(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670385
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】生体内乳房組織の顕微鏡イメージ取得のためのウィンドー装置及びこれを利用したイメージ取得方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/34 20060101AFI20200309BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20200309BHJP
G01N 21/64 20060101ALN20200309BHJP
【FI】
G02B21/34
A61B10/00 E
A61B10/00 T
!G01N21/64 E
!G01N21/64 F
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-530458(P2018-530458)
(86)(22)【出願日】2016年8月3日
(65)【公表番号】特表2018-533078(P2018-533078A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】KR2016009719
(87)【国際公開番号】WO2017039315
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2018年5月9日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0123212
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514070937
【氏名又は名称】メディシナル バイオコンバージェンス リサーチ センター
(73)【特許権者】
【識別番号】515162224
【氏名又は名称】コリア アドバンスド インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ピハン
(72)【発明者】
【氏名】キム、イェスル
(72)【発明者】
【氏名】パク、イノン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スンフン
【審査官】
登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−253836(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0094260(US,A1)
【文献】
特開2012−233707(JP,A)
【文献】
特開2008−292828(JP,A)
【文献】
特開2007−187811(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0177259(US,A1)
【文献】
実開昭52−012583(JP,U)
【文献】
特開平10−165403(JP,A)
【文献】
特開2013−090867(JP,A)
【文献】
特開昭54−021752(JP,A)
【文献】
実開平06−018949(JP,U)
【文献】
特開2014−048549(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0063599(US,A1)
【文献】
特開2013−113976(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0106786(US,A1)
【文献】
特開2005−338631(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0302865(US,A1)
【文献】
特開2011−224205(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0185980(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/34
A61B 10/00
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内乳房組織顕微鏡イメージ取得のためのウィンドー装置であって、
中央に開放窓が形成される環状構造を有し、上部にカバーグラスが配置され、下部に乳房組織が配置される第1チャンバーと;
中央に開放窓が形成され、前記第1チャンバーと結合して前記乳房組織を支持する第2チャンバーと;
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーを固定して、前記カバーグラスと共焦点顕微鏡システムの対物レンズが平行状態を維持するようにする傾斜マウントが固定される傾斜マウント固定部が形成されたチャンバーホルダーとを含み、
前記乳房組織を前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーの間に位置させる、前記ウィンドー装置。
【請求項2】
前記第1チャンバーの外周面及び前記第2チャンバーの外周面には、互いに連通する複数の孔が形成されることを特徴とする、請求項1記載のウィンドー装置。
【請求項3】
