特許第6670448号(P6670448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670448
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6552 20140101AFI20200316BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20200316BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20200316BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20200316BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20200316BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20200316BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20200316BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20200316BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20200316BHJP
   H01G 2/08 20060101ALI20200316BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20200316BHJP
【FI】
   H01M10/6552
   H01M2/10 S
   H01M2/10 Y
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/647
   H01M10/6555
   H01M10/653
   H01M10/6567
   H01G11/18
   H01G2/08 A
   H01G11/12
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-159719(P2016-159719)
(22)【出願日】2016年8月16日
(65)【公開番号】特開2018-28999(P2018-28999A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】細江 晃久
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 義幸
(72)【発明者】
【氏名】永渕 昭弘
(72)【発明者】
【氏名】竹山 知陽
(72)【発明者】
【氏名】小林 英一
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−523655(JP,A)
【文献】 特開昭61−173470(JP,A)
【文献】 特表2016−502234(JP,A)
【文献】 特開2012−204129(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/206323(WO,A1)
【文献】 特開2014−157721(JP,A)
【文献】 特開2013−131428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6552
H01G 2/08
H01G 11/12
H01G 11/18
H01M 2/10
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/653
H01M 10/6555
H01M 10/6567
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、
冷媒と前記冷媒を密閉状態で封入する封入体とを有し、前記蓄電素子に重ねられるとともに前記冷媒の蒸発により前記蓄電素子に重ならない領域において前記封入体が変形した膨出部を形成可能とされた冷却部材と、
前記蓄電素子に対して前記冷却部材を挟んで重ねられる伝熱板と、
前記伝熱板及び前記膨出部に当接し、弾性変形可能な弾性部材と、を備える蓄電モジュール。
【請求項2】
前記弾性部材は、スポンジであり、前記スポンジの外面が前記伝熱板の面に接触する請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記弾性部材は、バネであり、前記バネの端部が前記伝熱板及び前記膨出部の少なくとも一方に固定されている請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記伝熱板は、前記蓄電素子が重ねられた面とは異なる方向に延びて前記弾性部材を仕切る隔壁を有し、前記隔壁と前記弾性部材とが当接する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
