特許第6670518号(P6670518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6670518-コンテナマッチングシステム 図000002
  • 特許6670518-コンテナマッチングシステム 図000003
  • 特許6670518-コンテナマッチングシステム 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670518
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】コンテナマッチングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20200316BHJP
   G06Q 50/28 20120101ALI20200316BHJP
   B65G 63/00 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   G06Q10/08 312
   G06Q50/28
   B65G63/00 K
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-102598(P2016-102598)
(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公開番号】特開2017-211716(P2017-211716A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】518126144
【氏名又は名称】株式会社三井E&Sマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(72)【発明者】
【氏名】市村 欣也
【審査官】 山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−342430(JP,A)
【文献】 特開2004−182366(JP,A)
【文献】 特開2007−153488(JP,A)
【文献】 内田 三知代,内陸デポで複数荷主の輸出入をマッチング,LOGI−BIZ,ライノス・パブリケーションズ,2014年 7月 1日,第14巻 第4号,p.60−63
【文献】 コンテナラウンドユースの推進方策の実証的研究報告書,日本ロジスティクスシステム協会,2016年 3月31日,p.65−82
【文献】 日通、物流業界初!コンテナマッチングセンターを開設,[online],2014年 5月22日,[令和2年1月16日検索], インターネット<URL:https://www.nittsu.co.jp/press/2014/20140522-1.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
B65G 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空コンテナのコンテナ番号を取得する撮像機能と、前記撮像機能によって取得された画像データからコンテナ番号を認識する光学文字認識機能と、前記コンテナ番号を撮像した位置情報を検出する位置情報計測機能、および前記光学文字認識機能によって識別されたコンテナ番号と、前記位置情報とを送信するための通信機能とを備えた第1端末と、
前記第1端末から送信されたコンテナ番号と前記位置情報とを受信して記録するコンピュータと、
前記コンピュータに対して現在位置情報と、空コンテナの要求情報を送信するための通信機能を備えた第2端末と、を有し、
前記コンピュータは、前記第2端末から送信された現在位置情報に基づいて、記録された空コンテナの位置情報と、前記現在位置情報に最も近いコンテナターミナルの位置情報とを比較して、前記記憶部に記録された空コンテナの中に、前記コンテナターミナルよりも前記現在位置情報に近い位置情報を持つものの有無を判定し、該当する空コンテナが存在する場合には、その旨を前記第2端末に送信すると共に、前記第1端末に対して、登録した空コンテナに要求があった旨の情報を送信する機能を持たせたことを特徴とするコンテナマッチングシステム。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記第1端末に対して空コンテナに要求があった旨の情報を送信する際、コンテナの引渡し場所の情報として、前記第2端末から送信された前記現在位置情報を付帯させる機能を有することを特徴とする請求項1に記載のコンテナマッチングシステム。
【請求項3】
前記コンピュータは、登録された空コンテナの登録日時に基づいて、所定時間要求の無いものを抽出し、抽出された空コンテナを登録した第1端末に対して、空コンテナの要求が無い旨の情報を送信する機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載のコンテナマッチングシステム。
【請求項4】
前記第1端末は、前記コンピュータから、登録した空コンテナに対して要求が無い旨の情報を受けた際、該当する空コンテナの保管を継続するか否かの選択を前記コンピュータに対して返信する機能を有すると共に、