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは、一つ以上のボルト又は縫合糸によって互いに結合されていることを特徴とする、請求項2記載のウィンドー装置。
【請求項4】
前記チャンバーホルダーの一方の側には、対向する部分が段差のある形状を有する第1突起部及び第2突起部が形成され、
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは、前記第1突起部及び前記第2突起部の間に固定されていることを特徴とする、請求項1記載のウィンドー装置。
【請求項5】
前記第1突起部及び前記第2突起部には、前記第1チャンバーを固定させるための、第1チャンバーが固定される第1チャンバー固定部が形成されることを特徴とする、請求項4記載のウィンドー装置。
【請求項6】
前記第1チャンバーの外周面直径は、前記第2チャンバーの外周面直径より大きく形成され、前記第1チャンバーの外周面直径は前記第1チャンバー固定部の上部の第1対向面の長さに相応して形成され、前記第1チャンバーは前記第1対向面に締り嵌めによって結合することを特徴とする、請求項5記載のウィンドー装置。
【請求項7】
前記第2チャンバーの外周面直径は、前記第1チャンバー固定部の下部の第2対向面の長さに相応して形成されることを特徴とする、請求項5記載のウィンドー装置。
【請求項8】
共焦点顕微鏡システム及び第1チャンバー、第2チャンバー、及び互いに結合された第1チャンバー及び第2チャンバーを固定して傾斜マウント固定部が形成されたチャンバーホルダーを含むウィンドー装置を利用したイメージ取得方法であって、
前記ウィンドー装置の前記傾斜マウント固定部に固定された傾斜マウントを利用してウィンドー装置の角度を調節する段階と;
複数の波長を有するレーザー光を前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーに形成された開放窓を通して乳房組織に照射する段階と、
前記第1チャンバーの上部にカバーグラスを配置して前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーの間に乳房組織を位置させる段階と、
前記乳房組織で励起された蛍光信号を検出する段階とを含み、
前記傾斜マウントの角度調節により、前記カバーグラスと前記共焦点顕微鏡システムの対物レンズがイメージを取得する過程中に平行状態を維持する、前記イメージ取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年8月31日に出願された大韓民国特許出願第10-2015-0123212号に基づく優先権を主張し、前記明細書全体は参照により本出願に援用する。
本発明は、生体内乳房組織の顕微鏡イメージ取得のためのウィンドー装置及びこれを利用したイメージ取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光信号を利用したレーザー走査共焦点顕微鏡は、細胞及び分子レベルの現象を観察する目的に使用される。
【0003】
他の組織とは異なり、皮下に存在する乳房構造は、イメージングのための皮膚切開により水分蒸発と炎症が発生することがあり、反復的で長期的なイメージング技術研究に限界がある。
【0004】
これらの制限により、従来の分子生物学的研究の殆どが組織の摘出及び固定後観察でなされた。
【0005】
これらの方式は、実際に生きている動物における細胞の動きや様子の変化を観察し辛く、乳房組織の特徴である乳管とその周辺の血管組織の変化の観察を通じた研究が難しいという問題点がある。
生きている動物において生理的環境を維持しながら、同時に細胞及び分子レベルの構造と相互作用を長期的に把握することは、生体内乳房組織の顕微鏡イメージ研究において重要な課題である。
この点で、生体乳房組織内乳管及び血管から発生する分子生物学的メカニズムを観察することができ、同時に長期的に同じ細胞及び組織を繰り返し撮影できる装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術の問題点を解決するために、本発明は、生体内環境を維持しながら、摘出せずに、同時に、乳房組織の乳管、血管のリアルタイムな細胞及び分子レベルの顕微鏡イメージを、安定的でさらに、長期的に取得できる生体内乳房組織顕微鏡イメージ取得のためのウィンドー装置及びこれを利用したイメージ取得方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の一実施例によると、生体内乳房組織顕微鏡イメージ取得のためのウィンドー装置であって、中央に開放窓が形成される環状構造を有し、上部にカバーグラスが配置され、下部に乳房組織が配置される第1チャンバー;中央に開放窓が形成され、前記第1チャンバーと結合して前記乳房組織を支持する第2チャンバー;及び前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーを固定して、前記カバーグラスと共焦点顕微鏡システムの対物レンズが平行状態を維持するようにする傾斜マウントが固定される傾斜マウント固定部が形成されたチャンバーホルダーを含む、前記ウィンドー装置が提供される。
【0008】
