(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670305
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】光共有及び相互作用深さ推定を用いるPET検出器シンチレータアレンジメント
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20200309BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
G01T1/20 C
G01T1/161 A
G01T1/20 D
G01T1/20 E
G01T1/20 G
G01T1/20 J
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-519612(P2017-519612)
(86)(22)【出願日】2015年10月14日
(65)【公表番号】特表2017-537310(P2017-537310A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】IB2015057843
(87)【国際公開番号】WO2016059557
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年10月11日
(31)【優先権主張番号】62/065,164
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(73)【特許権者】
【識別番号】514104933
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ワシントン
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ソワーズ‐エマード デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】レーネルト アドリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ハンター ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ミヤオカ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】シャオ リンション
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス トーマス レロイ
【審査官】
関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/101730(WO,A1)
【文献】
特開2004−132930(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0270463(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0148074(US,A1)
【文献】
国際公開第2009/141861(WO,A1)
【文献】
特開2004−279057(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0235047(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T1/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面内に配置された光センサのセンサアレイであり、各光センサがルミネセンスを感知するセンサアレイと、
4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーであり、それぞれが4つの側面と第1の端面及び第2の端面とを有する長方形プリズムであり、それぞれが別のシンチレーションバーの側面にそれぞれ対向する2つの側面を有し、それぞれが、受光したガンマ光子と相互作用するのに応答して光シンチレーションを生成する、4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーと、
前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの対向する側面の間にそれらと隣接して配置される第1の平面内に配置され、前記第1の端面に隣接する光共有部分、及び前記第2の端面に隣接する反射部分を有する第1の層と、
前記第1の平面に直交する第2の平面内に配置され、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの対向する側面の間にそれらと隣接して配置され、前記第2の端面に隣接する光共有部分、及び前記第1の端面に隣接する反射部分を有する第2の層と、
前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの1つのシンチレーション結晶バーの相互作用深さ推定値を、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうち互いに対角線上にあり、かつ前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの前記1つのシンチレーション結晶バーに対向する2つのシンチレーション結晶バーの感知されるルミネセンスの比に基づいて、検出された事象から推定する、前記センサアレイに接続された信号処理ユニットと
を含む、光子検出器。
【請求項2】
他の実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの1つのシンチレーション結晶バーの表面に対向しない前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの側面に隣接して配置されてそれらの側面を覆う、反射性の第3の層
をさらに含む、請求項1に記載の光子検出器。
【請求項3】
前記第1の層の前記反射部分及び前記第2の層の前記反射部分が、反射フィルムを含み、前記第1の層の前記光共有部分及び前記第2の層の前記光共有部分が、前記隣接する対向する表面を互いに光学的に結合する、請求項1に記載の光子検出器。
【請求項4】
感知されるルミネセンスの比を相互作用深さの対応する離散値と関連付ける、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーについての値を記憶する参照テーブル(LUT)をさらに含み、
前記信号処理ユニットが、記憶された前記値を使用して前記相互作用深さを推定する、請求項1に記載の光子検出器。
【請求項5】
前記信号処理ユニットが、
前記センサアレイによって感知されるルミネセンスを示す信号を受信し、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーからの前記感知されるルミネセンスに基づいて前記検出された事象の総エネルギー値を決定し、及び/又は
各検出された事象について総エネルギー値、時間値及び位置識別子を生成し、前記位置識別子が、相互作用深さ推定値と、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの前記1つのシンチレーション結晶バーの位置とを含む、
請求項1に記載の光子検出器。
【請求項6】
