(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670516
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】障子及び建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20200316BHJP
E06B 3/38 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/38
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-61952(P2016-61952)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-172293(P2017-172293A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】須藤 良平
(72)【発明者】
【氏名】窪 聡志
【審査官】
秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−144877(JP,A)
【文献】
特開2015−148056(JP,A)
【文献】
特開2014−173250(JP,A)
【文献】
国際公開第02/084062(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/16
E06B 3/36−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を形成する枠体に当該開口を閉塞可能に回動自在に支持される障子であって、
前記障子は、
面材と、
前記面材の上下及び左右に配置されて対をなす框材が矩形状に接合されている框体と、
を有し、
各々の前記框材は、各々前記開口より外周側に張り出し、見込み方向において前記枠体と対向する対向部を有し、
前記対向部には、前記枠体側と対面する加熱発泡材が、各々の前記框材の長手方向の全長に渡って設けられており、
前記框体は、一方の前記対をなす框材の小口が、他方の前記対をなす框材の長手方向における端部にて当該他方の前記対をなす框材に側方から当接されて接合され、前記他方の対をなす框材の小口を覆う小口キャップを有しており、
各々の前記対向部には、前記加熱発泡材を前記枠体側と対面させ、当該対向部の長手方向に沿ってスライド可能に前記加熱発泡材と係合する係合部が設けられており、
前記加熱発泡材は、前記小口キャップにより各々の前記框材の長手方向における一方端に保持されていることを特徴とする障子。
【請求項2】
請求項1に記載の障子であって、
前記小口キャップは、前記加熱発泡材を前記対向部との間に挟み前記係合部に嵌合される嵌合部を備えていることを特徴とする障子。
【請求項3】
開口を形成する枠体に当該開口を閉塞可能に回動自在に支持される障子であって、
前記障子は、
面材と、
前記面材の上下及び左右に配置されて対をなす框材が矩形状に接合されている框体と、
を有し、
各々の前記框材は、各々前記開口より外周側に張り出し、見込み方向において前記枠体と対向する対向部を有し、
前記対向部には、前記枠体側と対面する加熱発泡材が、各々の前記框材の長手方向の全長に渡って設けられており、
前記框体は、一方の前記対をなす框材の小口が、他方の前記対をなす框材の長手方向における端部にて当該他方の前記対をなす框材に側方から当接されて接合されており、
各々の前記対向部には、当該対向部の長手方向に沿うとともに前記枠体側と対面させて前記加熱発泡材が設けられており、
前記他方の対をなす框材の前記対向部に設けられている前記加熱発泡材の端部は、前記対向部の前記枠体側と反対側の面に回り込んで当該他方の対をなす框材の小口を覆っていることを特徴とする障子。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の障子と、
前記障子を回動自在に支持する前記枠体と、
を備えることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火性を備えた障子及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
防火性を備えた障子及び建具としては、例えば、開口を形成する枠体に当該開口を閉塞可能に回動自在に支持される開き窓用の障子及びこの障子が備えられた建具が知られている。このような障子は、
