特許第6670367号(P6670367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670367
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】エスプレッソミルク泡立て器
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
   A47J31/44 420
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-220093(P2018-220093)
(22)【出願日】2018年11月26日
(62)【分割の表示】特願2016-506728(P2016-506728)の分割
【原出願日】2014年4月10日
(65)【公開番号】特開2019-51358(P2019-51358A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年11月26日
(31)【優先権主張番号】2013901216
(32)【優先日】2013年4月10日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】515277610
【氏名又は名称】パートン,ウィリアム ウェストモア
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】パートン,ウィリアム ウェストモア
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0156337(US,A1)
【文献】 特開平9−10113(JP,A)
【文献】 特表2013−500803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルク泡立て装置であって、前記ミルク泡立て装置は:
(a)蒸気プローブと;(b)ジャグ支持部と;(c)ジャグ内のミルクの深度を測定するために前記蒸気プローブの隣に位置する、抵抗センサと;(d)ここで、前記蒸気プローブまたは前記ジャグ支持部は、ミルク表面下に前記蒸気プローブの先端を維持するために移動式蒸気プローブまたは移動式ジャグ支持部であることを特徴とし、さらに(e)前記ジャグ内のミルクの温度を監視するための温度センサと;および(f)マイクロコントローラ、を備え、
前記マイクロコントローラは、作動サイクルのプロセスを開始し;前記ミルク表面に対して前記蒸気プローブの位置を維持し;ミルクが所望の温度に到達した場合には前記プロセスを停止して、作動サイクルの回数と処理されたミルクの量を記録するように構成され、
前記ミルク泡立て装置は、前記プローブの自浄用の二次蒸気チャネルまたは二次蒸気回路を備え、前記二次蒸気回路が固定されて、前記蒸気プローブおよび前記蒸気プローブの先端を取り囲むように構成される、
ミルク泡立て装置。
【請求項2】
前記深度センサが、前記蒸気プローブであって、ステンレス鋼で作製され、かつ電気的に絶縁されることによって抵抗センサとして機能する、請求項1に記載のミルク泡立て装置。
【請求項3】
前記ミルク泡立て装置が、ユーザインタフェーススクリーンと、電気機械によって動作するキーパッドを備え、前記ユーザインタフェーススクリーンが「タッチ」スクリーンであって、前記キーパッドがバーチャルキーパッドである、請求項1に記載のミルク泡立て装置。
【請求項4】
ミルク泡立て装置であって、前記ミルク泡立て装置は:
(a)蒸気プローブの先端を有する蒸気プローブと;(b)ジャグを支持するジャグ支持部であって、前記蒸気プローブまたは前記ジャグ支持部のうちいずれか1つが、もう片方の前記蒸気プローブまたは前記ジャグ支持部に対し移動可能に構成される、ジャグ支持部と;(c)ジャグ内のミルクの深度を測定するために前記蒸気プローブの先端の隣に位置する、抵抗センサと;(d)前記ジャグ内のミルクの温度を監視するための温度センサと;および(e)マイクロコントローラを備え、
