ばれる組み合わせで耐候性、貯蔵安定性、耐水性が良好で熱暴露後又は長期での伸びの低下が少ない特徴を発揮するシーリング材組成物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3650381号公報
【特許文献2】特開2010−228976号公報
【特許文献3】特開2010−47722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した硬化型樹脂組成物には、一般的に緻密質石灰石を用いて合成された表面処理炭酸カルシウムが用いられる。緻密質石灰石は天然界に存在するものを採取し、焼成、消化を行って水酸化カルシウムに調整し、炭酸ガスと反応させることによって合成し、不純物をある程度化学的、機械的に除去して表面処理を行って表面処理炭酸カルシウムを製造している。この緻密質石灰石は鉱脈の産地によって不純物の割合が異なり、炭酸カルシウム合成時に原石中のシリカ、アルミ、マグネシウム、鉄成分等の不純物はある程度除去できるものの、完全にゼロにすることは難しく、特にマグネシウム、鉄成分が残存してしまい、架橋性珪素基を有する硬化型樹脂組成物の変色等、外観上の不具合の原因のひとつとなっている。
【0007】
また、上記特許文献1では、水不溶性の金属石鹸と炭素数8以上の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環式脂肪酸と反応させてアルカリ金属を含まない表面処理炭酸カルシウムを得るには、製造時の温度、時間によって安定した品質が得られない問題がある。
【0008】
また、上記特許文献2では、貯蔵安定性については効果が認められるが、マグネシウムや鉄の含有量によっては、ペースト状組成物の色調が熱や紫外線によって維持できなくなり白色度が低下して赤っぽくなったり、黄色っぽくなったりして変色してしまい、意匠性を損なってしまう場合がある。
【0009】
更に、特許文献3では、表面処理炭酸カルシウムについては記載がなく、また、マグネシウムや鉄による変色についても記載されていない。
【0010】
本発明はかかる実情に鑑み、上記従来技術の問題を解消し、硬化型樹脂組成物に配合した際、長期にわたって耐熱性、耐変色性、強度、伸びに優れた性能を有する表面処理炭酸カルシウム填料、及び該填料を含有してなる硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題の解決を目的として鋭意検討を重ねた結果、緻密質石灰石を用いて合成された表面処理炭酸カルシウムであって、表面処理炭酸カルシウムに含まれる金属成分のうちマグネシウム成分が2000ppm以下、鉄成分が200ppm以下で、1価の水溶性の塩からなる脂肪酸のうち、飽和脂肪酸割合が70〜100%、不飽和脂肪酸割合が0〜30%で表面処理した炭酸カルシウム填料が、硬化型樹脂特に、架橋性珪素基を有する硬化型樹脂に配合されることにより、耐熱性、耐変色性、強度、伸びに優れた性能を発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、下記を特徴とするものである。
1.緻密質石灰石を用いて合成された炭酸カルシウムが表面処理剤で処理された表面処理炭酸カルシウムであって、下記式(1)〜(4)
(1)0≦Mg≦2000 [ppm]
(2)0≦Fe≦200 [ppm]
(3)70≦SFa≦100 [重量%]
(4)0≦UFa≦30 [重量%]
但し、
Mg:表面処理炭酸カルシウムに含まれるマグネシウムの割合 [ppm]
Fe:表面処理炭酸カルシウムに含まれる鉄の割合 [ppm]
SFa:脂肪酸の1価の水溶性塩からなる表面処理剤のうち、飽和脂肪酸の割合 [重量%]
UFa:脂肪酸の1価の水溶性塩からなる表面処理剤のうち、不飽和脂肪酸の割合 [重量%]
を満足し、
炭酸カルシウムの固形分に対する表面処理量が0.5〜20.0重量%である、硬化型樹脂組成物用表面処理炭酸カルシウム填料。
2.下記成分(A)、(B)及び(C)を含有することを特徴とする硬化型樹脂組成物。
(A)架橋性珪素基を有する硬化型樹脂、
(B)架橋性硬化触媒、及び
(C)上記1.に記載の表面処理炭酸カルシウム填料。
3.架橋性珪素基を有する硬化型樹脂(A)が、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、シリル基末端ポリイソブチレン樹脂、シリル化アクリレート樹脂及びシリル化ウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする硬化型樹脂組成物。
4.架橋性硬化触媒(B)が、錫、チタン、ビスマス、ジルコニウム、アルミニウムからなる有機金属触媒、アミン化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする硬化型樹脂組成物。
5.下記成分(D)、(E)及び(F)を含有することを特徴とする硬化型樹脂組成物。
(D)ポリウレタン樹脂、ポリサルファイド樹脂及び変成ポリサルファイドからなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化型樹脂、
(E)硬化触媒、及び
(F)請求項1に記載の表面処理炭酸カルシウム填料。
6.硬化型樹脂組成物がシーリング材又は接着剤であることを特徴とする硬化型樹脂組成物。
7.硬化型樹脂組成物が1成分形であることを特徴とする硬化型樹脂組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明の緻密質石灰石を用いて合成された表面処理炭酸カルシウムを、硬化型樹脂に配合することにより、たとえば建築外壁目地に充填されたシーラント分野においては、長期にわたって耐熱性、耐変色性、強度、伸びに優れた性能を有し、また、住宅外壁のタイル接着剤分野においては、長期にわたって剥落防止させるだけでなくタイル間目地に存在する接着剤が変色することなく意匠性を損なわない効果が得られる。この効果が発揮される理由は必ずしも明らかではないが以下のように推察される。
【0014】
耐熱性、耐変色性で物性が悪化する要因としては、有機物の劣化によるラジカルの生成があげられる。特に緻密質石灰石を用いて合成しているコロイド炭酸カルシウムは、一般に飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸などの表面処理剤を用いて被覆しているため、熱によって表面処理剤の劣化(ラジカルの形成)が起こる。これらのラジカルによる劣化や変色は、老化防止剤などでラジカルが捕捉されることによって防止されるが、この防止効果は老化防止剤の配合量が少量であるため永久的でない。そのため、長期的には捕捉されなかったラジカルが架橋性硬化触媒中の金属成分や表面処理炭酸カルシウム中に含まれるマグネシウムや鉄成分とも反応して変色という形で劣化が発生するものと推察される。一般的には二重結合をもった不飽和脂肪酸の方が耐熱性は低く、ラジカル形成の割合も多い。一方、飽和脂肪酸は耐熱性は高いが炭酸カルシウムに表面処理されにくい性質がある。このため、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の割合のバランスだけでなく、緻密質石灰石を合成するうえでのマグネシウム量、鉄量を一定量以下になるよう制限を加えることによって、表面処理剤の熱劣化によるラジカルの形成を抑え、かつ金属成分との反応によって生じる発色等の劣化現象を抑える効果が発揮されるものと推察される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
