特許第6670301号(P6670301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670301
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】コンベヤベルト連結装置
(51)【国際特許分類】
   F16G 3/10 20060101AFI20200309BHJP
   B65G 15/30 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   F16G3/10 C
   B65G15/30 Z
   F16G3/10 D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-512389(P2017-512389)
(86)(22)【出願日】2015年9月3日
(65)【公表番号】特表2017-527758(P2017-527758A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】FR2015052334
(87)【国際公開番号】WO2016034821
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2018年6月18日
(31)【優先権主張番号】14/02007
(32)【優先日】2014年9月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517068841
【氏名又は名称】エイサー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ ホルスト
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05573470(US,A)
【文献】 特開平08−324738(JP,A)
【文献】 特開平08−081029(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/016181(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 3/10
B65G 15/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマまたは合成材料で作られたプレートの形態を有する2つの連結要素を備えてコンベヤベルトを連結するための連結装置であって、
上記プレートは、補強材(7,7a,7b,8,9)を有し、
上側プレート(2)としての一方の上記プレートは、使用中において、上記コンベヤベルトの端部(E,E)の外側面に対して配置され、
下側プレート(3)としての他方の上記プレートは、使用中において、上記コンベヤベルトの端部の内側面に対して配置され、
上記2つのプレート(2,3)は、上記連結装置の使用中において、公知の手段を用いて上記コンベヤベルトの端部に取り付けられ、
上記連結装置は、補強材(7,7a,7b,8,9)であって、上記連結装置における該補強材の構成にしたがって水平方向における伸長可能特性および圧縮可能特性が大きく異なる補強材(7,7a,7b,8,9)を備え、
引張力の作用下における大いに伸長可能な上記補強材(7,7a,7b)の伸長可能限界は、同等の引張力の作用下における伸長不能またはほぼ伸長不能な上記補強材(8,9)の破裂が生じる前には到達されないように構成されている
ことを特徴とする連結装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材(8,9)は、伸長不能もしくはほぼ伸長不能な金属ケーブル、伸長不能もしくはほぼ伸長不能なワイヤ、または伸長不能もしくはほぼ伸長不能な合成材料で作られたフィラメントのウィービングで構成されている
ことを特徴とする連結装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材(8,9)を作るために用いられる繊維の端部は、上記コンベヤベルトの移動方向に対して垂直に配置され、
上記連結装置は、上記コンベヤベルトに取り付けられる
ことを特徴とする連結装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
上記大いに伸長可能な補強材(7,7a,7b)の伸長可能性は、該補強材(7,7a,7b)のアイドル状態における寸法の約20%に及ぶ
ことを特徴とする連結装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記上側プレート(2)の上記補強材(7)は、長手方向において大いに伸長可能かつ圧縮可能であり、
上記下側プレート(3)の上記補強材(8)は、長手方向において伸長不能またはほぼ伸長不能である
ことを特徴とする連結装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記上側プレート(2)および上記下側プレート(3)の上記補強材(7a,7b)は、大いに伸長可能であり、
