【文献】
LUFTMAN Heinrich et al.,AUTOMATED INTERFACE FOR HYPHENATION OF PLANAR CHROMATOGRAPHY WITH MASS SPECTROMETRY,Rapid Commun. Mass Spectrom. ,2007年,Vol.21,pp.3772-3776
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フォースゲージは、前記モータに取り付けたセンサおよびバネを備え、前記モータの前記シャフトの一端にはキャビティアセンブリを有し、前記シールアセンブリから前記対向表面に対して印加された力でバネが圧縮されるようにした、請求項2に記載のシステム。
前記キャビティアセンブリは、前記インレットおよび前記アウトレットの少なくとも一部を画定するインレット/アウトレットアセンブリ、および該インレット/アウトレットアセンブリに着脱可能に取り付けた台座を備える、請求項1に記載のシステム。
前記キャビティアセンブリは、ロッキングカラー、および該ロッキングカラーにより前記インレット/アウトレットアセンブリに着脱可能に取り付けた前記台座を備える、請求項6に記載のシステム。
前記キャビティアセンブリは、ロッキングカラー、および該ロッキングカラーにより前記インレット/アウトレットアセンブリに着脱可能に取り付けた台座を備える、請求項14に記載のシステム。
前記チャネルは、前記アウトレットポートを、洗浄システムと、サンプルループとに交互に接続可能とする第1のバルブアセンブリ、および前記サンプルループの出力を、廃棄ラインと、質量分析計のインレットポートとに交互に接続可能とする第2のバルブアセンブリを含む、請求項12に記載のシステム。
前記表面抽出インタフェースシステムは、前記キャビティアセンブリを第1の方向に移動可能なレールアセンブリと、前記第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に前記対向表面を移動可能なベースレールアセンブリとを備える、請求項12に記載のシステム。
前記フォースゲージは、モータに取り付けたセンサおよびバネを備え、前記キャビティアセンブリを前記表面に対して押圧することで前記バネを圧縮させるようにした、請求項25に記載の方法。
インレット/アウトレットアセンブリであって、該インレットおよび該アウトレットの少なくとも一部を画定するインレット/アウトレットアセンブリに、前記選択した台座を着脱可能に装着することにより前記キャビティアセンブリを形成するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、汎用性の高い表面抽出質量分析インタフェースシステムおよび方法を提供する。これらのシステムおよび方法は、適切な力を制御可能に印加して、変化する表面に対して該インタフェースのキャビティを封止するシールアセンブリを含む。表面または固体に対してキャビティを封止することにより、表面または固体と当該キャビティを画定しているインタフェース構造との間で、キャビティからの流体の流れが部分的または完全に制限される。このようなシステムとしては、ステッピングモータと組み合わせたポテンショメータとバネ(例えば、ベーシックフォースゲージ)等が挙げられ、接触圧を印加して表面の上からキャビティ中の液体を封止する。
【0005】
これらのシステムおよび方法により、表面および必要な圧力のデータベースに基づき必要とされる圧力を求めることができる。したがって、各物質がそれぞれ異なる表面特性を有し、これら積層物質を表面とキャビティとの間に漏出なく封止するには圧力を変化させる必要がある場合でも、表面上に積層した物質の分析が可能となる。例えば、培養組織、乾燥血液スポット、TLCプレート、果皮、および生体的または技術的表面等の物質により、その後の分析用に液体抽出により抽出可能な(例えば、表面中または表面上の)被検質を支援することができる。
【0006】
いくつかのシステムにおいては、インタフェースのキャビティを、インレットおよびアウトレットを有するモジュール型のキャビティアセンブリにより規定する。各キャビティアセンブリは、キャビティの横方向範囲を画定する壁部を含む。壁部は、例えば、キャビティの主面から外側に延在する突部により画定することができる。
【0007】
複数台のキャビティアセンブリ(例えば、3つの台座を有するもの)により、オペレータは各台座を交換して特定のサンプルに適した台座を使用することが可能となる。各台座は、それぞれ、キャビティについて異なる大きさおよび形状を有することができる。また、各台座における突部はそれぞれ異なる高さ(例えば50ミクロン〜1000ミクロン)を有することができ、異なる物質(例えば、PTFEシールからのナイフエッジまたはラウンドエッジ)で形成することができる。
【0008】
いくつかの薄層クロマトグラフィーインタフェースシステムは、インレット、アウトレット、および開放側でキャビティを画定するキャビティアセンブリを含むシールアセンブリと、キャビティアセンブリをキャビティの開放側に面する対向表面に対して押圧可能なアクチュエータと、シールアセンブリにより当該対向表面に印加された力を測定可能なフォースゲージとを含む。本明細書において、用語「アクチュエータ」は、あるものを移動または制御するための機械的装置をいう。例えば、アクチュエータとしては、モータ(例えば、電動ステッピングモータ)、空気圧シリンダ、およびピストンが挙げられる。
【0009】
いくつかのサンプル分析システムとしては、インレットポートを有する質量分析計と、アウトレットポートおよびシールアセンブリを有する薄層クロマトグラフィーインタフェースシステム質量分析計とを結合したものが挙げられる。シールアセンブリとしては、インレット、アウトレット、および開放側とでキャビティを画定するキャビティアセンブリと、伸縮自在シャフトを有し、キャビティの開放側に面する対向表面に対してキャビティアセンブリを押圧可能なモータと、シールアセンブリが対向表面に印加した力を測定可能なフォースゲージと、を備え、フォースゲージは、モータシャフトの一端にキャビティアセンブリを有してシールアセンブリから対向表面に負荷された力によってバネが圧縮されるようにした、モータに取り付けたポテンショメータおよびバネと、薄層クロマトグラフィーインタフェースシステムのアウトレットポートを質量分析計のインレットポートに接続するチャネルとを備える。アセンブリは、さらに、液体クロマトグラフィーカラム、またはサンプルループおよび液体クロマトグラフィーカラムを備えてもよい。液体クロマトグラフィーカラムは、抽出した被検質を時間の経過により分離することができ、被検質を相互に、かつ乾燥血液スポットカードから抽出したタンパク質等の背景マトリックスから分離することにより、被検質を高感度に検出可能となる。