特許 6670519 屋根ユニット

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6670519

(24)【登録日】2020年3月4日

(45)【発行日】2020年3月25日

(54)【発明の名称】屋根ユニット

(51)【国際特許分類】

   E04B 1/343 20060101AFI20200316BHJP

【ＦＩ】

   E04B1/343 Y

【請求項の数】4

【全頁数】10

(21)【出願番号】特願2016-111705(P2016-111705)

(22)【出願日】2016年6月3日

(65)【公開番号】特開2017-218734(P2017-218734A)

(43)【公開日】2017年12月14日

【審査請求日】2018年9月7日

【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第２項適用 （１）刊行物名：ウォールエクステリア▲１▼総合カタログ２０１６第１版、発行日：２０１６年４月、発行所：ＹＫＫ ＡＰ株式会社、該当ページ：第１１１１ページ、 （２）刊行物名：組立・施工説明書（独立テラス屋根 エフルージュグランＺＥＲＯ サイクルサポート エフルージュグランミニＺＥＲＯ）、発行日：２０１６年４月、発行所：ＹＫＫ ＡＰ株式会社

(73)【特許権者】

【識別番号】390005267

【氏名又は名称】ＹＫＫ ＡＰ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000176

【氏名又は名称】一色国際特許業務法人

(72)【発明者】

【氏名】丸山 剛

(72)【発明者】

【氏名】堀江 慎吾

【審査官】 須永 聡

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１２−１４０８３１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 登録実用新案第３０３１２８７（ＪＰ，Ｕ）

【文献】 実開昭５８−００５５２３（ＪＰ，Ｕ）

【文献】 米国特許第０４２９５３１５（ＵＳ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｅ０４Ｂ １／３４３

Ｅ０４Ｂ １／６８４

Ｅ０４Ｂ １／６６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

建物の外壁と間隔を空けて配置される屋根が支柱により前記建物と独立して設けられる屋根ユニットであって、
前記屋根に設けられ前記外壁との間を塞ぎ、可撓性を有する塞ぎ材と、
前記塞ぎ材より剛性が高く当該塞ぎ材の垂れを防止する垂れ防止材と、
を有し、
前記塞ぎ材は、前記屋根における前記外壁側の端部に当接される塞ぎ材当接部を有し、
前記垂れ防止材は、前記塞ぎ材当接部と前記屋根の前記外壁側の端部を挟み前記外壁側の端部に当接される垂れ防止材当接部を有し、
前記塞ぎ材は、固定具により前記垂れ防止材当接部と締結されて前記屋根に固定されることを特徴とする屋根ユニット。

【請求項2】

請求項１に記載の屋根ユニットであって、
前記塞ぎ材は、前記塞ぎ材当接部と繋がり前記屋根側から前記外壁側に延出される塞ぎ材延出部を有し、
前記垂れ防止材は、前記垂れ防止材当接部と繋がって前記外壁側に延出され前記塞ぎ材延出部を下から支える支持部を有し、
前記支持部は、前記垂れ防止材当接部からの延出量が異なる位置に、前記屋根の前記外壁側の端部に沿って形成され、当該支持部の他の部位より脆弱な脆弱部を有することを特徴する屋根ユニット。

【請求項3】

請求項１に記載の屋根ユニットであって、
前記塞ぎ材は、前記塞ぎ材当接部と繋がり前記屋根側から前記外壁側に延出される塞ぎ材延出部を有し、
前記垂れ防止材は、前記垂れ防止材当接部を有する垂れ防止当接部材と、前記外壁側に延出され前記塞ぎ材延出部を下から支える支持部材と、を有し、
前記支持部材は、前記垂れ防止当接部材に対し、前記塞ぎ材延出部が延出している方向に沿って相対移動可能であることを特徴とする屋根ユニット。

【請求項4】

請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の屋根ユニットであって、
前記屋根の外壁側の端部には、前記外壁と反対の方向に突出する縁部が前記屋根に沿って設けられており、
前記垂れ防止材は、前記縁部と係合する係合部を有し、
前記固定具は、前記塞ぎ材当接部側から進入して前記垂れ防止材当接部に螺合されるビスであることを特徴とする屋根ユニット。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、建物の外壁と間隔を空けて配置される屋根が支柱により、建物と独立して設けられる屋根ユニットに関する。

