(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670344
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】電気自動車バッテリー用の直流充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20200309BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
H02J7/02 A
H02J7/00 P
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-105773(P2018-105773)
(22)【出願日】2018年6月1日
(65)【公開番号】特開2019-213304(P2019-213304A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2018年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】518193836
【氏名又は名称】薛 洛良
(73)【特許権者】
【識別番号】518193847
【氏名又は名称】薛 潺
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】薛 洛良
(72)【発明者】
【氏名】薛 潺
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−166794(JP,A)
【文献】
特開2001−314081(JP,A)
【文献】
実開平05−088154(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H02M 7/00 − 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車バッテリー用の直流充電システムであって、
配電変圧器と直流充電杭(charging pile)を備え、
前記配電変圧器は一次高圧側と二次低圧側を含み、前記直流充電杭(charging pile)は充電杭(charging pile)コントローラと降圧型高周波PWM整流フィルタ回路を含み、
前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路は、フィルタ、整流ブリッジ及びフィルタ回路を含み、前記フィルタはフィルタインダクタとエネルギー貯蔵コンデンサを含み、前記整流ブリッジは6つの整流ブリッジアームを含み、前記整流ブリッジアームはそれぞれ1つのスイッチトランジスタと1つのダイオードを直列接続してなり、前記フィルタ回路はフリーホイーリングダイオード、エネルギー貯蔵インダクタンス及びフィルタコンデンサを含み、
前記配電変圧器は、一次高圧側にユーティリティ中圧配電網が接続され、前記二次低圧側が前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路の入力端子に接続されて、前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路に給電し、前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路の出力端子は前記直流充電杭(charging pile)の充電インターフェースに接続され、
前記充電杭(charging pile)コントローラの出力端子は絶縁ドライブを介して前記スイッチトランジスタに接続され、前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路におけるスイッチトランジスタの導通と遮断を制御することを特徴とする電気自動車バッテリー用の直流充電システム。
【請求項2】
前記充電杭(charging pile)コントローラの出力端子は絶縁ドライブを介して前記スイッチトランジスタのグリッドに接続されることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車バッテリー用の直流充電システム。
【請求項3】
前記整流ブリッジの正出力端子は前記フリーホイーリングダイオードの陰極及び前記エネルギー貯蔵インダクタンスの一端に接続され、前記エネルギー貯蔵インダクタンスの他端は前記フィルタコンデンサの陽極に接続され、前記整流ブリッジの負出力端子は前記フリーホイーリングダイオードの陽極及び前記フィルタコンデンサの陰極に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車バッテリー用の直流充電システム。
【請求項4】
