特許第6670300号(P6670300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

6670300炭素繊維入り熱可塑性オレフィン化合物と関連する自動車部品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670300
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】炭素繊維入り熱可塑性オレフィン化合物と関連する自動車部品
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/12 20060101AFI20200309BHJP
   C08L 51/06 20060101ALI20200309BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20200309BHJP
   C08K 7/06 20060101ALI20200309BHJP
   C08K 9/08 20060101ALI20200309BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20200309BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   C08L23/12
   C08L51/06
   C08L23/08
   C08K7/06
   C08K9/08
   C08K3/34
   C08L23/10
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-511662(P2017-511662)
(86)(22)【出願日】2015年8月26日
(65)【公表番号】特表2017-529430(P2017-529430A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】US2015046960
(87)【国際公開番号】WO2016033188
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2018年8月3日
(31)【優先権主張番号】62/043,266
(32)【優先日】2014年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510320575
【氏名又は名称】イクイスター・ケミカルズ・エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・プリエト
【審査官】 大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−028884(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/030922(WO,A1)
【文献】 特表2010−513635(JP,A)
【文献】 ダウ・エラストマー製品ガイド,2017年,6頁,http://msdssearch.dow.com/PublishedLiteratureDOWCOM/dh_0980/0901b80380980743.pdf?filepath=elastomers/pdfs/noreg/777-02121.pdf&fromPage=GetDoc参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L23
C08K7
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性オレフィン組成であって:
(A)ホモポリマーポリプロピレンを含む第1のポリマー組成と;
(B)不飽和モノマーでグラフト化したポリプロピレンポリマーを含む第2のポリマー組成と;
(C)第1のエラストマーエチレンコポリマーを含む第3のポリマー組成と;そして
(D)サイジング組成で結合された炭素繊維を含む炭素繊維組成
を含み、
前記ホモポリマーポリプロピレンが、230℃、2.16kg(ASTM D1238)において、10分当たり約1000グラムから10分当たり約3000グラムの範囲の溶融流量を有する熱可塑性オレフィン組成。
【請求項2】
第1のエラストマーエチレンコポリマーが:
(A)エチレン由来のユニットおよび
(B)CからC10アルファ−オレフィンから成るグループから選択される少なくとも1つのコモノマー由来のアルファ−オレフィンコモノマーを含む請求項1に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項3】
第1のエラストマーエチレンコポリマーが、190℃、2.16kg(ASTM D1238)において、10分当たり0.2から3.0グラムのメルトインデックス、立方センチメートル当たり約0.850から約0.900グラムの密度、約10から約20パーセントの全結晶化度および約−55から約−50℃のガラス転移温度を有するエチレン/オクテンコポリマーである請求項に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項4】
炭素繊維に結合されたサイジング組成が、
(A)エポキシ;
(B)ナイロン;および
(C)ウレタンから成るグループから選択される請求項1に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項5】
異相ポリプロピレンコモノマーを含む第4のポリマー組成をさらに含む請求項1に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項6】
異相ポリプロピレンコポリマーが230℃、2.16kg(ASTM D1238)において、10分当たり約50グラムから10分当たり約200グラムの範囲の溶融流量を有する請求項に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項7】
第2のエラストマーエチレンコポリマーを含む第5のポリマー組成をさらに含む請求項1に記載の熱可塑性オレフィン組成であって、該第2のエラストマーエチレンコポリマーが、190℃、2.16kg(ASTM D1238)において、10分当たり約3.0グラム以上から約10.0グラムのメルトインデックス、立方センチメートル当たり約0.850から約0.900グラムの密度、約15から約20パーセントの全結晶化度および約−55から約−50℃のガラス転移温度を有するエチレン/オクテンコポリマーである熱可塑性オレフィン組成。
【請求項8】
タルクを含む1つまたはそれ以上の無機充填材、及び1つまたはそれ以上の添加剤を含む添加剤の組成をさらに含む請求項1に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項9】
熱可塑性オレフィン組成が、230℃、2.16kg(ASTM D1238)において、10分当たり1.5グラムから10分当たり11グラムの範囲の溶融流量を有する請求項1に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項10】
熱可塑性オレフィン組成が、約0.05パーセントから約0.25パーセントの範囲のツール収縮(ISO 2577)を有する請求項1に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項11】
熱可塑性オレフィン組成が、120℃で30分後に、約0.05パーセントから約0.35パーセントの範囲のツール収縮を有する請求項1に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項12】
熱可塑性オレフィン組成が、1.8MPa(ISO 75)において、約82℃から約120℃の範囲の熱変形温度と約0.31×10−5mm/mm/℃から約2.1×10−5mm/mm/℃の範囲の線熱膨張係数(ASTM E831)を有する請求項1に記載の熱可塑性オレフィン組成。
【請求項13】
熱可塑性オレフィン組成であって:
(A)ホモポリマーポリプロピレンを含み、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約10から約25重量パーセントの第1のポリマー組成;
