特許第6670310号(P6670310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デジマ・ファルマ・ベー・フェーの特許一覧

特許6670310テトラヒドロキノリン誘導体の調製のための合成中間体の調製方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670310
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】テトラヒドロキノリン誘導体の調製のための合成中間体の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/42 20060101AFI20200309BHJP
   C07D 401/12 20060101ALN20200309BHJP
【FI】
   C07D215/42
   !C07D401/12
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-528754(P2017-528754)
(86)(22)【出願日】2015年7月29日
(65)【公表番号】特表2017-524742(P2017-524742A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】NL2015050555
(87)【国際公開番号】WO2016024858
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2018年7月20日
(31)【優先権主張番号】PCT/NL2014/050556
(32)【優先日】2014年8月12日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】517045129
【氏名又は名称】デジマ・ファルマ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォード,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】セールデン,ヨハンネス・パウルス・ゲラルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】ルドリュ,アマンディーヌ
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−532345(JP,A)
【文献】 特表2002−526475(JP,A)
【文献】 特表2007−530443(JP,A)
【文献】 BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY LETTERS,2012年,VOL:22, NR:11,PAGE(S):3671 - 3675,DOI: 10.1016/j.bmcl.2012.04.042
【文献】 Organic Process Research & Development,2006年,Vol.10, No.3,pp.464-471,DOI: 10.1021/op060014a
【文献】 RSC Advances,2013年,Vol.3, No.2,pp.573-578,DOI: 10.1039/c2ra22796g
【文献】 Tetrahedron,2009年,Vol.65, No.14,pp.2721-2750,DOI: 10.1016/j.tet.2008.12.059
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
ラセミ化合物またはその塩を調製する方法であって、
(a)式II:
【化2】
に従う4−アミノベンゾトリフルオリドと、
式III:
【化3】
に従うアルデヒド及び、式IV:
【化4】
に従う化合物とを、溶剤及び任意に1種以上の触媒の存在下で同時に反応させて、式V:
【化5】
の化合物(式中、Rは、HまたはC−Cアルキルであり、
は、H、C−Cアルキルまたは
【化6】
である。)を形成する工程と、
(b)式Vの化合物を加水分解して式(I)の化合物を形成する工程と、
を含み、前記工程(b)の前に、式(V)の化合物を工程(a)の反応混合物から分離する、前記方法。
【請求項2】
が、CHCHである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がCHCHであり、RがHである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記使用される溶剤がジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、またはこれらの混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記工程a)で使用される触媒が酸である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記工程a)で使用される触媒がブレンステッド酸またはルイス酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