(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<1.ロボット及びロボットシステムの全体構成>
図1を参照しつつ、本実施形態に係るロボット1の全体構成の一例について説明する。
【0012】
図1に示すように、ロボット1は、ベース3と、アーム部5と、塗料チューブ7(線条体の一例)とを備える。アーム部5は、この例では、6つの可動部を有しており、ロボット1は、6軸垂直多関節型の単腕ロボットとして構成されている。ロボット1と、後述する第3手首可動部19に取り付けられた塗装ガン21とは、ロボットシステム2を構成する。
【0013】
<2.アーム部の構成>
図1に示すように、アーム部5は、ベース3に対し鉛直方向の軸であるS軸AxS周りに旋回可能に連結されている。なお、本明細書では、アーム部5の各可動部におけるベース3側の端を当該可動部の「基端」、ベース3とは反対側の端を当該可動部の「先端」と定義する。アーム部5は、旋回ヘッド11と、下腕部13と、上腕部15と、3つの可動部を備えた手首部16とを有する。
【0014】
旋回ヘッド11は、ベース3に、上記S軸AxS周りに旋回可能に支持されている。旋回ヘッド11は、ベース3又は旋回ヘッド11に収容されたモータ(図示せず)の駆動により、ベース3に対しS軸AxS周りに旋回する。
【0015】
下腕部13は、旋回ヘッド11の側部に、S軸AxSに直交する回転軸であるL軸AxL周りに回転可能に支持されている。下腕部13は、旋回ヘッド11との間の関節部近傍に設けられたモータ(図示せず)の駆動により、旋回ヘッド11の側部に対しL軸AxL周りに回転する。
【0016】
上腕部15(第3腕部の一例)は、下腕部13の先端部に、L軸AxLに平行な回転軸であるU軸AxU周りに回転可能に支持されている。上腕部15は、下腕部13との間の関節部近傍に設けられたモータ(図示せず)の駆動により、下腕部13の先端部に対しU軸AxU周りに回転する。
【0017】
手首部16は、上腕部15の先端部に連結されている。手首部16は、第1手首可動部17と、第2手首可動部18と、第3手首可動部19とを有する。
【0018】
第1手首可動部17(第2腕部の一例)は、基端部35が、上腕部15の先端部に、U軸AxUに直交する回転軸であるR軸AxR(第2軸心の一例)周りに回転可能に支持されている。第2手首可動部17は、上腕部15との間の関節部近傍に配置されたモータ(図示せず)の駆動により、上腕部15の先端部に対しR軸AxR周りに回転する。
【0019】
第2手首可動部18(第1腕部の一例)は、第1手首可動部17の先端部37に、R軸AxRに直交する回転軸であるB軸AxB(第1軸心の一例)周りに回転(揺動)可能に支持されている。第2手首可動部18は、第1手首可動部17に配置されたB軸用モータ45(後述の
図2及び
図5参照)の駆動により、第1手首可動部17の先端部に対しB軸AxB周りに回転(揺動)する。
【0020】
第3手首可動部19(第1腕部の一例)は、第2手首可動部18の先端部に、B軸AxBに直交する回転軸であるT軸AxT(第3軸心の一例)周りに回転可能に支持されている。第3手首可動部19は、第1手首可動部17に配置されたT軸用モータ43(後述の
図2及び
図5参照)の駆動により、第2手首可動部18の先端部に対しT軸AxT周りに回転する。
【0021】
第2手首可動部18及び第3手首可動部19は、塗料チューブ7が挿通される中空部20を有する。また、第3手首可動部19には、エンドエフェクタとして塗装ガン21がホルダ23を介して取り付けられている。
【0022】
ロボット1は、取り付けられるエンドエフェクタの種類によって、例えば、塗装、溶接、組立、加工等、多種多様な用途に使用することが可能である。本実施形態では、第3手首可動部19の先端に塗装ガン21が取り付けられ、ロボット1は塗装用途に使用される。
【0023】
塗料チューブ7は、第1手首可動部17の外側(上側)において基端部35側から先端部37側に向けて配設され、第2手首可動部18及び第3手首可動部19の中空部20を経て塗装ガン21に接続される。上腕部15の外側の側面(上面)には、塗料の色替えを行うためのカラーチェンジバルブ(CCV)25が配置されており、塗料チューブ7の塗装ガン21とは反対側の端部は、カラーチェンジバルブ25の二次側に接続されている。
【0024】
カラーチェンジバルブ25の一次側には、ベース3、下腕部13及び上腕部15の外側に沿って配設された複数(煩雑を避けるために1本のみ図示)の塗料チューブ8が、色ごとに接続されている。塗料チューブ8は、複数のブラケット、例えばベース3の外側に設けられたブラケット29と、下腕部13の外側に設けられたブラケット29とにより支持されている。塗料チューブ8のカラーチェンジバルブ25とは反対側の端部は、各色の塗料タンク等(図示省略。ポンプ等を含む)に接続されている。