(B)不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレンポリマーを含み、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約0.2から約5.0重量パーセントの第2のポリマー組成;
(C)第1のエラストマーエチレンコポリマーを含み、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約15から約45重量パーセントの第3のポリマー組成;
(D)サイジング組成で結合された炭素繊維を含み、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約1から約20重量パーセントの炭素繊維組成;
(E)異相ポリプロピレンコポリマーを含み、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約0から約25重量パーセントの第4のポリマー組成;
(F)第2のエラストマーエチレンコポリマーを含み、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約0から約25重量パーセントの第5のポリマー組成;
(G)無機充填材を含み、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約0から約40重量パーセントの無機充填材組成;
(H)1つまたはそれ以上の添加剤を有し、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約0から約10重量パーセントの添加剤組成
含み、前記ホモポリマーポリプロピレンが、230℃、2.16kg(ASTM D1238)において、10分当たり約1000グラムから10分当たり約3000グラムの範囲の溶融流量を有する熱可塑性オレフィン組成。
【請求項14】
自動車部品であって:
(A)ホモポリマーポリプロピレンを含む第1のポリマー組成;
(B)不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレンポリマーを含む第2のポリマ ー組成;
(C)第1のエラストマーエチレン・コポリマーを含む第3のポリマー組成;および (D)サイジング組成で結合された炭素繊維を含む炭素繊維組成、
を含み、前記ホモポリマーポリプロピレンが、230℃、2.16kg(ASTM D1238)において、10分当たり約1000グラムから10分当たり約3000グラムの範囲の溶融流量を有する自動車部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
関連出願の相互参照
この出願は特許協力条約のもとに出願され、2014年8月28日に出願された米国仮出願番号62/043,266の利益をクレームするもので、その全開示を参照により本明細書に包含する。
【0002】
一般に、本開示は化学分野に関する。具体的には本開示は、金属置換複合材料として有用な熱可塑性オレフィン化合物に関する。とりわけ熱可塑性オレフィン化合物は自動車部品として有用である。
【背景技術】
【0003】
ある自動車部品は工学的熱可塑材料とそのブレンドでできている。これらの適用は(i)金属部品の線熱膨張(CLTE)を近似するCLTE係数、(ii)低収縮および(iii)非常に高い剛性のようなある物理的特性を要求する。アルミのCLTE値は2.5×10−5mm/mm/°Kで、鋼のCLTE値は1.1×10−5mm/mm/°Kである。
【0004】
このような自動車部品は車体パネル、引き上げゲート、構造部品およびその他の自動車部品を含む。工学的熱可塑材料とそのブレンドの例にはポリアミド(PA)、ポリアミド/アクリロニトリル・ブタジエンスチレン(PA/ABS)、ポリカーボネート(PC)、PC/ABS、ポリカーボネート/アクリロニトリルスチレンアクリレート(PC/ASA)およびポリカーボネート/ポリブチレン・テレフタレート(PC/PBT)が含まれる。
【発明の概要】
【0005】
発明が解決しようとする手段
一般的な実施態様において本開示は、(A)ホモポリマーポリプロピレン、(B)不飽和モノマーでグラフト化したポリプロピレンポリマー、(C)エラストマーエチレンコポリマー、おおよび(D)サイジング組織で結合された炭素繊維でできているまたはこれらを含む熱可塑性オレフィン組成を提供する。
【0006】
いくつかの実施態様において、本開示は下記でできているまたはこれらを含む熱可塑性オレフィン組成を提供する:
(A)ホモポリマーポリプロピレンでできているまたはこれを含む第1のポリマー組成;
(B)不飽和モノマーでグラフト化したポリプロピレンポリマーでできているまたはこれを含む第2のポリマー組成;
(C)第1のエラストマーエチレンコポリマーでできているまたはこれを含む第3のポリマー組成;および
(D)サイジング組成で結合された炭素繊維でできているまたはこれを含む炭素繊維組成。
【0007】
任意選択で、熱可塑性オレフィン組成はさらに、(a)異相ポリプロピレンコポリマーでできているまたはこれを含む第4のポリマー組成、(b)第2のエラストマーエチレン組成でできているまたはこれを含む第5のポリマー組成、(c)無機充填材組成、(d)添加剤組成、または(e)これらの組成の任意の組み合わせでできているかまたはこれらを含むことができる。熱可塑性オレフィン組成は、自動車の構成要素を含み金属置換構成要素としての使用に適している。
【0008】
さらなる実施態様において、本開示は下記でできているまたはこれらを含む熱可塑性オレフィン組成を提供する:
(A)ホモポリマーポリプロピレンからできているまたはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約10から25重量パーセントの第1のポリマー組成;
(B)不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレンポリマーからできているまたはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0.2から5.0重量パーセントの第2のポリマー組成;
(C)第1のエラストマーエチレンコポリマーでできているまたはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約15から45重量パーセントの第3のポリマー組成;
(D)サイジング組成で結合された炭素繊維でできているまたはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約1から20重量パーセントの炭素繊維組成;
(E)異相ポリプロピレンコポリマーでできているまたはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から25重量パーセントの第4のポリマー組成;
(F)第2のエラストマーエチレンコポリマーでできているまたはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から25重量パーセントの第5のポリマー組成;
(G)無機充填材でできているまたはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から40重量パーセントの無機充填材組成;および
(H)1つまたはそれ以上の添加剤を有する、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から10重量パーセントの添加剤組成。
【0009】
さらなる実施態様において、本開示は下記でできているまたはこれらを含む自動車部品を提供する:
(A)ホモポリマーポリプロピレンでできた、またはこれを含む第1のポリマー組成;
(B)不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレンポリマーでできた、またはこれを含む第2の組成;
(C)第1のエラストマーエチレンコポリマーでできた、またはこれを含む第3のポリマー組成;および
(D)サイジング組成で結合された炭素繊維でできているまたはこれを含む炭素繊維組成。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明を下記に十分に詳細に説明する。しかしこの発明は多くの異なる形態で具体化でき、ここに説明する実施態様に限定されると解釈してはならず;むしろこれらの実施態様はこの開示が適用される法的要求事項を満たすように提供される。したがって、実施態様は本発明の一般的範囲から逸脱することなく変更および修正を包含できることは当業者に明白であろう。添付の特許請求の範囲またはその同等の範囲内にあれば、このような修正および変更を含むことが意図されている。