が4−トルエンスルホン酸である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記式Vの化合物を、沈殿及び/または濾過により前記工程a)の反応混合物から分離し、前記沈殿が、非極性溶剤を前記反応混合物に添加することにより実施される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記非極性溶剤がヘプタン、シクロヘキサン、またはこれらの混合物である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程b)において、前記式Vの化合物を、水溶性酸の存在下、前記化合物を含む混合物を45℃〜80℃で1〜3時間温めることにより加水分解する、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記式Vの化合物が、水溶性酸及びアルコールの存在下で加水分解される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸が塩酸である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルコールがエタノールである、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
さらなる工程c)において、式I−a:
【化7】
(式中、RはHまたはC−Cアルキルである。)
に従う、前記ラセミ化合物の2R,4S−エナンチオマーを分離する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記式I−aに従うエナンチオマーの分離を、キラル分割剤で分割することにより行う、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記キラル分割剤が、L−酒石酸、またはジ−p−トルオイル−L−酒石酸である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
がCHCHである、請求項1416のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
式I−aに従う化合物またはその塩が、下記式の化合物A:
【化8】
の調製に使用される、請求項1417のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステリル転移タンパク質(CETP)に対して阻害活性を有し、HDLコレステロールレベルを増加させ、LDLコレステロールレベルを減少させる効果を示し、動脈硬化性疾患、高脂血症、脂質異常症等の疾患の処置及び/または予防に使用することができるテトラヒドロキノリン誘導体の調製に使用することができる合成中間体の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有望な疫学的試験では、低密度リポタンパクコレステロール(LDL−C)レベルと心血管疾患(CVD)リスクとの間に強い関連性があることが示されている[1]。これらの動脈硬化性LDL−Cレベルを減少させるために、後続のスタチン療法を適用することにより、CVD−関連罹患率及び死亡率が顕著に低下する。すなわち、LDL−Cが1mmol/L低下するごとに、CVD事象が22%減少し、かつ全死因死亡率が10%減少すると推定される[2]。これらの優れた利益にもかかわらず、個々の患者及び広範な医療コストの両方に対して大きな影響を及ぼす大きな疾病負担が残存している[3]。患者のこの残存CVDリスクをさらに減少させるために、新しい治療法が求められている。
【0003】
LDL−Cを減少させ、高密度リポタンパクコレステロール(HDL−C)レベルを上昇させる新たな1つのアプローチは、コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)を阻害することである。CETPは、肝臓及び脂肪組織から主として分泌される血漿タンパク質である。CETPは、トリグリセリドとの交換において、コレステリルエステルのHDLからアポリポタンパク質B(Apo B)含有粒子(主にLDL及び極めて低密度のリポタンパク質VLDL)への転移を仲介し、これにより(V)LDLの含有量に有利になるようにHDL中のコレステロール含有量を低下させている。したがって、CETPの阻害は、HDL−C中のコレステリルエステルを保持し、かつ動脈硬化性Apo B画分のコレステロール含有量を減少させると仮定されている。
【0004】
心血管疾患の罹患率の減少におけるCETP阻害の潜在力を支持する証拠があるにもかかわらず、CETP阻害剤の臨床開発は容易ではない。第III相臨床試験へ進行する最初の化合物はトルセトラピブであり、これは有効性を示したが、アトルバスタチンと組み合わせた時に、アトルバスタチン単独と比較して心血管系事象及び死亡が予期できないこと等の安全性への懸念があるために、開発されなかった[4]。
【0005】
