(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の重合開始剤及び前記第2の重合開始剤は同じか又は異なり、それぞれ独立に、熱開始剤、レドックス開始剤、及び光開始剤からなる群から選択される、請求項1に記載のコーティング。
前記親水性モノマーが、1−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のコーティング。
前記多官能アクリレートが、トリメチロールプロパントリアクリレート又はトリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレートを含む、請求項1に記載のコーティング。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「約」という用語は、単一の数を記述するために使用されるとき、±5%を含む範囲を示す。範囲に付与されるとき、「約」という用語は、その範囲が、数値の低い方の境界−5%及び数値の高い方の境界+5%を含むことを示す。たとえば、約100℃から約200℃の範囲は、95℃から210℃の範囲を含む。約5:1から約1:5の範囲は、5.25:1から0.95:5の範囲を含む。しかしながら、「約」という用語がパーセンテージを修飾するとき、その用語は、低い方の境界が0%でない限り、数値又は数値境界の±1%を意味する。したがって、5〜10%の範囲は、4〜11%を含む。0〜5%の範囲は、0〜6%を含む。
【0011】
特に指示のない限り、すべての測定値がメートル単位を有する。
【0012】
特に指示のない限り、「a」、「an」、又は「the」という用語は、修飾される名詞の1つ又は複数を指示し得る。
【0013】
「医療デバイスの区域」という文言は、医療デバイスのうち、導管内医療処置中に環境に曝露される長さの部分を指す。
【0014】
「多官能」又は「官能性」という用語はそれぞれ、2つ以上の官能基又は1つの官能基を有するアクリレートを指し、官能基は、アクリル基のビニル基及びカルボニル基以外の分子の非炭化水素部分であり、他の分子と反応可能である。好適な官能基には、アルコール基、エステル基、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、アジリジン基等が含まれる。
【0015】
数平均分子量の測定の単位は、グラムパーモル又はダルトンとして互換的に表すことができる。
【0016】
「酸官能性モノアクリレート」という用語は、酸官能性アクリレートモノマー又は酸官能性アクリル
酸を指す。
【0017】
図1を参照すると、医療デバイス102の少なくとも1つの区域と接触するコーティング100が、本明細書に開示される。いくつかの例示的実施形態では、コーティング100は、下塗り層104及び上塗り層106を含む。いくつかの例示的実施形態では、コーティング100の下塗り層104は、医療デバイス102の少なくとも1つの区域と直接接触する。いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106は、コーティング100の最外層であり、下塗り層104と直接又は間接接触する。
【0018】
いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104は、多官能アクリレート、酸官能性モノアクリレート、及び重合開始剤を含む混合物の反応硬化生成物を含む。いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104は、医療デバイス102に対する強力な接着を促進する機能を有する。いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104混合物は、多官能アクリレート及び酸官能性モノアクリレートを、約5:1から約1:5、約3:1から約1:3、又は約1:1の比で含む。
【0019】
いくつかの例示的実施形態では、多官能アクリレートは、強度、凝集力の向上、及び不溶性を下塗り層104に付与するように下塗り層104を架橋できる、ネットワーク形成モノマーである。いくつかの例示的実施形態では、多官能アクリレートは、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)又はトリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレートである。
【0020】
いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104混合物の酸官能性モノアクリレートは、接着促進剤である。いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104混合物の酸官能性モノアクリレートには、IGM Resins(登録商標)から市販されている酸官能性モノアクリレートであるPHOTOMER(登録商標) 4173、PHOTOMER(登録商標) 4703、PHOTOMER(登録商標) 4846のうちの1つ又は複数が含まれ得る。いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104混合物の酸官能性モノアクリレートは、下塗り層104混合物の総重量に対して、約0.1%から約20.0%又は約1.0%から約5.0%の重量パーセントで溶液中に存在する。いくつかの例示的実施形態によれば、第2の混合物は、UV硬化性又はUV−C硬化性架橋剤を含有し得るのであって、UV−Cは、100〜190nmにわたるUV光の範囲を指す。
【0021】
いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106は、コーティング100の最外層上に潤滑表面を提供する、混合物の反応硬化生成物を含む。いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106は、ポリビニルピロリドンを含む親水性ポリマー、酸官能性モノアクリレート、親水性モノマー、及び重合開始剤を含む混合物の反応硬化生成物を含む。いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106は、ポリビニルピロリドン及び酸官能性モノアクリレートを、約20:1から約30:1又は約22:1から約28:1の質量比で含む。
【0022】