【0011】
本明細書および請求項で使用される単一の形態“a”、“an”および“the”は、文脈がそうでないと明確に指示しない限り、複数形を含む。
【0012】
この明細書および請求項で使用される用語“具備する”、“含有する”、または“含む”は、少なくとも名前のついた化合物、構成要素、材料、粒子または方法ステップなどが、その化合物、その品目またはその方法に存在することを意味し、請求項で明確に除外されない限り、その他のこのような化合物、構成要素、材料、粒子または方法ステップなどが名前のついた機能を有していたとしても、その他の化合物、構成要素、材料、粒子または方法ステップなどの存在を除外しない。1つまたはそれ以上の方法ステップの言及は、明示的に識別されたこれらのステップの間で、組み合わされ列挙されたステップまたは介在する方法ステップの前または後で、追加の方法ステップの存在を除外するものでないことを理解されたい。
【0013】
さらに、プロセスステップまたは成分の文字は、離散的な活性または成分を識別するための便利な手段であり、記載された文字は、明示的に示されない限り、任意の順序で配列できることも理解されたい。
【0014】
本記述とそれに続く請求項の目的から、指示の無い限り、額、量、百分率などを表すすべての数字は、すべての場合において“約”の用語で修飾されることを理解されたい。さらにすべての範囲は、開示された最大点と最小点の任意の組み合わせを含み、ここで特に列挙するまたはしない任意の範囲を含む。
【0015】
定義
本記述において、“additives composition”は、少なくとも1つの添加物でできた、またはそれを含む組成を参照する。
【0016】
本記述において、用語“α−オレフィン”または“アルファ−オレフィン”は、化学式CH=CH−Rのオレフィンを意味し、ここにRは1から10の炭素原子を含むリニアアルキルまたは分岐アルキルである。α−オレフィンは例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセンなどから選択できる。
【0017】
本記述において、用語“結合される”または“結合する”はサイジング組織の炭素繊維への接着を意味し、ここにサイジング組成は、炭素繊維に共有結合的に接着される、炭素繊維と物理的に絡ませる、炭素繊維間でまたはそれに沿って分配される、および/または炭素繊維に構造的に整列される。結合は、サイジング組成および炭素繊維の第2のおよび/または第3の構造を含む。
【0018】
本記述において、用語“dX値”でXは50または98で、粒子分布の、質量でそれぞれボトム50%または98%に入る粒子に対する測定した粒子直径上限である。例えば、0.3μmのd50値は、分布中の質量で50%の粒子が0.3μm以上の直径を有し、質量で50%の粒子は0.3μm以下の直径を有する。d50値は中央値または平均粒子径とも言う。
【0019】
本記述において、用語“エラストマー”は、ゴム様の特性と、約0から20パーセントの範囲の結晶化度を有する高分子化合物を指す。ポリマーは約0から5パーセントの範囲の結晶化度を有することができる。
【0020】
本記述において、用語“elastomeric ethylene copolymer composition”は、少なくとも1つのエラストマーエチレンコポリマーでできた、またはこれを含む構成要素を指す。
【0021】
本記述において、用語“first”は、そこに特定の種が存在する順序を示し、必ずしも“第2”の種が存在することを意味しない。例えば、“第1のポリマー組成”は、少なくとも1つのポリマー組成の第1のものを指す。用語は任意の他の方法で、優先度、重要性または有意性を反映しない。ここで使用されることのある任意の用語は、“第2”、“第3”、“第4”などを含む。
【0022】
本記述において、用語“グラフト化されたポリオレフィン”は不飽和モノマーでグラフト化されたポリオレフィンを指す。不飽和モノマーは、不飽和の極性モノマーとすることができる。不飽和モノマーは、1つまたはそれ以上の酸素原子を含むことができる。
【0023】
本記述において、用語“グラフト化されたポリオレフィン組成”は、少なくとも1つのグラフト化されたポリオレフィンでできた、またはそれを含む組成を指す。
【0024】
本記述において、用語“異相ポリプロピレンコポリマー”は、エチレンとプロピレンをポリプロピレン・マトリックスに共重合させて作成したコポリマーを指す。基本ポリプロピレンは、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。
【0025】
本記述において、用語“ホモポリマー”および類似の用語は、単一の種類のモノマー由来のすべてのユニットのみまたは実質的にすべてのユニットからなるポリマーを意味する。例えば、エチレン・ホモポリマーはエチレン由来のすべてのユニットのみまたは実質的にすべてのユニットからなるポリマーで、プロピレン・ホモポリマーは、プロピレンなど由来のすべてのユニットのみまたは実質的にすべてのユニットからなるポリマーを指す。
【0026】
本記述において、用語“インターポリマー”は、少なくとも2つのタイプのモノマーまたはコポリマーの重合によって作られたポリマーを指す。これにはコポリマー(“インターポリマー”と置き換え可能で使用でき、3つまたはそれ以上のタイプのモノマーまたはコモノマーで作られたポリマーを指すことができるが、これは2つの異なるタイプのモノマーまたはコモノマーで作られたポリマーを指す)、ターポリマー(3つの異なるタイプのモノマーまたはコモノマーから作られたポリマーを指すことができる)、テトラポリマー(4つの異なるタイプのモノマーまたはコモノマーから作られたポリマーを指すことができる)などが含まれるがこれに限定されない。
【0027】
本記述において、用語“モノマー”および“コモノマー”は互換的に使用される。この用語は、ポリマーを製造するためにリアクターに添加される重合可能な部分を有する任意の化合物を意味する。ポリマーが1つまたはそれ以上のモノマーでできていると記述されるこれらの場合、例えば、ポリマーがポリエチレンとエチレンを含み、ポリマーはもちろんモノマー由来のユニットを含み、例えば、−CH−CH−、そしてモノマーそれ自身、例えば、CH=CH、でない。
【0028】
本記述において、用語“ポリマー”は同じまたは異なるタイプの重合モノマーによって作られた高分子化合物を意味する。用語“ポリマー”はホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、インターポリマーなどを含む。
【0029】
本記述において、用語“ポリマー組成”は少なくとも1つのポリマーから作られた組成またはそれを含む組成を意味する。
【0030】
本記述において、用語“ポリオレフィン”は本明細書で広く使用され、ポリエチレン、エチレン−アルファ・オレフィンコポリマー(EAO)、ポリプロピレン、ポリブテン、および酢酸ビニルのような少量のコポリマーで重合された約50重量パーセントエチレンを有するエチレンコポリマーおよび“オレフィン”族の分類内のその他のポリマー樹脂を含む。
【0031】
ポリオレフィンは、単一の、段階的なまたは連続リアクター、スラリ−、溶液および流動床プロセスを使用するバッチおよび連続プロセス、ならびに例えば異種および均質システムを含む1つ以上の触媒およびジーグラー、フィリップス、メタロセン、シングルサイトおよび異なる特性の組み合わせを有するポリマーを製造する制約された幾何解析を含みさまざまなプロセスで製造できる。このようなポリマーは高度に分岐されまたは実質的に線形で、分岐、分散度および平均分子量は、ポリマー技術の教示に従ってその製造のために選択したパラメータとプロセスに依存して変わることがある。
【0032】
本記述において用語“室温”は、ほぼ25℃の温度を指す。
【0033】
本記述において用語“サイジング組成”は、炭素繊維を処理する物質を指す。この物質は、エポキシ、ナイロン、ウレタンなどを含み種々の材料で作られまたはそれらを含む。いくつかの実施態様において、サイジング組成は(a)水性樹脂分散体または(b)有機溶剤に溶解した樹脂の溶液の形で適用される。
【0034】
本記述において用語“熱可塑性ポリマー”は、加熱すると軟化し、室温まで冷却すると元の状態に戻るポリマーを指す。
【0035】
試験
