特許第6670336号(P6670336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670336
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】電動式駐輪装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
   E04H6/06 X
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-59100(P2018-59100)
(22)【出願日】2018年3月27日
(65)【公開番号】特開2019-173276(P2019-173276A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2018年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】517004436
【氏名又は名称】株式会社ショウエイテクノ製作
(74)【代理人】
【識別番号】100103399
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 清
(72)【発明者】
【氏名】森田 昌佳
(72)【発明者】
【氏名】安間 洋子
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰二
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−166325(JP,A)
【文献】 特開2012−218501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 − 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に立設した支柱と、自転車を戴置する駐輪架台と、前記駐輪架台を前記支柱に沿って昇降動させる駐輪架台昇降機構と、
前記駐輪架台の後端部に傾動自在に配設した傾斜板と、前記傾斜板を回動させる傾斜板回動機構と、
前記駐輪架台の昇降動等の動作を実行、制御する制御装置と、前記駐輪架台の昇降動等の動作を指令する操作装置と、
前記支柱の正面に被覆するように配設したシート状の被覆帯と、この被覆帯を巻き取る巻取機構と、から成る被覆帯作動機構と、
から構成したことを特徴とする電動式駐輪装置。
【請求項2】
前記駐輪架台が下降動している際に、何等かの障害物又は子供等の身体に接触した場合には、前記駐輪架台を非常停止する検知装置を付加したことを特徴とする請求項1に記載の電動式駐輪装置。
【請求項3】
利用者又は周囲に緊急事態を告知する警報ブザーを付加したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動式駐輪装置。
【請求項4】
前記駐輪架台昇降機構は、前記支柱に沿って配設したチェーンと、このチェーンを巻き回すスプロケットと、このスプロケットを駆動する駆動モーターと、から構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電動式駐輪装置。
【請求項5】
前記傾斜板回動機構は、前記駐輪架台の架台本体に沿って配設した作用杆と、この作用杆の先端部に固定した溝付車と、前記作用杆の後端部に固定した当接車と、前記作用杆に水平方向に弾性力を付勢するスプリングと、前記溝付車を案内する誘導板と、から構成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電動式駐輪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を載置する駐輪架台を電動モーターによって昇降動させる電動式駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅前、集合住宅、公民館、公園等においては、多数の自転車を駐輪するために種々形態の駐輪装置が設置されている。
【0003】
最近にあっては、限られたスペースに多数の自転車を効率的に駐輪するために、自転車を載置する駐輪架台を水平方向に多数配設し、それら駐輪架台を床面に設置したレールに沿って左右に摺動自在としたスライド式駐輪装置が採用されている。
【0004】
さらに、1台のスペースに2台の自転車を駐輪できるよう、駐輪架台を上下2段に配設し、上段に配設した駐輪架台を昇降自在とすると共に、下段に配設した駐輪架台をレールに沿って左右に摺動自在とした垂直2段式駐輪装置も採用されている。