第IIb相臨床試験に入った別のCETP阻害剤、ダルセトラピブは、LDL−C濃度に対して最小限の影響しか与えずにHDL−Cを30〜40%増加させたが、トルセトラピブのオフターゲット効果を提示することが認められなかった弱い阻害剤であることが示された[11−13]。近年、ダルセトラピブ開発もまた、この化合物を用いて行われた第III相試験が無益であったために終結された。
【0006】
さらに2種のCETP阻害剤、アナセトラピブ及びエバセトラピブは、近年、第III相臨床試験の段階にある。しかしながら、これらのCETP阻害剤の使用には、CETP阻害を得るために使用しなければならない用量が比較的多い、より強い副作用がより多く発生し得るという欠点がある。このことは、患者の肉体的健康及び患者のコンプライアンスの両方に悪影響を及ぼし得る。
【0007】
本発明者は、強力な効能がありかつ忍容性が良好なCETP−阻害剤及びその医薬組成物を提供することにより、前述の欠点を首尾良く克服した。このCETP−阻害剤は、化合物Aと称されるテトラヒドロキノリン誘導体であり、下記の構造式:
【0008】
【化1】
を有する。
【0009】
臨床試験は、化合物A(またはその塩)は強力な効能のあるCETP−阻害剤であることを示している。他の公知のCETP−阻害剤に比較して、化合物Aは、ほぼ完全なCETP阻害に到達するために、比較的少ない用量しか必要としない。典型的には、化合物Aを2.5mgの低い投与量での1日1回投与することを繰り返すことは、ほぼ完全なCETP阻害に到達するのに十分であることが既に証明されている。これらは、他のCETP−阻害剤に使用されるべき用量より、かなり低い用量である。さらに、臨床試験はまた、化合物Aの忍容性が良好でありであり、深刻な副作用をもたらさないことも示している。
【0010】
化合物A等のテトラヒドロキノリン誘導体の調製では、式I:
【0011】
【化2】
に従う中間体が使用されている。
【0012】
これらの種類の中間体は、化合物A等のテトラヒドロキノリン誘導体の調製に極めて有用であるが、WO2007/116922に記載されているようなこれらの種類の中間体の現在の調製方法を用いた場合、全体的な収率は比較的低いものとなる。さらに、比較的高価な出発材料及び触媒、例えば、それぞれ(R)−3−アミノバレリアン酸及びパラジウムを使用しなければならない。さらに、現在の調製方法では、残存フッ素による製造器具の腐食の問題がある。
【0013】
従って、化合物A等の、CETP阻害特性を有するテトラヒドロキノリン誘導体のさらに調製するために使用することができる、式Iに従う中間体を調製するための効率的かつ費用効率が良い方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の態様は、式I:
【0015】
【化3】
の化合物またはその塩の調製方法であって、
(a)式II:
【0016】
【化4】
に従う4−アミノベンゾトリフルオリドと、
式III:
【0017】
【化5】
に従うアルデヒド、及び式IV:
【0018】
【化6】
に従う化合物とを、溶剤及び任意に1種以上の触媒の存在下で反応させて、式V:
【0019】
【化7】
に従う化合物
(式中、RはHまたはC−Cアルキル、好ましくはCHCHであり、
はH、C−Cアルキルまたは
【0020】
【化8】
である。)を形成する工程と、
(b)式Vの化合物を加水分解して式Iの化合物を形成する工程と、を含む、方法に関する。
【0021】
本発明の方法を用いることにより、現在、比較的安価な出発材料で、副産物をほとんど生成することなく、かつ良好な収率で、式Iに従う中間化合物を効率的に調製することが可能である。前述のように、これらの化合物は、化合物A等のテトラヒドロキノリン誘導体のさらなる調製に使用することができる。
【0022】
本発明に従う方法において、いわゆる三成分ポヴァロフ反応が使用される。この方法の重要な工程は、式V:
【0023】
【化9】
に従ういわゆるポヴァロフ生成物の形成である。この中間体は比較的安価な出発材料を用いて調製することができ、かつ効率的に加水分解して式Iに従う化合物を形成することができる。
【0024】
従って、本発明の第2の態様は、式Vに従う中間体に関する。この中間体は以前に調製されたことはなかった。
【0025】
本発明の第3の態様は、式Iに従う化合物の調製、特に式I−aに従う2R,4Sエナンチオマーの調製における、式Vに従う中間体の使用に関する。エナンチオマーは化合物Aの調製に使用することができる。
【0026】
【化10】
【0027】
従って、本発明の最後の態様は、化合物Aの調製における式Vに従う化合物の使用に関する。
【0028】
定義
本明細書に使用される用語「薬学的に許容可能な」は、その従来の意味を有し、過度の毒性、炎症、アレルギー反応なしで、かつ合理的な利益/リスク比に相応する他の問題を複雑化することなく、哺乳動物、特にヒトの組織との接触に適した正しい医学的判断の範囲内にある化合物、材料、組成物、及び/または投与形態を指す。
【0029】
本明細書に使用される用語「塩」は、その従来の意味を有し、酸付加体及び塩基塩(base salt)を含む。
【0030】
本明細書に使用される用語「処置」は、その従来の意味を有し、治療処置、苦痛緩和処置、及び予防処置を指す。
【0031】