前記マイクロコントローラが以下のプログラム:(i)必要な加熱および必要な泡立てに関するミルクの特性情報を受信し;(ii)蒸気量、蒸気の時間、および蒸気温度を制御することによってミルクの液体表面上に泡を形成するミルク泡立てプロセスを開始し;(iii)前記抵抗センサによって測定されたミルクの前記深度を用いて、前記ジャグ内のミルクの液体表面に関する必要な固定深度に前記蒸気プローブの先端と前記抵抗センサを維持し、ここで、前記必要な固定深度については、前記必要な加熱および必要な泡立てに関するミルクの特性情報によって予め決定されていることを特徴とし;(iv)ミルクが所望の温度に到達した場合には、前記蒸気プローブの先端を必要な速さで引き抜くことによって前記ミルク泡立てプロセスを停止し、ここで、前記必要な速さについては、前記必要な加熱および必要な泡立てに関するミルクの特性情報によって予め決定されていることを特徴とし;かつ(v)作動サイクルの回数と処理されたミルクの量の測定に関する記録を保持する、ように実行する制御プログラムを記録する、
ミルク泡立て装置。
【請求項5】
前記蒸気プローブが、ステンレス鋼によって作製され、かつ電気的に絶縁することによって抵抗センサとして機能する、請求項4に記載のミルク泡立て装置。
【請求項6】
前記温度センサが、前記ジャグの上に位置する赤外線温度センサであり、ミルクの温度を直接監視する、請求項4に記載のミルク泡立て装置。
【請求項7】
非接触型温度センサが前記ジャグの隣に位置してジャグの外部表面温度を監視する、請求項4に記載のミルク泡立て装置。
【請求項8】
前記ミルク泡立て装置が、ユーザインタフェーススクリーンと、電気機械によって動作するキーパッドを備え、前記ユーザインタフェーススクリーンが「タッチ」スクリーンであって、前記キーパッドがバーチャルキーパッドである、請求項4に記載のミルク泡立て装置。
【請求項9】
前記ミルク泡立て装置が、前記蒸気プローブの自浄用の二次蒸気回路を備え、前記二次蒸気回路が固定されて、前記蒸気プローブおよび前記蒸気プローブの先端を取り囲むように構成され、それによって、前記蒸気プローブおよび前記蒸気プローブの先端が通過できる中央開口部を前記二次蒸気回路が形成し、かつ前記二次蒸気回路の内周になる貫通孔によって形成される複数の蒸気噴流を用いることにより、前記蒸気プローブおよび前記蒸気プローブの先端が前記中央開口部を通過する際にミルクの残余を洗い落とす、請求項4に記載のミルク泡立て装置。
【請求項10】
前記二次蒸気回路が、固定されて、かつ、前記蒸気プローブおよび前記蒸気プローブの先端が、前記蒸気プローブおよび前記蒸気プローブの先端を前記二次蒸気回路が取り囲む洗浄位置を通って、前記作動位置からニュートラルまたは開始位置まで移動する、請求項9に記載のミルク泡立て装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスプレッソマシンの改良およびエスプレッソマシン用付属品に関する。
【背景技術】
【0002】
先進国および新興国の双方において世界規模で、コーヒーの消費が増加傾向にある。コーヒーにミルクを入れて出す欧州スタイル、特にカフェラテ、カプチーノおよびフラットホワイトコーヒーに最も人気がある。このコーヒースタイルの全体の味、口当たり、および外観のために必須の構成要素である泡立ちまたは泡を生成するために、ミルクに蒸気を注入しながら加熱しなければならないので、欧州スタイルのコーヒーを作るのは時間がより長くかかる。
【0003】
米国特許第4800805号は、自在に伸縮することができる蒸気プローブを備え、かつ空気と蒸気をミルクに混合するための空気取入口も含む、典型的なエスプレッソマシンを開示している。ミルクを蒸気に当てる現在の手動工程は操作者依存型であるので、コーヒースタイルの温度、味および外観に大きな差がつく可能性がある。
【0004】
時間を節約しバリスタへの依存を低減するために、自動ミルク泡立て器を備えたコーヒーマシンが提案された。
【0005】
米国特許第5611262号はミルクを泡立てるためのディスペンサーを開示している。ミルクは空気と混合することによって泡立てられ、バリスタは蒸気を使用する必要がない。
【0006】
同様に米国特許第6183800号(Sarah Lee)は、泡立てられたミルクを注ぐコーヒーマシンの泡立て器を使用することにより、バリスタが費やす時間をなくす問題に対処している。これらの提案は飲食店の標準コーヒーには受け入れられない。
【0007】