システムに記憶ループおよび交換方法を負荷することにより、表面上に形成したキャビティシールとは独立してクロマトグラフィー用カラムを操作することができ、高速分析・高分離分析に対応するUHPLCにおける場合のように、高圧クロマトグラフィー分離が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらのシステムの各実施形態は以下に記載する特徴点のうち1つ以上を備えることができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、アクチュエータは伸縮自在シャフトを有するモータを備える。場合により、モータはステッピングモータを含む。場合により、フォースゲージは、モータに取り付けたセンサおよびバネを備え、モータシャフトの一端にはキャビティアセンブリを有し、シールアセンブリから対向表面に対して印加された力でバネが圧縮されるようにする。例えば、センサはポテンショメータとすることができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、キャビティアセンブリは、インレットおよびアウトレットの少なくとも一部を画定するインレット/アウトレットアセンブリおよび当該インレット/アウトレットアセンブリに着脱可能に取り付けた台座を備える。場合により、キャビティアセンブリは、ロッキングカラー、および当該ロッキングカラーによりインレット/アウトレットアセンブリに着脱可能に取り付けた台座を備える。場合により、システムは異なる構成を有するキャビティを画定する複数の台座を備える。場合により、キャビティシールは、金属ナイフエッジまたはPTFEシールリング、例えばバイトン(登録商標)シールリングを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、シールアセンブリはメカニカル・セルフアライニングワッシャーを備える。
【0014】
いくつかの実施形態において、キャビティのアウトレットはフィルタアセンブリを含む。場合により、フィルタアセンブリは埋め込み型フィルタまたはインラインフィルタを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、システムは、アクチュエータおよびフォースゲージに接続した制御システムを備え、制御システムは、前記対向表面の特徴を識別する入力データに応答して、シールアセンブリにより対向表面に対して印加すべき力を決定し、アクチュエータを動作させて当該力を達成する。
【0016】
いくつかの実施形態において、システムは、洗浄を目的として、サンプルラインを窒素ガスでバックフラッシュすることを可能とする配管を備える。
【0017】
分析用サンプルを作成するいくつかの方法は、アクチュエータおよびフォースゲージに接続した制御システムによりサンプルを支持する表面を特定する特徴を受信するステップ、シールアセンブリにより表面に印加すべき圧力を決定するステップ、制御システムから制御信号をアクチュエータに送信して、アクチュエータを動作させ、インレット、アウトレット、および開放側によりキャビティを画定するキャビティアセンブリを、当該キャビティの開放側に面した表面に対して圧力が達成されるまで押圧するステップ、および表面からサンプルを抽出するステップを含む。これらの方法の各実施形態は、以下に記載する1つまたは複数の特徴を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、フォースゲージは、モータに接続したセンサおよびバネを備え、キャビティアセンブリを前記表面に対して押圧することでバネ圧縮させる。
【0019】
いくつかの実施形態において、これらの方法は、台座をインレット/アウトレットアセンブリに着脱可能に装着することにより前記キャビティアセンブリを組み立てるステップを含む。場合により、方法は、複数の台座から台座を選択するステップを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、方法は、異なる構成を有するキャビティを画定する複数の台座から1つの台座を選択するステップを含む。場合により、方法は、インレット/アウトレットアセンブリであって、当該インレットおよび当該アウトレットの少なくとも一部を画定するインレット/アウトレットアセンブリに、前記選択した台座を着脱可能に装着することにより前記キャビティアセンブリを形成するステップを含む。場合により、圧力を決定することは、表面および関連する圧力のデータベースにアクセスするステップを含む。
【0021】
本明細書において説明するシステムおよび方法を用いて、質量分析により得られる対象となる被検質を含むサンプルの高感度、高特異性、および高スループット分析を達成することができる一方、質量分析の開始に先立ち必要とされるサンプル調製を簡便にすることができる。カラムの(大きさおよび材質)、傾斜プロファイル、ランタイム、希釈度、サンプル濃度等の選択等に伴う課題により、液体クロマトグラフィーは多くの場合難易度が高く、かつ費用がかかるが、これらのシステムおよび方法により、これらの課題を減少させることができる。これらのシステムおよび方法により、他の液体クロマトグラフィー法と関連したランタイムを大幅に(例えば10分〜60分以上)減少することもでき、関連する費用および廃棄部処理の課題を減少させることができる。
【0022】
本開示において説明するシステムおよび方法よれば、多くの場合、サンプル抽出および分析にかかる時間はわずか数分で済む。例えば、TLCプレートの発達(development)によりサンプルスポットが識別され、質量分析計へのサンプル抽出は通常1分足らずである一方、溶媒の消費量も1mL未満である。このような低体積特性(low volume characteristics)により、これらのシステムおよび方法によれば、溶媒消費率、およびランタイム、方法の開発に必要な人材数を大幅に削減することができる。
【0023】
他の対象表面としては、小分子薬剤のPK/PD検査における小齧歯類動物(ラット、マウス)の全身断面をも含意することができる。利点としては、薬剤および代謝物の高速局在化、生体内および特定の場所に形成される代謝物の高速定量、分析対象種全体にわたる薬剤分布および組織間、臓器間、および異なる薬剤間での半定量比較等が挙げられる。
【0024】
これらのシステムおよび方法を用いて、果実、野菜、その他の食物における、外側表面または内側断面上の農薬などの残留化学物質の分析を行うこともできる。
【0025】
これらのシステムおよび方法を用いて、乾燥血液スポット(DBS)の分析を行い、血液(ヒトまたは動物)における、サンプル限定状況下(齧歯動物モデル)における、血液サンプル採取能力に限界がある状況(子供)、血液サンプルの凍結が妨げられるサンプリング状況(第三世界)におけるPK/PD検証において高速サンプルスループットを得ることができる。DBS表面からは、病原菌に対して不活性であるために、血液サンプルと比べて取り扱いが簡便で安全な乾燥血液サンプルが得られる。また、DBSカードおよび特化表面により、大幅なサンプル浄化、予備濃縮、またはマトリックス除去を行ってから表面抽出−MS複合分析を行うことができる。