いくつかの例示的実施形態では、親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP又はポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)としても知られている)を含む。いくつかの例示的実施形態では、ポリビニルピロリドンは、少なくとも900,000g/mol又は約900,000g/molから約1,500,000g/molの数平均分子量を有する。ポリビニルピロリドンの好適な一例は、Ashland Inc又はBASFから市販されているPVP K90であり、1,300,000g/molの数平均分子量を有する。親水性ポリマーの利点には、水性溶液中での溶解性、湿っているときの高潤滑性、及びポリマーが既知の分子量分布へとすでに重合されていることが含まれる。
【0023】
いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106混合物の酸官能性モノアクリレートは、重合して上塗り層106を下塗り層104と結合し、上塗り層106中及び上塗り層106の表面上の親水性ポリマーを固定するモノマーである。いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104混合物の酸官能性モノアクリレートには、IGM Resins(登録商標)から市販されている酸官能性モノアクリレートであるPHOTOMER(登録商標) 4173、PHOTOMER(登録商標) 4703、PHOTOMER(登録商標) 4846のうちの1つ又は複数が含まれ得る。いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106混合物の酸官能性モノアクリレートは、上塗り層106中のポリビニルピロリドンの総重量に対して、約0.01%から約20.0%の重量パーセントで溶液中に存在する。いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104混合物及び上塗り層106混合物の酸官能性モノアクリレートは、独立に選択され、同じ又は異なってもよい。いくつかの例示的実施形態では、親水性モノマーは、親水性モノマーがフリーラジカル重合可能であり、上塗り層106混合物から相分離しないだけ十分に親水性である限り、一般に限定されない。いくつかの例示的実施形態では、親水性モノマーには、1−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びそれらの組合せが含まれる。
【0024】
いくつかの例示的実施形態では、重合開始剤はフリーラジカル開始剤である。いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104混合物及び上塗り層106混合物の重合開始剤(複数可)は、独立に選択され、同じ又は異なってもよい。重合開始剤の選択は、重合開始剤が重合のために使用される溶媒中に可溶性であり、フリーラジカル重合を開始できる限り、特に限定されない。いくつかの例示的実施形態では、重合開始剤は、熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤、及びそれらの組合せを含む。好適な熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を含む。好適なレドックス開始剤には、ペルオキシ二硫酸カリウム及びペルオキシ二硫酸アンモニウムが含まれる。いくつかの例示的実施形態では、重合開始剤は光開始剤である。いくつかの例示的実施形態では、光開始剤は、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、及びそれらの組合せを含む。いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104混合物の重合開始剤は、使用した任意の溶媒の重量を除いた混合物の総重量の、約0.001%から約2.0%の重量パーセントで存在する。いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106混合物の重合開始剤は、使用した任意の溶媒の重量を除いた上塗り層106混合物の総重量の、約0.001%から約2.0%の重量パーセントで存在する。
【0025】
いくつかの例示的実施形態では、形成されたコーティング100の構造は、コーティング100の下塗り層104側での強力な接着性及びコーティング100の上塗り層106側での高潤滑性を提供する。さらに、いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104及び上塗り層106の構造はそれぞれ、強力な接着性及び高潤滑性を提供する。
【0026】
いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104の構造は、接着促進剤である酸官能性モノアクリレートに対する架橋剤である多官能アクリレートの比ゆえに、高度に架橋される。いくつかの例示的実施形態では、医療デバイス102の少なくとも1つの区域と接触する下塗り層104を硬化させる反応は、多官能アクリレート及び酸官能性モノアクリレートの高度に架橋されたコポリマーである反応硬化生成物を提供する。いくつかの例示的実施形態では、下塗り層104における多数の架橋が、強度及び凝集力をもたらす一方で、下塗り層104における多数の酸官能性基は、医療デバイス102の一区域に強力に接着する。
【0027】
いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106の構造は、非架橋コポリマー複合体である。いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106の構造は、酸官能性モノアクリレート及び機能性充填剤として親水性ポリマーを固定する親水性モノマーの非架橋コポリマーである反応硬化生成物である。いくつかの例示的実施形態では、親水性ポリマーの重量パーセントは、上塗り層106の総重量の75%を超え、親水性ポリマーの潤滑特性は、上塗り層106の表面特性に優位に現れる。いくつかの例示的実施形態では、上塗り層106は、コポリマーの相対的に低量の酸官能性セグメントの存在ゆえに下塗り層104に接着するが、コポリマーの酸官能性セグメントの接着特性は、コポリマーの非接着性親水性セグメントの存在により和らげられる。このように、上塗り層106は、上塗り層106の質量のほとんどを占める親水性ポリマーの高い潤滑特性を、親水性ポリマーを下塗り層104と結合させるのに十分なコポリマーとともに有する。さらに、以前の潤滑性コーティング、たとえば米国特許出願公開第2013/0123664号、第2012/0077049号、及び第2009/0041923号に開示のものとは異なり、本明細書に開示の上塗り層106は、架橋されていない。