【0005】
前記垂直2段式駐輪装置において、駐輪架台を電動で昇降動させる方式として、駐輪架台24の前端部にワイヤー15の下端部を固着し、支柱12の上端部に駆動モーター16及びドラム14を配設し、ワイヤー15の上端部をドラム14に固着し、駆動モーター16を作動させてドラム14を回転させ、ワイヤー15を巻き取り、又は、巻き戻すことによって、駐輪架台24を昇降動させる方式が知られている(参考文献1参照)。
【0006】
又、支柱2内に軸心周りに回転自在とした螺子軸3を配設し、支柱2の上端部に駆動モーター4を配設し、螺子軸3の上端部に駆動モーター4の駆動軸41をカップリング9を介して連結し、駐輪架台6の前端部を螺子軸3に螺合し、駆動モーター4を作動させて螺子軸3を正回転、又は、逆回転することによって、駐輪架台6を昇降動させる方式も知られている(参考文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−196247号公報
【特許文献2】特開2014−025306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に開示された駐輪装置にあっては、ドラム14を回転させて、ワイヤー15を巻き取り、又は、巻き戻すものであるから、ワイヤー15が伸長し易く、又は、切断し易く、装置の保守管理を頻繁に行わなければならない、という問題があった。
【0009】
一方、上記特許文献2に開示された駐輪装置にあっては、駐輪架台6の前端部を螺子軸3に螺合し、螺子軸3を正回転又は逆回転するものであるから、螺子軸3が支柱2と同様に長いものとなり、そのコストが高価とならざるを得ない、という問題があった。
【0010】
又、従来、駐輪架台に自転車を載置し易くするため、駐輪架台の後端部に傾動自在とした傾斜板を配設し、自転車を駐輪架台に進入させる際には、傾斜板を傾斜状態とさせ、駐輪架台に載置させた後には、傾斜板を起立状態とさせるが、その操作は利用者が手動で行わなければならず、面倒であると共に、危険でもあった。
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するために為されたものであって、装置の保守管理を頻繁に行う必要がなく、昇降機構のコストもそれほど高価ではなく、又、傾斜板の回動操作を自動的に行い、簡易で安全な電動式駐輪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の電動式駐輪装置は、
床面に立設した支柱と、自転車を戴置する駐輪架台と、前記駐輪架台を前記支柱に沿って昇降動させる駐輪架台昇降機構と、
前記駐輪架台の後端部に傾動自在に配設した傾斜板と、前記傾斜板を回動させる傾斜板回動機構と、
前記駐輪架台の昇降動等の動作を実行、制御する制御装置と、前記駐輪架台の昇降動等の動作を指令する操作装置と、
前記支柱の正面に被覆するように配設したシート状の被覆帯と、この被覆帯を巻き取る巻取機構と、から成る被覆帯作動機構と、
から構成したことを特徴とする。
【0013】
電動式駐輪装置は、又、前記駐輪架台が下降動している際に、何等かの障害物又は子供等の身体に接触した場合には、前記駐輪架台を非常停止する検知装置を付加するものとしてもよい。
【0014】
電動式駐輪装置は、又、利用者又は周囲に緊急事態を告知する警報ブザーを付加するものとしてもよい。
【0015】
ここで、前記駐輪架台昇降機構は、前記支柱に沿って配設したチェーンと、このチェーンを巻き回すスプロケットと、このスプロケットを駆動する駆動モーターと、から構成するのが好ましい。
【0016】
又、前記傾斜板回動機構は、前記駐輪架台の架台本体に沿って配設した作用杆と、この作用杆の先端部に固定した溝付車と、前記作用杆の後端部に固定した当接車と、前記作用杆に水平方向に弾性力を付勢するスプリングと、前記溝付車を案内する誘導板と、から構成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電動式駐輪装置によれば、装置の保守管理を頻繁に行う必要がなく、昇降機構のコストもそれほど高価ではなく、又、傾斜板の傾動操作を自動的に行い、利用者にとって簡易で安全な電動式駐輪装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の電動式駐輪装置の外観斜視図である。
図2】駐輪架台の後側部の斜視図である。
図3】本発明の電動式駐輪装置の左側面図である。
図4】本発明の電動式駐輪装置の平面図である。