複数の前記冷却部材と、複数の前記蓄電素子と、複数の前記伝熱板と、を備え、
前記弾性部材は、前記伝熱板と前記膨出部との間に挟まれている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
前記冷却部材は、前記封入体内に配されて前記冷媒を吸収する吸収部材を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、蓄電素子の放熱を行う技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子の放熱を行う技術が知られている。特許文献1は、電池モジュールがパックケースに収容されており、複数の単電池の正極端子と負極端子とがバスバーで電気的に接続されている。パックケースの下部に充填された冷媒が蒸発し、パックケースの上部で凝縮することにより、電池の熱が外部に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−211963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、パックケース内で冷媒の蒸発、凝縮を行う必要があるため、パックケースの全体を密閉する必要になり、蓄電モジュールの構成を簡素化することが容易ではないという問題がある。
【0005】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、蓄電モジュールの構成を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載された蓄電モジュールは、蓄電素子と、冷媒と前記冷媒を密閉状態で封入する封入体とを有し、前記蓄電素子に重ねられるとともに前記冷媒の蒸発により前記蓄電素子に重ならない領域において前記封入体が変形した膨出部を形成可能とされた冷却部材と、前記蓄電素子に対して前記冷却部材を挟んで重ねられる伝熱板と、前記伝熱板及び前記膨出部に当接し、弾性変形可能な弾性部材と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、蓄電素子の熱を、冷媒が封入体に密閉された冷却部材、伝熱板を介して放熱することが可能になるため、例えば蓄電素子が収容されたケース内に冷媒を充填する構成と比較して、必ずしもケースを密閉する必要がないため、蓄電モジュールの構成を簡素化することが可能になる。ここで、蓄電素子の放熱のために冷却部材及び伝熱板を用いる場合には、封入体が膨出変形した膨出部が伝熱板に接触していなければ、膨出部の熱が熱伝導性の低い空間(空気)を介して放熱されることになり、膨出部の放熱性が良くないという問題がある。本構成によれば、弾性部材が伝熱板及び膨出部に当接することにより、膨出部の熱は、弾性部材を介して伝熱板に伝わり、伝熱板を介して外部に放熱させることが可能になるため、放熱性を向上させることができる。また、弾性部材が膨出部の膨出に応じて弾性変形することにより、弾性部材が膨出部に接触する時間を長くすることができるため、熱伝導性を向上させることが可能になる。
【0008】
本明細書に記載された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記弾性部材は、スポンジであり、前記スポンジの外面が前記伝熱板の面に接触する。
【0009】
前記弾性部材は、バネであり、前記バネの端部が前記伝熱板及び前記膨出部の少なくとも一方に固定されている。
【0010】
前記伝熱板は、前記蓄電素子が重ねられた面とは異なる方向に延びて前記弾性部材を仕切る隔壁を有し、前記隔壁と前記弾性部材とが当接する。
このようにすれば、膨出部の熱を弾性部材を介して隔壁に伝えることができるため、放熱性を向上させることが可能になる。
【0011】
複数の前記冷却部材と、複数の前記蓄電素子と、複数の前記伝熱板と、を備え、前記弾性部材は、前記伝熱板と前記膨出部との間に挟まれている。
このようにすれば、膨出部、伝熱板、弾性部材間の熱伝導性を向上させることができる。
【0012】
前記冷却部材は、前記封入体内に配されて前記冷媒を吸収する吸収部材を備える。
このようにすれば、吸収部材により冷媒が移動しやすくなるため、冷却部材の冷却性能を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に記載された技術によれば、蓄電モジュールの構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の蓄電モジュールを示す斜視図
図2】蓄電モジュールを示す平面図
図3】蓄電モジュールを示す正面図
図4図2のA−A断面図
図5図4の一部を拡大した断面図
図6図5に対して封入体が膨出変形していない状態の断面図
図7】弾性部材を示す側面図
図8】実施形態2の蓄電モジュールを示す平面図
