(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1導波素子が前記電波を吸収する導波導体として機能し、前記第2導波素子がグランド導体として機能する場合において、前記第1絶縁領域の誘電率が前記第2絶縁領域の誘電率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のRFタグ用アンテナ。
前記RFタグ素子と前記ケースの第1内面との間の隙間には、前記RFタグ素子を前記第1内面と対向する第2内面に向けて押圧する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載のRFタグ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
RFIDシステムでは、利便性を向上させるために、RFタグと読取装置との間の通信距離をさらに伸ばすことが強く求められている。
【0007】
そこで、本発明は、読取装置との間の通信距離を伸ばすことが可能なRFタグ用アンテナおよびRFタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るRFタグ用アンテナは、
絶縁部材と、
前記絶縁部材の一方の側に設けられた第1導波素子と、
前記第1導波素子に対向するように配置され、前記絶縁部材の他方の側に設けられた第2導波素子と、
前記第2導波素子に一端が電気的に接続された給電部と、
前記第1導波素子に一端が電気的に接続され、前記第2導波素子に他端が電気的に接続された短絡部と、を備え、
前記第1導波素子、前記第2導波素子、前記絶縁部材、前記給電部および前記短絡部により、読取装置から送信される電波を受信する板状逆Fアンテナが構成され、
前記第1導波素子および前記第2導波素子で挟まれた領域のうち前記第1導波素子側の第1絶縁領域の誘電率と、前記領域のうち前記第2導波素子側の第2絶縁領域の誘電率とが互いに異なることを特徴とする。
【0009】
また、前記RFタグ用アンテナにおいて、
前記第1導波素子が前記電波を吸収する導波導体として機能し、前記第2導波素子がグランド導体として機能する場合において、前記第1絶縁領域の誘電率が前記第2絶縁領域の誘電率よりも小さいようにしてもよい。
【0010】
また、前記RFタグ用アンテナにおいて、
前記絶縁部材は、前記一方の側の第1主面、および前記他方の側の第2主面を有し、
前記第1主面には複数の有底穴が設けられていてもよい。
【0011】
また、前記RFタグ用アンテナにおいて、
前記複数の有底穴は、前記第1主面から前記第2主面に向かうにつれて縮径してもよい。
【0012】
また、前記RFタグ用アンテナにおいて、
前記絶縁部材は、前記一方の側の第1主面、および前記他方の側の第2主面を有し、
前記第1主面および/または前記第2主面に凹凸が形成されていてもよい。
【0013】
また、前記RFタグ用アンテナにおいて、
前記第1主面および前記第2主面には、各々異なる形状の凹凸が形成されていてもよい。
【0014】
また、前記RFタグ用アンテナにおいて、
前記絶縁部材は、前記一方の側の第1主面、および前記他方の側の第2主面を有し、
前記絶縁部材は、前記第1主面を含む第1絶縁基板と、前記第2主面を含む第2絶縁基板を有し、前記第1絶縁基板および前記第2絶縁基板の誘電率が互いに異なるようにしてもよい。
【0015】
本発明に係るRFタグは、
本発明に係るRFタグ用アンテナと、前記読取装置から送信される電波に基づいて動作するICチップとを有するRFタグであって、
前記第2導波素子が導体に接触するように設置されており、
前記第2絶縁領域の誘電率が前記第1絶縁領域の誘電率よりも大きいことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るRFタグは、
本発明に係るRFタグ用アンテナ、および前記読取装置から送信される電波に基づいて動作するICチップを有するRFタグ素子と、
前記RFタグ素子を格納するケースと、を備えるRFタグであって、
前記ケースは、前記RFタグを被取付物に取り付けるための取付け手段を有することを特徴とする。
【0017】
また、前記RFタグにおいて、
