(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応混合物の移動方向の最上流に位置する前記反応槽以外の少なくとも1つの前記反応槽に、前記重合溶媒を追加供給する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の連続製造方法。
前記反応混合物の移動方向の最上流に位置する前記反応槽における前記重合溶媒の量は、前記反応原料中のアリーレン単位1モル当たり、1L未満であることを特徴とする、請求項3に記載の連続製造方法。
前記反応槽は、各反応槽が収容し得る液体の最大液面レベルの高い順番で接続されており、前記反応混合物は、液面レベルの高低差を利用して順次移動することを特徴とする、請求項6に記載の連続製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0013】
〔実施形態1〕
図1は、本発明に係る連続製造装置の一実施形態(以下、「実施形態1」という。)を示す部分断面図である。以下、
図1に基づき、実施形態1の構成を説明する。
<連続製造装置>
実施形態1に係る連続製造装置100は、反応槽1a〜1fの6つの反応槽を収容する収容室2を備えている。収容室2は反応原料供給側から反応混合物回収側に向かって伸びる筒状の槽である。後述するように、連続製造装置100では、反応混合物が各反応槽を順次移動する構成となっているが、反応槽1a〜1fは、反応混合物が反応原料供給側から反応混合物回収側へ順次移動する方向に沿って、反応槽1a、1b、1c、1d、1eおよび1fの順に並んでいる。
【0014】
収容室2の形状は、反応槽1aに接する側壁3aおよび反応槽1cに接する側壁3bを底面とする中空円柱形を横倒ししたものである。なお、収容室2の形状はこれに限定されず、中空角柱形を横倒ししたもの等でもよい。
【0015】
収容室2の側壁3aには、収容室2内の反応槽1aに、重合溶媒を連続的又は断続的に供給する重合溶媒供給ライン4、および、モノマー等の反応原料を連続的又は断続的に供給する反応原料供給ライン5が接続されている。なお、反応原料の一部又は全部を予め混合してから目的の反応槽に供給してもよい。また、反応原料供給ライン5は、原料ごとに複数のラインが設けられていてもよい。
【0016】
必要に応じて収容室2に水を供給する水供給ラインを接続してもよい。収容室2の側壁3bには、反応混合物を収容室2から回収する反応混合物回収ライン7が接続されている。溶媒および各種原料は、気相部を介して反応槽1aの液相に供給されてもよいし、直接、反応槽1aの液相に供給されてもよい。
【0017】
また、収容室2の壁面には、反応槽毎に温度を調節するヒーター等の温度制御装置(図示せず)が接続されていてもよく、これにより、例えば、反応混合物の移動方向の上流側から下流側に向かうほど、反応槽1a〜1fの温度を上昇させることもできる。
【0018】
さらに、収容室2の側壁には、反応槽1b〜反応槽1fの少なくとも1つに、重合溶媒を連続的または断続的に追加供給する追加供給ライン(図示せず)が接続されていてもよい。重合溶媒は、気相部を介して反応槽1b〜1fの液相に追加供給されてもよいし、直接、反応槽1b〜1fの液相に追加供給されてもよい。
【0019】
収容室2内に収容される複数の反応槽は、収容室の気相部を介して互いに連通するように、任意の隔離手段で隔離されている。
図1においては、反応槽1a〜1fは、収容室2の下部に設けられた隔壁8a〜8eによって隔てられている。反応槽1a〜1fは、収容室2における気相部を介して、互いに連通している。例えば、反応槽1a中の原料混合物は、隔壁8aを乗り越えて反応槽1bへと移動する。
【0020】
反応槽1a〜1fは、上記順番で直列に接続されている。なお、前記反応混合物の移動方向の最上流の反応槽1aを除いた各反応槽において、前記移動方向の上流側の隔壁の最小高さは、その反応槽の前記最大液面レベルよりも高い。即ち、反応槽1bにおいて、前記移動方向の上流側の隔壁8aの最小高さは、反応槽1bの最大液面レベルよりも高く、反応槽1cにおいて、前記移動方向の上流側の隔壁8bの最小高さは、反応槽1cの最大液面レベルよりも高い。同様に、前記移動方向の上流側の隔壁8c〜8eの最小高さは、それぞれの下流側の反応槽1d〜1fの最大液面レベルよりも高い。これにより、反応槽1bから反応槽1aへの逆流、反応槽1cから反応槽1bへの逆流等の、下流側の反応槽から上流側の反応槽への逆流が防止される。反応槽1a〜1fは、それぞれ反応混合物9a〜9fを収容し得る。
【0021】
このように、本発明に係る連続製造装置の好ましい一実施形態において、反応槽は、隣接する反応槽同士の組み合わせにおいて少なくとも1組以上が、反応槽が収容し得る液体の最大液面レベルの高い順番で順次接続され、反応混合物は、最大液面レベルの高低差により、最大液面レベルのより高い反応槽から最大レベルのより低い反応槽に移動する構成としてもよい。本明細書において「順次接続」とは、好ましくはすべて直列に接続されていることを意味するが、一部並列であってもよい。
【0022】
この構成によれば、液面レベルの差と重力とに従って反応混合物が移動するため、反応混合物を次の反応槽へ移動させるために別途手段を設ける必要がなく、簡素な装置構成を実現することができる。
【0023】
収容室2においては、反応槽1a〜1f中の反応混合物9a〜9fを撹拌する撹拌翼10a〜10fが、同一の撹拌軸11に設置されている。撹拌軸11は、収容室2外から側壁3aを貫き、側壁3bに達するように設置されている。撹拌軸11の側壁3a側の末端には、撹拌軸11を回転させる回転駆動装置12が設置されている。
【0024】
収容室2の側壁3a近傍には、排気ライン13の一端が接続されている。排気ライン13の他端には、収容室2における気相からの脱水を行う脱水部14が接続されている。
【0025】
収容室2の側壁3bには、収容室2における気相と連通し、反応混合物の移動方向の下流側から上流側に向けて、即ち、反応槽1cから反応槽1aに向けて、該気相に不活性ガスを送り込む送気部28が、送気ライン29を介して接続されている。不活性ガスとしては、特に限定されず、例えば、アルゴン等の希ガス;窒素等が挙げられる。
【0026】
また、収容室2の側壁3bには、さらに、反応混合物回収ライン7が接続されている。反応混合物回収ライン7から回収された反応混合物は、適宜、混入している微量の固体を濾過等により分離除去した後、必要に応じて、さらなる精製操作、または、開環重合反応等に付される。
【0027】
<製造される芳香族環状オリゴマー>
本製造方法は、硫黄、窒素及び酸素からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む芳香族環状オリゴマーの連続製造方法である。芳香族環状オリゴマーは、芳香族ポリマーの原料として好適に用いられる。
【0028】