用語「心血管疾患」は、その従来の意味を有し、動脈硬化、末梢血管疾患、高脂血症、混合型脂質異常症βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、狭心症、局所貧血、心虚血、脳卒中(stroke)、心筋梗塞、再灌流傷害、血管形成術後の再狭窄、高血圧症、脳梗塞及び脳卒中を含む。
【0032】
用語「ハロ」、「ハロゲン原子」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0033】
本明細書に使用される用語「アルキル」または「アルキル基」は、その従来の意味を有し、1〜10個の炭素原子を有する直鎖のまたは分岐の飽和炭化水素鎖及び3〜10個の炭素原子を有する環状の飽和炭化水素鎖を指す。
【0034】
本明細書に使用される用語「C−Cアルキル」は、その従来の意味を有し、1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を指す。このようなアルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルを挙げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
テトラヒドロキノリン誘導体の調製方法は、WO2007/116922に記載されている。化合物A等のテトラヒドロキノリン誘導体は上記の方法で調製することができるが、この方法は低収率のものであり、不要な副産物を高レベルで生成するものであった。さらに、(R)−3−アミノバレリアン酸等の高価な出発材料が、この方法では使用された。式Iに従う化合物(上記方法におけるDIAM等)の調製が特に煩雑で費用がかかることが分かった。
【0036】
これらの問題を解決するため、式Iに従う化合物を調製するための改良方法が本発明者により開発された。驚くべきことに、式Iに従う化合物を、いわゆる三成分ポヴァロフ反応を用いて調製することができることが見出された。
【0037】
ポヴァロフ反応は、cis−2−アルキル−4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノンがアニリン、アルデヒド、及びエナミンの1つの立体選択的工程で形成される三成分反応である(Tetrahedron 2009,65,2721)。この反応の使用はこの文献で報告されているが、薬学的活性成分の調製におけるその適用は貯蔵安定性及び生成物純度に関して懸念があるために制限されている。
【0038】
従って、本発明の第1の態様は、
式I:
【0039】
【化11】
の化合物またはその塩の調製する方法であって、
(a)式II:
【0040】
【化12】
に従う4−アミノベンゾトリフルオリドと、
式III:
【0041】
【化13】
に従うアルデヒド及び、式IV:
【0042】
【化14】
に従う化合物とを、溶剤及び任意に1種以上の触媒の存在下に反応させて、式V:
【0043】
【化15】
に従う化合物(式中、Rは、HまたはC−Cアルキル、好ましくはCHCHであり、
は、H、C−Cアルキルまたは
【0044】
【化16】
である。)を形成する工程と、
(b)式Vの化合物を加水分解して式Iの化合物を形成する工程と、を含む、方法に関する。
【0045】
本発明の方法を用いて、現在、比較的安価な出発材料で、多くの不要な副産物を生成することなく、かつ良好な収率で、式Iの化合物を効率的に調製することが可能である。
【0046】
化合物Aの調製では、その方法において本発明の化合物(式中、RはCHCHであり、RはHである)の使用が好ましい。このような場合、式IIIに従うアルデヒドはプロピオンアルデヒドであり、式IVに従う化合物はN−ビニルホルムアミドである。
【0047】
本発明の方法の工程a)及びb)が行われた後、式Iに従う重要な中間体が得られ、これを化合物A等のテトラヒドロキノリン誘導体のさらなる調製に使用することができる。
【0048】
式Iに従う化合物はキラルであるため、式Iの化合物の異なるエナンチオマーを少なくとも部分的に分離または精製することが望ましい。このような分離または精製は当該技術においては周知であり、当業者は、複数の方法を容易に利用して、このような分離または精製を行うことができる。
【0049】
異なるエナンチオマーを少なくとも部分的に分離または精製する1つの好ましい方法は、L−酒石酸、またはその誘導体(ジ−p−トルオイル−L−酒石酸等)等のキラル分割剤の使用である。
【0050】
CETP阻害特性を有するテトラヒドロキノリン誘導体(例えば化合物A)の調製では、式Iに従う化合物の2R,4Sエナンチオマーの使用が必要とされる場合が最も多い。従って、本発明の方法のさらなる工程c)においては、式I−a:
【0051】
【化17】
に従う2R,4Sエナンチオマーが他の立体異性体から分離されることが好ましい。
【0052】
化合物Aの調製に関して、他の立体異性体から化合物B(WO2007/116922で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロエチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンとも称される):。
【0053】
【化18】
を分離することが好ましい。