米国特許第6901848号は、ミルクの温度を検知し、様々な泡立て具合を生成するために所定の時間で蒸気と空気を組み合わせられる制御装置を有する、自動ミルク泡立て器を提案している。バリスタは、事前に設定したサイクルが終わるまでミルクジャグを定位置に保持するだけである。この提案は、バリスタの作業負担を削減したりバリスタの生産性を向上したりすることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術の欠点を改善し、高品質のエスプレッソミルクを作る手段を提供する一方で、バリスタの生産性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、
蒸気プローブと、
ジャグおよびジャグ支持部と、
蒸気プローブまたはジャグ支持部が、好ましくはステッピングモータによって移動可能
に駆動されて、ミルクの表面下にプローブの先端を維持して、ジャグ内のミルクの深さを
決定するためのセンサと、
ジャグ内のミルクの温度を監視するための温度センサと、
マイクロコントローラであって、前記マイクロコントローラは、前記ミルクの表面に対
して前記蒸気プローブの位置を維持する工程を開始し、前記ミルクが所望の温度に達する
と前記工程を停止し、サイクル数および処理されたミルクの量を記録する能力を有する、
マイクロコントローラと
を含む、ミルク泡立て器を提供する。
【0010】
ジャグ内のミルクの表面までの距離を測定するセンサを使用することにより、ジャグをプローブに対して動かす、または好ましくはプローブを動かすことにより、蒸気プローブの先端をミルクの表面下の適切な距離に維持することができる。ミルクの温度を検知し、ミルクが熱くなり過ぎる前に工程を確実に完了することにより、工程をより正確に制御できる。設備はエスプレッソマシン内で発生された蒸気を使用してもよく、または指定された蒸気ボイラを使用してもよい。装置は複数の基点を有し、それぞれはジャグおよび蒸気プローブならびに関連した温度センサを備えてもよい。基点は工程が進行中にジャグが外れないように係止機構を提供してもよい。
【0011】
作動サイクル中に、深度センサ(固体プローブまたはIRもしくは超音波技術を使用する非接触型センサのいずれか)は、表面/泡立ちがジャグ内で上昇する際に液体の表面を監視し、蒸気管は自動的に拳上されて液体内のプローブの先端と同じ深さ/関係に維持される。超音波はミルク/泡の界面または泡/空気の界面における相の変化面を検出することができるので、超音波が好ましい。代替センサは、蒸気プローブを電気的に絶縁し、抵抗センサとしてステンレス鋼プローブを使用してジャグ内の液面を測定するものである。
【0012】
また2つの温度センサから定期的なフィードバックを受信し、液体が所望の温度に達すると蒸気弁は閉じ、蒸気管は液体から引き抜かれて開始位置に戻る。ジャグはサイクルが完了するまで捕捉され、機械的に作動される突起またはピンを使用して解放され、操作者が使用するためにジャグを取り外すまで配置ネストに保持される。加熱要素はジャグ支持基部に組み込まれて、泡立て/加熱工程が完了した後一定期間ミルクの温度を維持してもよい。
【0013】
本装置は、それ自体に蒸気発生器を有する単一の独立型ミルク泡立て器を備え、それぞれに分離した蒸気プローブを有する1つまたは複数の基点、蒸気プローブとジャグの相互の状態を管理するセンサおよび独立して作動される機構を備えてもよい。ジャグは異なる大きさであってもよく、脱脂乳、全乳または豆乳などの異なるタイプのミルクを入れてもよい。代替的に、装置はエスプレッソマシンの脇に立てて配置されてもよく、エスプレッソマシンの蒸気出口に連結されてもよい。
【0014】
先行技術のミルク泡立て器では、経験を積み力量のあるバリスタによって作られるコーヒーと一貫して同じ品質が得られることはないという共通要素があるが、時間を節約し「セルフサービス」のコーヒーマシンとしての作動は可能である。本発明の目的は、バリスタによって通常実行される工程を模倣するために、電気機械装置を使用して一貫して加熱され泡立てられたミルク(畜乳ならびに豆、米、他の穀類および木の実などの植物から抽出したミルクを含む)を作り出すことを自動化することである。
【0015】
温度、蒸気圧およびミルク/液体内の蒸気管の先端の位置を正確に監視し、使用するミルクのタイプによって工程中に任意のまたはすべてのこれらの変数を変えることができることにより、それと共に欧州スタイルの理想的なコーヒーを作る、最良かつ最も一貫して加熱され/泡立てられたミルクを作り出す。
【0016】
バリスタは、特に忙しい操作時間中にこれらの装置の1つまたは複数に補助されることが予想される。また技術力が劣るバリスタは、より一貫したコーヒーを手動技術のみを使用するより迅速に作ることができるようになる。