【0026】
これらのシステム及び方法を用いて、表面抽出/MSを介して電気・電子機器廃棄物粒子の分析を行い、プラスチックの種類および/または潜在的な汚染の検出、および/または、さらなる処理に先立ちそれぞれの電気・電子機器廃棄物の価値の判定を行うこともできる。
【0027】
これらのシステム及び方法を用いて、スワブ(綿棒)の分析を行うこともでき、スワブした箇所の間接的な表面分析をすることも可能となる。
【0028】
これらのシステム及び方法を用いて、指紋の付着した紙を分析することもできる。
【0029】
これらのシステムおよび方法についての1つ以上の実施形態は、添付の図面および発明の詳細な説明において詳述する。その他の特徴、課題、および利点は、発明の詳細な説明、図面、および請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】表面抽出インタフェースシステムの透視図である。
【
図2】表面抽出質量分析インタフェースシステム用のシールアセンブリの透視図である。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、それぞれ、キャビティアセンブリのインレット/アウトレットアセンブリのより詳細な図におけるキャビティアセンブリの透視図である。
【
図5】キャビティアセンブリにおいて用いる台座の透視図である。
【
図6】キャビティアセンブリにおいて用いる台座の透視図である。
【
図7】質量分析計および表面抽出インタフェースシステムを有するサンプル分析システムの透視図である。
【
図8A】窒素パージシステムを有する表面抽出インタフェースシステムの動作を示す図である。
【
図8B】窒素パージシステムを有する表面抽出インタフェースシステムの動作を示す図である。
【
図8C】窒素パージシステムを有する表面抽出インタフェースシステムの動作を示す図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bは、それぞれ、サンプル表面抽出前後の、染料サンプルを有するサンプリングプレートの写真である。
【
図10】
図9Aおよび
図9Bの染料I、II、III、およびIIIを示す4つのスポットについて4つの同一のFIA分析ピークを示すグラフである。
【
図11】
図11Aおよび
図11Bは、それぞれ、全身薄層組織サンプルからの採取プロセス前および採取プロセス中の表面抽出インタフェースシステムの写真である。
【
図12】テルフェナジン摂取後の全身薄層組織サンプル上の様々な箇所で採取した表面サンプル質量分析データのグラフである。
【
図13】テストスワブからサンプルを採取するように構成した表面抽出インタフェースシステムの写真である。
【
図14】テストスワブから抽出した表面サンプルの質量分析データのグラフである。
【
図15】
図15Aおよび
図15Bは、サンプル分析システムおよびサンプル分析用に用意した濾紙上の指紋の写真である。
【
図16A】コカイン使用者の指紋を有する濾紙から採取した表面サンプルの質量分析データである。
【
図16B】コカイン使用者の指紋を有する濾紙から採取した表面サンプルの質量分析データである。
【
図17】手動および自動サンプル位置認識を有する表面抽出インタフェースシステムを示す図である。
【
図18A】表面解析インタフェースシステムのヘッドアセンブリの単軸移動の図である。
【
図18B】表面解析インタフェースシステムの台座アセンブリの単軸移動の図である。
【
図19】カラム上での直接分離および脱塩を含む表面抽出インタフェースシステムの図である。
【
図20】短クロマトグラフィーカラム上でTLCプレートから抽出し、脱塩し、分離したペプチドサンプルの例を示す図である。
【
図21A】サンプルループを有する表面抽出インタフェースシステムの図である。
【
図21B】サンプルループを有する表面抽出インタフェースシステムの図である。
【
図22A】サンプルループおよびカラムを有するサンプル分析システムの図である。
【
図22B】サンプルループおよびカラムを有するサンプル分析システムの図である。
【
図23】シールリングを有するキャビティアセンブリを示す図である。
【0031】
異なる図においても、同一の構成要素には同一の参照符号を付して示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
汎用性のある表面抽出インタフェースシステムおよび方法は、適切な力を制御可能に印加して、様々な表面および固体に対してインタフェースのキャビティを封止するシールアセンブリを備える。操作の簡便性および表面の均一性のため平面が好まれるが、非平面であっても、リンゴ、歯の表面、または他のサンプルとなる非平面に対し、台座/プローブを「手動」で保持することにより適応可能である。
【0033】
表面または固体に対してキャビティを封止することにより、表面または固体とキャビティを画定しているインタフェース構造との間におけるキャビティ内部から外部への流体の流れが部分的または完全に制限される。これらのシステムおよび方法によれば、表面および必要な圧力のデータベースに基づいて適切な圧力が決定されるため、当該システムおよび方法を用いることにより、表面(例えば平面)上に積層した物質であって、表面特性が異なり、当該積層物質を表面とキャビティとの間で漏出なく封止する際に様々な圧力を必要とする物質の分析を行うことができる。例えば、組織切片、乾燥血液スポット、TLCプレート、果皮、および生体表面または技術的表面等の物質は、液体抽出により抽出可能な被検質を(表面上または表面中において)保持し、さらなる分析を行うことができる。
【0034】
図1に、抽出対象のサンプル含有表面(例えば、TLCプレート、組織切片、および果皮等)を載置するプラットフォーム110を備える表面抽出インタフェースシステム100の例を示す。ハウジング111は、制御システム113を内蔵し、表面抽出インタフェースシステム100を構成する他の要素を支持かつ保護する。シールアセンブリ112を使用して、サンプルを抽出しようとする表面に対しインタフェースのキャビティを封止することができる。シールアセンブリ112下におけるスポットであって、シールアセンブリ112の下端部を下降してサンプル含有表面と接触させた際に、インタフェースのキャビティが載置されることになるスポットをガイド114により指定する。表面抽出インタフェースシステム100は、ガイド114としてレーザを用いるが、いくつかの表面抽出インタフェースシステムによっては、他の手段を用いてシールアセンブリ112下のスポットを指定するものもある。流体バルブアセンブリ(例えば、6ポートバルブアセンブリ)116を用いて、LCシステムまたはLCポンプからの抽出液流を質量分析イオン源へと経路制御(ルーティング)する。ルーティングは、抽出液をヘッドアセンブリ経由で送って表面抽出システムを迂回させ、その後質量分析計へと送ることにより、行う。