【0028】
いくつかの例示的実施形態では、コーティングは、UV−C又はPVP架橋剤により架橋されるポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ビニルモノマー、モノアクリレートプレポリマー、酸官能性モノアクリレート、及びポリ官能性アジリジン架橋剤を含む。
【0029】
いくつかの例示的実施形態では、医療デバイスは、それが導管構造の損傷を回避する潤滑表面コーティングを有することから利益を得る医療デバイスである限り、特に限定されない。いくつかの例示的実施形態では、医療デバイスは、カテーテル、たとえば導管内超音波(IVUS)イメージングカテーテル又はマイクロカテーテル、ガイドワイヤー、デリバリーシステム、ステント、たとえば尿管ステント等を含む。「デリバリーシステム」は、ステント、心臓弁、又は任意のインプラントを含むデバイスを送達するために使用されるデリバリーカテーテル又はシステムを意味する。
【0030】
いくつかの例示的実施形態では、医療デバイスは、可撓性細長部材、可撓性細長部材から遠位方向に伸長する可撓性要素、可撓性要素の内腔内で伸長する芯部材、及び可撓性要素の遠位に配置された感知要素を含む感知ガイドワイヤーであり、コーティングは、可撓性要素の長さに沿った芯部材と可撓性要素との間の内腔の少なくとも一部を満たす。
【0031】
いくつかの例示的実施形態では、医療デバイスは、可撓性細長部材、可撓性細長部材から遠位方向に伸長する放射線不透過性要素、及び可撓性細長部材に結合された感知要素を含む感知ガイドワイヤーであり、放射線不透過性要素は、第1の放射線不透過性区域、第2の放射線不透過性区域、並びに第1及び第2の放射線不透過性区域の間に配置された放射線透過性区域を画定する可変ピッチコイルであり、コーティングは、放射線不透過性要素の長さに沿った放射線不透過性要素の内腔の少なくとも一部を満たす。
【0032】
本明細書において使用する「可撓性細長部材」又は「細長可撓性部材」は、患者の導管構造内に挿入できる、少なくとも任意の細く長い可撓性構造を含む。本開示の「可撓性細長部材」の図示した実施形態が、可撓性細長部材の外径を画定する円形断面外形を有する円筒状外形を有する一方で、他の例において、可撓性細長部材の全部又は一部は、他の幾何学的断面外形(たとえば、卵形、長円形、四角形、楕円形等)又は非幾何学的断面外形を有する。可撓性細長部材には、たとえば、ガイドワイヤー及びカテーテルが含まれる。その点に関して、カテーテルは、その長さに沿って伸長する、他の機器を収容及び/又はガイドするための内腔を含んでいてもいなくてもよい。カテーテルが内腔を含む場合、内腔は、デバイスの断面外形に対して中心にあっても中心を外れていてもよい。
【0033】
ほとんどの実施形態において、本開示の可撓性細長部材は、1つ又は複数の電子的、光学的、又は電気光学的構成部品を含む。たとえば、限定するものではないが、可撓性細長部材は、以下のタイプの構成部品のうちの1つ又は複数を含む。すなわち、圧力センサー、流量センサー、温度センサー、イメージング要素、光ファイバー、超音波振動子、反射器、鏡、プリズム、切除要素、RF電極、導体、及び/又はそれらの組合せ。一般に、これらの構成部品は、導管又は可撓性細長部材が配置される他の解剖学的部位に関するデータを得るよう構成される。多くの場合、構成部品はまた、データを処理及び/又は表示のための外部デバイスに対して通信するよう構成される。いくつかの態様では、本開示の実施形態は、医療及び非医療用途の両方を含めて、導管の内腔内で撮像するためのイメージングデバイスを含む。しかしながら、本開示のいくつかの実施形態は、ヒト導管構造に関わる使用に特に適する。導管内空間、特にヒト導管構造の内壁の撮像は、超音波(多くの場合、導管内超音波(「IVUS」)及び心臓内超音波検査(「ICE」)と称される)及び光コヒーレンストモグラフィー(OCT)を含む、数多くの異なる手法により達成できる。他の例では、赤外線、熱、又は他の画像モダリティが利用される。
【0034】
本開示の電子的、光学的、及び/又は電気光学的構成部品は、多くの場合、可撓性細長部材の遠位部内に配置される。本明細書において使用する可撓性細長部材の「遠位部」は、中点から遠位先端部までの可撓性細長部材の任意の部分を含む。可撓性細長部材は中実でもよいので、本開示のいくつかの実施形態は、遠位部に電子的構成部品を収容するためのハウジング部を含む。かかるハウジング部は、細長部材の遠位部に取り付けられた管状構造でもよい。いくつかの可撓性細長部材は管状であり、電子的構成部品を遠位部内に配置できる1つ又は複数の内腔を有する。
【0035】
電子的、光学的、及び/又は電気光学的構成部品並びに付随する通信線は、可撓性細長部材の直径が非常に小さくなれるようなサイズ及び形状を有する。たとえば、本明細書に記載の1つ又は複数の電子的、光学的、及び/又は電気光学的構成部品を含有する細長部材、たとえばガイドワイヤー又はカテーテルの外径は、約0.0007”(0.0178mm)から約0.118”(3.0mm)の間であり、いくつかの特定の実施形態では、およそ0.014”(0.3556mm)、およそ0.018”(0.4572mm)、及びおよそ0.035”(0.889mm)の外径を有する。かかるものとして、本出願の電子的、光学的、及び/又は電気光学的構成部品を組み込んだ可撓性細長部材は、心臓の一部又は心臓のすぐ周囲にあるものに加えて、ヒト患者内の多様な内腔、たとえば四肢の静脈及び動脈、腎動脈、脳内及び脳周囲の血管、並びに他の内腔における使用に好適である。
【0036】
本明細書において使用する「接続された」及びその変化形は、直接接続、たとえば、別の要素に対して、その要素上に、その要素内に、等々で、直接糊付け又は別の方法で結着されることを、1つ又は複数の要素が接続された要素間に配置される間接接続とともに含む。
【0037】