前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのそれぞれについて、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうち、互いに対角線上にあり、かつ前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの前記1つのシンチレーション結晶バーと対向する他の前記2つのシンチレーション結晶バーからの感知されるルミネセンスの較正済みの比の値と、対応する相互作用深さ推定値とを記憶する参照テーブル(LUT)をさらに含み、
前記信号処理ユニットが、感知されるルミネセンスの比を感知されるルミネセンスの前記較正済みの比と比較し、前記LUTに記憶された前記対応する相互作用深さ推定値のうちの1つを決定された相互作用深さ推定値として使用することによって、前記相互作用深さ推定値を決定する、請求項1に記載の光子検出器。
【請求項7】
感知されるルミネセンスの前記較正済みの比、及び前記対応する相互作用深さ推定値が、複数の結晶深さに向けられた電子コリメート放射ビームを用いた側方較正に基づき、及び/又は
感知されるルミネセンスの前記較正済みの比、及び前記対応する相互作用深さ推定値が、入射表面較正及び単調変化する比からの深さ分離に基づく、
請求項6に記載の光子検出器。
【請求項8】
複数の請求項1に記載の光子検出器と、
前記光センサの出力を受信し、
応答線(LOR)を規定するシンチレーションの同時事象対を決定し、
各LORの端部を特定する光子検出器、各LORの端部を特定する前記光子検出器の各シンチレーションの時間値、及び各LORの端部を特定する各光子検出器の相互作用深さを特定し、
前記相互作用深さに基づいて各LORの端部位置を調節し、
前記LORを使用して飛行時間再構築を実行して、画像表現を生成する
1つ又は複数のプロセッサと、
生成された前記画像表現を表示するディスプレイデバイスと
を含む、核医学撮像システム。
【請求項9】
シンチレータアレイ中の4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの1つのシンチレーション結晶バーにおいてある深さで検出された事象の光子を発するステップであり、前記4つのシンチレーション結晶バーがそれぞれ、4つの側面と第1の端面及び第2の端面とを有する長方形プリズムであり、各シンチレーションバーが、別のシンチレーションバーの側面にそれぞれ対向する2つの側面を有し、各シンチレーション結晶バーが、受光したガンマ光子と相互作用するのに応答して光シンチレーションを生成し、前記シンチレータアレイが、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの対向する側面の間にそれらと隣接して配置される第1の平面内に配置される、前記第1の端面に隣接する光共有部分及び前記第2の端面に隣接する反射部分を有する第1の層と、前記第1の平面に直交する第2の平面内に配置され、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの対向する側面の間にそれらと隣接して配置される、前記第2の端面に隣接する光共有部分及び前記第1の端面に隣接する反射部分を有する第2の層とを含むステップと、
前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの前記1つのシンチレーション結晶バーにおける光子シンチレーションの深さを、平面内に配置されたルミネセンスをそれぞれ感知する光センサのセンサアレイによる、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうち互いに対角線上にあり、かつ前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの前記1つのシンチレーション結晶バーに対向する2つのシンチレーション結晶バーの感知されるルミネセンスの比に基づいて推定するステップと
を含む、光子を検出する方法。
【請求項10】
前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーからの前記感知されるルミネセンスの和に基づいて、前記光子シンチレーションの総エネルギーを決定するステップと、
前記シンチレータアレイからの前記感知されるルミネセンスに基づいて、前記光子シンチレーションの時間を決定するステップと
をさらに含み、
光センサの前記センサアレイの各光センサが、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの1つのシンチレーション結晶バーのセンサ端面と結合するようなサイズになっているフォトダイオードのアレイを含み、各光センサが、1つの時間デジタル変換器(TDC)に接続され、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのそれぞれが、前記センサアレイの4つの光センサと結合される、請求項9に記載の光子を検出する方法。
【請求項11】
前記光子シンチレーションの前記深さを推定する前記ステップが、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの前記1つに対応する、感知されるルミネセンスの前記比を前記光子シンチレーションの深さの推定値の離散値に関連付ける記憶値を使用する、請求項9に記載の光子を検出する方法。
【請求項12】
各検出された事象について総エネルギー値、時間値及び位置識別子を生成するステップであり、前記位置識別子が、前記光子シンチレーションの深さ推定値、及び前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの前記1つのシンチレーション結晶バーの位置を含むステップと、
生成した前記総エネルギー値、時間値及び位置識別子をリストモード非一時的コンピュータメモリに記憶するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の光子を検出する方法。
【請求項13】
前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのそれぞれについて、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうち互いに対角線上にあり、前記4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの前記1つのシンチレーション結晶バーに対向する前記2つのシンチレーション結晶バーからの感知されるルミネセンスの較正済みの比、及び対応する相互作用深さ推定値の値を、参照テーブルに記憶するステップをさらに含み、
前記光子シンチレーションの前記深さを推定する前記ステップが、感知されるルミネセンスの前記比を感知されるルミネセンスの前記較正済みの比と比較し、前記光子シンチレーションの推定深さとして、前記参照テーブルからの前記対応する相互作用深さ推定値のうちの1つを使用する、請求項9に記載の光子を検出する方法。
【請求項14】
感知されるルミネセンスの前記比、及び前記対応する相互作用深さ推定値を、第1の側面の反対側の第3の側面及び第2の側面の反対側の第4の側面のうちの少なくとも1つに沿ってセンタリングされた複数の結晶深さに向けられた電子コリメート放射ビームを用いた側方較正に基づいて較正するステップと、
前記第1の側面の中心に向けられた放射線を使用した前方較正に基づいて、感知されるルミネセンスの前記較正済みの比、及び前記対応する光子シンチレーション深さ推定値を妥当性検査するステップと
をさらに含む、請求項13に記載の光子を検出する方法。
【請求項15】
ガンマ光子検出システムであって、