炭酸カルシウムには、天然炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム)及び合成炭酸カルシウム(コロイド炭酸カルシウム)がある。天然炭酸カルシウムは、糖晶質石灰石から直接製造されるもので、例えば、糖晶質石灰石原石を機械的に粉砕・分級することにより製造することができる。合成炭酸カルシウムは、緻密質石灰石を用いてキルン等の焼成炉で焼成して酸化カルシウムにして、水にて消化して水酸化カルシウムにしてから製造されるもので、例えば、水酸化カルシウムを炭酸ガスと反応させることによって製造することができる。一般的に緻密質石灰石を用いて合成したコロイド炭酸カルシウムは粒子を均一に制御でき、原石中の不純物を比較的容易に取り除くことができるため、表面処理炭酸カルシウムは圧倒的に緻密質石灰石を用いて合成される。但し、この緻密質石灰石は産地によって鉄やマグネシウムなどの金属酸化物を多く含んでいることがあり、この金属酸化物が硬化型樹脂組成物の劣化、変色につながりやすいので、極力金属酸化物の少ない産地の緻密質石灰石の選定が必要である。本発明の目的用途としては、マグネシウム含有量としては2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下である。2000ppmより多くなると、変色への影響が大きくなり、強度や伸びが低下するため好ましくない。また、鉄含有量としては200ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。200ppmより多くなると、マグネシウムと同様、変色への影響が大きくなり、強度や伸びが低下するため好ましくない。これらの含有量は、原子吸光分光光度計(島津製作所製AA−6700F) にて測定された値である。
これらの含有量は、下記方法により測定される。
[試料の調整方法]
るつぼに試料を1g仕込み、300℃で3時間焼成した後、200mlのビーカーに試料、蒸留水30ml、硝酸7.5ml(有機金属測定用140−04016 硝酸(1.38)和光純薬工業株式会社製)を投入し、時計皿でふたをして電熱にて試料が溶けるまで加熱撹拌する。常温まで冷却後、100mlのメスフラスコでメスアップする。Mg金属の場合、塩化ランタン溶液(原子吸光分析用124−02351 和光純薬工業株式会社製)を1ml投入した後、蒸留水で100mlにメスアップする。Fe金属の場合、塩化ランタン溶液は投入せずに蒸留水で100mlにメスアップする。その後、5Cの濾紙で濾過して試料溶液とする。
[Mg金属、Fe金属の測定方法]
原子吸光分光光度計(島津製作所製AA−6700F)にて検量線法によりMg金属、Fe金属の含有量を求める。
【0016】
本発明の硬化型樹脂組成物用の表面処理炭酸カルシウムは、合成炭酸カルシウムであることが必要であり、また、BET比表面積Swが5〜40m2 /gであることが好ましい。BET比表面積Swが5m2 /g未満であると、十分なチキソ性を付与することが困難になる場合がある。また、BET比表面積Swが40m2 /gを超えると、表面を被覆するために必要な表面処理剤量が多くなり、硬化型樹脂組成物の強度が低くなる場合がある。BET比表面積Swのさらに好ましい値は6〜35m2 /gである。
BET比表面積Swは、表面処理炭酸カルシウムの窒素吸着法によるBET法で測定した場合の値であり、下記方法により測定される。
[試料の調整方法]
ガラスセルに試料を300mg仕込み、25ml/minで窒素を導通させながら200℃で10分前処理を行った後、常温で冷却して測定試料とする。
[BET比表面積の測定方法]
BET比表面積計(MacsorbHMmodel−1210、マウンテック社製)にて1点法にて測定。
【0017】
一般的に合成炭酸カルシウムの表面処理(表面被覆)は、湿式処理で行われる。この際、一般的に用いられる表面処理剤としては、脂肪酸や脂肪酸の誘導体となる1価の水溶性の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩である。これらは、炭酸カルシウムスラリー中のカルシウムイオンと反応し、炭酸カルシウム表面が置換され、対イオンが2価の脂肪酸塩であるカルシウム塩となる。しかしながら、一部がナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、そして脂肪酸として残存することがある。残存するナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、脂肪酸の割合が多いと遊離しているため熱によってラジカル形成が起こりやすくなるので、脂肪酸の種類、構成割合のバランスをとる必要がある。一般に脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられ、耐熱性の面を考慮すれば飽和脂肪酸の方が強いので飽和脂肪酸を多く含んだ構成にすることが好ましい。飽和脂肪酸の割合は70〜100%、好ましくは85〜100%、より好ましくは90〜95%である。飽和脂肪酸の割合が70%未満であると耐熱性の弱い不飽和脂肪酸の割合が多くなるため、熱劣化によるラジカル形成が大きくなり、強度、伸び等の物性低下、変色増大につながってしまう。不飽和脂肪酸の割合については、0〜30%、好ましくは0〜15%、より好ましくは5〜10%である。
【0018】
本発明で用いられる表面処理剤は、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸などの各ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ、これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
飽和脂肪酸としては、炭素数6〜31の飽和脂肪酸が好ましく、さらに好ましくは炭素数8〜26のものであり、さらに好ましくは炭素数9〜21のものである。飽和脂肪酸の具体例としては、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アライン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。これらの中でも、パルミチン酸、ステアリン酸及びラウリン酸が好ましい。
不飽和脂肪酸は、分子中に二重結合を持っている脂肪酸であり、例えば、飽和脂肪酸の脱水反応によって合成される。不飽和脂肪酸としては、炭素数6〜31の不飽和脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数8〜26のものであり、さらに好ましくは炭素数9〜21のものである。不飽和脂肪酸の具体例としては、オブッシル酸、カルロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、モリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレビン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸、ソルビン酸、リノール酸などが挙げられる。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。これらの中でも、オレイン酸、エルカ酸及びリノール酸が好ましい。
また、これらが混合された、牛脂や豚脂などの動物原料由来の脂肪酸、パームやヤシなどの植物原料由来の脂肪酸なども好ましく用いられる。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
脂環族カルボン酸としては、ナフテン酸等が挙げられる。樹脂酸としては、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸及びこれらの不均化ロジン、水添ロジン、2量体ロジン、3量体ロジンに代表される変成ロジンなどが挙げられる。更に、アルキルベンゼンスルホン酸に代表されるスルホン酸類およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩なども使用される。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