本明細書において使用する「固定された」及びその変化形は、ある要素が別の要素に直接固定される方法、たとえば、別の要素に対して、その要素上に、その要素内に、等々で、直接糊付け又は別の方法で結着されることを、1つ又は複数の要素が固定された要素間に配置される、2つの要素を一緒に固定する間接的手法とともに含む。
【0038】
医療デバイスの少なくとも1つの区域を塗布するための方法が、本明細書に開示される。いくつかの例示的実施形態では、この方法は、混合物を医療デバイスの少なくとも1つの区域上に付与し、下塗り層を形成するステップを有し、混合物は、多官能アクリレート、酸官能性モノアクリレート、及び重合開始剤を含む。混合物を医療デバイスの一区域に付与する方法は、すべての成分が一緒にされ、医療デバイスのその一区域に直接付与される限り、限定されない。いくつかの例示的実施形態では、混合物を付与するステップは、混合物を医療デバイスの一区域上にディッピング、スプレー、ワイピング、ブラッシング、又はモールディングすること含む。いくつかの例示的実施形態では、この方法は、事前形成された混合物を医療デバイスの表面上に直接付与するステップを有する。いくつかの例示的実施形態では、この方法は、各成分を一緒に又は別々に医療デバイスの表面上に付与し、医療デバイスと直接接触する混合物を置き換えることにより下塗り層を形成するステップを有する。
【0039】
いくつかの例示的実施形態では、混合物は、多官能アクリレート、酸官能性モノアクリレート、重合開始剤、及び溶媒を含む。混合物中の溶媒は、溶媒が極性であり、混合物の成分が溶解可能である限り、限定されない。好適な溶媒には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、及びそれらの混合物等が含まれる。いくつかの例示的実施形態では、溶媒は、混合物の総重量に対して、混合物の約92%から約95%wt/wtを占める。溶媒は、加熱又は乾燥させたときに硬化下塗り層104を提供するよう蒸発できることが理解される。
【0040】
いくつかの例示的実施形態では、この方法は、混合物を医療デバイスの少なくとも1つの区域上で硬化させるステップを有する。混合物を硬化させる方法は限定されないが、重合開始剤の選択次第である。いくつかの例示的実施形態では、重合開始剤が熱開始剤である場合、混合物は、医療デバイスの一区域と直接接触しながら、約40℃から約80℃又は約50℃から約70℃の温度で、約10分から1時間加熱される。いくつかの例示的実施形態では、重合開始剤が光開始剤である場合、混合物は、たとえば高圧水銀アークランプを使用して、紫外線(UV)光源により約30秒から10分間照射される。
【0041】
いくつかの例示的実施形態では、この方法は、混合物を下塗り層上に付与し、上塗り層を形成するステップを有し、混合物は、ポリビニルピロリドンを含む親水性ポリマー、酸官能性モノアクリレート、親水性モノマー、及び重合開始剤を含む。混合物を下塗り層に付与する方法は、すべての成分が一緒にされ、コーティングの下塗り層と直接又は間接に接触するよう付与される限り、限定されない。いくつかの例示的実施形態では、混合物を付与するステップは、混合物を、下塗り層に既に利用された医療デバイスの一区域上にディッピング、スプレー、ワイピング、ブラッシング、又はモールディングすること含む。いくつかの例示的実施形態では、この方法は、事前形成された混合物を下塗り層と直接又は間接接触するよう付与するステップを有する。いくつかの例示的実施形態では、この方法は、各成分を下塗り層上に付与し、下塗り層と接触する混合物を形成するステップを有する。
【0042】
いくつかの例示的実施形態では、混合物は、ポリビニルピロリドンを含む親水性ポリマー、酸官能性モノアクリレート、親水性モノマー、重合開始剤、及び溶媒を含む。混合物中の溶媒は、溶媒が極性であり、混合物の成分が溶解可能である限り、限定されない。好適な溶媒には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、及びそれらの混合物等が含まれる。いくつかの例示的実施形態では、溶媒は、混合物の総重量に対して、約92%から約95%wt/wtを占める。溶媒は、加熱又は乾燥させたときに反応硬化上塗り層を提供するよう蒸発できることが理解される。
【0043】
いくつかの例示的実施形態では、この方法は、混合物を下塗り層上に硬化させるステップを有する。混合物を硬化させる方法は限定されないが、重合開始剤の選択次第である。いくつかの例示的実施形態では、重合開始剤が熱開始剤である場合、混合物は、下塗り層と直接又は間接接触しながら、約40℃から約80℃又は約50℃から約70℃の温度で、約10分から1時間加熱される。いくつかの例示的実施形態では、重合開始剤が光開始剤である場合、混合物は、たとえば高圧水銀アークランプを使用して、紫外線(UV)光源により約30秒から10分間照射される。
【0044】
ここで
図3を参照すると、そこに示すのは、本開示の一実施形態による導管内デバイス200である。それに関して、導管内デバイス200は、遠位先端部205と隣接する遠位部204及び近位端207と隣接する近位部206を有する可撓性細長部材202を含む。それに関して、コーティング203は、可撓性細長部材202の外側部分と接触するか又はそれに接着され、高い又は増加した潤滑性を有する潤滑性外表面を伴う導管内デバイス200を提供する。コーティング203は、導管内デバイス200の部分(複数可)及び/又は全体に沿って配置できる。たとえば、いくつかの例では、コーティング203は、増加した潤滑性を有することが意図される、導管内デバイス200の部分上に配置される。
【0045】
構成部品208は、遠位先端部205に近接する可撓性細長部材202の遠位部204内に配置される。一般に、構成部品208は、1つ又は複数の電子的、光学的、又は電気光学的構成部品を表す。それに関して、構成部品208は、圧力センサー、流量センサー、温度センサー、イメージング要素、光ファイバー、超音波振動子、反射器、鏡、プリズム、切除要素、RF電極、導体、及び/又はそれらの組合せである。構成部品又は構成部品の組合せの特定のタイプは、導管内デバイスの意図される用途に基づいて選択できる。いくつかの例では、構成部品208は、遠位先端部205から10cm未満、5cm未満、又は3cm未満に配置される。いくつかの例では、構成部品208は、可撓性細長部材202のハウジング内に配置される。それに関して、ハウジングは、いくつかの例では、可撓性細長部材202に固定された別々の構成部品である。他の例では、ハウジングは、可撓性細長部材202の一部として一体形成される。