【0017】
バリスタがミルクをカップおよびグラス(エスプレッソコーヒーがすでに入っていてもよい)に注ぐ間、本発明の泡立て器は次のジャグまたはミルク容器を同時に加熱し泡立ててもよい。加熱され泡立てられたミルクをより多く作り出すことにより、バリスタが挽きたてのコーヒーをエスプレッソコーヒーマシンに入れてドリップできるのと同じ速さで、バリスタがコーヒーを作ることができる。生産性が高まり、実質的な労働コストが削減される。
【0018】
次に本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】蒸気プローブが縮められた、本発明の蒸気設備の正面図である。
図2図1のA−A線に沿った断面図である。
図3】蒸気プローブが伸びた、本発明の蒸気設備の正面図である。
図4図1のA−A線に沿った断面図である。
図5図5がコーヒーマシンのレディー論理を配列する、制御装置プログラムに対する流れ図である。
図6-9】標準作動サイクルに対する流れ図である。
図10】手動モードに対する流れ図である。
図11】制御装置の作動パラメータを設定するためのステップの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
バリスタにとってミルクの泡立ては芸術であり、取り組むべき多くの可変、すなわち乳組成、蒸気温度、空気の混入、および蒸気プローブの先端の位置が存在する。
【0021】
取り込まれた加熱した空気がミルクの上層内で膨張することにより、気泡(泡立ちを作り出す)の直径が拡張する。ミルクを通過する蒸気は(i)温度を上昇させ、気体(空気)が溶解し始めて溶液から出てくる。まず微細気泡が膨張し始め、集まって層になり、最後に加熱された液体の頂部または上部に上昇する/定着する。
【0022】
蒸気ノズルから生じる1つまたは複数の蒸気噴流は、通常下方またはミルクの表面の平面に斜角に方向付けられる。このことは、蒸気を先端から発する方法で方向付ける1つまたは複数の穴を有する蒸気管の先端によって実現することができる。
【0023】
ジャグの中で泡立てられたミルクは3つの層、すなわち下層(液体のミルク)、中層(小さい気泡を含むミルク)、上層(大きい気泡/泡立ち)を含む。
【0024】
それぞれの蒸気噴流はそれ自体の渦を生成し、そのエネルギーは最後にミルクによって吸収され、ミルクを撹拌し、またミルクの温度も上昇させる。
【0025】
また加熱されたミルクの質感、すなわち口当たりも重要な要因であり、これは加熱、特に蒸気を使用した直接加熱によって向上される。蒸気と周囲のミルクとの間の界面温度は通常130℃であり、それにより乳脂肪が溶け、やがて多形混合物中に拡散する。またラクトース(ブドウ糖およびガラクトース)の形の乳糖も加熱工程によって影響を及ぼされる。
【0026】
蒸気と浮遊した乳脂肪との間の界面では微細量の粒子が蒸発することにより、ミルクが絹のような質感を示す。最適な効果はミルク内で、大半が小さい気泡である中層から識別できる。加熱し過ぎると、乳糖の構造が破壊され、乳糖のカラメル化を引き起こし、加熱し過ぎて得られたミルクは、天然のコーヒーエッセンスの大部分の風味および存在を打ち消してしまう。ミルクは実際に相分離し、泡立たなくなり、飲む人の口を火傷させるだけでなく、これによりコーヒーの味が感じられなくなるだろう。泡立てプログラムは、様々な成果を実現するために、蒸気の量、時間および温度のパラメータを正確に制御できる。加熱され泡立てられたミルクの形状は、コーヒー飲料のスタイルによって変化する。
【0027】
泡立てプログラムは、様々な成果を実現するために、蒸気の量、時間および温度のパラメータを制御できる。
【0028】
フラットホワイトコーヒーは、最も濃厚なミルクを使用し、容器の底面への空気の混入はほとんどない。
【0029】
カフェラテは、蒸気管の先端を最も濃厚な下層に長時間接触させることによって得られる(すなわちミルクが所望の最終温度に近づいた際にプローブをより遅く垂直に上に動かす。
【0030】
カプチーノは、先端を濃厚な下層からさらに離したまま保ち、ミルクが所望の温度に近づいた際に管をより速やかにわずかに動かす、または引き抜くことによって得られる。
【0031】
ジャグの設計には、小、中および大の3つの大きさが提供されてもよい。
【0032】