前記ケースは、前記ケースの外側から前記短絡部の位置を視認可能に構成されていてもよい。
【0018】
また、前記RFタグにおいて、
前記RFタグ素子と前記ケースの第1内面との間の隙間には、前記RFタグ素子を前記第1内面と対向する第2内面に向けて押圧する付勢部材が設けられていてもよい。
【0019】
また、前記RFタグにおいて、
前記ケースは導電材料からなり、前記ケースには前記読取装置から送信される電波が通過するための開口が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、読取装置との間の通信距離を伸ばすことが可能なRFタグ用アンテナおよびRFタグを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付す。
【0023】
まず、実施形態に係るRFタグ用アンテナ10およびRFタグ素子100について説明する。
【0024】
図1Aおよび
図1Bに示すように、RFタグ素子100は、読取装置から送信される電波を受信するRFタグ用アンテナ10と、当該電波に基づいて動作するICチップ80とを備えている。
【0025】
RFタグ用アンテナ10は、導波素子20(第1導波素子)と、導波素子30(第2導波素子)と、絶縁部材40と、給電部50と、短絡部60と、絶縁性のシート70とを備えている。
【0026】
導波素子20、導波素子30、絶縁部材40、給電部50および短絡部60により、読取装置(図示せず)から送信された電波を受信する板状逆Fアンテナが構成される。導波素子20が電波を吸収する導波導体として機能する場合は、導波素子30が導体地板として機能する。一方、導波素子30が導波導体として機能する場合は、導波素子20が導体地板として機能する。すなわち、導波素子20および30は、RFタグ素子100の使用態様に応じて、導波導体と導体地板のどちらの機能も果たす。
【0027】
ICチップ80は、
図1Aに示すように、導波素子20と同一平面上に配置され、導波素子20と給電部50の間に設けられている。なお、板状逆Fアンテナとして機能する範囲内であれば、ICチップ80を絶縁部材40の側面に配置してもよい。また、ICチップ80に外部電源を接続して、当該外部電源から供給される電圧によりICチップ80が動作するようにしてもよい。
【0028】
ICチップ80は、RFタグ用アンテナ10の板状逆Fアンテナが受信した電波に基づいて動作する。具体的には、ICチップ80は、まず、読取装置から送信される搬送波の一部を整流し、動作するために必要な電源電圧を生成する。そして、ICチップ80は、生成した電源電圧によって、ICチップ80内の制御用の論理回路や、商品の固有情報等が格納された不揮発性メモリを動作させる。また、ICチップ80は、読取装置との間でデータの送受信を行うための通信回路等を動作させる。
【0029】
次に、RFタグ用アンテナ10の各構成要素について詳しく説明する。
【0030】
導波素子20は、絶縁部材40の一方の側に設けられている。導波素子30は、導波素子20に対向するように配置され、絶縁部材40の他方の側に設けられている。本実施形態では、導波素子20は、略直方体形状の絶縁部材40の第1主面(一方の側の主面)上に設けられ、導波素子30は絶縁部材40の第2主面(他方の側の主面)上に設けられている。なお、導波素子20および30の表面に絶縁被膜が形成されてもよい。
【0031】
図1Aおよび
図1Bに示すように、導波素子20および導波素子30は、いずれも略長方形状である。このように導波素子20と導波素子30は、同一形状であることが好ましい。なお、「同一形状」とは、厳密な意味での同一に限られるものではなく、アンテナ構造に起因して僅かな差異が生じる場合も含むものとする。例えば、ICチップ80を導波素子20と同一平面上に設ける場合(
図1A参照)、四角形状の導波素子20の一部に欠け部を設ける必要がある。この場合、導波素子20と導波素子30の形状は厳密には同一ではないが、本願では同一形状であるというものとする。
【0032】
導波素子20および30の平面形状は長方形状に限られない、例えば、導波素子20および30を、その中心部を切り取った形状(すなわちロ字状)にしてもよい。
【0033】