【0046】
導管内デバイス200はまた、デバイスの近位部206と隣接するコネクター210を含む。それに関して、コネクター210は、可撓性細長部材202の近位端207から、距離212の間隔を置いて配置される。一般に、距離212は、可撓性細長部材202の全長の0%から50%の間である。可撓性細長部材の全長は任意の長さでよいが、いくつかの実施形態では、全長は、約1300mmから約4000mmの間であり、いくつかの特定の実施形態では、1400mm、1900mm、及び3000mmの長さを有する。したがって、いくつかの例では、コネクター210は、近位端207に配置される。他の例では、コネクター210は、近位端207から間隔を置いて配置される。たとえば、いくつかの例では、コネクター210は、近位端207から約0mmから約1400mmの間の間隔を置いて配置される。いくつかの特定の実施形態では、コネクター210は、近位端から0mm、300mm、及び1400mmの距離の間隔を置いて配置される。
【0047】
コネクター210は、導管内デバイス200と別のデバイスとの間の通信を容易にするよう構成される。より詳細には、いくつかの実施形態では、コネクター210は、別のデバイス、たとえばコンピューターデバイス又はプロセッサーに対する、構成部品208により得られるデータの通信を容易にするよう構成される。したがって、いくつかの実施形態では、コネクター210は、電気コネクターである。かかる例では、コネクター210は、可撓性細長部材202の長さに沿って伸長し、構成部品208と電気的に結合される、1つ又は複数の導電体との電気接続を提供する。いくつかの実施形態では、導電体は、可撓性細長部材の芯内に埋め込まれる。他の実施形態では、コネクター210は、光コネクターである。かかる例では、コネクター210は、可撓性細長部材202の長さに沿って伸長し、構成部品208と光学的に結合される、1つ又は複数の光通信経路(たとえば光ファイバーケーブル)との光接続を提供する。同様に、いくつかの実施形態では、光ファイバーは、可撓性細長部材の芯内に埋め込まれる。さらに、いくつかの実施形態では、コネクター210は、構成部品208と結合された導電体及び光通信経路の両方との電気及び光接続の両方を提供する。それに関して、構成部品208は、いくつかの例では複数の要素から構成されることに留意すべきである。コネクター210は、直接又は間接に、別のデバイスとの物理接続を提供するよう構成される。いくつかの例では、コネクター210は、導管内デバイス200と別のデバイスとの間の無線通信を容易にするよう構成される。一般に、任意の現存するか又は将来開発される無線プロトコルが利用される。さらに他の例では、コネクター210は、別のデバイスとの物理及び無線接続の両方を容易にする。
【0048】
上述のとおり、いくつかの例では、コネクター210は、導管内デバイス200の構成部品208と外部デバイスとの間の接続を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、1つ若しくは複数の導電体、1つ若しくは複数の光学的経路及び/又はそれらの組合せが、コネクター210と構成部品208との間の可撓性細長部材202の長さに沿って伸長し、コネクター210と構成部品208との間の通信を容易にする。いくつかの例では、2014年2月3日出願の米国仮特許出願第61/935,113号に記載のとおり、導電体及び/又は光学的経路のうちの少なくとも1つが、可撓性細長部材202の芯内に埋め込まれ、この出願はここにその全体が参照により組み込まれる。一般に、任意の数の導電体、光学的経路及び/又はそれらの組合せが、芯に埋め込まれていようがいなかろうが、コネクター210と構成部品208との間の可撓性細長部材202の長さに沿って伸長し得る。いくつかの例では、1個から10個の間の導電体及び/又は光学的経路が、コネクター210と構成部品208との間の可撓性細長部材202の長さに沿って伸長する。可撓性細長部材202の長さに沿って伸長する通信経路の数並びに導電体及び光学的経路の数は、構成部品208の所望の機能性及びかかる機能性を示すように構成部品208を画定する対応する要素により決定される。
【0049】
ここで
図4及び
図5を参照すると、そこに示すのは、本開示による導管内デバイス200上のコーティング203の実施の例である。特に、
図4及び
図5のそれぞれが、導管内デバイス200の遠位部204の概略側面図を提供する。図示するとおり、遠位部204は、近位可撓性要素220及び遠位可撓性要素222を、構成部品208を含有するハウジング224のそれぞれの側に含む。芯部材226は、近位可撓性要素220の内部を通って伸長する。同様に、芯部材228は、遠位可撓性要素222の内部を通って伸長する。いくつかの実施では、芯部材226及び228は、一体構成部品(すなわち、芯部材226は、ハウジング224を貫通して伸長し、芯部材228を画定する)である。一般に、芯部材226、228は、導管内デバイス200の遠位部204のための所望の機械的性能を創出するサイズであるか、形状であるか、及び/又は特定の材料で形成される。それに関して、いくつかの例では、芯部材228は、シェーピングリボン(shaping ribbon)と結合される。たとえば、いくつかの特定の実施では、芯部材228は、2014年7月22日出願の米国仮特許出願第62/027,556号に記載のマルチフラットトランジション(multi−flat transition)を利用するシェーピングリボンと結合され、この出願はここにその全体が参照により組み込まれる。
【0050】
近位及び遠位可撓性要素220、222は、コイル、ポリマーチューブ、及び/又はコイル埋込みポリマーチューブを含む任意の好適な可撓性要素でもよい。図示した実施形態では、近位可撓性要素220は、コイル埋込みポリマーチューブであり、遠位可撓性要素222は、コイルである。下でより詳細に論じるとおり、近位及び/又は遠位可撓性要素220、222には、導管内デバイス200の機械的性能及び耐久性を改善する1種又は複数の可撓性接着剤が、少なくとも部分的に充填されている。それに関して、いくつかの例では、様々なデュロメーター硬度を有する接着剤が、導管内デバイス200の長さに沿った曲げ剛性を所望通り移行させるために利用される。ソルダーボール230又は他の好適な要素が、遠位可撓性要素222の遠位端に固定される。図示するとおり、ソルダーボール230は、患者の導管、たとえば導管構造の中を前進させるのに好適な無外傷性先端部を有する、導管内デバイス200の遠位先端部205を画定する。いくつかの実施形態では、流量センサーは、ソルダーボール230の代わりに遠位先端部205に配置される。