【0019】
表面処理の方法としては、特に限定されるものではないが、合成炭酸カルシウムを表面処理する場合は、調整した処理剤を合成炭酸カルシウムの水スラリー中に加え撹拌するか、合成炭酸カルシウムの含水ケーキ中に混練することにより表面処理するのが好ましい。
水スラリー中で表面処理する場合の合成炭酸カルシウムの水スラリーは、濃度10〜800gCaCO3 /Lが好ましい。濃度が10gCaCO3 /Lより低いと生産性の面で不利となり、一方、800gCaCO3 /Lより高いと水スラリーの粘度が高くなり表面処理剤が十分浸透しなくなる場合があり目的の填料が得られなくなる可能性がある。
水スラリー中で表面処理する場合の表面処理温度については、好ましくは20〜98℃、より好ましくは40〜90℃、更に好ましくは60〜80℃である。表面処理温度が20℃より低いと、炭酸カルシウムへの吸着結合が起こりにくくなり、また表面処理が不均一になるため好ましくない。また、処理温度が98℃より高いと、本発明の効果は十分得られるが、煮沸するおそれがあり危険であるばかりでなく、耐圧性装置を準備する必要があるので好ましくない。
また、含水ケーキ,もしくは乾式処理の場合、好ましくは20〜150℃、より好ましくは40〜130℃、更に好ましくは60〜120℃である。表面処理温度が20℃より低いと、炭酸カルシウムへの吸着結合が起こりにくくなり、また表面処理が不均一になるおそれがあるため好ましくない。また、表面処理温度が150℃より高いと、表面処理剤が熱劣化し、変質するおそれがあり、また耐圧性装置を必要とするため好ましくない。
前記した方法で表面処理した後、常法に従い、脱水,乾燥,解砕等の工程を経て粉末化し本発明の炭酸カルシウム填料を得ることができる。
【0020】
炭酸カルシウムの固形分に対する表面処理剤量は、好ましくは0.5〜20.0重量%、より好ましくは1.0〜15.0重量%である。0.5重量%未満になると、未処理面が存在してしまう恐れがあり、貯蔵後の増粘を引き起こし貯蔵安定性を低下させる場合がある。また、20.0重量%を超えると、表面処理剤が過多になり、十分な強度を得られなくなる場合がある。
200℃〜500℃の表面処理炭酸カルシウム1g当たりの熱減量(表面処理剤量)Tgは、好ましくは4.5〜150.0mg/g、より好ましくは9.0〜120.0mg/gである。4.5mg/g未満になると、未処理面が存在してしまう恐れがあり、貯蔵後の増粘を引き起こし貯蔵安定性を低下させる場合がある。また、150.0mg/gを超えると、表面処理剤が過多になり、十分な強度を得られなくなる場合がある。
【0021】
また、本発明の硬化型樹脂組成物用の表面処理炭酸カルシウムの、単位比表面積当たりの表面処理剤量Asは、1.9〜3.5mg/m2 であることが好ましい。単位比表面積当たりの表面処理剤量Asが、1.9mg/m2 未満になると、未処理面が存在してしまう恐れがあり、貯蔵後の増粘を引き起こし貯蔵安定性を低下させる場合がある。また、単位比表面積当たりの表面処理剤量Asが、3.5mg/m2 を超えると、表面処理剤が過多になり、十分な強度を得られなくなる場合がある。単位比表面積当たりの表面処理剤量Asのさらに好ましい範囲は、2.1〜2.8mg/m2 である。
単位比表面積当たりの表面処理剤量As[ mg/m2 ] =熱減量Tg/BET比表面積Swで算出されるものであり、Tgは下記方法により測定される。
Tg:200℃〜500℃の表面処理炭酸カルシウム1g当たりの熱減量[mg/g]
[熱減量の測定方法]
熱分析装置(ThermoPlusEVO II 、リガク社製)を用い、直径5mm、深さ5mmの試料パン(白金製)に表面処理炭酸カルシウム30mgを採取し、昇温速度15℃/minで常温から510℃まで昇温させたときの200℃〜500℃の熱減量を測定し、表面処理炭酸カルシウム1g当たりの熱減量(表面処理剤量)(mg/g)を求める。
【0022】
本発明の硬化型樹脂組成物に用いられる硬化型樹脂としては、特に末端にシラノール基または反応性シリル基等架橋性珪素基を有する樹脂が好ましく、例えば、加水分解と縮合反応によってシロキサン結合を形成するシリコーン樹脂や変成シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、シリル基末端ポリイソブチレン樹脂、シリル化アクリレート樹脂、シリル化ウレタン樹脂などが挙げられる。また、ポリウレタン樹脂、ポリサルファイド樹脂、変成ポリサルファイド樹脂などが挙げられる。
これらは、単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
【0023】
シリコーン樹脂としては、下記一般式(1)で表わされるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0024】
【化1】
【0025】
(但し、式中、Rは1価炭化水素基であり、nは25℃における粘度が10〜100万センチストークスとなる整数である。)
【0026】
上記一般式(1)において、Rは置換又は非置換の1価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基,プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ビニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基又はこれら基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換した基、例えばクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが挙げられ、特にメチル基、フェニル基、ビニル基、トリフルオロプロピル基が好ましい。なお、nは重合度に相当する数で、25℃における粘度が10〜100万センチストークス(cst)であり、作業性の面から好ましくは500〜10万cstの範囲である。このような式(1)で示されるオルガノポリシロキサンとして具体的には、下記一般式(2)で表わされる化合物を挙げることができる。
【0027】
【化2】
【0028】
(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基であり、p及びqはそれぞれ正の整数であり、p+qは、nに相当する整数である。)
【0029】
次に、アセトキシ基、ケトオキシム基、アルケノキシ基、アミノキシ基およびアミノ基から選ばれる加水分解可能な基を1分子中に少なくとも2個以上有する有機珪素化合物又はその部分加水分解物は、上記オルガノポリシロキサンの架橋剤として作用するものであり、本発明組成物が水分の存在下で室温硬化するための必須成分である。上記加水分解可能な基は、1分子中に3個以上有することが好ましい。また、この有機珪素化合物が珪素原子に結合し得る加水分解性基以外の有機基を有する場合は、前記したポリオルガノシロキサンにおけるRと同様の置換又は非置換の1価炭化水素基が好ましく、特に合成が容易であるという面から炭素原子数が1〜8のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基及びフェニル基が好ましい。
【0030】