導波素子20の側辺の長さの合計が、λ/4、λ/2、3λ/4または5λ/8であることが好ましい。ここで、λは読取装置から送信される電波の波長である。なお、電波の波長λは、RFタグとして使用可能な範囲内であれば特に限定されない。導波素子30の側辺の長さの合計についても同様に、λ/4、λ/2、3λ/4または5λ/8であることが好ましい。
【0034】
絶縁部材40は、例えば比誘電率が1以上〜20以下の誘電体(例えば、ABS樹脂等の合成樹脂、セラミック、発泡スチロール等)である。誘電率が大きい誘電体(例えばセラミック)を用いた場合、導波素子20、導波素子30および絶縁部材40により構成されるコンデンサ(後述のコンデンサ90)の静電容量が大きくなるため、導波素子20および30の開口面積が小さくなり、RFタグ素子100を小型化することができる。ただし、RFタグ用アンテナ10の利得が小さくなるため、読取装置との間で通信可能な距離(通信距離)が短くなる。数メートル以上といった比較的長い通信距離が必要な場合は、絶縁部材40として誘電率が小さい誘電体(例えば比誘電率が5以下)を用いることが好ましい。
【0035】
絶縁部材40は、略直方体形状であり、第1主面と、第1主面の反対側の第2主面とを有する。
図3および
図4に示すように、絶縁部材40は、第1主面に複数の有底穴41が設けられている。これらの有底穴41は、例えばドリルにより絶縁部材40を切削して形成する。
【0036】
絶縁部材40に複数の有底穴41を設けることで、
図2に示すように、導波素子20および導波素子30で挟まれた領域のうち導波素子20側の絶縁領域A1(第1絶縁領域)の誘電率と、当該領域のうち導波素子30側の絶縁領域A2(第2絶縁領域)の誘電率とが互いに異なるようにする。より詳しくは、絶縁領域A1の誘電率は、有底穴41内が空気であるため、絶縁領域A2の誘電率よりも小さくなる。
【0037】
ここで、絶縁領域A1は、導波素子20に接触する領域であり、導波素子20および導波素子30で挟まれた領域のうち導波素子20の近傍の領域を少なくとも含む。同様に、絶縁領域A2は、導波素子30に接触する領域であり、導波素子20および導波素子30で挟まれた領域のうち導波素子30の近傍の領域を少なくとも含む。
【0038】
絶縁領域A1の誘電率が絶縁領域A2の誘電率よりも小さい場合、導波素子20の方が導波素子30よりも開口面積が大きい。このため、導波素子20が読取装置から放射された電波を吸収する導波導体(放射導体)となり、導波素子30がグランド導体となる。反対に、絶縁領域A1の誘電率が絶縁領域A2の誘電率よりも大きい場合は、導波素子20がグランド導体となり、導波素子30が導波導体となる。
【0039】
なお、絶縁部材40に設けられる有底穴41の形状は、
図3に示すような円形に限らず、他の形状(楕円形、多角形、星形など)でもよい。
【0040】
また、有底穴41は、
図4に示すように、絶縁部材40の第1主面から第2主面に向かうにつれて縮径することが好ましい。これにより、導波素子20および導波素子30で挟まれた絶縁領域の誘電率を徐々に滑らかに変えることができる。
【0041】
また、絶縁部材40は、上記のような直方体形状に限られず、例えば、円盤形状であってもよいし、あるいは断面が円弧状に湾曲したものであってもよい。また、絶縁部材40は、RFタグ素子100を取り付ける被取付物の表面形状に応じた形状を有してもよい。
【0042】
給電部50は、絶縁部材40の側面に設けられ、導波素子30に一端が電気的に接続され、ICチップ80を介して導波素子20に他端が電気的に接続されている。
【0043】
短絡部60は、絶縁部材40の側面に設けられ、導波素子20に一端が電気的に接続され、導波素子30に他端が電気的に接続されている。
【0044】
シート70は、例えば、PET、ポリイミド、ビニールなど可撓性を有する絶縁材料から構成される。このシート70の厚さは特に限定されるものではないが、一般的には数十μm程度である。
【0045】
シート70上に、
図1Cに示すように、導波素子20、導波素子30、給電部50および短絡部60が形成されている。そして、導波素子20、導波素子30、給電部50および短絡部60は、絶縁部材40の辺の部分で折り曲げられたシート70を介して絶縁部材40に貼り付けられている。