前記コンピュータは、前記第1端末から、前記空コンテナの保管を継続する旨の情報が返信された場合には、該当する空コンテナの登録日時を更新し、前記空コンテナの保管を継続しない旨の情報が返信された場合には、該当する空コンテナの登録情報を削除する処理を行う機能を有することを特徴とする請求項3に記載のコンテナマッチングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、港湾荷役に係り、特にコンテナを用いた搬送をスムーズかつ効率的に行うために好適なコンテナマッチングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ物流の効率化を図る上で課題とされる問題として、荷詰めするコンテナが必要となった際、コンテナが保管されているコンテナヤードまで空コンテナを引き取りに行くが、コンテナヤードは港湾などに存在し、荷主が内陸に居る場合には、空コンテナを準備するまでに、多くの費用が時間を要することになるという問題がある。
【0003】
このような問題に対して、例えば特許文献1には、コンテナの輸送状況をコンピュータで管理し、すると共に、内陸にコンテナ保管場所(インランドデポ)を配置し、インランドデポを介して、必要とされるコンテナと、これを運送するトレーラとのマッチングを行うことで、コンテナ輸送の効率化を図る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−169869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている技術は、コンテナ物流の効率化を図るという点においては、従来に比べて非常に効率的な方法であると考えられる。しかし、コンテナの保管場所として設けられるインランドデポは、広大な敷地を必要とすると共に、その管理にも費用がかかるため、各地域を網羅するように点在させることはできない。このため、インランドデポが配置されている地域から遠い荷主の場合、空コンテナを引き取るまでに要する時間や費用は、従来と大差無いものとなってしまうというという問題がある。
【0006】
そこで本発明では、コンテナ情報を一元管理し、コンテナを集積管理する事無く、必要とされるコンテナのマッチングを図る事で、コンテナ物流の効率化を図ることのできるコンテナマッチングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るコンテナマッチングシステムは、空コンテナのコンテナ番号を取得する撮像機能と、前記撮像機能によって取得された画像データからコンテナ番号を認識する光学文字認識機能と、前記コンテナ番号を撮像した位置情報を検出する位置情報計測機能、および前記光学文字認識機能によって識別されたコンテナ番号と、前記位置情報とを送信するための通信機能とを備えた第1端末と、前記第1端末から送信されたコンテナ番号と前記位置情報とを受信して記録するコンピュータと、前記コンピュータに対して現在位置情報と、空コンテナの要求情報を送信するための通信機能を備えた第2端末と、を有し、前記コンピュータは、前記第2端末から送信された現在位置情報に基づいて、記録された空コンテナの位置情報と、前記現在位置情報に最も近いコンテナターミナルの位置情報とを比較して、前記記憶部に記録された空コンテナの中に、前記コンテナターミナルよりも前記現在位置情報に近い位置情報を持つものの有無を判定し、該当する空コンテナが存在する場合には、その旨を前記第2端末に送信すると共に、前記第1端末に対して、登録した空コンテナに要求があった旨の情報を送信する機能を持たせたことを特徴とする。
【0008】
また、上記のような特徴を有するコンテナマッチングシステムにおいて前記コンピュータは、前記第1端末に対して空コンテナに要求があった旨の情報を送信する際、コンテナの引渡し場所の情報として、前記第2端末から送信された前記現在位置情報を付帯させる機能を有するようにしても良い。
【0009】
このような特徴を有することによれば、要求された空コンテナを、コンテナを要求した荷主の下へ輸送する際に、あらためて引渡し場所についての情報を取得する必要が無くなる。
【0010】
また、上記のような特徴を有するコンテナマッチングシステムにおいて前記コンピュータは、登録された空コンテナの登録日時に基づいて、所定時間要求の無いものを抽出し、抽出された空コンテナを登録した第1端末に対して、空コンテナの要求が無い旨の情報を送信する機能を有するようにすることもできる。
【0011】
このような特徴を有することによれば、登録している空コンテナの要求が長期間に亙って無いような場合に、コンテナを保管する荷主に保管継続の有無を確認することができる。
【0012】
さらに、上記のような特徴を有するコンテナマッチングシステムでは、前記第1端末は、前記コンピュータから、登録した空コンテナに対して要求が無い旨の情報を受けた際、該当する空コンテナの保管を継続するか否かの選択を前記コンピュータに対して返信する機能を有すると共に、前記コンピュータは、前記第1端末から、前記空コンテナの保管を継続する旨の情報が返信された場合には、該当する空コンテナの登録日時を更新し、前記空コンテナの保管を継続しない旨の情報が返信された場合には、該当する空コンテナの登録情報を削除する処理を行う機能を有するようにすることが望ましい。
