(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁基材(4a)の両面に内層配線(4b)および内層ランド(1)を備えるコア基材(4)と、前記コア基材(4)の両面に絶縁材料のビルドアップ基材(5)を備え、前記ビルドアップ基材(5)の表面に配線(6a)を備える多層プリント配線板において、
前記内層ランド(1)が設置されたコア基材(4)を貫通した前記内層ランド(1)面から伸長する前記内層ランド(1)の直径より小径の内層ビア(2)を有し、
前記内層ビア(2)内部に、前記内層ランド(1)と異なる金属の最終表面処理層(3)を有し、
前記内層ビア(2)側には、前記内層ランド(1)の直径より大径の前記内層ランド(1)を包含する大きさの開口部Dを有し、
前記内層ランド(1)側には、前記内層ランド(1)の直径より大径の前記内層ランド(1)を包含する大きさの開口部(C1)を有する1層の絶縁基材のビルドアップ基材(5)からなる検査クーポンCを備えていることを特徴とする検査クーポンを備えた多層プリント配線板。
前記内層ランド(1)の金属材料が銅からなり、前記内層ビア(2)内部の最終表面処理層(3)が、金めっき層であることを特徴とする請求項1に記載の検査クーポンを備えた多層プリント配線板。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では内層ランドとビアのずれを、X線による透過画像により判断しているが、高額な専用装置の導入が必要となることに加え、板厚が厚い製品では透過画像による認識性が低下する課題がある。
さらに、特許文献2では内層ランドから配線を引き出し、ビアがずれた場合は配線が断線することで電気的な検出を可能としているが、内層ランドから引き出す配線および電気検査をするためのランドを設定する必要があり、そのためにランドを設定可能な程度の面積を必要としている。
【0007】
このような課題に対し、本発明は小面積の検査クーポンを設定することで、内層ランドと内層ビアのずれを色調差による外観表現に転換し、容易に検査可能であり、検査対象の任意の内層ビアをレーザーによる座ぐり加工により露出させることで、認識性に優れた検査が可能な多層プリント配線板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の発明は、絶縁基材4aの両面に内層配線4bおよび内層ランド1を備えるコア基材4と、前記コア基材4の両面に絶縁材料のビルドアップ基材5を備え、前記ビルドアップ基材5の表面に配線6aを備える多層プリント配線板において、前記内層ランド1が設置されたコア基材4を貫通した前記内層ランド1面から伸長する前記内層ランド1の直径より小径の内層ビア2を有し、前記内層ビア2内部に、前記内層ランド1と異なる金属の最終表面処理層3を有し、前記内層ビア2側には前記内層ランド1の直径より大径の
前記内層ランド(1)を包含する大きさの開口部Dを有し、前記内層ランド1側には前記内層ランド1の直径より大径の前記内層ランド1を包含する大きさの開口部C
1を有する1層の絶縁基材のビルドアップ基材5からなる検査クーポンCを備えていることを特徴とする検査クーポンを備えた多層プリント配線板である。(
図1参照)
【0009】
本発明の第2の発明は、第1の発明における内層ランド1の金属材料が銅からなり、前記内層ビア
2内部の最終表面処理層3が、金めっき層であることを特徴とする検査クーポンを備えた多層プリント配線板である。
【0010】
本発明の第3の発明は、絶縁基材4aの一面に内層配線4bおよび内層ランド1を形成してコア基材4を得る工程と、前記コア基材4の一面に形成された内層ランド1に達する前記コア基材
4を貫通する内層ビア2を、前記内層ランド
1の直径より小径で形成する工程と、銅めっき法により、前記内層ビア
2内に銅を充填した銅めっき充填層
2aの形成と前記銅めっき充填層
2aと連続した銅めっき層
2bを前記コア基材4の面に形成する工程と、得られたコア基材
4の両面に、前記コア基材
4側からビルドアップ基材
5A、銅箔
6A、及びビルドアップ基材15A、銅箔16A順に積層する工程と、前記銅めっき層