【背景技術】

【0002】

建物の外壁と間隔を空けて配置される屋根が支柱により、建物と独立して設けられる屋根ユニットとして、外壁と屋根との間を塞ぐ閉塞部材を有する、たとえば、テラス等のように建物の壁面の前面に支柱支持によって施工設置する建物添設用の独立構築物が知られている（例えば、特許文献１参照）。この独立構築物の閉塞部材は、壁面に固定されていないため、屋根が揺れた際に変化する屋根と壁面との距離に応じて屈曲すると共に、壁面を傷つけないように、例えばゴムや軟質の合成樹脂などの撓み易い部材により形成されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１２−１４０８３１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記のように外壁と屋根との間を塞ぐ部材が、撓み易い部材により形成されているばあいには、外壁と屋根との間を塞ぐ部材の上に、例えば、雨水が溜まったり雪が積もったりすると、その重みにより外壁と屋根との間を塞ぐ部材が垂れて雨水が漏れる、或いは雪が屋根の下に落下するという課題がある。

【0005】

本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外壁と屋根との間から雨水が漏れたり雪が屋根の下に落下したりしにくい屋根ユニットを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

かかる目的を達成するために本発明の屋根ユニットは、建物の外壁と間隔を空けて配置される屋根が支柱により前記建物と独立して設けられる屋根ユニットであって、前記屋根に設けられ前記外壁との間を塞ぎ、可撓性を有する塞ぎ材と、前記塞ぎ材より剛性が高く当該塞ぎ材の垂れを防止する垂れ防止材と、を有し、前記塞ぎ材は、前記屋根における前記外壁側の端部に当接される塞ぎ材当接部を有し、前記垂れ防止材は、前記塞ぎ材当接部と前記屋根の前記外壁側の端部を挟み前記外壁側の端部に当接される垂れ防止材当接部を有し、前記塞ぎ材は、固定具により前記垂れ防止材当接部と締結されて前記屋根に固定されることを特徴とする屋根ユニットである。

【0007】

このような屋根ユニットによれば、建物の外壁と屋根との間を塞ぐ塞ぎ材は、可撓性を有しているので、建物と独立して設けられている屋根ユニットが風等により揺れ、屋根と外壁との間隔が変化しても塞ぎ材が撓むことにより追従し、外壁を損傷することなく、屋根と外壁との間が塞ぎ材により塞がれた状態を維持することが可能である。また、可撓性を有する塞ぎ材の垂れを防止し当該塞ぎ材より剛性が高い垂れ防止材を有しているので、塞ぎ材の上に、雨水が溜まったり雪が積もったりしたとしても、塞ぎ材が垂れて雨水が漏れる、或いは雪が屋根の下に落下することを防止することが可能である。

【0009】

このような屋根ユニットによれば、塞ぎ材は、屋根における外壁側の端部に当接されて塞ぎ材当接部とともに屋根における外壁側の端部を挟み塞ぎ材より剛性が高い垂れ防止材の垂れ防止材当接部に固定具により締結されて屋根に固定されるので、塞ぎ材を屋根に取り付ける為に、別途専用の部材を設けることなく、塞ぎ材と垂れ防止材とを確実に屋根に取り付けることが可能である。

【0010】

かかる屋根ユニットであって、前記塞ぎ材は、前記塞ぎ材当接部と繋がり前記屋根側から前記外壁側に延出される塞ぎ材延出部を有し、前記垂れ防止材は、前記垂れ防止材当接部と繋がって前記外壁側に延出され前記塞ぎ材延出部を下から支える支持部を有し、前記支持部は、前記垂れ防止材当接部からの延出量が異なる位置に、前記屋根の前記外壁側の端部に沿って形成され、当該支持部の他の部位より脆弱な脆弱部を有することが望ましい。

【0011】

塞ぎ材より剛性が高い垂れ防止材は、建物の外壁と適切な間隔が確保されていない場合には、屋根ユニットが揺れた際に、外壁と接触して損傷する虞がある。このため、上記のような屋根ユニットによれば、外壁側に延出されている塞ぎ材延出部を下から支える、垂れ防止材の支持部が、屋根からの延出量が異なる位置に、他の部位より脆弱な脆弱部を有しているので、いずれかの脆弱部にて切除することにより、垂れ防止材と建物の外壁との間隔を調節することが可能である。