【0054】
式Iに従う化合物の分離または精製によって、式I−aに従う化合物または化合物Bが少なくとも99%鏡像体過剰率(enantiomeric excess)(e.e.)、好ましくは少なくとも99.6%鏡像体過剰率、さらに好ましくは少なくとも99.7%鏡像体過剰率で得られることが好ましい。
【0055】
これらの化合物を得た後、これらを、WO2007/116922に記載されるものと同様の方法を用いることにより反応させて、CETP阻害特性を有するテトラヒドロキノリン誘導体(例えば化合物A)とすることができる。
【0056】
本発明の1つの好ましい実施形態において、式IIIを有するアルデヒドと式IVを有するアミド化合物と式IIを有する4−アミノベンゾトリフルオリドとの間の反応の化学量論は、それぞれ0.5〜5(:)1(:)0.5〜1の範囲にある。
【0057】
式Iに従う化合物の収率は、工程a)で使用される溶剤にも依存し得る。使用される溶剤がジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、またはこれらの混合物であることが好ましい。RがCHCHであり、かつRがHである場合、工程a)の反応は、ジクロロメタン、アセトニトリル、またはトルエンとジクロロメタンとの混合物で行うことが好ましい。
【0058】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の工程a)で使用される触媒が酸、好ましくはブレンステッド酸、またはルイス酸である。
【0059】
本発明のさらに好ましい実施態様において、式IIIを有するアルデヒドと式IVを有するアミド化合物と式IIを有する4−アミノベンゾトリフルオリドとの間の反応が、酸触媒の4−トルエンスルホン酸の存在下で行われる。所望の生成物を首尾良くもたらすことができる多くの添加モードがある。同時添加のモードが好ましく、これにより除去が困難な生成物関連不純物の形成を防止することができる。
【0060】
本発明の方法の工程a)において、式IIに従う4−アミノベンゾトリフルオリドと触媒との混合物を、式IVに従う化合物の添加と同時に、式IIIに従うアルデヒドに添加することが好ましい。
【0061】
代替として、式IIIに従うアルデヒド、式IVに従う化合物、及び式IIに従う4−アミノベンゾトリフルオリドを、まず本発明の溶剤中で混合し、その後化合物と触媒とを接触させる。
【0062】
代替として、式IIIに従うアルデヒドと式IIに従う4−アミノベンゾトリフルオリドとを、まず本発明の溶剤中で混合し、その後これらと式IVに従う化合物及び本発明の触媒とを接触させる。
【0063】
式Iに従う化合物の収率及び純度をさらに改善するために、本発明者は、工程a)で形成される式Vの化合物(すなわち、ポヴァロフ生成物)を反応混合物から分離した後に、後続の工程b)を行うことが有益であることを見出した。
【0064】
式Vの化合物は、工程b)の前に、沈殿及び/または濾過手順により分離されることが好ましい。式Vの化合物の反応生成物からの沈殿は、非極性溶剤を該反応混合物に添加することにより行うことができる。非極性溶剤は、ヘプタン、シクロヘキサン、またはこれらの混合物であることが好ましい。
【0065】
必要に応じて、式Vの化合物を用いて2段階の沈殿方法により精製を行う。このために、式Vを有する化合物は、第1段階でヘプタン、またはシクロヘキサン、またはこれらの混合物で沈殿され、次いで第2沈殿段階でアセトン、イソプロパノール、酢酸エチル、またはメチルtert−ブチルエーテルで再結晶されることが好ましい。さらに、沈殿及び/または再結晶は、式Vを有する化合物の純度をさらに高めるために行うことができる。
【0066】
本発明の方法の工程b)において、式Vを有する化合物は加水分解され、式Iの化合物が形成される。このような加水分解は、式Vの化合物を含む混合物を、水溶性酸、好ましくは塩酸の存在下、45〜80℃の温度で1〜3時間温めることにより行われることが好ましい。
【0067】
本発明の方法の好ましい実施形態において、式Vに従う化合物はアルコール、好ましくはエタノール、及び水溶性酸の存在下で加水分解される。
【0068】
式I−aに従う化合物、特に化合物Bは、WO2007/116922に記載されるものと同種の方法を用いることにより、CETP阻害特性を有するテトラヒドロキノリン誘導体(例えば化合物A)の調製にさらに使用されることが好ましい。
【0069】
本発明の第2の態様は、式V:
【0070】
【化19】
(式中、Rは、H、C−Cアルキル、または
【0071】
【化20】
である。)
に従う化合物に関する。
【0072】
式Vの化合物はいわゆるポヴァロフ化合物であり、以前に合成されたことはない。式Vに従う化合物(式中、RはCHCHであり、RはHである)は、化合物Aの調製において使用するのに極めて効率的であるため、特に好ましい。
【0073】
本発明の第3の態様は、式I−aに従う化合物の調製、特に化合物Bの調製における、これらの化合物の使用に関する。
【0074】
本発明の最後の態様は、化合物Aの調製における、式Vの化合物の使用に関する。
【0075】