【0035】
図2に、表面抽出インタフェースシステム100において用いるシールアセンブリ112を示す。シールアセンブリ112は、キャビティアセンブリ118(詳細は
図4に図示)、アクチュエータ120、フォースゲージ122(詳細は
図3に図示)を備える。溶媒ライン123(
図4にも図示)は、抽出溶媒をシールアセンブリ112へと搬送し、抽出したサンプルをシールアセンブリ112から搬送する。入力/出力ライン124、電気および制御/センサ信号をシールアセンブリ112へと送り、シールアセンブリ112から制御/センサ信号を送る。
【0036】
キャビティアセンブリ118は、開放側を有するキャビティ126(詳細は
図5および
図6に図示)を画定する。アクチュエータ120は、キャビティ126の開放側に面した対向表面に対してキャビティアセンブリ118を押圧するように動作可能である。この動作により、シールアセンブリ112により対向表面(例えばサンプル含有表面)に対して圧力が印加される。シールアセンブリ112のアクチュエータ120はリニアバイポーラステッピングモータであり、そのフルステップ分解能は0.211mm、荷重容量(force capability)は500ニュートンである。キャビティアセンブリ118は、ステッピングモータから延在するシャフトに装着する。
【0037】
ステッピングモータにより、正確な位置決め性、良好な繰り返し性、スタートストップ時の良好な応答性、長寿命が得られる。いくつかのシールアセンブリによっては、他の機械デバイスを用いてキャビティアセンブリ118を動かしサンプル含有表面に近づけたり遠ざけたりするものもある。例えば、いくつかのシールアセンブリによっては、エアシリンダ、エアピストン、またはアクチュエータとしての巻き戻しモータを有する簡易バネ等を用いるものもあるが、その制御の分解能は低く、繰り返し性に劣る。
【0038】
図3に、フォースゲージ122の例を模式的に示す。フォースゲージ122は、シールアセンブリ112がアクチュエータ120の動作に応答して対向表面に対して印加した圧力を測定するように動作可能である。フォースゲージ122は、バネ128およびセンサ130(例えば、ポテンショメータ)を備える。アクチュエータ120が、表面132に対してキャビティアセンブリ118を押圧すると、キャビティアセンブリ118に対する位置を固定した表面132に対してバネが圧縮される。例えば、表面132は、
図2に示すように、キャビティアセンブリ118の上端部とすることができる。表面抽出インタフェースシステム100は、バネ128の特徴およびバネ128の圧縮量に基づき、バネ力についてのフックの法則を用いて、サンプル含有表面に印加されている圧力を計算する。表面抽出インタフェースシステム100において、バネの圧縮度を示す信号が入力/出力ライン124(
図2)を通って制御システム113に送られる(
図1)。いくつかのインタフェースシステムによっては、この力計算をフォースゲージ上で局所的に行い、算出した力/圧力を制御システム113に送るものもある。このシステム例における圧力制御の分解能は1ニュートン程度以下であるが、圧力制御の分解能を約5ニュートンまでとすることが効果的であるとみられている。
【0039】
制御システム113はアクチュエータ120およびフォースゲージ122に接続されている。制御システム113は、対向表面の特徴を特定する入力データに応答し、シールアセンブリ112により対向表面に対して印加すべき力を決定し、アクチュエータ120を操作して当該力を達成する。例えば、制御システム113は、様々な表面と関連づけた表面圧力の格納リストのプログラムを(例えば、データベース中に)含むことができる。表面の種類を示すユーザ入力に応答して、制御システム113は適切な圧力を決定し、アクチュエータ120により当該力を印加する。このアプローチにより、様々な表面状態および表面位置を、数ポンドの圧力〜200ポンド(約90kg)までの範囲にわたる圧力を印加して封止することが可能となる。いくつかのシステムによっては、ユーザが、表面の種類を入力するかわりに、または、入力することに加えて、表面特性(例えば、表面粗さ、表面多孔性、媒体層厚(media bed thickness)等)を入力するものもある。いくつかのシステムによっては、サンプル含有表面の特徴を測定するセンサに制御システムを接続して、測定した特徴を入力として用い、適切な封止圧力を決定するものもある。
【0040】
図4Aおよび
図4Bに、キャビティアセンブリ118の例を示す。キャビティアセンブリ118は、台座136(詳細は
図4に、さらなる詳細は
図5に図示)を支持するインレット/アウトレットアセンブリ134を備える。台座136は、インレット/アウトレットアセンブリ134に着脱可能に装着して、異なる表面および/または被検質について異なる台座を使用できるようにする。台座136は、キャビティ126の横方向範囲を画定する壁部を有する。この場合、キャビティ126は楕円形状キャビティである。
【0041】
表面抽出インタフェースシステム100は、異なる構成を有するキャビティを画定する複数の台座を備える。例えば、このモジュール設計(標準寸法設計)により、直径300umからはるかに大きな円または楕円に至るまで、様々なキャビティ形状を用いることが可能となる。約4mm×2mmの大きさの楕円形の抽出キャビティは、一般に、サンプル濃度に応じてライン厚さを変化させて行ったサンプルクロマトグラフィー後の被検質のラインの長さが4mmとなる中性能薄層クロマトグラフィー表面についての使用に適する。直径1mm〜4mmの円形キャビティは、プラスチック、電気電子機器廃棄物、食用品、および乾燥血液スポット等の表面について用いることができる。これらの表面は、通常、表面抽出の高い空間分解能を必要としないが、サンプル表面が増大する利益がある。なぜなら、このようにサンプルの表面積を増大させることで、抽出した被検質の絶対量が増加し、それに伴って分析の感度も増加するからである。300um〜1000umの円形キャビティは、空間情報および薬剤または代謝物の分布分析を対象とする組織切片の分析、または、被検質が通常1mmのスポットに凝縮される高性能2次元TLCについて用いることができる。
【0042】
溶媒ライン123(
図2にも図示)は、流体インレットライン138および流体アウトレットライン140(
図4Aおよび
図4Bに図示)を含む。流体インレットライン138および流体アウトレットライン140は、インレット/アウトレットアセンブリ134を通って台座136内へと延在する。インレット/アウトレットアセンブリ134と台座136との間の流体インレットライン138および流体アウトレットライン140の周囲には2つのOリング142を配設し、流体インレットライン138および流体アウトレットライン140周囲の漏出を制限または防止する。流体インレットライン138により、台座136により画定されたキャビティ126へ溶媒を搬送する。流体アウトレットライン140は、抽出したサンプル物質をキャビティ126から離れる方向に搬送する。