【0013】
このような特徴を有することにより、空コンテナを保管することによって生じる荷主の負担の増大を避けることができる。
【発明の効果】
【0014】
上記のような特徴を有するコンテナマッチングシステムによれば、コンテナ情報を一元管理し、コンテナを集積管理する事無く、必要とされるコンテナのマッチングを図る事ができる。これにより、コンテナ物流の効率化を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るコンテナマッチングシステムと、その運用状況を示すブロック図である。
図2】実施形態に係るコンテナマッチングシステムにおいて送信、あるいは記録される情報の例を示す図である。
図3】コンテナマッチングシステムを運用する際の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のコンテナマッチングシステムに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[システムの構成]
本実施形態に係るコンテナマッチングシステム10は、第1端末12と第2端末14、およびコンピュータ16を基本として構成されている。第1端末12は、特定の荷主(第1の荷主と称す)の荷物が詰められたコンテナ50(50a,50b)を輸送するトレーラ52の運転手が所有する端末であれば良い。第1端末12は、撮像機能と、光学文字認識機能、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)機能(位置情報計測機能の一例)、および通信機能等を備えていると良く、具体的には、高機能携帯端末(タブレット端末)や、高機能携帯電話等であれば良い。
【0018】
撮像機能は、第1の荷主の下で荷ばらしして空となったコンテナ(空コンテナ50aと称す)に付されているコンテナ番号、および型式番号を撮像するための機能である。また、光学文字認識機能は、撮像機能により撮像された画像データから、コンテナ番号や型式番号を数値として認識、取得するための機能であれば良い。GPS機能は、コンテナ番号を撮像した位置情報をコンテナ番号に付加させるための機能である。これにより、コンテナ番号を撮像した位置に、空コンテナ50aが存在すると定義付けすることが可能となるからである。さらに、通信機能は、光学文字認識機能によって識別されたコンテナ番号並びに型式番号と、これに付帯された位置情報を、詳細を後述するコンピュータ16に送信するための機能である。
【0019】
このような機能を有する第1端末12を管理する立場にある第1の荷主は、本実施形態においては、空コンテナ50aを提供する側の荷主ということになる。
【0020】
第2端末14は、特定の荷主以外の荷主(第2の荷主と称す)、あるいは第2の荷主の荷物を荷詰めしたコンテナ(実入りコンテナ50bと称す)を輸送するトレーラ52の運転手が所有する端末であれば良い。第2端末14は、GPS機能と、空コンテナ要求情報作成機能、通信機能、および入出力機能等を備えていると良く、具体的には、タブレット端末や、高機能携帯電話等であれば良い。
【0021】
第2端末14におけるGPS機能は、空コンテナ要求情報に、現在位置情報を付加させるための機能である。また、空コンテナ要求情報作成機能は、要求する空コンテナ50aの数や、規格(20フィートか40フィートかなど)、使用日時などの必要情報を入力するためのフォームが備えられたプログラムであり、例えばアプリケーションソフトなどにより、詳細を後述するコンピュータ16からダウンロードして取得可能なものとすると良い。通信機能は、空コンテナ要求情報作成機能を介して作成された空コンテナ要求情報と、これに付帯された現在位置情報を、詳細を後述するコンピュータ16に送信すると共に、当該コンピュータ16からの返信情報を受信するための機能である。また、入出力機能は、第2端末14に備えられた表示部などに対し、空コンテナ要求情報を作成するための入力画面や、コンピュータ16からの返信情報等を表示したり、第2端末14に備えられたタッチパネルやプッシュキーを介して、各種情報の入力を行うための機能である。
【0022】
このような機能を有する第2端末14を管理する立場にある第2の荷主は、本実施形態においては、空コンテナ50aを受け取る側の荷主ということになる。
【0023】
また、コンピュータ16は、第1端末12から送信された、情報を記録し、第2端末14から送信された情報に基づいて、記録情報との照合を行い、第2端末14に対して返答情報を送信するための要素である。このため、コンピュータ16には、少なくとも記憶部と、演算部、及び通信部(いずれも不図示)が備えられていると良い。なお、本実施形態におけるコンピュータ16は、第1端末12や第2端末14を管理する第1、第2の荷主や、コンテナターミナル18とは異なる第三者としてのシステム提供者が管理するものであると良い。コンテナ50の管理を、関連機関(例えばコンテナターミナル18)がシステムを導入しているか否かに依存する事なく行う事ができるようにするためである。
