(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学系は、光軸上に配設された偏光板と、偏光ビームスプリッタと、1/4波長板とを具備し、前記偏光板と前記偏光ビームスプリッタと前記1/4波長板とを介して前記ピボット部に照明光を照射し、該ピボット部で反射された前記パターン像を前記1/4波長板と前記偏光ビームスプリッタとを介して前記受光素子に受光させる請求項1の傾斜検出装置。
前記偏光板は前記偏光ビームスプリッタの入射面に形成された偏光膜であり、前記1/4波長板は前記偏光ビームスプリッタの射出面に形成された1/4波長膜である請求項2の傾斜検出装置。
傾動可能に設けられ、レーザ光線を水平方向に偏向し回転照射するレーザ投光器と、該レーザ投光器を傾斜させる傾斜部と、前記レーザ投光器の目標傾斜角を設定する傾斜設定部とを具備する回転レーザ装置であって、前記傾斜設定部は前記レーザ投光器の軸心と直交するベースプレートと、該ベースプレートに設けられた請求項1〜請求項3のいずれかに記載の傾斜検出装置と、該傾斜検出装置の水平を検出する傾斜検出器とを具備することを特徴とする回転レーザ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる実情に鑑み、装置の小型化を図る傾斜検出装置及び回転レーザ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、固定部と傾動基板とがピボット部を介して相対回転可能に設けられ、前記固定部と前記傾動基板のいずれか一方が前記ピボット部と一体に構成され、前記固定部と前記傾動基板のうち、前記ピボット部に対して相対回転する側に設けられた傾斜検出部と、前記ピボット部に形成された角度検出パターンとを具備し、前記傾斜検出部は前記ピボット部に照明光を照射する光源と、前記ピボット部で反射された照明光を受光する受光素子と、該受光素子にパターン像を投影する光学系と、前記ピボット部が回転した場合の、前記受光素子に投影され
た前記パターン
像に基づき前記ピボット部の回転を検出する演算部とを具備する傾斜検出装置に係るものである。
【0007】
又本発明は、前記光学系は、光軸上に配設された偏光板と、偏光ビームスプリッタと、1/4波長板とを具備し、前記偏光板と前記偏光ビームスプリッタと前記1/4波長板とを介して前記ピボット部に照明光を照射し、該ピボット部で反射された前記パターン像を前記1/4波長板と前記偏光ビームスプリッタとを介して前記受光素子に受光させる傾斜検出装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記偏光板は前記偏光ビームスプリッタの入射面に形成された偏光膜であり、前記1/4波長板は前記偏光ビームスプリッタの射出面に形成された1/4波長膜である傾斜検出装置に係るものである。
【0009】
更に又本発明は、傾動可能に設けられ、レーザ光線を水平方向に偏向し回転照射するレーザ投光器と、該レーザ投光器を傾斜させる傾斜部と、前記レーザ投光器の目標傾斜角を設定する傾斜設定部とを具備する回転レーザ装置であって、前記傾斜設定部は前記レーザ投光器の軸心と直交するベースプレートと、該ベースプレートに対してピボット部を介して傾動可能に設けられた傾動基板と、該傾動基板に設けられ、該傾動基板の水平を検出する傾斜検出器と、前記ピボット部に形成された角度検出パターンと、前記傾動基板に設けられた前記傾斜検出部とを具備する回転レーザ装置に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、固定部と傾動基板とがピボット部を介して相対回転可能に設けられ、前記固定部と前記傾動基板のいずれか一方が前記ピボット部と一体に構成され、前記固定部と前記傾動基板のうち、前記ピボット部に対して相対回転する側に設けられた傾斜検出部と、前記ピボット部に形成された角度検出パターンとを具備し、前記傾斜検出部は前記ピボット部に照明光を照射する光源と、前記ピボット部で反射された照明光を受光する受光素子と、該受光素子にパターン像を投影する光学系と、前記ピボット部が回転した場合の、前記受光素子に投影され