【0051】
図4は、コーティング203が、可撓性細長部材202を含む導管内デバイス200の長さの大部分に沿って(たとえば、いくつかの例では、コネクター210と近位可撓性要素220との間の距離の全部、大部分、及び/又は一部に沿って)、近位可撓性要素220に沿って遠位可撓性要素222まで伸長する一実施形態を示す。しかしながら、
図4では、コーティング203は、遠位可撓性要素222上に伸長してはいない。
図5は、コーティングが近位可撓性要素220及び遠位可撓性要素222に沿って伸長する、別の実施形態を示す。しかしながら、
図5の実施形態では、少なくとも可撓性細長部材202の遠位部は、コーティング203を含まない。コーティング203は、軸(デバイスの長さに沿った)及び/又は外周(デバイスの外周に沿った)方向を含め、導管内デバイス200の領域及び/又は構成部品の任意の組合せに付与されることが理解される。たとえば、コーティング203は、デバイスの外周の特定の領域に部分的に(たとえば、半分、1/4、3/4、又は他の好適な量)付与される。
【0052】
導管内デバイス200の遠位部204は、近位部206及び可撓性細長部材202とともに、導管内デバイスの一部が本開示によるコーティング203でコーティングされる限り、任意の好適なアプローチを使用して形成される。したがって、いくつかの実施では、導管内デバイス200は、米国特許第5,125,137号、米国特許第5,873,835号、米国特許第6,106,476号、米国特許第6,551,250号、2013年6月28日出願の米国特許出願第13/931,052号、2013年12月19日出願の米国特許出願第14/135,117号、2013年12月20日出願の米国特許出願第14/137,364号、2013年12月23日出願の米国特許出願第14/139,543号、2013年12月30日出願の米国特許出願第14/143,304及び2014年2月3日出願の米国仮特許出願第61/935,113号のうちの1つ又は複数に記載の遠位、中間、及び/又は近位区域と類似する特徴を含み、これらの文献のそれぞれは、ここにその全体が参照により組み込まれる。
【0053】
図6は、本開示の一実施形態による超音波イメージングシステム300を表す概略図である。細長部材302の最遠位端は、超音波振動子のアレイ及び付随する制御回路を有するスキャナーアセンブリ306を含む。スキャナーアセンブリ306が撮像される領域の近傍に配置されるとき、超音波振動子が活性化され、超音波エネルギーが生成する。超音波エネルギーの一部が、導管304及び周囲の解剖学的構造により反射され、振動子により受け取られる。対応するエコー情報が、患者インターフェースモニター(PIM)308を通じてIVUSコンソール310に送られ、このコンソールは、情報をモニター312上のディスプレイの画像としてレンダリングする。
【0054】
イメージングシステム300は、様々な超音波イメージング技術のうちの任意のものを使用する。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、IVUSイメージングシステム300は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)セラミックから製造される圧電振動子のアレイを組み込んだ固体IVUSイメージングシステムである。いくつかの実施形態では、システム300は、静電容量型マイクロマシン超音波振動子(CMUT、capacitive micromachined ultrasonic transducers)、又は圧電型マイクロマシン超音波振動子(PMUT、piezoelectric micromachined ultrasound transducers)を組み込む。
【0055】
いくつかの実施形態では、IVUSシステム300は、従来の固体IVUSシステム、たとえばVolcano Corporationから入手可能なEagleEye(登録商標)カテーテル及び米国特許第7,846,101号に開示のものと類似するいくつかの特徴を含み、この特許はここにその全体が参照により組み込まれる。たとえば、細長部材302は、超音波スキャナーアセンブリ306を部材302の遠位端に含み、これは、部材302の長手方向本体部に沿って伸長するケーブル314により、PIM308及びIVUSコンソール310と結合される。ケーブル314は、スキャナーアセンブリ306とIVUSシステム300の他の部分との間で制御信号、エコーデータ、及び電力を運搬する。いくつかの例では、スキャナーアセンブリ306は、平坦な構成から巻かれた又はより円筒状の構成へと移行される。たとえば、いくつかの実施形態では、米国特許第6,776,763号、発明の名称「ULTRASONIC TRANSDUCER ARRAY AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME」及び米国特許第7,226,417号、発明の名称「HIGH RESOLUTION INTRAVASCULAR ULTRASOUND TRANSDUCER ASSEMBLY HAVING A FLEXIBLE SUBSTRATE」のうちの1つ又は複数に開示の手法が利用され、これらの特許はそれぞれ、ここにその全体が参照により組み込まれる。
【0056】
一実施形態では、細長部材302は、ガイドワイヤー出口ポート316をさらに含む。ガイドワイヤー出口ポート316は、ガイドワイヤー318が、導管構造(すなわち、導管)304を通過するよう部材302を導くために、遠位端に向かって挿入されることを可能にする。したがって、いくつかの例では、IVUSデバイスは、迅速交換型カテーテルである。一実施形態では、細長部材302はまた、膨張可能なバルーン部分320を遠位先端部の近傍に含む。バルーン部分320は、IVUSデバイスの長さに沿って存在し、膨張ポートで終わる内腔に対して開放されている(図示せず)。バルーン320は、膨張ポートを介して選択的に膨張及び収縮させられる。
【0057】