【0025】
なお、上述したアーム部5の構成は一例であり、上記以外の構成としてもよい。例えば、カラーチェンジバルブ25をアーム部5における上腕部15以外の場所(例えば下腕部13等)に設置してもよい。また、カラーチェンジバルブ25をロボット1上に配置せずに別の場所(例えば塗装ブースの内壁面等)に配置してもよい。さらに、カラーチェンジバルブ25以外の塗装に関連する機器、例えばエアーオペレートバルブ(AOPR)等を設置してもよい。
【0026】
また、アーム部5の各可動部の回転軸方向は、上記方向に限定されるものではなく、他の方向であってもよい。また、手首部16やアーム部5の可動部の数は、それぞれ3つ及び6つに限定されるものではなく、他の数であってもよい。
【0027】
<3.第1手首可動部の詳細構造>
次に、
図2乃至
図5を参照しつつ、第1手首可動部17の詳細構造の一例について説明する。
図2は、第1手首可動部17の内部構造(筐体40の分岐部41側の側板を外した状態)の一例を表す説明図である。また、
図3は、第1手首可動部17の第1凹部31の形状の一例を表す外側から見た平面図であり、
図4は、第1手首可動部17の第2凹部33の形状の一例を表す内側から見た平面図である。また、
図5は、第1手首可動部17のB軸用モータ及びT軸用モータの配置構成の一例を表す説明図である。
【0028】
図2に示すように、第1手首可動部17の筐体40には、第1凹部31及び第2凹部33が形成されている。第1凹部31は、B軸AxBとR軸AxRとに共に直交する方向(
図2中上下方向)における一方側(
図2中上側)に形成され、第2凹部33は他方側(
図2中下側)に形成されている。第1凹部31及び第2凹部33は、基端部35と先端部37との間に、塗料チューブ7の配設方向に沿ってそれぞれ形成されている。第1凹部31及び第2凹部33は、筐体40の基端部35側から先端部37側に向けて、上記直交する方向の窪みの深さが増大し、且つ、B軸AxB方向の幅が増大するように形成されている。これにより、第1凹部31と第2凹部33とが上記直交する方向に連通し、第1手首可動部17の先端部37が二股に分岐した形状(分岐部39,41を備える形状)となっている。
【0029】
図2に示すように、第1凹部31の上記直交する方向の窪みの深さは、第1凹部31の先端部で最大深さD1となる。一方、第2凹部33の上記直交する方向の窪みの深さは、第2凹部33の先端部で最大深さD2となる。第1凹部31の最大深さD1は、第2凹部33の最大深さD2よりも大きい(D1>D2)。
【0030】
図3に示すように、第1凹部31の窪みのB軸AxB方向の幅は、第1凹部31の先端部で最大幅W1となる。また、第1凹部31のR軸AxR方向の長さはL1である。一方、
図4に示すように、第2凹部33の窪みのB軸AxB方向の幅は、第2凹部33の先端部で最大幅W2となる。また、第2凹部33のR軸AxR方向の長さはL2である。第1凹部31の最大幅W1は、第2凹部33の最大幅W2よりも大きい(W1>W2)。第1凹部31の長さL1は、第2凹部33の長さL2よりも大きい(L1>L2)。
【0031】
図1に示すように、カラーチェンジバルブ25の二次側に接続された塗料チューブ7は、上腕部15の外側から第1手首可動部17の外側(上側)に導かれ、第1凹部31に収容されてガイドされつつ基端部35から先端部37側に向けて配設される。そして、塗料チューブ7は、第2手首可動部18及び第3手首可動部19に設けられた中空部20に挿通されて塗装ガン21に接続される。なお、塗料チューブ7を第1凹部31に導くために、上腕部15や第1手首可動部17の適宜の箇所にホルダを設けてもよい。
図1に示す例では、例えば第1手首可動部17の基端部35の外側(上側)にホルダ27が設けられている。また、ホルダ27に加えて又は代えて、第1凹部31の内部や近傍にホルダを設置してもよい。
【0032】
図2及び
図5に示すように、筐体40の基端部35の内部には、T軸用モータ43(第1モータの一例)とB軸用モータ45(第2モータの一例)が設けられている。T軸用モータ43は、基端部35の内部における、B軸AxBとR軸AxRとに共に直交する方向(
図2中上下方向、
図5中紙面に直交する方向)における一方側(
図2中上側、
図5中紙面手前側)に配置されている。一方、B軸用モータ45は、基端部35の内部における、上記直交する方向における他方側(