大は高さが約12〜13cm、基部の直径が約11〜12cmであり、開放頂部が先細になり直径が約9〜10cmの注ぎ口/注入唇部と一体化している。
【0033】
ラテジャグは理想的には、通常カプチーノおよびフラットホワイトコーヒーを注ぐよりわずかに狭く長い注入唇部を必要とする。より狭い注ぎ口により、バリスタがミルクを注「spout」ぐ方法をより良好に制御できる。
【0034】
ネスト設計
ネスト設計の好ましい実施形態は3つ以上の堅固な同心円リングを備え、同心円リングはジャグを中心に配置するために階段状になっているので、蒸気プローブ、センサよびジャグは常に同じ相対位置にある。堅固なネスト設計は、洗浄が容易であるために取外し可能であり、コーヒーマシンの基部に固定できるか、またはコーヒーマシンに対して動く台部に組み込むことができ、コーヒーマシンは固定された蒸気プローブを使用してその設計を具現化する。固定された蒸気プローブに手が届くため、すべて手動洗浄可能であり、二次蒸気回路を必要としない。コーヒーマシンの操作者は、較正したそれぞれのジャグの大きさに対応する制御盤上のボタンを押すことにより、ジャグの大きさを手動で選択する必要がある。
【0035】
別の実施形態では、ジャグは、図2に示されたような3つの同心円のステンレス鋼のリングを備えるバネ荷重のネスト上に置かれる。内径は約6〜8cm、中央のリングは8〜9cm、外径は約9〜12cmである。これらの直径は上に収載されたジャグの直径の大きさと等しい。最も小さいジャグをリングのネスト上に置くことにより、中央のリングがわずかに下がると(約0.5〜1cm)、リングの下に配置されたセンサは信号を中央のPLCに送信して使用されるジャグの大きさを表示する。コーヒーマシンの深度センサは液面に置かれ、次いで先に較正したジャグ内のミルクの量を決定し表示する。この同じ工程が、本発明のコーヒーマシンと共に使用されるすべてのジャグに適用される。
【0036】
またネストは、サイクル中にジャグを適位置に保持する係止機構も含んでもよい。これは、工程ボタンが押されたとき、またはプローブがその下降を開始するときに有効にされてもよく、工程サイクルが完了しプローブが縮められたときに無効にされる。
【0037】
ジャグのネストを形成する同心円リングは、それぞれの外周上にある3つの差込みピンを使用して相互連結される。
【0038】
設備全体は、洗浄が容易であるために設備が取り出されるように設計されることが好ましい。
【0039】
図1および3を参照すると、プローブの垂直移動の最大経路は約15cmになる。
【0040】
図4に概略的に示された駆動機構は、ジャグの中でプローブが移動する距離を制御できるステッピングモータを使用してもよい。代替実施形態では、プローブは固定され、ジャグのネストはコーヒーマシンの基部内に配置された同様のステッピングモータを使用して上昇される。
【0041】
あらゆる従来の歯車配置が使用されてもよい。
【0042】
プローブまたはネストは、制御装置により電気抵抗の原理を使用して深さプローブから受信されたデータを使用して動かされる。液体の濃度が高いほど抵抗は低いことが仮定される。プローブの較正は最初の冷たいミルクの量を使用してもよい。プローブの先端は、加熱し泡立てる工程の間中、中〜低層に維持される。深さ制御は、好ましくはPLCおよびステッピングモータで電子的フィードバック・ループを徐々に使用する。代価的に、分離したプローブを除外してもよく、ステンレス鋼の蒸気プローブを電気的に絶縁することにより、プローブ自体を抵抗センサとして使用してもよい。
【0043】
より低い物理的形状のコーヒーマシンの構造が可能な別の実施形態では、堅固な蒸気プローブは、回転リールを中心に巻かれた適切な可撓性の管と置換される。
【0044】
可撓性のプローブはリールの中空軸に一端が取り付けられ、リールは次いでいずれの方向に回転されてもよい。可撓性のプローブは、互いに正反対を向いた一連の滑車によって捕捉され誘導される。特定の滑車をずらすことにより、可撓性のプローブをジャグの上で垂直位置に向けることができる。ステッピングモータを使用してリールを回転させることにより、PLCおよびステッピングモータのフィードバックに従って可撓性のプローブを前進させるか、または縮ませる。
【0045】
蒸気は発生器から回転軸を通って通過し、プローブの先端から通常の方法で出る。
【0046】