芳香族環状オリゴマー及び芳香族環状ポリマーとは、少なくとも1つのアリーレン基を含む繰り返し単位を含むオリゴマー及びポリマーである。アリーレン基としては、単環式または多環式の芳香族炭化水素に由来する二価基であって、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン等の任意のアリーレン基が挙げられる。本明細書において、芳香族環状オリゴマー及びポリマーの原料となるモノマー中のアリーレン基及び芳香族環状オリゴマー中の繰り返し単位内のアリーレン基の一つ一つを、アリーレン単位と称する。なお、ビフェニルのように2つの芳香族環同士が直接結合している場合には、全体を1つのアリーレン単位とみなす。一方、ジフェルニルスルフィドのように2つの芳香族環が他の原子を介して結合している場合には、全体を1つとはみなさず、アリーレン単位が2つあるものとみなす。例えば、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンでは、モノマー1モルあたりアリーレン単位が2モルとなる。オリゴマーまたはポリマー中に含まれる複数のアリーレン単位は、同一であっても異なっていてもよい。
【0029】
また、本明細書においてオリゴマーとは、繰り返し単位の数が2〜100であるものを意図している。
【0030】
芳香族環状オリゴマーとして、具体的には、芳香族環と硫黄との結合であるチオエーテル結合を有する芳香族環状チオエーテルオリゴマー、芳香族環と酸素との結合であるエーテル結合を有する芳香族環状エーテルオリゴマー等がある。
【0031】
芳香族環状チオエーテルオリゴマーには、芳香族環とチオエーテル結合、さらにこれらに加えてさらにケトン基、スルホン基の少なくとも一つの基を有するものが含まれる。具体的には芳香族環と硫黄との結合であるチオエーテル結合を有するアリーレンスルフィド環状オリゴマー、より具体的にはポリフェニレンスルフィド環状オリゴマーを含む。また芳香族環と硫黄との結合であるチオエーテル結合に加えてさらにケトン基を有するポリフェニレンスルフィドケトン環状オリゴマー、ポリフェニレンスルフィドケトンケトン環状オリゴマーを含む。また芳香族環と硫黄との結合であるチオエーテル結合に加えてさらにスルホン基を含むポリフェニレンスルフィドスルホン環状オリゴマーを含む。また芳香族環と硫黄との結合であるチオエーテル結合に加えてさらにケトン基とスルホン基を含むポリフェニレンスルフィドケトンスルホン環状オリゴマーを含む。
【0032】
芳香族環状エーテルオリゴマーには、主に芳香族環とエーテル結合とからなる芳香族環状エーテルオリゴマーのほかに、芳香族環およびエーテル結合に加えてさらに、スルホン基を含む芳香族環状スルホンオリゴマー、芳香族環およびエーテル結合に加えてさらに、ケトン基を含む芳香族環状エーテルケトンオリゴマー、芳香族環およびエーテル結合に加えてさらに、窒素を含む基が芳香族環に結合する窒素含有芳香族環状エーテルオリゴマー、芳香族環およびエーテル結合に加えてさらに、イミド基を含む芳香族環状イミドオリゴマーも包含する。なお、芳香族環状チオエーテルオリゴマー、芳香族環状エーテルオリゴマー、芳香族環状スルホンオリゴマー、芳香族環状エーテルケトンオリゴマーおよび窒素含有芳香族環状エーテルオリゴマーは、脱塩重縮合反応により好適に製造することができる。また、芳香族環状イミドオリゴマーについては、脱水重縮合反応により製造することができる。
【0033】
オリゴマー中に複数種の結合が共存する場合は、モル含有比率の高い方の結合に対応する芳香族環状オリゴマーに分類する。
【0034】
本発明の方法による製造上の容易さから、これらの中でも、芳香族環状チオエーテルオリゴマーおよび芳香族環状エーテルオリゴマーが好ましい。
【0035】
芳香族環状チオエーテルオリゴマーは、開環重合することにより芳香族ポリチオエーテルを生成し得るため、芳香族ポリチオエーテルの原料として好適に使用される。芳香族ポリチオエーテルとして、具体的には、ポリアリーレンスルフィド(PAS)、より具体的にはポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルフィドケトン(PPSK)、ポリフェニレンスルフィドケトンケトン(PPSKK)、ポリフェニレンスルフィドスルホン(PPSS)、ポリフェニレンスルフィドケトンスルホン(PPSKS)を挙げることができる。
【0036】
芳香族環状エーテルオリゴマーは、開環重合することにより芳香族ポリエーテルを生成し得るため、芳香族ポリエーテルの原料として好適に使用される。芳香族ポリエーテルとして、具体的には、芳香族環およびエーテル結合に加えてさらに、スルホン基を有するポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルスルホン(PES)に代表される芳香族ポリスルホンを挙げることができる。また、芳香族環およびエーテル結合に加えてさらに、ケトン基を有するポリアリールエーテルケトン(PAEK)を挙げることができる。具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)を挙げることができる。また、窒素を含む基が芳香族環に結合するものとして、具体的には芳香族環及びエーテル結合に加えてさらに芳香環に結合するニトリル基を有するポリエーテルニトリル(PEN)を挙げることができる。
【0037】
脱水重縮合により得られる芳香族環状イミドオリゴマーは、芳香族ポリイミドの原料として使用される。芳香族ポリイミドとして、具体的には、熱可塑性ポリイミド、例えば三井化学株式会社製オーラム(登録商標)及びSABIC IP社製ウルテム(登録商標)等のポリエーテルイミド(PEI)、並びにポリアミドイミド(PAI)等が挙げられ、脱水重縮合反応により形成されるイミド結合のほかに、エーテル結合、ケトン結合、アミド結合を有するものも含まれるが、これに限定されない。
【0038】
本実施形態により得られる芳香族環状オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は通常2万以下、好ましくは1万以下、さらに好ましくは5千以下である。Mwは高速液体クロマトグラフィー又はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって分析可能である。カラム、カラム温度、溶媒等は適宜選択される。
【0039】
本実施形態により得られる芳香族環状オリゴマーは、繰り返し単位の数が2以上、好ましくは3以上であり、上限は50以下、好ましくは30以下、特に好ましくは20以下のものである。
【0040】
上記繰り返し単位の数を有する芳香族環状オリゴマーは、高速液体クロマトグラフィー又はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による成分分割やFD-MS、MALDI-TOF-MS等の質量分析計によって分析可能である。分析条件は適宜選択される。
【0041】
<芳香族環状オリゴマーの連続製造方法>
次に、
図1に基づき、本実施形態に係る芳香族環状オリゴマーの連続製造方法について、連続製造装置の動作の説明と併せて説明する。
【0042】
本製造方法は、複数の反応槽を有する連続重合装置に、重合溶媒および反応原料を供給する工程と、少なくとも1つの前記反応槽において、前記重合溶媒中で重合反応を行うことにより、反応混合物を形成する工程と、前記反応槽の気相部における水の少なくとも一部を、前記反応槽から除去する工程と、各反応槽に、前記反応混合物を順次移動させる工程と、を含み、前記各工程は同時並行して行われる。さらに、反応混合物の移動方向の最下流に位置する反応槽における重合溶媒の量が、反応原料中のアリーレン単位1モルに対し、1L以上かつ50L以下となるように調整されている。