【0046】
図1Aに示すように、給電部50および短絡部60は、導波素子20と導波素子30間に架け渡されるようにシート70上に互いに平行に設けられている。なお、給電部50および短絡部60は、互いに並行に設けられなくてもよい。
【0047】
導波素子20、導波素子30、給電部50および短絡部60は、シート70の全面を覆うように形成されたアルミニウム等の金属薄膜をエッチングすることにより形成される。あるいは、導電インク等を用いたパターン印刷等によって形成してもよい。
【0048】
なお、シート70は必須の構成ではなく、導波素子20、導波素子30、給電部50および短絡部60を、シート70を介さずに絶縁部材40に設けてもよい。例えば、導波素子20および導波素子30を単体で形成し、絶縁部材40に直接貼り付けてもよい。あるいは、導波素子20および導波素子30をシート70上に形成した後、シート70を剥がしてから絶縁部材40に直接貼り付けてもよい。
【0049】
次に、上記のRFタグ素子100の動作について
図5を参照して説明する。RFタグ素子100では、板状逆Fアンテナで受信される電波の周波数帯域で共振する共振回路が構成されている。この共振回路は、
図5に示すように、インダクタパターンLとコンデンサ90により構成される。ここで、インダクタパターンLは、
図1Cに示すように、導波素子20、短絡部60、導波素子30および給電部50により構成される。コンデンサ90は、導波素子20、導波素子30および絶縁部材40により構成される。
【0050】
図5に示すように、RFタグ素子100の等価回路では、インダクタパターンLと、コンデンサ90と、ICチップ80とは互いに並列接続されている。インダクタパターンL、コンデンサ90およびICチップ80が、読取装置から送信される電波の周波数帯域で共振する共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数f[Hz]は、式(1)により与えられる。共振周波数fの値は、読取装置から送信される電波の周波数帯域に含まれるように設定される。
【数1】
【0051】
ここで、La:インダクタパターンLのインダクタンス、Ca:コンデンサ90の静電容量、Cb:ICチップ80内部の等価容量である。なお、Cbとしては、例えば、使用するICチップの仕様諸元の一つとして公表されている静電容量値を用いることができる。
【0052】
上記の共振回路によって、板状逆Fアンテナが読取装置から送信された電波を高感度で受信できるようになる。よって、RFタグ素子100の読み取り性能を向上させることができる。さらに、ICチップ80が生成する電源電圧を高くすることができる。
【0053】
なお、ICチップ80は浮遊容量を有する。また、ICチップ80には、内部にコンデンサを含むものがある。このため、共振回路の共振周波数を設定する際、ICチップ80内部の等価容量を考慮することが好ましい。換言すれば、共振回路は、インダクタパターンLのインダクタンス、コンデンサ90の静電容量、およびICチップ80内部の等価容量を考慮して設定された共振周波数を有することが、受信感度を高める上で好ましい。
【0054】
本実施形態に係るRFタグ素子100では、前述のように、導波素子20および30が、RFタグ素子100の使用態様に応じて、導波導体と導体地板のどちらの機能も果たす。そして、導波素子20が導波導体として機能し、導波素子30がグランド導体として機能する場合において、放射側の絶縁領域A1の誘電率がグランド側の絶縁領域A2の誘電率よりも小さい。本実施形態では、絶縁部材40の一方の主面に複数の有底穴41を設けることで、導波素子20側の絶縁領域A1の誘電率を、導波素子30側の絶縁領域A2の誘電率よりも小さくしている。これにより、放射側の開口面積が大きくなるので、RFタグ素子100のサイズを大きくすることなく、RFタグ素子100と読取装置との間の通信距離を伸ばすことができる。
【0055】
なお、絶縁部材40の構成は、上記のものに限られず、様々なものを想定することが可能である。以下2つの変形例について説明するが、いずれの場合も上記実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(変形例1)