電気ステッピングモータの代わりに、空圧駆動を使用してもよい。4.5cmのリールの一回転はプローブの先端を14cm動かすことになり、直径6cmのリールに対してリールを270度回転する、または直径9cmのリールに対してリールを180度回転すると、同じ範囲の移動が達成される。このリールの実施形態は、コーヒーマシンの高さを最小にする必要がある場合に好ましいことがある。
【0047】
蒸気プローブは、ステンレス鋼またはテフロン(登録商標)、ポリカーボネート、もしくは他の耐熱高分子材料の可撓性の管から作製されてもよい。
【0048】
蒸気プローブの先端を泡立て工程中に上下両方に調節することにより、ジャグ内の各層または相の大きさ/深さを、様々な相の電気抵抗を測定するプローブを使用して正確に制御することができる。深さプローブは、液体/ミルク容器内の水平方向の位置付けおよび垂直方向の位置付けの両方に関して、蒸気管の先端に対する最初の相対位置に設定されてもよく、好ましくは蒸気プローブの先端と共に動く。
【0049】
また非接触相の位置を使用して、赤外線(IR)または超音波センサを使用してもよい。これらのセンサは蒸気プローブに隣接してジャグの中心の上に配置されてもよい。また超音波センサはジャグの下に配置されてもよい。
【0050】
コーヒーマシンは、それ自体で電力および一体型蒸気発生源/機能が供給される独立型設備として設計されてもよい。代価的に、コーヒーマシンは、ステッピングモータ、PLC設備などを作動するためにそれ自体で電力源が供給されてもよいが、コーヒーマシン自体のボイラに直接接続する、またはコーヒーマシンの既存の蒸気出口に接続することのいずれかにより、隣接した蒸気発生源(例えばコーヒーマシン)から蒸気を獲得してもよい。
【0051】
また本発明の設備は、標準特徴または任意選択の優れたモデル特徴として、今後のコーヒーマシンの設計に組み込む役に立つ。制御装置は、通常出されるより実質的に熱いコーヒーを望む消費者のために、単一サイクルのオーバーライドボタンで所望のミルク温度を設定することを含んでもよい。
【0052】
長方形のLCD画面をキーパッドと連動して使用してもよい。制御部および画面は、好ましくはジャグ支持部の上の仕切板上に配列される。画面の真下の大きい長方形の赤/緑の点灯ボタンを主作動ボタンとして使用してもよい。
【0053】
主作動ボタンの右に、円形の赤い「熱い」ボタンを提供してもよく、これが押されると緑のボタンが押された直後にPLCが単一のより高いミルクの温度サイクルを開始する。この単一サイクルの後、コーヒーマシンはその通常にプログラミングされた温度パラメータに戻る。
【0054】
図5は、すべての構成要素が作動可能であり、かつ蒸気圧が作動可能レベルであることを確認し、コーヒーマシンの準備が整っていることを画面に表示する自動開始ルーチンを示す、開始プログラムの論理を示す。
【0055】
LCD画面およびプログラミングモード
1プログラム
−メインメニュー
−データ
−時間
−使用および保守要件を監視するためのサイクル/データ論理
−(i)目標温度+/−度Cの変更または設定
ミルクの温度および外部ジャグの温度
(ii)目標度Cを設定する「ホットショット」温度
−蒸気値
バーを限定する最大圧力最小圧力
蒸気圧の上昇時間(秒)
蒸気圧の巻き下げ時間(秒)
【0056】
設定されたパラメータより上および下であると、すべてが許容範囲内に設定されるまでコーヒーマシンは作動を止める。
【0057】
図6〜9は、容器の大きさが選択され、作動ボタンが押されてサイクルが開始する、通常の作動モードの論理を示す。任意選択のホットショット手順が存在する。レベルセンサは容器内のミルクのレベルを決定し、これが充分であるかどうかを計算し、計算した量を表示板に表示する。レベルセンサは非接触センサまたは接触センサのいずれかである。接触センサでは、ステッピングモータがジャグの台部またはセンサを動かして液面に接触させる。ミルクの温度が検知され表示される。次いで蒸気プローブが、プローブまたはジャグの台部のいずれかを動かすことによりミルクの表面のほぼ下に位置付けられる。次いで蒸気回路がプログラミングされた時間作動される。温度および表面レベルが図8に示されたように監視され、プローブの位置が調節されて所望の位置に維持される。ミルクの目標温度に達すると、蒸気回路が閉じ、次いで蒸気プローブが上昇するか、またはジャグの台部が下降する。次いで二次蒸気回路が作動してプローブの先端を洗浄してもよい。
【0058】