図5】本発明の電動式駐輪装置の右側面図である。
図6】傾斜板と架台本体との連結部の平面図である。
図7】駆動モーターの断面図である。
図8】解除治具の(A)は正面図、(B)は側面図である。
図9】駐輪架台の縦断面図である。
図10】テープスイッチの構造を示す斜視図である。
図11】本発明の電動式駐輪装置の制御回路図である。
図12】本発明の電動式駐輪装置を並設する状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の電動式駐輪装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本発明の電動式駐輪装置1は、図1乃至図5に示すように、床面Gに垂直に立設した支柱2と、自転車Bを載置する駐輪架台3と、駐輪架台3を昇降動させる駐輪架台昇降機構4と、傾斜板を回動させる傾斜板回動機構5と、被覆帯を作動させる被覆帯作動機構6と、駐輪架台3の昇降動等の動作を実行、制御する制御装置7と、駐輪架台3の昇降動等の動作を指令する操作装置8と、から構成してある。
【0021】
支柱2は、図1乃至図5に示すように、垂直方向に延びる矩形状断面を呈する支柱本体21と、この支柱本体21の正面に連結したコ形状断面を呈する案内枠体22と、支柱本体21及び案内枠体22の下端に連結した基板23と、から構成される。
そして、前記基板23をボルト等により床面Gに堅固に固定することによって、支柱2を床面Gに垂直に立設してある。
【0022】
駐輪架台3は、図1乃至図5に示すように、水平方向に延びる架台本体31と、架台本体31の上方部に配設された保護柵体32と、前端部に配設された滑動体33と、後端部に配設された傾斜板34と、架台本体31の下方に配設された、水平方向に延びる作用杆35と、から構成してある。
【0023】
架台本体31は、図4及び図5に示すように、水平に配置した底板部31aと、その両側に立設した側板部31b,31bと、後端部の筒状を呈する連結部31c,31cと、から構成される。
【0024】
保護柵体32は、図3乃至図5に示すように、架台本体31の側板部31b,31bに下端部を固定され、所定高さの柵状を呈するように形成されたものであって、架台本体31に載置された自転車Bが左右に傾倒するのを防止する。
【0025】
滑動体33は、図1及び3に示すように、箱体状を呈する滑動本体33aと、その側面に配置した車輪33b,33b,・・・と、から構成される。
【0026】
傾斜板34は、図1乃至6に示すように、後端に向かって漸次拡幅させた平坦部34aと、その両側に立設した側板部34b,34bと、前端部の筒状を呈する連結部34c,34cと、から構成される。
【0027】
そして、図6に示すように、支軸34dにテンションバネ34eを巻き回し、テンションバネ34eの一端部を架台本体31の底板部31aの後端部に螺子等で固定し、他端部を傾斜板34の平坦部34aの前端部に螺子等で固定してある。
さらに、架台本体31の連結部31c,31cと傾斜板34の連結部34c,34cに支軸34dを挿通し、支軸34dの両端部をナットによって締結することによって、架台本体31の後端部に傾斜板34の前端部を弾力付勢した状態で連結してある。
【0028】
一方、傾斜板34の右側の側板部34bには、図6に示すように、当接片34fを固着してある。
【0029】
駐輪架台昇降機構4は、図1乃至図5に示すように、支柱2に沿って配設したチェーン41と、このチェーン41を巻き回すスプロケット42と、このスプロケット42を駆動する駆動モーター43と、から構成してある。
【0030】
前記チェーン41の一端部は前記滑動本体33aの上端部に連結部材41aを介して固定してあり、その他端部には重錘41bを固定してある。
【0031】
前記スプロケット42のボス部42aには駆動モーター43の駆動軸43aを連結してあり、駆動モーター43の作動によってスプロケット42が正逆回転し、チェーン41を上下移動できるようになっている。
そして、チェーン41の上下移動によって、滑動本体33aも案内枠体22に沿って上下移動し、よつて、駐輪架台3が昇降動するようになっている。
【0032】
駆動モーター43は、図7に示すように、電磁ブレーキ付モーターを採用し、駆動モーター43に電圧を印加しない時には、制動スプリングの作動によって、駆動軸43aは完全に固定され、回転しないようになっている。
【0033】
一方、駆動モーター43の後部筐体43bの適宜部所には開口部43cを穿設してあると共に、ブレーキライニング44に至る間隙部44a,44bを形成してある。
【0034】