第3の伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材(9)が、一方では上記下側プレート(3)の左側(3’)の上側面または右側(3’’)の上側面に、他方では上記上側プレート(2)の右側(2’’)の下側面または左側(2’)の下側面に被覆される材料によって上記上側面および上記下側面と一体になっており、
上記第3の補強材(9)の接続のための傾斜中央部(9’’’)が、上記上側プレート(2)および上記下側プレート(3)の接続領域に2つの疑似ヒンジ(10a,10b)を形成することによって、上記下側プレート(3)および上記上側プレート(2)とそれぞれ一体となっている上記第3の補強材(9)の2つの部分(9’,9’’)を接続している
ことを特徴とする連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルト連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤベルトは、石炭、鉱石、産業または農業生産物などの様々な物質または様々な製品を輸送するために使用されるものとして知られている。このようなコンベヤベルトは、適当な長さおよび幅を有する補強エラストマまたは補強合成材料で作られたベルトから構成されており、当該ベルトの端部は、偏向ローラおよびアイドラーローラを備えた支持駆動装置への取付け前または取付け後に、互いに接続される必要がある。往々にして、当該装置はまた、コンベヤベルトを張られた状態に保持するための張力調整部材を備えている。
【0003】
これまで、コンベヤベルトの端部を接続するために様々な手段が用いられてきた。最初は、および今日に及ぶまで、ベルトが加硫され得る補強エラストマで構成されている場合には加硫が用いられる。それぞれが相補的であって上記端部が互いに近づけられたときに互いに適合する一種の範囲を各端部に作るよう意図された下準備の後、よく知られているように熱および圧力をかけることで加硫がなされる。加硫の代替例は冷間接着である。
【0004】
他に知られている接続手段は、金属シートから切り出される概してU字状のステープルを用いるものである。当該ステープルは、稜によって接続された上側プレートおよび下側プレートを有していて、接続されるべきコンベヤベルトの端部の一方の各々にまたがって二列に固定される。このとき、稜は張り出し、一方の列の稜は他方の列の稜の間に入れ子にされる。また、接続関節ロッドが、入れ子にされた稜の内側に通され、一種のヒンジが形成されることによって2つの端部が接続される。コンベヤベルトの端部にステープルを固定するために用いられる公知の手段は、クランプ、リベットおよびネジなどのステムを有する固定手段で構成される。
【0005】
より最近では、補強エラストマまたは補強合成材料で作られたフラット接続要素を使用した連結装置であって、コンベヤベルトの一方の端部および他方の端部にそれぞれ設けられて接続されるべき当該端部に固定される連結装置が提案されている。そのような連結装置の一例が特許文献1に開示されており、補強材が交差したケーブルで構成されている。これらの装置は、上側プレートと、下側プレートと、これら2つのプレートを接続する中央部とを備えている。しかしながら、第8欄の第12〜17行において、同特許文献は装置を2つのプレート、上側プレートおよび下側プレートに限定することを考慮している。
【0006】
決まり事として、本明細書の全テキストにおいて、部品または部品の一部に適用される「上側」という語は、コンベヤベルトを支持および駆動するための装置のローラの反対側を意味する。部品または部品の一部に適用される「下側」という語は、コンベヤベルトのうち当該コンベヤベルトを支持および駆動するための装置のローラと接触する側を意味する。同様に、連結装置に適用されるものとして、「外側」はローラと反対側のスペースを意味し、「内側」はローラ側のスペースを意味する。これらの概念は、したがって、稼働中においてコンベヤベルトの上側流れを考慮するかコンベヤベルトの下側流れを考慮するかに関わらず、コンベヤベルトの視覚的位置から独立したものである。
【0007】
また、決まり事として、「補強材」という語はフラット要素に適用されるものであり、往々にして連結装置の各プレートに固有のものであるが、複数のものが存在することも可能であり、大いに伸長可能という用語は補強材の各要素の伸長可能特性を特徴付け、伸長不能という用語は補強材の各要素の伸長不能特性を特徴付ける。この決まり事は、クレームおよび要約書の記載にも適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第5839571号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
補強材に関して、本発明の発明者は、ローラ、特に偏向ローラを通過する際にコンベヤベルトの上側面の長手方向における伸長およびコンベヤベルトの下側面の長手方向における圧縮が生じ、この伸長および圧縮が連結装置の上側プレートおよび連結装置の下側プレートにそれぞれ伝播することに気付いた。