本発明は、以下の非限定実施例によりさらに説明されるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0076】
実施例1:ラセミcis−N−(2−エチル−6−(トリフルオロメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)ホルムアミド(ポヴァロフ生成物)の調製
【0077】
【化21】
実施例1a)同時添加を用いた、3mol%のトルエンスルホン酸(TsOH)触媒三成分ポヴァロフ反応(50gスケール)
反応器Aに、プロピオンアルデヒド(90g、5当量(eq))及びアセトニトリル(50ml)を添加し、反応器Bにp−トルエンスルホン酸(1.77g、3mol%)、4−トリフルオロメチルアニリン(50g、1当量)及びアセトニトリル(100mL)を添加し、反応器Cに、N−ビニルホルムアミド(26.5g、1.2当量)及びアセトニトリル(100mL、2容量(vols))を添加した。
【0078】
反応器B及び反応器Cの内容物を約4時間にわたって反応器Aに同時に添加し、その間反応器Aの内容物の温度を20〜30℃に維持した。添加後、反応器Aの反応混合物を20〜25℃にて16時間撹拌した。その後、混合物を0〜5℃に冷却し、3時間撹拌した。沈殿を濾過し、冷アセトニトリル(100mL)で洗浄した。その後、その固体を40℃にて16時間真空下で乾燥させ、31gのポヴァロフ生成物(収率37%)を得た。
【0079】
実施例1b)ジクロロメタン中で一晩かけた、2mol%のトルエンスルホン酸(TsOH)触媒三成分ポヴァロフ反応(100gスケール)
4−アミノベンゾトリフルオリド(100g、78mL、0.62mol)を室温でCHCl(200mL)に溶解した。プロピオンアルデヒド(44.7mL、0.62mol)、次いでCHCl(200mL)を添加した。その透明な溶液を室温で1時間撹拌し、イミンの淡黄色溶液を得た。反応混合物をさらにCHCl(300mL)で希釈し、氷上で冷却した。N−ビニルホルムアミド(86.8mL、1.24mol、2.0当量)を上述のように、インサイチュ調製イミン溶液に一度に添加した。TsOH(2.36g、12.4mmol、2mol%)を反応混合物に添加し、この反応混合物を氷上で0℃〜室温にて一晩撹拌した。ヘプタン(700mL)をその懸濁液に添加した。5分後、スラリーをガラスフィルタで吸引濾過した。オフホワイトの結晶を、フィルタ上にてヘプタン(2×200mL)で吸引洗浄した。得られた固体を、ロータリーエバポレータを用いて減圧下50℃で乾燥し、生成物(99g、収率59%)をオフホワイトの固体として得た。液体クロマトグラフィ−質量分析(LCMS)及びH−核磁気共鳴(NMR)により、生成物を確認した。次に、粗固体を高温アセトンから再結晶した。溶解しなかった固体は、濾過により高温アセトン溶液から除去した。得られた透明溶液を5℃で一晩保存した。得られた濃いスラッシュをガラスフィルタで濾過し、ヘプタン(2×200mL)で洗浄した。これにより、52.5gの白色固体が得られた(収率32%)。母液を蒸発させ、イソプロパノール(IPA)(±100mL)から再結晶させ、13.5gの白色固体を得た。両方のバッチを合わせ、66gの収量が得られた(収率39%)。H NMR (300MHz, CDCl) δ 8.40 (s, 1 H), 7.34 (t, 1 H), 7.26 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 6.52 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 5.88 − 5.54 (m, J = 26.6 Hz, 1H), 5.52 − 5.36 (m, 1H), 4.85 − 4.67 (m, J = 16.3, 10.8 Hz, 1 H), 4.14 (s, 1 H), 3.58 − 3.31 (m, 1 H), 2.45 − 2.30 (m, 1 H), 1.80 − 1.36(m, 4H), 1.03 (t, 3 H)。
【0080】
実施例2:化合物Bの調製
実施例2a)ラセミ2−エチル−6−(トリフルオロメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−アミン(ラセミ−化合物B)
ポヴァロフ生成物(20g、73.5mmmol)と、濃HCl(22.3mL)と、エタノール(60mL)との混合物を50℃で5時間加熱した。30〜40℃に冷却した後、混合物を蒸発させて総容量を60mLとした。その後、混合物を冷却し、ジクロロメタン(160mL)を添加し、次いで6MのNaOH(60mL)で塩基性化しpH12〜13とした。層を分離し、液相をジクロロメタン(40mL)で抽出した。有機層を合わせて水(40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させ、17.6gのラセミ化合物Bを得た(収率95%)。
【0081】
実施例2b)ラセミ2−エチル−6−(トリフルオロメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−アミン(ラセミ−化合物B)(アセトニトリル中で、次いで硫酸加水分解が続く)