本発明の一実施例によると、生体内乳房組織顕微鏡イメージ取得のためのウィンドー装置であって、中央に開放窓が形成される環状構造を有し、上部にカバーグラスが配置され、下部に乳房組織が配置される第1チャンバー;中央に開放窓が形成され、前記第1チャンバーと結合して前記乳房組織を支持する第2チャンバー;及び前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーを固定して、前記カバーグラスと共焦点顕微鏡システムの対物レンズが平行状態を維持するように傾斜マウントが固定される傾斜マウント固定部が形成されたチャンバーホルダーからなる、前記ウィンドー装置が提供される。
【0009】
本発明の一実施例によると、生体内乳房組織顕微鏡イメージ取得のためのウィンドー装置であって、本質的に、中央に開放窓が形成される環状構造を有し、上部にカバーグラスが配置され、下部に乳房組織が配置される第1チャンバー;中央に開放窓が形成され、前記第1チャンバーと結合して前記乳房組織を支持する第2チャンバー;及び前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーを固定して、前記カバーグラスと共焦点顕微鏡システムの対物レンズが平行状態を維持するように傾斜マウントが固定される傾斜マウント固定部が形成されたチャンバーホルダーからなる、前記ウィンドー装置が提供される。
【0010】
前記第1チャンバーの外周面及び前記第2チャンバーの外周面には互いに連通する複数の孔が形成される。
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは、一つ以上のボルト又は縫合糸によって互いに結合できる。
前記チャンバーホルダーの一方の側には、対向する部分が段差のある形状を有する第1突起部及び第2突起部が形成され、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは前記第1突起部及び前記第2突起部の間に固定される。
【0011】
前記第1突起部及び前記第2突起部には、前記第1チャンバーが固定される第1チャンバー固定部が形成される。
【0012】
前記第1チャンバーの外周面直径は、前記第2チャンバーの外周面直径よりも
大きく形成され、前記第1チャンバーの外周面直径は、前記第1チャンバー固定部の上部の第1対向面の長さに相応するように形成されて、前記第1チャンバーは前記第1対向面に締り嵌めによって結合されてもよい。
【0013】
前記第2チャンバーの外周面直径は、前記第1チャンバー固定部下部の、第2対向面の長さに相応して形成される。
【0014】
本発明の他の態様によると、共焦点顕微鏡システムと、第1チャンバーと、第2チャンバーと、互いに結合された第1チャンバー及び第2チャンバーを固定し、傾斜マウント固定部が形成されたチャンバーホルダーとを含むウィンドー装置を利用したイメージ取得方法であって、前記ウィンドー装置の前記傾斜マウント固定部に固定された傾斜マウントを利用してウィンドー装置の角度を調節する段階;複数の波長を有するレーザー光を前記第1チャンバー及び前記2チャンバーに形成された開放窓を通して乳房組織に照射する段階(前記第1チャンバーの上部にはカバーグラスが配置され、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーの間に乳房組織が位置する);及び前記乳房組織から励起された蛍光信号を検出する段階を含み、前記傾斜マウントの角度調節により、前記カバーグラスと前記共焦点顕微鏡システムの対物レンズがイメージを取得する過程で平行状態を維持する、前記イメージ取得方法が提供される。
【0015】
本発明の他の態様によると、共焦点顕微鏡システムと、第1チャンバーと、第2チャンバーと、互いに結合された第1チャンバー及び第2チャンバーを固定し、傾斜マウント固定部が形成されたチャンバーホルダーとを含むウィンドー装置を利用したイメージ取得方法であって、前記ウィンドー装置の前記傾斜マウント固定部に固定された傾斜マウントを利用してウィンドー装置の角度を調節する段階;複数の波長を有するレーザー光を前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーに形成された開放窓を通して乳房組織に照射する段階(前記第1チャンバーの上部にはカバーグラスが配置され、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーの間に乳房組織が位置する);及び前記乳房組織で励起された蛍光信号を検出する段階からなり、前記傾斜マウントの角度調節により、前記カバーグラスと前記共焦点顕微鏡システムの対物レンズがイメージを取得する過程で平行状態を維持する前記イメージ取得方法が提供される。
【0016】
本発明の他の態様によると、共焦点顕微鏡システムと、第1チャンバーと、第2チャンバーと、互いに結合された第1チャンバー及び第2チャンバーを固定し、傾斜マウント固定部が形成されたチャンバーホルダーとを含むウィンドー装置を利用したイメージ取得方法であって、本質的に、前記ウィンドー装置の前記傾斜マウント固定部に固定された傾斜マウントを利用してウィンドー装置の角度を調節する段階;複数の波長を有するレーザー光を前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーに形成された開放窓を通して乳房組織に照射する段階(前記第1チャンバーの上部にはカバーグラスが配置され、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーの間に乳房組織が位置する);及び前記乳房組織で励起された蛍光信号を検出する段階からなり、前記傾斜マウントの角度調節により前記カバーグラスと前記共焦点顕微鏡システムの対物レンズがイメージを取得する過程で平行状態を維持する前記イメージ取得方法が提供される。