ASTM D 1238の表題は“押し出し可塑度計による熱可塑性プラスチックの溶融流量の試験方法”である。本明細書で使用する用語“ASTM D 1238”は、押し出し可塑度計による熱可塑性プラスチック溶融流量の決定の標準試験法を意味する。一般にこの試験法は、押し出し可塑度計を使用した溶融熱可塑性プラスチック樹脂の押し出し率の決定を扱っている。指定された余熱の後、所定の温度、負荷およびバレルにおけるピストン位置の条件のもとで、樹脂は指定された長さとオリフィス径のダイを通して押し出される。この試験法は2012年2月1日に承認され、2012年3月に出版された。その全開示を参照にによりここに包含する。参照したASTM標準についてはASTMのウエブサイトwww.astm.orgを参照するかまたはASTMの顧客サービスservice@astm.org.に連絡されたい。
【0036】
本記述と請求項を通じてポリエチレンポリマーのすべての標準メルトインデックス値は、2.16kgのピストン負荷を使用し190℃の温度でASTM D 1238に従って測定される。本記述と請求項を通じてポリプロピレンポリマーの標準溶融流量値は、2.16kgのピストン負荷を使用し230℃の温度でASTM D 1238に従って測定される。
【0037】
ASTM D 3763の表題は“負荷と置換センサーを使用したプラスチックの高速穿刺特性の標準試験法”である。本明細書で使用する用語“ASTM D 3763”または“機器搭載落槍衝撃試験”は、試験速度の範囲にわたって硬質プラスチック穿刺特性の決定を扱う試験方法を指す。この試験方法は、衝撃速度における本質的に多軸の変形条件のもとにおけるプラスチックの負荷vs変形応答を提供するようにデザインされている。この試験方法は、衝撃を与える材料の速度感度の測定値も提供する。この測定法は2010年7月1日に承認され、2010年7月に出版された。その全開示を参照により本明細書に包含する。参照したASTM標準についてはASTMのウエブサイトwww.astm.orgを参照するかまたはASTMの顧客サービスservice@astm.org.に連絡されたい。
【0038】
ASTM E 831の表題は“熱機械的分析による固形物の線熱膨張の標準試験法”である。本明細書で使用する用語“ASTM E 831”は、熱機械的分析技法を用いて固形物の線熱膨張の技術係数を決定する試験方法を意味する。この試験方法は、試験温度範囲にわたって十分な剛性を示す固形物に適用される。この試験方法は2013年に出版され、その全開示を参照により本明細書に包含する。参照したASTM標準については、ASTMのウエブサイトwww.astm.orgを参照するかまたはASTMの顧客サービスservice@astm.org.に連絡されたい。
【0039】
ASTM E 1356の表題は“示差走査熱量測定によるガラス転移点の割り当ての標準試験法”である。本明細書で使用する用語“ASTM E 1356”は、均質な材料における比熱容量の変化を決定する迅速試験法を指し、ここでガラス転移は比熱容量のステップ変化として現れる。この試験方法は、非結晶質の材料または、安定しておりガラス転移領域で分解または昇華を受けない、非結晶質の領域を含む部分的に結晶化された材料に適用できる。この試験方法は2008年に出版され、その全開示を参照により本明細書に包含する。参照したASTM標準については、ASTMのウエブサイトwww.astm.orgを参照するかまたはASTMの顧客サービスservice@astm.org.に連絡されたい。
【0040】
ISO 75の表題は“負荷時の変位の温度の決定”である。本明細書で使用する用語“ISO 75”は、プラスチックの負荷時(3点負荷における曲げ応力)の変位の温度の決定のための試験法を指す。異なるタイプの材料に適するように、異なるタイプの試験片と異なる定荷重が定義されている。ISO 75−2は、プラスチック(処理前の繊維長さが7.5mmまでの充填プラスチックと繊維強化プラスチックを含む)とエボナイトの特定の要件を規定しており、ISO 75−3は、繊維長さが7.5mm以上の高力価の熱硬化性の積層板および長繊維強化プラスチックに対して特定の要件を規定している。規定された方法は、特定の温度上昇率における負荷時の昇温における異なるタイプの材料の相対的挙動を評価するためのものである。実際には、時間、負荷条件および公称表面応力のような必須因子が試験条件により異なることがあるので、得られた結果は必ずしも最高適用可能温度を表しているものではない。データの真の整合性は、同じ室温の曲げ弾性率を有する材料に対して達成可能である。
【0041】
ISO 178の表題は“プラスチック−曲げ特性の決定”である。本明細書で使用される用語“ISO 178”は、材料の曲げ特性をテストする標準試験法を指す。とりわけ、曲げ試験では3点負荷条件のもとでビームを曲げるのに必要な力を測定する。データを使用して、屈曲しないで負荷を支えるパーツの材料を選択する。曲げ弾性率は、屈曲した時の材料の剛性を示すのに用いられる。多くの材料の物理的特性は周囲温度によって変動するので、意図する最終使用環境を想定する温度において材料をテストするのが適切な場合がある。試験片をサポートスパン上に載せ、3点曲げを生じるローディングノーズを使って規定の割合で中央に負荷をかける。このテストのパラメーターは、サポートスパン、負荷をかける速さおよびテストの最大変位である。これらのパラメータは試験片の厚さに基づいており、ASTMとISOでは定義が異なる。ASTM D 790では、試験片が5%変位に達した時または試験片が5%の前に壊れた時にテストを停止する。ISO 178では、試験片が壊れた時にテストを停止する。壊れなかった試験片については、できる限りテストを継続し、3.5%における応力(従来の変位)を報告する。このテストには種々の試験片形状が使用でき、ASTMでは3.2mm×12.7mm×125mm(0.125”×0.5”×5.0”)およびISOでは10mm×4mm×80mmである。屈曲試験を使用することによって、以下のデータが入手できる:降伏における曲げ応力、降伏における曲げ歪み、破損における曲げ応力、破損における曲げ歪み、3.5%(ISO)または5.0%(ASTM)変位における曲げ応力および曲げ弾性率。
【0042】
ISO 180の表題は“アイゾット衝撃強度の決定”である。本明細書で使用する用語“ISO 180”は、既定の条件下におけるプラスチックのアイゾット衝撃強度を決定する方法を指す。多数の異なるタイプの試験片と試験形態が規定されている。材料のタイプ、試験片のタイプおよびノッチのタイプにより異なるテストパラメータが規定されている。
【0043】
ISO 527の表題は“プラスチック−引張特性の決定”である。本明細書で使用される用語“ISO 527”は、既定の条件下におけるプラスチックとプラスチック複合材の引張特性を決定するテスト方法を指す。異なるタイプの材料に適合するように、異なるタイプの試験片が規定されている。この方法は、試験片の引張挙動を調査し、既定の条件下における引張強度、引張係数および引張応力/歪みの関係のその他の様相を決定するのに使用される。
【0044】
ISO 1183の表題は“非発泡プラスチックの密度を決定する方法”である。本明細書で使用される用語“ISO 1183”は、空隙なし形態の非発泡成形または押し出しプラスチックの密度を決定するテスト方法を指す。この勾配カラム法において、密度勾配カラムは2つの液体の混合物を含むカラムで、カラム中の密度は頂部から底部へ均一に増加する。
【0045】
ISO 2577の表題は“プラスチック−熱硬化成形材料−収縮の決定”である。本明細書で使用される用語“ISO 2577”は成形収縮および熱硬化成形材料の成形された試験片の熱処理後の収縮を決定するテスト方法を指す。
【0046】
組込不飽和モノマー(重量パーセント):グラフト化されたポリオレフィンに組み込まれた不飽和モノマーの量は、湿式化学法(滴定など)またはフーリエ変換赤外分光(FTIR)で測定できる。
【0047】
“分子量分布(Mw/Mn)”はゲル浸透クロマトグラフで測定される。MWDと比率M/Mは、1ml/minの流量で、1,2−ジクロロベンゼンを溶剤として(ODCB)(0.1vol.の2,6−ジ−t−ブチルp−クレソール(BHT)で安定化された)135℃で作動するTSKカラムセット(タイプGMHXL−HT)を備えた、Waters 150−C ALC/Gelゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムを使用して決定される。サンプルは、温度140℃で1時間連続して撹拌して、ODCBに溶解される。この溶液を0.45μmのテフロンメンブレンで濾過する。ろ液(濃度0.08−1.2g/l、注入量300μl)は、GPCに供する。(Polymer Laboratoriesによって提供された)ポリスチレンの単分散留分を標準として使用する。