前記二次低圧側は少なくとも1つの三相二次巻線であることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車バッテリー用の直流充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリー急速充電の技術分野に関し、特に電気自動車バッテリー用の直流充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車バッテリーによる急速充電の要件を満たすために、直流充電装置の使用が必要である。従来、直流充電杭(charging pile)は、スイッチング電源により実現されるものであり、電子デバイスの性能による影響を受けて、単一のスイッチング電源の容量が小さくて、大容量バッテリーによる急速充電の要件を満足できないため、従来の直流充電杭(charging pile)は、複数のスイッチング電源を並列接続してなり、制御装置はバッテリーによる充電ニーズに応じて並列接続された各スイッチング電源に電力を割り当てる。スイッチング電源は、Boostで整流して、高周波変圧器を用いて入力と出力を電気的に絶縁させ、上記装置では、使用されているパワーデバイスや電子デバイスが多く、接線が複雑で、装置自体の損失が大きいことによって、コストの高騰を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、充電杭(charging pile)の構造と回路の複雑さを低下させて、装置自体の損失を低下させ、それによりコストを削減させる電気自動車バッテリー用の直流充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成させるために、本発明は下記技術案を提供する。
【0005】
配電変圧器と直流充電杭(charging pile)を備える電気自動車バッテリー用の直流充電システムであって、
前記配電変圧器は一次高圧側と二次低圧側を含み、前記直流充電杭(charging pile)は充電杭(charging pile)コントローラと降圧型高周波PWM整流フィルタ回路を含み、
前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路は、フィルタ、整流ブリッジ及びフィルタ回路を含み、前記フィルタはフィルタインダクタとエネルギー貯蔵コンデンサを含み、前記整流ブリッジは6つの整流ブリッジアームを含み、前記整流ブリッジアームはそれぞれ1つのスイッチトランジスタと1つのダイオードを直列接続してなり、前記フィルタ回路はフリーホイーリングダイオード、エネルギー貯蔵インダクタンス及びフィルタコンデンサを含み、
前記一次高圧側にユーティリティ中圧配電網が接続され、前記二次低圧側が前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路の入力端子に接続されて、前記降圧型高周波PWM整流回路に給電し、前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路の出力端子は前記直流充電杭(charging pile)の充電インターフェースに接続され、
前記整流ブリッジの正出力端子は前記フリーホイーリングダイオードの陰極及び前記エネルギー貯蔵インダクタンスの一端に接続され、前記エネルギー貯蔵インダクタンスの他端は前記フィルタコンデンサの陽極に接続され、前記整流ブリッジの負出力端子は前記フリーホイーリングダイオードの陽極及び前記フィルタコンデンサの陰極に接続され、
前記充電杭(charging pile)コントローラの出力端子は絶縁ドライブを介して前記スイッチトランジスタに接続され、前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路におけるスイッチトランジスタの導通と遮断を制御する。
【0006】
好ましくは、前記充電杭(charging pile)コントローラの出力端子は前記スイッチトランジスタのグリッドに接続される。
【0007】
好ましくは、前記二次低圧側は少なくとも1つの三相二次巻線である。
【0008】
好ましくは、前記三相二次巻線の低圧側電圧は非公称電圧値である。
【発明の効果】
【0009】
本発明による実施例によれば、本発明は以下の技術的効果を開示する。
本発明は、配電変圧器と降圧型高周波PWM整流フィルタ回路を組み合わせることで、スイッチング電源の高周波変圧器を使用せずに済み、部品の点数を減少させ、充電装置への投資を削減させる。降圧型高周波PWM整流回路は、入力電圧が高く、スイッチトランジスタ、ダイオード回路の電流を減少させ、装置自体の損失を減少させる、電気自動車バッテリー用の直流充電システムを提供する。さらにバック(Buck)整流回路を並列接続することで容量を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施例又は従来技術による技術案をより明瞭に説明するために、以下は実施例に使用される図面を簡単に説明するが、勿論、以下に説明する図面は本発明の一部の実施例を説明するものに過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これら図面に基づいて他の図面を想到し得る。
【
図1】本発明の実施例による電気自動車バッテリー用の直流充電システムの原理構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明瞭且つ完全に説明するが、勿論、説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力を必要とせずに想到し得るすべてのほかの実施例は本発明の保護範囲に属する。
【0012】
本発明の目的は、充電杭(charging pile)の構造と回路の複雑さを低下させ、装置自体の損失を低下させ、それによりコストを削減させる電気自動車バッテリー用の直流充電システムを提供することである。