それぞれが2つの隣接するシンチレーション結晶と部分的に光学的に結合された4つのシンチレーション結晶であり、各シンチレーション結晶が、前記2つの隣接するシンチレーション結晶のうちの一方とは、入射端に隣接する光を選択的に通過させるように光学的に結合され、前記2つの隣接するシンチレーション結晶のうちの他方とは、光センサ端に隣接する光を選択的に通過させるように結合され、前記シンチレーション結晶が、ガンマ光子と相互作用するのに応答して光を発する、4つのシンチレーション結晶、及び
前記シンチレーション結晶の前記光センサ端と光学的に結合された光センサ
をそれぞれ含む、撮像対象の被検体を受ける撮像領域の周りに配置された複数のガンマ光子検出器と、
発光している前記シンチレーション結晶内でガンマ光子との前記相互作用が起こる深さを、前記発光している結晶と部分的に光学的に結合された前記2つのシンチレーション結晶と光学的に結合された前記光センサの出力信号の比から決定する、前記光センサと接続された1つ又は複数のプロセッサと
を含む、ガンマ光子検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、一般に、核医学撮像に関する。核医学撮像は、陽電子断層撮影(PET)検出器及び陽電子消滅事象の位置特定に関連して特に適用されるので、以下では、特にこれらに関連して核医学撮像について述べる。ただし、核医学撮像は、他の使用シナリオでも適用され、必ずしも上記の適用分野に限定されるとは限らないことを理解されたい。
【背景技術】
【0002】
PET撮像では、被検体は、代謝過程を対象とする放射性医薬品を注射される。放射性医薬品は、対象組織内で蓄積され、放射性医薬品が崩壊するときに陽電子を放出する。陽電子は、消滅事象において電子と相互作用し、消滅事象では、互いに180°反対向きの511keVの2つのガンマ光子を生成する。放射線医薬品の崩壊期間中には、被検体は、生成されたガンマ光子を検出する検出器を含む撮像デバイス又はスキャナ内に配置される。撮像デバイスは、通常は、被検体を長さ方向に取り囲む複数の検出器のリングを含む。
【0003】
各検出器は、検出器の位置又はピクセルにおいて、ある時間、あるエネルギーレベルで、ガンマ光子を検出する。時間ウィンドウ及びエネルギーウィンドウを、検出した光子に適用して、ガンマ光子の同時事象対、すなわち同じ消滅事象で生じる2つの光子を決定する。同時事象対は、消滅事象を位置特定するために使用される応答線(LOR)を規定する。飛行時間(TOF)PET検出器は、検出タイミングの精度を利用して、さらにLORに沿って消滅事象を位置特定する。
【0004】
検出器は、通常、3次元長方形のシンチレーション結晶を含み、このシンチレーション結晶が、検出器リングの中心に向く面でガンマ光子を受光する。ガンマ光子は、結晶内の分子と相互作用し、結晶は、ガンマ光子を変換する、すなわち発光して、ルミネセンスを生成する。生成されたルミネセンス又は光は、結晶の中心向きの表面とは反対側の面上に位置する光センサによって感知される。結晶は、中心向きの表面とセンサ向きの表面との間が十分な寸法となるようなサイズとされ、シンチレーションがそれらの表面の間のどこか、相互作用深さ(DOI)として定義されるところで起こるようになっている。例えば、結晶は、通常は、長い長方形バーであり、その中心向きの小さい端面がガンマ光子を受光し、反対側の小さい端面が1つ又は複数の光センサに結合され、これらの光センサが、感知したルミネセンスを、受光したガンマ光子を測定するエネルギー値及び時間値に変換する。シンチレーション又はDOIは、中心向きの表面と光センサ結合表面との間の深さ又は長さに沿って分布して発生し、この分布は結晶によって異なる。システムは、通常、シンチレーション結晶の中心向きの表面と結合表面との間の固定中心点を、LORの各端点に使用しており、これにより、視差などの誤差がLORに生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DOIを推定する1つの手法は、横並び結晶対アレンジメントを含み、隣接する各結晶の間の表面の一部分が光共有を含み、残りの部分は不透明で、底辺が共有面のセンサ端にあり、頂点が結晶の中心向きの表面に向かって延びる二等辺三角形の形状になっている。シンチレーション結晶が発光すると、光は、検出された事象の相互作用深さに応じて、対になっている結晶と共有される。各結晶は、この光出力を測定する光センサと光学的に結合されている。DOIは、両結晶の光の総量に対する発光している結晶から感知される光の量の比として推定される。
【0006】
別の手法では、隣接する結晶同士の間に光共有表面を有する、14×14など、さらに大きな結晶アレイを使用し、連続DOI測定で結晶アレイを側方較正する。ただし、より広域の光共有を有するこの大きなアレイは、タイミング解像度に影響を及ぼす。タイミング解像度は、検出時点を決定するために使用される半値全幅(FEHM)測定における感知光出力ピークに基づく。光共有が増大すると、ピークが広がり、タイミング解像度も大きくなる、すなわち検出される時間の精度が低下する。さらに、側方測定を用いた連続DOIは、システムのスループットに影響を及ぼすさらに複雑な計算を伴い、また、側方測定も、横並びに配置された検出器のリングでは、不可能とまではいかないが、困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下では、上記で参照した問題及びその他の問題に対処する、光共有及び相互作用深さ推定を用いる新規の改良されたPET検出器シンチレータアレンジメントを開示する。
【0008】
1つの態様によれば、光子検出器は、平面内に配置された光センサのセンサアレイと、4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーとを含む。各光センサは、ルミネセンスを感知する。4つのシンチレーション結晶バーはそれぞれ、4つの側面と第1及び第2の端面とを有する長方形プリズムであり、各シンチレーションバーは、別のシンチレーションバーの側面にそれぞれ対向する2つの側面を有し、各シンチレーション結晶バーは、受光したガンマ光子と相互作用するのに応答して光シンチレーションを生成する。第1の層は、光共有部分が第1の端面に隣接し、反射部分が第2の端面に隣接した状態で、4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの対向する側面の間にそれらと隣接して配置される第1の平面内に配置される。第2の層は、光共有部分が第2の端面に隣接し、反射部分が第1の端面に隣接した状態で、第1の平面に直交する第2の平面内に配置され、4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの対向する側面の間にそれらと隣接して配置される。
【0009】