図8に示すようにガラス101などの面材の四周を囲む4本の框材が矩形状に接合された框体102を有しており、框体102における小口が露出する部位には、小口を覆う小口キャップ103が設けられている。また、框体102は、枠体の開口より外周側に張り出し、見込み方向において枠体と対向する対向部105の、小口キャップ103と干渉しない部位に加熱発泡材104が設けられているものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような障子100は、対向部105に設けられている加熱発泡材104は小口キャップ103と干渉しない部位に設けられているので、框体102を構成する各框材の端部には、加熱発泡材104が設けられていない部位106が存在する。このため、火災等により障子100が加熱されたときには、加熱発泡材104が発泡したとしても対向部105において加熱発泡材104が設けられていない部位106では枠体との間に隙間が生じ、火炎が貫通する虞があるという課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より防火性が高い障子及び建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる目的を達成するために本発明の障子は、開口を形成する枠体に当該開口を閉塞可能に回動自在に支持される障子であって、前記障子は、面材と、前記面材の上下及び左右に配置され
て対をなす框材が矩形状に接合されている框体と、を有し、各々の前記框材は、各々前記開口より外周側に張り出し、見込み方向において前記枠体と対向する対向部を有し、前記対向部には、前記枠体側と対面する加熱発泡材が、各々の前記框材の長手方向の全長に渡って設けられて
おり、前記框体は、一方の前記対をなす框材の小口が、他方の前記対をなす框材の長手方向における端部にて当該他方の前記対をなす框材に側方から当接されて接合され、前記他方の対をなす框材の小口を覆う小口キャップを有しており、各々の前記対向部には、前記加熱発泡材を前記枠体側と対面させ、当該対向部の長手方向に沿ってスライド可能に前記加熱発泡材と係合する係合部が設けられており、前記加熱発泡材は、前記小口キャップにより各々の前記框材の長手方向における一方端に保持されていることを特徴とする。
【0005】
このような障子によれば、框体を構成する各框材が備える対向部に加熱発泡材が、枠体側と対面して、各々の框材の長手方向の全長に渡って設けられているので、枠体の開口を囲むように、枠体と対向させて加熱発泡材を備えることが可能である。このため火災等により加熱発泡材が発泡した際には、発泡した加熱発泡材により開口を囲むように框体と枠体との間を埋めて隙間が生じることを防止することが可能である。よって、より防火性が高い障子を提供することが可能である。
【0006】
また、加熱発泡材は各框材の対向部に設けられた係合部にスライド可能に係合されるので、加熱発泡材を框材の端部側からスライドさせて各框材の対向部に配置することが可能である。また、一方の対をなす框材が他方の対をなす框材に側方から当接されて接合されるので、接合された状態では一方の対をなす各框材の係合部にスライド可能に係合された加熱発泡材は、他方の対をなす框材によりスライドが規制されて一方の対をなす框材に保持される。
【0007】
また、他方の対をなす框材の係合部にスライド可能に係合された加熱発泡材は、他方の対をなす各框材の小口を覆う小口キャップにより他方の対をなす框材の長手方向における一方端に保持されているので、小口キャップによりスライドが規制されて他方の対をなす框材に保持される。このため、各框材の係合部に各々加熱発泡材を係合して、それぞれ対をなす框材を接合し小口キャップを設けることにより、各框材の小口を露出させることなく加熱発泡材を、枠体の開口を囲むように容易に備えることが可能である。
【0008】
かかる障子であって、前記小口キャップは、前記加熱発泡材を前記対向部との間に挟み前記係合部に嵌合される嵌合部を備えていることが望ましい。
このような障子によれば、小口キャップが取り付けられている状態では、嵌合部と対向部との間に加熱発泡材が挟まれているので、他方の対をなす各框材の端部に加熱発泡材を設けつつも小口キャップにて他方の対をなす框材の各小口を覆うことが可能である。
【0009】
また、開口を形成する枠体に当該開口を閉塞可能に回動自在に支持される障子であって、前記障子は、面材と、前記面材の上下及び左右に配置されて対をなす框材が矩形状に接合されている框体と、を有し、各々の前記框材は、各々前記開口より外周側に張り出し、見込み方向において前記枠体と対向する対向部を有し、前記対向部には、前記枠体側と対面する加熱発泡材が、各々の前記框材の長手方向の全長に渡って設けられており、前記框体は