【0012】

かかる屋根ユニットであって、前記塞ぎ材は、前記塞ぎ材当接部と繋がり前記屋根側から前記外壁側に延出される塞ぎ材延出部を有し、前記垂れ防止材は、前記垂れ防止材当接部を有する垂れ防止当接部材と、前記外壁側に延出され前記塞ぎ材延出部を下から支える支持部材と、を有し、前記支持部材は、前記垂れ防止当接部材に対し、前記塞ぎ材延出部が延出している方向に沿って相対移動可能であることとしてもよい。

【0013】

塞ぎ材より剛性が高い垂れ防止材は、建物の外壁と適切な間隔が確保されていない場合には、屋根ユニットが揺れた際に、外壁と接触して損傷する虞がある。このため、上記のような屋根ユニットによれば、外壁側の端部に当接される垂れ防止当接部材と、外壁側に延出され塞ぎ材延出部を下から支える支持部材とからなる垂れ防止材は、支持部材が、垂れ防止当接部材に対し、塞ぎ材延出部が延出している方向に相対移動可能なので、支持部材を垂れ防止材当接部材に対して相対移動させて固定することにより、垂れ防止材と建物の外壁との間隔を調節することが可能である。

【0014】

かかる屋根ユニットであって、前記屋根の外壁側の端部には、前記外壁と反対の方向に突出する縁部が前記屋根に沿って設けられており、前記垂れ防止材は、前記縁部と係合する係合部を有し、前記固定具は、前記塞ぎ材当接部側から進入して前記垂れ防止材当接部に螺合されるビスであることが望ましい。

【0015】

このような屋根ユニットによれば、垂れ防止材は、屋根の外壁側の端部に当該屋根に沿って設けられ、外壁と反対の方向に突出する縁部と係合する係合部を有しているので、塞ぎ材が垂れ防止材当接部に螺合されるビスにより固定される場合であっても、ビスの締め込みに伴う垂れ防止材の回転が規制される。このため、ビスの締め込む際に垂れ防止材を押さえる必要がないので、施工性に優れた屋根ユニットを提供することが可能である。

【発明の効果】

【0016】

本発明によれば、外壁と屋根との間から雨水が漏れたり雪が屋根の下に落下したりしにくい屋根ユニットを提供することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【0017】

【図1】本実施形態に係る屋根ユニットを示す正面図である。

【図2】本実施形態に係る屋根ユニットを示す側面図である。

【図3】図１におけるＡ−Ａ断面図である。

【図4】上突出部との係合を示す垂れ防止材の斜視図である。

【図5】支持部の先端側の部位を折り取った垂れ防止材を示す断面図である。

【図6】２つの部材からなる垂れ防止材を示す断面図である。

【図7】垂れ防止材を垂れ防止当接部材のみとした例を示す断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0018】

以下、本発明の一実施形態に係る屋根ユニットについて図面を参照して説明する。

【0019】

本実施形態の屋根ユニット１は、図１、図２に示すように、建物２の躯体等に固定されることなく、建物２の外壁２ａと所定の間隔を空けて設けられた屋根１２を支持する支柱１３により建物２と独立して設けられている。

【0020】

以下の説明においては、施工された屋根ユニット１を建物２に向かって見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となり建物２の外壁２ａに沿う方向を幅方向、建物２側と反建物側に向かう方向を奥行き方向として示す。屋根ユニット１の各部位であっても、また、屋根ユニット１を構成する各部材については単体の状態であっても、施工後の屋根ユニット１の状態にて上下方向、幅方向、奥行き方向となる方向にて方向を特定して説明する。

【0021】

本実施形態の屋根ユニット１は、ポリカーボネートなどの板状をなす屋根材１０、及び、屋根材１０の外周端部を囲み矩形状に枠組みされる枠材１１を備えた屋根１２と、屋根１２の幅方向における両端部を、奥行き方向における中央近傍にて支持する支柱１３と、屋根１２と外壁２ａとの間を塞ぐ可撓性を有する塞ぎ材１４と、塞ぎ材１４を下方から支持し塞ぎ材１４の垂れを防止する垂れ防止材１５と、を有している。