た前記パターン
像に基づき前記ピボット部の回転を検出する演算部とを具備するので、前記傾動基板の移動量に比べて前記角度検出パターンの移動量は僅かであり、前記パターン像を受光する前記受光素子を小さくすることができ、小型化及びコストの削減が図れると共に、前記傾動基板の傾斜角を高精度に検出することができる。
【0011】
又本発明によれば、前記光学系は、光軸上に配設された偏光板と、偏光ビームスプリッタと、1/4波長板とを具備し、前記偏光板と前記偏光ビームスプリッタと前記1/4波長板とを介して前記ピボット部に照明光を照射し、該ピボット部で反射された前記パターン像を前記1/4波長板と前記偏光ビームスプリッタとを介して前記受光素子に受光させるので、前記パターン像が前記光源側に反射されることがなく、又該光源からの照明光が前記受光素子に受光されることがなく、前記傾動基板の傾斜検出動作を安定させることができる。
【0012】
又本発明によれば、前記偏光板は前記偏光ビームスプリッタの入射面に形成された偏光膜であり、前記1/4波長板は前記偏光ビームスプリッタの射出面に形成された1/4波長膜であるので、部品点数が削減され、より小型化することができる。
【0013】
更に又本発明によれば、傾動可能に設けられ、レーザ光線を水平方向に偏向し回転照射するレーザ投光器と、該レーザ投光器を傾斜させる傾斜部と、前記レーザ投光器の目標傾斜角を設定する傾斜設定部とを具備する回転レーザ装置であって、前記傾斜設定部は前記レーザ投光器の軸心と直交するベースプレートと、該ベースプレートに対してピボット部を介して傾動可能に設けられた傾動基板と、該傾動基板に設けられ、該傾動基板の水平を検出する傾斜検出器と、前記ピボット部に形成された角度検出パターンと、前記傾動基板に設けられた前記傾斜検出部とを具備するので、前記傾動基板の傾斜を検出する為の機構を設ける必要がなく、部品点数が削減され、小型化を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0016】
先ず、
図1に於いて、本発明の第1の実施例に係る傾斜検出装置について説明する。
【0017】
図1中、1は固定部としてのベースプレートであり、
図1中では該ベースプレート1の一部を示している。2は可動部としての傾動基板であり、該傾動基板2は前記ベースプレート1に対して傾斜可能であり、
図1中では前記傾動基板2の一部を示している。該傾動基板2はピボット部3と一体に回転する様設けられ、前記ベースプレート1に対して相対的に傾動可能となっている。
【0018】
前記ピボット部3は球体であり、前記ベースプレート1には孔が設けられている。該孔の周面は前記ピボット部3が嵌合する様球面となっており、前記孔は前記ピボット部3の球面座4となっている。又、前記ピボット部3は、前記球面座4に回転自在に嵌合し、前記傾動基板2は前記ピボット部3を支点として回転する。又、該ピボット部3は前記球面座4に嵌合された際に下部の一部が下方に露出する様になっている。
【0019】
前記傾斜検出装置は、前記ベースプレート1と前記ピボット部3との間の相対的な傾斜を検出するものであり、前記傾斜検出装置は前記ベースプレート1に設けられた傾斜検出部5及び前記ピボット部3に形成された角度検出パターン6により構成される。
【0020】
以下、前記傾斜検出部5について説明する。
【0021】
鉛直上方に照明光を発する光源7、例えばLEDが設けられ、該光源7の投光光軸8上に投光レンズ9、偏光板11、偏光ビームスプリッタ12、1/4波長板13、集光レンズ14、前記角度検出パターン6が配設されている。又、前記投光光軸8は、前記ピボット部3の中心を通過する様に設定されている。
【0022】
前記偏光板11は、例えば前記光源7より射出された照明光を、例えばP偏光の照明光とするものであり、前記偏光ビームスプリッタ12は、例えばP偏光の光を透過させ、S偏光の光を反射させる偏光特性を有している。