【0017】
本発明の用語「〜を含む(comprising)」とは、含有する又は特徴とすることと同一に使用され、装置組成物又は方法において、言及されていない追加的な装置要素、成分要素又は方法段階等を排除しない。用語「〜からなる(consisting of)」とは、別に記載されていない追加的な要素、段階又は成分等を除く。用語「本質的に〜からなる(essentially consisting of)」とは、装置組成物又は方法の範囲において、記載された装置要素、成分要素又は段階と共に、これの基本的な特性に実質的に影響を与えない装置要素、成分要素又は段階等を含むことを意味する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、乳房組織を組み付けながら開放窓を有する2つのチャンバーと、2つのチャンバーを固定しながら傾斜マウントが固定される固定部を有するチャンバーホルダーとによって、生きている動物が顕微鏡観察部に置かれた状態で開放窓と対物レンズの平行状態を維持することができ、安定的なイメージ取得が可能な長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の望ましい一実施例によるウィンドー装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施例によるウィンドー装置の側断面図を示した図である。
【
図3】
図3は、本実施例によるウィンドー装置の使用状態を示した図である。
【
図4】
図4は、本実施例による共焦点顕微鏡システムの構成を示した図である。
【
図5】
図5は、本実施例によるウィンドー装置及び共焦点顕微鏡システムを利用してイメージングしたActin-GFPマウスの乳管の細胞及び構造を示した図である。
【
図6】
図6は、本実施例によるウィンドー装置及び共焦点顕微鏡システムを利用して乳管が形成される過程を細胞レベルで観察したものを示した図である。
【
図7】
図7は、乳がん細胞MDA-MB-231-GFP細胞を乳房組織に移植して成熟した後、細胞の動きを30分間隔で観察したものを示した図である。
【
図8】
図8は、本実施例によるウィンドー装置及び共焦点顕微鏡を利用して、癌細胞周囲に形成された血管を観察したものを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、多様な変更を加えることができ、複数の実施例を有することができる、具体的な実施例を図面に例示して詳細に説明する。
【0021】
しかし、これは本発明を特定した実施形態を限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むことと理解されるべきである。各図面の説明において、類似した参照符号を、類似した構成要素について使用した。
【0022】
以下では、本発明による実施例を、添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の好ましい一実施例によるウィンドー装置の斜視図であり、
図2は、本実施例によるウィンドー装置の側断面図を示した図面であり、
図3は、本実施例によるウィンドー装置の使用状態を示した図である。
【0024】
図1〜
図3に示された通り、本実施例によるウィンドー装置は、第1チャンバー(100)、第2チャンバー(102)及びチャンバーホルダー(104)を含む。
第1チャンバー(100)及び第2チャンバー(102)は、環状構造を有し、中央に開放窓(110)が形成される。
【0025】
ここで、第1チャンバー(100)は、共焦点顕微鏡システムの対物レンズ(140)に隣接した側に配置され、第1チャンバー(100)には、カバーグラス(114)が固定されるカバーグラス固定部(116)が形成される。
また、第1チャンバー(100)及び第2チャンバー(102)のそれぞれの外側には、互いに連通できる複数の孔(112,122)が形成される。
本発明の好ましい一実施例によると、動物の乳房組織を観察するために、
図3に示された通り、動物の乳房側の皮膚を切開し、切開された乳房組織を第1チャンバー(100)と第2チャンバー(102)との間に配置する。
第1チャンバー(100)と第2チャンバー(102)の開放窓(110)を通して、第1チャンバー(100)と第2チャンバー(102)との間に位置した組織を観察する。
【0026】
第1チャンバー(100)と第2チャンバー(102)は、複数のボルト(130)とナット(132)、及び縫合糸(図示せず)によって互いに結合される。
本実施例によると、第1チャンバー(100)及び第2チャンバー(102)を固定して、第1チャンバー(100)に固定されたカバーグラス(114)と対物レンズ(140)が平行状態を維持できるようにするチャンバーホルダー(104)が提供される。
【0027】
チャンバーホルダー(104)は、傾斜マウントが固定される傾斜マウント固定部(152)、及び、傾斜マウント固定部(152)の一方の側で延長される2つの第1突起部(154-1)及び第2突起部(154-2)を含む。
傾斜マウント固定部(152)には、複数の締結孔(156)が形成され、複数の締結孔(156)のうち少なくとも一部に傾斜マウントが結合される。