【0022】

枠材１１は、図３に示すように、屋根材１０の外壁２ａ側の端部１０ａを収容する端部収容部１６ａと、収容される屋根材１０の端部１０ａに上下からそれぞれ当接される当接材１６ｂと、を備え、屋根材１０の外壁２ａ側の端部１０ａを保持する外壁側枠材１６を有している。

【0023】

外壁側枠材１６は、屋根１２の幅方向を押出方向とする押出成形部材であり、外壁２ａと対向し湾曲した外壁対向部１６ｃと、外壁対向部１６ｃの上部側であって上下方向に間隔を空けた部位からそれぞれ外壁２ａから離れる方向に延出された下延出部１６ｄ及び上延出部１６ｅと、を有している。下延出部１６ｄには上方に突出するように当接材１６ｂが設けられており、上延出部１６ｅには下方に突出するように当接材１６ｂが設けられている。すなわち屋根材１０の外壁２ａ側の端部１０ａは、上下の当接材１６ｂにより保持されて、下延出部１６ｄと上延出部１６ｅとの間となる端部収容部１６ａに収容されている。

【0024】

外壁対向部１６ｃは、上延出部１６ｅより上方に突出する上突出部１６ｆを有しており、上突出部１６ｆの上側の縁部１６ｇが反外壁側に屈曲して突出している。

【0025】

塞ぎ材１４は、可撓性を有し、屋根１２の幅方向を押出方向とする、軟質の合成樹脂製の押出成形部材であり、屋根１２の幅方向のほぼ全長に亘るように形成されている。塞ぎ材１４は、屋根１２における外壁２ａ側の端部をなす上突出部１６ｆに当接される塞ぎ材当接部１４ａと、塞ぎ材当接部１４ａと繋がり屋根１２側から外壁２ａ側に延出される塞ぎ材延出部１４ｂと、を有している。

【0026】

塞ぎ材延出部１４ｂは、塞ぎ材当接部１４ａが、上突出部１６ｆに当接された取り付け状態において、外壁２ａ側に向かって高くなる傾斜をなすように形成されている。塞ぎ材１４は、可撓性を有しているものの、上突出部１６ｆに取り付けられて外部から負荷がかからない状態では、塞ぎ材延出部１４ｂはほぼ平面を形成することが可能な剛性を備えている。

【0027】

また、塞ぎ材延出部１４ｂの、奥行き方向の長さは、上突出部１６ｆと外壁２ａとの間隔より十分に長く形成されている。このため、塞ぎ材当接部１４ａが、上突出部１６ｆに当接された取り付け状態では、塞ぎ材延出部１４ｂの先端側が外壁２ａに沿わされて立ち上がっており、外壁２ａと対面する状態で当接されている。

【0028】

また、塞ぎ材当接部１４ａと塞ぎ材延出部１４ｂとの境界部分の外壁２ａ側には、反外壁側に窪む溝１４ｃが形成されており、上突出部１６ｆに当接されて取り付けられたときに上突出部１６ｆの縁部１６ｇが入り込むように形成されている。塞ぎ材当接部１４ａには、幅方向に適宜間隔を空けて、塞ぎ材１４を外壁側枠材１６に固定する為の固定具としてのビス３が貫通する孔（不図示）が設けられている。

【0029】

垂れ防止材１５は、塞ぎ材１４より高い剛性を備え、屋根１２の幅方向を押出方向とする押出成形部材である。垂れ防止材１５は、図４に示すように、屋根１２及び塞ぎ材１４の幅より十分に短く、屋根１２の幅方向に適宜間隔を空けて複数設けられている。

【0030】

各垂れ防止材１５は、塞ぎ材当接部１４ａとともに、屋根１２の外壁２ａ側の端部をなす上突出部１６ｆを挟み当該上突出部１６ｆの外壁２ａ側に当接される垂れ防止材当接部１５ａと、垂れ防止材当接部１５ａと繋がって外壁２ａ側に延出され、塞ぎ材延出部１４ｂを下から支える支持部１５ｂと、を有している。