【0043】
インレット/アウトレットアセンブリ134により、位置決めダウエルピン146を収容する側部ボア144を画定する。位置決めダウエルピン146は、キャビティアセンブリ118に対するインレット/アウトレットアセンブリ134のアライメントを維持する。インレット/アウトレットアセンブリ134は、また、位置決めダウエルピン150を収容する端部ボア148を画定する。位置決めダウエルピン150は、インレット/アウトレットアセンブリ134に対する台座136のアライメントを維持する。キャビティアセンブリ118の組み立てにおいて、位置決めダウエルピン146、150をインレット/アウトレットアセンブリ134に挿入する。インレットライン138および流体アウトレットライン140はインレット/アウトレットアセンブリ134に貫通させて、インレット/アウトレットアセンブリ134と面一または0.05mmの略面一とする。Oリング142を流体インレットライン138および流体アウトレットライン140の各端部上に載置する。台座136をインレット/アウトレットアセンブリ134に装着した後、台座136に保持カラー152を載置して、台座136を正しい位置に保持する。キャビティアセンブリ118においては、保持カラー152をインレット/アウトレットアセンブリ134の外面に画定したネジ溝に螺合して留める。いくつかのキャビティアセンブリによっては、例えばラッチ等のその他の保持機構を用いるものもある。
【0044】
キャビティアセンブリ118は、キャビティアセンブリ118に全方向運動の自由度を意図的に与えるセルフレベリング機能を備える。他のキャビティアセンブリは、例えば、Oリングまたは皿バネ等の他のセルフレベリング機能を用いる。キャビティアセンブリ118のセルフアライメント機能により、サンプル含有表面を均一に圧縮することができる。この均一圧縮により、サンプル含有表面とキャビティアセンブリとの間におけるキャビティ126からの漏出の虞を低減することができる。
【0045】
図5は、台座136をより詳細に示す図である。
図6は、
図2、
図4A、および
図4Bのキャビティアセンブリ118と共に用いることのできる別の台座136”を示す。各キャビティアセンブリ118は、それぞれ、キャビティ126の横方向範囲を画定する壁部を備える。これらの台座136、136”のキャビティ126は、キャビティ126の主面から外側に延在する突部151により画定される壁部を有する。ナイフエッジ状の突部により形成された壁部は、サンプル含有表面と良好な封止を形成することが所期される。これらの台座136、136”は、キャビティ126の主面から250ミクロン外側へ延在する突部を有する。その他の台座は、表面要求事項に応じて、異なる高さ(例えば50ミクロン〜100ミクロン)の突部を有する。ナイフエッジ状の突部により画定される深さは、例えば、500um、150um、150um、および100umとすることができ、縁部(リム)の大きさは、例えば2×4mm〜1mm径までとすることができる。
【0046】
各キャビティ126は、流体インレットライン138および流体アウトレットライン140とそれぞれ流体連通するインレット156およびアウトレット158を有する。いくつかの台座によっては、フィルタアセンブリを備え、抽出物質中の粒子がシステムの下流部品に詰まるのを防止するものもある。例えば、
図5に示す台座136は埋め込み型のフィルタを備えたフィルタアセンブリを有する。いくつかのキャビティアセンブリによっては、流体アウトレットライン140中に、例えばインラインフィルタ等、その他のフィルタを含むものもある。
【0047】
マルチピースキャビティアセンブリ(例えば、インレット/アウトレットアセンブリ134、台座136、保持カラー152を有するもの)によれば、オペレータは、各台座を交換して特定のサンプルに適した台座136を用いることが可能となる。台座により大きさおよびキャビティの形状を異ならせることができる。例えば、
図5に示す台座136は楕円形のキャビティ126を有し、その縦軸160の長さは4mmかつ横軸162の長さは2mmである。壁部高さを250ミクロンとすると、この構成によりキャビティの容積は約16.6mm
3となる。別の例において、
図6に示す台座136”は、直径1mmの円形キャビティを有する。壁部高さを250ミクロンとすると、この構成によりキャビティの容積は約1.83mm
3となる。楕円形キャビティの縦軸の長さは、1mm〜4mmの範囲とすることができ、横軸の長さは1mm〜2mmの範囲とすることができる。これらのキャビティ(例えば、2×4キャビティ等)は、分解能の低いTLC、食用品、プラスチック、電気電子機器廃棄物の分析のほか、空間分解能に対して感受性を示さない他の用途に適している。円形キャビティの直径は1mm〜2mmの範囲とすることができる。直径1mmの円形キャビティは、高分解能TLCに適しているが、直径300umの円形キャビティは組織切片のほか空間分解能に対して感受性を示す用途に適している。大きさを規定したキャビティは血液サンプルの絶対量を規定するため、一般に、DBS分析において非常に有用である。なぜなら、血液サンプルは、カードに滴下した体積によって分散(カード表面で飽和)し伸び拡がるからである。
【0048】
図7に示すように、サンプル分析システム200は質量分析計210を備えることができる。この質量分析計210は、薄層クロマトグラフィーインタフェースシステムのアウトレットポートを質量分析計のインレットポートに接続するチャネル214経由で、表面抽出インタフェースシステム100から被検質を受け取るものである。
【0049】
動作中、表面抽出インタフェースシステム100を用いて、質量分析計による分析用のサンプルを作成することができる。ブドウの皮、リンゴの皮、または桃の皮等の一般的な食用品からサンプルを抽出し、MSにおける残留農薬を検出する際に用いた場合の動作について説明するが、各サンプルは、同様の動作により、TLCプレート、乾燥血液スポットカードまたは他の改質媒体または薄い全身組織切片等の他のサンプル含有表面から抽出可能である。本システムは他の用途に用いることもでき、例えばプリンタからの紙を自動的に分析する等、製紙業界における製品制御に用いることができる。
【0050】
マルチピースキャビティアセンブリを有するシステムにおいて、ユーザは、台座136をインレット/アウトレットアセンブリ134に着脱可能に装着することにより、キャビティアセンブリ118を組み立てる。ユーザは、表面から得られた情報の空間要件に基づいて、例えば、空間分解能は低いが被検質感度は最大である4×2mmの抽出キャビティ等、キャビティ構成の異なる複数の台座から台座136を選択した後、選択した台座136をインレット/アウトレットアセンブリ134に着脱可能に装着することができる。ユーザは、その後、組み立てたキャビティアセンブリ118を表面抽出インタフェースシステム100に装着する。