このような有機珪素化合物としては、具体的には、メチルトリスメチルエチルケトオキシムシラン、ビニルトリスメチルエチルケトオキシムシラン、メチルトリスアセトキシシラン、エチルトリスアセトキシシラン、ビニルトリスアセトキシシラン、メチルトリスメトキシシラン、エチルトリスメトキシシラン、ビニルトリスメトキシシラン、アセトアミドシラン、アミノキシシロキサン、メチルトリスシクロヘキシルアミノシラン、メチルトリスイソプロペノキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジアセトキシメチルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、メチルトリアセトキシシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、メチルトリ(ブタノキシム)シラン、ビニルトリ(ブタノキシム)シラン、フェニルトリ(ブタノキシム)シラン、プロピルトリ(ブタノキシム)シラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、トリイソプロペノキシシラン、テトラプロペノキシシラン、フェニルトリアルケノキシシラン、イソプロピルプロペノキシシラン、ブチルトリプロペノキシシラン、ビニルトリプロペノキシシラン等が例示される。なお、これら有機珪素化合物は、単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよいが、安定的に製造するには同一の加水分解性基を有する有機珪素化合物を単独で又は2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
上記架橋剤の有機珪素化合物又はその部分加水分解物の配合量は、オルガノポリシロキサン100部(重量部、以下同様)に対して1〜30部、特に3〜10部とすることが好ましい。配合量が1部に満たないと組成物の硬化が不十分になり、保存安定性が悪くなる場合があり、一方、30部を越えると得られる硬化物が硬く脆くなり、シール材等としての製品性能及びコストパフォーマンスが損なわれる場合がある。
【0031】
変成シリコーン樹脂としては、末端に珪素基である反応性シリル基を導入したシリル基末端ポリエーテルを主成分とし、これと水分との反応でシロキサン結合を形成して硬化するものであり、一般にも市販されているものを使用することができる。例えば、株式会社カネカ製のMSポリマーS203,S303、旭硝子株式会社製のエクセスターS2410、S2420、S3430等が例示される。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。更に、必要に応じ、シリコーン樹脂と変成シリコーン樹脂とを組み合わせることも可能である。
アクリルシリコーン樹脂としては、末端に珪素基である反応性シリル基を導入し、主鎖がアクリル系重合体を有し、これと水分との反応でシロキサン結合を形成して硬化するものであり、一般にも市販されているものを使用することができる。例えば、株式会社カネカ製のポリマーS943等が例示される。これらは単独で又は必要に応じ変成シリコーン樹脂と組み合わせることも可能である。
シリコーン変成エポキシ樹脂は、末端に珪素基である反応性シリル基を導入したポリマーにエポキシ基を導入したもので、例えば、株式会社カネカ製のサイリル等が例示される。
シリル基末端ポリイソブチレン樹脂は、末端に反応性シリル基を導入したシリル基末端ポリイソブチレンを主成分とし、縮合反応でシロキサン結合を形成したもので、例えば、株式会社カネカ製のポリマーEP505S,EP303S等が例示される。
シリル化アクリレート樹脂は、アクリルオリゴマーの分子鎖の末端にシリル基を導入したシリル化ポリアクリレートを主成分とし、湿気硬化でシロキサン結合を形成したものである。
シリル化ウレタン樹脂としては、末端に珪素基である反応性シリル基を導入し、主鎖がポリオキシプロピレングリコールとイソシアネートとのウレタン結合反応重合体を有するものである。
【0032】
本発明の硬化型樹脂組成物に使用される可塑剤としては、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ−n−ブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソノデシル(DIDP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸ジ−n−アルキル、ジブチルジグリコールアジペート(BXA)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、マレイン酸ジブチル(DBM)、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOM)、フマル酸ジブチル(DBF)、リン酸トリクレシル(TCP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリス・(2−エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、トリ(クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、トリスジクロロプロピルホスフェート(CRP)、トリブトキシエチルホスフェート(TBXP)、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、オクチルジフェニルホスフェート(CDP)、クエン酸アセチルトリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどがあり、その他にはトリメリット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン、ステアリン酸系可塑剤など、さらにジメチルポリシロキサン等のシリコ−ンオイル、最近ではポリオキシプロピレングリコール系、パラフィン系、ナフテン系、イソパラフィン系等の石油系高沸点溶剤などが挙げられる。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
【0033】
本発明の硬化型樹脂組成物に使用される合成炭酸カルシウム以外の充填剤としては、無機系のものと有機系のものが挙げられる。無機系のものとしては、重質炭酸カルシウム、カルシウム・マグネシウム炭酸塩(天然品、合成品)、塩基性炭酸マグネシウム、石英粉、珪石粉、微粉珪酸(乾式品、湿式品、ゲル法品)、微粉末珪酸カルシウム、微粉珪酸アルミニウム、カオリンクレー、パイロフィライトクレー、タルク、セリサイト、雲母、ベントナイト、ネフェリンサイアナイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック(ファーネス、サーマル、アセチレン)、グラファイト、針状・繊維状では、セピオライト、ワラストナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウム、カーボン繊維、ミネラル繊維、ガラス繊維、バルーン・ビーズ状では、シラスバルーン、フライアッシュバールン、ガラスバルーン、シリカビーズ、アルミナビーズ、ガラスビーズなどが挙げられる。有機系のものとしては、アクリロニトリル系、塩化ビニリデン系等の樹脂バルーン、木粉、クルミ粉、コルク粉、小麦粉、澱粉、エボナイト粉末、ゴム粉末、リグニン、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、繊維状ではセルロース粉末、パルプ粉末、合成繊維粉末などが挙げられる。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
ただし、本発明の硬化型樹脂組成物の効果を得るには、本発明の合成炭酸カルシウム填料を主として充填剤として用いることが前提であり、本発明の硬化型樹脂組成物の性能を低下させない範囲で上記充填剤もしくは一般的な脂肪酸、もしくは脂肪酸ナトリウムやカリウム等の金属塩で表面処理した合成炭酸カルシウムを併用することができる。