【0024】
記憶部は、通信部を介して入力された第1端末12からの送信情報、すなわち、空コンテナ50aのコンテナ番号と型式番号、及び位置情報を記録するための要素である。また、記憶部には、第2端末14との通信のためにダウンロードされる空コンテナ要求情報作成ソフトや、演算部を介して稼働する検索ソフト、および各地域に存在するコンテナターミナル18の位置情報や、目的地間の走行距離や時間を求めるためのナビソフト等も記録されている。
【0025】
演算部は、入力情報に基づいて各種ソフトを介して演算処理を行うための要素である。例えば、第1端末12から空コンテナ50aのコンテナ番号と型式番号、及び位置情報が入力された場合には、これらの情報を関連付けてデータベースに記録する処理を行う。また、第2端末14から現在位置情報と、要求する空コンテナ50aの規格(型式)が入力された場合には、要求された型式の空コンテナ50aが、第2端末14の近くにあるか否かを判定する。
【0026】
空コンテナ50aが第2端末14の近くにあるか否かの判定は、第2端末14の現在位置情報に当たる位置(第2端末14の位置)から最も近いコンテナターミナル18の位置情報を検出し、ナビソフトを起動して、第2端末14の位置から検出されたコンテナターミナル18までの走行距離と移動時間を求める。
【0027】
その後、検索ソフトを起動して、空コンテナ50aのデータベースに、要求された型式の空コンテナ50aが有るか否かを検出する。要求された型式の空コンテナ50aが記録されている場合には、ナビソフトを介して、当該する空コンテナ50aのコンテナ番号、型式番号と共に記録された位置情報に当たる位置(空コンテナ50aの位置)と、第2端末14の位置との間の走行距離および移動時間を求める。なお、該当する空コンテナ50aが複数存在する場合には、それぞれについての走行距離と移動時間を求め、最も走行距離、または移動時間、あるいは双方(以下、単に走行距離等と称す)が短いものを抽出する。
【0028】
その後、抽出された空コンテナ50aの位置までの走行距離等と、コンテナターミナル18までの走行距離等とを比較する。比較の結果、空コンテナ50aの位置までの走行距離等の方が、コンテナターミナル18までの走行距離等よりも短い場合には、第2端末14の近くに要求する規格の空コンテナ50aが存在すると判定する。一方、要求された規格の空コンテナ50aが記録されていない場合、及び要求された規格の空コンテナ50aは存在するものの、当該空コンテナ50aの位置までの走行距離等よりも、最も近いコンテナターミナル18までの走行距離等の方が短いと算出された場合には、第2端末14の近くに要求する規格の空コンテナ50aは存在しないと判定する。
【0029】
演算部により算出された判定結果は、送信部を介して第2端末14に送信される。また、「近くに要求する規格の空コンテナが存在する」との判定が出た場合には、第2端末14への判定結果の送信と共に、抽出された空コンテナ50aの情報を記録した(送信した)第1端末12に対して、空コンテナ50aの要求があった旨、および引渡し場所についての情報が送信される。ここで、引渡し場所についての情報は、第2端末14から送信された現在位置情報、あるいは第2端末14からの情報に別途付帯された情報に基づくものであれば良い。
【0030】
一方、「近くに要求する規格の空コンテナが存在しない」との判定が出た場合には、データベースに記録されている空コンテナ50aの登録日時と現在時刻を比較し、登録日時から所定時間経過しているか否かの判定が成される。そして、登録日時から所定時間の経過が認められた空コンテナ50aの情報送信した各第1端末12(複数の場合も有り)に対して、空コンテナ50aの要求(マッチング)が無い旨の情報が送信される。
【0031】
ここで、コンピュータ16からマッチングが無い旨の情報を受信した第1端末12では、登録している空コンテナ50aを継続して保管するか否かを選択し、コンピュータ16に対してその旨を返信する。これにより、コンピュータ16では、次のような処理を行うことができる。すなわち、継続して空コンテナ50aを保管する旨の選択が成された場合には、データベースの登録日時を現在時刻に改めて、記録情報を更新する処理を行う。一方、空コンテナ50aの保管をやめる旨の選択が成された場合には、データベースから該当する空コンテナ50aの情報を削除する処理を行う。
【0032】
また、「近くに要求する規格の空コンテナが存在しない」との判定結果を受けた第2端末14では、現在位置から最も近いコンテナターミナル18へ、空コンテナ50aを引き取りに行くようにすれば良い。なお、ここでいるコンテナターミナル18には、港湾以外のターミナルであるインランドデポも含まれるものとする。
【0033】
なお、上記のような処理のためにコンピュータ16に送信される情報(第1荷主送信情報、及び第2荷主送信情報)、及びコンピュータ16に記録される情報(コンピュータ記録情報)についての例を図2に示す。
【0034】
[システムの運用例]