図2中下側、
図5中紙面奥側)に配置されている。また、T軸用モータ43とB軸用モータ45は、R軸AxR方向において異なる位置、この例ではT軸用モータ43が基端側、B軸用モータ45が先端側に配置されている。
【0033】
図2に示すように、T軸用モータ43は、筐体40の基端部35の上記一方側において、第1凹部31の上腕部15側に形成された平坦部47(第1平坦部の一例)の内側に熱伝導シート49(第1熱伝導シートの一例)を介して接触するように配置されている。一方、B軸用モータ45は、筐体40の基端部35の上記他方側において、第2凹部33の上腕腕部15側に形成された平坦部51(第2平坦部の一例)の内側に熱伝導シート53(第2熱伝導シートの一例)を介して接触するように配置されている。
【0034】
図5に示すように、第1手首可動部17の分岐部39,41の先端部の間には、第2手首可動部18を支持する第1支持部55及び第2支持部57が配置されている。第1支持部55及び第2手首可動部18の内部には、図示しない歯車機構及び減速機が設けられており、第3手首可動部19をT軸AxT周りに回転させる。第2支持部57の内部には、図示しない歯車機構及び減速機が設けられており、第2手首可動部18をB軸AxB周りに回転(揺動)させる。第1支持部55側の入力軸59には、分岐部39内において従動プーリ61が取り付けられている。第2支持部57側の入力軸63には、分岐部41内において従動プーリ65が取り付けられている。
【0035】
T軸用モータ43の出力軸67には、筐体40の基端部35内において、駆動プーリ69が取り付けられている。駆動プーリ69と従動プーリ61との間にはベルト71が掛け回されている。B軸用モータ45の出力軸73には、筐体40の基端部35内において、駆動プーリ75が取り付けられている。駆動プーリ75と従動プーリ65との間にはベルト77が掛け回されている。T軸用モータ43は、ベルト71を介して入力軸59を駆動することにより、第3手首可動部19をT軸AxT周りに回転する。B軸用モータ45は、ベルト77を介して入力軸63を駆動することにより、第2手首可動部18をB軸AxB周りに回転する。
【0036】
<4.塗料チューブをアーム部の内側に配設する場合>
以上では、
図1に示すように塗料チューブ7を第1手首可動部17の第1凹部31に収容してアーム部5の外側(上側)に配設する場合について説明したが、塗料チューブ7を第1手首可動部17の第2凹部33に収容してアーム部5の内側(下側)に配設してもよい。
【0037】
図6に示すように、塗料チューブ7を第1手首可動部17等の内側に配設する場合には、例えばカラーチェンジバルブ25が下腕部13の外側に配置される。カラーチェンジバルブ25の二次側に接続された塗料チューブ7は、下腕部13の外側から上腕部15の内側(下側)を通るように配設され、第1手首可動部17の内側(下側)に導かれる。塗料チューブ7は、第1手首可動部17の内側(下側)に設けられた第2凹部33に収容されてガイドされつつ基端部35から先端部37側に向けて配設される。そして、塗料チューブ7は、第2手首可動部18及び第3手首可動部19に設けられた中空部20に挿通されて塗装ガン21に接続される。なお、塗料チューブ7を第2凹部33に導くために、上腕部15や第1手首可動部17の適宜の箇所にホルダを設けてもよい。
図6に示す例では、例えば第1手首可動部17の基端部35の内側(下側)にホルダ27が設けられている。また、ホルダ27に加えて又は代えて、第2凹部33の内部や近傍にホルダを設置してもよい。上記以外の構成は
図1と同様であるので説明を省略する。
【0038】
このように塗料チューブ7をアーム部5の内側に配設する場合、
図1のように外側に配設する場合に比べて塗料チューブ7の全長を短縮することが可能である。これにより、カラーチェンジバルブ25により塗料の色替えを行う際の排出塗料やシンナーの量を低減できるので、ランニングコストの削減、環境への負荷の低減を図ることができる。
【0039】
<5.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のロボット1は、塗装ガン21が取り付けられる第2手首可動部18及び第3手首可動部19と、先端部にて第2手首可動部18及び第3手首可動部19をB軸AxB周りに揺動可能に支持する第1手首可動部17と、第1手首可動部17の基端部35をB軸AxBに直交するR軸AxR周りに回転可能に支持する上腕部15と、第1手首可動部17の上記基端部35側から上記先端部37側に向けて配設され塗装ガン21に接続される塗料チューブ7と、上記基端部35と上記先端部37との間に、B軸AxBとR軸AxRとに共に直交する方向における一方側(外側)及び他方側(内側)に塗料チューブ7の配設方向に沿ってそれぞれ形成された第1凹部31及び第2凹部33とを有する。これにより、次の効果を奏する。