よって、図8に示すような解除治具45を使用し、解除治具45の先端部45aを前記開口部43cから後部筐体43b内に挿入し、前記間隙部44a,44bの何れかを挿通させて、ブレーキライニング44に到達させることができる。
そして、解除治具45の先端部45aでブレーキライニング44の外周部を挟持し、図8(B)に示すように、矢印方向に捩じれば、ブレーキライニング44を駆動軸43aから離反させることができる。
【0035】
傾斜板回動機構5は、図1乃至図6に示すように、架台本体31に沿って右側に配設した作用杆51と、作用杆51の先端部に固定した溝付車52と、作用杆51の後端部に固定した当接車53と、作用杆51に水平方向に弾性力を付勢するスプリング54と、前記溝付車52を案内する誘導板55と、から構成してある。
【0036】
ここで、架台本体31の側面には、挿通孔56aを穿設した複数の支持部材56を適宜間隔で配設してあり、これら支持部材56の挿通孔56aに作用杆51を挿通させ、水平方向に摺動自在に支持してある。
【0037】
スプリング54は、一端を架台本体31の後側部に配設した支持部材56に当接させ、他端を作用杆51の後側部に固定した当接部材57に当接させてある。
【0038】
誘導板55は、前記支柱本体21の下端部の側面に固定してあり、その正面側輪郭を前記溝付車52に当接し、案内する案内軌道としてある。そして、この案内軌道は、下部から上部へと移行するに従って、後方軌道部55a、遷移軌道部55b、前方軌道部55cへと変化するようにしてある。
【0039】
よって、架台本体31が支柱2の最下位置に位置する場合には、溝付車52が誘導板55の後方軌道部55aに当接して、スプリング54の弾性力に抗して作用杆51を後方に摺動させる。
これによって、当接車53が前記当接片34fを後方に押圧し、支軸34dを中心として傾斜板34を後方に回動させ、図5に示すように、傾斜板34を架台本体31に対して所定角度下方に傾斜させる。
【0040】
次いで、架台本体31が支柱2の最下位置から上昇すれば、スプリング54の弾性力によって作用杆51は前方に摺動し、溝付車52が誘導板55の後方軌道部55a、遷移軌道部55bを通過して前方軌道部55cへと当接しつつ移動する。
これによって、テンションバネ34eの弾性力によって、支軸34dを中心として傾斜板34を上方及び前方に回動させ、図5に示すように、傾斜板34を架台本体31に対して略垂直に起立せる。
【0041】
被覆帯作動機構6は、図1に示すように、支柱2の案内枠体22の正面を被覆するように配設されたシート状の被覆帯61と、この被覆帯61を巻き取る巻取機構62と、から構成してある。
【0042】
被覆帯61は、合成繊維等から成るシート状体であって、下端部を滑動本体33aの上端部に固定してあり、上端部を巻取機構62の巻取ロール62aに固定してある。
【0043】
巻取機構62は、被覆帯61を巻き取る巻取ロール62aと、この巻取ロール62aに巻取方向に回転トルクを付勢する渦巻スプリング62bと、から構成される。
【0044】
これによって、滑動本体33aより上方の案内枠体22の正面は被覆帯61によって被覆され、支柱2に沿って配設したチェーン41は利用者には視認できなくなり、外見上スマートな印象を与えると共に、間違って利用者の手、腕がチェーン41に接触し、手、腕等を損傷することを防止することができる。
【0045】
制御装置7は、電動式駐輪装置1の架台本体31に配設した操作装置8、又は、電動式駐輪装置1の適宜部所に設置した検知装置9からの指令によって、駐輪架台3の昇降動等の動作を実行、制御する制御回路71と、その構成要素と、から構成される。
【0046】
操作装置8は、図2に示すように、架台本体31の後端部右側面に配設した操作ボックス80に配設され、電源キースイッチ81、下降ボタン82、上昇ボタン83、緊急停止ボタン84等の駐輪架台3を昇降動等する操作ボタン等から構成される。
【0047】
電源キースイッチ81は、専用のキー85によって開錠するものであって電源キースイッチ81を開錠すると、電動式駐輪装置1の電源はONになり、電源ランプ86が点灯するようになっている。
【0048】
下降ボタン82は、駐輪架台3を下降動させるための操作ボタンであって、これを押下すれば、下降ボタン82が点灯し、駐輪架台3が下降するようになっている。
【0049】
上昇ボタン83は、駐輪架台3を上昇動させるための操作ボタンであって、これを押下すれば、上昇ボタン83が点灯し、駐輪架台3が上昇するようになっている。
【0050】