【0031】

支持部１５ｂは、垂れ防止材当接部１５ａが上突出部１６ｆに当接された垂れ防止材５の取り付け状態において、外壁２ａ側に向かって高くなるような傾斜をなしており、上突出部１６ｆの反外壁側に塞ぎ材当接部１４ａが当接された塞ぎ材１４の塞ぎ材延出部１４ｂの下面と対面する状態で当接される。

【0032】

支持部１５ｂには、垂れ防止材当接部１５ａから延出されている延出方向、すなわち外壁２ａ側に向かう方向に適宜間隔を空けて複数（本実施形態では２つ）の溝、所謂ノッチ１５ｃが外壁２ａに沿って形成されている。ノッチ１５ｃが設けられている部位が、支持部１５ｂにおいて当該支持部１５ｂの他の部位より脆弱な脆弱部１５ｄに相当する。このため、垂れ防止材１５は、脆弱部１５ｄにて、延出方向における先端側の部位を折り取ることが可能であり、折り取ることにより垂れ防止材当接部１５ａからの支持部１５ｂの延出量Ｌ１を調節することが可能である。

【0033】

垂れ防止材１５には、支持部１５ｂが垂れ防止材当接部１５ａの反対側、すなわち反外壁側に突出する突起１５ｅが設けられている。この突起１５ｅは、垂れ防止材当接部１５ａを上突出部１６ｆに外壁２ａ側から当接させたときに、外壁側枠材１６が有する上突出部１６ｆの縁部１６ｇと係合するとともに塞ぎ材１４の溝１４ｃに入り込んでいる。ここで、垂れ防止材１５の突起１５ｅが外壁側枠材１６の縁部１６ｇと係合する係合部に相当する。

【0034】

本実施形態の塞ぎ材１４及び垂れ防止材１５は、外壁側枠材１６の外壁２ａ側から垂れ防止材１５の突起１５ｅを外壁側枠材１６の縁部１６ｇに係合させつつ垂れ防止材当接部１５ａを上突出部１６ｆに当接させるとともに、塞ぎ材１４を外壁側枠材１６の反外壁側から溝１４ｃに突起１５と縁部１６ｇとを挿入させつつ塞ぎ材当接部１４ａを上突出部１６ｆに当接させ、塞ぎ材当接部１４ａ及び上突出部１６ｆを反外壁側から貫通するビス３を垂れ防止材当接部１５ａに螺合させて外壁側枠材１６に固定する。このとき、ビス３が螺合される垂れ防止材１５は、突起１５ｅが外壁側枠材１６の縁部１６ｇと係合しているので、ビス３の回転により垂れ防止材１５がビス３と共に回転することはない。このため、塞ぎ材１４及び垂れ防止材１５を取り付ける際に垂れ防止材１５を押さえることなく反外壁側からビス３を締め込むだけで塞ぎ材１４及び垂れ防止材１５を確実に外壁側枠材１６に固定することが可能である。

【0035】

塞ぎ材１４及び垂れ防止材１５の外壁側枠材１６への取り付けにあたっては、屋根ユニット１を施工した際に、垂れ防止材１５の先端と外壁２ａとが、所定の間隔より広い間隔をなすように、延出方向において、いずれかの脆弱部１５ｄより先端側の部位を折り取って支持部１５ｂの延出量Ｌ１を予め調節しておく。ここで、垂れ防止材１５の先端と外壁２ａとの所定の間隔とは、施工後の屋根ユニット１が風等により揺れたときに想定される、屋根１２の、外壁側への最大変位量である。

【0036】

本実施形態の屋根ユニット１によれば、建物２の外壁２ａと屋根１２との間を塞ぐ塞ぎ材１４は、可撓性を有するので、建物２と独立して設けられている屋根ユニット１が風等により揺れ、屋根１２と外壁２ａとの間隔が変化しても塞ぎ材１４が撓むことにより、外壁２ａを損傷することなく、屋根１２と外壁２ａとの間が塞ぎ材１４により塞がれた状態を維持することが可能である。