このような構成のコンテナマッチングシステム10の活用について、図3を参照して説明する。まず、第1の荷主の荷物を運ぶ運転手(第1端末12を持つ運転手)が、コンテナターミナル18へ行き、実入りコンテナ50bを引き取って来る。次に、第1の荷主の下で、実入りコンテナ50bの荷ばらしが行われ、空となったコンテナ(空コンテナ50a)のコンテナ番号と型式番号を第1端末12により撮像し、位置情報と共にコンピュータ16に送信する。
【0035】
第1端末12から情報を受けたコンピュータ16は、コンテナ番号、および位置情報を日時と共にデータベースに記録し、空コンテナ50aの登録が完了する。
【0036】
その後、第2の荷主の荷物を運ぶ運転手の所有する端末(第2端末14)から、空コンテナ50aの要求情報がコンピュータ16に送信されると、要求情報を受信したコンピュータ16は、第2端末14の近くに要求情報に合致した空コンテナ50aが存在するか否かの判定処理を行う。空コンテナ50aが存在する場合には、第2端末14に対して、その旨を出力すると共に、第1端末12に対して、その旨と、空コンテナ50aの引渡し場所を指示する情報を送信する。
【0037】
空コンテナ50aの引渡し場所の指示情報を受けた第1端末12を有する運転手は、第2の荷主の下へ空コンテナ50aを輸送して、第1の荷主の下へと戻る。その後、第1の荷主から空コンテナ50aを受け取った第2の荷主は、空コンテナ50aに荷物を詰め、実入りコンテナ50bとして、船舶による輸送のためにコンテナターミナル18へと搬入する。
【0038】
一方、コンピュータ16による判定処理において、空コンテナ50aが存在しないと判定された場合、第2端末14に対して、その旨が出力される。また、コンピュータ16では、データベースに登録されている空コンテナ50aが、登録から所定時間経過しているか否かが判定され、所定時間経過している空コンテナ50aを所有する第1の荷主(複数の場合もある)に対して、空コンテナの要求が無い(マッチングが無い)旨の情報を送信する(第1端末12への送信)。
【0039】
空コンテナ50aのマッチングが無い旨の情報を受けた第1端末12を有する運転手(第1の荷主を含む)は、登録している空コンテナ50aの保管を継続するか否かを選択し、コンピュータ16へ返信する。コンピュータ16に対して、空コンテナ50aの保管を継続する旨の選択を送信した場合、コンピュータ16は、該当する空コンテナ50aの登録日時を更新する。一方、空コンテナ50aの保管を継続しない旨の選択を送信した場合、コンピュータ16は、データベースから、該当する空コンテナ50aの情報を削除する。
【0040】
なお、コンピュータ16に対して空コンテナ50aの保管を継続しない旨の選択を送信した第1の荷主は、空コンテナ50aをコンテナターミナル18へと搬入すると良い。
【0041】
このような処理を行うコンテナマッチングシステム10によれば、コンテナ情報を一元管理し、コンテナ50を集積管理する事無く、必要とされるコンテナ50のマッチングを図る事ができる。これにより、空コンテナ50aを必要とする荷主(荷主の荷物を運ぶ運転手)が、その都度、荷主のもと(現在位置)からコンテナターミナル18までの往復を行う必要が無くなり、コンテナ物流の効率化を図ることが可能となる。
【0042】
また、このようなコンテナマッチングシステム10の運用を図ることによれば、空コンテナ50aの搬入、搬出のためのトレーラ52がコンテナターミナル18に集中することを防ぐことができる。これにより、コンテナターミナル18の入口での渋滞の発生を抑制することができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、説明を簡単化するために、第1端末12と第2端末14、およびコンピュータ16は、それぞれ1つずつであるかのように示して説明している。しかしながら上記のような構成のコンテナマッチングシステム10を運用する上では、1つのコンピュータ16に対して、第1端末12と第2端末14は、それぞれ複数存在することとなる。また、上記のような構成のコンテナマッチングシステム10では、コンテナ50の使用状況や要求の要否によって、第1端末12は第2端末14と成り得、第2端末14は第1端末12と成り得ることは言うまでも無い。
【0044】
また、実施形態においては、空コンテナ50aの引渡しに関して、第1の荷主側が第2の荷主側へ空コンテナ50aを輸送するように説明している。しかしながら、第2の荷主側から第1の荷主側へ空コンテナ50aを引き取りに行くようにしても、本発明に係るコンテナマッチングシステム10を適用する上で問題となる事は無い。なお、このような対応を採る場合には、コンピュータ16から第2の荷主側へ、コンテナマッチングの判定結果が通知される際、空コンテナ50aの引渡し場所の情報を合わせて通知するようにすれば良い。
【符号の説明】
【0045】
10………コンテナマッチングシステム、12………第1端末、14………第2端末、16………コンピュータ、18………コンテナターミナル、50………コンテナ、50a………空コンテナ、50b………実入りコンテナ、52………トレーラ。
図1
図2
図3