【0051】
ユーザは、サンプルを抽出しようとするブドウの皮の表面の一部がシールアセンブリ112下のスポットを示すレーザマーカ下に来るようにして、ブドウの皮の断面をプラットフォーム110上に置く。シールアセンブリ112下のスポットは、シールアセンブリ112を下降して表面に接触させた際にインタフェースのキャビティが載置されることになる位置である。制御システム113は、そのブドウの表面の特徴を特定するデータ(例えば、表面の種類を示すユーザ入力、表面特徴を示すユーザ入力、および/またはサンプル含有表面の特徴を測定するセンサからの出力)を受信する。受信したデータに基づき、制御システム113は、シールアセンブリ112によってブドウ表面に付加すべき圧力を決定する。上述したとおり、制御システム113は、封止される種々の表面と関連する望ましい表面圧力の(例えばデータベース中の)格納リストを有するプログラムを含むことができる。システムによっては、圧力を決定することは、表面のデータベースおよび関連する圧力を評価することを含む。
【0052】
制御システム113は、制御システム113からの制御信号をアクチュエータ120に送信して、アクチュエータを動作させ、ブドウ表面に対してキャビティアセンブリ118を圧力が達成されるまで押圧する。制御システム113は、また、実際に表面に印加される力を測定するフォースゲージ122からデータを受信し、印加した圧力を正確に制御するためのフィードバックループを可能とする。圧力を印加することにより、キャビティの開放側がブドウ表面に対して皮を貫通することなく実質的に封止される。
【0053】
流体インレットライン138およびインレット156を介してキャビティ126に溶媒を供給し、ブドウ表面からサンプルを抽出する。抽出したサンプルを、キャビティ126からアウトレット158および流体アウトレットライン140を介して取り出した後、質量分析計210または他のサンプル分析装置に送る。
【0054】
本明細書に記載のシステムおよび方法を用いることにより、質量分析により得られた対象の被検質の高感度、高特異性、かつ高スループットの分析を効果的に行うことができ、一方で、質量分析計による分析を開始する前に必要なサンプルを簡便に作成することができる。液体クロマトグラフィーは、多くの場合、カラム(大きさおよび材質)、傾斜プロファイル、ランタイム、希釈度、サンプル濃度等の選択等に伴う課題により、難易度が高く、かつ費用がかかるが、これらのシステムおよび方法により、これらの課題を減少することができる。これらのシステムおよび方法により、他のクロマトグラフィー法に関連する(10分~60分以上の)ランタイムを大幅に減少させることができ、関連コストおよび廃棄物処理の課題を減少する。
【0055】
本明細書に開示のシステムおよび方法は、多くの場合、サンプル抽出および分析に要する時間はほんの数分である。例えば、TLCプレートの展開によりサンプルスポットが識別され、質量分析計へのサンプル抽出にかかる時間は一般に1分以内であり、消費する溶媒は1mL未満である。
【0056】
図8A〜
図8Cに、窒素パージングシステムを有する表面抽出インタフェースシステム800の動作を示す。表面抽出インタフェースシステム800は、空気/液体バックフラッシュシステムを用いて、抽出ヘッド137を洗浄する。
図8A〜
図8Cに、残留溶媒および窒素ガスを有する抽出ヘッド137のバックフラッシュを可能にする配管を示す。詳細には、
図8A〜
図8Cに示す表面抽出インタフェースシステム800は、溶媒送達システム811、MS検出システム210、およびポートバルブ870を有する表面抽出システム801を備える。6ポートバルブ870により、表面抽出システム801の抽出ヘッド137を窒素ガス源、溶媒送達システム810、およびMS検出システム210に接続することが可能となる。動作中、6ポートバルブ870は、単一閉塞ポートおよび5つの開放ポート871を使用して、
図8Aおよび
図8Cの構成において、サンプルリターンライン(溶出ライン881)のパージングを可能とし、
図8Bの構成において、MS検出システム210に対する溶媒送達システム811からの溶媒流888の送達およびサンプル810からの溶媒流888の送達の両方を可能とする。
【0057】
図8Aにおいて、先のサンプルをパージングした後、抽出ヘッド137は、サンプル810から外れており、溶出ライン881にはN2が充填している。
図8Bにおいて、抽出ヘッド137は接触圧を制御しつつサンプル810に係合する。送達システム811からの溶媒流888は、サンプル表面810内または上を流動し、抽出した被検質をMS検出システム210に送達する。
図8Cにおいて、抽出ヘッド137をサンプルから外し、窒素パージライン881を開放して、当該ラインにまず先の溶媒、次に窒素ガスを勢いよく流す。これにより、取り込まれたフリットを一掃し、次のサンプルに向けてシステム800の準備をする。
【0058】
図9A〜
図16Bに、乾燥血液スポットカード(
図9Aおよび
図9B)、例えばマウス全身薄層断面等の薄組織切片(
図11Aおよび
図11B)、テストスワブ(
図13)、および、濾紙上の指紋(
図15Aおよび
図15B)等の薄組織切片をはじめとする様々な種類の表面から抽出したサンプルを分析した結果を示す。その他の様々な種類の表面を、例えば、金属およびプラスチック表面からサンプリングしてもよい。
【0059】
図9Aおよび
図9Bは、それぞれ、サンプル表面抽出前後の、染料サンプルを有するサンプリングプレートの写真である。
図9Aに、スダンレッド染料混合物の同一の4滴990a〜990dを有する乾燥血液スポットカード980を示す。
図9Bに、表面抽出インタフェースシステム100が、スダンレッド染料混合物の同一の4滴990a〜990dの位置に相当する対象領域991a〜991dそれぞれから4つのサンプルを採取した後の乾燥血液スポットカード980を示す。
【0060】
図10は、サンプリングライン上にわたって検出した
図9Aおよび
図9Bのスダン染料I、II、III、およびIIIを示す4つのスポットについて4つの同一のFIA分析ピークを示すグラフである。
【0061】
図11Aおよび
図11Bは、全身薄層組織サンプルからの採取プロセス前および採取プロセス中の表面抽出インタフェースシステムをそれぞれ示す。
図11Aに、キャビティアセンブリ1118およびキャビティ(不可視)および全身薄層組織サンプルを有するサンプルプレート1180を有する表面抽出インタフェースシステム1100を示す。表面抽出インタフェースシステム1100は、キャビティアセンブリ1118を組織サンプル1182の対象箇所と位置合わせするレーザガイド1114を備える。
図11Bに示すキャビティアセンブリ1118は、サンプルプレート1180に向かって下降し、キャビティ(図示せず)を全身薄層組織サンプル1182の対象箇所に封止接触させている。4つの異なる臓器組織サンプルを組織サンプル1182の表面から採取し、