図6および
図7を参照して変形例1について説明する。
図6は、変形例1の場合における
図1AのI−I線の断面図を示している。
図7は、変形例1における絶縁部材40の斜視図を示している。
【0057】
変形例1では、絶縁部材40の第1主面に複数の溝42がストライプ状に設けられ、第2主面に複数の溝43がストライプ状に設けられている。
図6に示すように、溝42の幅は溝43の幅よりも広い。このため、絶縁領域A1の誘電率は絶縁領域A2の誘電率よりも低くなる。導波素子20、導波素子30は、絶縁部材の主面に形成された凹凸の凸部分(すなわち、溝以外の部分)により支持される。
【0058】
なお、溝の本数を変えることで誘電率を変化させてもよい。例えば、絶縁部材40の第1主面に5本の溝42を形成し、第2主面には、溝42と同じ幅の溝を3本形成するようにしてもよい。
【0059】
また、ストライプ状の溝以外の形状の凹凸を第1主面および/または第2主面に形成することで、絶縁領域A1と絶縁領域A2の誘電率が互いに異なるようにしてもよい。この凹凸の平面形状は、複数の同心円形状、格子形状、波形状など任意の形状をとり得る。第1主面および第2主面に各々異なる形状の凹凸を形成することで、絶縁領域A1と絶縁領域A2の誘電率が互いに異なるようにしてもよい。
【0060】
導波素子20と絶縁部材40との接触面積が小さいほど絶縁領域A1の誘電率が小さくなる。よって、導波素子20と絶縁部材40との接触面積が導波素子30と絶縁部材40との接触面積よりも小さくなるようにすることで、絶縁領域A1の誘電率を絶縁領域A2の誘電率よりも小さくすることが可能である。
【0061】
(変形例2)
図8を参照して変形例2について説明する。
図8は、変形例2の場合における
図1AのI−I線の断面図を示している。
【0062】
変形例2では、絶縁部材40は、第1主面を有する絶縁基板40Aと、第2主面を有する絶縁基板40Bを有する。絶縁基板40Aと絶縁基板40Bは互いに重ね合わされており、2層構造の絶縁部材40が構成されている。そして、絶縁基板40Aおよび絶縁基板40Bの誘電率は互いに異なる。例えば、絶縁基板40Aは絶縁基板40Bよりも絶縁率の低い材料からなる。あるいは、絶縁基板40Aと絶縁基板40Bを同じ材料で構成し、内部の気泡の数や大きさを変えることで互いの絶縁率が異なるようにしてもよい。
【0063】
なお、絶縁部材40は、3層以上の絶縁基板により構成されてもよい。
【0064】
上記の変形例1および2の他に、平板部と、この平板部の上面に突設された複数の柱部とを有する絶縁部材を用いてもよい。この場合、複数の柱部の上に導波素子20が設けられ、平板部の下面に導波素子30が設けられる。
【0065】
<RFタグ素子の設置>
次に、
図9を参照して、RFタグ素子100の設置ついて説明する。
図9は、RFタグ素子100を導体(被取付物)200の設置面201に設置した状態を示している。RFタグ素子100は、導波素子30が導体200に接触するように設置されている。導体200等の被取付物に直接取り付けられるRFタグ素子は、RFタグ素子を格納するケース(後述のケース300,500等)を有しないRFタグとみなせる。
【0066】
本願において「導波素子が導体に接触する」とは、導波素子が導体に直接接触する場合のみならず、導波素子が導体に電気的に接続しているとみなせる状態も含む。すなわち、何らかの物質(シール、接着剤など)が導波素子と導体の間に挟まれている場合も、導波素子が導体に接触する状態に含まれるものとする。また、本願において「導体」とは、一般的な辞書的意味と同様に、「電気の伝導率が比較的大きな物質の総称」であり、金属が典型的な例である。ただし、「導体」は、金属に限定されるものではなく、例えば人体、草木、水、地面などであってもよい。
【0067】
導体200に設置されたRFタグ素子100では、導波素子30が導体200に電気的に接続され、導体200が導波素子30とともに電波を受信する。すなわち、RFタグ用アンテナ10は板状逆Fアンテナであるため、導波素子30と導体200は、大きな開口面積を有する一つの導波素子として、読取装置の電波を吸収(受信)することができる。したがって、板状逆Fアンテナの感度向上を図ることができる。