本発明の泡立て器は、通気孔を介して圧力を大気に放出した後、プローブは液面の開始点に降下してもよい。この相対位置は固定されてもよく、または使用されるミルクのタイプによってもたらされる変化に依存してPLCプログラムによって決定されたように可変であってもよいので、泡立ての性質および必要なコーヒーのスタイルにおける変化が考慮される。
【0059】
LED表示装置は、コーヒーマシンが現在のサイクルの終了までの残り時間を表示する手段として、サイクル中の環状を分割してブロックが徐々に増加するように外周の外観を変化させてもよい。
【0060】
中心にはミルクの温度および外部ジャグの表面の温度が表示されてもよい。
【0061】
加熱/泡立てサイクルの開始前に表示されるミルク量は、ジャグの大きさおよび深度センサの測定結果によって決定される。
【0062】
蒸気の期間は、生成するのに必要な加熱および泡立ての形状のタイプに依存して変化するパラメータである。例えばフラットホワイトは泡立てがあまり必要ではないので、先端を低くし、圧力を低くする(または時間を長くする)。
【0063】
保守プログラムは毎日/毎週/毎月であってもよく、洗浄サイクルを含んでもよい。図10は、ステッピングモータ1および2を手動で制御できる手動操作を示す。これにより主蒸気プローブを徐々に下降させることができるので、プローブの軸および先端に手が届き洗浄することができる。この手動モードでは、回路1および2の両方からの蒸気を使用して噴流の障害物を取り除いてもよい。蒸気プローブをその下降した位置に留めることができることにより、蒸気プローブを洗浄液に浸すことができてもよい。コーヒーマシンの電力のスイッチをその位置で切ってもよい。コーヒーマシンのスイッチを通常の開始モードサイクルに入れると、すべてのモータおよびライトが戻り、すべての弁およびプローブが開始位置につき、レディーを表示し自動信号を表示する。
【0064】
手動洗浄モードには、水または洗浄液の入ったジャグをネストに置くこと、および手動で蒸気プローブをジャグの中に下げて浸したままにすることが含まれる。
【0065】
リセットモードは管を通常の開始位置に上昇させ、コーヒーマシンを手動モードから自動モードに戻す。
【0066】
洗浄サイクルは本発明の一部の実施形態では自動化されてもよい。蒸気弁は蒸気を二次チャネルまたは回路に方向付けてもよい。二次蒸気回路は固定されて蒸気プローブおよび先端を取り囲む。二次蒸気回路の内周にある穴によって形成された複数の蒸気噴流を使用することにより、蒸気プローブがニュートラルまたは開始位置に戻るときに開口を通る際に蒸気プローブからミルクの残余を吹き飛ばし洗い落とす。
【0067】
この洗浄サイクルは手動で開始されてもよく、またはコーヒーマシンの通常の作動手順の一部として予めプログラミングされてもよく、洗浄サイクルに続いてそれぞれの通常のコーヒーマシンの加熱/泡立てサイクルに進む。
【0068】
コーヒーマシンの較正には以下のものが含まれる。
プローブの先端からネストの頂部までの高さ
プローブの先端からジャグの内部基部までの高さ
ジャグ内の熱湯の温度
他の可能なプログラミング可能なパラメータはジャグ内のミルク/液体の最少量を含む。
【0069】
コーヒーマシンのスイッチを入れた後の日の開始時に、コーヒーマシンは蒸気プローブの機械的サイクル(すなわちプローブの上げ下げ)を含む、故障の較正確認を行う。
【0070】
この工程中に様々なライトのスイッチがオンオフされる。
【0071】
最後にコーヒーマシンは、すべてのシステムを「進める」ときに緑色の主作動ボタンを点灯する。
【0072】
図11はコーヒーマシンの設定の操作、較正、ならびに最適な加熱および泡立ての形状のために必要なすべてのパラメータの画定を可能にするプログラミングモードを示す。データ入力および命令はユーザインターフェース画面、キーパッド、または別のコンピュータを介してなされてもよい。コーヒーマシン自体のデータログ容量は、インターフェース要素を使用して問合せられてもよい。
【0073】
上記から、本発明は高品質のエスプレッソコーヒー製品に必要なミルクの泡立て品質を損なうことなく、バリスタの生産性を高める独自の手段を提供することがわかる。本発明は、本発明の核心の教示から逸脱することなく、説明された実施形態以外の実施形態で実施されてもよいことが当業者には認識されよう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11