PIM308は、スキャナーアセンブリ306の動作を制御するための、IVUSコンソール310と細長部材302との間の信号の通信を容易にする。これは、スキャナーを設定するための制御信号を生成すること、送信回路を作動させるための信号を生成すること、及び/又は、スキャナーアセンブリ306により取り込んだエコー信号をIVUSコンソール310に転送することを含む。エコー信号に関して、PIM308は、受信した信号を転送し、いくつかの実施形態では、その信号をコンソール310に送信する前に、予備的な信号処理を実行する。かかる実施形態の例では、PIM308は、データの増幅、フィルタリング、及び/又は集約を実行する。一実施形態では、PIM308はまた、高電圧及び低電圧DC電力を供給して、スキャナーアセンブリ306内の回路の動作を支える。
【0058】
IVUSコンソール310は、エコーデータをスキャナーアセンブリ306から、PIM308を経由して受信し、データを処理してスキャナーアセンブリ306の周囲の組織の画像を創出する。コンソール310はまた、モニター312上に画像を表示する。
【0059】
超音波イメージングシステム300は様々な用途に利用され、生体内の導管及び構造を撮像するために使用できる。導管304は、流体で満たされているか又は囲まれている、生来及び人工両方の、撮像される生体内の構造を表し、たとえば、これらに限定しないが、肝臓、心臓、腎臓を含む器官、及び血液系又は他の身体の系内の弁等の構造を含みうる。生来の構造を撮像することに加えて、画像はまた、人工構造、たとえば、これらに限定しないが、心臓弁、ステント、シャント、フィルター及び身体内に配置される他のデバイスを撮像することを含む。
【0060】
本開示によれば、コーティング311が、細長部材302の少なくとも一部に付与される。これに関して、コーティング311は、細長部材302の外表面と接触するか又はそれに接着され、導管304内への細長部材302の導入及び/又は導管304からの細長部材302の除去を容易にする。コーティング311は、軸(デバイスの長さに沿った)及び/又は外周(デバイスの外周に沿った)方向を含め、細長部材302の領域及び/又は構成部品の任意の組合せに付与されることが理解される。たとえば、コーティング311は、デバイスの外周の特定の領域に部分的に(たとえば、半分、1/4、3/4、又は他の好適な量)付与される。
【0061】
ここで
図7を参照すると、そこに示すのは、本開示の一実施形態によるIVUSイメージングシステム500である。本開示のいくつかの実施形態では、IVUSイメージングシステム500は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)又は圧電型マイクロマシン超音波振動子(PMUT)回転型IVUSイメージングシステムである。簡潔にするため、以下の記載では、PMUT回転型IVUSイメージングシステムを例示のためだけに利用する。それに関して、PMUT回転型IVUSイメージングシステムの主要構成部品は、PMUT回転型IVUSカテーテル502、PMUTカテーテルと適合する患者インターフェースモジュール(PIM)504、IVUSコンソール又は処理システム506、及びIVUSコンソール506により生成されたIVUS画像を表示するモニター508である。
【0062】
ここで
図8を参照すると、そこに示すのは、本開示の一実施形態によるPMUTカテーテル502を表す部分断面斜視図である。それに関して、
図8は、PMUT回転型IVUSカテーテル502の構造に関する追加の詳細を示す。多くの点で、このカテーテルは、従来の回転型IVUSカテーテル、たとえばVolcano Corporationから入手可能であり、米国特許第8,104,479号に記載のRevolution(登録商標)カテーテル、又は米国特許第5,243,988号及び第5,546,948号に開示のものと類似し、これらの特許はそれぞれ、ここにその全体が参照により組み込まれる。それに関して、PMUT回転型IVUSカテーテル502は、イメージングコア510及び外側カテーテル/シースアセンブリー512を含む。イメージングコア510は、近位端で、
図7のPIM504との電気的及び機械的結合を提供する回転型インターフェース514で終わるフレキシブル駆動シャフトを含む。イメージングコア510のフレキシブル駆動シャフトの遠位端は、PMUT及び付随する回路を含有する振動子ハウジング516と結合される。カテーテル/シースアセンブリー512は、回転型インターフェースを支持し、カテーテルアセンブリーの回転要素と非回転要素との間の軸受表面及び流体封止部を提供するハブ518を含む。ハブ518は、ルアーロックフラッシュポート520を備えるが、そこからカテーテルの使用時に生理食塩水を注入して、空気を押し出し、シースの内側内腔を超音波適合性の流体で満たす。生理食塩水又は他の類似するフラッシュ液が典型的には必要とされる。なぜなら、超音波は容易には空気を通って伝播しないからである。生理食塩水はまた、回転駆動シャフトのための生体適合性潤滑剤を提供する。ハブ518は、カテーテル/シースアセンブリー512の伸縮を可能にして、カテーテル502の遠位部の音響透過窓524内での振動子ハウジングの軸方向運動を容易にする、入れ子状態の管状要素及び摺動する流体封止部を含むテレスコープ522と結合される。いくつかの実施形態では、窓524は、振動子と導管組織との間で最低限の減弱化、反射、又は屈折しか伴わずに、超音波を容易に伝導する材料から製造される、薄肉のプラスチック管から構成される。カテーテル/シースアセンブリー512の近位シャフト525は、テレスコープ522と窓524との間のセグメントを橋渡しし、潤滑性内部内腔及び最適な剛性をもたらすが、超音波を伝導させる必要はない材料又は複合材料から構成される。
【0063】
ここで
図9を参照すると、そこに示すのは、本開示の一実施形態によるカテーテル502の遠位部を表す側面断面図である。
図9は、イメージングコア510の遠位部の態様の拡大図を示す。この例示的実施形態では、イメージングコア510は、その遠位先端部で、ステンレス鋼から製造され、丸みを帯びたノーズ526及び超音波ビーム530がハウジング516から出るためのカットアウト528を備える、ハウジング516で終わる。いくつかの実施形態では、イメージングコア510のフレキシブル駆動シャフト532は、フレキシブル駆動シャフトの回転がハウジング516に回転も付与するようにハウジング516に溶接され、又は別の方法で固定された、逆巻きステンレス鋼ワイヤーの2つ以上の層から構成される。図示した実施形態では、ASIC544及びMEMS538構成部品は、一緒にワイヤーボンド及び糊付けされ、ASIC/MEMSハイブリッドアセンブリー546を形成し、これは、振動子ハウジング516に取り付けられ、エポキシ548を用いて適所に固定される。任意選択のシールド536及びジャケット535を有する多導体電気ケーブル534の鉛は、この実施形態では、ASIC544にはんだ付けされるか、又は別の方法で電気的に直接結合される。電気ケーブル534は、フレキシブル駆動シャフト532の内側内腔を通じて、それが回転型インターフェース514の電気コネクター部で終わるイメージングコア510の近位端まで伸長する。