図12に示すように、MSを用いて分析した。
【0062】
図12は、テルフェナジン摂取後の全身薄層組織サンプル上の様々な箇所で採取した表面サンプル質量分析データのグラフである。
図12に、
図11の全身薄層組織サンプル1182から採取した4つの表面サンプルに対応するデータを示す。この4つの表面サンプルは、全身薄層組織サンプルを採取したマウスの胃、肝臓、腸、および肺に相当する。サンプリング対象のマウスは、組織サンプル採取前に1回量50mg/kgのテルフェナジンを摂取しており、
図12のデータからは、胃の組織のサンプル中にテルフェナジンの検出可能な量が存在していることが分かる。
【0063】
図13は、テストスワブからのサンプルを採取するように構成した表面抽出インタフェースシステムの写真である。
図13に示す表面抽出インタフェースシステム1300は、キャビティ1326(キャビティウォールとしてのみ見える)を有するキャビティアセンブリ1318、およびサンプルプレート1310上に位置するテストスワブ1399を備える。動作中、キャビティアセンブリ1318のキャビティ1326がテストスワブ1399に接触して封止するまで、表面抽出インタフェースシステム1300によりキャビティアセンブリ1318を下降させる。当該実験において、実験結果を
図14に示すが、テストスワブはチョコレートを含有していたため、サンプルから生じるMSは、テオブロミンおよびカフェインを検出することが所期される。
【0064】
図14は、テストスワブから抽出した表面サンプルの質量分析データのグラフである。
図14に、
図13に示すテストスワブ1399から採取した表面サンプルからのMSデータを示す。
図14の各グラフは、テオブロミンおよびカフェインがテストスワブ1399から採取したサンプルにおいて存在したことを示す。
【0065】
図15Aおよび
図15Bは、サンプル分析システムおよびサンプル分析用に準備した紙上の指紋の写真である。
図15Aに、質量分析システム1501に取り付けた表面抽出インタフェースシステム1500を示す。
図15Bに示す表面抽出インタフェースシステム1500は、レーザ目標領域インジケータを有するキャビティアセンブリ1518およびコカインユーザの指紋を押圧した濾紙1599のサンプル箇所を載せたサンプルプレート1510を備える。
【0066】
図16Aおよび
図16Bは、コカイン使用者の指紋を有する濾紙1699から採取したサンプルの質量分析データである。結果1600は、コカイン使用者の指紋(指スワブ)を採取して濾紙1699に汗を吸収させた後の指汗をコカイン分析することにより得られたものである。上段のトレースパターン1610は全イオンクロマトグラムであり、中段のトレースパターン1611はコカインからの抽出イオンクロマトグラムであり、下段のトレースパターン1610は、インソース・フラグメンテーション条件下における既知のコカイン断片であるm/z182.1の抽出イオンクロマトグラムである。分析を実行し、同様の紙片上に置いた分析基準との比較を行うと、滞留時間とインソース・フラグメンテーションの両方によりコカインの存在を確認することができる。
図16Bに、コカインの生理的代謝物(BZE)の検出を示すデータ1601を示すが、BZEはコカインから十分に区別されており、BZEを追加的に用いることにより、指汗においてコカインの使用を識別してもよい。
【0067】
図17は、手動および自動のサンプル位置認識を有する表面抽出インタフェースシステムを示す図である。
図17に示す表面抽出インタフェースシステム1700は、手動および自動のサンプル位置スポット認識を有する。表面抽出インタフェースシステム1700はタッチスクリーン1701インタフェースを備えることにより、システム1700は独立したアプリケーションを実行すること、または、取り付けたMSシステム(
図7の210)に追従して動作することが可能となる。表面抽出インタフェースシステム1700は照明システム1702を備え、照明システム1702は例えば波長の異なる2つのUVランプおよびターゲットプレート1710を撮像するカメラシステムを備えてもよい。照明システム1502により、表面抽出インタフェースシステム1700は手動制御および自動制御の両方が可能となる。例えば、ユーザは手動でサンプルプレートおよび抽出ヘッドを移動させて(動作の詳細は
図18Aおよび
図18Bに図示)、所望の対象表面箇所からサンプル表面を抽出することができる。手動動作において、ユーザは、例えば、サンプル上に現れるレーザヘッドインジケータを用いて抽出ヘッドを直接目視でサンプル上に位置合わせすることができ、または、タッチスクリーン1701およびカメラシステムを用いてサンプルおよび抽出ヘッドの向きを確認することができる。代案として、ユーザは、タッチスクリーン1701によって、表面抽出インタフェースシステム1700に、タッチスクリーン1701上でユーザが特定した対象領域からサンプリングするよう指示することができ、また、サンプルの好ましい領域を自動的に特定し、特定した領域から表面サンプルを採取するように表面抽出インタフェースシステム1700に指示することができる。
【0068】
図18Aおよび
図18Bは、それぞれ、表面解析インタフェースシステムのヘッドアセンブリまたは台座アセンブリの単軸移動を示す図である。表面抽出インタフェースシステム1700は、ヘッドアセンブリ1820を単一方向に沿って動かすことにより、かつサンプルプレート1810を鉛直方向に動かすことにより、キャビティアセンブリ1818の位置をサンプルプレート1810上のサンプルの所望の領域上にわたって動かす。
図16Aに、2つのレール1621をガイドとして用いたヘッドアセンブリ1820の左右動作を示す。
図16Bに、ベースレール1819上のベースアセンブリ1810の前後動作を示す。
【0069】
図19は、カラム上での直接分離および脱塩を含む表面抽出インタフェースシステムの図である。対象の表面をTLCプレートとした場合と、葉または他の植物材料、乾燥血液スポット、全身または単一臓器薄層組織、スワブ等の他の表面とした場合とで差異がある。例えば、TLCプレート上では、サンプル中に存在する多数の被検質は、TLCの展開により、表面抽出の前に各被検質が離間することにより既に単純化されている。しかしながら、他の表面は、対象となる被検質に加え、多数の被検質および/または相当量のマトリックス成分を示す。このような場合において、感度および選択性のいずれの観点からも、被検質同士を分離して有すること、およびマトリックスからの被検質を対象の表面から抽出したものとして分離して有することが有益である。
図19に、例えば塩等のマトリックス成分を除去するための上記のような構成を示す。同様の構成の例としては、一般に、被検質が既に予め分離されている(例えば、展開したTLC上またはセルロースプレート上における場合等)のであれば、分離の大きさを別のものとして、被検質の異なる物性に基づいて分離の大きさを異ならせることが挙げられる。