【0023】
前記光源7、前記投光レンズ9、前記偏光板11、前記偏光ビームスプリッタ12、前記1/4波長板13、前記集光レンズ14は投光光学系15を構成する。
【0024】
前記偏光ビームスプリッタ12の反射光軸16上には、結像レンズ17、2次元センサである受光素子18が配設されている。該受光素子18は、例えば画素の集合体であるプロファイルセンサが用いられる。
【0025】
該プロファイルセンサは、画素がマトリクス状に配列され、直交する2方向(X方向、Y方向)の各列分の画素の情報のみによりプロファイルセンサ内での対象物の位置を検出することができる。従って、プロファイルセンサでは、全画素の情報を取得することなく簡便にプロファイルセンサ内での対象物の位置を検出することができる。
【0026】
尚、前記受光素子18として、CCD、CMOSセンサを用い、全画素の情報を取得し、前記受光素子18上での対象物の位置を検出してもよい。
【0027】
該受光素子18は、受光信号を演算部19に出力し、該演算部19は受光信号に基づき対象物の位置を演算し、又対象物の位置の変位、変位方向を演算し、演算結果に基づき前記傾動基板2の傾斜角、傾斜方向を検出する。
【0028】
前記集光レンズ14、前記1/4波長板13、前記偏光ビームスプリッタ12、前記結像レンズ17、前記受光素子18は受光光学系21を構成する。又、前記偏光板11と前記1/4波長板13とで光アイソレータが構成される。
【0029】
次に、前記角度検出パターン6について説明する。該角度検出パターン6は、印刷、或は刻印等所要の方法で前記ピボット部3の下面に形成される。
【0030】
前記角度検出パターン6は、例えば
図2に示される様に、格子状にランド22が配置されている。各ランド22はX方向、Y方向の各方向で寸法がそれぞれ異なっており、前記角度検出パターン6はX方向、Y方向の2次元の情報を含む様に構成されている。
【0031】
前記光源7から射出された照明光は、前記投光レンズ9により平行光束とされ、前記偏光板11を通過する過程で例えばP偏光とされ、前記偏光ビームスプリッタ12を透過する。該偏光ビームスプリッタ12を透過した照明光は、前記1/4波長板13を通過し、前記集光レンズ14により集光され、前記ピボット部3の下面、即ち前記角度検出パターン6に入射する。
【0032】
前記ピボット部3の下面で反射された反射光、即ち前記角度検出パターン6のパターン像は、前記1/4波長板13を再度通過し、前記偏光ビームスプリッタ12で反射される。照明光が前記1/4波長板13を2度通過することで、P偏光からS偏光に変更される。
【0033】
S偏光の照明光が、前記偏光ビームスプリッタ12で反射され、前記結像レンズ17によって前記受光素子18に集光される。従って、前記集光レンズ14、前記結像レンズ17は、前記角度検出パターン6を前記受光素子18に投影させる為の結像レンズとして機能する。
【0034】
尚、前記結像レンズ17として、半球状のレンズ等、倍率の大きいレンズを用い、前記結像レンズ17単体で前記受光素子18上に結像させる屈折力とすることで、前記集光レンズ14を省略することができる。
【0035】
前記傾動基板2が傾動し、前記ピボット部3が前記傾斜検出部5に対して相対回転することで、前記角度検出パターン6は、前記ベースプレート1、即ち前記傾斜検出部5に対して相対的に変位する。前記角度検出パターン6が変位することで、前記受光素子18に受光される前記角度検出パターン6のパターン像の投影位置が変化する。前記演算部19は、前記受光素子18からの受光信号に基づき投影位置の変位を演算し、演算結果に基づき、前記傾動基板2の傾斜を検出することができる。
【0036】
尚、該傾動基板2の傾斜は、傾斜前の前記受光素子18上のパターン像の位置に対する、傾斜後の前記受光素子18上のパターン像の位置の移動量や移動方向を基に検出してもよい。又、前記受光素子18上に座標系と原点を設定し、座標系の原点に対する前記受光素子18上のパターン像の位置を基に前記傾動基板2の傾斜を検出してもよい。
【0037】