別の態様によれば、光子を検出する方法は、シンチレータアレイ中の4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの1つのシンチレーション結晶バーにおいてある深さで検出された事象の光子を発するステップを含む。4つのシンチレーション結晶バーはそれぞれ、4つの側面と第1及び第2の端面とを有する長方形プリズムである。各シンチレーションバーは、別のシンチレーションバーの側面にそれぞれ対向する2つの側面を有する。各シンチレーション結晶バーは、受光したガンマ光子と相互作用するのに応答して光シンチレーションを生成する。シンチレータアレイは、光共有部分が第1の端面に隣接し、反射部分が第2の端面に隣接する状態で、4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの対向する側面の間にそれらと隣接して配置される第1の平面内に配置される第1の層と、光共有部分が第2の端面に隣接し、反射部分が第1の端面に隣接する状態で、第1の平面に直交する第2の平面内に配置され、4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーの対向する側面の間にそれらと隣接して配置される第2の層とを含む。4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの1つのシンチレーション結晶バーにおけるガンマ光子シンチレーションの深さは、平面内に配置された光センサのセンサアレイによる、4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうち互いに対角線上にあり、かつ4つの実質的に同じシンチレーション結晶バーのうちの1つのシンチレーション結晶バーに対向する2つの感知されるルミネセンスの比に基づいて推定される。各光センサは、ルミネセンスを感知する。
【0010】
別の態様によれば、ガンマ光子検出システムは、撮像対象の被検体を受ける撮像領域の周りに配置された複数のガンマ光子検出器と、1つ又は複数のプロセッサとを含む。各検出器は、それぞれが2つの隣接するシンチレーション結晶と部分的に光学的に結合された4つのシンチレーション結晶を含む。各シンチレーション結晶は、2つの隣接するシンチレーション結晶のうちの一方とは、入射端に隣接する光を選択的に通過させるように光学的に結合され、2つの隣接するシンチレーション結晶のうちの他方とは、光センサ端に隣接する光を選択的に通過させるように結合され、シンチレーション結晶は、ガンマ光子と相互作用するのに応答して光を発し、光センサは、シンチレーション結晶の光センサ端と光学的に結合される。光センサに接続された1つ又は複数のプロセッサは、発光している結晶内でガンマ光子との相互作用が起こる深さを、発光している結晶と部分的に光学的に結合された2つのシンチレーション結晶と光学的に結合された光センサの出力信号の比から決定する。
【0011】
1つの利点は、使用時検出器リングのDOI推定を用いる検出器結晶アレンジメントである。
【0012】
別の利点は、優れたタイミング解像度を有する検出器結晶アレンジメントにある。
【0013】
別の利点は、優れた空間解像度にある。
【0014】
別の利点は、簡単なDOIの計算にある。
【0015】
当業者なら、以下の詳細な説明を読んで理解すれば、さらなる利点を理解するであろう。
【0016】
本発明は、様々な構成要素及び構成要素のアレンジメント、並びに様々なステップ及びステップのアレンジメントとして実施され得る。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものに過ぎず、本発明を限定するものとして解釈すべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】光共有及び相互作用深さ推定システムを有する光子検出器シンチレータアレンジメントの1実施形態を示す概略図である。
【
図2A】光共有及び側方較正を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントの1実施形態を示す概略図である。
【
図2B】光共有及び側方較正を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントの1実施形態を示す概略図である。
【
図3A】光子検出器シンチレータアレンジメント及びセンサ結合の様々な実施形態の1つを示す概略図である。
【
図3B】光子検出器シンチレータアレンジメント及びセンサ結合の様々な実施形態の1つを示す概略図である。
【
図4A】前方較正を用いる例示的な光子検出器シンチレータアレンジメントを示す図である。
【
図4B】前方較正による光共有分布を示す図である。
【
図5】例示的な光子検出器シンチレータアレンジメントに関する光共有較正グラフを示す図である。
【
図6】例示的な光子検出器シンチレータアレンジメントに関する光共有分布及び相互作用深さ較正グラフを示す図である。
【
図7】光共有及び相互作用深さ推定を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントを構築する1実施形態の1方法を示す流れ図である。
【
図8】光共有及び相互作用深さ推定を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントを側方較正する1実施形態の1方法を示す流れ図である。
【
図9】光共有及び相互作用深さ推定を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントを使用時較正する1実施形態の1方法を示す流れ図である。
【
図10】光共有及び相互作用深さ推定を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントを使用する1実施形態の1方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、光共有及び相互作用深さ推定システム10を備えた光子検出器シンチレータアレンジメントの実施形態が概略的に示してある。システム10は、陽電子断層撮影スキャナ又は撮像デバイス12を含み、この陽電子断層撮影スキャナ又は撮像デバイス12は、検出器リング14が露出した状態で斜視図で示す撮像領域16に外接する1つ又は複数の検出器リング14を含む。撮像領域16は、被検体支持台18上に支持された被検体を受け、放射性医薬品が注射された被検体が、検出器リング14によって受光されるガンマ光子を発出する。
【0019】
各検出器リング14は、撮像領域16の周りで円周方向にアレンジメントされた検出器タイル20を含む。各検出器タイル20は、展開図で示す中心に向いたダイ22の2次元アレンジメントを含む。各ダイ22は、LYSO(オキシオルトケイ酸ルテチウムイットリウム)、オキシオルトケイ酸ルテチウム(LSO)、オキシオルトケイ酸ルテチウムガドリニウム(LGSO)、オキシオルトケイ酸ルテチウムガドリニウムイットリウム(LGYSO)、ホウ化ランタン(LaBr)、又はゲルマニウム酸ビスマス(BGO)などの、さらに別の展開斜視図で示す4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26のシンチレータアレイ24を含む。実質的に同じシンチレータ結晶バー26は、それぞれが1つのピクセル又は検出器位置に対応する。
【0020】
4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26のシンチレータアレイ24は、例えばシリコン光電子増倍管(SiPM)、アバランシェフォトダイオード(APD)、光電子増倍管(PMT)などのデジタル又はアナログセンサなどの、光センサ30のセンサアレイ28に結合される。1実施形態では、実質的に同じシンチレータ結晶バー26は、それぞれが1つの光センサ30に結合される、すなわち1対1の対応になっている。光センサ30のセンサアレイ28は、平面内に配置される。別の実施形態では、1つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26が、4つの光センサ30に結合される。各光センサ30は、感知したルミネセンスを示す信号を独立して生成し、この信号を別個の入力32を介して信号処理ユニット34に送る。各ダイ22の光センサ30は、信号処理ユニット34の1つの時間デジタル変換器(TDC)36に接続している。