2b側に積層されたビルドアップ基材
5Aと銅箔
6Aに、内層ランド
1の直径より大径の
前記内層ランド1を包含する大きさの開口部
8を形成する工程と、前記内層ビア
2内の銅めっき充填層
2aを一部除去し、前記内層ランド1側に積層した銅箔1
6Aに
前記内層ランド
1の直径より大径の
前記内層ランド1を包含する大きさの開口部
C1を設けて検査クーポン
Cを設ける工程と、前記内層ビア
2内の一部除去した銅めっき充填層2a上に、ニッケルめっき層とパラジウムめっき層と金めっき層を順に形成し
た最終表面処理層3を形成して多層プリント配線板とする工程と、前記内層ランド
1側の銅箔
16Aの開口部
C1より光を当て、前記銅めっき充填層
2a側のビルドアップ基材
5Aと銅箔
6Aの開口部
D側から、内層ランド
1と
最終表面処理層3の金めっきの色調の違いにより、内層ランド
1と内層ビア
2の位置ずれの検査を行う工程を有することを特徴とする検査クーポンを備えた多層プリント配線板の製造方法である。
(図2参照)
【0011】
本発明の第4の発明は、コア基材4の両面の内層配線4b、4bに配線を形成し、前記
内層配線の少なくとも一面に内層ランド1を形成する工程と、前記コア基材4の両面に、前記コア基材側から絶縁材料のビルドアップ基材15、銅箔16、及び絶縁材料のビルドアップ基材15A、銅箔16Aの順に積層する工程と、前記コア基材4の内層ランド1を備えた面に積層されたビルドアップ基材5に、前記内層ランド1の直径より小径で、前記内層ランド1に達する前記ビルドアップ基材5を貫通した内層ビア2を形成し、前記コア基材4の他の一面に積層した銅箔16に前記内層ランド1の直径より大径の前記内層ランド1を包含する大きさの開口部Aを形成する工程と、前記内層ビア2内に銅めっき法により銅を充填した銅めっき充填層2aと、前記銅めっき充填層2aと連続した前記銅めっき層2bをビルドアップ基材5の表面に設け、前記内層ビア2を備えるビルドアップ基材5の表面に、第2ビルドアップ基材5A、第2銅箔6Aの順に積層する工程と、前記内層ビア2を備えるビルドアップ基材5上に積層した第2ビルドアップ基材5Aと第2銅箔6Aに、前記内層ランド1の直径より大径の前記内層ランド1を包含する大きさの開口部8を形成し、前記ビルドアップ基材5にコア基材4を介して対向したビルドアップ基材15面に積層したビルドアップ基材15Aと銅箔16Aに、前記内層ランド1の直径より大径の前記内層ランド1を包含する大きさの開口部10を形成し、前記コア基材4下面の内層配線4bにも前記開口部10と連続する開口部C
1を形成して検査クーポンCを設ける工程と、内層ビア2から露出する内層ランド1にニッケルめっきとパラジウムめっきと金めっきを順に形成して最終表面処理層3を形成する工程と、前記コア基材4の下方側に形成した開口部C
1より光を当て、上方側から内層ランド1と最終表面処理層3の金めっきの色調により位置ずれの検査を行う工程を有することを特徴とする検査クーポンを備えた多層プリント配線板の製造方法である。(
図3参照)
【発明の効果】
【0012】
本発明により、プリント配線板の内層ランドと内層ビアのずれを、小面積の検査クーポンをプリント配線板に備えることで、その検査クーポンを通じた外観検査により容易にずれの検出が可能となり、かつ高精度なずれの検出が可能な多層プリント配線板を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を用いて本発明を説明する。
[多層プリント配線板]
図1は検査クーポンを備えた本発明に係る4層構造の多層プリント配線板100を示す図で、(a)は断面図、(b)は平面図、(c)、(d)は平面図において、検査クーポンによる「ずれ」検査結果を示す図で、(c)は内層ランドと内層ビアのずれがない理想的な状態の表層からの平面図で、(d)内層ランドと内層ビアのズレが許容値を超えた状態の一例における表層からの平面図である。また、
図1は検査対象の内層ランド1が3層目にあり、内層ビア2は2層目と3層目の間に形成されている4層構造の多層プリント配線板の検査クーポンの一例を示すものである。