、一方の前記対をなす框材の小口が、他方の前記対をなす框材の長手方向における端部にて当該他方の前記対をなす框材に側方から当接されて接合されており、各々の前記対向部には、当該対向部の長手方向に沿うとともに前記枠体側と対面させて前記加熱発泡材が設けられており、前記他方の対をなす框材の前記対向部に設けられている前記加熱発泡材の端部は、前記対向部の前記枠体側と反対側の面に回り込んで当該他方の対をなす框材の小口を覆っていることを特徴とする。
【0010】
このような障子によれば、加熱発泡材は各框材の対向部に設けられた係合部にスライド可能に係合されるので、加熱発泡材を框材の端部側からスライドさせて各框材の対向部に配置することが可能である。また、一方の対をなす框材が他方の対をなす框材に側方から当接されて接合されるので、接合された状態では一方の対をなす各框材の係合部にスライド可能に係合された加熱発泡材は、他方の対をなす框材によりスライドが規制されて一方の対をなす框材に保持される。
【0011】
また、他方の対をなす框材の対向部の長手方向に沿って設けられている加熱発泡材は、端部が対向部の枠体側と反対側の面に回り込んで他方の対をなす框材の小口を覆っているので、回り込んだ加熱発泡材により小口を覆いつつ他方の対をなす框材に保持される。このため、各框材の係合部に各々加熱発泡材を係合して、二対の対をなす框材を接合し加熱発泡材の端部を枠体側と反対側の面に回り混ませることにより、各框材の小口を露出させることなく加熱発泡材を、枠体の開口を囲むように容易に備えることが可能である。
【0012】
また、上記障子と、前記障子を回動自在に支持する前記枠体と、を備えることを特徴とする建具である。
このような建具によれば、框体を構成する各框材が備える対向部に加熱発泡材が、枠体側と対面して、各々の框材の長手方向の全長に渡って設けられているので、枠体の開口を囲むように、枠体と対向するように加熱発泡材を有する障子を備えることが可能である。このため火災等により加熱発泡材が発泡した際には、発泡した加熱発泡材により開口を囲むように框体と枠体との間を埋めて隙間が生じることを防止することが可能である。よって、より防火性が高い建具を提供することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より防火性が高い障子及び建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】本実施形態に係る障子に設けられている熱膨張性黒鉛を示す図である。
【
図4】小口キャップが取り付けられる様子を示す斜視図である。
【
図6】障子に設けられた熱膨張性黒鉛の変形例を示す斜視図である。
【
図7】障子に設けられた熱膨張性黒鉛の変形例を示す断面図である。
【
図8】従来の障子に設けられている熱膨張性黒鉛を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る障子を備えた建具について図面を参照して説明する。
本実施形態の建具1は、例えば
図1、
図2に示すような横辷り出し窓用の建具1である。
【0016】
以下の説明においては、建物に取り付けられている状態の建具1を室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、奥行き方向を見込み方向として示す。建具1の各部位であっても、また、建具1を構成する各部材については単体の状態であっても、建物に取り付けられた状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0017】
建具1は、
図1、
図2に示すように、建物等に取り付けられた状態にて上下に位置する横枠2aと、左右に位置する縦枠2bとが矩形状に接合された枠体2と、枠体2に設けられ回動することにより枠体により形成される開口を閉塞可能な障子3と、備えている。この建具1は、障子3の上下方向における一方側が左右の縦枠2aに回動自在に支持されているとともに、左右の縦枠2aに沿って移動可能に設けられ、障子3が回動しつつ他方側が屋外側に突き出していく横辷り出し窓用の建具1である。
【0018】
矩形状に接合された枠体2は、上下の横枠2aと左右の縦枠2bの、各々室内側と室外側とに設けられ、矩形をなす枠体2の内側に延出する室内延出部2c及び室外延出部2dを有している。横枠2a及び縦枠2bの各室内延出部2cは、枠体2の見込み方向における室内側に配置されて同一平面をなす室内平面部2eを形成しており、その中央に矩形状の開口2gを有している。横枠2a及び縦枠2bの各室外延出部2dは、枠体2の見込み方向における室外側に配置されて同一平面をなす室外平面部2fを形成しており、その中央に矩形状の開口2hを有している。