【0034】
本発明の硬化型樹脂組成物に使用されるその他の添加剤としては、硬化触媒や、粘性その他の物性を調整するための溶剤、アマイドワックス、カストル油ワックスなどのワックスが挙げられる。
硬化触媒としては、有機金属触媒、アミン化合物、ホウ素化合物等が挙げられる。有機金属触媒については、有機錫化合物として、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫アセテート、ジオクチル錫ステアレート、ジオクチル錫ラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ビスイソノニル・3−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスアセチルアセトネート、ジブチル錫ビス(O−フェニルフェノキサイド)、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグリコレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドなどが例示される。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。有機錫触媒以外の金属触媒は、触媒活性が有機錫触媒よりかなり低いが、毒性等の環境規制に該当しない有機金属触媒を用いてもよい。たとえば、チタニウムテトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムアクリルオキシド、チタニウムn―プロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムエチルアセトネート、チタニウムアセチルアセトネート等のチタニウムキレート触媒、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム触媒、ビスマスートリス(ネオデカノエート)などのビスマス触媒、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等のジルコニウム触媒等である。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
【0035】
アミン化合物としては、アミノ基含有シラン化合物が好ましく、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕アミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕アミン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0036】
ホウ素化合物としては、三フッ化ホウ素やその錯体からなる化合物等があり、その具体例としては、例えば、三フッ化ホウ素のアミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体、チオール錯体、スルフィド錯体、カルボン酸錯体、水錯体等が例示される。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。上記三フッ化ホウ素の錯体の中では、安定性と触媒活性を兼ね備えたアミン錯体が特に好ましい。
また、溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ブタン等の脂肪族炭化水素、ガソリン他の石油系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、セロソルブアセテート等のエーテルエステル類などがあり、他にもシリコーンオイル、脂肪酸エステル変成シリコーンオイル等の添加剤、その他必要に応じて種々の添加剤、着色剤等を1種又は2種以上組み合わせて添加することができる。本発明の表面処理炭酸カルシウム填料は、その性能の許す範囲で従来より使用されている填料と組み合わせて使用しても良い。
【0037】
本発明の表面処理炭酸カルシウム填料の樹脂への配合量は、樹脂の種類や用途によって異なり一概には規定しにくいが、樹脂100部に対して通常5〜200部が適当で、好ましくは20〜150部程度である。表面処理炭酸カルシウム填料が5部より少ないと十分なチキソ性を付与することは出来ず、また200部より多いと粘度が高くなりすぎ、作業性が悪くなる傾向がある。可塑剤の配合量は、適宜選択されるものであり、特に限定されるものではないが、一般には、樹脂100部に対し、80〜150部が用いられる。
【0038】
本発明の表面処理炭酸カルシウム填料は、シーラント,接着剤に配合することにより、長期にわたって耐熱性、耐変色性、強度、伸びに優れた性能を有する硬化型樹脂組成物を提供することができる。
例えば、ポリウレタン樹脂シーラント接着剤の場合、分子末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネートウレタンプレポリマーは、ポリオールと過剰のポリイソシアネート化合物との反応で合成できる。ポリオールとしては各種のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオールが使用できる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレン−プロピレン共重合ポリオール、ポリテトラメチレンポリオール等の単独あるいはそれらの混合物が挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸等)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等)とを重縮合させて得られたポリオール、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレン−プロピレンアジペート等のポリオールがあり、また、ポリラクトンポリオール、例えば、ポリカプロラクトンポリオールの単独あるいはそれらの混合物、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0039】
本発明で用いられるポリイソシアネート化合物は、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び脂環式系ポリイソシアネートが挙げられる。上記ポリイソシアネートは単独あるいはそれらの混合物として使用できる。
硬化触媒としては、オレイン酸第一スズ、ラウリン酸第一スズ、酢酸第一スズ、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉛、オクチル酸スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸マンガン、マンガン酸コバルト、塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、トリエチルアミン、N−メチルモルフォリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、アセチルアセトン等公知のものが挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。中でもオクチル酸鉛、オクチル酸スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸スズがコストの点で好ましい。触媒の配合量は、ウレタンプレポリマー100部に対して0.1〜1部が好ましい。