【0048】
“X線結晶化度”は、固定スリットのCu−Kαl放射を用いて X線解析パワー回析計で測定し、6秒ごとに0.1のステップで、回析角度2θ=5と2θ=35間のスペクトラムを収集する。測定は、約1.5から約2.5mmの厚さと、約2.5cmから約4.0cmの直径のディスク形態のの圧縮成形試験片上で実施される。これらの試験片は、かなりの圧力が10分間かかることなく、約200℃±5℃の温度で圧縮成形プレスで得られ、次いで約10kg/cmの圧力を約数秒間かけ、この最後の作業を3回繰り返す。回析パターンを使って、全体のスペクトラムに適切な線形ベースラインを定義し、スペクトラムのプロファイルとベースライン間の、カウント/秒・2θで表される全面積(Ta)を計算することによって、結晶化度に必要なすべてのコンポーネンツを引き出す。次いで、2相モデルに従って、非結晶領域を結晶領域から分離している全体のスペクトラムに沿って、適切な非結晶プロファイルが定義される。このようにカウント/秒・2θで表される非結晶面積(Aa)を、非結晶プロファイルとベースライン間の面積として計算でき、カウント/秒・2θで表される結晶面積(Ca)をCa=Ta−Aaとして表すことができる。次いでサンプルの結晶度を次式で計算する:
パーセントCr=100×Ca/Ta
【0049】
ポリマーのキシレン可溶性(重量パーセント):2.5gのポリマーを135℃で撹拌下で250mlのキシレンに溶解する。20分後にこの溶液を撹拌下で0℃に冷却し、30分間放置して沈殿させる。沈殿物を濾紙で濾過し、溶液を窒素流のもとで蒸発させ、一定重量が得られるまで残渣を真空下で140℃で乾燥させる。次いで0℃におけるキシレン中のポリマー可溶物の重量パーセントを計算する。室温におけるキシレン中のポリマー可溶物の重量パーセントがこのポリマーのアイソタクチック指標と考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
一般的な実施態様において、本開示は以下でできた、またはこれらを含む熱可塑性オレフィン組成を提供する:
(A)ホモポリマーポリプロピレンでできた、またはこれを含む第1のポリマー組成;
(B)不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレンポリマーでできた、またはこれらを含む第2のポリマー組成;
(C)第1のエラストマーエチレンコポリマーでできた、またはこれを含む第3のポリマー組成;および
(D)サイジング組成に結合された炭素繊維をでできた、またはこれを含む炭素繊維組成。
【0051】
一般的な実施態様において、本開示は以下でできた、またはこれらを含む熱可塑性オレフィン組成を提供する:
(A)ホモポリマーポリプロピレンでできた、またはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約10から約25重量パーセントの第1のポリマー組成;
(B)不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレンモノマーでできた、またはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0.2から約5.0重量パーセントの第2のポリマー組成;
(C)第1のエラストマーエチレンコポリマーでできた、またはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約15から約45重量パーセントの第3のポリマー組成;
(D)サイジング組成に結合された炭素繊維でできた、またはこれをを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約1から約20重量パーセントの炭素繊維組成;
(E)異相ポリプロピレレンコポリマーでできた、またはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から約25重量パーセントの第4のポリマー組成;
(F)第2のエラストマーエチレンコポリマーできたまたはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から約25重量パーセントの第5のポリマー組成;
(G)無機充填材でできた、またはこれを含む、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から約40重量パーセントの無機充填材組成;および
(H)1つまたはそれ以上の添加剤を有する、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から約10重量パーセントの添加剤組成。
【0052】
第1のポリマー組成−ホモポリマーポリプロピレン
第1のポリマー組成は、ホモポリマーポリプロピレンでできておりまたはそれを含む。
【0053】
ある実施態様において、第1のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約10から約25重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施態様において、第1のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約15から約25重量パーセントの量で存在する。その他の実施態様において、第1のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25重量パーセントの量で存在する。
【0054】
いくつかの実施態様において、ホモポリマーポリプロピレンは、10分当たり約1000グラムから10分当たり約3000グラムの範囲の溶融流量を有している。第3のホモポリマーポリプロピレンは、10分当たり約1500グラムから10分当たり約2000グラムの範囲の溶融流量を有している。
【0055】
このようなホモポリマーポリプロピレンは、ADSTIFTM(LyondellBasell)、METOCENE(LyondellBasell)およびPROFAXTM(LyondellBasell)ポリマーとして市販されている。
【0056】
第2のポリマー組成−不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレン
第2のポリマー組成は、不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレンポリマーでできておりまたはそれを含む。
【0057】
ある実施態様において、第2のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0.2から約5.0重量パーセントの量で存在する。その他の実施態様において第2のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0または5.0重量パーセントの量だけ存在する。
【0058】
いくつかの実施態様において、不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレンポリマーは、遊離開始剤の存在下または存在なしに、ポリプロピレンモノマーを昇温において不飽和モノマーと反応させることによって作られ、不飽和モノマーユニットをポリプロピレン・バックボーン上にグラフト化する。グラフト化反応は、窒素のような不活性ガスのもとで発生することができる。
【0059】
ポリプロピレン・バックボーンはポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、耐衝撃性改質ポリプロピレンなどおよびそれらのブレンドでとすることができる。
【0060】
不飽和モノマーはエチレン的に不飽和のカルボン酸および酸誘導体、特にエステル、無水物、酸性塩などとすることができる。これらの例にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ノルボルン5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、ヒミック無水物などおよびそれらの混合物とすることができる。その他の不飽和モノマーは米国特許6,385,777および米国特許出願2007/0054142に記述されており、その教示を参照により本明細書に包含する。