【0015】
図1(a)において、1が内層ランド、2が内層ビアを示しており、本クーポンをバックライト(図示せず)照射(白矢印方向から)状態で表面側から観察(黒矢印方向)すると、その内層ランド1はコア基材4を透過し暗色で識別される。一方内層ビア2は「座ぐり」により露出させているので、無電解ニッケル・パラジウム・金めっきをはじめとする最終表面処理層3の色調がそのまま観察される。そのため、表面側から観察した内層ランドの色調と内層ビアの色調は、
図1(c)、(d)に示すように、その両者で色調差が発生し、ずれの無い状態では
図1(c)のように観察され、ずれが発生している場合には、
図1(d)のように観察されることによって、容易に内層ランド1と内層ビア2の位置ずれが検出でき、検査可能である。
【0016】
次に、多層プリント配線板に検査クーポンを設ける際の製造方法を、
図2では4層構造の多層プリント配線板の製造方法、
図3では6層構造の多層プリント配線板の製造方法を例にして説明する。
【0017】
[検査クーポンを備えた多層プリント配線板の製造方法1]
図2は、検査対象の内層ランドが3層目にあり、内層ビアは2層目と3層目の間に形成されている4層構造の多層プリント配線板の製造方法の一部を示し、検査クーポンを備える方法の一例を説明する工程図である。
【0018】
絶縁基材4aの一面に内層配線4bおよび内層ランド1を形成してコア基材4を得る工程と、そのコア基材の一面に形成された内層ランド1に達する絶縁基材を貫通する内層ビア2を、その内層ランド1の直径より小径で形成する工程と、銅めっき法により、その内層ビア2内に銅を充填した銅めっき充填層2aの形成と銅めっき充填層2aと連続した銅めっき層2bをコア基材面に形成して内層基板20を得る工程と、得られた内層基板20の両面に、前記内層基板20側からビルドアップ基材5A、銅箔6A、及びビルトアップ基材15A、銅箔16Aの順に積層する工程を経て、
図2(a)に示す4層積層板21を形成する。
【0019】
次に、銅めっき充填層2a側に積層されたビルドアップ基材5Aと銅箔6Aに、内層ランド1の直径より大径の開口部の内層ランド側の袋穴8を形成する工程を経て、
図2(c)に示す構造を形成する。なお
図2(b)は、内層ランド側の袋穴8をレーザーによる座ぐり加工で作製する際のレーザーマスク開口7を銅箔6Aに設けた構造を示している。
【0020】
形成された袋穴8の表面及び銅箔6A上に銅めっき層9を設ける(
図2(d)参照)。なお、製品部のプリント配線板仕様として銅めっき層9を必要としない場合は、銅めっきを施さなくてもよい。
【0021】
次にエッチングにて外層回路を形成すると共に、内層ランド1を包含する大きさで銅箔16Aに開口部C
1を設ける。また、内層ビア2内の銅めっきの一部もエッチングされるが、内層ランド1は内層ビアが開口するまではエッチングされない(
図2(e)参照)。
【0022】
その後、
図2(f)に示すように無電解ニッケル・パラジウム・金めっきをはじめとする最終表面処理層3を施して検査クーポンCを備えた本発明に係る多層プリント配線板100を得る。
本発明の検査クーポンを備えた多層プリント配線板の裏面側(内層ランド側)から光を照射することで、表面側の開口部Dからの光学顕微鏡により目視観察によって、内層ランド1はコア基材4を透過し暗色で識別される。一方内層ビアは「座ぐり」により露出されているので、無電解ニッケル・パラジウム・金めっきをはじめとする最終表面処理層3の色調がそのまま観察されるため両者で色調差が発生し、容易に内層ランド1と内層ビア2の位置ずれを検査可能となる。
【0023】
[検査クーポンを備えた多層プリント配線板の製造方法2]
図3は、内層ランドが2層目にあり、内層ビアは1層目と2層目の間に形成されている6層基板の多層プリント配線板の製造方法の一部を示し、検査クーポンを備える方法の一例を説明する工程図である。
【0024】
図3(a)に示すような内層ランド1が第2層にあり、内層ビアが第1層と第2層間に形成し、絶縁基材4
aを介して内層ビア2と対向するビルドアップ基材上の銅箔16に開口部Aを設けた4層積層板21’の両面に、ビルドアップ基材、銅箔の順に積層(符号5A/6A、15A/16A)して6層積層板22を得る(