本発明で用いられる表面処理炭酸カルシウムの含有量は、樹脂100部に対して通常10〜200部、好ましくは20〜150部程度が適当である。表面処理炭酸カルシウムの含有量が10部より少ないと、チキソ性,耐スランプ性の効果が期待できず、一方、200部より多くなると、貯蔵安定性,接着性等が悪くなる場合がある。
本発明は必要に応じて溶剤、可塑剤、フィラー、顔料、増粘剤(あるいは)揺変付与剤)、安定剤、あるいはその他の添加剤を配合することができる。
溶剤としては、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット、メチルエチルケトン等が挙げられる。溶剤の配合量は、ウレタンプレポリマー100部に対して3〜20部が好ましい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、トリクレジルホスフェート(TCP)等の単量体可塑剤及びポリエステル、ウレタン化ポリエステル、ウレタン化ポリエーテルなどのオリゴマー可塑剤が挙げられる。可塑剤の配合量は、ウレタンプレポリマー100部に対して5〜30部が好ましい。
フィラーとしては炭酸カルシウム、タルク、クレー、カーボン、シラスバルーン、ガラスバルーン、ポリ塩化ビニル微粉末などが挙げられる。
揺変付与剤としては、コロイダルシリカ、微粉のカーボンブラック、脂肪酸アマイドや脂肪酸金属石鹸等が挙げられる。
【0040】
また、例えば、ポリサルファイド樹脂シーラント・ 接着剤の場合、分子末端に反応性のメルカプタン基(−SH)を有し、ポリマー骨格部分は、一般式(3)又は、(3)及び(4)で示される、室温で流動性を有する液状ポリサルファイドポリマーを使用することができる。
−(−R1−SX−)n−R1−SX (3)
−(−R2−SX−)n−(−R3−O−)m−SX− (4)
〔xは1〜5の整数であり、n,mは2〜200の整数を示す。R1,R2,R3は2価の有機基(アルキレン基,アルキレンエーテル基,ヒドロキシアルキレン基など)を示す。〕
このようなポリサルファイドポリマーは、室温で流動性を有し、数平均分子量(Mn)が、通常100〜200000であり、好ましくは800〜50000である。このようなポリサルファイドポリマーの好ましい例は、米国特許2466963号及び特開平4−363325に記載されている。
硬化剤に用いる分子中にイソシアネート基を2個以上含む化合物(以下、単にイソシアネート基含有化合物という)としては、有機ポリイソシアネート化合物及び/又は活性水素含有化合物に有機ポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーが好ましい。
上記有機ポリイソシアネート化合物としては、具体的には、トリレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネート,ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(クルードMDI),キシリレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また活性水素含有化合物としては、水酸基末端ポリエステル,多価ポリアルキレンエーテル,水酸基末端ポリウレタン重合体及びこれらの混合物が挙げられる。
上記ウレタンプレポリマーとしては、前述の活性水素含有化合物と有機ポリイソシアネート化合物を、イソシアネート化合物過剰の条件で反応させることにより得られたものを使用することができる。
本発明においては、イソシアネート基含有化合物中のイソシアネート基と、チオール基含有化合物中のチオール基とのモル比(イソシアネート基/チオール基)が0.5〜4.0となるように配合するのが好ましく、より好ましくは0.7〜3.0となるように配合する。モル比が0.5未満では、組成物が十分に高分子量化せず、一方、4.0を越えると硬化物が硬く脆いものとなる傾向があるので好ましくない。
硬化触媒としては、3級アミン及び/又は有機金属化合物が用いられる。3級アミンとしては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等があり、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N−ジポリオキシエチレンステアリルアミン、N,N−ジポリオキシエチレン牛脂アルキルアミン、トリエチレンジアミンが挙げられる。これら3級アミンは単独で、又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
有機金属化合物としては、有機錫化合物、有機水銀化合物、有機鉛化合物等があり、具体的にはオクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫メルカプチド、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等が挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。これらの中でも、変色等の影響が少ない有機錫化合物が好ましい。
硬化性樹脂組成物中の硬化触媒の含有量は、前記ポリサルファイドポリマー100部に対して、0.001〜5部が好ましく、より好ましくは0.005〜3部である。含有量が0.001部未満では硬化が進まず、5部を越えると可使時間が短くなる傾向があり好ましくない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、他の無機充填材、可塑剤、顔料、ゴム加硫剤、補強剤、接着性付与剤、紫外線及びオゾン劣化防止剤及びその類似物等を使用することができる。他の無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム粉末(未処理)、重質炭酸カルシウム粉末、石英粉末、アルミナ、酸化カルシウム、タルク、ガラス粉末、各種骨材類等を使用することができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例,比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制約を受けるものではない。尚、以下の記載において、%及び部は、特に断らない限り、重量基準である。
【0042】
実施例1
緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分800ppm、Fe成分80ppm)を原料とし、濃度160gCaCO3 /L、温度50℃に調整したBET比表面積17m2 /gの合成炭酸カルシウムの水スラリー10Lに対して、80℃の温水1L中でラウリン酸ナトリウム6.4g(アルキル組成:C12:100%、以下同じ)と極度硬化パーム脂肪酸44.8g(アルキル組成:C16:56%、C18:44%、以下同じ)で調製した表面処理剤を加えて炭酸カルシウムスラリーと共に強撹拌した。この炭酸カルシウムスラリーを固形分60%まで脱水し、110℃の箱形乾燥機で12時間乾燥後、粉砕してBET比表面積15m2 /gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
該粉体のBET比表面積Sw、熱減量Tg、単位比表面積当たりの表面処理剤量(処理率)As、また、表面処理剤のうちの飽和脂肪酸の割合SFa、不飽和脂肪酸の割合UFa、表面処理炭酸カルシウム填料に含まれる金属成分のうちマグネシウム成分Mg、かつ鉄成分Feを表1に示した。以下の実施例2〜23についても同様に表1に示した。
【0043】
実施例2
実施例1で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分1500ppm、Fe成分120ppm)を原料に変える以外はすべて実施例1と同様とした。
【0044】