【0061】
ポリプロピレンと不飽和モノマーの相対量は変動し、ポリプロピレンと不飽和モノマーの特質、反応条件、利用できる機器のような要素およびその他の要素によって決まる。いくつかの実施態様において、不飽和モノマーは、グラフト化されたポリプロピレンの全重量に基づいた約0.1から約15重量パーセントの範囲内の量で使用される。不飽和モノマーは、約0.5から約6重量パーセントの範囲にあることができる。いくつかの実施態様意において、この範囲は約1から約3重量パーセントの範囲にあることができる。
【0062】
ポリプロピレンへの不飽和モノマー(複数)のグラフト化は、その不飽和モノマー(複数)とポリプロピレンの混合物を加熱して達成できる。グラフト化されたポリプロピレンは、せん断衝撃押出機/リアクターの中でポリプロピレンを不飽和モノマーと溶融ブレンドすることによって作ることができる。グラフト化ステップを実施するには、商標ZSK−53、ZSK−83、ZSK−90およびZSK−92でCoperionが市販しているスクリュー押出機が有用である。有機過酸化物のような遊離基を使用できる。
【0063】
このようなグラフト化されたポリプロピレンは、BONDYRAM(Polyram)の商標で市販されている。
【0064】
第3のポリマー組成−第1のエラストマーエチレンコポリマー
第3のポリマー組成は第1のエラストマーエチレンコポリマーでできているかまたはそれを含む。
【0065】
ある実施態様において、第3のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約15から約45重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施態様において、第3のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約15から約25重量パーセントの量で存在する。その他の実施態様において、第3のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約35から約45重量パーセントの量で存在する。
【0066】
エラストマーエチレンコポリマーの例は、少なくとも1つのCからC10のアルファ−オレフィンコモノマーを持ったエチレン/アルファ−オレフィンコポリマーを含み、任意選択でポリエンコモノマーを含む。アルファ−オレフィンも、シクロヘキサンまたはシクロペンタンのような環状構造を有し、3−シクロヘキシル−1−プロピレン(アリル−シクロヘキサン)およびビニル−シクロヘキサンのようなアルファ−オレフィンに至る。いくつかの実施態様において、エラストマーエチレンコポリマーは、CからC10アルファ−オレフィンで構成されるグループから選択された少なくとも1つのコモノマー由来の(a)エチレン由来のユニットおよび(b)アルファ−オレフィンコモノマーユニットを有するエチレン/アルファ−オレフィンコポリマーである。その他の実施態様において、エラストマーエチレンコポリマーは、エチレン/オクタンコポリマーである。さらにその他の実施態様において、エチレン/オクタンコポリマーは、10分当たり約0.2から約3.0グラムのメルトインデックス、立方センチメートル当たり約0.850から約0.900グラムの密度、約10から約20パーセントの全結晶化度、および約−55から約−50℃のガラス転移温度を有する。
【0067】
典型的なエラストマーエチレンコポリマーは、下記を含むがこれらに限定されない:エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−オクテン、エチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/5−ビニル−2−ノルボルネン、エチレン/−1,7−オクタジエン、エチレン/7−メチル−1,6−オクタジエン、エチレン/スチレンおよびエチレン/1,3,5−ヘキサトリエン。典型的なエラストマーエチレン・ターポリマーは、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/ブテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/ブテン/スチレン、エチレン/1−オクテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/プロピレン/1,3−ペンタジエン、エチレン/プロピレン/7−メチル−1,6−オクタジエン、エチレン/ブテン/7−メチル−1,6−オクタジエン、エチレン/1−オクテン/1,3−ペンタジエンおよびエチレン/プロピレン/1,3,5−ヘキサトリエンを含む。典型的なエラストマーエチレン・テトラポリマーは、エチレン/プロピレン/1−オクテン/ジエン、エチレン/ブテン/1−オクテン/ジエンおよびエチレン/プロピレン/混合ジエンを含む。
【0068】
このようなエラストマーエチレンエチレンコポリマーはENGAGETM(The Dow Chemical Company)、EXACTTM(ExxonMobil Chemical Company)またはTAFMERTM(三井化学)ポリマーの商標で市販されている。
【0069】
第4のポリマー組成−異相ポリプロピレンコポリマー
第4のポリマー組成は、異相ポリプロピレンコポリマーでできているかまたはこれを含む。
【0070】
ある実施態様において、第4のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から約25重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施態様において、第4のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約15から約20重量パーセントの量で存在する。その他の実施態様において、第4のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25重量パーセントの量で存在する。
【0071】
ある実施態様において、異相ポリプロピレンコポリマーは、10分当たり約50グラムから10分当たり約200グラムの範囲の溶融流量を持つことができる。異相ポリプロピレンコポリマーは、10分当たり約80グラムから10分当たり約150グラムの範囲の溶融流量を持つことができる。いくつかの実施態様において、溶融流量は10分当たり約100グラムから10分当たり約120グラムの範囲にある。
【0072】
ある実施態様において、ポリマーブレンドを作るのに使用する異相ポリプロピレンコポリマーは、異相ポリプロピレンコポリマーの全重量に基づいて、約5重量パーセントから約20重量パーセントの範囲のパーセントキシレン可溶物を持つことができる。異相ポリプロピレンコポリマーは、異相ポリプロピレンコポリマーの全重量に基づいて、約5重量パーセントから約15重量パーセントの範囲のパーセントキシレン可溶物を持つことができる。いくつかの実施態様において、異相ポリプロピレンコポリマーは、異相ポリプロピレンコポリマーの全重量に基づいて5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15重量パーセントのパーセントキシレン可溶物を有する。
【0073】
異相ポリプロピレンコポリマーは、少なくとも2段の逐次重合によって、活性型のマグネシウムハロゲン化物上のZiegler−Natta触媒担体の存在下で作ることができる。
【0074】
連続またはバッチであり得る重合プロセスは、不活性希釈剤の存在下またはなしに、液相において、または気相で、または混合液−気技法で行われる。
【0075】
立体特異的な重合触媒は、以下の反応の生成物を含む:1)チタン化合物を含む固形成分とマグネシウム二ハロゲン化物上で担持された電子供与体化合物(内部ドナー);2)アルミアルキル化合物(触媒);および任意選択で3)電子供与体化合物(外部ドナー)。
【0076】
このような異相コポリマーは、HIFAXTM(LyondellBasell)およびFROMAXTM(LyondellBasell)ポリプロピレンの商標で市販されている。
【0077】
第5のポリマー組成−第2のエラストマーエチレンコポリマー
第5のポリマー組成は、第2のエラストマーエチレンコポリマーでできているかまたはそれを含む。