【0043】
本製造方法について具体的に説明すると、供給工程において、収容室2内の反応槽1aには、重合溶媒および反応原料が、重合溶媒供給ライン4および反応原料供給ライン5を通じて供給される。反応原料および重合溶媒は、それぞれの供給ラインから別々に供給しても、その一部又は全部をあらかじめ混合してから供給してもよい。
【0044】
重合溶媒、特に重縮合反応溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジプロピルホルムアミド等のN,N−ジアルキルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド等のN,N−ジアルキルアセトアミド;ε−カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N−エチルカプロラクタム、N−プロピルカロラクタム等のカプロラクタムまたはN−アルキルカプロラクタム;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のピロリドン、N−アルキルピロリドンまたはN−シクロアルキルピロリドン;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N,N’−ジエチルイミダゾリジノン、N,N’−ジプロピルイミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノン;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキルリン酸トリアミド;スルホラン(1,1−ジオキソチラン)、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホンおよびジフェニルスルホン等のスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド;ならびにこれらの混合物からなる群から選択される混合溶媒等の有機極性溶媒が挙げられる。好ましくは室温で液体の有機極性溶媒である。
【0045】
好適なアリーレンスルフィド環状オリゴマーの重合溶媒としては、効率よく環状オリゴマーを得ることができる点等から、N−アルキルカプロラクタム、N−アルキルピロリドンまたはN−シクロアルキルピロリドンN,N−ジアルキルイミダゾリジノンが挙げられる。より好ましくはN−エチル−2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドンである。
【0046】
好適な芳香族環状スルホンオリゴマーの重合溶媒としては、効率よく環状オリゴマーを得ることができる点等から、N−アルキル−2−ピロリドン、N−シクロアルキルピロリドン、N−アルキルカプロラクタム、N,N’−ジアルキルイミダゾリジノン、N−アルキルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられる。より好ましくは、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、スルホラン、ジメチルスルホキシドである。特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランである。
【0047】
好適なエーテルエーテルケトン環状オリゴマーやエーテルニトリル環状オリゴマーの重合溶媒としては、効率よく環状オリゴマーを得ることができる点等から、N−アルキル−2−ピロリドン、N−シクロアルキルピロリドン、N−アルキルカプロラクタム、N,N’−ジアルキルイミダゾリジノン、N−アルキルカプロラクタム、スルホン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。より好ましくは、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、スルホラン、ジメチルスルホキシドである。特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、スルホランである。
【0048】
本発明において、重合溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
また、重合溶媒については、反応混合物の移動方向の下流側に位置する反応槽1b〜1fのいずれか1つまたは複数に、追加供給ラインを通じて追加供給してもよい。重合溶媒を追加供給することによって、芳香族環状オリゴマーの収率アップ等の効果を奏する。追加供給する重合溶媒は、重合溶媒供給ライン4から供給される重合溶媒と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0050】
反応槽1a〜1fのそれぞれに収容される反応混合物9a〜9fのそれぞれにおいて、重合溶媒と反応原料との比率は、反応原料中のアリーレン単位1モルに対し、重合溶媒が1〜50Lとなる量で存在し、さらには、反応原料中のアリーレン単位1モルに対し、重合溶媒が1.5〜20Lとなる量で存在することがより好ましい。各反応混合物において、重合溶媒と反応原料との比率がこの範囲であることにより、モノマーの環化重合(閉環重合)を進行させることができる。なお、重合溶媒を追加供給する場合は、反応槽1b〜1fのそれぞれに収容される反応混合物9b〜9fのそれぞれにおいて、反応原料中のアリーレン単位1モルに対し、重合溶媒が1〜50Lとなるように、各供給ラインから供給する。
【0051】
重合溶媒を追加供給しない場合は、反応槽1aへの供給工程において、重合溶媒と反応原料とを、反応原料中のアリーレン単位1モルに対し、重合溶媒が1〜50Lとなるように、各供給ラインから供給する。あるいは、重合溶媒と反応原料とは、上記比率となるように予め混合された状態で、反応槽1aに供給されてもよい。
【0052】
重合溶媒を、上記移動方向の下流側に位置する反応槽1b〜1fのいずれかに追加供給する場合は、追加供給された反応槽内の反応混合物において、重合溶媒と反応原料とが上記比率となるように、重合溶媒供給ライン4、反応原料供給ライン5及び追加供給ラインからの供給量を調整する。具体的には、反応槽1aへの供給工程において、重合溶媒および反応原料を、反応原料中のアリーレン単位1モルあたりの前記重合溶媒の量が1L未満となる比率で、さらに好ましくは0.1〜0.7Lとなる比率で、重合溶媒供給ライン4および反応原料供給ライン5から、連続的または断続的に供給する。一方、下流側に位置する反応槽内の反応混合物には、反応原料中のアリーレン単位1モルに対し、重合溶媒が1〜50Lとなるように、好ましくは1.5〜20Lとなるように、重合溶媒を追加供給ラインから追加供給し、反応原料濃度を希釈する。次に示す通り、反応槽1aに供給する重合溶媒の量をアリーレン単位1モルあたり1L未満とし、反応槽1b以降において重合溶媒を追加供給することにより、より効率的に環化反応を行うことができる。しかしながら、反応槽1b以降において重合溶媒を追加供給する場合でも、反応槽1aに供給する重合溶媒の量をアリーレン単位1モルあたり1L以上としてもよい。