図3(b)参照)。
【0025】
次に、
図3(c)に示すように、次工程で袋穴8及び10を形成するために、レーザーで座ぐり加工する場所の銅箔6A、16Aをエッチングにて開口し、レーザーマスク開口7、17を形成する(
図3(c)参照)。
その後、レーザーを用いてビルドアップ基材5Aを座ぐり加工して内層ビア側の袋穴8と、内層ランド側のビルドアップ基材15A及び銅箔16Aと、4層積層板を構成していたビルドアップ基材15を座ぐり加工して内層ランド側の袋穴10を形成した(
図3(d)参照)。その後に、
図3(e)で示すように銅めっきを施して銅めっき層9を形成する。なお、製品部のプリント配線板仕様として銅めっき9を必要としない場合は、銅めっきを施さなくてもよい。
【0026】
次に、エッチングにて外層回路を形成すると共に、内層ランド1を包含する大きさで、4層積層板を構成した内層配線4bに開口部C
1を設ける。また、内層ビア2内の銅めっきの一部もエッチングされるが、内層ランド1は内層ビアが開口するまではエッチングされない(
図3(f)参照)。
その後、
図3(g)に示すように無電解ニッケル・パラジウム・金めっきをはじめとする最終表面処理層3を施して検査クーポンCを備えた本発明に係る多層プリント配線板101を得る。
【0027】
本発明の検査クーポンを備えた多層プリント配線板の裏面側から光を照射することで、表面側からの光学顕微鏡により目視観察によって、内層ランド1はコア基材4を透過し暗色で識別される。一方内層ビアは「座ぐり」により露出されているので、無電解ニッケル・パラジウム・金めっきをはじめとする最終表面処理層3の色調がそのまま観察されるため両者で色調差が発生し、容易に内層ランド1と内層ビア2の位置ずれを検査可能となる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
図2は、本発明に係る検査対象の内層ランドを3層目に、一方の内層ビアを2層目と3層目の間に有し、検査クーポンを備えた4層構造の多層プリント配線板100を作製した。
コア基材4には、三菱ガス化学株式会社製の厚み0.04mmのBTレジン、ビルドアップ基材5A、15Aは三菱ガス化学株式会社製の厚み0.03mmのBTレジンを使用した。
【0030】
先ず、
図2(a)に示すように、検査対象の内層ランド1にレーザーを使用して穴開けした後にフィルドめっきにより銅めっきで穴埋めした内層ビア2を有する内層基板20に対し、ビルドアップ基材、銅箔の順からなる積層部を基板20の両面に設けた4層積層板21を準備する。
その時の内層ランド1のランド直径は0.15mmで、その厚みの設定値は0.015mmとし、内層ビア2のビア径は0.08mmとした。
【0031】
次に
図2(b)に示すように、レーザーで「座ぐり加工」を行う場所の銅箔6Aをエッチングにて開口し、レーザーマスク開口7を形成する。その後、
図2(c)で示すように、レーザーにてビルドアップ基材5Aを「座ぐり加工」を行い、袋穴8を形成した後、
図2(d)で示すように銅めっき9を施す。
この銅箔6Aの厚みは0.006mmとし、レーザーマスク開口7の開口径は0.6mmとした。また銅めっき9のめっき厚設定値は0.02mmとした。
【0032】
次に
図2(e)に示すように、エッチングにて外層回路を形成すると共に、内層ランド1側の銅箔16Aに、内層ランド1を包含する大きさの開口部C
1を形成した。
その後、
図2(f)に示すように無電解ニッケル・パラジウム・金めっきをはじめとする最終表面処理層3を施すことで検査クーポンCを形成して本発明に係る検査クーポンを備える多層プリント配線板を得た。
【0033】
作製した実施例1に係る多層プリント配線板に対し、40ワットの直管蛍光灯2本で照射するバックライト型検査テーブル上で、表面側から光学顕微鏡により目視観察すると、内層ランド1はコア基材4を透過し暗色で識別される。一方内層ビア
2は「座ぐり」により露出されているので、無電解ニッケル・パラジウム・金めっきをはじめとする最終表面処理層3の色調がそのまま観察されるため両者で色調差が発生し、容易に内層ランドと内層ビアの位置ずれの検出ができ、検査可能であった。