前記ピボット部3は回転方向に規制はなく、XYの2方向に自在に回転し、又前記受光素子18は前記角度検出パターン6の2次元の変位を検出可能であるので、前記傾斜検出装置に於ける傾斜方向は、X方向、Y方向、更にXYの複合方向をそれぞれ検出可能である。
【0038】
可動部、即ち前記傾動基板2に該傾動基板2を傾動させる為の駆動部を設けることで、前記傾斜検出装置の傾斜検出結果に基づき、前記駆動部により前記傾動基板2を任意の傾斜角に傾斜させることができる。
【0039】
図3は、本発明の第2の実施例に係る傾斜検出装置を示している。尚、
図3中、
図1中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図3に示される傾斜検出装置では、ピボット部3が固定側に設けられている。該ピボット部3は固定部としての支柱23と一体になっている。傾動基板2は前記ピボット部3を支点とし、該ピボット部3に対して水平2方向に相対回転可能となっている。
【0041】
傾斜検出部5は、前記傾動基板2側に設けられ、該傾動基板2と前記傾斜検出部5とは一体に構成されている。従って、該傾斜検出部5は前記ピボット部3に対して相対回転可能に設けられている。前記傾動基板2を傾動させることで、該傾動基板2と前記傾斜検出部5とが前記ピボット部3に対して一体に傾動する。
【0042】
前記ピボット部3に角度検出パターン6が形成される。又、前記傾動基板2が固定部との間で相対回転すると、前記ピボット部3が前記傾斜検出部5に対して相対回転することは、第1の実施例と同様である。前記傾動基板2と前記傾斜検出部5とが一体に傾動するので、前記角度検出パターン6が前記傾斜検出部5に対して相対的に回転し、又相対的に変位する。
【0043】
図1と同様に、光源7より照明光が投光光学系15を介して前記角度検出パターン6に照射され、該角度検出パターン6のパターン像は受光光学系21を介して受光素子18に投影される。
【0044】
従って、前記角度検出パターン6が前記受光素子18に対して変位し、該受光素子18に対する前記角度検出パターン6の変位を基に、前記傾動基板2の傾斜を検出することができる。
【0045】
可動部、即ち前記傾動基板2に該傾動基板2を傾動させる為の駆動部を設けることで、前記傾斜検出装置の傾斜検出結果に基づき、前記駆動部により前記傾動基板2を任意の傾斜角に傾斜させることができる。
【0046】
図4、
図5に於いて、前記傾斜検出装置が適用される測量機の一例を説明する。
図4、
図5中、
図3中で示したものと同等のものには同符号を付している。又、以下の説明では、測量機として回転レーザ装置24を例示し、該回転レーザ装置24の傾斜設定部に前記傾斜検出装置を設けた場合について説明する。
【0047】
尚、前記回転レーザ装置24では、傾動基板2が可動側となっており、傾斜検出部5は傾動基板2に設けられている。
【0048】
ケーシング25の中央に切頭円錐形の凹部26が形成され、該凹部26の中央に支持座27が形成されている。該支持座27は、前記凹部26に円形の貫通孔28を穿設し、該貫通孔28の内周を3等分した位置に滑らかに隆起させた突起29を形成したものである。
【0049】
前記貫通孔28に照明光を発するレーザ投光器31が挿入され、該レーザ投光器31の頭部32が前記支持座27に支持される。前記頭部32は下部が球面形状の球面部32aとなっており、該球面部32aが前記突起29に摺動自在に当接することで、前記レーザ投光器31が垂線に対して傾動自在に支持される。
【0050】
前記頭部32に水平方向に延出するモータ座33を設け、該モータ座33には走査モータ34が設けられている。該走査モータ34の出力軸にはギア35が嵌着され、該ギア35は走査ギア36(後述)に噛合している。
【0051】