【0021】
信号処理ユニット、プロセッサ、回路又は手段34は、光センサ30から信号を受信し、総エネルギー値、時間値、各検出事象又は光子シンチレーションについてのピクセル又は検出器位置などの位置識別子を生成する。エネルギー値及び位置識別子は、4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26のうちの1つに対応する。位置識別子は、各事象についての相互作用深さ推定を含む。総エネルギー値は、4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26のシンチレータアレイ24から感知したルミネセンスをエネルギー値に変換した値の和である。TDC36は、実質的に同じシンチレータ結晶バー26のうちの1つによる各シンチレーション光子又は検出事象について、時間値、すなわちタイムスタンプを生成する。4つの光センサ30の出力の論理和をとって、事象ごとに4つの光センサからの第1の出力の時間を示す1つのタイムスタンプが生成されるようにすることができる。
【0022】
信号処理ユニット34は、4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26のうち、発光している結晶に向いており、かつ互いに対角線上にある、他の2つの結晶バーからの感知されるルミネセンスの比に基づいて、相互作用又はシンチレーションの深さを推定する。信号処理ユニット34は、コンピュータメモリに記憶された参照テーブル(LUT)38を使用し、このLUT38は、それぞれの実質的に同じシンチレータ結晶バー26の感知されるルミネセンスの較正比を、対応する相互作用深さの離散値と関連付ける。計算した比と、LUT38の使用とによって、感知されるルミネセンスが、相互作用深さの推定値に迅速かつ効率的に変換される。
【0023】
LUT38は、DOI較正ユニット、プロセッサ、装置又は手段40によって構築及び/又は修正される。DOI較正ユニット40は、ナトリウム22点光源など、電子コリメート単一エネルギー(511keV)放射ビーム42を含む。検出器タイル20の製造中に、シンチレータアレイ24に配置された各実質的に同じシンチレータ結晶バー26は、様々な深さで、電子コリメート放射ビーム42によって側方較正される。DOI較正ユニット40は、光源から発光している結晶の側面に向けられた放射ビーム42のビームによって決定される較正済みの深さにおいて、発光している結晶から共有光又は共有ルミネセンスを受光する2つの対角線上に位置する結晶からの感知されるルミネセンスの比を使用する。DOI較正ユニット40は、較正済みの放射ビーム深さ及び較正済みの比の分布を入力し、較正済みの比及び対応する相互作用深さの離散値を含むLUT38を構築する。製造後は、ダイ22は、シンチレータアレイ24同士を光学的に分離しており、内側の結晶が外側の結晶によって遮蔽されるので、側方較正は複雑になる。DOI較正ユニット40は、前方較正を使用して、製造後にLUT38を妥当性検査及び/又は修正する。例えば、発光している結晶の前面に向けられた放射ビームは、深さの分布及び対応する発光している結晶と対角線上にある結晶との間の光共有の分布を有する感知されるルミネセンスの比を生じる。比の前方較正分布は、LUT38並びに妥当性検査及び/又は修正したLUTによって表される分布と比較することができる。
【0024】
信号処理ユニット34は、総エネルギー値、時間値、及び相互作用深さの推定値を有する位置識別子を、コンピュータメモリなどのリストモードデータストア44に記憶する。すなわち、各事象について、ガンマ光子を受光したシンチレータの位置(光を感知した最初のセンサから決定される)、光センサ30のうちのいずれかによる最初の光検出の時間値又はタイムスタンプ、シンチレータアレイ24の全ての結合された光センサからの総エネルギー(光量)(これを使用して、スクリーニングを行って有効放射光子を得ることができる)、及びDOIを記憶する。LUT38のコンピュータメモリ及びリストモードデータストア44は、固体状態記憶装置、ディスク記憶装置、ローカル記憶装置、クラウド記憶装置、サーバ記憶装置など、非一時的コンピュータ記憶媒体によって実施するのが適当である。
【0025】
再構築ユニット、プロセッサ又は手段46は、リストモードデータ44を受信し、1つ又は複数の画像を再構築し、これらの画像は、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、モバイルコンピューティングデバイス、ネットワーク接続分散型コンピューティングデバイスなどのコンピューティングデバイス50のディスプレイデバイス48に表示される。通常の画像再構築処理に加えて、再構築ユニット46は、DOIに基づいて、各LORの端点及び/又はそれらの端点の時間値を調節する。コンピューティングデバイス50は、電子データプロセッサ、光学プロセッサなどのデータプロセッサ52と、マウス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロホンなどの1つ又は複数の入力デバイス54とを含む。信号処理ユニット34、DOI較正ユニット40及び再構築ユニット46のプロセッサは、データプロセッサ52によって可読で、データプロセッサ52によって実行可能である命令(例えばソフトウェア)を記憶する非一時的記憶媒体を含むことができる。
【0026】
図2Aを参照すると、光共有を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントの1実施形態が、透視斜視図で示してある。4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26のシンチレータアレイ24は、
図2Aでは、4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26のうちの1つ60が左前になるように配向される。4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26は、それぞれ、第1の側面62及び第1の側面62に対して直交する第2の側面64と、第1の側面62及び第2の側面64に対して直交し、光センサ30のアレイ28と光学的に結合されたセンサ端面66とを含む。第1の側面62及び第2の側面64は、4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26の他の2つ68及び70と平行であり、これらに向いている、すなわち2×2シンチレータアレイである。第3の側面72は、第2の側面64の反対側であり、第4の側面74は、第1の側面62の反対側である。入射端面76又は中心向き表面は、センサ端面66の反対側であり、入射端面76とセンサ端面66との間のある深さのところで発光するガンマ光子を受光する。4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26は、それぞれ、センサ端面66と入射端面76との間に長軸を有するようなサイズになっている。例えば、4×4×22mmの結晶では、両端面は、4×4mmの表面であり、両者間の距離が22mmとなる。
【0027】