実施例3
実施例1で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分1500ppm、Fe成分180ppm)を原料に変える以外はすべて実施例1と同様とした。
【0045】
実施例4
実施例1で、表面処理剤としてオレイン酸ナトリウム3.2g(アルキル組成:C18F1:100%、以下同じ)を追加する以外はすべて実施例1と同様とした。
【0046】
実施例5
実施例2で、表面処理剤としてオレイン酸ナトリウム3.2gを追加する以外はすべて実施例2と同様とした。
【0047】
実施例6
実施例3で、表面処理剤としてオレイン酸ナトリウム3.2gを追加する以外はすべて実施例3と同様とした。
【0048】
実施例7
実施例4で、表面処理剤のうちラウリン酸ナトリウム44.8gと極度硬化パーム脂肪酸6.4gに変える以外はすべて実施例4と同様とした。
【0049】
実施例8
実施例5で、表面処理剤のうちラウリン酸ナトリウム44.8gと極度硬化パーム脂肪酸6.4gに変える以外はすべて実施例5と同様とした。
【0050】
実施例9
実施例6で、表面処理剤のうちラウリン酸ナトリウム44.8gと極度硬化パーム脂肪酸6.4gに変える以外はすべて実施例6と同様とした。
【0051】
実施例10
実施例4で、表面処理剤のうちオレイン酸ナトリウム19.2gに変える以外はすべて実施例4と同様とした。
【0052】
実施例11
実施例5で、表面処理剤のうちオレイン酸ナトリウム19.2gに変える以外はすべて実施例5と同様とした。
【0053】
実施例12
実施例6で、表面処理剤のうちオレイン酸ナトリウム19.2gに変える以外はすべて実施例6と同様とした。
【0054】
実施例13
緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分1500ppm、Fe成分120ppm)を原料とし、濃度160gCaCO3 /L、温度50℃に調整したBET比表面積4m2 /gの合成炭酸カルシウムの水スラリー10Lに対して、80℃の温水1L中でラウリン酸ナトリウム4.8gと極度硬化パーム脂肪酸27.2gとオレイン酸ナトリウム4.8gで調製した表面処理剤を加えて炭酸カルシウムスラリーと共に強撹拌した。この炭酸カルシウムスラリーを固形分60%まで脱水し、110℃の箱形乾燥機で12時間乾燥後、粉砕してBET比表面積3m2 /gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
【0055】
実施例14
実施例13で、合成炭酸カルシウムの水スラリーBET比表面積を7m2 /gに、得られた表面処理炭酸カルシウム粉体のBET比表面積を6m2 /gに変える以外はすべて実施例13と同様とした。
【0056】
実施例15
実施例13で、合成炭酸カルシウムの水スラリーBET比表面積を12m2 /gに、得られた表面処理炭酸カルシウム粉体のBET比表面積を10m2 /gに変える以外はすべて実施例13と同様とした。
【0057】
実施例16
実施例13で、合成炭酸カルシウムの水スラリーBET比表面積を17m2 /gに、得られた表面処理炭酸カルシウム粉体のBET比表面積を15m2 /gに変える以外はすべて実施例13と同様とした。
【0058】
実施例17
実施例16で、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム7.2gと極度硬化パーム脂肪酸ナトリウム40.8gとオレイン酸ナトリウム7.2gに変える以外はすべて実施例16と同様とした。
【0059】
実施例18
実施例16で、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム8.8gと極度硬化パーム脂肪酸ナトリウム49.9gとオレイン酸ナトリウム8.8gに変える以外はすべて実施例16と同様とした。
【0060】
実施例19
実施例16で、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム11.2gと極度硬化パーム脂肪酸ナトリウム63.5gとオレイン酸ナトリウム11.2gに変える以外はすべて実施例16と同様とした。
【0061】
実施例20
実施例16で、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム16.8gと極度硬化パーム脂肪酸ナトリウム95.2gとオレイン酸ナトリウム16.8gに変える以外はすべて実施例16と同様とした。
【0062】
実施例21
実施例20で、BET比表面積23m2 /gの合成炭酸カルシウムの水スラリーに、BET比表面積を20m2 /gに変える以外はすべて実施例20と同様とした。
【0063】
実施例22
実施例20で、BET比表面積42m2 /gの合成炭酸カルシウムの水スラリーに、BET比表面積を37m2 /gに変える以外はすべて実施例20と同様とした。
【0064】
実施例23
実施例20で、BET比表面積55m2 /gの合成炭酸カルシウムの水スラリーに、BET比表面積を45m2 /gに変える以外はすべて実施例20と同様とした。
【0065】
【表1】
【0066】
比較例1
実施例4で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分1500ppm、Fe成分280ppm)を原料に変える以外はすべて実施例4と同様とした。表面処理剤、表面処理量、及び得られた粉体のSw、Tg、As、SFa、UFa、Mg、Feについて表2に示した。なお、以下の比較例2〜12についても同様に表2に示した。
【0067】
比較例2
実施例4で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分2200ppm、Fe成分120ppm)を原料に変える以外はすべて実施例4と同様とした。
【0068】
比較例3
実施例4で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分2200ppm、Fe成分280ppm)を原料に変える以外はすべて実施例4と同様とした。
【0069】
比較例4
実施例7で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分1500ppm、Fe成分280ppm)を原料に変える以外はすべて実施例7と同様とした。
【0070】
比較例5
実施例7で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分2200ppm、Fe成分120ppm)を原料に変える以外はすべて実施例7と同様とした。
【0071】
比較例6
実施例7で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分2200ppm、Fe成分280ppm)を原料に変える以外はすべて実施例7と同様とした。
【0072】
比較例7
実施例10で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分1500ppm、Fe成分280ppm)を原料に変える以外はすべて実施例10と同様とした。
【0073】
比較例8
実施例10で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分2200ppm、Fe成分120ppm)を原料に変える以外はすべて実施例10と同様とした。
【0074】
比較例9
実施例10で、緻密質石灰石を用いた合成炭酸カルシウム(Mg成分2200ppm、Fe成分280ppm)を原料に変える以外はすべて実施例10と同様とした。
【0075】
比較例10
実施例4で、表面処理剤のうちオレイン酸ナトリウム32gに変える以外はすべて実施例4と同様とした。
【0076】