前記頭部32には、軸受け37を介してプリズム保持体38が回転自在に設けられ、該プリズム保持体38の軸心は前記レーザ投光器31の軸心と合致している。前記プリズム保持体38には前記走査ギア36が嵌着され、該走査ギア36は前記ギア35に噛合される。前記走査モータ34により前記プリズム保持体38が垂直軸心を中心に回転される様になっており、該プリズム保持体38、前記走査ギア36等により回動部39が構成される。又、前記プリズム保持体38にはペンタプリズム41が設けられ、前記レーザ投光器31から発せられる照明光を投光窓42を通して水平方向に偏向して射出する様になっている。
【0052】
又、前記レーザ投光器31の下端に、該レーザ投光器31の軸心と直交する略直角三角形状のベースプレート43が固着されている。該ベースプレート43の直角頂部近傍には前記支柱23が立設され、該支柱23の上端に前記ピボット部3が固着されている。
【0053】
前記ベースプレート43の上方に直角L字状の前記傾動基板2が配置され、該傾動基板2の裏面L字状の頂部に円錐状の球面座44が形成される。該球面座44に前記ピボット部3が嵌合され、前記支柱23は前記ピボット部3を介して前記傾動基板2の頂部を支承し、該傾動基板2は前記ピボット部3を中心にピボット運動が可能となっている。
【0054】
又、前記傾動基板2の前記ピボット部3の直上には前記傾斜検出部5が設けられている。該傾斜検出部5は、前記傾動基板2と一体に傾動し、前記ピボット部3の上面に形成された前記角度検出パターン6に対して相対的に傾動する様になっている。
【0055】
又、前記傾動基板2には、水平を検知する傾斜検出器である気泡管45,46が直角に交差する様に設けられる。該気泡管45,46は、静電容量検出型の電気気泡管であり、水平面を基準として傾斜角度に対応した電気信号を出力するものである。
【0056】
尚、前記ベースプレート43、前記傾動基板2、前記傾斜検出部5、前記気泡管45,46、前記角度検出パターン6により、傾斜設定部が構成される。
【0057】
更に、前記傾動基板2と前記ベースプレート43との間にスプリング47が設けられ、前記球面座44を前記ピボット部3に押圧すると共に、前記傾動基板2を
図3中時計回り方向に付勢する。
【0058】
軸受板48が前記レーザ投光器31の中途部に配設され、前記軸受板48は前記レーザ投光器31より水平方向に突出する。前記ベースプレート43の前記支柱23を頂点とする三角形を形成する位置に、傾動螺子49,51が回転自在に立設され、該傾動螺子49,51の上端は前記軸受板48にそれぞれ回転自在に支承されている。
【0059】
前記傾動螺子49の下端部は前記ベースプレート43より下方に突出し、前記傾動螺子49の突出した下端部に傾動ギア52が嵌着され、該傾動ギア52は後述する傾動ギア53に噛合する。同様に、前記傾動螺子51の下端部は前記ベースプレート43より下方に突出し、前記傾動螺子51の突出する端部に傾動ギア54が嵌着され、該傾動ギア54は後述する傾動ギア55に噛合する。
【0060】
前記傾動螺子49に傾動ナット56が螺合され、該傾動ナット56には断面円形状のナットピン57が水平方向に突設される。前記傾動基板2の前記傾動螺子49側端面より傾動ピン58が突設され、該傾動ピン58は前記ナットピン57と当接する。更に、前記ベースプレート43と前記軸受板48との間に平行な2本のガイドピン59が掛渡されている。該ガイドピン59により前記傾動ピン58を摺動自在に挾持し、前記傾動基板2の水平方向の回転を規制し、且つ前記傾動ピン58の上下方向、及び該傾動ピン58の軸心を中心とする回転を許容する。
【0061】
又、前記傾動螺子51に傾動ナット61が螺合され、該傾動ナット61には断面円形状のナットピン62が突設される。前記傾動基板2の前記傾動螺子51側端面より傾動ピン63が突設され、該傾動ピン63は前記ナットピン62と当接する。
【0062】
前記ベースプレート43の下面に脚柱64を垂設し、該脚柱64を介してモータベース65を固着する。該モータベース65の上面にはパルスモータである傾斜角設定モータ66,67を設け、該傾斜角設定モータ66の出力軸には前記傾動ギア53を嵌着し、前記傾斜角設定モータ67の出力軸には前記傾動ギア55を嵌着し、それぞれ前記傾動ギア52,54に噛合させる。
【0063】