【0053】
重合溶媒を、上記移動方向の下流側に位置する反応槽1b〜1fのいずれかに追加供給する場合は、反応槽1bに追加供給することが好ましい。
【0054】
上記移動方向の上流側に位置する反応槽においては、反応混合物中の反応原料濃度を高くし、下流側に位置する反応槽においては、重合溶媒を追加供給することによって、反応混合物中の反応原料濃度を低くすることにより、効率的に環化重合を進行させることができる。すなわち、原料仕込み時には、モノマー濃度を高く設定し、初期反応速度を高める一方で、重合の進行に伴ってモノマー濃度を低下させることにより、さらなる重合より自己環化反応を優先的に進行させることができる。
【0055】
供給工程において、反応槽1aに供給された溶媒および各種原料は、重合工程において、まず、反応槽1aにおいて混合され、重合溶媒中で重合反応が行われることにより、反応混合物9aが形成される。なお、場合によっては、反応槽1aにおいては重合反応が実質的に進行せず、脱水のみを行い、反応槽1b以降で重合反応が進行する構成であってもよい。
【0056】
なお、反応槽1a〜1fのうち少なくとも一つの反応槽に水を添加してもよい。その際に添加する水の量は、反応原料の量に応じて適宜に調整することができる。
【0057】
本製造方法では、脱水工程において、排気ライン13を通じた脱水部14の作用(詳細は後述する。)により、収容室2内の水の少なくとも一部が、収容室2における気相を介して、収容室2から除去される。これにより、反応槽1a〜1fに存在する水の少なくとも一部は除去される。収容室2内の水としては、収容室2に供給した水が挙げられる。ここで、収容室2に供給した水とは、例えば、積極的に収容室2に供給した水、および、積極的に水を収容室2に供給していない場合には、通常、反応原料に含まれた状態で反応原料とともに収容室2に供給された水を指す。水は蒸気圧が高いため、収容室2の気相に水分が多く含まれると、収容室2内が高圧となりやすく、収容室2の耐圧化が必要となるため、省資源化、設備コスト削減等を図りにくい。また重合反応を阻害させない程度まで水分量を低減することが望ましい。脱水部14による脱水方法として、加熱による脱水および減圧による脱水等が挙げられる。加熱による脱水の場合、好ましくは100〜270℃、より好ましくは140〜250℃、さらに好ましくは150〜235℃で加熱する。減圧による脱水の場合、好ましくは60〜200℃、より好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃で脱水する。脱水部14により脱水を行い、収容室2内を低圧化することで、省資源化、設備コスト削減等を効果的に実現することができ、また脱水反応をスムーズに行わせることができる。
【0058】
アリーレンスルフィド環状オリゴマー、エーテルエーテルケトン環状オリゴマーおよびエーテルニトリル環状オリゴマーの重合温度は、通常120℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上であり、上限は通常300℃以下、好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下である。
【0059】
芳香族環状スルホンオリゴマーの重合温度は、通常120℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上であり、上限は通常260℃以下、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下である。
【0060】
反応系である収容室2内の圧力は、供給される溶媒が沸騰しない圧力まで低下させることができ、各反応槽の温度にもよるが、例えば、ゲージ圧0.3MPa程度まで低くすることができ、さらにはゲージ圧0.2MPa程度まで低くすることができる。また、好ましくはゲージ圧0.04MPa程度、さらにはゲージ圧0.0001MPa程度の加圧状態まで、または、ゲージ圧0MPaまで低くすることができる。負のゲージ圧にすることも可能ではあるが、負圧を生じさせるためのエネルギーコスト、溶媒の沸点低下などの観点から、加圧状態であることが好ましい。
【0061】
反応槽1a〜1fは、上述したように、収容室2における気相を介して、互いに連通しており、収容室2における気相の圧力は均一である。このことから、脱水工程においては、脱水部14により、反応槽1a〜1fのいずれからも水が除去される。そのため、反応槽1aから反応槽1fに向かうほど、即ち、反応混合物の移動方向の上流側から下流側に向かうほど、反応混合物中の水の量が少なくなる。その結果、水による反応阻害が抑制され、環化重合反応が促進される。また、反応混合物の沸点が上昇するため、高温での反応が可能となり、更に環化重合反応を促進できる。そして、上述の環化重合反応促進により、反応混合物の温度が上昇しやすくなり、更に環化重合反応が促進されやすくなる。
【0062】
以上の通り、連続製造装置100では、例えば、上述の通りに各部を配置し、連続反応を行うこと全体を通じて、前記移動方向の上流側から下流側に向かうほど、反応槽1a〜1fの温度を上昇させることもできる。言い換えれば、反応槽1a〜1fの内部温度が、反応混合物の移動方向の上流側から下流側に向かうほど高くなるように設けることができる。
【0063】
また、上述したように、反応槽1a〜1fは、各反応槽が収容し得る液体の最大液面レベルの高い順に接続されている。これにより、反応混合物の移動工程において、最大液面レベルの高低差を利用して反応混合物を順次移動させることができる。より具体的には、反応混合物9a〜9eがそれぞれの反応槽の最大液面レベルを超えたときに、それぞれ隔壁8a〜8eを超えることができる。最大液面レベルの高低差を利用して反応混合物を順次移動させることにより、重力を利用して反応混合物を移動させるので、多大なエネルギーが不要である。よって、省資源化、省エネルギー化、設備コスト削減等を図りやすい。なお、反応槽1a〜1fが、収容室2における気相を介して互いに連通することが妨げられない限り、隔壁8a〜8eの形状は特に限定されず、任意の形状であってもよい。また、隔壁の開口部、例えば貫通口またはスリット(いずれも図示せず)により反応液が移動する構成としてもよい。
【0064】
本実施形態では、送気部28により、反応混合物の移動方向の下流側から上流側に向けて、即ち、反応槽1fから反応槽1aに向けて、収容室2における気相に不活性ガスを送り込むことが好ましい。上述の通りに、反応混合物の移動方向の上流側から下流側に向かうほど、反応混合物中の水の量が少なくなる状態を保つためには、反応混合物から蒸発した水分が上記下流側に流れて、反応混合物上で凝縮しないようにすることが好ましい。送気部28により上記の通り上記気相に不活性ガスを送り込むことにより、水蒸気が上記下流側に流れて反応混合物上で凝縮するのを効果的に防止することができる。
【0065】