第1突起部(154-1)及び第2突起部(154-2)は、互いに平行に延長されて段差を有する。
【0028】
好ましくは、第1突起部(154-1)及び第2突起部(154-2)の対向する位置には第1チャンバー固定部(158)が形成される。
本実施例によると、第1チャンバー(100)の外周面直径は第2チャンバー(102)の外周面より大きい。
【0029】
また、第1チャンバー(100)の外周面直径は、第1突起部(154-1)及び第2突起部(154-2)の第1対向面(155)間の長さ(d1)に相応して形成される。
第2チャンバー(102)の外周面直径は、第1突起部(154-1)及び第2突起部(154-2)の第2対向面(157)間の長さ(d2)に相応して形成される。
【0030】
これにより、第1チャンバー(100)及び第2チャンバー(102)は、第1対向面(155)及び第2対向面(157)に締り嵌めによって結合される。
前記の通り、互いに結合された第1チャンバー(100)及び第2チャンバー(102)がチャンバーホルダー(104)に固定されて、傾斜マウント固定部(152)に固定された傾斜マウントによってウィンドー装置の角度を調節する。
本実施例による傾斜マウント(図示せず)は、キネマティック(kinematic)傾斜マウントでもある。
キネマティック傾斜マウントによってウィンドー装置の角度を調節して、第1チャンバー(100)に配置されたカバーグラス(114)と対物レンズ(140)を平行に維持した状態で固定しておけば、安定的に同じ部位の映像を長期的に取得することができる。
【0031】
図4は、本実施例による共焦点顕微鏡システムの構成を示した図である。
本実施例によるイメージ取得は次のように行われる。
【0032】
(1)ウィンドー装置角度調節
ウィンドー装置の傾斜マウント固定部(152)に固定された傾斜マウントを利用して、ウィンドー装置の角度を調節する。
【0033】
(2)レーザー光照射
図4のように、複数の波長を有するレーザー光を、ウィンドー装置に形成された開放窓(110)を通して乳房組織に照射する。
【0034】
(3)蛍光信号検出
乳房組織で励起された蛍光信号を、検出器によって検出する。
図4を参照すると、本実施例による共焦点顕微鏡システムは、可視光帯域の405nm、488nm、561nmと640nmの4波長レーザー光源(400-1〜400-4)、回転多面体ミラー(polygonal rotation mirror、402)及びガルバノミラー(galvanometer mirror、404)を含み、これらの構成によってXYラスタースキャニングパターンを形成する。
【0035】
共焦点顕微鏡システムは、複数のND(中性濃度フィルター)と、ミラー(M)と、ビームスプリッタ(二色性ビームスプリッタ、DBS)と、乳房組織で励起された蛍光信号を検出するためのBPF(ビーム通過フィルター)と、光電子増倍管(photomultiplier tube:PMT)とを含み得る。
本発明で製作したウィンドー装置を通して、共焦点光学顕微鏡を利用して、実際の動物モデルで乳房組織の映像化を行った。
【0036】
40倍対物レンズ(LUCPlanFL、NA0.6;Olympus)を使用した時に、焦点から250×250μm
2の観測視野を有するように光学系を設計し、蛍光信号は波長ごとに設置した光電子増倍管とフレームグラバ(Matrox、SOLIOS)で検出及び処理して、Z軸区画化が可能な細胞レベル解像度の2次元イメージを、毎秒30枚の速度で取得できるように搭載された。
図5は、本実施例によるウィンドー装置及び共焦点顕微鏡システムを利用してイメージングしたActin-GFPマウスの乳管の細胞及び構造を示した図である。
図5に図示した通り、乳管構造の肺胞上皮細胞(alveolar epithelial cell)と管上皮細胞(ductal epithelial cell)を観察できたことを確認した。
図6は、本実施例によるウィンドー装置及び共焦点顕微鏡システムを利用して、乳管が形成される過程を細胞レベルで観察したものを示した図である。
図7は、乳がん細胞MDA-MB-231-GFP細胞を乳房組織に移植して成熟した後、細胞の動きを30分間隔で観察したものを示した図である。
【0037】
図6〜
図7に図示された通り、本実施例によるウィンドー装置を利用して、動物の呼吸及び循環による動きを維持しながらも、ウィンドー装置と対物レンズは平行状態に維持させ、細胞レベルで癌細胞の様子の変化を観察できた。
【0038】
図8は、本実施例によるウィンドー装置及び共焦点顕微鏡を利用して、癌細胞周囲に形成された血管等を観察したことを示した図である。
図8を参照すると、癌細胞が、代謝のためにその周辺にぎっしりと形成された血管のCD31の抗体によって、蛍光物質で染色して確認できた。
【0039】
以上のように、本発明は、具体的な構成要素等のような特定の事項等と限定された実施例及び図面により説明されたが、これは本発明のさらに、全般的な理解を支援するために提供されたものであって、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、これらの記載から多様な修正及び変形が可能である。従って、本発明の思想は説明された実施例に限られて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等ないし等価的変形である全てを、本発明思想の範疇に属すると言える。