図19に示すシステムは、例えば、シリカゲル60TLCプレート上における部分分離後、短HPLCカラム上にC18分離を備えてもよい。代案として、TLCプレート上におけるC18分離の後に強カチオン交換クロマトグラフィ(SCX)を行ってもよい。
【0070】
図19に示す表面分析システム1900は、ワークフロー中の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラム1980、溶媒送達システム1911、およびMS検出システム210を備える。HPLCは、例えば、2.1×50mmのC18カラムとすればよい。この構成では、サンプリング装置において接触圧制御を行い、背圧の増加または代替的なループ挿入法に起因する溶媒の漏出を防ぐ必要がある。
【0071】
HPLCカラム1980を表面分析システム1900に付加したことで、被検質の分離に用いたHPLC1980中の粒子の抵抗に起因して抽出ライン中の背圧が増加し、抽出ヘッド137は接触圧を増大しサンプル表面811を継続して封止し、抽出中の漏出を防ぐことができる。フォースゲージ(
図2の122)を用いて、表面分析システム1900は、生じた背圧および対象のサンプル表面811を考慮して、正確に接触圧を制御し、20psi〜1000psi(溶媒送達システム1911中のポンプヘッドにおいて測定した場合)の範囲にある背圧の大部分に対応可能である。
【0072】
例えば、TLCプレート上にペプチドサンプルを堆積させた場合、表面分析システム1900は表面811に接触して、当該表面から被検質をHPLC1980上へと洗い流すことができる。すると、例えば、0.55分で塩および他のマトリックス成分を表す単一かつ早期の溶出ピークを示し、0.89分で対象の被検質(MSにより特定したもの、
図20、m/z1063.55)を表す広域かつ早期の溶出ピークを示し、同じくサンプル中に存在する追加で後に溶出する成分(Rt>1.5分)を示す、アイソクラティック(均一濃度)なクロマトグラムが生成される。
【0073】
図20に、TLC表面から上記のようなシステム中においてTLC表面から脱塩した後のペプチドサンプルの例を示す。
【0074】
図21Aおよび
図21Bは、サンプルループを有する表面抽出インタフェースシステムの図である。表面分析システム2100は、表面810から被検質を抽出するように改変したものであり、それらをHPLCカラム1780上に直ちに動かすかわりに、流量を減少して溶媒の抽出プラグをゆっくりとサンプルループ2150内へと動かす(例えば、1uL〜100mLとすることができる)。流量が低いため、背圧が制限されフォースゲージ(
図2の122)は表面上の圧力に反作用して表面810上を封止することができる。これは、3um粒子カラム等の粒子径の小さいカラムの場合、または、カラム長が10cm〜20cm等の長尺カラムの場合に、非常に有用である。適切に配管した6ポートバルブ870を用いて、表面分析システム2100は、表面抽出デバイス2110の洗浄段階において、常用流量すなわち高背圧に戻ることとなり、溶媒の抽出プラグをループからHPLCカラム1780上へと動かし、分離およびさらなる分析を行う。
【0075】
図21Aにおいて、溶媒送達システム811のアイソクラティックポンプまたはバイナリポンプは、低流量(低背圧)で運転して、抽出したサンプル(1uL〜100mL)をループ2150のみに移動させるようにプログラムされている。
図21Bに、標準的な洗浄工程用に、サンプル810から外したプレートエクスプレス抽出ヘッド137を示す。同時に、表面分析システム2100は勾配を有して、LC−MSにより、今度はサンプルを高/常用流量および高背圧で分析する。
【0076】
図22Aおよび
図22Bは、サンプルループおよびカラムを有するサンプル分析システムの図である。図示した例示的なシステム2200は、第2の6ポートバルブ2270または単一の10ポートバルブ(図示せず)を配管する必要がある。インジェクターモードにおいて、
図22Aに示すように、抽出流2280は、まず表面810上を流動して抽出を行い、廃棄ライン2281に接続されたループ2150へと低背圧で流入することになる。溶媒送達システム811のポンプは、ループが廃棄ライン2281へ開放した状態で常用流量にて運転しているため、低背圧および送達量が1uL〜100mLとなる。
図22Bにおいて、溶媒プラグ872をループ内に(関連する既知の配管サイズを用いて、溶媒送達の時間と容量により計算したタイミングで)配置し、システム2200は、2つの6ポートバルブ870、2270を同時に切り替えて、溶媒送達システム811の勾配ポンプをループおよびHPLCカラム1780に直接接続し、標準LC動作が開始する(インジェクターモード)。抽出ヘッド137はサンプル810から外れ、標準的な洗浄工程(例えば、窒素パージ)を行う。同時に、システム2200は勾配を有して、常用流量およびカラム1780による高背圧で、LC−MSによるサンプル分析を行う。このアプローチにより、上記の標準的なHPLC分析に加えて、2次元カラムクロマトグラフィー(2DLC)、その他のトラップおよび溶出アプローチ、および超高圧/性能液体クロマトグラフィーを追加的に使用することが可能になる。
図21Aおよび
図21Bのシステムに比べ、この構成により抽出時間を短縮することができる。
【0077】
図23は、シールリングを有するキャビティアセンブリを示す図である。
図23に示す表面抽出インタフェースシステム100用の台座2336は、シールリング2351を有して形成したキャビティ2326を有する。キャビティ2326は、先に
図5を参照して詳述したインレット2356およびアウトレット2358を備える。動作中、シールリング2351により、ナイフエッジ(
図5および
図6参照)と同様の全圧を生成することができる一方、表面に与える損傷が少なくてすむ。このシールリング2351構成により、ナスの葉等の柔軟表面から表面抽出インタフェースシステム100により表面サンプルを採取する性能が向上する。シールリング2351はPTFEで作成すればよく、またはバイトン(登録商標)シールリングとすればよい。
【0078】
本システムおよび方法について多数の実施形態について説明したが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な改良形態が可能であることが理解されよう。
【0079】
例えば、シーリングキャビティを、MSハウジングに一体形成した6ポート液体アセンブリを有するハンドヘルドデバイスであって、当該ハンドヘルドデバイス上のボタンによりトリガされるバルブスイッチを有するハンドヘルドデバイスに設置してもよい。このデバイスの本実施形態は、分析対象のサンプルを掲げる支持表面を備えないため、デバイスを手で対象物に押圧しなければならず、デバイスは、例えば、対象物表面を押圧する際に印加すべき圧力を示すインジケータを備えうる。
【0080】
したがって、その他の実施形態も添付の特許請求の範囲に含まれる。