回転駆動装置12により撹拌軸11が回転し、それに伴い、撹拌軸11に設置された撹拌翼10a〜10fが撹拌軸11の周りを回転して、反応混合物9a〜9fが撹拌される。撹拌翼10a〜10fは同一の撹拌軸11に設置されている。そのため、回転駆動装置12により撹拌軸11を回転させるだけで、撹拌翼10a〜10fの全てを同じ条件で回転させ、均質な撹拌を高い効率で実現することができる。なお、本発明において、撹拌軸11は単軸の場合を示しているが、2軸又は3軸以上の多軸であってもよい。
【0066】
環化重合反応が脱塩重縮合反応である場合、環化重合反応の進行に伴い、アルカリ金属ハロゲン化物等の塩が析出する。塩が反応槽の底部に蓄積すると、十分な環化重合反応を進行させるのに有効な体積が減少し、生産性の低下等が生じやすい。また、蓄積した塩を除去するための余計なメンテナンス作業が発生してしまう。撹拌翼により反応混合物を撹拌することにより、塩を反応混合物中に分散させて、下流側の反応槽1fまで移動させ、その後、収容室外に排出することが容易となる。一方で、撹拌が激しすぎると、反応混合物は、隔壁を超えて、上流側の反応槽から下流側の反応槽へ不必要に混入しやすい。
【0067】
反応槽1a〜1fにおいては、塩等の固体の分散を促進し、反応槽間での反応混合物の不必要な混入を回避できるよう、適宜、撹拌翼の形状、枚数、回転数等を調整することが好ましい。このうち、撹拌翼の回転数としては、例えば、固体が沈降しない条件、より具体的には、与えられた槽、撹拌翼の形状及び枚数等において、撹拌翼による撹拌速度が粒子浮遊限界撹拌速度以上となるような回転数が挙げられる。なお、回転数の上限は、反応混合物が隔壁を超えるのを防ぎやすい点で、撹拌翼の回転数が120rpm以下となるような速度が好ましく、60rpm以下となるような速度がより好ましい。また、撹拌が十分に行われるように、撹拌翼の回転経路等も、適宜、調整することが好ましい。例えば、固体が沈降しないように、撹拌翼が反応槽の底部付近を通過するような形状とすることが好ましい。
【0068】
脱水部14には、収容室2からの排気が排気ライン13を通じて供給される。脱水部14は、例えば、蒸留塔として作用し、一端(例えば、下部)からは、重合溶媒を主成分とする液体が回収され、他端(例えば、上部)からは、各種原料、および水を含む蒸気が回収される。
【0069】
脱水部14から回収された重合溶媒は、適宜、精製等を経て、重合反応の反応原料として、反応原料との比率が上記範囲となるように、再度、収容室2に供給してもよい。回収された重合溶媒の供給先は、反応槽1a〜1fのいずれか1つでもよいし、これらの2以上の組み合わせでもよい。
【0070】
また、連続製造装置100の駆動には、最大液面レベルの高低差および固体の沈降に基づき、重力を利用して反応混合物の移動等を行っており、多大なエネルギーが不要である。よって、連続製造装置100は、省資源化、省エネルギー化、設備コスト削減等を図りやすい。
【0071】
また、本製造方法によれば、気相を介して互いに連通する複数の反応槽の少なくとも1つに反応原料を供給すればよいので、複雑な制御等が不要であり、芳香族環状オリゴマーの製造が容易となる。
【0072】
なお、本実施形態では特定の装置を用いた芳香族環状オリゴマーの連続製造方法として説明したが、本発明に係る製造方法は、少なくとも気相を介して互いに連通する複数の反応槽を用いるものであって、上述した供給工程、重合工程、脱水工程、移動工程、および場合により再供給工程、を含み、これら各工程が同時並行して行われるものであれば、本製造方法はさらに他の工程を含んでいてもよい。
【0073】
また、本実施形態では特定形状の反応槽を用いているが、反応槽の形状は特に限定されるものではない。
【0074】
さらに、本実施形態において反応槽の数は特に限定されるものではない。また、反応槽は必ずしも
図1に示すように直列に接続されている必要はない。したがって、例えば複数の反応槽のうち一部が並列に並んでいてもよい。
【0075】
さらに、複数の反応槽のうち隣り合う少なくとも1対の反応槽は、各反応槽が収容し得る液体の最大液面レベルの高い方の反応槽が、反応混合物が移動する方向の上流側に位置しており、最大液面レベルの高低差を利用して、反応混合物を移動させることが好ましい。これにより、少なくとも1対の反応槽においては重力を利用して反応混合物の移動を行えるため、省資源化、省エネルギー化、設備コスト削減等を図ることができる。
【0076】
さらに、本実施形態において、不活性ガスを送り込む送り込み工程は、上述した各工程と同時並行して行うことが好ましい。さらにまた、反応原料の一部を分離して回収する分離回収工程と、反応原料の少なくとも一部を反応槽の少なくとも一つに供給する再供給工程は、上述した工程と同時並行して行うことが好ましい。
【0077】
さらに、本実施形態では反応槽1aに反応原料を供給する構成について説明したが、反応原料が供給される反応槽は特定されるものではない。
【0078】
〔実施形態2〕
続いて、連続製造装置の他の例について、
図2を用いて説明する。
図2は、連続製造装置の構成の他の例を概略的に示す図である。
【0079】
図2を参照して説明すると、連続製造装置200は、第1の反応槽50、第2の反応槽51および第3の反応槽52を備えている。第2の反応槽51は第1の反応槽50に対して、第3の反応槽52は第2の反応槽51に対して、それぞれ鉛直方向下方に配置されている。
【0080】
第1の反応槽50と第2の反応槽51とは、第1の配管65によって接続されている。また、第2の反応槽51と第3の反応槽52とは、第2の配管67によって接続されている。
【0081】
重合溶媒および反応原料が、供給ライン4から第1の反応槽50に供給され、第1の配管65は、第1の反応槽50中の反応混合物が最大液面レベルを超えたときに、反応混合物が第1の配管65を通って第2の反応槽51に移動するように設けられている。また、第2の配管67は、第2の反応槽51中の反応混合物が最大液面レベルを超えたときに、反応混合物が第2の配管67を通って第3の反応槽52に移動するように設けられている。そして、第3の反応槽52の底部において、固体は沈降により洗浄部の下部から排出され、浄化された反応混合物および洗浄液は、反応混合物回収ライン7から回収される。
【0082】
第1〜第3の反応槽50〜52のそれぞれは、通気部70が接続されている。通気部70を介して、第1〜第3の反応槽50〜52は気相と介して連通している。
【0083】
このような連続製造装置200の構成によって、第1の反応槽50および第2の反応槽51のそれぞれの最大液面レベルの高低差を利用して反応混合物を順次移動させても、実施形態1と同様の効果が得られる。さらに連続製造装置200によれば、実施形態1に示したような隔壁を設ける必要がない。
【0084】
重合溶媒および反応原料を第1の反応槽50に供給する一方、第2の反応槽51及び/又は第3の反応槽52に、追加供給ライン(図示せず)を通じて、重合溶媒を連続的または断続的に追加供給してもよい。重合溶媒を追加供給する場合、第2の反応槽51に追加供給するのが好ましい。
【0085】
各反応槽内の反応混合物のそれぞれにおいて、重合溶媒と反応原料との比率は、実施形態1において説明したとおりである。
【0086】
〔実施形態3〕
さらに、連続製造装置の他の例について、
図3を用いて説明する。