【0064】
一緒に組み上げられたとき、
図9に示すとおり、PMUT MEMS538及びASIC544は、ハウジング516内に搭載されたASIC/MEMSハイブリッドアセンブリー546を形成し、ASIC544は、2つ以上の結線、たとえばワイヤーボンドを通じてPMUT MEMS538と電気的に結合される。それに関して、本開示のいくつかの実施形態では、ASIC544は、上で論じたPMUT MEMSに付随する増幅器、送信器、及び保護回路を含む。PMUT MEMS538は、球状集束超音波振動子542を含む。図示した実施形態では、ASIC544とMEMS538との間の接続は、ワイヤーボンドにより提供され、一方で、他の実施形態では、ASIC544は、異方性導電接着剤又は好適な代替的チップツーチップ結合法を使用して、PMUT MEMS538の基板にフリップチップマウントされる。さらに他の実施形態では、ASIC544及びMEMS538構成部品の両方が、2つの構成部品を電気的に接続する導電路を備えるフレキシブル回路基板に取り付けられる。
【0065】
本開示によれば、コーティング511が、IVUSカテーテルの少なくとも一部に付与される。これに関して、コーティング511は、カテーテル512の外表面と接触するか又はそれに接着され、導管内へのカテーテル512の導入及び/又は導管からのカテーテル512の除去を容易にする。図示した実施形態では、コーティング511は、窓524の上を含むデバイスの少なくとも遠位部に沿ったカテーテル512の外側部分と接触するか、又はそれに接着される。他の実施形態では、コーティング511は、窓524の上に伸長しない。しかしながら、コーティング511は、軸(デバイスの長さに沿った)及び/又は外周(デバイスの外周に沿った)方向を含め、IVUSカテーテルの領域及び/又は構成部品の任意の組合せに付与されることが理解される。たとえば、コーティング511は、デバイスの外周の特定の領域に部分的に(たとえば、半分、1/4、3/4、又は他の好適な量)付与される。
【0066】
本発明をいくつかの実施形態に関して説明した一方で、当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内で本発明を変更して実施できることを認識する。
【0067】
任意の空間への言及、たとえば「上側の」、「下側の」、「上の」、「下の」、「間の」、「底部」、「垂直の」、「水平の」、「角の」、「上方に」、「下方に」、「並んで」、「左から右に」、「左」、「右」、「右から左に」、「上部から底部に」、「底部から上部に」、「上部」、「底部」、「底部を上に」、「上部を下に」等は、例示の目的のためでしかなく、上述の構造の特定の方向又は位置を限定しない。
【0068】
以下の実施例は、上で論じた組成物及び方法の例示である。
【実施例】
【0069】
下塗り層混合物を、表1に列挙した成分をイソプロピルアルコール(IPA)中に溶解させることにより調製した。上塗り層混合物を、表2に列挙した成分をエタノール中に溶解させることにより調製した。下塗り層混合物をEagle Eye(登録商標) Platinum IVUSカテーテルの一区域上に直接コーティング及び重合するため、Martek Automationにより構築されたUV硬化チャンバーを有するカスタマイズされた親水コーターを使用した。次に、上塗り層混合物を硬化下塗り層上にコーティング及び重合し、実施例1の試料を形成するため、同じ親水コーターを使用した。実施例1と同じステップを使用して、実施例2の試料を調製し、続いて試料を、DDL Inc.(Distribution Dynamic Labs),Fountain Valley,CAで、1年の経年をシミュレートするエージング処理に供した。1年の経年のための条件は、55℃±2℃及び<20%RHを38日間である。DSM Comfortcoat(登録商標)をEagle Eye(登録商標) Platinum IVUSカテーテルの一区域上にコーティング及び重合する親水コーターを使用することにより、比較例試料を調製した。実施例1、実施例2、または比較例の試料を調製するために使用した方法にそれぞれ従い、各10個の試料を含有する3つの試料セット、「経年T=0」、「経年T=加速1年」、及び「DSM対照」を調製した。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
実施例1、実施例2、及び比較例の各試料の摩擦力は、室温の水浴中で10ニュートン荷重セル及び摩擦パッドとしてブタ大動脈を用いたINSTRON(登録商標)モデル#3343試験装置を使用して測定した。
図2に示すとおり、平均摩擦力を、経年T=0試料セットについて0.032094lbf、T=加速1年経年試料セットについて0.00445464lbf、及びDSM対照(DSM Comfortcoat(登録商標))コーティング試料セットについて0.112928lbfと算出した。実験結果は、実施例2の潤滑性コーティングが加速経年1年後でさえ、比較例コーティングの表面よりも摩擦が低い表面を有することを示した。
【0073】
本発明を特定の実施形態に関して説明した一方で、当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内で本発明を変更して実施できることを認識する。
【0074】
本開示は、特定の実施形態に関して説明された。本開示を読んだ後に初めて当業者に明らかとなる改良又は変更は、本出願の趣旨及び範囲内であるとみなされる。いくつかの変更、改変及び置換が上の開示において意図されており、いくつかの例では、本発明のいくつかの特徴が対応する他の特徴の使用なしに用いられることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲を、広く、本発明の範囲と一致する仕方で解釈することが適切である。