【0078】
ある実施態様において、第5のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約0から約25重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施態様において、第5のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約15から約25重量パーセントの量で存在する。その他の実施態様において、第5のポリマー組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25重量パーセントの量で存在する。
【0079】
エラストマーエチレンコポリマーの例には、少なくとも1つのCからC10アルファ−オレフィン・コモノマーを有するエチレン/アルファ−オレフィンコポリマーが含まれ、任意選択でポリエン・コモノマーが含まれる。アルファ−オレフィンは、シクロヘキサンまたはシクロペンタンのような環状構造も有し、その結果3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリル−シクロヘキサン)およびビニル−シクロヘキサンのようなアルファ−オレフィンに至る。いくつかの実施態様において、エラストマーエチレンコポリマーは、(a)エチレン由来のユニットおよび(b)CからC10アルファ−オレフィンで構成されるグループから選択された少なくとも1つのコモノマー由来のアルファ−オレフィンコモノマーユニットを有するエチレン/アルファ−コポリマーである。その他の実施態様において、エラストマーエチレンコポリマーは、エチレン/オクテンコポリマーである。さらにその他の実施態様において、エチレン/オクテンコポリマーは、10分当たり約3.0から約10.0グラムのメルトインデックス、立方センチメートル当たり約0.850から約0.900グラムの密度、約15から約20パーセントの全結晶化度、および約−55から約−50℃のガラス転移温度を有する。
【0080】
典型的なエラストマーエチレンコポリマーは、下記を含むがこれに限定されない:エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−オクテン、エチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/5−ビニル−2−ノルボルネン、エチレン/−1,7−オクタジエン、エチレン/7−メチル−1,6−オクタジエン、エチレン/スチレンおよびエチレン/1,3,5−ヘキサトリエン。典型的なエラストマーエチレン・ターポリマーは、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/ブテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチエン/ブテン/スチレン、エチレン/1−オクテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/プロピレン/1,3−ペンタジエン、エチレン/プロピレン/7−メチル−1,6−オクタジエン、エチエン/ブテン/7−メチル−1,6−オクタジエン、エチレン/1−オクテン/1,3−ペンタジエンおよびエチレン/プロピレン/1,3,5−ヘキサトリエンを含む。典型的なエラストマーエチレンテトラポリマーはエチレン/プロピレン/1−オクテン/ジエン、エチレン/ブテン/1−オクテン/ジエンおよびエチレン/プロピレン/混合ジエンを含む。
【0081】
このようなエラストマーエチレンコポリマーは、ENGAGETM(The Dow Chemical Company)、EXACTTM(ExxonMobil Chemical Company)またはTAFMERTM(三井化学)ポリマーの商標で市販されている。
【0082】
炭素繊維組成
炭素繊維組成は、サイジング組成に結合された炭素繊維でできているかまたはこれを含む。
【0083】
ある実施態様において、炭素繊維組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約1から約20重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施態様において、炭素繊維組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して約1から約10重量パーセントの量で存在する。その他の実施態様において、炭素繊維組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して1、2、3、4、5、6、7、8、9または10重量パーセントの量で存在する。
【0084】
使用する炭素繊維の相対量およびサイジング組成は変動する。いくつかの実施態様において、サイジング組成は、サイジング組成と結合された炭素繊維の全重量に基づき約1.0から約10重量パーセントの範囲の量で使用される。サイジング組成は、約1.0から約7.0重量パーセントの範囲とすることができる。いくつかの実施態様において、サイジング組成は1、2、3、4、5、6または7重量パーセントの量で存在する。
【0085】
いくつかの実施態様において、サイジング組成は、エポキシ、ナイロン、ウレタンなどで構成されるグループから選択された材料とすることができる。
【0086】
いくつかの実施態様において、炭素繊維は約3mmから約25mmの範囲の繊維長さとすることができる。その他の実施態様において、炭素繊維は約3mmから約12mmの範囲の繊維長さとすることができる。いくつかの実施態様において、炭素繊維は3、4、5、6、7、8または9mmの繊維長さとすることができる。
【0087】
このような炭素繊維は、TENAXTM(帝人またはToho Tenax America, Inc.)の商標で市販されている。
【0088】
無機充填材組成
無機充填材組成は、無機充填材からできておりまたはそれを含む。
【0089】
ある実施態様において、無機充填材組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から約40重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施態様において、無機充填材組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約20から約30重量パーセントの量で存在する。その他の実施態様において、無機充填材組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30重量パーセント量で存在する。
【0090】
無機充填材は、タルクを含む。このようなタルクは、ULTRATMの商標で市販されている。
【0091】
添加剤の組成
添加剤の組成は、1つまたはそれ以上の添加剤でできておりまたはそれらを含む。
【0092】
ある実施態様において、添加剤組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、約0から約10重量パーセントの量で存在する。その他の実施態様において、添加剤組成は、熱可塑性オレフィン組成の全重量に関して、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10重量パーセント量で存在する。
【0093】
典型的な添加剤は、着色剤、付臭剤、消臭剤、可塑剤、衝撃改質剤、人工降雨剤、潤滑剤、界面活性剤、湿潤剤、難燃剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、殺生物剤、金属不活性剤、増粘剤、熱安定剤、消泡剤、カップリング剤、ポリマー合金相溶化剤、発泡剤、乳化剤、架橋結合剤、ワックス、粒子状物質、流れ促進剤および高分子化合物の処理可能性または最終使用特性を強化するために添加するその他の材料を含む。このような添加剤は、従来量で使用できる。いくつかの実施態様において、量は全組成の10重量パーセントを超えない。
【0094】
いくつかの実施例において、本開示は190℃における溶融流量が、2.16kg(ASTM D 1238)、10分当たり約1.5グラムから10分当たり約11グラムの範囲にある熱可塑性オレフィン組成を提供する。いくつかの実施例において、熱可塑性オレフィン組成は、10分当たり1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11グラムの溶融流量を有することができる。