図3は、連続製造装置の構成の他の例を概略的に示す図である。
【0087】
図3を参照して説明すると、連続製造装置300は、実施形態1の収容室22内で、反応槽を隔離する隔離手段が、隔壁ではなく、回転中心を有する仕切板である点において、実施形態1と異なる。
【0088】
本実施形態では、反応槽1aと反応槽1bとは、仕切板20aによって隔てられ、反応槽1bと反応槽1cとは、仕切板20bによって隔てられている。反応槽1a、反応槽1bおよび反応槽1cは、収容室22における気相部を介して、互いに連通している。
【0089】
また、仕切板20aの片面には、反応槽1a中の反応混合物9aを撹拌する撹拌翼10aが取り付けられている。同様に、仕切板20bの片面には、反応槽1b中の反応混合物9bを撹拌する撹拌翼10bが取り付けられている。なお、本実施形態における撹拌翼10aおよび10bは、上述の実施形態における撹拌翼10aおよび10bと異なり、内側に開口が設けられている構造を有している。
【0090】
撹拌翼10aおよび10b並びに仕切板20aおよび20bは、いずれも同一の回転軸21に設置されている。回転軸21は、収容室22外から側壁3aを貫き、側壁3bに達するように設置されている。回転軸21の側壁3a側の末端には、回転軸21を回転させる回転駆動装置12が設置されている。
【0091】
なお、撹拌翼は、仕切板に対して任意の位置に設置可能である。仕切板は撹拌翼の上流側であってもよく、下流側であってもよく、またこれらが混在してもよい。仕切板は撹拌翼と離れていても良いが、
図3のように密着して連結させることにより、仕切板の固定および補強ができるので好ましい。また、撹拌翼と仕切板は必ずしも、一対である必要はなく、隣接する仕切板の間に、撹拌翼が無いところがあってもよい。少なくとも1つの撹拌翼を設けることにより、重合反応の進行を補助すると共に、反応混合物中の固体の移動をよりスムーズにすることができる。あるいは、撹拌翼は設けなくてもよく、これにより、より簡素な装置構成が可能になる。
【0092】
仕切板の形状としては、特に限定されず、回転中心を有し、且つ、収容室22内の鉛直断面を部分的に塞ぐ一方で、隣り合う反応槽が連通するように、所定の幅のクリアランスまたは開口部を与える任意の形状であってよい。例えば、収容室22が中空円柱形である場合、
図3に示されるように、収容室の内部空間よりも一回り小さい半径を有する円盤状の仕切板であってよい。なお、仕切板の形状はこれに限定されず、中心軸を有さなくてもよい。仕切り板が中心軸を有さない場合、例えば、隣り合う仕切板が網状部材を介して連結することにより、複数の仕切り板がかご状回転物を形成してもよい。かご状回転物は、外側の仕切り板(最も側壁3b側に位置する仕切り板)に回転軸を備え、該回転軸を回転させることによって、内側の仕切り板に中心軸がなくても、各仕切板を回転させることができる。
【0093】
回転軸上に設けられる仕切板の数は、収容室のサイズや重合反応の種類等に応じて、1以上の任意の数であってよい。
【0094】
仕切板が2枚以上設けられている場合、これらは同一の形状であっても、またはそれぞれ異なっていてもよい。
【0095】
また、各仕切板の位置は、特に限定されず、任意の位置に設けることができる。
【0096】
一方、撹拌翼の形状としては、特に限定されず、仕切板と同軸に設けられ、反応混合物を撹拌する任意の形状であってよい。撹拌翼10は、
図3に示されるように、仕切板20のいずれか一方の面に取り付けられていてもよく、または、両面に取り付けられていてもよい。または、仕切板とは別個に、回転軸21上に取り付けられていてもよい。
【0097】
反応槽1a〜1cは、その液相部どうしが互いに連通している。その結果、反応槽1aに供給された重合溶媒および反応原料は、反応混合物として重合反応を進行させながら、反応槽1bおよび1cへと順次移動する。
【0098】
重合溶媒および反応原料を反応槽1aに供給する一方、反応槽1b及び/又は反応槽1cに、追加供給ライン(図示せず)を通じて、重合溶媒を連続的または断続的に追加供給してもよい。
【0099】
各反応槽内の反応混合物のそれぞれにおいて、重合溶媒と反応原料との比率は、実施形態1において説明したとおりである。
【0100】
反応槽を順次移動してきた反応混合物は、反応混合物回収ライン7から回収される。
【0101】
各反応槽における反応により析出した塩等の固体は、反応槽の底部に蓄積することなく、反応混合物と共に移動し、収容室22外に排出される。したがって、反応槽の反応空間の減少を防ぐことができる。
【0102】
また、反応槽1a〜1cは、その気相部どうしも互いに連通している。その結果、収容室22内の気相の圧力は均一となる。そして、各反応槽内で重合時に発生する蒸発成分は、装置内部の温度差等により、この気相部を介して反応槽1cから、1bおよび1aの方向へと順次移動し、排気ライン13から排出される。
【0103】
本実施形態における連続製造装置300では、収容室22の内壁と、仕切板20a〜20bのそれぞれの外縁との間には、所定の幅のクリアランスが存在する。これにより、隣接する反応槽の気相部どうし、および、液相部どうしが連通し、反応混合物、蒸発成分を含む気体等が移動する。なお、クリアランスを設ける代わりに、仕切板に開口部、例えば貫通孔またはスリットを設け、これを介して反応槽を連通させてもよい。または、クリアランスおよび開口部の両方を設けてもよい。あるいは、仕切板は、複数の細かい貫通孔を有するメッシュ状であってもよい。
【0104】
クリアランスの幅または開口部のサイズは、特に限定されず、容器の形状、仕切板の形状および数等に応じて適宜に設定することができる。反応容器の内部空間の鉛直断面に占める、クリアランスまたは開口部の断面積の割合は、1〜50%であり、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましい。クリアランスまたは開口部の断面積の割合が上記範囲であることで、固体を含む反応混合物および揮発成分の逆流を防ぎ、移動を制御することができる。
【0105】
実施形態3において、上記以外の点については、実施形態1において説明したとおりである。
【0106】
重合溶媒を追加供給する場合、反応槽1bに追加供給するのが好ましい。
【0107】
〔実施形態4〕
続いて、連続重合装置のさらに他の例について説明する。
【0108】
本実施形態4に係る連続製造装置(図示せず)は、収容室内において、複数の反応槽が上下方向に隣接して配置されている。互いに隣接する反応槽は、隙間のなく固定されている仕切板によって隔たれているとともに、接続管を通して上側の反応槽から下側の反応槽へと反応混合物が順次移動するように構成されている。また各反応槽は連通管により、各反応槽の気相部が互いに連通している。そのため収容室における各反応槽の気相の圧力はほぼ同一である。気相部を連通する連通管は、反応混合物が順次移動する接続管がその機能を兼ねている形態であってもよいし、接続管とは別に設けた管であってもよい。
【0109】
ここで、鉛直方向上側から順に第1の反応槽と、第2の反応槽とが設けられている場合を例にして具体的に説明する。第1の反応槽と第2の反応槽とは第1の接続管を通じて連通しており、第1の接続管の管壁は、第1の反応槽内に突出している。第1の接続管の管壁の高さは、第1の反応槽が収容し得る液体の最大液面レベルと等しくなるように設けられている。第1の接続管は、第1の反応槽と第2の反応槽とを隔てる第1の仕切り板を貫通している。