【0068】
絶縁領域A2の誘電率が絶縁領域A1の誘電率よりも大きいようにしてもよい。これにより、板状逆Fアンテナの感度がさらに向上し、通信距離を伸ばすことができる。
【0069】
なお、矩形状の導体200上に複数のRFタグ素子100を配置する場合、
図9に示すように、複数のRFタグ素子100を、各RFタグ素子100の短絡部60が導体200の端(側辺)の方向に向き、かつ短絡部60が導体200の側辺よりも内側に位置するように設置することが好ましい。このように配置することで、リターンロスが減少する結果、RFタグ素子100の動作効率が向上し、電波を効率良く放射することができる。
【0070】
<RFタグ>
次に、上述したRFタグ素子100をケースに格納したRFタグ1について説明する。
【0071】
RFタグ1は、
図10に示すように、RFタグ素子100と、このRFタグ素子100を格納するケース300と、を備えている。RFタグ素子100は、ケース300の内面304上に設けられた接着層400を介してケース300に固定されている。接着層400は接着剤が硬化してなるものである。ケース300内にRFタグ素子100を格納することで、防水性や防塵性を高めることができる。
【0072】
ケース300は、例えば、ABS樹脂、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:FRP)からなるが、これらに限られない。なお、ケース300は、本実施形態では直方体形状であるが、これに限られず、円盤形状であってもよいし、あるいは、被取付物の表面形状に応じた形状を有するものであってもよい。
【0073】
ケース300は、RFタグ1を被取付物に取り付けるための取付け手段を有してもよい。この取付け手段は、例えば、
図10に示すように、接着剤が硬化してなる接着層401である。また、取付け手段として、ケースに固定用の孔を設けてもよい。
図11に示すケース500は、下面が開口した筐体501と、上側が開口した蓋体502とを有する。蓋体502の内部にRFタグ素子100を格納した状態でこの蓋体502を筐体501内に格納する。筐体501はその左右の側面から伸びる外縁部501aを備えている。この外縁部501aには孔501bが設けられている。この孔501bを利用することにより、ケース500をネジ、ボルト・ナット、釘等の固定手段で導体200等の被取付物に固定することができる。なお、筐体501の内側面と蓋体502の外側面との間に生じる隙間G1に接着剤を充填してもよい。これにより、ケース500の水密性及び防塵性を高めることができる。
【0074】
その他、取付け手段として、ケースに吊り下げ用の孔(図示せず)が設けられてもよい。この場合、吊り下げ用の孔に紐が通され、RFタグ1は紐を介して被取付物に吊り下げられる。
【0075】
なお、RFタグ素子100を格納するケースは、当該ケースの外側から短絡部60の位置を視認可能に構成されていてもよい。例えば、ケースの外面(例えばケース300の上面301または側面302等)には、短絡部60の位置を示すマーク等が印刷される。あるいは、ケース300の外形形状を工夫することにより、短絡部60の位置を外部から視認可能としてもよい。例えば、ケース300の外面のうち短絡部60の位置に対応する部分に凸部または凹部を設ける。
【0076】
このようにケースの外側から短絡部60の位置を視認可能にケースを構成することにより、複数のRFタグ1を導体200に取り付ける際に、短絡部60が導体200の端部に向くようにRFタグ1を容易に設置することができる。その結果、前述のように、各RFタグ1の動作効率を向上させ、電波を効率良く放射させることができる。
【0077】
また、RFタグ素子100を押圧する付勢部材をRFタグ1に設けてもよい。すなわち、RFタグ素子100とケースの第1内面との間の隙間には、RFタグ素子100を第1内面と対向する第2内面に向けて押圧する付勢部材が設けられてもよい。
【0078】
例えば、