【0037】

また、可撓性を有する塞ぎ材１４の垂れを防止し当該塞ぎ材１４より剛性が高い垂れ防止材１５を有しているので、塞ぎ材１４の上に、雨水が溜まったり雪が積もったりしたとしても、塞ぎ材１４が垂れて雨水が漏れる、或いは雪が屋根１２の下に落下することを防止することが可能である。

【0038】

また、塞ぎ材１４は、屋根１２における外壁２ａ側の端部となる上突出部１６ｆに当接されて塞ぎ材当接部１４ａとともに上突出部１６ｆを挟む垂れ防止材１５の垂れ防止材当接部１５ａに塞ぎ材当接部１４ａ側から進入するビス３により塞ぎ材１４より剛性が高い垂れ防止材１５と締結されて屋根１２に固定されるので、塞ぎ材１４を屋根１２に取り付ける為に、別途専用の部材を設けることなく、塞ぎ材１４と垂れ防止材１５とを確実に屋根１２に取り付けることが可能である。

【0039】

塞ぎ材１４より剛性が高い垂れ防止材１５は、建物２の外壁２ａに対して適切な間隔Ｌ２が確保できていない場合には、屋根ユニット１が揺れた際に、外壁２ａと接触して損傷する虞がある。このため、本実施形態の屋根ユニット１によれば、外壁２ａ側に延出されている塞ぎ材延出部１４ｂを下から支える、垂れ防止材１５の支持部１５ｂが、垂れ防止材当接部１５ａからの延出量が異なる位置に、ノッチ１５ｃを有して他の部位より脆弱となる脆弱部１５ｄを有しているので、図５に示すように、いずれかのノッチ１５ｃにて、ノッチ１５ｃより先端側の部位を切除することにより、垂れ防止材１５と建物２の外壁２ａとの間隔を調節することが可能である。

【0040】

また、垂れ防止材１５は、屋根１２の外壁２ａ側の上突出部１６ｆに設けられた屋根１２に沿う縁部１６ｇと係合する係合部としての突起１５ｅを有しているので、塞ぎ材１４が垂れ防止材当接部１５ａに螺合されるビス３により固定される場合であっても、ビス３の締め込みに伴う垂れ防止材１５の回転が規制される。このため、施工性に優れた屋根ユニット１を提供することが可能である。

【0041】

本実施形態においては、垂れ防止材１５と建物２の外壁２ａとの間隔を調節するために、垂れ防止材１５の支持部１５ｂにノッチ１５ｃを有する脆弱部１５ｄを備えた例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図６に示すように、垂れ防止材１５を２つの部材に分けた構成としても良い。この場合には、外壁側枠材１６の外壁２ａ側から垂れ防止材当接部１７ａを上突出部１６ｆに当接させて固定する垂れ防止当接部材１７と、垂れ防止当接部材１７に対して延出方向にスライド可能に設けられて垂れ防止当接部材１７に固定可能な支持部材としてのスライド部材１８と、を有する構成とする。そして、スライド部材１８に延出方向に沿う長孔を備え、スライド部材１８を垂れ防止当接部材１７に対して延出方向にスライドさせることにより、垂れ防止材１５のスライド部材１８と外壁２ａとの間隔Ｌ２を微調整することが可能である。

【0042】

このとき、垂れ防止材１５の先端と外壁２ａとの間隔が狭い場合には、図７に示すように、垂れ防止当接部材１７のみにより塞ぎ材１４を支持する。このように、垂れ防止材１５を２つの部材に分けた構成とすることにより、垂れ防止材１５と外壁２ａとの間隔の調整代をより大きくすることが可能である。

【0043】

また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。

【符号の説明】

【0044】

１ 屋根ユニット、２ 建物、２ａ 外壁、３ ビス、１２ 屋根、１３ 支柱、
１４ 塞ぎ材、１４ａ塞ぎ材当接部、１４ｂ 塞ぎ材延出部、１５ 垂れ防止材、
１５ａ 垂れ防止材当接部、１５ｂ 支持部、１５ｄ 脆弱部、１５ｅ 突起、
１６ 外壁側枠材、１６ｆ 上突出部、１６ｇ 縁部、１７ 垂れ防止当接部材、
１８ 支持部材、
Ｌ１ 延出量

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】