4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26のシンチレータアレイ24は、センサ端面66に直交して隣接する光共有部分82及び残りの反射部分84を有する、対向する側面の間にそれらに隣接して位置決めされた平面内に配置された第1の層80を含む。第2の層86は、第1の層80に直交する平面内に配置され、対向する側面の間にそれらに隣接して位置決めされ、入射端面78に直交して隣接する光共有部分88及び残りの反射部分90を有する。1実施形態では、第1の層80の光共有部分82及び/又は第2の層86の光共有部分88は、実質的に同じシンチレータ結晶バー26の対の間で繰り返される。別の実施形態では、第1の層80の光共有部分82と第2の層86の光共有部分88とは、非対称で、かつ/又は異なるものである。
【0028】
側方較正中に、第3の側面72及び第4の側面74は、1つの結晶60の中心線に向けられたコリメート単一エネルギー光子ビームに曝される。単一エネルギー光子ビームは、光検出器92と一致して電子的にコリメートすることができる。1つの結晶60中の光は、光共有部分82及び88を介して2つの他の結晶68及び70と共有され、その2つの他の結晶68及び70の対応する光センサ30によって感知される。
【0029】
図2Bを参照すると、光共有を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントの1実施形態が、シンチレータアレイ24の半分を分解して示してある。左側に示す実質的に同じシンチレータ結晶バー26は、第1の側面62上に第1の層80を含み、3つの区画に分割されている。光共有部分82は、センサ端面66側に配置されている。
【0030】
第1の区画100は、光共有であり、センサ端面66から2.0mmなどの長さにわたって延びる縁部から縁部までの長方形領域102を含む。第2の区画104は、部分的に光共有であり、第1の区画100に向かって延びる6.0mmなどの高さの頂点及び第3の区画106に向かって延びる縁部から縁部の底辺104を有する二等辺三角形に成形された、例えば反射フィルムなどの反射領域を含む。反射領域は、両側に反射することができる。第2の区画104の残りの領域、例えば二等辺三角形の両側の直角三角形は、光共有領域である。他の実施形態では、第2の区画104の反射領域について、半円又は楕円形、多角形の半分、台形など、異なる幾何学的形状も考えられる。第3の区画106は、二等辺三角形の底辺から入射端面76まで14mmなどの長さにわたって延びる、縁部から縁部の長方形102の反射領域を含む。
【0031】
右側に示す実質的に同じシンチレータ結晶バー26は、第2の側面64上に第2の層86を含み、3つの区画に分割されている。光共有部分88は、入射端面76側に配置されている。
【0032】
第1の区画108は反射性であり、センサ端面66から14.0mmなどの長さにわたって延びる縁部から縁部までの長方形領域110を含む。第2の区画112は、第1の区画108から延びる縁部から縁部の底辺110及び第3の区画114に向かって延びる6.0mmなどの高さの頂点を有する二等辺三角形に成形された、例えば反射フィルムなどの反射領域を含む。反射領域は、両側に反射することができる。第2の区画112の残りの領域、例えば二等辺三角形の両側の直角三角形は、光共有領域である。他の実施形態では、第2の区画112の反射領域について、半円又は楕円形、多角形の半分、台形など、異なる幾何学的形状も考えられる。第3の区画114は、二等辺三角形の頂点から入射端面76まで14mmなどの長さにわたって延びる、縁部から縁部の長方形102の光共有領域を含む。他の実施形態では、第1の側面62の第1の区画100の長さと、第2の側面64の第3の区画114の長さとは、異なる。他の実施形態では、第1の側面62の第2の区画104の二等辺三角形の高さ又は別の幾何学的形状の寸法、及び/或いは幾何学的形状は、第2の側面64の第2の区画112で利用される二等辺三角形の高さ、別の幾何学的形状の寸法、及び/又は幾何学的形状と異なる。
【0033】
図3Aを参照すると、デジタル光子計数検出器タイル120における光子検出器シンチレータアレンジメント及びセンサ結合の1実施形態が斜視図で示してあり、そのうちの1つのダイ122の光センサ30が2次元展開
図122で示してある。デジタル光子計数検出器タイル120は、センサアレイ28が露出し、1つのシンチレータアレイ24が実質的に同じシンチレータ結晶バー26と光センサ30とが1対1で結合されている状態にあるものとして示してある。センサアレイ28は、検出器タイル20ごとに実装することができる。各光センサ30は、1つの結合された実質的に同じシンチレータ結晶バー26からの感知されるルミネセンスの結合信号を生成するフォトダイオードの2次元アレイを含む。1対1の結合により、各実質的に同じシンチレータ結晶バー26からの感知されるルミネセンスが簡単に決定されるようになる。
【0034】
シンチレータアレイ24は、各実質的に同じシンチレータ結晶バー26の第3の側面72及び第4の側面74を覆う第3の反射層124を含む。第3の反射層124は、各シンチレータアレイ24を隣接するシンチレータアレイから光学的に分離する。各シンチレータアレイ24に限定される4つの実質的に同じシンチレータ結晶バー26の光共有アレンジメントにより、より多数の結晶を含む、すなわち感知されるルミネセンスの信号ピークが狭いシンチレータアレイのタイミング解像度が改善される。
【0035】
2次元展開
図122では、各光センサは、4つの象限又は4つのサブピクセル126を含む。各サブピクセル126の対応するフォトダイオードは、信号処理ユニット34への入力のためにグループ化され、信号処理ユニット34は、これらのグループ化された入力を使用して、トリガ及び事象妥当性検査アルゴリズムを行う。
【0036】
図3Bを参照すると、シリコン光電子増倍管(SiPM)検出器タイル130の光子検出器シンチレータアレンジメント及びセンサ結合の1実施形態が斜視図で示してある。シンチレータアレイ24は、光センサ30とずれており、ダイ22にまたがって4体1で結合している。結晶がより小さくなり、ずれていることにより、
図3Aを参照して述べた1対1の結合を超える精細な感知されるルミネセンスの空間的位置決めが行われるようになる。
【0037】
図4Aを参照すると、前方較正が行われる例示的な光検出器シンチレータアレンジメント及び光共有が示してあり、対応する分布グラフが、
図4Bに示してある。511keVガンマ源などの放射線源140が、1つのシンチレータ結晶60の入射端面76又は中心向き表面を照射する。ガンマ光子が結晶と相互作用すると、結晶は、光を発出する。光の一部は、発光している結晶内を進行する。光の一部は、1つの結晶60に隣接する面を有する、互いに対角線上にある2つの隣接するシンチレータ結晶68及び70と共有される。光は、1つのシンチレータ結晶60内の相互作用深さと、第1の層80の光共有部分82及び第2の層86の光共有部分88とに応じて共有される。共有光は、2つの他のシンチレータ結晶68及び70のうちの1つとそれぞれ結合された、光センサ30のうちの2つによって感知される。
【0038】
放射線源からの光子は、(既知の減衰定数で)指数関数的に減衰し、入射表面における相互作用が最も大きく、深くなるほど小さくなる。各シンチレーション結晶について、DOI分布曲線は同じになる。各検出器は、統計的に有意な数のガンマ光子にわたるそのDOI分布を既知の分布にフィッティングすることによって較正することができる。
【0039】
事象は、比によって分類され、所与の深さでどれだけ多くの事象が予想されるかに応じてビニングされる。繰り返されるシンチレーションにわたる隣接するシンチレータ結晶68及び70から感知される共有光の比を、
図4Bに、前方較正ヒストグラム150としてグラフで示す。縦軸はシンチレーション又は事象の数である。横軸は、シンチレータ結晶68及び70から感知される共有光の比である。参照テーブル38は、そのDOI分布曲線を公称DOI分布と一致させる各結晶の較正値を記憶している。