緊急停止ボタン84は、駐輪架台3が上昇又は下降している際に、何等かの異常事態が発生した時に、このボタンを押下することによって、駐輪架台3を直ちに停止できるようになっている。
【0051】
検知装置9は、電動式駐輪装置1の適宜部所に設置してあるリミットスイッチ、センサー等から成るが、先ずは、図1及び3に示すように、支柱2の下端部に下限停止スイッチ91、上端部に上限停止スイッチ92を配置してある。
【0052】
これによって、滑動本体33aの下端面が下限停止スイッチ91に当接した時、駐輪架台3は最下位置で停止し、滑動本体33aの上端面が上限停止スイッチ92に当接した時、駐輪架台3は最上位置で停止するようになっている。
【0053】
次に、架台本体31の下方には、水平方向に延びる作用杆35が配設されているが、これについて説明する。
作用杆35は、図3図5又は図9に示すように、枠状を呈するものであって、架台本体31の底板部31aの下方に支持軸35aとスブリング35bを介して配設してある。
【0054】
そして、図9に示すように、作用杆35の底面にはゴム等の弾性体35cを固着し、側面には検知片35dを固定してある。
一方、架台本体31の底板部31aには反射型フォトセンサー等のセンサー93を配置してあり、センサー93と検知片35dとの距離が所定距離以下になった時に、センサー93はONになるように設定してある。
【0055】
これによって、架台本体31が下降動している際に、作用杆35に何等かの障害物又は子供等の身体が接触した場合には、作用杆35がスブリング35bの弾性力に抗して上方に移動し、センサー93がONになるから、直ちに、駐輪架台3を非常停止することができる。
【0056】
作用杆35に代えて、図1に示すように、架台本体31の底板部31aの底面に、水平方向に延びるテープスイッチ94を固着してもよい。
【0057】
テープスイッチ94は、図10に示すように、絶縁材94aを介在させて上下に導電板94b,94cを配置したものを外被材94dで被覆し、この外被材94dに突起部94eを形成したテープ状のものである。
そして、突起部94eを押圧すれば、上下の導電板94b,94cが接触するため、接点としての機能を果たすものである。
【0058】
これによって、架台本体31が下降動している際に、テープスイッチ94に何等かの障害物又は子供等の身体が接触した場合には、テープスイッチ94の接点が閉じ、ONになるから、直ちに、駐輪架台3を非常停止することができる。
【0059】
制御回路71は、図11に示すような電気回路から構成されているが、その構成要素を作動するリレー及びシーケンスプログラムは、スマートリレー装置として一体になっているものを使用している。そして、このスマートリレー装置は、図1に示すように、支柱2の上端部に配設した制御ボックス70に内蔵してある。
【0060】
ここで、スマートリレー装置は、安全性が高く、誤作動の少ない高性能リレーを採用しているから、安全性、機能性ともに優れるものである。
又、SDメモリカードスロットを装備しているため、SDメモリカードに制御回路71で実行するシーケンスプログラムを格納することができ、SDメモリカードを交換することによって、新規なシーケンスプログラムに変更することもできる。
【0061】
さらに、本発明の電動式駐輪装置1では、警報ブザー75を装備しており、警報ブザー75は、前記制御ボックス70に内蔵されている。
【0062】
本発明の電動式駐輪装置1は、以上のような構成であって、以下のように操作し、作動させ、使用することができる。
【0063】
電動式駐輪装置1を利用する者は、先ず、操作ボックス80に配設された電源キースイッチ81に専用のキー85を挿入し、回動して開錠する。
これによって、電源がONになって、電源ランプ86が点灯する。
【0064】
次に、下降ボタン82を押下すれば、下降ボタン82が点灯し、駆動モーター43が作動して、スプロケット42を正回転させ、駐輪架台3は下降を開始する。
【0065】
そして、駐輪架台3が下限停止スイッチ91に当接すると、駆動モーター43が停止して、駐輪架台3は最下位置で停止する。
【0066】
駐輪架台3が最下位置に到達した時には、傾斜板回動機構5によって傾斜板34が下方に回動し、図5に示すように、架台本体31に対して所定角度傾斜した状態となる。
よって、利用者は、自ら特別な操作をすることなく、傾斜板34に前輪を載せて自転車Bを駐輪架台3に載置することができる。
【0067】
そこで、利用者は、自転車Bの前輪を傾斜板34に載せ、次いで、自転車Bを前方に押し進めて、自転車Bを架台本体31に完全に載置する。
【0068】