【実施例2】
【0034】
図3に、検査対象の内層ランドが3層目にあり、内層ビアは2層目と3層目の間に形成されている本発明に係る検査クーポンを備える6層基板作製した。
絶縁基材4aには、三菱ガス化学株式会社製の厚み0.004mmのBTレジン、ビルドアップ基材5、5A、15、15Aには、三菱ガス化学株式会社製の厚み0.03mmのBTレジンを使用した。
【0035】
始めに
図3(a)に示すように、検査対象の内層ランド1とレーザー加工後にフィルドビアめっきにより銅めっきで穴埋めした内層ビア2を有する4層積層板21’を準備する。内層ランド1のランド径は0.15mm、その厚みの設定値は0.015mmとし、内層ビア2のビア系は0.08mmとした。
【0036】
次に
図3(b)に示すように、4層積層板21’に対し、ビルドアップ基材と銅箔を、その両側に積層(符号5A/6A、符号15A/16A)して6層積層板22を得た。
【0037】
次に
図3(c)に示すように、レーザーで座ぐり加工する場所の銅箔6A、16Aをエッチングにて開口し、レーザーマスク開口7、17を形成した。
次に、レーザーにてビルドアップ基材5Aを座ぐり加工して内層ビア側の袋穴8を作製し、さらに内層ランド側のビルドアップ基材15A、15をレーザーにより座ぐり加工して袋穴10を形成した後に、
図3(e)で示すように銅めっき層9を施した。銅箔6A、16Aの厚みは0.006mmとし、レーザーマスク開口7、17の開口径は0.6mmとした。又銅めっき層9のめっき厚みの設定値は0.02mmとした。
【0038】
次に
図3(f)に示すように、エッチングにて外層回路を形成する。エッチング時に内層ビア2内の銅めっきも一部エッチングされるが、内層ランド1が開口するまではエッチングされない。
また、このエッチング時には、コア基材4の内層配線4bに、内層ランド1を包含する大きさの開口部C
1を形成した。
その後に
図3(g)に示すように、無電解ニッケル・パラジウム・金めっきをはじめとする最終表面処理層3を施すことで検査クーポンCを形成して本発明に係る検査クーポンを備えた多層プリント配線板を得た。
なお、本発明は8層基板以上の多層プリント配線板にも適用可能であり、かつ任意の層の内層ランド、内層ビアで適用可能である。
【0039】
作製した実施例2に係る多層プリント配線板に対し、40ワットの直管蛍光灯2本で照射するバックライト型検査テーブル上で、表面側から光学顕微鏡により観察すると、内層ランド1はコア基材4を透過し暗色で識別される。一方内層ビア2は
「座ぐり
」により露出されているので、無電解ニッケル・パラジウム・金めっきをはじめとする最終表面処理層3の色調がそのまま観察されるため両者で色調差が発生し、容易に内層ランドと内層ビアの位置ずれを検査可能となる。
【実施例3】
【0040】
次に、実施例1の多層プリント配線板(
図1(a)、(b)、及び
図2(f)参照)を用い、ビルドアップ基材5の材質(BTレジン、FR−4)と厚み(0.02〜0.1mm)が、位置ずれ検出に及ぼす影響を調査した。その結果を、色調差が発生して内層ランドと内層ビアの位置ずれを検出した場合を「○」とし、色調差によるずれの検出ができなかった場合を「×」として表1に示す。なお、ビルドアップ基材5の上部に位置する絶縁基材4aの厚みは、調査した範囲(0.02〜0.06mm)では検出結果に影響しないことを確認している。
【0041】
【表1】
【0042】
ビルドアップ基材に用いたBTレジン、FR−4共に、その厚みが0.040mmまでは、位置ずれの検出ができたが、FR−4ではその厚みを超える厚みでは検出ができなかったのに対して、BTレジンでは0.070mmの厚みまで、ずれの検出が可能であった。
以上の結果から、本発明に係る検査クーポンを備える多層プリント配線板では、ビルドアップ基材の厚みを、BTレジンを使用した場合には、一層の厚みが0.070mmまでのビルドアップ基材の使用が望ましく、FR−4を使用した場合には、一層の厚みが0.040mmまでのものの使用が好ましい。