【0040】
すなわち、ロボット1において、塗装ガン21に接続される塗料チューブ7をアーム部5に沿って配設する場合、例えばアーム部5の外側に配設する場合と、アーム部5の内側に配設する場合が考えられる。前者の場合には、一般に塗装作業に関連する機器(カラーチェンジバルブ25等)はアーム部5(上腕部15等)の上部に設置されることから、塗料チューブ7の上記機器への接続作業が容易となると共に塗料チューブ7のレイアウトを簡素化できる等のメリットがある。一方で、チューブ長が長くなる等のデメリットがある。また後者の場合には、チューブ長を短くできる結果、塗料の色替えを行う際の排出塗料やシンナーの量を低減できるので、ランニングコストを削減できると共に環境への負荷を低減できる等のメリットがある。一方で、塗料チューブ7がアーム部5の内側に配設されるので、アーム部5と塗料チューブ7の干渉が生じ易くなりロボット1の正面側基端部近傍(いわゆる懐部分)の可動不可領域が大きくなる等のデメリットがある。
【0041】
以上のように、塗料チューブ7のレイアウトに応じてメリットとデメリットがあるため、ロボット1の用途や使用環境等に応じて塗料チューブ7のレイアウトを選択するのが望ましい。
【0042】
本実施形態によれば、第1手首可動部17の筐体40の外側及び内側の両方に第1凹部31及び第2凹部33を形成するので、塗料チューブ7を第1凹部31でガイドしてアーム部5の外側に配設することも、塗料チューブ7を第2凹部33でガイドしてアーム部5の内側に配設することも可能となる。このように、塗料チューブ7のレイアウトの自由度を高めることができるので、ロボット1の用途や使用環境等に応じて塗料チューブ7のレイアウトを選択できる。
【0043】
また、本実施形態では特に、第2手首可動部18及び第3手首可動部19は、塗料チューブ7が挿通される中空部20を有する。
【0044】
これにより、塗料チューブ7を第2手首可動部18及び第3手首可動部19の周囲に配設することなく第1手首可動部17の分岐部39,41の内側に配設することができるので、塗料チューブ7のレイアウトをさらに簡素化できる。また、塗料チューブ7を中空部20に挿通することで、塗料チューブ7を塗装ガン21から第1手首可動部17の第1凹部31又は第2凹部33にスムーズに導入できる。
【0045】
さらに、例えば塗料チューブ7を第2手首可動部18及び第3手首可動部19の周囲に設置した場合には、塗料チューブ7のレイアウトの複雑化によりアーム部5と塗料チューブ7との干渉や巻き付き、衝突や擦れ、塗料チューブ7への引っ張り力等を生じ、アーム部5の動作や可動範囲が制限を受ける可能性がある。本実施形態では、塗料チューブ7を中空部20に挿通させて第1凹部31又は第2凹部33に収容することにより塗料チューブ7のレイアウトを簡素化できるので、アーム部5がスムーズに動作できると共に可動範囲を拡張することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態では特に、第1凹部31及び第2凹部33は、基端部35側から先端部37側に向けてB軸AxBとR軸AxRとに共に直交する方向の窪みの深さが増大し、且つ、B軸AxB方向の幅が増大して、先端部37を二股に分岐した形状に形成する。
【0047】
これにより、第1凹部31及び第2凹部33を、アーム部5を動作させた際の塗料チューブ7の挙動(中空部20を基点として分岐部39,41の内側で上下左右に揺動する動作)を許容する形状とすることができる。その結果、アーム部5を動作させた際に生じる塗料チューブ7の第1手首可動部17の筐体40に対する衝突や擦れ、塗料チューブ7に作用する引っ張り力等を低減できるので、塗料チューブ7に摩耗や損傷等が生じるのを抑制できる。
【0048】
また、本実施形態では特に、第1凹部31の最大深さD1及び最大幅W1は、第2凹部33の最大深さD2及び最大幅W2よりも大きい。これにより、次の効果を奏する。
【0049】
すなわち、塗料チューブ7をアーム部5の外側に配設する場合と、アーム部5の内側に配設する場合では、前述した塗装作業に関連する機器(カラーチェンジバルブ25等)の設置位置との兼ね合い等から、一般に前者の方が後者よりも需要が多い。
【0050】