【0095】
いくつかの実施態様において本開示は、立方センチメートル当たり約0.98グラムから立方センチメートル当たり約1.23グラムの範囲の密度(ISO 1183)を有する熱可塑性オレフィン組成を提供する。その他の実施態様において、この熱可塑性オレフィン組成は、立方センチメートル当たり約1.10グラムから立方センチメートル当たり約1.20グラムの範囲の密度(ISO 1183)を有することができる。
【0096】
いくつかの実施態様において本開示は、降伏(ISO 527)における引張強度が約18MPaから約40MPaの範囲の熱可塑性オレフィン組成を提供する。
【0097】
いくつかの実施態様において本開示は、約27MPaから約50MPaの範囲の曲げ応力(ISO 178)を有する熱可塑性オレフィン組成を提供する。
【0098】
いくつかの実施態様において本開示は、約2300MPaから約5000MPaの範囲の曲げ弾性率(ISO 178)を有する熱可塑性オレフィン組成を提供する。その他の実施態様において、熱可塑性オレフィン組成は、約2500MPaから約4500MPaの範囲の曲げ弾性率を有することができる。
【0099】
いくつかの実施態様において本開示は、約12KJ/mから約20KJ/mの範囲のノッチ付アイゾット衝撃(ISO 180)を有する熱可塑性オレフィン組成を提供する。いくつかの実施態様において、熱可塑性オレフィン組成は約12、13、14、15、16、17、18、19または20KJ/mのノッチ付アイゾット衝撃を有することができる。
【0100】
いくつかの実施態様において本開示は、約0.05パーセントから約0.25パーセントの範囲のツール収縮(ISO 2577)を有する熱可塑性オレフィン組成を提供する。
【0101】
いくつかの実施態様において、本開示は120℃で30分後のツール収縮が約0.05パーセントから約0.35パーセントの熱可塑性オレフィン組成を提供する。
【0102】
いくつかの実施態様において本開示は、約82℃から約120℃の範囲の熱変形温度(HDT)@1.8MPa(ISO 75)を有する熱可塑性オレフィン組成を提供する。
【0103】
いくつかの実施態様において本開示は、約0.31×10−5mm/mm/℃から約2.1×10−5mm/mm/℃の範囲の線熱膨張係数(CLTE)(ASTM E 831)を有する熱可塑性オレフィン組成を提供する。
【0104】
さらなる実施態様において本開示は、下記でできた、またはそれらを含む自動車部品を提供する:
(A)ホモポリマープロピレンでできた、またはそれらを含む第1のポリマー組成;
(B)不飽和モノマーでグラフト化されたポリプロピレンポリマーでできた、またはそれらを含む第2のポリマー組成;
(C)第1のエラストマーエチレンコポリマーでできた、またはそれを含む第3のポリマー組成;および
(D)サイジング組成と結合された炭素繊維でできた、またはそれを含む炭素繊維組成。
【実施例】
【0105】
以下の実施例は、本発明の実施態様を実証するために含まれている。発明人によって発見された本技術に従う実施例で開示された技術は、本発明の実施に際して十分に機能することは当業者によって理解され、その実践に対する典型的なモードを構成すると考えることができる。しかし当業者は本開示に鑑み、開示された特定の実施態様において多くの変更が可能で、本発明の精神および範囲を逸脱することなく類似のまたは同様の結果が得られることを理解すべきである。
【0106】
本発明の実施態様の比較例と実施例に対して、試験片を準備するのに種々の化合物が考案された。材料は表1に示す重量パーセント混合した。
【0107】
ホモポリマーポリプロピレン:LyondellBasellのMETOCENETM MF650Y(230℃における溶融流量2.16kg(ASTM D1238):10分当たり1800グラム;立方センチメートル当たり0.91グラムの密度;M/M:3.2;M:1.56E+04;M:5.0E+04;M:1.08E+05;およびMz+1:1.68E+05)。
【0108】
不飽和モノマーでグラフト化したポリプロピレンポリマー:PolyramのBONDYRAMTM1001無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン(230℃における溶融流量、2.16kg(ASTM D1238):10分当たり100グラム:立方センチメートル当たり0.90グラムの密度)。
【0109】
異相ポリプロピレンコポリマー:LyondellBasellのPROFAXTM EP501V(230℃における溶融流量、2.16kg(ASTM D1238):10分当たり100グラム;立方センチメートル当たり0.900グラムの密度;パーセントキシレン可溶物(重量パーセント):11.7;M/M:5.49;M:2.99E+04;M:1.64E+05;M:6.34E+05;およびMz+1:1.48E+06)。
【0110】
エラストマーエチレンコポリマー:The Dow Chemical CompanyのENGAGETM8150エチレン/オクテンコポリマー(190℃におけるメルトインデックス2.16kg(ASTM D1238):10分当たり0.5グラム;密度:立方センチメートル当たり0.868グラム;Tg:−52℃;結晶化度:16;即ち第1のエラストマーエチレンコポリマー)およびThe Dow Chemical CompanyのENGAGETM 8200エチレン/オクテンコポリマー(190℃におけるメルトインデックス2.16kg(ASTM D1238):10分当たり5.0グラム;密度:立方センチメートル当たり0.870グラム;Tg:−53℃;結晶化度:19;即ち第2のエラストマーエチレンコポリマー)。
【0111】
炭素繊維:帝人のTENAXTM−A HT C804炭素繊維(繊維長:6.0mm;繊維径:7.0μm;サイジング:4.0%)。
【0112】
ガラス繊維:PPGのCHOPVANTAGETM 3299 ガラス繊維(繊維長:3.2mm;繊維径:13μm)。
【0113】
無機繊維:Imi Fabi ULTRATM 5Cタルク(粒径中央値(d50):0.65μm;Top Cut(d98):4.5μm)。
【0114】
添加剤:カーボンブラック・マスターバッチ(ポリエチレン中50%カーボンブラック・マスターバッチ);B225TM、これは立体的に込み合ったフェノール性抗酸化物質IRGANOXTM 1010の1:1ブレンドである、とIRGAFOSTM 168リン酸トリアリール処理安定剤;ステアリン酸カルシウム潤滑剤;およびスリップ剤。
【0115】
化合物の生成
プレコンパウンドの無い炭素繊維を、50−mm Werner & Pfleiderer ZSK 2軸押し出し機で混ぜ合わせた。ポリエチレン樹脂、エラストマーおよび添加剤をメインフィーダーに加えた。タルクを下流で側方供給した。プレコンパウンドのストランドを水中に沈め、ペレット化した。その後、ペレットをブレンドして同質の製品を得た。
【0116】
ペレット化したプレコンパウンドを、炭素繊維を処理するようにデザインされた50−mm 2軸押し出し機に供給した。炭素繊維を下流に加えた。溶融合成物のストランドを水中に沈め、その後ペレット化した。ペレットをブレンドして、85℃で2時間乾燥した。
【0117】
サンプルの生成
乾燥したペレットを、溶融温度215.5℃(420F)でVan Dorn 120射出成形機で射出成型して、ISOの標準の引張りバーと152.4mm×101.6mm(6インチ×4インチ)の滑らかなプラークを作り、機械的テストに供した。
【0118】
【表1】
【0119】
本発明とその利点を詳細に記述したが、付属の請求範囲に規定されている本発明の精神と範囲から逸脱することなく、種々の変更、置換および修正が可能であることを理解されたい。さらに本出願の範囲は、明細書に記載のプロセス、機械、製造、事項の組成、手段、方法およびステップの特定の実施態様を限定することを意図していない。当業者の一人が本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載の実施態様と実質的に同じ機能を実施し、実質的に同じ結果を達成する、現在存在するまたは後日開発されるプロセス、機械、製造、事項の組成、手段、方法またはステップは、本発明に従って利用できる。従って付属の請求項は、このようなプロセス、機械、製造、事項の組成、手段、方法またはステップを、その範囲に含むことを意図している。