比較例11
実施例5で、表面処理剤のうちオレイン酸ナトリウム32gに変える以外はすべて実施例5と同様とした。
【0077】
比較例12
実施例6で、表面処理剤のうちオレイン酸ナトリウム32gに変える以外はすべて実施例6と同様とした。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例24〜46、比較例13〜24
実施例1〜23、比較例1〜12で得られた表面処理炭酸カルシウム填料を、下記の配合及び混練方法にて1成分形変成シリコーン系シーラントを作成し、下記の方法で評価した。結果を表3、表4に示す。
なお、硬化物色相への影響を確認するため、酸化チタン,老化防止剤,紫外線吸収剤等は無添加とした。
(試験方法 1成分形変成シリコーン系シーラント)
[配合]
変成シリコーン樹脂(MSポリマーS203 株式会社カネカ製) 150部
変成シリコーン樹脂(MSポリマーS303 株式会社カネカ製) 150部
可塑剤DINP(株式会社ジェイプラス社製) 180部
重質炭酸カルシウム(スーパーS 丸尾カルシウム株式会社製) 90部
表面処理炭酸カルシウム填料 420部
脱水剤KBM-1003(信越化学工業株式会社製) 18部
スズ触媒ネオスタンU-220H(日東化成株式会社製) 6部
アミノシランKBM-603(信越化学工業株式会社製) 6部
合計 1020部
【0080】
[混練方法]
5L万能混合撹拌機(株式会社ダルトン製)に変成シリコーン樹脂を投入し、あらかじめ105℃×2時間以上乾燥させた表面処理炭酸カルシウム填料及び重質炭酸カルシウムとともに投入し、低速15分予備撹拌を行った。その後、混合撹拌機内に付着した填料を掻き落とした後、ただちに真空雰囲気下で高速30分混練を行った。その後に脱水剤、スズ触媒、アミノシランを投入し真空雰囲気下で低速15分間混合した。これをアルミ箔ラミネートコーティングされたカートリッジ内に充填、金属プランジャーで密栓し、1成分形変成シリコーン系シーラントを作成した。
【0081】
[硬化物色相試験方法]
23℃で1日静置したシーラントをカートリッジガンにて直径50mm、深さ10mmのPP容器へ詰め、へらで擦切る。23℃×14日+30℃×14日後の硬化物表面の色相(L,a,b)を初期色相とし、さらに80℃×28日後の硬化物表面の色相(L,a,b)を加熱後色相とした。色相は色差計(ZE2000日本電色工業株式会社製)にて標準板A−2045を使用して測定した。尚、色相Lは高い値程良好で、色相a、bは、それぞれ低い値程良好である。
【0082】
[引張試験方法]
アルミニウム板(50mm×50mm×3mm)表面に、プライマー(No.40 横浜ゴム株式会社製)を塗布し、60分乾燥させた後、上記シーラントを充填(形状12mm×12mm×50mm)し、JIS A 1439建築用シーリング材5.17.2耐久性、引張試験体の作製に準拠して、H型試験体を作成した。
このH型試験体を23℃×14日+30℃×14日養生し、23℃×1日後に、引張試験機(オートグラフAG−1株式会社島津製作所製)を用いて測定した最大強度(Tmax),最大伸び率(Emax)を、それぞれ初期強度,初期伸びとした。さらに80℃×28日養生し、23℃×14日後に測定した最大強度(Tmax),最大伸び率(Emax)を、それぞれ加熱後強度,加熱後伸びとした。
最大強度(Tmax):1分間に50mmの速度で引張り、最も大きい荷重をシーラントの断面積(600mm2 )で割った値で高い程良好である。
最大伸び率(Emax):最大強度測定時の変位量を、充填時の形状(12mm)で割って、100倍した値で高い程良好である。
【0083】
表3及び表4とから、実施例1〜23の表面処理炭酸カルシウム填料を配合した実施例24〜46で代表される1成分形変成シリコーン系シーラントは、耐熱性、耐変色性に優れていることがわかる。
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
実施例47〜60、比較例25〜33
実施例1〜6、10〜12、15、17〜19、21、比較例1〜3、7〜12で得られた表面処理炭酸カルシウム填料を、下記の配合及び混練方法にて1成分形ポリウレタン系シーラントを作成し、下記の方法で評価した。結果を表5,表6に示す。
(試験方法 1成分形ポリウレタン系シーラント)
[配合]
ポリウレタン樹脂(タケネートL−1036 三井武田ケミカル株式会社製)300部
可塑剤DINP(株式会社ジェイプラス製) 240部
表面処理炭酸カルシウム 420部
重質炭酸カルシウム(スーパーS 丸尾カルシウム株式会社製) 90部
ミネラルターペン 42部
アミン触媒(U−CAT 651M サンアプロ株式会社製) 1部
合 計 1093部
尚、表面処理炭酸カルシウム填料の量は、ベースとなる炭酸カルシウムのBET比表面積によって粘性付与効果が異なるが、接着剤用途によって低粘度、高粘度タイプが存在するのですべて同一量で行った。
【0087】
[混練方法]
5L万能混合撹拌機(株式会社ダルトン製)にポリウレタン樹脂を投入し、あらかじめ105℃×2時間以上乾燥させた表面処理炭酸カルシウム填料及び重質炭酸カルシウムとともに投入し、低速15分予備撹拌を行った。その後、混合撹拌機内に付着した填料を掻き落とした後、ただちに真空雰囲気下で高速30分混練を行った。最後にミネラルターペンを投入し真空雰囲気下で低速15分混合した。これをアルミ箔ラミネートコーティングされたカートリッジ内に充填、金属プランジャーで密栓し、1成分形ポリウレタン系シーラントを作成した。
【0088】
[硬化物色相試験方法]
23℃で1日静置したシーラントをカートリッジガンにて直径50mm、深さ10mmのPP容器へ詰め、へらで擦切る。23℃×14日+30℃×14日後の硬化物表面の色相(L,a,b)を初期色相とし、さらに80℃×28日後の硬化物表面の色相(L,a,b)を加熱後色相とした。なお、色相は色差計(ZE2000日本電色工業株式会社製)にて標準板A−2045を使用して測定した。尚、色相はL は高い値程良好で、色相a、bは、それぞれ低い値程良好である。
【0089】
[引張試験方法]
アルミニウム板(50mm×50mm×3mm)表面に、プライマー(No.30 横浜ゴム株式会社製)を塗布し、60分乾燥させた後、上記シーラントを充填(形状12mm×12mm×50mm)し、JIS A 1439建築用シーリング材5.17.2耐久性、引張試験体の作製に準拠して、H型試験体を作成した。
このH型試験体を23℃×14日+30℃×14日養生し、23℃×1日後に、引張試験機(オートグラフAG−1株式会社島津製作所製)を用いて測定した最大強度(Tmax),最大伸び率(Emax)を、それぞれ初期強度,初期伸びとした。さらに80℃×28日養生し、23℃×14日後に測定した最大強度(Tmax),最大伸び率(Emax)を、それぞれ加熱後強度,加熱後伸びとした。
最大強度(Tmax):1分間に50mmの速度で引張り、最も大きい荷重をシーラントの断面積(600mm2 )で割った値で高い程良好である。
最大伸び率(Emax):最大強度測定時の変位量を、充填時の形状(12mm)で割って、100倍した値で高い程良好である。
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
表5及び表6とから、実施例1〜6、10〜12、15、17〜19、21の表面処理炭酸カルシウム填料を配合した実施例47〜60で代表される1成分形ポリウレタン系シーラントは、耐熱性、耐変色性に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
叙上のとおり、本発明の表面処理炭酸カルシウム填料は、硬化型樹脂組成物に有用で、優れた耐熱性、耐変色性、強度、伸びを備えた硬化型樹脂組成物を提供することができる。