【0110】
このような構成の連続製造装置において、反応混合物の高さが第1の反応槽の最大液面レベルを超えると、反応混合物は、第1の接続管の管壁を超えて第1の接続管に流れ込み、第1の接続管を介して第2の反応槽に流れ込む。このような連続製造装置の構成として反応混合物を順次移動させてもよい。
【0111】
また、第一の反応槽と第二の反応槽とは、接続管または連通管により第一の反応槽の気相部と第二の反応槽の気相部とが互いに連通している。
【0112】
[まとめ]
本発明の第1の態様によれば、本発明に係る連続製造方法は、硫黄、窒素及び酸素からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む芳香族環状オリゴマーの連続製造方法であって、複数の反応槽を有する連続製造装置に、重合溶媒および反応原料を供給する工程と、少なくとも1つの前記反応槽において、前記重合溶媒中で重合反応を行うことにより、反応混合物を形成する工程と、前記反応槽の気相部における水の少なくとも一部を、前記反応槽から除去する工程と、各反応槽に、前記反応混合物を順次移動させる工程と、を同時並行して行うことを含み、前記反応混合物の移動方向の最下流に位置する前記反応槽における前記重合溶媒の量は、前記反応原料中のアリーレン単位1モル当たり、1L以上かつ50L以下であり、前記複数の反応槽の各気相部は互いに連通しており、各気相部の圧力が均一である。
【0113】
上記構成によれば、各反応槽内で重合反応が進行して得られる反応混合物が、各反応槽を順次移動する一方で、各反応槽内で生じた蒸発成分は、反応槽間の温度差にしたがって連通する気相部を介して移動し得る。この構成によれば、気相部が連通していることから簡便な方法により各気相部の圧力を均一に制御することができ、これにより反応混合物からの溶媒の蒸発が制御され、環化反応を促進することができる。また、反応原料と重合溶媒との比率を調整することにより、環状オリゴマーを効率的に製造することができる。
【0114】
本発明の第2の態様によれば、上記第1の態様において、上記芳香族環状オリゴマーは、芳香族環状チオエーテルオリゴマーおよび芳香族環状エーテルオリゴマーであることが好ましい。
【0115】
本発明の第3の態様によれば、上記第1または第2の態様において、前記反応混合物の移動方向の最上流に位置する前記反応槽以外の少なくとも1つの前記反応槽に、前記重合溶媒を追加供給する工程をさらに含むことが好ましい。
【0116】
本発明の第4の態様によれば、上記第3の態様において、前記反応混合物の移動方向の最上流に位置する前記反応槽における前記重合溶媒の量は、前記反応原料中のアリーレン単位1モル当たり、1L未満であることが好ましい。
【0117】
上記構成によれば、原料仕込み時のモノマー濃度を高めて初期反応を促進させる一方で、途中工程から溶媒を追加供給することにより、環化反応を優先的に進行させることができる。
【0118】
本発明の第5の態様によれば、上記第1〜第4のいずれかの態様の連続製造方法で製造した芳香族環状オリゴマーを用いて、芳香族重合体を製造する方法が提供される。
【0119】
本発明の第6の態様によれば、また、本発明に係る連続製造装置は、硫黄、窒素及び酸素からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む芳香族環状オリゴマーの連続製造装置であって、前記連続製造装置は、複数の反応槽を有し、前記複数の反応槽は、反応混合物が各反応槽を順次移動するように構成されており、前記複数の反応槽は、前記反応混合物より上部に形成される気相部が互いに連通している。
【0120】
上記構成によれば、簡素で安価な装置構成で、効率的に環化反応を進行させることができる。
【0121】
本発明の第7の態様によれば、上記第6の態様において、前記反応槽は、各反応槽が収容し得る液体の最大液面レベルの高い順番で接続されており、前記反応混合物は、液面レベルの高低差を利用して順次移動することが好ましい。
【0122】
上記構成によれば、液面レベルの差と重力とに従って反応混合物が移動するため、反応混合物を次の反応槽へ移動させるために別途手段を設ける必要がなく、簡素な装置構成を実現することができる。
【0123】
本発明の第8の態様によれば、上記第6の態様において、収容室をさらに備えており、前記複数の反応槽は、前記収容室内に収容されており、前記複数の反応槽のそれぞれは、収容室内の下部に1以上の隔壁を設けることによって形成された反応槽であり、前記隔壁の高さによって、各反応槽が収容し得る液体の最大液面レベルが規定され、前記反応槽は、各反応槽が収容し得る液体の最大液面レベルの高い順番で接続されており、前記反応混合物は、液面レベルの高低差を利用して順次移動することが好ましい。
【0124】
上記構成によれば、複数の反応槽が、収容室の気相を介して互いに連通しており、簡素な装置構造を可能にし、また、メンテナンスを容易にすることができる。
【0125】
本発明の第9の態様によれば、上記第6または7の態様において、収容室をさらに備えており、前記複数の反応槽は、前記収容室内に収容されており、前記複数の反応槽のそれぞれは、回転中心を有する1以上の仕切板を前記収容室内に設けることによって隔てられた反応槽であることが好ましい。
【0126】
上記構成によれば、複数の反応槽は、回転中心を有する仕切板によって隔てられている。装置のメンテナンスを行う際には、収容室から、仕切板を引き抜く。残る収納室は中空の簡素な構造であるため、少ない作業工程数で簡便に洗浄・メンテナンスを行うことができる。
【0127】
なお、上述の第9の態様においては、前記回転中心が回転軸であること;前記回転中心が、前記複数の反応槽にまたがる1つの回転軸であり、前記1以上の仕切板が、前記1つの回転軸上に設けられていること;または、前記仕切板と同じ回転中心を有する撹拌翼をさらに備えることがさらに好ましい。
【0128】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
【実施例】
【0129】
[実施例1]
収容室2が5枚の隔壁(8a〜8e)により仕切られて形成された6個の反応槽(1a〜1f)を有する芳香族環状オリゴマー連続製造装置を用いた。この連続製造装置は、内径108mm×長さ300mmの寸法のチタン製反応装置であり、各反応槽間に半円形の隔壁を有する。さらに、上流から第5番目(1e)と第6番目(1f)の反応槽間には、隔壁8eの上部の気相部に、ドーナツ型半円形のバッフル(外径108mm、内径16mm)を設け、開口部の総面積を2cm
2とした。
【0130】
上記芳香族環状オリゴマー連続製造装置に、有機アミド溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1300gを仕込んだ後、第5番目の隔壁(8e)の下流側から窒素ガスを流しながら、収容室の底部に設置した外部ヒーターにより、上流側から1番目の隔壁(8a)と2番目の隔壁(8b)とで区切られた部分(上流側から第2番目の反応槽(1b))の温度1を240℃、3番目の隔壁(8c)と4番目の隔壁(8d)とで区切られた部分(上流側から第4番目の反応槽(1d))の温度2を260℃に保持した。また、上流側から5番目の隔壁(8e)と収容室2の側壁とで区切られた部分(上流側から第6番目の反応槽(1f))の温度を220℃に保持した。