4−アミノベンゾトリフルオリド(6.3mL、50.0mmol)をCHCN(40mL)に室温(RT)で溶解した。プロピオンアルデヒド(4.3mL、60mmol、1.2当量、4℃で保存)を一度に添加した。温度を25℃に上昇させた。その透明溶液を室温(冷却するため水浴内で)5分間撹拌し、イミンの淡黄色溶液を得た。N−ビニルホルムアミド(4.4mL、63mmol、1.25当量、4℃で保存)をインサイチュ調製イミン溶液に一度で添加し、次いでTsOH(160mg、0.017当量)を添加した。温度を27℃に上昇させた。5分後、沈殿が生成した。混合物を窒素雰囲気下室温で一晩撹拌した。NMR分析により、成分がポヴァロフ生成物に完全に転化されたことを示した。混合物に水(140mL)を添加し、次いでHSO(14mL)を添加し、その混合物を60℃に温めた。0.5時間後、NMRにより、ポヴァロフ生成物がラセミ化合物Bに完全に転化されたことを明らかにした。混合物をトルエン(50mL)で抽出した。水層は、濃NaOH水溶液でpH10に塩基性化された。塩基性の水層をトルエン(200mL)で抽出し、トルエン層を乾燥し(NaSO)、濃縮して、7.3g(60%)の粗2−エチル−6−(トリフルオロメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−アミン(ラセミ化合物B)をNMRによる80〜90%の純度の褐色固体として得た。H NMR (300MHz, CDCl) δ 7.62 (s, 1H), 7.28 (d, 1 H), 6.45 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.03 (s, 2 H), 4.00 (s, 1 H), 3.48 − 3.28 (m, J = 2.8 Hz, 1 H), 2.27 − 2.08 (m, 1 H), 1.67 − 1.32 (m, 6 H), 1.00 (t, 3H )。
【0082】
実施例2c)分割によるエナンチオピュアな(2R,4S)−2−エチル−6−(トリフルオロメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−アミン(化合物B)
ジ−p−トルオイル−L−酒石酸1水和物(134.7g、0.33mol、0.75当量)を粗ラセミ化合物B(108.4g)のメタノール(1L、9V)溶液に添加し、結晶が形成するまで撹拌した。得られたスラッシュを加熱還流し、室温まで冷却させ、その後氷上で冷却した。結晶が生成し、これを濾過により採取し、乾燥させた(99.9g固体)。この材料をメタノール(750mL、7V)から再び結晶化させ、メチルtert−ブチルエーテル(TBME)(200mL、2V)で洗浄し、99.5%鏡像体過剰率を有する、81.6gの化合物Bジトルオイル酒石酸(B−DTTA)塩(収率27%)を得た。
【0083】
実施例2d)化合物Bジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩のメタンスルホン酸塩への転化
10gの化合物B−DTTA塩(94%鏡像体過剰率)に、トルエン(100mL)及び2NのNaOH(100mL)を添加した。混合物を10分間撹拌し、その後層を分離した。水相をトルエン(2×100mL)で抽出した。次に、合わせたトルエン層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発乾固して乾燥した。これにより褐色油を得、これに3Vのイソプロパノールを添加した。メタンスルホン酸(MsOH)(1mL)を得られた懸濁液に滴下した。まず懸濁液が透明混合液になった。数分後、固体を形成し始めた。これらの固体を採取し、TBME(2×)で洗浄し、乾燥させた。これにより4g(化合物B−TA塩から75%の収率)の化合物BMsOH塩を98.6%の鏡像体過剰率で得た。
【0084】
10Vのイソプロパノール(IPA)(40mL)を添加し、得られた懸濁液を5分間加熱還流し、その後室温まで冷却させた。固体が形成され、これを濾過により採取してTBMEで洗浄した。これにより、2.58g(48%の収率)の化合物BMsOH塩を99.7%の鏡像体過剰率で得た。
【0085】
実施例2e)化合物Bメタンスルホン酸塩の化合物Aへの転化
化合物Bメタンスルホン酸塩を化合物Aに転化するために、WO2007/116922に記載のものと類似の方法を用いた。
【0086】
化合物Aの化学名及び式
【0087】
【化22】
{4−[(2−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル][(2R,4S)−1―(エトキシカルボニル)−2−エチル−6−(トリフルオロメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル]アミノ}ピリジン−5−イル)オキシ]ブタン酸}
【0088】
参考文献
1. The Emerging Risk Factors Collaboration. Major lipids, apolipoproteins, and risk of vascular disease. JAMA.2009;302:1993−2000.