図9】蓄電モジュールを示す正面図
図10図8のB−B断面図
図11図10の一部を拡大した断面図
図12図11に対して封入体が膨出変形していない状態の断面図
図13】バネを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1について図1から図7を参照しつつ説明する。本実施形態の蓄電モジュール10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されてモータ等の負荷に電力を供給する。蓄電モジュール10は任意の向きで配置可能であるが、以下では、X方向を左方、Y方向を前方、Z方向を上方として説明する。
【0016】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、図4に示すように、複数(本実施形態では6個)の蓄電素子11と、各蓄電素子11に重ねられて蓄電素子11を冷却する複数の冷却部材20(本実施形態では6個)と、各冷却部材20と各蓄電素子11との間に重ねられて冷却部材20及び蓄電素子11の熱が伝わる複数(本実施形態では6個)の伝熱板30と、伝熱板30及び冷却部材20に接触し、弾性変形可能な弾性部材39(本実施形態では6個)と、を備える。
【0017】
(蓄電素子11)
蓄電素子11は、一対の電池用ラミネートシートの間に図示しない蓄電要素を挟んで、電池用ラミネートシートの側縁を、熱溶着等の公知の手法により液密に接合してなる。蓄電素子11の前端縁からは、図1に示すように、金属箔状をなす正極の電極端子12Aと、負極の電極端子12Bとが、電池用ラミネートシートの内面と液密状態で、電池用ラミネートシートの内側から外側へと突出している。各蓄電素子11の電極端子12Aと電極端子12Bとは、間隔を開けて配され、内部の蓄電要素と電気的に接続されている。
【0018】
複数の蓄電素子11は、上下方向に並べて配されており、隣り合う蓄電素子11は、一の電極端子12Aの隣に他の電極端子12Bが位置するように配されている。隣り合う電極端子12Aと電極端子12Bとは、U字状の複数(本実施形態では5個)の接続部材13を介して電気的に接続される。各電極端子12A,12Bと接続部材13とは例えばレーザー溶接、超音波用溶接、ロウ付け等の公知の手法により接続されている。隣り合う電極端子12A,12B間が各接続部材13で接続されることにより、複数の蓄電素子11が直列に接続されている。
【0019】
本実施形態においては、蓄電素子11として、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池を用いてもよく、また、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタを用いてもよく、必要に応じて任意の種類を適宜に選択できる。
【0020】
(冷却部材20)
冷却部材20は、図4に示すように、液体と気体とに状態が変化する冷媒21と、冷媒21を吸収する吸収部材22と、冷媒21及び吸収部材22を密閉状態で封入する封入体25とを備える。冷媒21は、例えば、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロケトン、フッ素不活性液体、水、メタノール、エタノール等のアルコールからなる群から選ばれる1つ、又は複数を用いることができる。冷媒21は、絶縁性を有していてもよく、また、導電性を有していてもよい。封入体25内に封入される冷媒21の量は、必要に応じて適宜に選択できる。
【0021】
吸収部材22は略長方形のシート状をなしている。吸収部材22は、冷媒21を吸収可能な材料により形成されている。この吸収部材22は、冷媒21を吸収可能な材料を繊維状に加工したものを織物としたものであってもよく、また、不織布としたものであってもよい。不織布の形態としては、繊維シート、ウェブ(繊維だけで構成された薄い膜状のシート)、又はバット(毛布状の繊維)であってもよい。吸収部材22を構成する材料としては、天然繊維でもよく、また、合成樹脂からなる合成繊維であってもよく、また、天然繊維と合成繊維の双方を用いたものであってもよい。
【0022】
吸収部材22は、蓄電素子11が重なる領域に対して広い領域に配されているため、封入体25内における吸収部材22は、蓄電素子11が重なる領域から蓄電素子11が重ならない領域に延設された吸収延設部23を備えている。
【0023】
封入体25は、例えば略長方形状をなす2つのシート部材を、接着、溶着、溶接等の公知の手法により液密に接合して形成することができる。各シート部材は、金属製シートの両面に合成樹脂製のフィルムが積層されてなる。金属製シートを構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。合成樹脂製のフィルムを構成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド等、必要に応じて任意の合成樹脂を適宜に選択できる。本実施形態に係る封入体25は、両シート部材における合成樹脂製のフィルムが積層された面同士を重ね合わせて熱融着されてなる。