【0010】
これらの変形はリンクの使用期間にとって好ましくない。コンベヤベルトの故障は、修理代のみでなく、当該コンベヤベルトが一部をなす産業設備の対応する生産ロスをも発生させる。
【0011】
そのため、先行特許文献、特に特許文献1で、この出願の発明者であるJakobは、上述したようなローラの通過中に生じる移動量の違いに起因する問題に対処するために、上側プレートおよび下側プレートの補強材に同じ伸長特性および同じ圧縮特性を与えることを提示している。
【0012】
しかしながら、当該分野での経験から、本発明の発明者は、上側プレートおよび下側プレートの補強材について行われた測定の効果が最大限に使用されていなかったことに気付いた。確かに、下側プレートの補強材および上側プレートの補強材に同じ伸長特性が与えられているため、偏向ローラを通過する際に上側プレートの伸長と下側プレートの伸長との間に生じる伸長差異は、特に張力調整部材の存在下において不十分であり、そのことは力伝達にとって好ましくなく、また過度の伸長にさらされる上側プレートの補強材の劣化につながり得る。
【0013】
本発明の目的は、連結装置の上側プレートの補強材および下側プレートの補強材の特に新しい構成および特に新しい特性に関する改良を、両プレートが中央部によって接続されているかどうかに関わらず提示することである。当該中央部が存在する場合、この中央部はプレートに一体形成されるかまたは別体形成される。当該改良は、特に煩雑な設置状況において稼働する連結装置の耐用年数を最適化するためのものである。
【0014】
本発明の別の目的は、厚みの異なるコンベヤベルトに連結装置を取り付けることを可能とする補強材の構成を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
実用試験の実施後、本特許出願の発明者は、下側プレートの補強材の伸長可能特性および圧縮可能特性とは大きく異なる伸長可能特性および圧縮可能特性を有する補強材を上側プレートに設けることにより優れた結果を得た。換言すれば、本発明の主題に係るコンベヤベルト用の連結装置は、エラストマまたは合成材料で作られたプレートの形態を有する2つの連結要素を備えており、当該プレートは補強材を有し、上側プレートとしての一方のプレートは、使用中において、コンベヤベルトの端部の外側面に対して配置され、下側プレートとしての他方のプレートは、使用中において、コンベヤベルトの端部の内側面に対して配置され、2つのプレートは、連結装置の使用中において、公知の手段を用いてコンベヤベルトの端部に取り付けられ、連結装置は、補強材であって、連結装置における当該補強材の構成にしたがって水平方向における伸長可能特性および圧縮可能特性が大きく異なる補強材を備え、引張力の作用下における大いに伸長可能な補強材の伸長可能限界は、同等の引張力の作用下における伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材の破裂が生じる前には到達されないように構成されている。
【0016】
概して、および本発明の範囲内において、「大いに伸長可能」という用語は、補強材の伸長可能性が少なくとも約15%、好ましくは約20%よりも大きいことを意味する。同様に、「伸長不能またはほぼ伸長不能」という用語は、補強材の最大伸長可能性が約3%を超えないことを意味する。このように、補強材の伸長可能特性および圧縮可能特性は、特に大きく、異なることを理解されたい。
【0017】
補強材の第1の組合せが、試されて優れた結果をもたらした。この組合せでは、上側プレートに大いに伸長可能な補強材を設けた。この補強材の伸長可能性は、一般に、長手方向、すなわち連結装置が取り付けられた後のコンベヤベルトの移動方向において力が作用する前の初期長さの20%程度であってもよい。伸長可能性は、また必要に応じて、より大きくてもよく、例えば60%程度であってもよい。好ましくは、大いに伸長可能な補強材の伸長可能性は15〜60%であって、より好ましくは20〜60%である。下側プレートには、最大伸長可能性が約3%を超えない伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材が設けられる。
【0018】
大きな差異のために、ローラ通過時に伸長度の違いは最大になるが、上側プレートの伸長可能な補強材の伸長度は、下側プレートの伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材の破裂の前には、可能な最大値には達しない。引張力の伝達は下側プレートの補強材によってなされるので、当該補強材の耐破裂性はコンベヤベルトの用途にしたがって安全係数を伴って選択される。これにより、連結装置の疲労または劣化が生じる可能性が大幅に低減されることを理解されたい。本発明のこのタイプは、上側プレートおよび下側プレートを備えた様々な連結装置に適用可能であり、このことは2つのプレートを接続する中央部が存在するかどうかに関係ない。また、中央部が存在する場合、それは2つのプレートの一体形成されるかまたは別体形成される。