次に、上昇ボタン83を押下すれば、上昇ボタン83が点灯し、駆動モーター43が作動して、スプロケット42を逆回転させ、駐輪架台3は上昇を開始する。
【0069】
駐輪架台3が上昇すると、傾斜板回動機構5によって傾斜板34が上方及び前方に回動して、図3に示すように、架台本体31に対して略垂直に起立した状態となる。
よって、利用者は、自ら特別な操作をすることなく、傾斜板34を略垂直に起立させることができ、自転車Bが駐輪架台3から脱落することを防止することができる。
【0070】
そして、駐輪架台3が上限停止スイッチ92に当接すると、駆動モーター43が停止して、駐輪架台3は最上位置で停止する。
この時、駆動モーター43は、電磁ブレーキ付モーターを採用しているから、停電等で電源がOFFになった際も、制動スプリングの作動によって、駆動軸43aは完全に固定され、回転しないようになっている。
【0071】
その後、利用者が電源キースイッチ81からキー85を離脱させ、閉錠すれば、電源がOFFになって、電源ランプ86は消灯する。
このようにして、自転車Bを駐輪架台3に駐車することができる。
【0072】
尚、駐輪架台3の下降又は上昇の動作時には、被覆帯作動機構6も作動するから、滑動本体33aより上方の案内枠体22の正面部分は被覆帯61によって被覆される。
よって、支柱2に沿って配設したチェーン41は利用者に視認できなくなり、外見上スマートな印象を与えると共に、間違って利用者の手、腕がチェーン41に接触し、手、腕等を損傷することを防止することができる。
【0073】
駐輪架台3が上昇又は下降している際に、何等かの異常事態が発生した時には、利用者は緊急停止ボタン84を押下することによって、直ちに駐輪架台3を停止することができるから、事故を未然に防止することができる。
【0074】
又、駐輪架台3が下降動している際に、作用杆35又はテープスイッチ94が何等かの障害物又は子供等の身体に接触した場合には、センサー93又はテープスイッチ94が作動して、直ちに駐輪架台3を非常停止することができると共に、警報ブザー75が鳴動するから、注意を喚起しつつ事故を未然に防止することができる。
【0075】
そして、本発明の電動式駐輪装置1では、センサー93又はテープスイッチ94が作動して、駐輪架台3を非常停止した後、所定時間、例えば2秒間、駆動モーター43を自動的に作動させ、駐輪架台3を上昇動させるようになっている。
これによって、駐輪架台3と床面Gとの間に挟まれて存在する障害物又は子供等に損傷を与えずに、取り出すことができる。
【0076】
又、駐輪架台3を最上位置から下降させ、又は最下位置から上昇させて、所定時間、例えば12秒間経過しても、下限停止スイッチ91又は上限停止スイッチ92に到達せず、移動を続けている場合には、何等かの異常事態が発生したと見做して、駆動モーター43を自動的に停止させ、警報ブザー75を鳴動するようにしてある。
これによって、利用者又は管理者が異常事態の発生の有無を確認することができる。
【0077】
異常事態の発生の有無を確認後、特に問題がなければ、利用者は、下降ボタン82、上昇ボタン83を押下して、通常通り、電動式駐輪装置1を使用することができる。
【0078】
本発明の電動式駐輪装置1は、図12に示すように、床面Gに設置した1電源系統によって複数装置を設置することができる。
図12に示すように、床面Gの一側端部に支柱102を立設し、この支柱102に電源ボックス103を配設する。そして、床面Gに直線状に配置した電源分配収納ラック104内に、所定間隔で電源分配コンセント105を配置する。
【0079】
この電源分配コンセント105に、各電動式駐輪装置1の電源プラグ106,106を接続すれば、1電源系統によって複数装置を設置し、使用することができる。
本実施例においては、全体構成を簡易にするため、1基の電源分配コンセント105に2基の電動式駐輪装置1の電源プラグ106,106を接続できるようにしてある。
【符号の説明】
【0080】
1 電動式駐輪装置
2 支柱
3 駐輪架台
31 架台本体
34 傾斜板
4 駐輪架台昇降機構
41 チェーン
42 スプロケット
43 駆動モーター
5 傾斜板回動機構
51 作用杆
52 溝付車
53 当接車
54 スプリング
55 誘導板
6 被覆帯作動機構
61 被覆帯
62 巻取機構
7 制御装置
75 警報ブザー
8 操作装置
G 床面
B 自転車
図1
図2
図3
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図5
図6
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図12