【0024】
封入体25は、図6に示すように、吸収部材22の上側を覆う第1シート部26Aと、吸収部材22の下側を覆う第2シート部26Bとを有する。第1シート部26Aの上面は、蓄電素子11の下面に接触し、第2シート部26Bの下面は、伝熱板30の上面に接触する。ここで、第1シート部26Aのうち、蓄電素子11に重ならない領域に延出され、吸収部材22の吸収延設部23を覆う部分は、封入体25内の冷媒21の蒸発により膨出変形可能な膨出部28とされている。
【0025】
膨出部28は、封入体25内の冷媒21の蒸発により封入体25内圧が上昇して封入体25が膨らむように変形することにより形成される。なお、封入体25のうち、膨出部28以外の部分については、封入体25内の冷媒21の蒸発により内圧が上昇するが、蓄電素子11や伝熱板30に接触して膨張が規制されているため、膨出変形しない。
【0026】
(伝熱板30)
伝熱板30は、長方形状であって、蓄電素子11に対して冷却部材20を挟んで重ねられており、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅、銅合金等の熱伝導性が高い部材が用いられている。この伝熱板30は、蓄電素子11及び第2シート部26Bに接触する平板状の接触部31と、接触部31の右方に接触部31と面一に延びる伝熱延出部36と、伝熱延出部36の端縁から伝熱延出部36の板面と直交する方向に延びる隔壁37と、を有する。接触部31は、長方形状であって、蓄電素子11の領域に重ねられて蓄電素子11の熱を受ける。隔壁37は、弾性部材39及び膨出部28の右側面の全体に接触する大きさ(高さ)で形成されており、放熱部材40の左側面に隔壁37の外面が面接触する。
【0027】
(弾性部材39)
弾性部材39は、例えば多孔質の合成樹脂からなる弾性変形可能なスポンジであって、断面が長方形状であり、前後方向に帯状に延びている。図6に示すように、この弾性部材39の上面39Aは、上段側(隣り)の伝熱板30の伝熱延出部36の下面に面接触し、右側面29Bは、伝熱板30の隔壁37の左面に面接触し、下面39Cは、封入体25(膨出部28)の上面に面接触している。弾性部材39は、伝熱延出部36の下面及び封入体25の上面に、例えば、接着剤等により固定されるが、接着剤等により弾性部材39を固定しないようにしてもよい。そして、冷媒21が蒸発して封入体25が膨出変形して膨出部28が形成されると、図5に示すように、弾性部材39が弾性収縮し、冷媒21が凝縮して膨出部28が収縮して元に戻ると、弾性部材39が弾性膨張する。これにより、蓄電素子11の熱は、冷却部材20,弾性部材39を介して上下に隣り合う伝熱板30,放熱部材40に伝わり、放熱部材40から外部に放熱される。
【0028】
(放熱部材40)
蓄電モジュール10の側方には、伝熱板30に伝達された熱を外部に放熱する放熱部材40が配されている。放熱部材40の左側面(蓄電モジュール10側の面)は、伝熱板30の隔壁37の外面に密着する。放熱部材40は、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属からなり、図示しない冷却材の導入口と導出口が開口している。冷却材として冷却液が下側の導入口から導入され、上方の導出口から導出され、図示しない放熱経路を通って冷却液が循環することで、冷却液に伝わった熱が外部に放熱される。なお、放熱部材40は、内部に冷却液が通るパイプ(図示しない)が複数回折り返しつつ内部の全体に亘って延びるようにしてもよい。本実施形態では、冷却液として水が用いられているが、これに限られず、油等の液体を用いてもよい。また、冷却液として不凍液を用いてもよい。また、液体に限られず、気体を冷却材として用いてもよい。
【0029】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
蓄電モジュール10は、蓄電素子11と、冷媒21と冷媒21を密閉状態で封入する封入体25とを有し、蓄電素子11に重ねられるとともに冷媒21の蒸発により蓄電素子11に重ならない領域において封入体25が変形した膨出部28を形成可能とされた冷却部材20と、蓄電素子11に対して冷却部材20を挟んで重ねられる伝熱板30と、伝熱板30及び膨出部28に当接し、弾性変形可能な弾性部材39と、を備える。
【0030】