次に、前記レーザ投光器31を傾斜させる傾斜部について説明する。
【0064】
該レーザ投光器31の前記頭部32から水平方向に傾動アーム68,69を直交させて延出する。尚、
図4中では、該傾動アーム68のみを図示し、前記傾動アーム69の図示を省略している。前記傾動アーム68,69は前記凹部26の円錐面を貫通し、前記ケーシング25の内部に位置し、先端に係合ピン71,72が突設される。尚、
図4中では、該係合ピン71のみを図示し、前記係合ピン72の図示を省略している。
【0065】
前記係合ピン71,72は円柱形状であり、該係合ピン71,72の軸心は相互に直交し、前記球面部32aの求心を通る平面内に含まれる様位置関係を決定する。又、前記係合ピン71,72のいずれか一方、例えば該係合ピン71については、水平方向の移動を規制し、上下方向にのみ移動可能とする。
【0066】
前記ケーシング25の内壁に棚板73,74を設け、該棚板73に傾斜モータ75を設け、前記棚板74に傾斜モータ76(図示せず)を設け、前記傾斜モータ75の回転軸に駆動ギア77を嵌着し、前記傾斜モータ76の回転軸に駆動ギア78(図示せず)を嵌着する。
【0067】
前記係合ピン71に直交するスクリューシャフト79が前記ケーシング25の天井部と前記棚板73とに掛渡って設けられている。前記スクリューシャフト79には被動ギア81が嵌着され、該被動ギア81には前記駆動ギア77が噛合される。前記スクリューシャフト79にスライドナット82を螺合し、該スライドナット82にピン83を突設し、該ピン83と前記係合ピン71とを摺動自在に当接させる。
【0068】
同様に、前記係合ピン72に直交するスクリューシャフト(図示せず)を前記ケーシング25の天井部と前記棚板74とに掛渡って設け、前記スクリューシャフトに前記駆動ギア78と噛合する被動ギア(図示せず)を嵌着する。又、前記スクリューシャフトにピン(図示せず)を突設したスライドナット(図示せず)を螺合し、前記ピンと前記係合ピン72とを摺動自在に当接させる。
【0069】
前記ケーシング25の天井部、及び2本のスクリューシャフトとの間にスプリング受け84を設け、該スプリング受け84と前記レーザ投光器31との間にスプリング85を張設する。該スプリング85は、前記レーザ投光器31を
図4中前記支持座27を中心に時計回り方向に付勢する。
【0070】
尚、
図4中、86は前記回転レーザ装置24を駆動する為の電池を収納する電池ボックスである。又、上記した前記回転レーザ装置24の本体部87は、レベル出しボルト88を介して図示しない三脚に設けられる。更に、89は前記プリズム保持体38の周囲を囲繞するガラス窓となっている。
【0071】
次に、前記回転レーザ装置24に於いて、前記レーザ投光器31から射出させる照明光の投光方向を傾斜させる場合について説明する。
【0072】
先ず、前記傾斜検出部5の検出結果に基づき前記傾動基板2と前記ベースプレート43との相対的な傾斜を0とする。即ち、前記傾動基板2と前記ベースプレート43とを平行にする。この時、前記傾斜検出部5の前記光源7より射出され、前記角度検出パターン6で反射された照明光により得られるパターン像の投影位置は、前記受光素子18の原点、例えば中心となっており、前記レーザ投光器31の軸心は前記傾動基板2と直交している。
【0073】
次に、前記気泡管45,46の検知結果に基づき、前記傾斜モータ75,76を駆動させ、前記レーザ投光器31を傾動させる。該レーザ投光器31を傾動させることで、前記気泡管45,46が水平を検知する状態にし、前記レーザ投光器31の整準を行う。この状態で、該レーザ投光器31は鉛直(該レーザ投光器31の軸心は鉛直)となる。
【0074】
前記レーザ投光器31の整準後、入力された傾斜値に基づき前記傾動基板2を傾斜させる。例えば、前記傾斜角設定モータ66を前記傾斜値に対応するステップ数で駆動し、前記傾動基板2を前記レーザ投光器31を傾斜させたい方向と逆の方向に所望の角度だけ傾斜させる。前記傾動基板2が傾斜することで、前記傾斜検出部5が前記ピボット部3に対して相対的に回転するので、前記受光素子18に投影されるパターン像が移動し、該パターン像の位置に基づき前記傾動基板2の傾斜角を検出することができる。