【0019】
本発明は、さらに、厚みの異なるコンベヤベルトに対する連結装置の適合性に関する決定的な解決策を提示する。この解決策では、上側プレートと下側プレートとは、斜めに設けられた中央接続部によって1つの部品を形成するように接続されている。この構成は、厚みの異なるコンベヤベルトへの取付けに関する連結装置の適合性と、コンベヤベルトの長手方向における補強材の伸長可能性および圧縮可能性に関する補強材の特性とを両立させる。
【0020】
上記中央接続部は、エラストマで被覆された伸長不能またはほぼ伸長不能なキャンバス(canvas)で構成されている。この接続部は、上側プレートと下側プレートとの間に角度をなして設けられていて、一方では下側プレートの一方側の上側面と、他方では上側プレートの他方側の下側面と一体になっている。中央接続部のエラストマで被覆された伸長不能またはほぼ伸長不能なキャンバスは、当該キャンバスが一体となっている上側プレートの下側面の一方側および当該キャンバスが一体となっている下側プレートの上側面の他方側において広げられる。
【0021】
この構成では、2つのプレートに共有されるこの第3の補強材の伸長不能なまたはほぼ伸長不能な特性を利用することが可能であり、また一方では下側プレートの上側面と中央接続部との間、他方では上側プレートの下側面と中央接続部との間の接続領域が疑似ヒンジを構成し、そのことが上側プレートと下側プレートとが互いに離間または接近するのを可能とするクリアランスを許容し、それによりこのタイプの連結装置を厚みの異なるコンベヤベルトに取り付けることが可能となる。
【0022】
また、このタイプの連結装置は反転されてもよい。すなわち、当該連結装置は上側プレートと下側プレートとを反対にして取り付けられてもよく、したがって誤った取付けの可能性が排除され、実質的な伸長可能性の特性およびゼロまたはほぼゼロの伸長可能性の特性は保たれる。
【0023】
発明者は、また、様々な実施形態において使用される伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材が、スクリーンとして使用される紙を製造するための機械において使用されるタイプのキャンバスであって、伸長不能もしくはほぼ伸長不能な金属ケーブル、伸長不能もしくはほぼ伸長不能な金属ワイヤ、または合成材料で作られた伸長不能もしくはほぼ伸長不能なフィラメントのウィービング(weaving)で形成されてなる、当該紙の輸送をサポートするキャンバスで構成されていてもよいことを提示する。本発明に係る連結装置のプレートの補強材として設けられる当該キャンバスはおそらくコーミング効果を受けるので、発明者は、クランプ、リベットまたはネジなどのステムを有する固定手段が存在する場合に、これらの構造体の端部、すなわち伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材を作るために用いられる繊維の端部を、本発明に係る連結装置において、当該連結装置がコンベヤベルトに取り付けられる方向であるコンベヤベルトの移動方向に対して垂直に配置することを提示する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、従来技術に係る連結装置の断面斜視図である。
図2図2は、コンベヤベルトの端部に取り付けられた従来技術に係る連結装置を示す図であって、偏向ローラを通過する状態を示している。
図3図3は、本発明に係る第1の連結装置の斜視図である。
図4図4は、コンベヤベルトの端部に取り付けられた図3の連結装置の縦断面図である。
図5図5は、コンベヤベルトの端部に取り付けられた図3の連結装置の縦断面図であって、偏向ローラを通過する状態を示している。
図6図6は、本発明に係る第2の連結装置の縦断面図である。
図7a図7aは、薄いコンベヤベルトの端部に取り付けられた図6の連結装置を示す図である。
図7b図7bは、分厚いコンベヤベルトの端部に取り付けられた図6の連結装置を示す図である。
図8図8は、コンベヤベルトの端部に取り付けられた図6の連結装置を示す図であって、偏向ローラを通過する状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の制限的ではない好ましい実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。同じ参照符号は、全ての図面において同じ部品または部分に関して使用される。
【0026】
図1は、従来技術に係る連結装置を示している。この例では、上側プレート2は平行に重ねられたケーブルのセット4によって補強され、下側プレート3はセット4’によって上側プレートと同様に補強されている。また、上述したように、中央部5が下側プレートと上側プレートとを接続している。
【0027】