【0040】
図5を参照すると、例示的な光子検出器シンチレータアレンジメントに関する光共有較正グラフが、ヒストグラム150〜180で示してある。縦軸は、シンチレーションの数を表す。横軸は、シンチレータ結晶68及び70から感知される共有光の比を表す。前方較正における事象は、2mmのビンにビニングされる。線150は、非分離事象ヒストグラムであり、線160〜180は、分離事象ヒストグラムである。ビニングされたヒストグラムが重複しているのは、グラフ化誤差によるものである。DOI較正ユニット40は、LUT38から得られる比の分布を、前方較正ヒストグラムから得られる比の分布と比較して、LUT38を妥当性検査及び/又は修正する。
【0041】
1実施形態では、DOI較正ユニット40による較正で、最尤推定アルゴリズムを使用する。LUT38は、
【数1】
に基づく平均値及び分散値を含み、ここで、xはシンチレーション位置、mは事象信号、μは位置iにおける平均、σ
2はiにおける分散と対数分散の和である。
【0042】
図6を参照すると、例示的な光子検出器シンチレータアレンジメントに関する光共有分散及び相互作用深さ較正グラフが示してある。縦軸は、2つの対角線上に位置するシンチレータ結晶68及び70から感知される共有光の平均比を表す。横軸は、放射線源140を使用した入射表面較正によって得られる較正深さを表す。このグラフは、2つの対角線上に位置するシンチレータ結晶68及び70との光共有部分に応じた較正比と相互作用深さとの間の関係を示している。較正比の平均及び分散並びに相互作用深さは、LUT38では離散値で表されている。
【0043】
図7を参照すると、光共有及び相互作用深さ推定を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントを構築する1実施形態の1方法の流れ図が示してある。ステップ190で、実質的に同じシンチレータ結晶バー26と、例えば反射フィルムなどの成層材料と、Meltmount(商標)、Teflon(商標)などの熱可塑性材料とを準備する。実質的に同じシンチレータ結晶バー26を洗浄する。反射フィルムは、
図2A及び
図2Bを参照して述べたような寸法に切断する。
【0044】
ステップ192で、実質的に同じシンチレータ結晶バー26の対及び第1の層80を有する2つの1×2アレイを形成する。反射フィルムを表面に貼付し、次いで熱可塑性材料を塗布する。熱可塑性材料は、結合剤として作用する。ステップ194で、2つの1×2アレイに、熱可塑性材料中の気泡など、対の間の光共有に影響を及ぼす欠陥がないかどうか検査する。
【0045】
ステップ196で、2つの1×2アレイを、第2の層86を用いて接合する。反射フィルムを表面に貼付し、次いで熱可塑性材料を塗布する。得られた2×2アレイを洗浄し、ステップ198で、欠陥がないかどうか検査する。
【0046】
ステップ200で、シンチレータアレイ24を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープ、すなわちTeflon(商標)、3M(商標)ミラーフィルム材料などの反射性包装材料で包装し、センサアレイ28に結合する。
【0047】
ステップ202で、又はDOI較正ユニットによって、各実質的に同じシンチレータ結晶バー26を側面又は入射表面較正する。較正した比、及び対応する深さを、記録する。このステップは、LUT38を構築することも含む。
【0048】
図8を参照すると、光共有及び相互作用深さ推定を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントを側方較正する1実施形態の1方法の流れ図が示してある。ステップ210で、電子コリメート放射ビーム42を、1つの結晶60の外側表面の中心、すなわち第3の側面72又は第4の側面74の中心線に向けて送り、放射ビーム位置、例えば深さと、感知されるルミネセンス信号値とを生成する。
【0049】
ステップ212で、又はDOI較正ユニット40によって、検出された事象又は光子を記録するリストモードデータ44を生成する。リストモードデータ44は、各光センサ30からの信号エネルギー値、発光している結晶又は較正対象の1つの結晶60の位置、及び較正済みの深さを含む。
【0050】
ステップ213で、各事象についての「ヒット」結晶を特定する。ステップ214で、又はモジュール214によって、エネルギーウィンドウを適用して、リストモードデータ44中の事象をフィルタリングする。適当な手法で、エネルギーウィンドウは、ダイ22の光センサ30によって生成された信号にガウス分布をフィッティングし、各結晶で発生する事象を独立して扱って、光収集の差を説明する。一般に、結晶ごとに、異なる事象エネルギーウィンドウを使用することができる(すなわち、ウィンドウ値は、事象がどの結晶内で発生したかによって決まる。すなわち、事象ごとに、使用されるエネルギーウィンドウは、ステップ213でその事象について特定される「ヒット」結晶によって決まる)。このような手法は、光収集が結晶/センサ結合に応じて、例えば正確な1対1結合からのずれによって変化することを適切に説明する。記録した事象の生成信号の3つの標準偏差(±3σ)を保持し、例えば感知されるルミネセンスの信号値としてフィルタリングする。1実施形態では、参照光検出器92からの光電ピーク及びコンプトンエッジ値によって、事象をさらにフィルタリングする。
【0051】
ステップ216で、或いはモジュール、プロセッサ又は回路216によって、エネルギーウィンドウを適用して、リストモードデータ44中の発光している結晶から感知されるルミネセンスの信号をフィルタリングする。エネルギーウィンドウは、アレイ中の最も大きな信号を有するセンサ30によって生成される信号にガウス分布をフィッティングする。生成した信号値の3つの標準偏差±3σを保持し、例えば感知されるルミネセンスの信号値としてフィルタリングし、これにより、リストモードデータ44中のコンプトン事象がさらに最小限に抑えられる。
【0052】
ステップ218で、或いはプロセッサ又はモジュール218で、LUT38を構築する。各発光している結晶に応じて、較正済みの深さによって、各実質的に同じシンチレータ結晶バー26のフィルタリング済みの感知されるルミネセンスの平均及び分散を計算する。計算した平均から、較正済みの比を計算する。1実施形態では、LUT38の構築は、信号値及び/又は較正済みの相互作用深さの補間、平滑化及び/又はボックスカーフィルタリングを使用した洗練化をさらに含む。
【0053】
LUT38は、個々のダイ22を参照することもできるし、或いは、例えば複数のアレイを参照するテーブルなど、ダイ22及び/又はシンチレータアレイ24が位置識別子に含まれるテーブルに複数のダイを含むこともできる。
【0054】
図9を参照すると、光共有及び相互作用深さ推定を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントを使用時較正する1実施形態の1方法の流れ図が示してある。光子検出器の使用時較正は、検出器タイル20内に位置するアレイなど、隣接するシンチレータアレイ24を含むことがある。ステップ220で、電子コリメートガンマ線源140を、1つの結晶60の入射端面76の中心、例えば撮像デバイス12の視野内の中心向き表面に向け、ビーム位置を記録する。
【0055】
ステップ222で、又はDOI較正ユニット40によって、検出された事象を記録するリストモードデータ44を生成する。リストモードデータ44は、各光センサ30からの信号エネルギー値と、発光している結晶又は較正対象の1つの結晶60の位置識別子とを含む。