本実施形態によれば、第1凹部31の最大深さD1及び最大幅W1を第2凹部33の最大深さD2及び最大幅W2よりも大きくすることで、第1凹部31による塗料チューブ7のガイド機能を第2凹部33よりも高めることができる。これにより、上記多い方の需要に適合させつつ、塗料チューブ7のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0051】
また、本実施形態では特に、基端部35の内部における外側(上側)に配置され、第3手首可動部19をB軸AxBに直交するT軸AxT周りに回転させるT軸用モータ43と、基端部35の内部における内側(下側)に配置され、第2手首可動部18をB軸AxB周りに揺動させるB軸用モータ45とを有し、T軸用モータ43とB軸用モータ45は、R軸AxR方向において異なる位置に配置されている。
【0052】
これにより、T軸用モータ43とB軸用モータ45を筐体40の内部において、互いに異なる形状である第1凹部31及び第2凹部33とそれぞれ干渉しないように配置することが可能となる。また、T軸用モータ43とB軸用モータ45をR軸AxR方向において同じ位置に配置する場合に比べて、第1手首可動部17の太さ(R軸AxRとB軸AxBとに垂直な方向の寸法)を細くできる。さらに、熱源であるT軸用モータ43とB軸用モータ45を離間できるので放熱性を向上できる。
【0053】
また、本実施形態では特に、T軸用モータ43は、基端部35の外側(上側)において第1凹部31の上腕部15側に形成された平坦部47の内側に熱伝導シート49を介して接触するように配置され、B軸用モータ45は、基端部35の内側(下側)において第2凹部33の上腕部15側に形成された平坦部51の内側に熱伝導シート53を介して接触するように配置される。
【0054】
これにより、T軸用モータ43とB軸用モータ45を筐体40の平坦な部分に配置できるので筐体40との接触面積を増加でき、且つ、熱伝導シート49,53を介して筐体40に接触させるので、放熱性をさらに向上できる。
【0055】
また、本実施形態では特に、ロボットシステム2は、上記ロボット1と、第3手首可動部19に取り付けられた塗装ガン21とを有する。
【0056】
これにより、塗装ガン21に接続される塗料チューブ7のレイアウトの自由度を高めることが可能なロボットシステム2を実現できる。
【0057】
<6.変形例>
なお、開示の実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0058】
(6−1.T軸用モータとB軸用モータの配置を反対とした場合)
第1手首可動部17における、T軸用モータ43とB軸用モータ45の配置は、上記実施形態と反対の配置としてもよい。すなわち、
図7に示すように、T軸用モータ43(第1モータの一例)は、筐体40の基端部35の他方側(
図7中下側)において、第2凹部33の上腕部15側に形成された平坦部51(第2平坦部の一例)の内側に熱伝導シート53(第2熱伝導シートの一例)を介して接触するように配置されている。一方、B軸用モータ45(第2モータの一例)は、筐体40の基端部35の一方側(
図7中上側)において、第1凹部31の上腕腕部15側に形成された平坦部47(第1平坦部の一例)の内側に熱伝導シート49(第1熱伝導シートの一例)を介して接触するように配置されている。
【0059】
上記の配置以外の構成は、前述の実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。本変形例においても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(6−2.その他)
上記実施形態では、ロボット1が塗装ロボットである場合を一例として説明したが、本発明の適用対象は塗装ロボットに限定されるものではない。例えば、溶接作業を行うロボット等、エンドエフェクタに接続される線条体がアーム部に沿って配設されるロボットであれば、本発明は適用可能である。この場合、線条体の例として、電源用ケーブルや信号用ケーブルが挙げられる。
【0061】
なお、以上の説明において、「垂直」「直交」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「直交」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に直交」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0062】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0063】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。