【0019】
室外平面部2fの開口2hは室内平面部2eの開口2gより大きく形成されており、各々開口2g、2hの周縁部に室外側に突出するように、閉じた状態の障子3が当接されるシーラー4が各々全周に渡って設けられている。ここで、室内平面部2eの開口2gが、枠体2に形成され障子3により閉塞可能な開口に相当する。
【0020】
障子3は、面材としての複層ガラス5と、複層ガラス5の上下及び左右に配置されて対をなす框材を有する框体30と、を有している。上下に位置して対をなす横の框材31は小口31aが、左右に位置して対をなす縦の框材32の上端部または下端部に側方から当接されて、縦の框材32側から進入するビスが横の框材31に螺合されて矩形状に接合されている。矩形状に接合された框体30の内周部に設けられ、内周側が開放されて外周側に窪む溝部に複層ガラス5が、その周端部が収容されて保持されている。
【0021】
框体30は、障子3を閉じた状態で、枠体2の室外平面部2fの開口2h側から、室外平面部2fより室内側まで入り込む框本体部33と、室外平面部2fより室外側に位置して框本体部33の室外側の面と繋がって外周側に張り出し、見込み方向において枠体2と対向する対向部34と、を有している。
【0022】
各框材31、32の対向部34は、框本体部33とともに室外側に臨む面を形成する室外板部34aと、室外板部34aの外周端または外周端の端近傍から室内側に僅かに延出された外周延出片34bと、外周延出片34bの先端から框本体部33側に僅かに延出された外周突片34cと、を有している。また、各框材31、32の框本体部33において、複層ガラス5の面内方向において外周突片34cと対向する部位には、各々外周突片34c側に突出された内周突片33aが設けられている。
【0023】
外周突片34cと内周突片33aとは、室外板部34aの室外側に間隔を空けて設けられており、また、外周突片34cの先端と内周突片33aの先端とは、複層ガラス5の面内方向において間隔を空けて位置している。
図3、
図4に示すように、見込み方向における、外周突片34c及び内周突片33aと室外板部34aとの間の空間には、所定の温度で発泡して延焼を防止する加熱発泡材として、本実施例ではシート状の熱膨張性黒鉛6が配置されている。
【0024】
熱膨張性黒鉛6は、框本体部33と外周延出片34bとの間隔より狭く、外周突片34cの先端と内周突片33aの先端との間隔より広い幅を有している。また、熱膨張性黒鉛6は、外周突片34c及び内周突片33aと室外板部34aとの間隔より薄く、各框材31、32の長手方向における全長に渡るように設けられている。
【0025】
熱膨張性黒鉛6は、各框材31、32に配置された状態で、各框材31、32の長手方向にスライド自在であり、框材31、32の端部側から外周突片34c及び内周突片33aと室外板部34aとの間に挿入してスライドさせて各框材31、32に配置することが可能である。また、対向部34に配置された熱膨張性黒鉛6は、外周突片34c及び内周突片33aとの間から枠体2と対面している。ここで、外周突片34cと内周突片33aとが、加熱発泡材を枠体側と対面させ、当該対向部の長手方向に沿ってスライド可能に加熱発泡材と係合する係合部に相当する。
【0026】
上下の横の框材31に設けられた熱膨張性黒鉛6は、横の框材31の小口31aが、左右に位置する縦の框材32に側方から当接されて接合されることにより、長手方向へのスライドが規制されるとともに横の框材31に保持される。左右に位置する縦の框材32に設けられた熱膨張性黒鉛6は、当該縦の框材32の小口32aを覆う小口キャップ7が取り付けられることにより、長手方向へのスライドが規制されるとともに縦の框材32の長手方向における一方端に保持される。
【0027】
小口キャップ7は、
図5に示すように、縦の框材32の小口32aに当接される小口当接部7aと、小口当接部7aの室外側から縦の框材32の長手方向に延出されて室外板部34aの室外側に配置される室外片7bと、小口当接部7aの室内側から縦の框材32の長手方向に延出されて外周突片34cと内周突片33aとの間に配置される室内片7cと、を有している。小口当接部7aと室外片7bとは、縦の框材32の小口32aの左右方向の幅とほぼ同じ幅或いは小口32aの左右方向の幅とより広い幅をなしており、室内片7cは、外周突片34cと内周突片33aとの間隔とほぼ同じ幅をなしている。