【0013】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明らかに且つ理解しやすくするために、以下、図面と実施形態にて本発明について更に詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例による電気自動車バッテリー用の直流充電システムの原理構造図である。
図1に示されるように、電気自動車バッテリー用の直流充電システムは、配電変圧器と直流充電杭(charging pile)を備え、
前記配電変圧器1は、一次高圧側11と二次低圧側12を含み、前記直流充電杭(charging pile)は充電杭(charging pile)コントローラと降圧型高周波PWM整流フィルタ回路を含み、
前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路は、フィルタ、整流ブリッジ及びフィルタ回路を含み、前記フィルタはフィルタインダクタL1、L2、L3とエネルギー貯蔵コンデンサC1、C2、C3を含み、前記整流ブリッジは6つの整流ブリッジアームを含み、前記整流ブリッジアームはそれぞれ1つのスイッチトランジスタと1つの整流ダイオードを直列接続してなり、前記フィルタ回路はフリーホイーリングダイオードD7、エネルギー貯蔵インダクタンスL4及びフィルタコンデンサC4を含み、
前記一次高圧側11にユーティリティ中圧配電網が接続され、前記二次低圧側12が前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路の入力端子に接続されて、前記降圧型高周波PWM整流回路に給電し、前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路の出力端子は前記直流充電杭(charging pile)の充電インターフェースに接続され、
前記整流ブリッジの正出力端子は前記フリーホイーリングダイオードD7の陰極及び前記エネルギー貯蔵インダクタンスL4の一端に接続され、前記エネルギー貯蔵インダクタンスL4の他端は前記フィルタコンデンサC4の陽極に接続され、前記整流ブリッジの負出力端子は前記フリーホイーリングダイオードD7の陽極及び前記フィルタコンデンサC4の陰極に接続され、
前記充電杭(charging pile)コントローラの出力端子は絶縁ドライブ回路を介して前記スイッチトランジスタV1、V2、V3、V4、V5、V6に接続され、前記降圧型高周波PWM整流フィルタ回路におけるスイッチトランジスタV1、V2、V3、V4、V5、V6の導通と遮断を制御する。
【0015】
前記充電杭(charging pile)コントローラの出力端子は絶縁ドライブを介して前記スイッチトランジスタV1、V2、V3、V4、V5、V6のグリッドに接続される。
【0016】
前記二次低圧側12は少なくとも1つの三相二次巻線である。
【0017】
前記三相二次巻線の低圧側電圧は非公称電圧値である。
【0018】
実施形態1
前記配電変圧器の二次低圧側12は1つの三相二次巻線として設置され、直流充電杭(charging pile)は複数設置され、二次低圧側12の出力する非公称電圧値は電池充電要件、力率制御要件、送電網電圧が15%変動するという要件を同時に満たし、充電杭(charging pile)コントローラの出力する変調波はスイッチトランジスタV1、V2、V3、V4、V5、V6のグリッドを制御し、PWM変調により整流回路の出力電流の大きさと入力力率を制御し、フィルタ回路は電流リップルが電気自動車バッテリーの充電ニーズを満たすようにする。具体的に、充電杭(charging pile)コントローラは、バッテリーの充電ストラテジー及び力率制御要件に基づいて搬送波のパルス幅を変調させて、整流回路におけるスイッチトランジスタV1、V2、V3、V4、V5、V6の導通と遮断を制御し、直流充電システム装置全体は出力端子U1によって電気自動車バッテリーを充電する。
【0019】
実施形態2
本実施形態では、前記配電変圧器の二次低圧側12に複数の三相二次巻線が設置され、直流充電杭(charging pile)の数が三相二次巻線の数と同じである以外、残りは実施形態1と同様である。
【0020】
本発明は、降圧型(Buck)高周波PWM整流装置と専用配電変圧器1を組み合わせるものであり、配電変圧器は、低圧側電圧が非公称電圧値であり、降圧型(Buck)高周波PWM整流装置に給電し、その電圧値が電池充電要件、力率制御要件、送電網電圧が15%変動するという要件を同時に満たし、配電変圧器の低圧側での電流を整流フィルタリングした後に充電電流を出力し、このように、スイッチング電源の高周波変圧器を使用せずに済み、部品の点数を減少させて、充電装置への投資を削減させ、(Buck)高周波PWM整流回路の入力電圧が高く、同じ電力によりスイッチトランジスタ、ダイオード回路の電流を減少させて、装置自体の損失を減少させ、且つバック(Buck)整流回路を並列接続することで容量を拡大させて、充電杭(charging pile)の構造と回路の複雑さを低下させ、充電杭(charging pile)を建設するための投資を減少できる。
【0021】
本明細書は、具体例によって本発明の原理及び実施形態について説明したが、以上の実施例の説明は本発明の方法及びその主旨を理解しやすくするために過ぎず、また、当業者であれば、本発明の構想に基づいて、実施形態及び応用範囲について変化することができる。前記のとおり、本明細書の内容は本発明を制限するものではない。