【0056】
ステップ223で、各事象についての「ヒット」結晶を特定する。ステップ224で、又はモジュール224によって、エネルギーウィンドウを適用して、リストモードデータ44中の事象をフィルタリングする。エネルギーウィンドウは、ダイ22の光センサ30によって生成された信号、すなわち記録した事象についての各ダイの合計信号に、ガウス分布をフィッティングする。このウィンドウは、この場合も、任意選択で、(ステップ223でその事象について特定される「ヒット」結晶に基づいて)結晶で発生する事象について独立して計算して、光収集の差を説明する。生成した信号の3つの標準偏差(±3σ)のウィンドウを、記録した事象の生成信号に適用し、ウィンドウ内の値を保持する、すなわち感知されるルミネセンスの信号値としてフィルタリングする。
【0057】
ステップ226で、或いはモジュール226によって、エネルギーウィンドウを適用して、リストモードデータ44中の発光している結晶から感知されるルミネセンスの信号をフィルタリングする。エネルギーウィンドウは、最も大きな信号を有する光センサ30によって生成される信号にガウス分布をフィッティングする。発光している結晶から感知されるルミネセンスの信号が、発光している結晶の生成信号値の3つの標準偏差(±3σ)内である事象を、各結晶について保持し、これにより、リストモードデータ44中のコンプトン事象がさらに最小限に抑えられる。
【0058】
ステップ227で、又はモジュール227によって、初期LUT38を作成する。このステップでは、226でフィルタリングしたリストモード事象を、最初に、隣接する結晶の比によって単調に分類する。分類した事象を、次いで、各深さビンの予想事象数に基づいて、深さビンに割り当てる。この分類及び深さビンへの割当ての一例を、
図5に示す。次いで、4つのセンサ信号の平均及び分散を、各深さビンごとに計算し、この集合が、初期LUTとなる。
【0059】
任意選択で、ステップ228で、又はモジュール228によって、LUT38を修正する。1実施形態では、平均及び分散LUTを、補間し、平滑化し、かつ/又はボックスカーフィルタでフィルタリングする。別の実施形態では、LUTを、事象DOIの最尤推定に基づいて平均及び分散LUTを更新する最尤アルゴリズムによって反復する。
【0060】
LUT38は、個々のダイ22を参照することもできるし、或いは、ダイ22及び/又はシンチレータアレイ24が位置識別子に含まれるテーブル、すなわち複数のアレイを参照するテーブルに複数のダイを含むこともできる。例えば、LUT内の位置識別子は、タイル番号、タイル内の各ピクセルのx、y座標基準、及び対応する較正済みの比を有する深さを含む。
【0061】
図10を参照すると、光共有及び相互作用深さ推定を用いる光子検出器シンチレータアレンジメントを使用する1実施形態の1方法の流れ図が示してある。ステップ230で、
図9を参照して上述したように前方較正を使用して、1つ又は複数の2×2シンチレータアレイ24を較正する。ステップ232で、ガンマ光子が、シンチレータアレイ24中の4つの実質的に同じシンチレーション結晶バー26のうちの1つにおいて、DOIでシンチレーションを引き起こす。生成されたルミネセンスは、シンチレーションの深さに応じて、2つの隣接するシンチレーション結晶68及び70と、隣接する側面の光共有部分を介して共有される。ルミネセンスは、光センサ30によって感知される。1実施形態では、光センサ30は、1対1結合で実質的に同じシンチレーション結晶バー26と結合される。別の実施形態では、光センサ30は、4対1結晶/センサ結合で実質的に同じシンチレーション結晶バー26と結合される。
【0062】
ステップ234で、或いはモジュール又は回路234によって、シンチレータアレイ24の感知されるルミネセンスから、すなわち検出された光子のシンチレータアレイ24に結合された光センサ30によって生成された信号の和から、総エネルギーを決定する。1実施形態では、この和は、1つのシンチレータアレイ24と1つの光センサアレイ28との間の結合に対応する値を使用する。
【0063】
ステップ236で、或いはモジュール又は回路236によって、シンチレータアレイ24に結合された光センサ30に接続されたTDC36が、検出した光子シンチレーションの時間を決定する。1実施形態では、TDC36は、4つの光センサ30に接続しており、これらの光センサ30は、実質的に同じシンチレーション結晶バー26に1対1で結合されている。
【0064】
ステップ238で、或いはモジュール又は回路238によって、相互作用深さを推定する。相互作用深さは、発光している結晶に隣接する2つの他の対角線上に位置するシンチレータ結晶68及び70から感知されるルミネセンスの比によって決まる。この比をLUT38とともに使用して、相互作用深さを推定する。
【0065】
ステップ240で、或いはモジュール又は回路240によって、検出した光子をリストモードデータ44に記録する。リストモードデータは、総エネルギー、時間、及び検出した光子の位置識別子を含む。位置識別子は、シンチレーション結晶の位置、及び相互作用深さ推定を含む。
【0066】
本明細書に提示する特定の例示的な実施形態に関連して、特定の構造的及び/又は機能的特徴が規定した要素及び/又は構成要素に組み込まれるものとして説明したことを理解されたい。ただし、これらの特徴は、適切である場合には、同じ又は同様の利点を得ながら、他の要素及び/又は構成要素に組み込むことができるものと考えられる。また、例示的な実施形態の様々な態様を適宜選択的に利用して、所望の適用分野に適した他の代替の実施形態を実現することもでき、それらの他の代替の実施形態が、本明細書に組み込まれる態様それぞれの利点を実現することも理解されたい。
【0067】
また、本明細書に記載する特定の要素又は構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組合せを介して適当に実施されるそれぞれの機能性を有することができることも理解されたい。さらに、一緒に組み込まれるものとして本明細書では述べられている特定の要素が、適切な状況下では、独立した要素となる、又はその他の形で分割されることもあることも理解されたい。同様に、1つの特定の要素によって実行されるものとして述べられている複数の特定の機能が、個別の機能を実行するように独立して作用する複数の別個の要素によって実行されることもあり、或いは特定の個々の機能が、協調して作用する複数の別個の要素によって分割されて実行されることもある。或いは、互いに別個のものとして本明細書で説明及び/又は図示されているいくつかの要素又は構成要素が、適宜物理的又は機能的に結合されることもある。
【0068】
つまり、本明細書は、好ましい実施形態に関連して記載されている。本明細書を読み、理解すれば、当業者でも様々な修正及び改変を思いつくであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内である限り、このような全ての修正及び改変を含むものとして解釈されるものと意図されている。すなわち、上記に開示した特徴及び機能並びにその他の特徴及び機能、或いはそれらの代替物のうち様々なものを、望ましいように結合して、多数のその他の様々なシステム又は適用分野を得ることができること、並びにそれらに対する現在予想又は予期されていない様々な代替、修正、変更又は改良を、当業者なら後に行うことができ、それらもやはり以下の特許請求の範囲に包含されるものとして意図されていることは理解されるであろう。