【0028】
室内片7cは、延出された先端側における左右方向の中央に小口当接部7a側に窪む凹部7dが設けられて左右に2つに分かれており、左右に分かれている先端部には各々、凹部7dと反対側に向かって突出し、外周突片34cと内周突片33aとに設けられた被嵌合部34d、33bに嵌合される嵌合片7eが設けられている。
【0029】
熱膨張性黒鉛6の端部が対向部34の端部まで配置された縦の框材32は、端部が小口キャップ7の室外片7bと室内片7cとの間に挿入され、室外板部34aに室外片7bの先端が引っかけられた状態から、小口32aに小口当接部7aが当接されるように回転させつつ、室内片7cを外周突片34cと内周突片33aとの間に移動させ、嵌合片7eが被嵌合部34d、33bに嵌合されることにより小口キャップ7が取り付けられる。縦の框材32に小口キャップ7が取り付けられることにより、熱膨張性黒鉛6の端部は、室外板部34aとともに室外片7bと室内片7cとに挟まれて保持される。ここで、室内片7cが嵌合部に相当する。
【0030】
本実施形態の建具1及び障子3によれば、框体30を構成する各框材31、32が備える対向部34に熱膨張性黒鉛6が、枠体2側と対面して、各々の框材31、32の長手方向の全長に渡って設けられているので、枠体2の開口2gを囲むように、枠体2と対向させて熱膨張性黒鉛6を備えることが可能である。このため火災等により熱膨張性黒鉛6が発泡した際には、発泡した熱膨張性黒鉛6により開口2gを囲むように框体30と枠体2との間を埋めて隙間が生じることを防止することが可能である。よって、より防火性が高い障子3及びこの障子3を備えた建具1を提供することが可能である。
【0031】
また、熱膨張性黒鉛6は各框材31、32の対向部34に設けられた外周突片34cと内周突片33aとにスライド可能に係合されるので、熱膨張性黒鉛6をスライドさせて各框材31、32に配置することが可能である。また、対をなす横の框材31が対をなす縦の框材32に側方から当接されて接合されるので、接合された状態では横の框材31の外周突片34cと内周突片33aとにスライド可能に係合された熱膨張性黒鉛6は、縦の框材32によりスライドが規制されて対をなす横框材31に保持される。
【0032】
また、対をなす縦の框材32の外周突片34cと内周突片33aとにスライド可能に係合された熱膨張性黒鉛6は、縦の框材32の小口32aを覆う小口キャップ7により框材32の長手方向における一方端に保持されるので、小口キャップ7によりスライドが規制されて対をなす縦の框材32に保持される。このため、各框材31、32の外周突片34cと内周突片33aとに各々熱膨張性黒鉛6を係合して、上下及び左右に配置される框材31、32を接合し小口キャップ7を設けることにより、各框材31、32の小口31a、32aを露出させることなく熱膨張性黒鉛6を、枠体2の開口2gを囲むように容易に備えることが可能である。
【0033】
また、小口キャップ7が取り付けられている状態では、室内片7cと室外板部34aとの間に熱膨張性黒鉛6が挟まれているので、対をなしている縦の各框材32の端部まで熱膨張性黒鉛6を設けつつも小口キャップ7により縦の框材32の各小口32aを覆うことが可能である。
【0034】
上記実施形態においては、縦の框材32に設ける熱膨張性黒鉛6の端部を小口キャップ7により覆う例について説明したが、これに限らず、例えば、
図6、
図7に示すように、対向部34の室内側に配置した熱膨張性黒鉛6の端部を、小口32aに巻き付け室外側に至らせ室外側の面に貼り付けても構わない。このとき、小口32aに巻き付ける部位の幅を広くして小口32aの全幅を熱膨張性黒鉛6で覆っても構わない。
上記実施形態においては、加熱発泡材を熱膨張性黒鉛6としたが、加熱されて膨張する耐火材であれば、熱膨張性黒鉛に限るものではない。
【0035】
上記実施形態においては、框体30が、上下の横の框材31が、左右の縦の框材32の上端部または下端部に側方から当接されて接合されている例について説明したが、これに限らず、たとえば、左右の縦の框材32が、上下の横の框材31の左右端部に当接されて接合されていても構わない。
【0036】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1 建具、2 枠体、2g 開口、3 障子、5 複層ガラス、6 熱膨張性黒鉛、
7 小口キャップ、7c 室内片、7e 嵌合片、30 框体、
31 横の框材、31a 小口、32 縦の框材、32a 小口、33a 内周突片、
34 対向部、34c 外周突片