本実施形態によれば、蓄電素子11の熱を、冷媒21が封入体25に密閉された冷却部材20、伝熱板30を介して放熱することが可能になるため、例えば蓄電素子11が収容されたケース内に冷媒21を充填する構成と比較して、必ずしもケースを密閉する必要がないため、蓄電モジュール10の構成を簡素化することが可能になる。ここで、蓄電素子11の放熱のために冷却部材20及び伝熱板30を用いる場合には、封入体25が膨出変形した膨出部28が伝熱板30に接触していなければ、膨出部28の熱が熱伝導性の低い空間(空気)を介して放熱されることになり、膨出部28の放熱性が良くないという問題がある。本実施形態によれば、弾性部材39が伝熱板30及び膨出部28に当接することにより、膨出部28の熱は、弾性部材39を介して伝熱板30に伝わり、伝熱板30を介して外部に放熱させることが可能になるため、放熱性を向上させることができる。また、弾性部材39が膨出部28の膨出に応じて弾性変形することにより、弾性部材39が膨出部28に接触する時間を長くすることができるため、熱伝導性を向上させることが可能になる。
【0031】
弾性部材39は、スポンジであり、スポンジの上面39A(外面)及び側面39B(外面)が伝熱板30の面に接触するため、弾性部材39と伝熱板30の間の熱伝導性を高めることができる。
【0032】
伝熱板30は、蓄電素子11に重ねられた面とは異なる方向に延びて弾性部材39を仕切る隔壁37を有し、隔壁37と弾性部材39とが当接する。
このようにすれば、膨出部28の熱を弾性部材39を介して隔壁37に伝えることができるため、放熱性を向上させることが可能になる。
【0033】
複数の冷却部材20と、複数の蓄電素子11と、複数の伝熱板30と、を備え、弾性部材39は、伝熱板30と膨出部28との間に挟まれている。
このようにすれば、膨出部28、伝熱板30、弾性部材39間の熱伝導性を向上させることができる。
【0034】
また、封入体25内に配されて冷媒21を吸収する吸収部材22を備える。
このようにすれば、吸収部材22により冷媒21が移動しやすくなるため、冷却部材20の冷却性能を向上させることが可能になる。
【0035】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図8から図13を参照して説明する。実施形態2の蓄電モジュール50は、伝熱板30と膨出部28の間の弾性部材51をバネとしたものである。以下では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
各冷却部材20には、図8に示すように、膨出部28の上面に間隔を空けて複数(本実施形態では、各冷却部材について3個)の弾性部材51が固定されている。弾性部材39は、図13に示すようにコイル状のバネである。このバネは、例えば、合成樹脂や金属からなる。弾性部材51の端部が伝熱板30及び膨出部28の少なくとも一方に固定される。本実施形態では、弾性部材51の端部は、膨出部28に例えば、半田、接着剤等で固定されるが、弾性部材51の端部を例えば、伝熱板30に固定してもよく、伝熱板30及び膨出部28の双方に固定してもよい。
【0037】
実施形態2によれば、膨出部28と、この膨出部28に対して蓄電素子11を挟んだ異なる段の伝熱板30との間は弾性部材39で連結されている(図12)。冷却部材20の膨出部28が膨出変形すると(図11)、弾性部材51は、膨出部28と伝熱板30の伝熱延出部36との間で弾性収縮し、膨出部28が膨出変形しなくなると、弾性部材51が元の長さに伸長する(図12)。
【0038】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)弾性部材39,51は、上記実施形態のスポンジやバネに限られない。弾性部材は、少なくとも空気よりも熱伝導性が高ければよく、コイル状のバネに限られず、例えば、板バネとしたり、バネ以外のゴム等としてもよい。
【0039】
(2)蓄電素子11、冷却部材20、伝熱板30,弾性部材39,51の数は、上記実施形態の数に限られず、適宜変更することができる。
【0040】
(3)放熱部材40を備えない構成としてもよい。例えば蓄電モジュール10が図示しない金属製や合成樹脂製のケースで覆われるようにし、放熱部材40によらずケースを介して蓄電モジュール10の熱を外部に放熱するようにしてもよい。また、例えば、放熱部材40をケースの一部としたり、放熱部材40を含めた蓄電モジュール10の全体を覆うケースを設けるようにしてもよい。この場合、例えばケースにより、蓄電モジュール10の上下から挟んで蓄電モジュール10を保持する構成としてもよい。また、上記実施形態では、最上段の弾性部材39,51の上端は固定されていないが、最上段の弾性部材39,51の上端を固定してもよく、例えば図示しないケース等で弾性部材39,51の上端部を固定して弾性部材39,51を弾性変形させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10,50: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
20: 冷却部材
21: 冷媒
22: 吸収部材
25: 封入体
28: 膨出部
30: 伝熱板
39,51:弾性部材
40: 放熱部材
図1
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