【0131】
各供給ラインより定量ポンプを用いて、上流側から1番目の隔壁(8a)の上流側の反応槽(1a)に、NMPとp−ジクロロベンゼン(pDCB)との混合液を12.87g/min(NMP:pDCB(重量比)=941:59)の流量にて、また、36.40重量%NaSHを0.78g/minの流量にて供給した。
【0132】
同時に芳香族環状オリゴマー連続製造装置に接続された蒸留装置を用いて、圧力調整弁によって圧力をゲージ圧0.32MPaに制御しながら、連続製造装置より連続的に水を除去し、更に、除去した水中のpDCBについては静置槽で分離して連続製造装置に戻した。
【0133】
また、蒸留装置からの排気ガスは、ガス吸収塔に供給された14.55重量%NaOH1.47g/min及びNMP0.62g/minにて洗浄し、放出した。その際、ガス吸収したNaOH水溶液及びNMPは、その全量を上流側から1番目の隔壁(8a)の上流側の反応槽(1a)に供給した。
【0134】
以上の操作による原料の供給量と有効体積から算出される反応混合物の収容室内滞留時間は、1時間と見積もられた。また、反応混合物の移動方向の最下流に位置する反応槽における重合溶媒NMPの量は、反応原料中のアリーレン単位1モル当たり、2.5L(室温下における比重にて換算)と見積もられた。
【0135】
以上の操作を5時間継続した後に得られた反応混合物を採取して分析した。ガスクロマトグラフィー分析による原料pDCBの転化率は74.7%であった。当該反応混合物を5倍重量の水に投入し、撹拌した後、ろ過した。得られたケークを5倍重量の水で3回洗浄・ろ過し、得られたケークを真空下、80℃で8時間乾燥しPPS環状オリゴマーを含む粉体を得た。
【0136】
この粉体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量Mwは8,500であった。
【0137】
この粉体をクロロホルムで抽出したところ、抽出量は5.53wt%であった。抽出物を電解脱離質量分析した結果、検出された全てのピーク強度の合計に対する、PPS環状オリゴマーとしてアサインされたピーク強度の合計の割合は、98%以上であった。よって、原料pDCBに対する、PPS環状オリゴマーの収率は4.13wt%であった。またMwは300超〜1,500以下と見積もられた。
【0138】
[実施例2]
実施例1で使用した芳香族環状オリゴマー連続製造装置を使用した。また、各槽の保持温度は、実施例1と同一とした。
【0139】
各供給ラインより定量ポンプを用いて、上流側から1番目の隔壁(8a)の上流側の反応槽(1a)にNMPとpDCBとの混合液を3.02g/min(NMP:pDCB(重量比)=612:388)の流量にて、また、36.50重量%NaSHを1.20g/minの流量にて供給した。また、上流側から2番目の隔壁(8b)と3番目の隔壁(8c)とで区切られた部分の反応槽(1c)に、NMPを17.23g/minの流量にて供給した。
【0140】
同時に芳香族環状オリゴマー連続製造装置に接続された蒸留装置を用いて、圧力調整弁によって圧力をゲージ圧0.32MPaに制御しながら、連続製造装置より連続的に水を除去し、更に、除去した水中のpDCBについては静置槽で分離して連続製造装置に戻した。
【0141】
また、蒸留装置からの排気ガスは、ガス吸収塔に供給された17.09重量%NaOH1.92g/min及びNMP0.50g/minにて洗浄し、放出した。その際、ガス吸収したNaOH水溶液及びNMPは、その全量を上流側から1番目の隔壁(8a)の上流側の反応槽(1a)に供給した。
【0142】
以上の操作による原料の供給量と有効体積から算出される反応混合物の収容室内滞留時間は、1時間と見積もられた。また、反応混合物の移動方向の最上流に位置する前記反応槽における前記重合溶媒NMPの量は、前記反応原料中のアリーレン単位1モル当たり、0.3L(室温下における比重にて換算)と見積もられた。また、反応混合物の移動方向の最下流に位置する反応槽における重合溶媒NMPの量は、反応原料中のアリーレン単位1モル当たり、2.5L(室温下における比重にて換算)と見積もられた。
【0143】
以上の操作を5時間継続した後に得られた反応混合物を採取して分析した。ガスクロマトグラフィー分析による原料pDCBの転化率は81.93%であった。当該反応混合物を5倍重量の水に投入し、撹拌した後、ろ過した。得られたケークを5倍重量の水で3回洗浄・ろ過し、得られたケークを真空下、80℃で8時間乾燥しPPS環状オリゴマーを含む粉体を得た。
【0144】
この粉体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量Mwは4,000であった。
【0145】
この粉体をクロロホルムで抽出したところ、抽出量は11.79wt%であった。抽出物を電解脱離質量分析した結果、検出された全てのピーク強度の合計に対する、PPS環状オリゴマーとしてアサインされたピーク強度の合計の割合は、98%以上であった。よって、原料pDCBに対する、PPS環状オリゴマーの収率は9.66wt%であった。またMwは300超〜1,300以下と見積もられた。
【0146】
なお、実施例1および2において、重量平均分子量、電解脱離質量分析の測定は以下の測定方法を用いた。
【0147】
〔重量平均分子量〕
ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、株式会社センシュー科学製の高温ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)SSC−7101を用いて、以下の条件で測定した。重量平均分子量はポリスチレン換算値として算出した。
溶媒: 1−クロロナフタレン、
温度: 210℃、
検出器: UV検出器(360nm)、
サンプル注入量: 200μl(濃度:0.05質量%)、
流速: 0.7ml/分、
標準ポリスチレン: 616,000、113,000、26,000、8,200、及び600の5種類の標準ポリスチレン。
【0148】
〔電解脱離質量分析〕
抽出物の電解脱離質量分析(FD−MS)は、日本電子株式会社(JOEL)製、JMS−T100GCVを用いて、以下の条件で測定した。
サンプル:クロロホルム希釈
イオン化モード:FD+
分析m/z範囲:29.00〜3000.00
分子量分布計算ソフト:Polymerix
また、実施例1および2において、実施したクロロホルムでの抽出は、Dionex社製高速溶媒抽出装置ASE150を用いて以下の方法で行った。
サンプル量: 3g
溶媒: クロロホルム
温度: 120℃
静置時間: 3分
洗浄溶媒量: 17mL
洗浄回数: 2回
パージ時間: 100秒
抽出液の溶媒を留去して析出した固形分の重量を測定して、下記式にしたがって、抽出量を算出した。
抽出量(wt%)=固形分の重量(g)/サンプル量(g)×100