図12に示すように、RFタグ素子100とケース300の内面303との間の隙間G2には、接着層601が付勢部材として設けられている。この接着層601は、接着剤が硬化してなる層であり、隙間G2を充填し、隙間G2の厚さよりも厚い。このため、接着層601は、内面303と対向する内面304に向けてRFタグ素子100を押圧する。したがって、RFタグ素子100は、接着層601により内面304側にしっかりと押し付けられる。
【0079】
付勢部材に係る別の実施形態として、
図13に示すように、ケース300の内面303に突起部(リブ)602を設けてもよい。すなわち、ケース300の内面303に、RFタグ素子100を内面304に向けて押圧する突起部602が設けられてもよい。なお、内面303はケース300の下側内面であってもよい。
【0080】
付勢部材は、上記の他にも様々なものが想定可能である。例えば、ウレタン等の収縮性を有する素材からなる部材や、樹脂製のバネ等を、付勢部材として、RFタグ素子とケースとの間に介在させてもよい。
【0081】
上記のような付勢部材を設けることにより、RFタグ1のアンテナ感度を向上させることができる。さらに、ケースに振動が加わった場合でも、RFタグ素子100がケース内でぐらつかないようにでき、RFタグ素子100の長寿命化を実現できる。
【0082】
また、RFタグ素子100を格納するケースを金属等の導電材料で構成してもよい。この場合、導電材料からなるケースに電波が通過するための開口を設ける。
図14A〜
図14Eに示すように、導電材料からなるケース700には、読取装置の電波が通過するための開口701が設けられる。例えば、開口701はケース700の上面(すなわち、読取装置と対向する面)に設けられる。この開口701を通過した電波が、ケース700に格納されたRFタグ素子100により受信される。
【0083】
開口701は、読取装置から送信される電波の特性に応じた形状とすることが好ましい。例えば、開口701の形状は、
図14A〜
図14Cに示す1本の直線形状、
図14Dに示す2本の直線が交差した形状、
図14Eに示す楕円形状等、電波の特性に応じて適宜変更することが可能である。なお、開口701の形状は、長方形状、十字形状、円形状(楕円形状)に限るものではなく、その他の形状、例えば星形形状などであってもよい。また、開口701の面積は、ケース700の表面積(上面および前後左右の側面の面積の和)の約10%程度が好ましいが、電波の種類やケースの設置場所に応じて適宜調節してもよい。
【実施例】
【0084】
図15は、RFタグ素子の通信可能最小利得を測定するための測定系を示している。アクリル板1000の上にRFタグ素子AまたはBが取り付けられている。RFタグ素子Aは、本発明の実施形態に係るRFタグ素子であり、絶縁部材として、標準アンテナ1200側の面に複数の有底穴が設けられたABS樹脂板が用いられている。一方、RFタグ素子Bは、従来型のRFタグ素子であり、絶縁部材として発泡スチロール板が用いられている。発泡スチロール板は、平板状であり、有底穴は設けられていない。なお、RFタグ素子AおよびBについて、絶縁部材以外の構成および大きさは同じである。
【0085】
RFタグ素子A,Bと標準アンテナ1200との間の設定距離Dは300mmとした。読取装置1100は、RFタグ素子A,Bと通信可能な最小利得を計測する。通信周波数は920MHzとした。なお、通信可能最小利得が小さいほど、RFタグ素子のアンテナ感度が良く、通信距離を伸ばすことができる。
【0086】
上記の測定系で測定した結果、RFタグ素子Aの通信可能最小利得は16.5dBであった。これに対し、発泡スチロール板を用いたRFタグ素子Bの通信可能最小利得は19.8dBであった。このことから、RFタグ素子Aの方がRFタグ素子Bよりもアンテナ感度が大幅に向上していることがわかる。
【0087】
ABS樹脂の誘電率(誘電率3.1)は発泡スチロールの誘電率(誘電率2.1)よりも大きいので、絶縁部材の形状が同じであれば、RFタグ素子Aの方がRFタグ素子Bよりも、RFタグ用アンテナ10の利得が小さくなり通信距離が短くなる。しかしながら、RFタグ素子Aでは複数の有底穴を設けることで絶縁領域A1の誘電率を下げているため、RFタグ素子AはRFタグ素子Bと同じサイズにもかかわらず、アンテナ感度が向上している。
【0088】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。