図2は、コンベヤベルトに取り付けられた図1の連結装置を示す図であって、偏向ローラを通過する状態を示している。半径Rのローラ、コンベヤベルトの端部E、下側プレートおよび上側プレートには補強材が設けられている。上側プレートの上側面と下側プレートの下側面との間の距離はeで表されている。移動距離の違いは次式にしたがって大まかに算出されることを理解されたい。
【0028】
【数1】
ここで、移動は360°ではなく約180°にわたってなされる。
【0029】
図3は、本発明に係る第1の連結装置の縦断面図である。種々の要素は次のように示されている。すなわち、(2)上側プレート、(3)下側プレート、(5)中央部(この中央部は存在しないか、またはプレートと一体形成されているか、もしくは別体形成されていることを思い出してほしい)、(7)長手方向において伸長可能かつ圧縮可能な補強材、(8)伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材、である。
【0030】
下側プレート3の補強材8は伸長不能であって、移動量の違いはもっぱら上側プレート2の大いに伸長可能な補強材7に影響することを理解されたい。伸長不能な補強材がその破裂限界に達する前には伸長可能な補強材の最大伸長に達しないので、大いに伸長可能な補強材がこれを劣化させるような引張力にさらされることはないだろう。伸長不能な補強材には、もちろん安全係数を伴って、コンベヤベルトの作動中に生じる引張力に適合する耐破裂性が与えられているので、この力伝達のための伸長不能な補強材はヒューズ(fuse)として機能する。このように、2種類の補強材は劣化から保護されており、連結装置の耐用年数は最大限となる。
【0031】
コンベヤベルトの作動中に生じる引張力に適合する伸長不能な補強材の耐破裂性に対して、コンベヤベルトは所望のアプリケーションにしたがって当業者によって自由に選択されることを理解されたい。比較的低い耐性を有する伸長不能な補強材は、例えば食料品を輸送するよう意図された軽くて薄いコンベヤベルト用の連結装置において使用され、比較的高い耐性を有する伸長不能な補強材は、例えば鉱石を輸送するよう意図された重たいコンベヤベルト用の連結装置において使用される。
【0032】
図4は、コンベヤベルトの端部に取り付けられた図3の連結装置の縦断面図である。上側プレート7の伸長可能な補強材7と、下側プレートの伸長不能またはほぼ伸長不能な補強材8とが確認される。この例では、クランプCによって固定がなされている。
【0033】
図5は、図3の連結装置が偏向ローラを通過する状態を示している。大いに伸長可能な補強材7が、下側プレートの移動量と上側プレートの移動量との違いのために伸ばされることによって曲がっていること、および伸長不能な補強材8が伸ばされていないか実質的に伸ばされていないことが見て取れる。符号Rはローラの半径を示し、符号eは連結装置の厚みを示し、符号Eは連結装置が取り付けられるコンベヤベルトの端部を示している。
【0034】
図6は、本発明に係る第2の連結装置を示す図であって、連結装置がコンベヤベルトに取り付けられて偏向ローラを通過する状態の断面図を見ることを可能とする。大いに伸長可能な補強材7aが上側プレート2に設けられ、大いに伸長可能な別の補強材7bが下側プレート3に設けられている。第3のフレキシブルで伸長不能な補強材9は、上側プレート2および下側プレート3に被覆される材料によって当該プレート2,3と一体になっており、この補強材9の部分9’は下側プレートの上側面の一方側、すなわち左側3’と一体になり、この補強材9の別の部分9’’は上側プレート2の下側面の他方側、すなわち右側2’と一体になり、当該第3補強材9の接続のための傾斜中央部9’’’は上側プレート2および下側プレート3とのそれぞれの接続領域において2つの疑似ヒンジ10a,10bを形成することによって2つの部分9’,9’’を接続している。
【0035】
図7aは、第1厚みEPのコンベヤベルトに取り付けられた図6の連結装置を示し、図7bは、より分厚い第2厚みEP’のコンベヤベルトに取り付けられた図5の同装置を示している。この適合性は、プレート2,3の接近または離間を実現する疑似ヒンジ10a,10bによるものであってもよい。この連結装置は反転させられてもよく、上側プレートおよび下側プレートの概念はただ説明のために用いられる。
【0036】
図8は、コンベヤベルトに取り付けられた図6の連結装置を示す図であって、偏向ローラを通過する状態を示している。図6における全ての要素、すなわちプレート2,3、伸長可能な補強材7a,7b、伸長不能な補強材9および当該補強材9の各部分9’,9’’,9’’’が認められる。
【0037】
移動量の違いは伸長可能な補強材7a,7bによって吸収される。力の伝達は伸長不能な補強材9によってなされる。
【0038】
本発明によって達成しようとする全ての目的、すなわち本発明に係る連結装置の耐用年数の一定の増大および厚みの異なるコンベヤベルトに対する連結装置の取付け適合性が達成され、さらには連結装置が反転使用可能、すなわちプレートの配置ミスのリスクなくして取付け可能であるという利点もある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8