【0075】
前記傾動基板2を傾斜させた後、前記傾斜モータ75を駆動させ、前記気泡管45,46が水平を検出する迄、前記レーザ投光器31を傾斜させたい方向に傾斜させる。この時、前記傾斜検出部5と前記ピボット部3とが一体に傾斜するので、前記傾斜検出部5による前記傾動基板2の傾斜検出結果が維持される。
【0076】
前記気泡管45,46が水平を検出することで、前記レーザ投光器31の傾斜設定が完了し、照明光の投光方向の傾斜設定が完了する。この状態で、前記走査モータ34により前記プリズム保持体38を介して前記ペンタプリズム41を回転させることで、所定方向に所望の角度傾斜した基準面を形成することができる。
【0077】
上述の様に、本実施例では、前記傾動基板2が傾動する際の支点となる前記ピボット部3に前記角度検出パターン6を形成し、前記傾斜検出装置に対する前記角度検出パターン6の相対的な移動量に基づき、前記傾動基板2の傾斜角を検出可能となっている。
【0078】
従って、前記角度検出パターン6の移動量は、前記傾動基板2の先端側の移動量よりも大幅に小さくなるので、該傾動基板2の移動量を直接検出する場合と比べて、前記角度検出パターン6のパターン像を受光する為の前記受光素子18を小さくすることができ、製作コストの低減を図ることができる。
【0079】
又、前記角度検出パターン6のパターン像の投影位置に基づき前記傾動基板2の傾斜角を検出するので、従来のエンコーダの様に、高精度化の為に大型化する必要がなく、前記傾斜検出装置の小型化を図ることができると共に、傾斜を高精度に検出することができる。
【0080】
又、前記ピボット部3に印刷、刻印、露光等により前記角度検出パターン6を形成し、該角度検出パターン6で反射されたパターン像の前記受光素子18上の受光位置を検出するだけであるので、傾斜を検出する為の機構を別途設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0081】
又、前記角度検出パターン6は、球状物体に印刷、刻印等により形成される為、環境温度変化時の伸縮も略点対称となり、誤差も極小化することが可能である。
【0082】
又、前記偏光板11と前記1/4波長板13とで光アイソレータを形成しているので、特定の偏光方向の反射光のみが前記受光素子18に受光され、光量の減少が抑制され、充分な光量でパターン像を検出でき、前記傾斜検出装置の傾斜検出精度をより高めることができる。
【0083】
又、前記偏光ビームスプリッタ12により、前記角度検出パターン6で反射されたパターン像を全反射するので、前記パターン像が前記偏光ビームスプリッタ12を透過して前記光源7側に到達することがなく、又該光源7からの照明光が前記受光素子18に受光されることがなく、前記傾斜検出装置の動作を安定させることができる。
【0084】
又、前記投光光軸8上に前記集光レンズ14を設け、前記投光レンズ9により平行光束とされた照明光を前記角度検出パターン6に対して集光しているので、前記偏光板11を通過する過程で光強度が減少した場合であっても、十分な光強度を有する前記角度検出パターン6のパターン像を前記受光素子18に投影することができる。
【0085】
尚、本実施例では、前記投光光軸8上に前記偏光板11と前記1/4波長板13とを設け、前記偏光板11と前記1/4波長板13とで光アイソレータを形成しているが、前記偏光ビームスプリッタ12の入射面に例えばP偏光の光のみを透過させる偏光特性を有する偏光膜を蒸着し、前記偏光ビームスプリッタ12の射出面に1/4波長膜を蒸着し、前記偏光ビームスプリッタ12単体で光アイソレータを形成する様にしてもよい。この場合、前記偏光板11と前記1/4波長板13とを省略することができ、前記傾斜検出装置をより小型化することができる。
【0086】
又、S/N比が特に問題とならない場合は、光アイソレータを省略することもできる。