2. Cholesterol Treatment Trialists (CTT) Collaboration. Efficacy and safety of more intensive lowering of LDL cholesterol: a meta−analysis of data from 170000 participants in 26 randomised trials. Lancet. 2010;13:1670−1681.

3.Roger VL, Go AS, Lloyd−Jones DM et al.,Heart disease and stroke statistics−2012 Update: A report from the American Heart Association. Circulation. 2012;125:e12−e230.

4.Barter PJ, Caulfield M, Eriksson M et al.,Effects of torcetrapib in patients at high risk for coronary events. N Engl J Med. 2007;357:21009−2122.

5.Kastelein JJP, van Leuven SI, Burgess L et al., Effect of torcetrapib on carotid atherosclerosis in familial hypercholesterolemia. N Engl J Med.2007;356:1620−1630.

6.Nicholls SJ, Tuzcu EM, Brennan DM, Tardif J−C, Nissen SE. Cholesteryl ester transfer protein inhibition, high−density lipoprotein raising, and progression of coronary atherosclerosis. Insights from ILLUSTRATE (Investigation of Lipid Level Management Using Coronary Ultrasound to Assess Reduction of Atherosclerosis by CETP Inhibition and HDL Elevation). Circulation. 2008;118:2506−2514.

7.Vergeer M, Bots ML, van Leuven SI, Basart DC, Sijbrands EJ, Evans GW, Grobbee DE, Visseren FL, Stalenhoef AF, Stroes ES, Kastelein JJP. Cholesteryl ester transfer protein inhibitor torcetrapib and off−target toxicity: pooled analysis of the rating atherosclerotic disease change by imaging with a new CETP inhibitor (RADIANCE) trials. Circulation.2008;118:2515−2522.

8.Forrest MJ, Bloomfield D, Briscoe RJ et al., Torcetrapib−induced blood pressure elevation is independent of CETP inhibition and is accompanied by increasing circulating levels of aldosterone. Br J Pharmacol.2008;154:1465−1473.

9.Simic B, Hermann M, Shaw SG et al., Torcetrapib impairs endothelial function in hypertension. Eur Heart J. 2012;33:1615−1624.

10.Barter PJ, Rye K−A, Beltangady MS et al., Relationship between atorvastatin dose and the harm caused by torcetrapib. J Lipid Res.2012;53:2436−2442.

11.Schwartz GG, Olsson AG, Abt M et al.,Effects of dalcetrapib in patients with recent acute coronary syndrome. N Engl J Med.2012;367:2089−2099.

12.Stein EA, Stroes ES, Steiner G, et al., Safety and tolerability of dalcetrapib. Am J Cardiol. 2009;104:82−91.

13.Luscher TF, Taddei S, Kaski JC, et al., Vascular effects and safety of dalcetrapib in patients with or at risk of coronary heart disease: the dal−VESSEL randomized clinical trial. Eur Heart J. 2012;33:857−65.

14.Krishna R, Bergman AJ, Fallon et al., Multiple−dose pharmacodynamics and pharmacokinetics of anacetrapib, a potent cholesteryl ester transfer protein (CETP) inhibitor, in healthy subjects. Clin Pharmacol Ther.2008;84:679−683.

15.Bloomfield D, Carlson GL, Aditi Sapre BS et al., Efficacy and safety of the cholesteryl ester transfer protein inhibitor anacetrapib as monotherapy and coadministered with atorvastatin in dyslipidemic patients. Am Heart J. 2009;157:352−360.

16.Nicholls SJ, Brewer HB, Kastelein JJP et al., Effects of the CETP inhibitor evacetrapib administered as monotherapy or in combination with statins on HDL and LDL cholesterol. JAMA.2011;306:2099−2109.

17.Am. J. Cardiol., 2014 Jan 1;113(1):76−83: Evaluation of Lipids, Drug Concentration, and Safety Parameters Following Cessation of Treatment With the Cholesteryl Ester Transfer Protein Inhibitor Anacetrapib in Patients With or at High Risk for Coronary Heart Disease. Antonio M. Gotto Jr. et al.

18.Okamoto M, Sakuragi A, Mori Y, Hamada T, Kubota H, Nakamura Y, Higashijima T, Hayashi N. Tanabe Seiyako Co. Ltd. A process for preparing tetrahydroquinoline derivatives WO2007/116922 A1.

19.Govindan CK. An improved process for the preparation of benzyl−N−vinyl carbamate. Org Proc Res Dev. 2002;6:74−77.

20.Am Ende DJ, DeVries KM, Clifford PJ, Brenek SJ. A Calorimetric Investigation To Safely Scale−Up a Curtius Rearrangement of Acryloyl Azide Org Proc Res Dev. 1998;2:382−392.

21.Damon DB, Dugger RW, Magnus−Aryitey G, Ruggeri RB, Wester RT, Tu M, Abramov Y. Synthesis of the CETP Inhibitor Torcetrapib: The Resolution Route and Origin of Stereoselectivity in the Iminium Ion Cyclization. Org Proc Res Dev. 2006;10:464−471.

22.Liu H, Dagousset G, Masson G, Retailleau P, Zhu J.Chiral Bronsted Acid−Catalyzed Enantioselective Three−Component Povarov Reaction. J Am Chem Soc. 2009;131:4598−4599.

23.Dagousset G, Zhu J, Masson G. Chiral Phosphoric Acid−Catalyzed Enantioselective Three−Component Povarov Reaction Using Enecarbamates as Dienophiles: Highly Diastereo− and Enantioselective Synthesis of Substituted 4−Aminotetrahydroquinolines. J Am Chem Soc. 2011;133:14804−14813.

24.Huang D, Xu F, Chen T, Wang Y, Lin X. Highly enantioselective three−component Povarov reaction catalyzed by SPINOL−phosphoric acids. RSC Advances. 2013;3:573.